2018.01.30
ようやく床のタイルが入荷して施工が完了したという連絡を頂いて、Tさんのキッチンを設置するために雪がまだそこかしこに残る目白まで出掛けてまいりました。11月ごろには設置できる予定で進めたおりましたので、工房で年を越したキッチン。ようやくホームに辿り着きましたね。
コーポラティブハウスという小世帯の集合住宅ですがゼネコンさんがきちんと監理して動く現場ですので、朝礼に出席しなければならないので、(戸建ての現場ですと、監督さんに事前に連絡を取っておいて朝礼に出ないで作業に入らせて頂くことが多いのです。)8時に目白に到着しなければいけない。
そうなると、うんうんと逆算すると、ちょうど朝の混雑に捕まってしまう、ということで、4時30分に起きて渋滞が始まる前に出掛けることに。現場前の通行制限の関係で搬入時間は朝礼よりも遅くなるということで、みんなにはあとから現場に来てもらうことに。
まだ暗いうちに走り始めたものですからだいぶ早く現地の近くに着いてしまいまして、それでも遅刻するよりは良いかなということで、8時にはきちんと現場に入ることができて、9時過ぎにみんなのトラックが到着して、大きなコーリアンの天板もどうにか搬入できて、本日の作業は無事に完了。
次回、水栓とレンジフードが届くころに再び作業に入らせて頂きます。
よろしくお願い致します。
2018.01.26
昨年、食器棚とリビングボードを作らせて頂いたSさんのところにお伺いしてきました。もうすぐで1年です。チェリーという木は、みるみるやけていく独特の樹です。あの頃淡い桃色掛かった色をしていたのですが、もう深みのある赤褐色になり始めておりました。
ちょっと天板のメンテナンスに伺ったのですが、汚れた部分を磨いてみると若い淡い色がまた現れてきました。そこに再びオイルを塗ると周りの色よりもほんのりと明るい部分ができるのですが、その部分も間を置かずしてすぐに赤褐色になってくる。木はおもしろい。
おもしろい反面その癖が読めません。いつまでも動き続けて私たちを悩ませるのですが、それが木だということ、と自分に言い聞かせて頑張るのです。
いっしょうけんめい木の癖の謎を解こうと試みるのですが、やはり難しい。でも動かなくなったらそれは木じゃない何かになってしまったってことだろうし、悩みながら良い形作りを今日も心掛けていくのです。
Sさんからのおいしいお昼をごちそうになりながらいろいろお話を聞かせてくださいました。
「イマイさんの書かれている家具作りの過程やその皆さんとのやり取りがあるから、私もお願いしたいって気持ちになるのです。頑張ってくださいね。」
頑張ります。
帰りに、来週設置工事に入るTさんの現場に立ち寄らせて頂いて、無事に設置できるかどうかを確認。
コーポラティブハウスという形態の現場でいろんな職人さんが出入りしていて、要領よく進めないとね。
2018.01.25
今回は、町の中学生男子2人が来てくれました。
作業の体験に入る前に、私達がどういう流れでお仕事をしているのかを説明しているのですが、「この仕事をしていて、1番うれしいとかよかったなと思う時はどういう時ですか?」という質問を、定番なのか、毎回必ず受けます。
その時には、「お客さんに喜んでもらえた時。」と伝えているのですが、それと同時にイマイダイスケが伝えていることがあります。
「将来みんながどんな仕事に就くのかわからないけど、たぶんみんな『自分の好きなことだから』という理由でその仕事を選んで始めると思う。でもどんなに好きな仕事でも、続けていくと、必ず、大変なこと、辛いことが出てくると思う。その時に、お客さんから感謝されたり、自分の周りの人に褒めてもらえたりすると、『この仕事をしていて、続けていて、よかった。』と励みになってまた頑張れるようになると思うよ。」と。
たぶん今言われてもピンとこないことだと思うけど、大事なことです。
午後の作業が終わり、「腰が痛いです。」「手が疲れました。」「でも、楽しかったです。」と言って、照れくさそうに挨拶をして帰っていきました。
未来を担う若者には、前を向いていってほしいなと思うのです。
2018.01.23
窓から桜が良く見えるその場所にキッチンを作らせて頂いたSさんの記事と、
私の好きなオーディオの形を取り入れさせて頂いたSさんのテレビボードと、
ナラとステンレスを使った作った食器棚で使いやすい空間を手に入れたSさんの3件の記事を掲載致しました。
おなじSさんでも皆さん多様なかたちが生まれました。
そこに家具作りの興味深さがあります。
よろしかったらご覧になってください。
2018.01.23
「オークとホワイト塗装仕上げのテレビボードのオーダー」
五反田 S様
design:daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:kouhei kobayashi
painting:haraki tosou
全体像1。
全体像2。
はじめはテレビボードを作るつもりではなかったのです。
Sさんから最初にメールを頂いたときは、「リビングの家具を作りたいのです。」という大まかなご相談だったのでした。とりあえずお伺いして打ち合わせることにしまして、どのようなかたちをイメージされているのかをお伺いすることにしました。
場所は五反田。品川や芝浦は時々来たことがありますが、五反田は初めて。駅を降りて昼間は静かな飲み屋さんがある通りを過ぎたところに建つマンションがSさんのお住まい。背が高いマンション。長いカウンターのある家具になったら搬入がちょっと心配。
今までもタワーマンションにお住まいのお客様のお宅に伺うことがありましたが、防災センターがあるマンションなどもあったりして、高層マンションの搬入はなかなか苦手だったりするのです。
こちらのマンションもオートロックを2つ通り抜けてようやくエレベーターに乗り込んで、忘れないように手順を覚えて、搬入のエレベーターはこれでよいのかな、など一人ブツブツと階上へと向かいます。
