節アリナラ材とステンレスバイブレーション仕上げのキッチン

2017.09.05

20170905002今日は、カナイ君とコバヤシ君とカイ君の3人で東静岡までOさんのキッチンの取付に行ってもらいました。なかなか遠い距離ですので、今日一日で全てきっちり終わらせましょう、ということでしっかり3人で行ってもらったのです。
日が暮れてだいぶ経ってからトラックが戻ってくる音が下のほうで響いてきました。
無事帰ってきましたね。
カナイ君が「食器洗浄機の取付に少し時間が掛かってしまいましたが、きれいに無事納まりました。」と報告してくれましたが、一足先にOさんからうれしいお礼のメールが届いておりましたので、安心しておりました。
報告を受けて、撮ってきた写真を見てさらに安心。
みんな、お疲れさまでした。
取付はこれで完了しましたが、Oさんとのお付き合いはこれからです。
家具は納品してからがお付き合いの始まりかもしれません。何かあった時はいつでもお声掛けください。
ちょっと遠いですが、なるべく早く駆けつけますので。
Oさん、ありがとうございました。

今日もね、お昼頃にお電話がありまして、藤沢からTさんご夫婦がキッチンを見に来て下さいました。
お話をお聞きすると建築士さんで、ご自宅を設計しているところだそうで。
必要としてくれる人がいることは大変ありがたいことです。

ウェブサイト更新

2017.09.05

ステンレスとナラのダイニング間仕切り収納リビングとダイニングを仕切るナラのシンプルなカウンターを作らせて頂いた茅ヶ崎のNさんのお話と、

ステンレスバイブレーションとナラ柾目のコの字型キッチンステンレスとナラ柾目と楽しいおしゃべりで満ち満ちた葉山のTさんのお話と、

節アリナラ材の対面カウンター収納とコの字型食器棚ナラの豊かな表情に囲まれたダイニングキッチンにすることができた茅ヶ崎のWさんのお話を掲載致しました。

どの方もとても楽しいエピソードです。
よろしければご覧になってくださいね。

ひとつずつ

2017.09.05

「ナラのキッチン間仕切りカウンターのオーダー」

茅ヶ崎 N様

design:Nさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:tatsuya suzuki
painting:iku nogami

茅ヶ崎の戸建てに住むNさんから、

「はじめまして、Nと申します。
現在一戸建てに住んでいます。I型キッチンとダイニングの仕切りとして、カウンターを取り付けたいと考えています。
大まかなイメージはあるのですが、ご相談しながら進めたく、どのようなフローで進めれば良いか、教えていただければ助かります。」

というシンプルなメールを頂きました。

ステンレスとナラのダイニング間仕切り収納

ねむそうだね。

私はどちらかというと自分勝手(というと乱暴な言い方ですが)に形を考えることが不得意でして、どちらかと言うと、与えられた条件の中で何ができるかを考えるほうが好きなのです。
やっぱりね、何もない状態からムクムクとあたらしい形を生み出すってものすごく大変なことだと思うのです。
だから家具を考えるためにできるだけいろいろなヒントを頂きたいと思っているのです。
そこで、こうお返事させて頂きました。

ステンレスとナラのダイニング間仕切り収納

シンプルなキッチンが特長的なNさんのこの空間。本当はこの間仕切りができたら、お子さんがキッチンでいたずらしないように、通路の出入り口となる部分に簡易的な扉をつけようかな、とおっしゃっていたのですが、今のところは何もなくてすっきりした印象。子供たちは自分で危ないことを危ないと学んでゆくと思うので、このままの印象でよいかもしれませんね。

