tw-cp03 [mocha]

2017.08.03

tw-cp03 [mocha]

あっ軽い。
それになぜか優しい口あたりなのね。

フリーハンドイマイが提案するキッチンで使って頂けたらと思いまして、私たちのお気に入りの作家さん佐久間陶子さんと一緒に器を作りました。
持ち上げた時にフワッと軽く、手にしたときにはざらっとした温かみのある土の質感が感じられて、内側は飲み物が器にしみないようにつるりとした仕上がりで、そして一番大切なのはここ。
表面の表情はどこか懐かしい土の印象を出して、内側や唇があたる部分までは口当たりよくつるっと仕上がる釉薬をかけて仕上げております。
お飲み物の色を目で味わうことは難しくなってしまいますが、コーヒーカップとして私たちは使っております。

サイズ

80φ(持ち手含めると120mm)/H75mm

No.tw-cp03[mocha]
白い土の表情と黒い釉薬の二色で仕上げたコーヒーカップです。

価格:2,530円(本体価格 2,300円)
送料:880円(800円)

※神奈川県、東京都、千葉県、埼玉県内の送料です。その他の地域は別途お見積致します。

ご注文はこちらから

各作品のご注文を希望される方は、こちらのオーダーフォームを開いてください

山の上の劇場

2017.08.03

「ナラ板目材と人工大理石コーリアンのオーダーキッチン」

逗子 M様

design:Mさん
planning:Mさん/daisuke imai
producer:yasukazu kanai/kouhei kobayashi
painting:haraki tosou

「はじめまして、Mと申します。逗子の実家の2世帯住宅の建て替えにあたり、平屋部分の親世代にL型キッチン、2階建の子世帯の2階にアイランドキッチンを考えています。現在建築士の方と基本的な間取りと仕様を決めて、粗粗の見積もりを工務店に依頼している段階です。木材や塗り壁など、なるべく自然系の素材を中心に計画を進めていることもあり、その中でキッチンの調査をしていたところイマイさんHPに行き当たりました。もしよろしければカタログを送って頂き、可能であればお手隙の際にお話を伺うことができればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。」というメールを頂いて、まずはキッチンのカタログをお送りして見て頂くことに。

オークとコーリアンのアイランドキッチン

Mさんご家族の2階のキッチンの全景。この屋根の組み方が素晴らしくて、ずっと眺めていたい感じなのです。


オークとコーリアンのアイランドキッチン

もう1枚全景。キッチンの横に木が生えているのです。


オークとコーリアンのアイランドキッチン

キッチンからリビングを見た様子。お二人がこれからお芝居を始めそうなとても魅力的な空間。

「早速のご返事ならびに【木のキッチンがある暮らし】の送付までご丁寧にありがとうございました。カタログはこれまでに見た外見重視の物と根本的に違い、我々素人でも分かりやすく、しかもとても美しくまとまっていて素晴らしかったです。嫁さんもパラパラと少しめくってすぐに食いついておりました。(笑)」
ありがとうございます。
そののち、何度かメールのやり取りをさせて頂く中で、その年の暮れのクレミル(毎年12月に開いているこの工房とショールームを使ったイベントです。)に来て下さることになりました。

オークとコーリアンのアイランドキッチン

キッチンのリビング側の様子。以前にキッチン前の収納を作らせて頂いた「炎を囲んで」の二宮のKさんの製作例を見て、取り入れた形。


オークとコーリアンのアイランドキッチン

その扉が下に向かって開くと、このような感じ。


オークとコーリアンのアイランドキッチン

扉の下は引き出し式の食器棚になっていたり、


オークとコーリアンのアイランドキッチン

お薬などの細かいものをしまっておいて、どこからでもすぐに取り出せるようにしています。

私たちの工房では、毎年12月に小さなイベントを開いているのです。この町が寒川町倉見だから「クレミル」(名前の理由は毎年12月にまたお知らせしておりますよ。)という名前のイベントで、大きく言うと、この町がもっと楽しい町になったらいいな、ということ。小さく言うと、みんなでその期間中は好きなものを作って楽しみましょう、ということ。
決してもの作りが多い町ではなく、どちらかというと農家さんが多い待ちですが、地場の農産物はいつも賑わっているし、お年寄りは元気だし、最近は若い方も増えてきています。
そして、そういうイベントをきっかけにしてここに1台ずつ家具を作っている工房があるよっていうことももっと知ってもらいたいなあ、とそういう気持ちで毎年開いているイベントなのです。
ここ最近では、イベント中に行なっている木工教室に、今まで知り合ったクラフト作家さんも参加してくださるようになって、すてきな方向に広がりつつあり、これからさらにどんなふうに広がっていくのかが楽しみなのです。