小口のアールの印象。陽射しが当たると柔らかい丸みが良く分かります。扉の手掛けはこのように丈夫に掘りこみを入れていて、ここに手を掛けて開けられるようにしています。パッと見た感じだとどこが扉か引き出しが分からないシンプルさです。(一番左の格子扉とその右2枚が扉になっていて、一番右とその左は引き出しです。)
「こんにちは、Sさん。」
リビングに上がらせて頂き、早速お話を伺います。
以前にお住まいだった場所から、最近こちらに移られてきたのだそうで、その以前の住まいはFILEさんがリノベーションしたのだそうで、写真を見せてもらいましたらとてもシンプルでFILEさんらしいテイストのお部屋でした。
前回の家具の経験を生かして、今回はここをうまく使いたくて細かく相談に乗ってもらえたらと思いまして。」ということでいろいろとお話を伺っていくのでした。
でも、お話を進めていくうちにどうやらSさんが最初に必要としているのは、リビングに大きな家具を作りつけることではなさそうだ、ということが分かってきたのでした。
お話しないと分からないことはあるのです。
リビングの一角にある白いピアノ。そのピアノをうまく取り込んで収納を作ろうと当初計画したのですが、そう作りこんでしまうと、先々身動きが取れなくなるかもしれないし・・。
補強の脚は、正面を丸く面取りして柔らかい印象を出しました。
「せっかく作った家具だから、家具に合わせて部屋の動線を決めよう。」となってしまうのは、どちらかというと私たちの望むことではなく、Sさんもそういうふうに窮屈になるのはどうかなという思いが出てきて。
そこで今必ず必要なものは何かをあらためて話を始めると、ピアノのあるべき位置が決まってきて、リビングから隣の部屋の活用方法までお話が広がっていくのでした。
そうして、リビングには印象よくテレビボードを置きましょう、というお話になり、普段人目に付きにくい隣の部屋の壁をうまく生かして収納にしましょう、というお話になったのでした。
さて、そのテレビボードの形はどうしようかな。打ち合わせの中で参考にしたのは、鎌倉のOさんのテレビボード。収納部をぐるりとナラ材が囲む印象がとても上品な形でした。あの形をうまくこの場所に取り入れたい、と思ったのです。
Sさんのお部屋のイメージはもう少しシンプルにまとまっていましたので、ピアノやそのほかの家具の色で使われている白い色を使いたい、というお話になりました。
その時にふと頭に浮かんだのが、NYのSymbol Audioさんが作っている「TABLETOP HIFI」でした。
以前にこのオーディオの形を見ていて(美しいなあ、いつかどこかで家具に生かしてみたいなあ。)と思っていたのです。
それで、Sさんにその写真をお見せしてお話させて頂くとSさんも気に入ってくださり、これで形の方向性は決まりました。
一番右とその左は引き出しになっているのですが、ここもシンプルに見せるために上段の引き出しが隠れているようなデザインしています。
さて細かい部分を考えていきましょう。
当初のイメージが大きなテレビボードでしたので、なるべく印象をすっきり見せたいと思っておりました。
そこで、この幅の家具ならAV機器がしまえるサイズを考えて全体を5等分にすることにして、白い正面はゴチャゴチャならないように存在感はなるべくなくして、ナラの印象がはっきり見せたいと思っておりました。
またポイントとして扉や引き出しの開閉には、ナラの無垢材を手掛けに使う形にしましょう、ということになりました。
こちらの机のような印象です。
「子ども部屋が完成」
すてきな形になりそうです。
ナラの板の角の様子。丸みを帯びた小口が留で収まっている印象はすてきです。
と、思っていたのですが、よく考えてみると過去にこの取っ手で1回失敗したことがありました。
この取っ手を扉につけると、取っ手が側板に当たって扉が全開しないのです。それで、取っ手の端を斜めにカットしたデザインにしたことがありました。
「シマシマとコウシ」
でも、今回はその取っ手がずらっと横並びになるので、それぞれの端がカットされてしまうとどうだろう、と思い悩むことに。
できれば一直線で取っ手が続いている印象にしたいな、と思いまして、それなら左右に開く扉ではなく、下に向かって開く扉ならぶつからないし、どうだろう、いいねいいねと一人思っていたのです。
それでさっそくSさんにそのようにお伝えすると、
「お見積りや図面ありがとうございます。とてもきれいな資料ですね。
もう少しよく拝見したいと思いますが、リビングのキャビネットの扉が下に開く形、別にいいとは思ったのですが、あまり下に開く扉というのを使ったことがないので使い勝手の面でどうなのかなと思うようになりました。
やはり開いた扉の奥行きの分棚に体を近づけることができない?というように想像されるのですが、そうなると、奥のものに手が届きづらいのではないかとか・・。」
なるほど、おっしゃる通りでございます。
確かに高さ40センチ近い扉が手前に開いてくると、テレビボードから体を40センチ離さないといけなくなりますね。
そうなると、操作したりソフトを出し入れするのに、ちょっと手が遠くなりますものね。
では、どうしましょうか、とSさんとあれこれ悩みまして、最終的には扉は普通日左右に開く扉にして、手を掛ける部分はシンプルに上端部分を掘りこんだ手掛けにしてそこも白く塗り包んでしまおう、ということになりました。
Sさんらしい潔い形です。
Sさんとお話をしているととても簡潔で要領をまとめてお話をされる女性で、むしろ男らしく感じるところがあるくらい考えをスパッと切りまとめて話してくださる方なので、この提案を聞いてなるほど、と思ったのでした。
テレビを置くと分からない部分ですが、コンセントカバーも製作しました。
こうしてまとまったテレビボード。続いてリビングにあるものをうまく隣の部屋にまとめて大きな壁面収納にして整理しやすいように、と考えていた家具は、まずはテレビボードが入って、ピアノを動かして、しまえる物を作りつけの物入に整理してからあらためて考えましょう、ということになり、今回はこのテレビボードに専念して製作することになりました。
製作を担当するのは、鎌倉のOさんのテレビボードを担当したコバヤシ君。留の納め方や小口の曲面の仕上げ方などコツを使ってもらっているので、ここは彼が頼もしいわけです。
