かぜ

2018.04.08

6両編成の列車が終着駅に着くころは、日曜の早朝だからでしょうか、人影はまばらで、かえってその印象があったからか、空が高かったからか、でもきっと風が強く吹いていたからか、雲一つない空を見上げて冬が少し戻ってきましたね、そう思ったのでした。
駅に着いたらどこかで食事をしようか、そう思って改札を出たのですが、広いバスロータリーの奥にはまだシャッターを開けていない学習塾やヘアーサロンがあるだけで、あとは少し遠くに広がる住宅街と、すぐ隣を走る幹線道路から聞こえる車が通り過ぎていく音が何かを思い出させました。
そういう静かな駅前ってやっぱり私は好きで、そういう思いや匂いで自分の体験を思いだすのです。
たしか、「まほう」の印西のMさんのところへ訪ねた時もこういう空気だったような。
そんな懐かしい時間を思い出しながら、あの時のように幹線道路に沿って歩いていくのです。
えっ、歩いていらしたのですか。そう皆さんによく言われるのですが、車がなかなか苦手なのです。眠くなっちゃうんですよね。
そういえば、チアキもそんな私の体質を受け継いだのか、車に乗ると10分もたたずに眠っちゃう。私も負けないくらい眠くなってしまうのですが。
ですので、電車に乗り継いでそこからは歩くのがとても心地良いのです。
幹線道路がやがて細い道路につながって、道行く車も減ってくると風の音と、草がこすれる音が聞こえてきます。
庭先には、スズラン(この前初めてアキコに教えてもらいました。)が静かに頭を揺らしていたり、かわいらしく咲かせた黄色い花たちはこの数日の風で道々に舞ってしまった、だんだんと日差しで温まってきたそんな路傍の様子を眺めながら歩くのです。
ちょっと早かったかな。

ようやく見えたコンビニエンスストアで少しお休み。
サンドイッチとコーヒーをほおばっていると、どこからかネコです。一緒にサンドイッチを食べたあと、さようなら、のんびりと歩いていると現れた大きな分譲地。
まわりは気持ちの良い緑があって、きっとみんながここに住み始めるとにぎやかな街になるのが目に見えるようでした。
でも今はまだ静かなその一角が今日の打ち合わせ場所です。
「フリーハンドイマイと申します。」
設計事務所さんのアトリエを訪ねると、Sさんはもういらしていて、さっそくキッチンや食器棚の打ち合わせ。広々と気持ちの良いキッチンになるように、Sさんとそして設計士さんとで悩みながらレイアウトを考えていきます。
前回、私たちのところにいらしてくださった時に基本的な形はまとまっていたので、あとは、この新居の空間にうまく気持ちよく納まるようにみんなで話し合って、ようやく形がまとまりそうです。
楽しみですね。
2時間弱の打ち合わせを終えて、再び駅まで。
そう、魅力的な町でした。