本棚のオーダー「ナラ柾の本棚」

2019.01.31

13年ぶりです、Mさんにお会いするのは。
ハルカが生まれる前に作った家具はまだ元気に活躍していて、あの時建築を学んでいたお嬢さんは既にお子さんも生まれて、Mさんはおばあちゃんに。
でも話しぶりは13年前と変わらなくてうれしいことです。

今回もあの時と同じナラ柾目を使った家具でした。

職場体験学習

2019.01.29

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今日は町の中学2年生の男子2人が職場体験に来てくれました。
K君とH君が来てくれたのですが、H君のお兄ちゃんも3年前にうちに職場体験に来てくれたそうで、担当するのも同じコバヤシ君だったようで、すごい偶然に驚きました。
学校の方針とは少し異なるのかもしれませんが、毎回伝えていることがあります。
将来木工の道を選ばなければ、工房に来て家具作りの一部を体験するなんて、人生の中でもうないことだと思う。
学校の授業の中で来たのかもしれないけど、折角の機会なのだから、普段何気なく使っている家具がどういう過程を経て出来上がっているものなのかを実際に手を動かして体験してほしい。それがわかるだけでも、身の周りの物の見方が変わってくると思うよ、と。
午前中は実際の作業を手伝ってもらい、午後は、コバヤシ君が木工の色々な工程を時間内で楽しんでもらえるようにと無垢材でペン立てを作る作業をしてもらいました。2人とも上手に作っていました。
出来上がって、「楽しかったです。」とペン立てをリュックに入れず手に持ったまま、学校に戻っていきました。
無事に終えてよかったです。来てくれてありがとう。
さて、うちの長女ハルは明日から2日間幼稚園へ職場体験に行きます。普段経験できないことを色々と学んできてほしいです。

キッチン収納の形を考える :家具屋の家づくり

2019.01.27

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仕事柄、皆さんの色々な収納の形を見せていただいてきました。どれもすてきな形ばかりで、「製作例をたくさん見てるからすぐ決まるのでは?」と思われるかもしれませんが、みなさんが出した答えの形だけを見ても、それが自分の家の新しい間取りには必要なのものなのかを考えるとよく分からなくなってしまいます。
途中でまたわからなくなってしまわないように順番に考えていくことにしました。

設計士さんと家の間取りを考えていく中でキッチンの形が決まりました。
形はペニンシュラ。
キッチンとバックカウンターと食器棚を作ることが決まりました。
・オーブンレンジ・トースター・炊飯器を置くオープンな棚はほしい
・引き戸が好き
・天板はステンレス
・シナ材が好き
・ガスを使いたい
・高さは90cm
はじめからある要望をまず伝え、それ以外の部分を収納にした図面をおとうさん(イマイダイスケです)に書いてもらいました。
次に、何をどこにしまってどうすれば自分にとって使いやすいキッチンになるのかを考えます。ここが1番大変なのですが。
今まで我が家に集まったもの達、今持っているものを全部活用できているわけではありません。使う頻度・その物の重さもあります。
取り出しやすくなったら使うのかそうじゃないのか・どう判断すればいいかよくわからなくなってしまいました。
まず、新居でも使うものを決める作業をしないと収納の大きさと形は決められません。
こういう時は整理収納のプロの人のアドバイスをいただこうということで、野中幸子さん の講座を受けた時を思い出し、いただいた資料を見返してみました。チャート式になっているので読み込まなくてもどうすればいいかをすぐ見直せるので大変助かりました。
まず、「全部出す。」
ダイニングテーブルの上に出してみました、我が家の鍋・フライパン・土鍋たち。
1500×900のスペースいっぱいです。
整理収納作業の順番は
(1) 全部出す (2) 1年以内に使っているかいないか (3)目的別に分ける (4) 使う場所に収納する と大きく分かれるそうです。
いきなり(4)を考えようとするからわからなかったのかと、まず今自分のいる位置がわかるだけでも助かりました。
新居でも使いたいもの、結婚した時からずっと持っているけど、これからも使わないなと思われるもの…などなど。
記憶なんて曖昧なもので、「え?これ持ってた?」なんて物も出てくるわけです。
収納場所をオープン棚にするのか、引き出しにするのか、スライドワイヤーシェルフにするのかなど、収納の形と場所を考えていかなくてはいけません。
それぞれの重さと大きさを調べることにしました。
1番重いものは、OIGENの鉄鍋で高さが17cmで重さは5キロありました。
1番高さがあるものは、佐久間さんの炊飯土鍋と平和の圧力鍋が21cmでした。
新居でも使う調理道具が収納に収まるのかどうか、テーブルにマスキングテープを貼って大きさを確認しながら、シュミレーションしていき、収納の形と場所を決めていきました。