また、現場に搬入しやすいように、ナラの板と白いキャビネットは分割できるようにして、キャビネット本体は塗装で仕上げると大幅にコストが上がってしまうので、化粧板そのままで仕上げて、扉のみ塗装で仕上げることにしたのでした。
通常、塗装して仕上げる場合は下塗りが良く定着するように木地で作ると思うのですが、塗装屋さんに聞いてみると、化粧板を使ったほうがあらかじめ工場で塗装されたものなので、下地が均一になっているからきれいに仕上げやすいのだということで、キャビネットに使っている化粧板で扉を作りその表面を一度荒らしてから仕上げ塗りをしてもらうことが多いのです。
格子扉はさすがに化粧板での製作は難しいので、シナの無垢を使って製作しています。
こうして、無事にテレビボードは完成しました。
廊下からリビングに入っていると目に入る印象。かなり大きなテレビボードですが、実際の視線でこうしてみると、それほど重たい印象はありません。色のおかげもあって軽く見えるのが良いところです。
Sさんにも事前に管理事務所さんに届けておいてもらったので、搬入もスムーズに終わらせることができて、ちょっと心配だった玄関からリビングへ抜ける矩折れの廊下の通り抜けもほかの部屋に一度逃げたりしながらどうにかリビングまで運び入れることができ、壁への固定もスムーズに完了。
Sさんのしっかりとした表情がにこやかに緩んだのを見てほっとひと安心したのでした。
ナラとホワイトウレタン塗装のテレビボード
価格:580,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は20,000円から)
2018.01.23
「ナラ板目とステンレスの食器棚のオーダー」
都筑 S様
design:Sさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:kouhei kobayashi
painting:kouhei kobayashi
ダイニングから見た全体の印象。
Sさんからご相談のメールを頂きました。
「建売戸建てを購入しまして、アイランドキッチンはすでにあるのですがその背面や横の壁への収納(カップボードや棚)をつけたいと思っております。
圧迫感は出したくないと思っておりますが、それなりの収納力は必要と思っておりまして、悩んでおりご相談をしたいと思っております。
できれば、こちらの自宅で実際の状況を見ながら相談できればと思います。
イメージについても妻と相談の上、お伝えするようにいたします。」
メールと一緒に現在の様子の写真と、家具の配置イメージの図を送ってきてくださいました。
こちらが最初に送ってくださった写真と図。オレンジ色のラインの部分に家具を作ることを検討されていたのですが、冷蔵庫の開け閉めの分家具を逃げて設置するとしても、少しばらついた収納になってしまうかどうかが図と写真からだとなかなか判断が難しく、お話しながら考えたほうが分かりやすいかなということからスタートしたのです。
図を見ると、冷蔵庫を閉じ込めてしまうような印象。あくまでもイメージなのだと思うのですが、うーん、どういうふうな家具の形にまとめてゆけばよいだろうか・・。
メールでのやり取りだとお話が伝えにくいことと、ちょうど近くでお仕事をしていることもあって、まずはお伺いしてお話を聞いてみようということに。
冷蔵庫柄から見た印象。吊戸棚と食器棚の右のラインを揃えたことで、目に見えない仕切りのような感じでリビングとキッチンがうまく分かれました。
静かな住宅街では「フリーハンドイマイです。」というインターホンの声も大きく聞こえます。
玄関ドアがそっと相手出てきてくださったご主人がSさん。
「イマイさんですか、初めまして。ようこそいらしてくださいました。」というその声がまるで歌舞伎役者のように低くのびやかに響きます。
「どうぞ、どうぞ。」
そう案内されて、玄関から折れてリビングに足を踏み入れると、リビングの向こうにキッチンとダイニングがある大きなひと部屋になっている、という印象です。
なるほど、こういう間取りなのですね。
小さな吊戸棚。当初は窓枠に上端を合わせて取り付けましょう、というお話をしていたのですが実際に壁にあててみるとちょっと使うには低かったので、高さを上げて取り付けました。
おそらくキッチン周りというと奥様のご要望が多いと思いますが奥様はお子さんのお世話をしてまだ2階にいるようでしたので、さっそく寸法を測らせて頂いて、大まかなお話をお聞きしていきます。
一番知りたかったのは、家具のレイアウトのこと。
たしかに食器棚がない分まだ物が少し散らばっておりますが、この間取りを見る限りは冷蔵庫を閉じ込めた形にしなくてもうまく収納のレイアウトはできそうな印象です。
扉を開けるとこのような感じです。全開時には90度で止まり、閉める時には、ゆっくり自然と閉まるソフトダウンステーをつけています。
そうしていろいろとお話を聞いてみると、冷蔵庫が大きくてこの冷蔵庫のレイアウトだと、開ける向きが限られてしまいそう、ということでした。
たしかにもともと冷蔵庫は部屋のこの角に置くのではなく、シンクの真向かいになる位置に置かれる予定でコンセントがついているのでした。
ただ、実際に暮らしてみるとリビングから冷蔵庫が丸見えになるのもどうかと思って部屋の角に置くことにしたのですが、冷蔵庫のサイズが大きいからその向きをリビング側に正面を向けた形にするしかないかなってずっと思っていたのだそうです。
ステンレスはヘアライン仕上げで、厚みを50mmに見せるように仕上げています。
「うーん、でももしかしたらこのスペースなら冷蔵庫の向きを変えておけるかもしれませんよ。」
実際に測ってみるとどうにかだいじょうぶそうです。
「おぉ、本当ですか。」
と言いながら不意に冷蔵庫を動かし始めるご主人。その頃には奥様の階上から降りてきてくださって、どのようになるかみんなでワクワクしながら考え始めております。
スルスルスル。
ほぅ、今の冷蔵庫って4つのキャスターがついているのですね、片手で軽く動いちゃうくらい。知りませんでした・・。