「はじめまして、お問い合わせありがとうございます。
間仕切りとなるカウンターのご相談ありがとうございます。
家具の打ち合わせの進め方ですが、可能でしたら、イメージされているカウンターについて簡単なもので構いませんのでスケッチして頂いて、そこにサイズや収納の様子(例えば引き出しにどんなものをしまいたいか、どんな家電を置きたいか、など)を描いて頂いて、それを写真に撮って、(もしくはプリンタでスキャンして)、メールに添付してお送り頂ければ大変助かります。
そのスケッチを元に、こちらで一度図面を作成して、その形で家具を製作した場合にどのくらいの費用が掛かるかを見積もって見まして、そしてその図面と御見積をお送りしたいと思います。
その図面と御見積を元に、イメージに近づくように変更を重ねて、そしてイメージ通りの形になりましたら、設置場所を一度拝見させて頂き、それから製作をスタートする、というような流れになります。
そこで、お手間かも知れませんが、スケッチを描いてお送り頂ければ幸いです。
それが難しい場合は、文章で細かくカウンターの内容についてお書き頂いてお送り頂く形でも大丈夫です。
もしくは、直接私たちのショールームまでいらして頂いて、ここにあるキッチンやそのほかの家具を見ながら打ち合わせすることも可能です。
その場合は、私が空いている日をお伝えしたいと思います。
ご検討下さいますようよろしくお願い致します。」

ステンレスとナラのダイニング間仕切り収納

「ハンドルは妻が使いやすいように少し長いものにして頂けますか。」ということで、いつものシンプルなステンレスのハンドルの長めのものを取り付けました。今回面白いのは、この建具が1枚しか入れていないこと。片側半分は常にオープンなスペースとして使うのです。

最近は、皆さんにこのようにお伝えしてスケッチを描いて頂くことを多いのです。
「でも、絵は苦手で・・。」とおっしゃる方も居りますが、いいんです、どんな絵でも。私に気持ちが伝わればそれでうれしいのです。
立体ではなくて真正面から見た簡単な形でも良いですし、小学校の時に描いた絵のように真正面から見ているのに、電気ポットの奥にあるはずの電子レンジがレンジの上に載っちゃっているように見える絵だって全ていいんです。
中には、その絵にパンや珈琲が入っていたり、お鍋がきちんと重ねられていたり、苦手と言いながらも楽しんで描いてくれている様子が伝わってくる絵もたくさんあります。
それを見ながら、ああ、このひとはこういう感じが好きなのだ、きっとこんな感じの家なのかなあ、なんて思い巡らせながら私も形を考えていきます。
それでも、どうしても描くのは苦手で‥。と言う方ももちろん大丈夫です。
ただその場合は、大まかな情報だけで私のほうで形を考えても見当はずれな形になってしまうといけませんので、具体的にこういう木が好きで、こういう色が好きで、こんなふうに使いたくて、こんなものをしまいたくて、と細かく教えて頂いております。
そうして初めて最初の形を考えることができるのです。

ステンレスとナラのダイニング間仕切り収納

ですので、引戸の溝は1本のみ。またアルミのレールを入れると急にその部分の印象が変わってしまうので、今回は堅木のナラ材ということもあって、そのまま溝を彫りこんでレールの代わりにしています。建具が重くないので、それほどすり減ることはないでしょう。また、常に半分はオープンということもあって、棚板の水平面は掃除しやすいように白い化粧板を使いましたが、見付け(正面)部分は全体の印象を合わせるためにナラ材で仕上げています。

今回のNさんはここからお近くにお住まいということもあって、直接お話しに来て下さることになりました。
「こんにちは、いらっしゃいませ、はじめまして。」
物静かな印象のご主人とおなかが大きな奥様。奥様は小柄なので、よりおなかが大きく見えて大変そう。
お話を聞くともうすぐ下のお子さんが生まれるというこのタイミングで、部屋の模様替えを考えているのだそうです。
その日はいろいろと詳細なお話を聞かせて頂き、こちらで原案を作ってみて頂いた後に、その空間を見せて頂くことになりました。