オークとコーリアンのアイランドキッチン

今回の食器洗浄機は、ガゲナウのものを採用しております。

そのイベント期間中に、Mさんご家族がいらして下さいました。
「初めまして。」といらして下さったのは、アウトドアブランドの暖かそうなジャケットを着こんだ温かそうな表情のご主人と、キリっと目力の強いまるでお芝居を見ているような優雅な物腰の奥様。
そしてそのお二人の軽妙なお話しぶり。
うん、うんとそのお話に引き込まれて素敵なキッチンのお話が広がっていくのでした。

オークとコーリアンのアイランドキッチン

引き出しの印象、その1。


オークとコーリアンのアイランドキッチン

今回Mさんのご提案で初めて試みたのが、通称「フロアコンテナ」と呼ばれている床面すれすれの引き出し。 食器洗浄機の巾木を高くしなければいけないこともあってその部分を有効に使おうということでこの形にしたのです。

今回のご相談は、逗子の山の上にあるご実家を建て直して2世帯住宅にするということで、ご両親が使うキッチンとMさんご家族が使うキッチンを考えていくことになったのです。
イベントの時にお聞きしたご要望をまとめて、ある程度形もまとまってあとは工事が始まる前にもう一度詳しい打ち合わせをしておきたいと思ったところで、「イマイさん、実は・・。」と話が振出しに戻って、施工会社さんを新しくされることになったのだそうです。
建築士さんの設計と試算が甘かったようで、予算をお幅に越えてしまうことになり、建築士さん探しからの再スタートということでした。これは大変です。

オークとコーリアンの背面収納と吊戸棚

こちらは食器棚。


オークとコーリアンの背面収納と吊戸棚

冷蔵庫とパントリーの入り口に浅まれた中央の空間にドンと立つ食器棚。カウンターの奥行は600mm以上ある大きな食器棚です。

ということで、Mさんはきっとその間いろいろなご苦労をされたのだと思われますが、私はのんびりと1年間待たせて頂きまして、「イマイさん、ようやく・・!」とお声が掛かるのを待っていたのでした。

オークとコーリアンの背面収納と吊戸棚

今回はガス炊飯器を置けるように、食器棚の奥にガス栓をつけております。

そしてちょうど1年が経過した頃、新しい施工会社さんも決まり、現在の建物の解体も始まろうという頃に打ち合わせを再開したのでした。
新しい間取りは前回のものからそれほど大きな変更はなかったので、前回のプランをもとにあれこれ細かい部分を詰めていったのです。
今回の設計施工される会社さんは鎌倉の楽居さん。
初めて聞くお名前でどんな会社さんなのかな。

ミラーキャビネット

こちらが洗面収納。扉が全面ミラーになっているのですが、思っていたよりもキラキラ感が出ないで、落ち着いた印象。この建物の構造が良く見えるおかげかな。

Mさんとの打ち合わせがある程度まとまりましたら、今度は楽居さんと細かい納まりや段取りについて打ち合わせしていきます。かなり細かく内容をくみ取ってくださる女性スタッフさんで、これは頼もしいと同時に気が引き締まるのでした。
そして、解体、地鎮祭、上棟が終わり、初夏を迎えました。
現場で打ち合わせができるということで、現場に伺うことに。
私はね、体が大きくてもなかなか気が小さな人間ですので、特に初めて会う人にはドキドキしてしまうのです。
キッチンという仕事をしておりますと、お客様とお話する次回に施工会社さんの大工さんや監督さんとお話させて頂くことになるのですが、なぜか施工会社さんが同じになることが少なくて、毎回初めてお付き合いさせて頂く施工会社さんばかり。今回は楽居さんのことはどのような会社さんなのか事前にウェブサイトを見させて頂いたりして、見知っていたのですが、初めて現場を見た時は、大きな感動を覚えたのでした。