整理収納の資料と今までの経験から収納を考えていきますが、いつまでに図面ができあがってなくてはいけないのでしょうか?
着工、もしくは上棟です。
上棟後すぐに設備屋さんが床下に配管していくために、図面が必要になります。洗面台も同じだそうです。
引き出しの深さなどはまだ変更可能ですが、工程によっては、上棟後すぐに製作に掛からないと間に合わない現場もあるので、基本的に上棟後は変更ができなくなります。
お家作りで考えることはキッチン収納だけではありません。9月下旬に契約・地鎮祭を終え、「11月末に上棟予定だよ。」とおとうさんにプレッシャーをかけられながら、こどもを習い事に連れて行っている間にも図面を持って歩き考えたりして、やっと11月に入ってから決まったような感じでした。(笑)
今までオーダーしてくださった皆様も、こういう風に色々と考えて出来上がってできた形なのかと思うと、製作例の一つ一つが素晴らしいなぁすごいなぁとしみじみ感動してしまいました。
自分の図面は書き込みすぎていて載せられるようなものではないので、キッチンが完成した時に写真とともにお伝えしていきたいと思います!

HUDSONSさんのShoe Loungeへ

2019.01.27

いろいろとご縁がありまして、以前に「姉妹で作る家」大磯のKさんのところでお世話になりましたプラスマイズミアーキテクトさんにお声掛け頂きまして、ハドソン靴店さんのラウンジで使う家具を作らせて頂くことになりました。
代表の村上さんとのお話は、自分の中をあらためて探索するような気持ちで形を見つける自問自答の作業の繰り返しで、マイズミさんに手助け頂きながらどうにか形をまとめることができたのでした。
春から製作に取り掛かる予定です。

Sさんのキッチンと食器棚:スタッフ コバヤシ君の制作日記

2019.01.26

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今回特に気を付けたことは、キッチンのリビング側の鴨居と敷居の長さが2540mmの長さがあったので、木口に練り付けていくのために2人がかりで作業していきました。
また、この扉は無垢材の表情を出すことと反りを抑えることを考慮して、無垢材と合板を合わせて作る少し特殊な方法で製作しているのが特長です。
背面収納(食器棚)の扉も同じく無垢材と合板をプレスしているのですが、こちらの引き出しの前板は無垢そのままで仕上げているので、木取りの方法が異なるため、きれいに木目を通すことに気をつけていきました。
(プレス時、板はぎ、切り回しの時に手掛けの無垢と隙間等を計算しながら加工していきました。)
それと、食器棚の天板がステンレスと無垢のカウンターが並ぶ形になるので、材が多少動いても柔軟に適応できるように、バックガードを欠き取る加工して差し込むようにしています。
できあがりはとても良い表情にまとめることができましたので、大変満足しています。

リビングボードのオーダー「ナラのリビングボード」

2019.01.24

20190124002Sさんのリビングとダイニングに収納を作らせて頂きました。前回作らせて頂いた食器棚とのつながりを考えて、シンプルな形にまとまりました。
食器棚を作った時からずっとコのリビングをどう使っていくと良いかを悩んでいました。大きなワンルームのような間取りになっているので、玄関から廊下がワンクッションになっていますが、廊下の引き戸を開けると、奥のキッチン前が目に入ってきて、もう少し気持ちの仕切りがあると良いかな、というお話を続けていたのです。
そこで考えていたのは、最初はもう少し華やかなイメージだったのですが、結果としてこういうさり気ないかたちにまとまりました。この質素な印象で暮らしを支えてくれる姿が良いです。
ここに住む人の色が見えやすいですものね。

はじめさんの発酵食作り・手前味噌づくりの日でした

2019.01.21

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今週のはじまりは、小さいお子様の泣き声や、味噌玉を保存容器に叩き入れる音で賑やかなショールームでした。
金曜日に続いて、発酵食の塩麴・醤油麹・甘酒とお味噌を作るはじめさんの教室でした。
「こんなに簡単にできちゃうんですね。」という発酵食を作る方々と、「結構大変だ~。」と大豆を潰す作業をする方々の差が印象的でしたが、生麹の柔らかい匂いが漂ういい時間でした。作業の合間に先生とするお話しも楽しみの一つで、お勉強になるお話も色々聞けるのでいいですよね。
ご参加いただいた皆様ありがとうございました。はじめさん、お疲れさまでした。
皆様の作られたものがご家庭でおいしいものになりますように。できあがりが楽しみですね。

ベッドのオーダー「ホワイトアッシュとバスウッドのベッド」

2019.01.20

201901200012頭のどっしりしたパグとたしかすぐ逃げられちゃったけれど大きなネコも居たっけなあ。みんなで一緒にここで寝るんだそうです。マットレスの間は彼らの通り道なのだそうです。
館山まで、カナイ君、コバヤシ君、ノガミ君が無事にSさんのもとにこのフレームを届けてくれました。