そうして、向きを変えてダイニング側に正面を向けて引き出しを開けてみると、おぉ、開きます。しかも開けても通路を通ることはどうにかできそう。
「このアイランドキッチンは魅力的だったのですが、ぐるりと回りこめる分レイアウトがなかなか難しくて・・。冷蔵庫がこう置けるなんて考えもしませんでした。」とお二人ともうれしそう。
ゴミ箱はEKOのフタが両開きで横開きのタイプのものを使っています。
冷蔵庫の向きが決まってしまえば、あとの収納はよりシンプルな動線で考えられます。
食器と道理道具、家電が今はわかりやすく散らばった状態なので、どこをどうしまいたいかをお二人に考えて頂いて、さらにリビングから見た時にすっきり見えるようにするにはどんな印象が良いかをあれこれお話していきました。
おおよそ形がまとまったところで、「もし、良かったら一度私たちの工房まで家具を見にいらっしゃいませんか。そのほうが実際どんな素材でどんな形を作っているのかが分かって頂きやすいですので。」とお伝えして、家具を急いで必要としているわけではないので、ぜひ一度伺います、ということに。
そうして、工房の上のショールームを見て頂いて、素材や木目の印象、そのほかの素材をいろいろと見てもらいました。
木目は最初の希望通りにナラの板目材の表情が気に入っているということで、その印象で作ることにして、天板を今回はステンレスにしたのです。
「ステンレスはどのくらいの厚みに見せますか。」
もともと1.2mmの厚みのステンレスを使って、厚みを作っていくのですが、そのままの厚みで見せたいというお話やオーソドックスに25mm前後で仕上げるお話は多かったのですが、今回のSさんは「厚く見せたい。」というご主人のご要望で50mmの厚みで仕上げることにしたのです。
今までになかった厚みですがその存在感がとてもよく出ています。
引き出しの様子、その1。
引き出しの様子、その2。
引き出しの様子、その3。
引き出しの様子、その4。
引き出しの様子、その5。
こうしてできあがった形を無事に設置してみますと、印象としてはひとつながりになっているこの部屋ですが、この家具がついたことでリビングとキッチンの役割や空間がきちんと分かれることができたと思います。
「本日の取付作業、ありがとうございました。
取付はもちろんのこと、家具自体のデザイン・質感・製作精度が他の家具と比較して群を抜いており、急にキッチン・リビングが華やかになり、奥さんとともに感動しております。
インターネットがなければ、フリーハンドイマイさんのことも知ることがなかったですので、今の時代と素敵なホームページに感謝してます。
オイル塗装について本日説明いただいておりましたが、メールでさらに理解深まりました。定期的にワトコオイルを塗ってみようと思います。
これからもどうぞよろしくお願い致します。」
ご主人の声がいまにも響いてきそうなうれしいメールを頂きました。
今回の家具を作らせて頂いたことで空間にメリハリが出ましたね。
続いて私が個人的に気になっているのがダイニングに置かれた細かいものを置いている棚なのですが、これをうまく片付けられたら良いなと思っているのはまだSさんにはお伝えしておりません。(笑)
いつかお声が掛かるのをお待ちしております。
ありがとうございました。
ナラとステンレスの食器棚
価格:750,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は15,000円から、取付施工費は50,000円から)
2018.01.23
今日は、整理収納アドバイザーの野中幸子さんによる「ママとこどものお片付け」講座の日でした。
昨日の大雪の為に、キャンセルの方もいらしたり、幼稚園が休園になったり、と色々と変わる部分がありましたが、無事に開催することができました。皆様足元の悪い中ご参加いただきありがとうございました。でも、来たかいがある内容でしたよね。一緒に受講させていただいた私も大変勉強になりました。
「なぜ片付けができないか?→やり方を習っていないから。」
「なぜ物が散らかるのか?→収納と人があっていないから。」とある意味衝撃的な事実を確認するお話から始まり(笑)、「物と場所をつなげて収納を考えてしまいますが、それは間違いで、人と物をつなげて収納場所を考えていくのが正解です。」と「整理とは、収納とは」の興味深いお話の連続でした。また、こどもの意思を尊重しながら、パーソナリティに合わせて一緒にお片付けを取り入れていく方法も教えていただき、積み木を使って、整理をすることを親子で体験するワークタイムもあり、面白かったです。
「キッチンの収納を整理しようとすると畳2畳分位のものは出てきてしまうので、ある程度の時間は必要ですよ。」と先生が言われていましたが、普段キッチンや収納をご依頼いただくお客様も色々悩みぬかれてあの形が出来上がっていくのだろうなと思いました。
今日学んだことを活かしていけるように私も楽しんでお片付けしていこうと思います!
野中先生、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
2018.01.22
今朝は、与野のUさんのお引渡しがあってそのあとにオイル塗装をご自身で行なう、ということで、その塗装方法のご説明をしてきたのです。Uさんは建築士さんなので、いつもは家を作る立場、考える立場。その人がにこやかにこうおっしゃってくださいました。
「自分が頼む立場になるなんてね、こうして自分が思い描いていたものができあがるってうれしくて、そしてとても楽しいものです。」
うんうん、分かります。
きれいだなあ、うん、きれいだなあ、ととてもうれしそうにしてくださる姿を見て、私の雪で冷えた体も温まりました。
そうしてさっそく塗り方とコツと引き出しや扉の外し方をお伝えします。
それでですね、ここはこうしてああしてと軽く素地調整をしてオイルを塗る、という方法をお伝えしているうちに先ほどの気持ち以上に私の体はもっと温まるのでした。
オスモは粘度が高いのです。
では、頑張ってくださいね、とお声掛けして、次回お引っ越し後にあらためて伺える時をの楽しみにして帰ってきたとたんに、工房が停電だ!