鏡面ホワイトの面材と白いコーリアンのキッチン

こちらはご両親のキッチン。シンプルに白い鏡面素材を使って作っているのですが、庭とタイルの緑がよく映えて、とてもイキイキとした表情になりました。


鏡面ホワイトの面材と白いコーリアンのキッチン

カウンターも白い無地単色のコーリアンを使って、とてもシンプルな印象。ハンドルはステンレスカラーのカワジュンのラインハンドルを取り入れて、シンクやガス機器まわりと印象を揃えました。

圧倒的な木の存在感。でもその何というか木がうるさくないのですね。みんな普通に成っている。柱は梁を支え、梁は柱に寄り添って、きちんとしている。その姿が美しくて、ここにキッチンを入れさせてもらえるのかあ、と感動したのでした。
「お世話になります。よろしくお願いします。」
と、現場の中にいる人たちにご挨拶。髪型はとてものびやかでしたが物静かで朴訥とした印象だったのが代表の三浦さん。結局最後までいろいろなお話を聞く機会は持てませんでしたが、現場監督で大工さんでもある井上さんがいろいろと私たちの面倒を見てくださいました。
それも今までにないくらい、何というか紳士の対応なのですね。
それがうれしくて、Mさんいいところで家を建てるんだなあ、うらやましいなあ、と思ったのを覚えております。
私たちが施工しやすいように段取りをしてくれて、いよいよ製作開始。

鏡面ホワイトの面材と白いコーリアンのキッチン

今回シンクは、いつもお願いしている高橋さんの手作りシンクではなく、コストを抑えられる量産のプレスシンクを採用。水栓は、今までお母様が使っていたものを前のキッチンから取り外して再利用。

今回作らせて頂くのは、先ほどお伝えしましたようにご両親のキッチンとMさんご家族のキッチン、背面食器棚、それから洗面台でした。
かなりのボリュームなので、壁ができあがってから採寸して製作、となると左官屋さんを待たせてしまう。ですので、あらかじめ井上さんと壁の仕上がり寸法について細かく打ち合わせしておいて、壁ができあがる前から製作を始めることに。
今回は建物が大きかったので、私たちと関わる壁面の仕上げはあとにして頂いていて、部分的に左官屋さんが壁を仕上げています。それに擦らないようにしながらこの大きな人工大理石のカウンターを2階に揚げることが大変なのでした。今回は建物の形状上、外からの荷揚げが困難でしたので、階段がちょうど良い広さだったのに助けられてどうにか搬入できました。
あとは工房で組み上げたとおりに再度組んでいくのみです。
台数が多いので、複数日に分けて設置工事をおこない、機器も組み込んでようやく完了。
なかなかのボリュームでしたので、無事終わった時には本当に胸を撫で下ろしたのでした。

鏡面ホワイトの面材と白いコーリアンのキッチン

引き出しの様子。

そして、お引越しされて2週間ほど経ち少し落ち着いてきたところで、ご挨拶にお伺いしてきました。
底抜けに明るいご主人と奥様のお話は、まるで舞台を見ているよう。
楽居さんの作ったこの空間がより舞台のような印象に見せてくれます。
「新居に入りまして一週間、素晴らしいキッチンでお料理をいたしまして、楽しくて仕方がありません。
夢の様なキッチンです。人の手でできているっていうことがとても良く分かる家作りでした。だから、とてもうれしくて、楽しい暮らしです。」

そうそう、みんな人の手でできあがったんだよね。
それが分かるそれはもうすてきな空間でした。

1階キッチン仕上
天板 デュポンコーリアン「モンタナポーラーホワイト」/プレスシンク
扉・前板 メラミンポストフォーム加工扉「鏡面ホワイト」
本体外側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
2階キッチン仕上
天板 デュポンコーリアン「モンタナポーラーホワイト」/板金シンク
扉・前板 ナラ板目突板練り付け
本体外側 ナラ板目突板練り付け
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 ウレタンクリア塗装つや消し仕上げ

ナラ板目材と人工大理石コーリアンのオーダーキッチン

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

偶然かなあ

2017.08.03

「タモ柾目の食器棚とテレビボードのオーダー」

大和 O様

design:Oさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:masakane murakami
painting:hiroyuki kai