ステンレスとナラのダイニング間仕切り収納

カウンタートップは使いやすさを考えて、ステンレスヘアライン仕上げの板を貼っています。でも見付は、棚板同様ナラ材で仕上げています。

「お邪魔します。」
海からほど近く茅ヶ崎美術館からもほど近い比較的ゆったりとした通り沿いに建つNさんのお宅。
搬入は少し考えないといけなさそうでしたが、2階のリビングを拝見させて頂くと大きなワンルームのゆったりした空間。
その中にある半間くらいの大きさのクローゼットがキッチンを圧迫しているようで、これを取り払ってしまって、代わりにそこに入っていたものを間仕切り収納にしまいたいのです、ということでした。
収納のボリュームは小さくなるけれど、自分たちの暮らしに箱のクローゼットの収納量よりもキッチンとリビングダイニングを分ける存在のほうが大切で、その分けるものもそこに在って美しい形にしたいのです。
Nさんとお話をしていると、ご主人がお話しながらも奥様が必要なことをうなずき合ってひとつずつ確認していくその様子。
丁寧に暮らしているんだなあと言う印象を、最初に工房に来て頂いた時もNさんのご自宅で打ち合わせした時も感じたのは言葉を一つずつきちんと選んでお話されて、静かだけれどもしっかりとした、そんな印象を受けたのです。

ありがとうございます、よい形になるように頑張ります。

ステンレスとナラのダイニング間仕切り収納

側面をカウンター面まで下げるかどうか悩んで、傾斜をつけることで圧迫感を無くしました。

できあがった家具は、シンプルだけれどNさんらしい形にきちんとなりました。
テーブルと同じナラ材を使い、ステンレスと白い色がきれいに入り混じったきれい形にまとまったのでした。
すっかりクローゼットが取り払われてより広いひと間になったこの場所にとんと置かれたこの間仕切りはこの家のランドマークのような存在になりました。
後日写真を撮らせて頂きにお邪魔した時は、下のお子さんももう小さなお母さんに優しく抱っこされていて、Nさんの道具たちがきちんとその家具にしまわれている様子を見て、言葉を選ぶようによい暮らしかたを選択しながら前に進んでいることが感じられてとてもうれしくなったのでした。

ナラとステンレスの食器棚

価格:395,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は10,000円から、取付施工費は24,000円から)

おとうさん

2017.09.05

「ナラ節アリ材の食器棚とカウンター下収納のオーダー」

茅ヶ崎 W様

design:Wさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:kouhei kobayashi
painting:kouhei kobayashi

節アリナラ材の対面カウンター収納とコの字型食器棚

ご飯を食べているちびっ子たちからはこんな感じでお父さんとお母さんが映るはず。


節アリナラ材の対面カウンター収納とコの字型食器棚

手際のよいお父さん。

「イマイ様
Wと申します。カタログの送付ありがとうございました。
妻と楽しみながら読ませていただきました。
木の温かみを感じられるような家にしたいと考えており御社はイメージにぴったりと感じています。
ぜひ一度ショールームにもお伺いさせていただきます。
今度引っ越す戸建ては茅ヶ崎市の東海岸なのですが、住み始めるのは3月末からの予定です。
もし可能でしたら一度内見して色々とアドバイスいただければ幸いです。
まずはショールームへお伺いできる候補日を、明日明後日で送らせていただきます。」

節アリナラ材の対面カウンター収納とコの字型食器棚

こちらが、ご新居引き渡し当初のキッチンの様子。印象がまるで変わりましたね。

なんというか、とても簡潔できちんとしたメールをお送りくださるのはWさん。
どんなかたかな。

節アリナラ材の対面カウンター収納とコの字型食器棚

食器棚の吊戸棚下のオープン棚の印象。

川崎から茅ヶ崎にご新居を移るということで、そのまだできたてのご新居で打ち合わせすることになりました。
茅ヶ崎の海のすぐ傍の防砂林五指に海岸線が見えるその場所に白い家が建っておりました。そこがWさんの新居です。