うちが何かしてしまったのか‥、と思ったらこの一帯が停電だそうです。
雪の降りかたも強くなってきたし、今日は早めにみんな仕事を切り上げて自分も復旧したら安全だけ確認して帰ろう、と待っていたらあたりはもうぼんやりうす暗くなってきて。
電気がないとこれほど静かで時間が柔らかかったんだなあってあらためて感じるのです。
暗がりでできる仕事も限りがあって、あとは雪明りでぼんやりと本を読んでいたら、いつの間にか体が冷えていてアイもまん丸くなっていて、全く暗くなってしまって、気持ちもどこかさみしくなってしまって、困ったねって言っていたら、パチッと戻ってくれました。
電車動いているかな。
今日はこれで帰ります。
2018.01.21
「イマイさん、ちょうどよかった!まだみなさん見えていないので、撮影するなら今がチャンスです。」大磯のKさんのご新居にはお昼過ぎくらいに到着したのですが、まだみなさんで集まっての新年会は準備の途中でしたので、ささっとお邪魔させて頂きました。
「すみません、会の準備の最中に。」
「いいんです、いいんです。」
すみません、と言いながらも奥様にキッチンのここはどうでしょう、あそこはどうでしょうといろいろとお時間を頂いてしまいました。
皆さんの感想あっての私たちのキッチンですので、いろいろとお話を聞かせて頂くのはとても良い勉強です。
そして、使い始めたというキッチンは、毎日水拭きするカウンター部分がうっすらざらつきが出て、さらに濡れたものを置いたときにできるうすい白い跡が残っていました。
ちょうど分かりやすい、ということでお手入れ用の蜜蝋(FORESTさんの蜜蝋を普段使わせて頂いております。)を使って、滑らかな表情にお手入れする方法をお伝えしてきました。
ちょっと小話。
普段私たちの塗装はオイルで行なっております。オイルのほうが液体なので、木の内部によく含侵するからです。主にワトコオイル、オスモカラーを使用していますが、リクエストがあればどこのメーカーのオイルでも対応しております。ワトコは水のようにさらっとしていて塗りやすいのですが、オスモはワックス成分を含んでいるからか粘度が高いです。(塗っていると疲れちゃうくらい。)今回は、ワトコの「ダークウォールナット」という色で塗装しています。
そして、お手入れの時はそれほどがりがりと磨かなければ着色が取れることはないので、また、もうあまり内部に含侵させる必要がないので、蜜蝋でのお手入れでご説明しているのです。
400番のやすりでさらさらと擦るとあっという間に白い磨き粉が出てツルっとした手触りになります。そこに蜜蝋をエィッエィッとしっかり擦り込んでから、それから乾拭きすると仕上がりです。
部分的に試して説明しましたが、お手入れしたところとしていないところでは手触りとつやが大きく違います。
「えー、こんなに違うんだ。ぜひやってみよう!」と奥様。
お手入れって聞くと、大変そうなイメージでそれを文章で伝えるともっと堅苦しくなっちゃうけれど、こうして実践すると大変じゃないことがみなさんによく分かってもらえます。
となったところで、玄関のチャイムが鳴りました。
久しぶりにお会いする葉山のNさんとご友人ご夫婦がいらっしゃいました。
Nさんが私たちをKさんに紹介してくれて生まれたこのご縁。
それでよくよくお話を聞くと、Nさんの家を建てた時の工務店さんを紹介したのが、お隣にいらっしゃるご友人夫婦(お名前聞き忘れてしまいました、すみません。)そして、NさんがKさんにお伝えして。その工務店さん、福友さんは私の知り合いの家具屋さんに今回Kさんの建具を頼んでいたりして。
いろんなところでみんなつながっているのですね。
と、いろいろなお話をお聞きしたところで、「おじゃましました!またいつでも声を掛けてください。」
新年会のお邪魔になってしまう前に温かな気持ちだけ頂いて帰ってまいりました。
2018.01.21
昨年、クリスマスの前日にこの本棚を設置した藤沢のFさんのところにご挨拶に伺ってきました。
クレミルにもいらしてくださって、その時に購入したうさぎパンさんがとてもおいしくてまた行きたいのですっておっしゃってくださった奥様の愛読書はサザエさん。アナゴさんは漫画に出ていないのだそうで、それにびっくり。とても丁寧に暮らしている様子が伝わってくるこの本棚。
「今日はイマイさんが来てくださるってことでこれでも少し片づけたんです。もう少し片付けておけばよかったかな。」と照れ笑いのご主人。
でも、皆さんがどんなふうに使っているか毎日の様子が私自身見ていたいし、私たちのウェブサイトを見てくださる皆さんもきっとそういう様子を見たいはず。
良かったらいろいろ見せてください。ということで席に着く間もなくパシャパシャと写真を撮らせて頂きました。
「以前はもっと海寄りに住んでいたからよく家具の表面が白くなっちゃったんです。カビですかね。でもここは今のところ大丈夫。洗濯物の乾きも違いますし。」
家具のお手入れ方法をお伝えすると、そうご主人がおっしゃっていました。
確かに鎌倉に住むお客様から、扉の表面がうっすら白くなったっておっしゃっていたっけ。それに山の麓のお客様は木の動きも大きかったし。
木を刻んでしまったのは自分たちなので生きているとは言いたくないけれど、そういう調質の性質を持って動き続けるのが木ですし、その代わりに大きな温かさをもたらしてくれるのも木ですし。
このチェリーの本棚もFさんたちをずっと見守ってくれるはず。
それでずっと素敵に見守ってくれるように、いつまでもきれいでいてくれるお手入れの方法をお伝えしてまいりました。
おじゃま致しました。また次回お会いできる時を楽しみにしております。
2018.01.21
イベント「クレミル」の工房開放でお作りいただいた「ミニキッチン&ミニデスク」に、ランドセルを載せた時のサイズ感をお伝えしていませんでした。(うちのランドセルの大きさは、24×28×31cmです)
下には、夏休みなどに持ち帰ってくる書道セット・絵の具セット・ピアニカ・防災頭巾は下に納まりました。(うちの娘のものは、です)
以前掲載した画像を見つけてくださった方々から、「販売はしていないのでしょうか?」と問い合わせをいただくことがあります。こちらはワークショップのみでの製品となっておりまして、製品のみの販売はしておりません。申し訳ありませんが、ご了承ください。
よろしくお願い致します。
ランドセルは長女が一昨年まで使っていた神田屋鞄製作所さんのもの。まだまだ使えそうな位にきれいなのです。
2018.01.20
昨晩遅くノガミ君とカナイ君とワタナベ君が戻ってきました。
「とりあえず今日で壁に関わる部分と器具付けまで終わりました。」