Oさんから食器棚のご相談を頂いたのでした。
食器棚というと、いろいろとなイメージを持っているのは奥様だったりすることが多いのですが、今回は確かご主人と主に打ち合わせを進めていたような覚えがあります。
何度かメールでやり取りをした後に、お会いしてお話をすることになりましてこちらまでいらして頂けることになりました。

タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

食器棚全景、その1。


タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

食器棚全景、その2。ダイニングから見たところ。キッチンに絵があるっていうのはとても良いです。


ガラス引き戸のあるタモ材のテレビボード

食器棚全景、その3。キッチン入り口側から見たところ。引き出しの上半分には真鍮のハンドルをつけて、下半分は、手掛けにしているという少し変わったデザインは、Oさんのご提案。とても良いバランスになりました。

いらしてくださってお話した印象は、どちらかというと物静かなお二人で、奥様はご主人の後ろに控えて見守るような印象で、ご主人が物腰柔らかにお話してくださるのですが、時折見せる間がどことなく特徴的なお二人なのでした。
もしかしたら、私たちに近いお仕事をされているのかなあ、そんなフワッとした香りがするような・・。

タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

吊戸棚をつけるかどうかあれこれ検討して、最終的には、ちょっと物が置けるくらいのサイズでオープンの棚をつけることに。これがダイニングから見るととても良い印象。

その時とその後のメールのやり取りを含めて、食器棚をご依頼頂けることとなりました。
ありがとうございます。
さっそくOさんのご自宅に採寸にお伺いすることに。
ご自宅はへーベルさんで建てた家ということで、ヘーベルさんの場合は独特の決まりのようなものがあって、家具の設置が難しい場合もあるので、Oさんにもお手伝い頂いていろいろ調べまして、問題なく設置できることに。

タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

吊り棚はタモ柾目の無垢材で吊り棚は作っております。

また、使いにくい位置にあった天井付近のコンセントも問題なく食器棚部分に移設できるかどうかもこの時一緒に調べることにしたのでした。
場所からすると、冷蔵庫を置く場所でもないけれど上についてしまっているので、家電とつなぐとケーブルが丸見えになってしまうのです。
これはぜひ移動したいとOさんも私も思っていて、「移動できるか調べてみますね。」とコンセントプレートを外したら、プレートにクロスのノリがついていたようで、クロスがビリっと。
(あっ、いけない。)と思ったら、慌ててしまってさらにビリビリっと・・。
「Oさん、申し訳ございません・・。」とお伝えしたら、静かに控えていた奥様が「大丈夫ですよ。次回家具の設置に来て頂いた時に張り付けて頂ければ目立たなくなりますものね。」ととても包容力のあるお言葉。ご主人もにこりとうなずいてくださって。
すみません、ありがとうございます。
結局、コンセントは無事に移せそうなことが分かり、お二人のお仕事のお話になりました。

タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

カウンターのトップはステンレスヘアライン仕上げ1.0mmの厚みの板を張っています。


タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

ハンドルは、堀商店さんの真鍮磨き仕上げのハンドル。使い込むと良い鈍色になってくるのです。

すると、デザイン関係のお仕事をお二人でされているのだそうで、このキッチンがある2階は住空間で、1階がオフィスになっていたのでした。
「幼稚園バスや観光バスなどのサインを作ったり看板をデザインする仕事なのです。イマイさんがお住まいの海老名でもお仕事させて頂いておりますよ。」
と、お話を聞くと良く見るバスのサインをOさんが作っていたりと、とても気持ちが近いお二人なのでした。
「ありがとうございます、壁に修理も含めてきちんときれいに作らせて頂きます。」

タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

引き出しの様子、その1。引き出しには、専用のカトラリー収納を作らせて頂きました。


タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

引き出しの様子、その2。


タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

引き出しの様子、その3。


タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

引き出しの様子、その4。


タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

左下の扉を開けた内部の様子。

そうしてプランもまとまり製作に取り掛かっているなかでお話が変わるのですが、友人である建築士の福原正芳さんの奥様が勤めているマキさんのスタジオで、展示会があるということで、アキコがぜひとも作品を見に行きたいということで、私もあの竹林SHOPがとても好きだったものですので、家族みんなで出掛けたのです。
場所はね、ここからちょっと遠い武蔵五日市。