節アリナラ材の対面カウンター収納とコの字型食器棚

節のあるナラ材は独特の表情。大きく反りが出るとこわいので、今回は、節アリ材の内部に合板を挟んで作る方法を採用しています。

「はじめまして、こんにちは。」
奥様がお仕事の都合で来られないということで、Wさんとお子さんの3人で新しい家に。
チビッ子はもう楽しそうなのですが、これは打ち合わせができるかなあ‥。
やっぱり、最初の探検が終わっちゃうとおなかが空いてくるようで、お父さんは大変。
子供にとっては大人のお話の時間って退屈しちゃうよね。

節アリナラ材の対面カウンター収納とコの字型食器棚

食器棚のカウンターより下は引き出しと引き戸の収納。引戸の下はレールを使わないスッキリしたタイプのデザインにしています。(写真に写っていなくてすみません・・。)

少しはメールでやり取りしてきていたので、原案となる形はできていたのですが、家具をメインに使う予定の奥様が不在で、ちびっ子がだんだんと賑やかになってくるとだんだんと話を続けるのが難しくなってきて。
あらかじめ食器棚の形はまとまっていたので奥様からの変更の要望のメモを頂いて、あとはダイニングに考えていた収納については「こんなこともできますよ。」と言ういろんなアイデアをお伝えして、ひとつ原案を作ることに。そして、素材の表情についても、Wさんの思いを聞かせて頂き、あとはまたメールでやり取りしましょうということになりました。
もう少し、Wさんのイメージやどんな形が好きなのかをお聞きしたいところでしたが、まずは今日のお話を元に形を考えてみますね。

節アリナラ材の対面カウンター収納とコの字型食器棚

引き出しの様子。私たちの取付作業の間に使い勝手を考えてこれほどきれいに片づけちゃうのですから、素晴らしい。

そうして、できあがった新たな原案をメールでお送りして、再びこちらの方に来られる際に立ち寄って頂けることになりました。
今度はご家族全員でいらしてくださって、いろいろとお話させて頂きます。
節のある素材を使うメリットとデメリットについて、同じくオイル塗装のメリットデメリットについてなどなど。
特に海が目の前という立地は、板がどんな動きをするのか分かりづらいのですが、そういったことも含めても荒々しくて他にはない表情が見たいのです、と言うWさんの思いをくみ取って、今回は節アリ材でまとめた家具を作ることになったのです。

節アリナラ材の対面カウンター収納とコの字型食器棚

引戸の中の様子。掃除しやすいように中は白い化粧板です。

そうして、この家具たちができあがり、最初の予定のゴールデンウィーク前の納品には間に合わなかったのですが、その連休期間中に納品を間に合わせることができたのでした。
納品当日は朝早くからお邪魔させて頂きました。
ご主人はお子さんを幼稚園の送り迎えがあるということでいらっしゃらず、奥様が立ち会ってくださることに。

節アリナラ材の対面カウンター収納とコの字型食器棚

食器棚の一番右はゴミ箱スペース。ゴミ箱の上には棚板を1枚入れているのですが、この棚板、ちょっと工夫があります。そう、奥行が狭い棚板なのです。そうしておけば、ごみ箱をちょっと手前に出すだけで、ごみ箱のフタが開けやすいのです。

食器棚とダイニングの収納の設置作業を並行して進めていたのですが、ダイニングはカウンターを延長する作業もあって、なかなか時間が掛かり、先に食器棚の設置が完了。そのタイミングを見計らって、奥様が「ありがとうございます。それでは、もう食器を入れてしまってもよろしいですか。」ということで、テキパキと引越しの荷物の荷解きを始めました。

節アリナラ材の対面カウンター収納とコの字型食器棚

こちらがダイニングの収納。木で囲われた空間にしたいのです、と言うご主人の強い要望で実現したこの形。真っ白なキッチンがとても表情豊かな形に生まれ変わりました。

しばらくして、ダイニングの作業も終わりに近づいたお昼頃、ご主人がお子さんたちを連れて戻られて、「おぉ。」とうれしそうな表情のあとは、お子さんたちを手洗いに行かせて、上着を脱ぐとすぐにキッチンに立って、お昼ご飯を作りはじめます。
おぉ、お父さんですねぇ。