世田谷のMさんのキッチンの施工が終わったのでした。
今回、Mさんの仕事を担当しているのはノガミ君。2世帯でさらにそれぞれキッチンと食器棚を作りますので、かなりのボリューム。それでも受け持つスタッフは必ず一人で担当するというのが私たちの決まりです。
皆さん家具に思い入れが強いですので、考えた形を形だけではなくニュアンスまで伝えようとすると、かえって分担しちゃうと分からなくなっちゃう。
作業自体は、こういうふうに慌しくなってくると、スタッフみんなでパートごとに担う部分もありますが、基本は一人が頭に立って進めるのです。
戻ってきたノガミ君の表情は、疲れていてもどことなく安心した表情。
今日からあらためて食器棚の製作に入ります。またどことなく思いつめる表情になってきましたね。また難しい形ですからね。
2018.01.19
キッチンや食器棚の様々な部材たち。
「現場で、『キッチン屋さん。』って呼ばれると、ちょっと複雑な思いになることがあります。」と以前スタッフの1人が言っていたことがあります。
そうなんだね、そんな思いがあるなんて知らなかった。
私は、キッチン屋さんでも、家具屋さんでも、呼び名はどうあれ、私達はそれぞれの専門の人に比べるとできる範囲も限られているのかもしれないけど、どちらにも対応できるみんなのことをすごいと思っています。
そんな私達の仕事を見て、知って、私達にお願いしたいと思ってくださる方々がいるから今日があると思っています。
いつの日か、社名や名前で呼んでもらえるように、日々自分たちがしていることをこれからも伝えていこうと思います。
2018.01.18
年末から年明けにかけて私たちのうっかりからHさんにいろいろとご不便をお掛けしてしまう日々が経ち、与野から横浜、そして本日は世田谷と一日を一日と感じない日々を過ごしているような印象です。
しっかり地に足をつけて慎重に、と寒川さんで引いた吉のおみくじに掛かれていたように、まっすぐ前を見て進むばかりです。
みんなもとてもよく頑張ってくれていて、これほど現場に出掛ける時間が多いとなかなか製作のほうまで手が回らなそうなのですが、うまく分担して作るべきものを作ってくれている。自分たちだけで手がいっぱいの時は、ここを巣立っていったみんなも手伝ってくれてありがたい毎日です。
前を向いて頑張ります。
2018.01.17
久しぶりにもくもくと雲が出てきた。
雲を見てはじめて空の高さを知ることができる。
2018.01.16
鵠沼 自家製酵母パン うさぎパン
blog : usagipans.exblog.jp/
Instagram : usagipan28
私たちフリーハンドイマイでご新居のキッチンを作らせて頂いたのを機に、今まで学んできたインド料理と天然酵母から作るパンの技法をうまくミックスした、素朴で優しい味のパンを作る作家さん。
お店は持たず、鵠沼地区で水曜日に定期的に開催されるガレージセールの時にだけ販売されるというとても貴重(?)なパンです。
でも今では、鵠沼にあるフランス惣菜・お弁当を作っているPAQUET(パッケ)さんで、丸パン・食パンは購入することができます。
先日、うさぎパンさんの良さをもっと知ってもらうために、イマイダイスケがTさんとあれこれ思いを巡らせてきたそうです。
そのお礼に、と食パンとクグロフをいただきました。
食パンは、長女(自称パン好き)が毎回大喜び。端っこの奪い合いです。
Tさん、すごいですね。毎回口にする度に尊敬しています!幸せな時間をありがとうございました。ごちそうさまでした。
今年の販売は今日がスタートだそうですよ!
2018.01.15
週末は、どんど焼きがありました。他の地域でも開催されたところが多かったのではないでしょうか。
昨年地区役員を経験したこともあって、今年はより参加したい気持ちが強くありました(笑)。
地域の行事に多くの人が参加しているのを目にすると心強いというか、うれしくなるのはなぜでしょうか。
「何かあっても大丈夫かもしれない。」と感じられるからかもしれないです。
日曜日には、フリーハンドイマイが加入している倉見商店会のお年玉福引抽選会があり、抽選のお手伝いに参加してきました。
倉見はお仕事に通っている町なのですが、こういう人たちが住んでいるの場所なのだなと知る機会になって興味深いです。
私たちのお客様には地元以外の方が多いのでなかなか抽選券を配布する機会が少なかったのですが、今回は年末のイベント「クレミル」の木工教室に地元の方々が多く参加してくださったので、例年より多くの方々に配布することができました。
そして、そのお客様に再びお会いできると、うれしいものですね。ご参加いただいてありがとうございました。
また、普段なかなかお話しできない商店会の方々ともお話しすることができて、いろいろとお勉強になりました。
「前は行列ができるくらいだったのにね。」とお話しされているのが、寂しく感じてしまいましたが…。
普段なかなか商店会行事には参加できませんが、来年も、宣伝してお手伝いできるようにしていきたいと思います。
2018.01.10
与野まで。
皆さんの望むかたちをひとつずつ実現させることってやっぱりなかなか大変なことだけど、自分の心の持ちようを変えることなく今年もきちんと頑張ります。
昨年クレミルの後にアキコが言っていました。
「みんな、ダイちゃん(そう呼ばれております。)に会いに来てくれているのよ。だから、ワークショップにかかりきりにならないでみんなとお話できるような教室にしなくちゃ。」
そうか、みんな私に会いに来てくれているのか。うれしいな。
私は、家具が必要だからみんながここに来てくれるだけなのかとばかり思っていました。
「だって、もうOさんだって、Wさんだって、家具作ってひと通り落ち着いて新しい暮らしを始めているでしょ。それでも毎年、ここまで来てくれるって、やっぱり大ちゃんに会いに来てくれているんじゃないかな。」
そうか、そうか、うれしいな。
そう思ってくれるみんながいるから今日も頑張ります。
与野のUさんのキッチンの設置は今日で終わって、明後日リビングに大きな家具を設置する予定。そのあとは、平塚のHさん、長津田のNさん、世田谷のMさんとキッチンを届ける日々が続いていきます。
頑張りましょう。
2018.01.09
家具やキッチンを作らせていただいたお客様から、年賀状をいただきました。
基本的に私たち2人は後ろ向きなので(笑)、「あの家具はもう使われていないのかもしれない。」「実は不具合が出てきて、他の家具屋さんで直してもらっているのかもしれない。」と不安になることもあるのですが、