ちょうどみんなが戻るころ、Sさんからも連絡が届きました。
「この度はありがとうございました。
たいへんステキなベッドでうれしいです。無事、ルンバも使えました。設置に来てくださった皆さんも丁寧な作業をして下さって感謝しています。 ご縁がありましたら、またお願い致します。」

ありがとうございました。

はじめさんの「身体に優しい発酵食ランチ作り&ママ交流会と離乳食ぱくぱくセミナー」の日でした

2019.01.18

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新年最初のショールームイベントは、Hug Babyのはじめさんのクラスでした。昨年からはじめさんのクラスは何度か開いていただいていますが、
時々撮影をさせていただく時に聞こえてくる講義内容も、「へぇ~。」と思うことばかりで、改めて食の分野は本当に奥が深いのだなと感じました。そして、匂い。この匂いを深く吸い込んだだけでも健康になれるのではないだろうかという位のいい匂い。幸せな気持ちになれます。
打ち合わせの時に見て触るだけのキッチンを活かしていただいてとてもうれしいのです。
すてき時間をありがとうございました。
続いて、来週月曜日は手前味噌づくりの日です。ご予約された皆様、当日お待ちしております!

壁面収納のオーダー「ブラックウォールナットの壁面飾り棚」

2019.01.17

20190117003201901170022019011700420190117005先月、家具を設置したOさんのところに追加で製作した刀の鍔を掛ける台をお持ちしました。これで完成。
「家具を作るってこういうことなのですね。家具はもちろん、イマイさんも設置に来てくださった皆さんもとてもすてきです。」
おお。

飾りたかったというブロンズ像もきちんと納まっていて、その隣には、少し照れながらご紹介してくださいました、お母さまが語ってくれたという生まれ育った山口県の昔話を絵本にしたというご自身の著書「ちゃっくりかき」。
「ふふふ、お恥ずかしいのですが、私が書かせて頂いたのです。イマイさん、もしよかったら、ぜひお子さんにお贈りくださいな。」とうれしいお話。
「ぜひ、読ませて頂きます。まずは私が。」
とうれしいお土産を頂きまして、ホクホクしながら帰ってまいりました。

ただしい声をした鳥

2019.01.16

ある夜、淋しい夢を見たような気がして流れた涙を伝う感触と、その淋しさで大きく肩をふるわせながら目を覚ましたタルベルの佇む窓辺に、深い夜でもはっきりとした青い羽根をもった低くただしい声をした鳥がやってきてこういうのでした。
「タルベル、私も淋しい夢を見ました。一人になってしまって、風と一緒に飛んでいくみんなの後を追いかけて、夜のなかを飛んでいたのです。
やがて空が白んでくるころ、ふと気が付くと私のほうがずっと先を飛んでいました。
強い思いは自分の目をくらましてしまうこともありますが、自分を大きく前に向かわせてくれます。私はあの夜、危うく大きな空の向こうに落ちてしまうところでしたが、お日様が私の目を覚ましてくれて、皆のもとに戻ることができました。あなたが見た淋しさは、きっとあなたを強くしてくれますよ。」

青い羽根が朝日を浴びてまるで銅色に輝き始めた正しい声の鳥のさえずりを心地よく聞いていたタルベルは見つめていた西の空からただしい声をした鳥のほうに顔を向けるとこう言いました。
「ありがとうございます。気持ちが正しくなりました。ごきげんよう、さようなら。」

ただしい声をした鳥は、この冬が終わりを告げて春がやってくることを教えてくれたのでした。
タルベルはもう居ません。

内引き出し

2019.01.14

20190114002おしゃべり」のFさんのキッチンにうち引き出しをつけてほしいと頼まれまして、その取付に伺ってきました。ガスコンロにラインを合わせることで、シンクまですっとした印象になって美しいのですが、引き出しが深くなってしまうのです。
そこで、内引き出しをつけましょう、ということで、せっかく作るのですからトレイになるような形にしましょう、アガチス材で作ったトレイに手を掛けるところをくりぬいて、かんざしにブラックウォールナットを差したら、良いかたちになりました。
そのあとは、Fさんが手掛けるご友人宅のリノベーション煮てキッチンを担当させてもらえそうということで、Oさんファミリーがいらしてくださって、Fさんのリビングで日が暮れるまでキッチンのご相談。Fさんが実際に自分のキッチンを使う様子を交えながらお話しするのはやはりうんうんと納得してもらいやすい。
アトリエもそうしてゆきたいなあ、とOさんのキッチンと自分の場所を重ね合わせながら時間が過ぎてゆくのでした。