節アリナラ材の対面カウンター収納とコの字型食器棚

一般的なペニンシュラタイプのキッチンでしたので、対面の収納を作るとどうしても奥行が狭い収納になっちゃう。そこで、カウンターをナラの無垢材で延長することにしたのです。何度か実践しているこのデザイン、好評なのです。

すぐにソースが焦げる良い香りがして、やきそばのできあがり。ちびっ子たちは静かにもぐもぐ食べるのです。
良いですね、すてきな家庭の在りかたですね。
そこで使われる家具がきっとうれしそう。

節アリナラ材の対面カウンター収納とコの字型食器棚

ダイニングの収納部の一番左側はちょっとしたアイデア。通信機器をまとめて置いておくスペースがないということで、機器がむき出しになっていたのです。それならしまえるスペースにしましょうということで、ここを機器収納スペースにしました。すぐに近くに冬用に挽いてあるガス栓があって、普段はここはガス暖房器具が置かれるのです。面白いアイデアとなりました。

取付が終わる頃には、お子さんがご飯を食べ終わる頃には、食器棚はおおかた片付いていて、あとはダイニングのほうの片付けだけになりました。
これで連休は引越しの荷解きに追われずに家族みんなで楽しい日になりそうですね。

節のあるナラ材を使った食器棚

価格:690,000円(制作費・塗装費)

節のあるナラ材を使ったダイニング収納

価格:630,000円(制作費・塗装費)

*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は20,000円から、取付施工費は90,000円から)

お久しぶりだったのですね。

2017.09.05

「ナラ柾目材とステンレスバイブレーションのオーダーキッチン」

葉山 T様

design:evergreenhome/Tさん
planning:daisuke imai
producer:kouhei kobayashi
painting:Tさん

そういえば私たちのキッチンのカタログを見たいというメールを頂いておりました。
茅ヶ崎にあるエバーグリーンホームさんから、「イマイさんにキッチンの製作をお願いしたいと思っているのです。そのお客様は以前イマイさんのキッチンを見たことがあるそうで、それでぜひお願いしたいと。」と言うご連絡を頂いたのです。
以前ここに来て下さったTさんかぁ、・・うーん・・、ちょっと思い出せないなあ・・。ごめんなさい、Tさん・・。

ステンレスバイブレーションとナラ柾目のコの字型キッチン

3階から階段を下りてきて目に入る様子。不思議な箱のような場所。


ステンレスバイブレーションとナラ柾目のコの字型キッチン

ナラの柾目が選ばれたのはとても良かったと思っています。この空気感によく合っているキッチンになりました。でも奥様は物静か、と言うよりは快活にお話されるかたで、キッチンとの対比(?)がまた心地良いのです。


ステンレスバイブレーションとナラ柾目のコの字型キッチン

パントリーから見た様子。そう、冷蔵庫がないから、キッチン全体の印象が優しく映るのでしょうか。キッチンのステンレスが持つシルバーと冷蔵庫が持つシルバーの印象の違いでしょうか。冷蔵庫自身の姿がそう思わせたのでしょうか。ダイニングから見たキッチンと言う空間は静かに見えたのでした。


ステンレスバイブレーションとナラ柾目のコの字型キッチン

コンロの奥の壁だけ、不燃にするためにタイルやキッチンパネルではなく、モルタル仕上げと言う選択もこの空間を独立した印象に見せているのかもしれません。

あの人だっけ、このひとだっけ、と思い巡らせておりましたら、エバーさんが原案となるプランを持って来て下さいました。
「今のところまだ確定ではないのですが、こういうコの字のキッチンを考えているのです。そこで、まずはこの形で製作可能かどうかを検討して頂けますでしょうか。」
うーん、コの字か、コの字と言うと「子供を呼ぶ声」のYさんのキッチンが浮かびます。
あの時もカウンタートップをすべてステンレスにするべきか、木を取り入れるか迷ったのです。
なぜ迷うのかと言うと、ステンレスのカウンター部分は極力つなぎ目を出したくないのです。コの字だと物理的に搬入が無理と言う現場が多いので、どうしてもL型の天板が限界かなって考えてしまうのです。重量もかなりのものになりますし。そこで、Yさんの時は、主に料理作業をする部分はステンレス、軽作業や収納がメインになる部分は木製のカウンター、と言う用途を分けて考えたのでした。
今回のTさんもそうさせて頂こうかな。設置階も2階だし。