ガラス引き戸のあるタモ材のテレビボード

こちらはリビングに設置させて頂いたテレビボード。

いつも人気でお目当ての作品が無くなるといけないと、みんな早くから来られて朝からとても賑わっているSHOPなのですが、そこに「んっ?」見覚えのあるお顔がお会計を待つ列に・・。
おぉ、Oさん(ご主人)です。
「Oさん、Oさん!ご無沙汰しております。」と声を掛けると、「あっ、イマイさん。このような場所でお会いするとはすてきな偶然ですね。」

ガラス引き戸のあるタモ材のテレビボード

デザインのベースは、「風をはこんだ」の水戸のNさんの形をもとにアレンジしていきました。

Oさんのお住まいは大和。私は海老名。ここは武蔵五日市。
それぞれ住んでいる地から遠く離れて、この同じ時間でこのすてきな場所で出会える偶然。なんてすばらしいのでしょう。
「実は、妻が今日は来られなくて彼女から頼まれて、お目当ての作品が無くなっちゃいけないと思いまして、こうして来ているのです。」とちょっとうれしそうに、恥ずかしそうにそうおっしゃってくださいました。

ガラス引き戸のあるタモ材のテレビボード

将来的に左の壁までボードを延ばせるようにできたら良いな、というOさんのご要望に応えられるようにつないでも違和感ないようなシンプルな仕上がり。

「そうなのですね、すごい偶然でとてもうれしいです。家具の製作は順調に進んでおりますので、予定通りにお伺いできますからもう少しお待ちください。それではまたお会いしましょう。」と。
お客様と「また、お会いしましょう。」って言えるのってすごくすてきなことです。
うれしいなあ。

ガラス引き戸のあるタモ材のテレビボード

収納の上にオープンのスペースという印象は、天板の上に置くものとこのオープンスペースに置くもので明るさが変わるからか、とてもメリハリあるものの置かれ方になります。

そして、順調に製作は進んで、ちょっと濃くしたいのです、と言われていたたもののオイル塗装も順調に終わって、さて納品。
場合によっては階段を上がらないかと思って少し心配しておりましたが、無事に搬入も済んで、家具の設置も、心配していたコンセント近くのクロスの修理もきちんと終えることができてホッとひと安心。
うれしいことにそのあとに、テレビボードのご相談をも頂いて、後日納品させて頂いたのでした。

ガラス引き戸のあるタモ材のテレビボード

引戸はガラスの引き戸。1枚だけ作り、常に片側はオープンになっているという印象。


ガラス引き戸のあるタモ材のテレビボード

下の扉には可動棚が1枚入っています。可動棚を外せばA4サイズの本などがしまえる高さ。


ガラス引き戸のあるタモ材のテレビボード

格子扉を開けると、AV機器などがしまえるスペース。奥には、壁についているコンセントがそのまま見えるような感じになっています。

「イマイさん、次は本棚を考えているのですがまたちょっと仕事が忙しくなってしまったので、落ち着いたら連絡しますね。」
うれしい言葉です。

タモとステンレスと真鍮を使った食器棚

価格:600,000円(制作費・塗装費)

タモのテレビボード

価格:400,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は15,000円から、取付施工費は30,000円から)

山の麓の劇場

2017.08.03

「ナラ節アリ材とクォーツストーンのオーダーキッチン」

鎌倉 O様

design:tetsuya ishiko
planning:tetsuya ishiko/daisuke imai
producer:yasukazu kanai/kouhei kobayashi
painting:haraki tosou

石子さんが設計事務所icaaさんに勤めていらした時にお手伝いさせて頂いた鎌倉のO様のお仕事です。
思い返すと、2011年に青葉台のMさんから家具のご相談を頂いて、その時に設計事務所さんがicaaさんだったというのが最初の出会いでした。

クォーツストーンと節のあるオークのセパレートキッチン

リビング側の扉の印象を縁甲板のように見せたいということで、このようなデザインにしました。

「寺家町」という名前はすてきな場所だっていうことを以前から聞いていたのですが、その場所でこのようなすてきな設計事務所さんがあるのか、ってうれしくなったものでした。
ちょうどMさんのご新居の設計を担当されていた石子さんが私たちに興味を持ってくださって、それから幾度となくicaaさんのお客様の家具作りをお手伝いさせて頂いておりました。
お客様だけではなく、石子さんのご自宅やほかのスタッフさんの家にまで上がりこんだり、主催してくれたクラフト市にも参加させて頂いたりと、とても有意義な時間でした。
そのスタッフ皆さんが晴れてそれぞれ独立されまして、今回のMさんはその事務所時代の最後のほうのお客様となり、あらためてとても勉強になるお仕事だったのでした。