「イマイさんの家具は今もいい感じです!」
「食器棚はいい色になってきましたよ~。」
「気持ちよく使えています。」という言葉を拝見するととてもうれしいのです。
そして、「SNSで、ご活躍は拝見しています!」
「今年こそは、イベントクレミルに参加したいと思っています!」というメッセージをいただけると励みになります。
皆様のサポートを本当にありがたく思っております。
来年、またあたたかい便りを頂けるように、今年も頑張っていきたいと思います。
2018.01.06
今日から仕事始め。
みんな元気に集まることができました。
身体に気を付けて、安全な作業を心がけて、製作に励んでいきましょう。
皆様、本年もよろしくお願い致します。
2018.01.05
通勤の途中で朝日が昇ります。
昨年末にたまたまテレビを見ていたら、以前私たちと一緒に働いてくれていたテライ君がテレビに出ていました。出身である島根に戻って自分で工房を始めたようで、町おこしのプロジェクトに参加する様子が他の作家さんと一緒に映し出されていました。
彼がここを出て確か7年かな。相変わらず髭モジャモジャでしたが笑顔が昔のままのおじさんになっていました。懐かしかったのです。
最初にここを出て頑張っている綾瀬のnumber8furnitureのスズキ君、続いて独立した瀬谷の伊藤木工のイトウ君と福岡の三ッ葉屋家具店のカワグチ君、それからつい最近独立した山梨のWood bell furnitureのスズキ君と港南台のジ・オークアレイのムラカミ君、そして、島根のまる木工所のテライ君。
みんなそれぞれの朝日を迎えているんだなあ。
2018.01.01
長女に栗きんとんのさつまいもの裏ごしを、次女にお煮しめの野菜の飾り切りをお手伝いしてもらいながら、おせちの準備も間に合いました。
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
書初めをしました。今年のお題は「美しい心」。そうなるようにこの1年を過ごしていけますように。
2018.01.23
「タモ材とマットホワイト化粧板とコーリアンのオーダーキッチン」
山手 S様
design:Sさん
planning:Sさん/daisuke imai
producer:yasykazukanai
以前に少し変わったキッチンを作らせて頂いたことがありました。「glamorous」のMさんのキッチンです。クォーツストーンとウォールナットを調色して仕上げた今まで私たちが作ったことがなかった独特のキッチンです。組み込む機器たちも初めて名前を聞く器具ばかりで、あの時は内装施工を担当されたクラフトさんがうまくサポートしてくださったおかげできれいに仕上がることができました。
玄関からリビングに入るとこのような印象が目に映ります。
そして、反対のバルコニー柄から見た印象。タモのダイナミックな木柄が目に飛び込んでくるのです。
キッチンに入るとこのような感じ。天板もキャビネットも白、レンジフードも白。
タモの塊がキッチンの手元を隠すようなデザイン。このイメージは雑誌で見たバケラッタさんが設計されてリネアタラーラさんが製作されたキッチンに影響を受けたのだそうです。
そのMさんが私たちを紹介してくださったというSさんからご相談を頂いたのです。とてもうれしいのですが、またとても難解なキッチンだとしたら‥、と少しよぎる不安。(笑)
でも、お送り頂いたファイルを拝見しますと、比較的シンプルな形で取り組みやすそうです。
見積金額をお伝えして、いろいろとお話を進めさせて頂けることに。
ありがたいご縁です。
ここが奥様のデスク。
このころSさんのご家庭では赤ちゃんがまもなく生まれるというすてきな時期でしたので、その新しい暮らしに落ち着くまでお話を一度置いておくことになりました。
そうしてしばらくしました頃に、Sさんからご連絡を頂いたのです。
「いろいろと考えておりまして、実は最初のイメージとは大きく違った印象のキッチンにしたいな、と考えておりまして。」
さすがにこの太さの材は見つからないので、4枚の材をプレスしてこの角材を作りました。
そう切り出して教えてくださった形が、白を基調としたキッチンでした。
そして、その白いピカピカしたキッチンの上に木の塊が載るというのです。
どちらかというと木の表情を大きく見せるキッチンを今まで多く作ってきましたので、この色や表情がどんなふうに調和していくのか私にも見えない部分がありました。
キッチン側の手元の様子。キャニスターがちょうど隠れるくらいの高さの150mmの立ち上がりにしています。物を載せるカウンターとなっている部分は210mmの幅に。
私たちのキッチンを選んでくださる理由の一つにその表情です、っておっしゃってくださる方が多いのです。
使い勝手はってよく考えると、その人なりのかたちを表現できていると思うのですが、システムキッチンのほうがきっと多機能だし、あれこれチームで考えた形がそこに表現されているわけですからきっと優れたものだと思うのです。
でも、ここに来てくださる皆さんは、イマイさんらしいシンプルな表情が好きなのです。と言ってくださいます。
シンクの下は分別のゴミ箱が収納されています。
イマイさんらしいのかぁ。うれしいのですが、自分自身でそれが何なのかつかめないまま皆さんとこうして一つずつものつくりを進めていて、ときどきそれで良いのだろうかって疑問に思ったりするのです。
そんな時にSさんのように白いキッチンを依頼頂くと、これは私たちでも良いのだろうか、実は化粧板ならもっとうまく表現できる人がいるのではないだろうか、と心配な気持ちがよぎったりするのです。
引き出しの様子、その1。
引き出しの様子、その2。
引き出しの様子、その3。
でも、いろいろとSさんのお話を聞いていると、この形にたどり着くまでの過程もこうしてお話してきたら生まれたのであって、始まりから終わりまでフリーハンドイマイだったからこの形になりえたのかな、とも思ったりして一人安心するのです。
そのようなわけで、今回は少し変わった形を作らせて頂けることになりました。
頂いたSさんのイメージを基に実現可能な形に設計し直して、形が決定。不安もありますが楽しみです。頑張ってよい形にします。
調味料用の引き出しは、今回はハーフェレのものを採用しました。
ご新居となるマンションは、横浜の山手。桜の季節になると壮大な桃色の世界になる根岸森林公園のそばに建つ趣のある形をした集合住宅です。設計を担当されている方も現場を監督されている方も前回のMさんと同じスタッフさんです。前回はいろいろとお世話になりました。今回もよろしくお願い致します。