クリンスイ浄水器一体水栓F914ZC

水栓は、三菱ケミカルのクリンスイ「F914ZC」です。お水とお湯のほかに浄水用のレバーがついた浄水器一体型水栓です。

さっそくいろいろと検討しておおよそかかる費用をお伝えしまして、そこからは、より細かい部分をエバーさんと検討していきます。
そうしておおよそ方向性がまとまったところで、エバーさんのスタジオである打ち合わせに、と言うか思い出せなかったTさんのお顔を見に行ったのでした。
そうして、いらして下さったのは、おぉ、思い出しました。Tさん。

洗剤ポケットのあるステンレスシンク

シンクの隅に小さな洗剤ポケットを設けました。手前にはS字フックなども掛けられるようなバーをつけています。

奥様の魅力的なおしゃべりとご主人が時々つぶやいてくださる的確なアドバイス。1年前に私たちのところに来て下さった時のことが楽しく思い出されます。たしかあの時はまだご新居の話もまだ先だったと思うのですが、こうしてあらためてお声掛け頂けるのはとてもうれしいことです。クライアントと言うよりは、懐かしい友人に再開したような気分でありました。
さてそこからとTさんと直接お話を進めて、より具体的な内容へと進んでいきます。
当初クォーツで考えていたカウンターはステンレスになり、チェリーがナラの柾目になり、軽やかなキッチンに変わっていったのでした。

ステンレスシンクと有元葉子さんの水切りカゴの様子

「奥行のあるカウンタートップだとちょっとした洗いものを置いておく水切りカゴが奥に置けて良いですよね。」と、キッチンとお話をしているとみなさんによく言われます。「シンクの隣に水切りカゴがあると、調理の動線が途切れてしまうことも考えられるし。」なるほど、皆さん良く考えていらっしゃいます。

「・・・あと、少しでも減額できる要素って何でしょうか、イマイさん。」と奥様。
そうですね・・、塗装ですかね。

ステンレスバイブレーションとナラ柾目のコの字型キッチン

シンクの手前にはいつものように長いハンドルをつけてタオルハンガーにしています。いつものように下寄りにつけているのは、タオルが木に触れにくいように。

使い勝手と好みのテイストを探しながらも、どこかで抑えたい部分も考えながらその形に向かっていくのです。
フリーハンドイマイの家具がイマイさんらしいねって言われるのは、その柔軟性があるからなのかなって時々思います。
今まで作ってきた形を見返してみても、どこかに似たモチーフが使われている家具たちがあったとしてもやっぱり同じ形ではなくて。それが柔軟性につながっているのかな。だからみんなが声を掛けやすいのかな。
そういう立ち位置で皆さんに声を掛けてもらえることはとてもうれしいよね。
作る人と使う人の境界線が無くなって、時には、教わる人と教える人に入れ替わっちゃったりする。そうして、お互いがお互いを支え合って、家具を一緒に作っていく。そういう体験を通して物事ができあがっていく。
できあがる過程から、そして、その将来までがみんなひとつながりになっている。そういう様子を全部好きになってくれる皆さんがいる。
おもしろい仕事だなあとつくづく思います。
今もそうだけれど、昔からずっと考えてきました。
あと何年後の自分はどんな自分になっているのだろう。今のように家具を作っていられるのかなって。でも、やっぱりどうにかきちんと家具を作っていられる現在がある。
それはきっとその時の自分がそうしていたから、今の自分があるのでしょう。
自分が自分にきちんと問いかけていられる間は自分は自分の道を進むことができるんじゃないかな。
「人生は選択の連続です。」って何かで聞きました。
「選択」ってなんだか大げさだなあ。自分は自分で思った通りに進んでいるんじゃないかなって若い時は何も考えずにそう思っておりました。
何も考えていないようで、自分は自分で選んでいるんです。