クォーツストーンと節のあるオークのセパレートキッチン

ダイニングからキッチンを見ます。


クォーツストーンと節のあるオークのセパレートキッチン

階段を上がってきてすぐ目に入る印象。写真には写っておりませんが、シンク下の大きな引き出しの前板が反ってしまって使いにくくなってしまっていたのでした。


クォーツストーンと節のあるオークのセパレートキッチン

リビングから見た印象。扉が少しやせているのが分かりますね。でも、良い表情です。

「今度鎌倉で新築を建てるにあたりまして、またイマイさんにお手伝いして頂けたらと思いまして。」といつもの優しい物腰で話す石子さんの言葉を、少し濃いめのエスプレッソを頂きながら聞いておりました。
うれしいことに、最初の頃はキッチンや家具単体でのご相談が多かったのですが、このところは、家の中の重要な家具を多く任せて頂ける機会も増えてきたのでした。
そして、Oさんの図面を拝見させて頂いて、こことこことここと・・、と聞いていくうちに苦笑い・・。

クォーツストーンと節のあるオークのセパレートキッチン

天板と笠木、バックガード部分もクォーツストーンで仕上げています。厚みは出さないように、素材の厚み12mmそのままで見せるようにしています。

石子さんが「?」という表情をされましたので、「いつもありがとうございます。でも家具のボリュームが多いと、間に合うかなって心配になってしまって・・。(笑)」
「そうですね。でも、それぞれの家具の納品のタイミングはずらせると思いますので、できればイマイさんにすべてお願いしたいなと考えております。」
いつもながらうれしい言葉です。

クォーツストーンと節のあるオークのセパレートキッチン

引き出しの印象。最近皆さんがよく使っているのが、この重ねてスライドできるカトラリーケース。こちらはケユカさんのものです。また、引き出し自体は掃除しやすいようにポリエステル化粧板を使い、スライドレールは外から見えない底付けタイプでゆっくり閉まるのソフトクローズレールを使っています。

石子さんとは年がひとつ違いで私のほうが一つ上なだけですので、気持ちがとても近いのです。
事務所にいらした時はどちらかというと、少しスタイリッシュな形をご提案頂くことが多かったのですが、今聞いてみると、「好きな作家さんは好文さんのようなその人の暮らしに自然と溶け込んでいるようなさりげない形が好きなんです。」と好きな印象も近いのでした。
だからね、そういう人が考える家の中に居ると心地良いのです。
今回のMさんもきっと心地良い場所になるはずって楽しみにしておりました。

クォーツストーンと節のあるオークのセパレートキッチン

ガスコンロはリンナイのデリシア。

でも、ひとつだけ気に掛かることが・・。それは立地です。
鎌倉はどの場所を歩いていてもとても魅力のある土地です。でも魅力と同じくらい湿気も多い土地なのです。
今までも鎌倉に住むお客様の家具を何度も作らせて頂いておりますが、その住んでいる様子をお聞きすると、皆さん必ず「湿気がね・・。」とおっしゃいます。
Oさんの立地も大仏様の近くの谷戸になっている場所。そして、山というか丘の裾に当たる場所。風が抜けるかもしれませんが湿った風が丘を越えていってくれるかどうか。

節アリオークとロートアイアンを使ったテレビボード

こちらはリビングに設置したテレビボード。

その場所で作る家具に使う素材は、節アリのナラ材。無垢を主に使った形でキッチンやテレビボードを作らせて頂くことになったのです。
そこで製作に取り掛かる前にそれぞれの家具の設置場所を確認にお伺いしたのですが、うーん、やはり現場の空気がちょっと重く感じるのでした。

節アリオークとロートアイアンを使ったテレビボード

この格子扉は、AV機器収納部。

でも、家具の取付は真夏の8月でしたが無事に完了しそのまま無事にお引き渡しを迎え、冬が始まる頃、石子さんが写真の撮影にOさんのお宅にお邪魔するというので、私もその機会に撮影させて頂くことにしたのです。