背面の食器棚のカウンターはタモ板目無垢材。ウレタンクリアのつや消し仕上げにしてあるので、導管が感じられる良い手触りに仕上がっています。
メゾネットをスケルトンにして、全く新しい空間を作るということで、ご実家からは距離があってなかなかこちらのほうに来られないSさんに代わって、現場を拝見させて頂きます。
こういう風に施主支給という形でキッチンの施工に入らせて頂くのは、よそ者が現場に入ってくることになると思うので、とても肩身が狭く感じてしまうことがあるのですが、監督さんはいろいろと手配をしてくださっていて、私たちが施工しやすいように段取りを組んでくれておりました。
仕事がしやすくて助かります。
ちょうどコンロの向かい側あたりの食器棚のカウンターには、コーヒーマシン。
そのコーヒーマシンの下は、家電収納になっています。
こちらは炊飯器。蒸気が出ないタイプの炊飯器なのです。そして、この炊飯器のデザインにSさんがお仕事で関わっていらっしゃるのだそうです。
やはりね、こういうふうにうまく段取りが進んでいるところだと、各職方さんは仕事がしやすい。風通しが良く動きがスムーズな現場になります。
サイズの確認と配管位置の確認を済ませて、いよいよ製作に取り掛かるのです。
化粧板というメーカーである程度出来上がっているものを採用する場合は、木ですべてをこしらえるのと違って、ある程度できる細工に制限が出てきたりします。
どの部材を使ってどう実現するかをパズルのようにあれこれ考えながら頭の中で形を組み立てていくのです。
そして今回使うことにしたのは、ポストフォーム加工下扉材を使うことにしたのです。すべて私たちのほうで化粧板を貼っていく形よりも角に丸みを持たせることができて、柔らかい印象にすることができるからです。
その曲げ方向もちょっと頭を悩ませました。
メーカーから2種類出されているポストフォーム加工の扉材ですが、どちらを使うとより柔らかく見えるかなあ・・。
家電収納の隣は調理道具がしまわれている引き出し。この引き出しの上段は、外から見えないように内引き出しにしていますので、閉めた時の印象はとてもシンプルに映ります。
結果、左右が丸みを帯びているものを採用し、手を掛けて開ける部分は私たちが新たに追加加工して、その部分を塗装して仕上げるという少し手の込んだ仕上げにすることにしたのです。
そのほうがコストは高くなってしまうかもしれませんが、印象が柔らかくなって良いですので。
そうして扉材はできあがり、カウンターはデュポン社の人工大理石コーリアンを使うことにして、シンクも同じコーリアンでできた物を使って隙間の無いシンク一体型カウンターにしています。
そこに柄のはっきりとしたタモがドシンと組み合させて完成。
とてもメリハリのあるキッチンができあがりました。
そして、その施工の日もうまくほかの職人さんとバッティングしないように、大工さんとも作業場所が被らない工程を組んでくださって、かなり大掛かりなキッチンと背面の食器棚、そして洗面台という3か所の取り付けでしたが大きな問題なく無事に施工が完了したのでした。
引き出しの中の調理道具。
引き出しの中の調理道具たち。
キッチンの入り口近くになると、みんなが取り出しやすいようにカトラリーや食器たちにしまわれるものが変わってきます。
お子さんの離乳食なども。そのうちお弁当セットに代わっていくのでしょうね。
引き出しだけではなく、扉も設けています。そこにはお皿がしまわれていました。
こちらはカップたち。
「Sです。
キッチンも洗面台もとても綺麗な出来で惚れ惚れしています。
そして旦那に家の中でキッチンが一番立派でずるいと言われてます。(笑)
先日の写真をMさん(王禅寺のMさん)にも見せて、すごい素敵!とのお言葉もらいました。同じイマイさん作品でも依頼者が違うと全然違う雰囲気になっておもしろいですね。
引越しして落ち着いた頃にぜひキッチンを見にいらしてください。
さくらが丁度良い時期だといいですね。根岸森林公園の桜は去年はじめて見ましたが本当に立派で綺麗でした。
馬と桜のコラボも今年は堪能できたらと思います。
それでは、またお会いできるのを楽しみにしております。」
こうして、無事にお引渡しが終わったのでした。
そして、キッチン入り口にあたる部分には、背の高い収納があります。
パントリーのように使えるようにと、シンプルに棚板だけが入った収納。食品に限らずストックするものなどがうまくしまわれております。
そうして、約束していた桜の季節にあらためて伺わせて頂きました。
すっかりお父さん、お母さんになっていたSさんご夫婦が経つ後ろには満開の桜が。
「今年の桜は長いですね。まだこんなに残っていて。」
「そうですね、森林公園もまだまだ見頃でした。」
Sさんの提案でした。「これだ!って形の取っ手が見つからないのです。」ということで、作ることにしたのです。実際にお話を伺ってみると、とてもシンプルな取っ手。でもそれがなかなか見つからなかったのだそうです。
そういう空気はここでしか出せないし、そういうキッチンであるということが最初から最後までフリーハンドイマイだったからできたということなのかもしれませんが、それ以前にやはりSさんがこの場所を選んでこう言う空気でいられる場所にするという心の持ちようがあったから、このキッチンやこの空間がこういう形になったわけで、それでこういう空気が生まれたわけで、なんだかとてもまとまりがない文章になってしまいましたが、その形は成るべくして成ったのです、そういうことです。
居心地よい時間。
こちらはコーリアンとクルミで作った洗面台。
中央の扉を開けると配管スペースになっていて、左は深めの2段の引き出し、一番右は、扉を開けると棚板が1枚入っているといシンプルな構成です。550mmの奥行きを採っているので、ゆったりと使うことができます。
キッチン仕上
天板 |
人工大理石 デュポンコーリアンシンク一体型カウンター |
扉・前板 |
鏡面ホワイトメラミンポストフォーム加工化粧板・オリジナル手掛け加工 |
本体外側 |
ポリエステル化粧板「マットホワイト」/タモ無垢材 |
本体内側 |
ポリエステル化粧板「ホワイト」 |
コーリアンと白い鏡面化粧板とタモを使ったペニンシュラキッチン
価格:1,220,000円(制作費、設備機器は別途)
白い鏡面化粧板とタモのカウンターの背面食器棚
価格:790,000円(制作費・塗装費)
コーリアンとクルミの洗面化粧台
価格:300,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は60,000円から、取付施工費は170,000円から)