「今日は右の道から進んだからあの温かい猫に会えた。」
「傘を忘れちゃったから気持ちの良いスコールを浴びることができたけれど風邪ひいちゃった。」
「街灯のないトンネルを歩いていたおかげで、陽射しがいつもよりまぶしく見えた。」

あの時あっちへ向かっていれば、って思う時もあるけれど、いまここにいるのは今までそうしてきたからなんです。
自分に問いかけて、自分はきっと持っている答えを見つけることができれば、いつでもフリーハンドイマイの家具になるのだなあ。

ステンレスバイブレーションとナラ柾目のコの字型キッチン

ガスコンロとレンジフードの位置関係。

そんなことを考えつつ、Tさんとキャッチボールを繰り返しながら、ひとつのキッチンができあがりました。

ステンレスバイブレーションとナラ柾目のコの字型キッチン

今回のキッチンの特長である天板の厚み。ステンレスを16ミリに見せてキャビネットから15ミリ浮いているような印象にしたかったので、ナラのカウンターもそれに合わせた印象に揃えているのです。良い印象ですね。

Tさんの新居が建つ場所は、葉山の海から少し上がった丘の麓。だから、海が見えます。風が気持ちよく通りぬける場所です。そういう場所にするためにリビングが2階にできています。
いつものように階段は回り込んだ形なので、やっぱり心配なのは荷揚げです。

ステンレスバイブレーションとナラ柾目のコの字型キッチン

ステンレスの天板とナラの天板の切り替え部分はこのような感じ。

コの字をステンレスで作るのはやっぱり搬入が困難で、今回のL型でも手摺がついていない状態で搬入させてもらえたからこそどうにかうまくいきました。
壁の一部がモルタル仕上げということで、取付は少し難しい部分がありましたが、一度工房で組みあがているので、その壁面の関わりをクリアしてしまえばあとはスムーズに完了。

ステンレスバイブレーションとナラ柾目のコの字型キッチン

L型のキッチン、コの字型のキッチンにする時にいつも悩ましい角の部分の収納方法。システムキッチンによくみられる回転式の収納棚を使いたいと言う人は意外と少なくて、アイランドやペニンシュラになっている場合は反対面から使う形にしたり、今回のように反対面が壁で塞がれてしまう場合は、オープンにされる方が多いのです。

取付が終わったことで、次は塗装です。
キッチンの取付が終わって、そのほかの内装工事がほぼ終わって、業者さんが入らない日曜日にいよいよ塗るのです、と思っていたら、その日は施主検査の日。
そのお施主さん本人がお友達を連れて、朝早くから家具を塗っているというのはとてもうれしい光景です。

その時の様子。
2016年10月22日「さあ、塗装だ!

ステンレスバイブレーションとナラ柾目のコの字型キッチン

そして、そのオープン棚の手前に無印良品のPPケースにキャスターをつけてワゴンにすることで、使いやすい収納としています。そして、ガスコンロの下はワイヤーシェルフ。風通しは良いし、汚れたら簡単に取り外してそのまま洗えるので、使いやすいのです。

まずは扉や引き出しの外し方をお伝えします。外すのは一緒に行なっても、再び取り付けるのはTさんのお仕事になりますので。最近の金物はとても良くできておりますので、ワンアクションで取り付け、取り外しができるようになっています。取り外したのに、取り付けたら、扉が傾いちゃったということもないし、レールが軋んじゃうこともありません。
こういう見えにくい部分がどんどん進んでいて、作る私たちも大変助かります。