節アリオークとロートアイアンを使ったテレビボード

このように下に向かって開きます。この格子の隙間から機器の電源を入れていると静電気などでほこりが入り込んでくることがあるので、アクリルを入れることもできるのですが、今回のOさんの場合は、機器自体熱が出るものがあるということで、放熱を考えて、隙間はそのままにしています。

「ご無沙汰しております。」とさっそくキッチンに上がらせて頂くと、あれほどしっかり養生して作ったのでしたがやはり心配していた大きな引き出しの前板が大きく手前に反り返っておりました。
「これは、やっぱり無垢だから仕方ないかなと思っておりました。」とOさん。
いえ、これはやはり動きが大きすぎます、すみません。
リビングの扉も予想以上に木が縮んでいて、これは湿気ばかり気にしていただのですが外気を受けた部分が大きく縮んだのでした。
ふーむ・・。

節アリオークとロートアイアンを使ったテレビボード

このテレビボードは最初宙吊りに仕様かと思ったのですが、ナラの重量と高さと奥行のバランスを考えると、あっという間に歪みが出てしまうかもしれないと思いまして、さりげない形の脚をスチールで作りました。作ってくださったのは、ちょっと変わった造作も何気なく作ってくださるお馴染のオヌマさん。

リビング側の扉は、また時期が来るとの延びると思われますので、このまま手を付けないようにして調整だけさせて頂き、キッチン側の大きな引き出しの前板のほうを引き出しの構造を変えて作ることで、反りを矯正することにしたのです。テレビボードがそのほかの家具はきちんと不具合なく使えていて、この大きな前板だけ後日あらためてお伺いして引き出しを交換して調整させて頂き、無事に使いやすい引き出しにすることができたのでした。

節アリオークとロートアイアンを使ったテレビボード

引き出しは印象をシンプルに見せるために、上段の引き出しを内引き出しにしています。

刻んでしまった木は生きているとは言いませんがずっと動き続けます。その動きが使い勝手に支障が出ないように工夫しながら作るのですが、木のほうも頑固ですのでそう一筋縄ではいかないのです。
それが良さでもあり、大変な部分でもあるわけで、作る人も使う人もそこを楽しんでもらえるとうれしいのです。
Oさんもそのあたりを楽しんで使ってくださっていて、その様子が部屋を見渡すとよく分かるのでした。
うれしいことです。

節アリオークとロートアイアンを使ったテレビボード

ハンドルは、KUMA鍛鉄工房さんにオリジナルのものを作って頂きました。「下に向かって開く時につまみやすいような形状で、槌目を控えめに」という微妙なリクエストに素敵に応えてくれたのです。

イキイキとした緑がそこかしこにちりばめられて、窓を開放すると山の緑も入り込んできて、葉がサラサラ鳴ります。
2階のバルコニーは落ち葉が積もりますが、冬でも開け放しておける心地良いところ。
おや、いまなにか通り過ぎたよって思っていたら、リスが木立の奥から顔をのぞかせました。
外の木々のささやきと、内の家具の豊かな表情と。ここはまるで劇場のような具合です。

節アリオークとロートアイアンを使ったテレビボード

テレビボードの、天、地、側板は木端面を少しラウンドさせて印象を優しくしました。


節アリオークとロートアイアンを使ったテレビボード

Oさんのご要望で、テレビの後ろにLEDのテープライトを仕込んで間接照明にしています。


節アリオークとロートアイアンを使ったテレビボード

キッチンからリビングを見た時の印象。


バースウッドとシナを使った寝室間仕切り収納

こちらは寝室。シナ合板とバースウッドで作った間仕切り収納です。窓のすぐ向こうは丘の法面になるので、最も湿気が気になる場所でもありますが、常に空調しているからか、さらっとした場所になっておりました。


バースウッドとシナを使った寝室間仕切り収納

ベッド側から見るとこのような感じ。

キッチン仕上
天板 クォーツストーン「シーザーストーン」/シンクはステンレスヘアライン
扉・前板 節アリナラ無垢材
本体外側 節アリナラ無垢材/ナラ板目突板練り付け
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 ウレタンクリア塗装全つや消し仕上げ

ナラ節アリ材とクォーツストーンのオーダーキッチン

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。