堀商店さんの真鍮磨き仕上げハンドル

今回ハンドルは、堀商店さんの真鍮磨き仕上げのハンドルを使っています。磨いただけの仕上げなので、取り付けた当初はピカピカなのですが、使っているとすぐにくすんでくる。それがまた良い表情なのです。毎日見ている人にしか分からないうれしさはこういうところなのでしょうか。

ちょっとしたコツを覚えて取外し、取付ができるようになりましたら、扉や引き出しを並べます。
その前に、塗料が垂れちゃうので、床にビニルを敷いて。
並べ終わったら、刷毛でオイルとペンキとを塗っていきます。最初はラフに塗って、あとから延ばすようにして余分なオイルやペンキを取り除くと、きれいに均一に仕上がるのです。

ステンレスバイブレーションとナラ柾目のコの字型キッチン

引き出しの様子、その1。白い化粧板を使った引き出し。

よくいろんな現場で、オイル仕上げはザラザラするのが‥、って言われたり、実際にそういう仕上がりを目にしてきましたが、きちんと研磨して塗布することで、心地良くツルっとした手ざわりと落ち着いたツヤに仕上がるのですが、その施工方法がまだまだ塗装屋さんにも知られていないことも多いようなのです。
そのあたりのノウハウもTさんにお伝えして、作業に慣れてきたところ(「楽しい!」っておっしゃってくださいました。)で、施主検査も始まるということで私は戻らせて頂きました。
「頑張ってください!」

ステンレスバイブレーションとナラ柾目のコの字型キッチン

引き出しの様子、その2。あらかじめ測っておいたサイズのボトルが入るような深型の引き出し。

その後、無事に塗装も検査も終わりお引き渡しとお引越しまでがスムーズに終わって、ひと段落しましたところで、Tさんからご連絡を頂きました。

スライドワイヤーシェルフ

スライドワイヤーシェルフの様子。

「イマイさん、お世話になっております。
無事引っ越しましてキッチンも快適に使わせて頂いております。塗装もお陰様できれいに仕上げることができました。
是非見て頂きたいのでお待ちしております。イマイさんのご都合でご連絡頂ければと思います。
宜しくお願い致します。」

ステンレスバイブレーションとナラ柾目のコの字型キッチン

吊戸棚は、Tさんと話すうちに生まれたおもしろいアイデアで、戸棚部分はあまり圧迫感が出ないようにということで、壁と同じ白く塗装することに。こちらもTさんがペンキを塗ってコロコロ仕上げています。


toolboxさんのハンガーバーと吊戸棚

棚板が壁から飛び出ている印象にするところから始まったこの形ですので、棚板だけはキッチンと素材を合わせて、ナラ材で作っています。棚の下にはTOOLBOXさんの真鍮のハンガーバーをつけています。

さっそくその楽しみにしていたTさんのキッチンを見にお邪魔してきました。
「こんにちは、おひさしぶりです。」
ほっそりしていた奥様のおなかがまんまるくなっていて、今度赤ちゃんが生まれるのだということです。
いやぁ、素敵だ、素敵だ。すてきなことばっかりだ。
拝見させて頂いたキッチンも、Tさんがとても楽しんでこの場所を使ってくださっていることがよく分かりました。
「そうか、オーブンの部分はこう使うのか。」
「引き出しは、こういうふうに物を分けているのですね。」
「ここに時計が来るとは、おもしろい。」
ワクワクしながらTさんらしさを拝見させて頂きました。

ステンレスバイブレーションとナラ柾目のコの字型キッチン

奥様の身長に合わせた吊戸棚の高さ。


ステンレスバイブレーションとナラ柾目のコの字型キッチン

家電の親子。

家族が増えると、もっともっとこの場所に建つのが楽しくなるはず。
またその頃、お声掛け頂けたらうれしいです。
Tさん、ありがとうございました。

キッチン仕上
天板 ステンレスバイブレーション
扉・前板 ナラ柾目突板練り付け
本体外側 ナラ柾目突板練り付け
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 オイル塗装仕上げ

ナラ柾目材とステンレスバイブレーションのオーダーキッチン

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。