オーダーキッチン「オークのペニンシュラキッチンとバックカウンター」

2019.01.13

20190113003201901130012昨年の9月にキッチンを設置したSさん。11月に無事にお引渡しを終えて、ご新居での暮らしがひと段落したこの頃、ご挨拶にお伺いしてきました。
電車に揺られて3時間。物静かな町から、これから賑やかな朝を迎えようとする町を抜けて静かな住宅街につく頃、電車の中の乗客もほとんど乗り下りてしまった頃、Sさんの住む静かな町につきました。
「天板を20㎜手前に出して頂いた部分はやはり正解でした。洗い物をしていても水は木に付かないし、ここで生地をこねたりするのですが、今まではよくその粉が引き出しの中に入ってしまったりしたのですが、それも無くなりましたので。」
と、Sさんがお話ししてくださいました。
うれしいですね。
皆さんの言葉が私たちに力を与えてくれます。

前に進むよ

2019.01.12

昨年末からいろんな方面で活躍されている方々の家作りにかかわらせて頂ける機会を頂いております。
知らないかたちが目の前で広がることは純粋に楽しいです。
頂いた課題を工房に持ち帰って練り直していると、なるほどおもしろい。
驚きと喜びです。
春を迎えて初夏が顔を出すころには、また魅力的な形がいくつも現れていることでしょう。

オーダーキッチン「チェリーのアイランドキッチン」

2019.01.11

2019011100220190111003お料理教室を開きたいって言っていたSさんのキッチン。だいぶ遅くなってしまったので、写真が暗くてキッチンの魅力が伝わりにくい本日。代わりにそのスケッチも載せましょう。最初のイメージから細かな納まりが変わってますが、Sさんの気持ちは変わりませんよ。

ウェブサイト更新

2019.01.04

ナラ節アリ材のカップボード懐かしい団地を魅力的な空間に変身させたSさんのダイニングに納めた小さな食器棚とテーブルの記事

クルミとコーリアンの食器棚Yさんのご家族皆さんと楽しみながら、学びながら、自分たちの求める形や空間が何だったのかを探しあてて作らせて頂いた食器棚とテーブルの記事と、

ナラとグレーの化粧板とステンレスを使った食器棚新しい素材のまとめ方を提案してくださったTさんに教わるようにしながらまとめることができた魅力的な食器棚の記事の3つの作例を掲載させて頂きました。

よろしければ、ご覧いただければうれしいです。

つたえる楽しさむずかしさ

2019.01.04

「ナラとステンレスとグレーポリのセパレートタイプの食器棚のオーダー」

横浜 T様

design:Tさん
planning:daisuke imai
producer:hideaki kawakami
painting:iku nogami

化粧板と木をうまく組み合わせた食器棚を作りたいのです、と相談にいらしてくださったTさん。
今までにない素材の選び方に感心するばかりでした。
その化粧板も白ではなく少し曇ったようで明るいグレー。
そして、カウンターにはステンレスのバイブレーション仕上げを使いたいということでした。
なるほど、そういうきれいな形、ありますよね。
少し懐かしくもあって、どこかヨーロッパの空気を感じるような。
私では全く思いもつかなかった素材の使い方に、聞けば聞くほど勉強になります。

ナラとグレーの化粧板とステンレスを使った食器棚

食器棚棚のスケッチにTさんが採色してくれたもの。

「でも、イマイさん。迷っているんですよ。どの部分にオーク材を使って、どの部分を単色で見せるかって。」
なるほどなるほど。
Tさんのイメージを聞きながらこちらで描いたスケッチはTさんの手によって茶色とグレーで色付けされていました。
これはなかなか難しい。
どうしたら木目が映えて見えるのかって。私も悩みながらもアドバイスをしてみますが、もうこのイメージはTさんが持っているものですので、Tさんも「イマイさん、」って聞いてはくれるのですが、話しかけながらもイメージは決まっていっている感じで、私を見ながらも私の後ろを見てお話ししてくださっているような・・。
Tさんにとっては頼りがいがなくて情けなく見えてしまったかもしれませんが、こういう経験が私にとってはたいへん糧になります。ありがとうございます、Tさん。

ナラとグレーの化粧板とステンレスを使った食器棚

食器棚全景。

ナラとグレーの化粧板とステンレスを使った食器棚

正面から見た様子。

こうして、おおよそイメージがまとまって、いよいよ内覧会。
部屋を見ながら、一つずつイメージを確認して行きます。
最近のマンションの内装は流行があるからなのか、建具などが濃い色でさらに鏡面仕上げ、壁が少しくすんだ白になっている内装をよく見かけます。
キッチンのカウンターも御影石をきれいに磨き上げた仕上がりで、どこか華やかな内装にまとまっていることが多いのです。

ナラとグレーの化粧板とステンレスを使った食器棚

取っ手の様子。これは吊戸棚の取っ手。指をかけ安陽に上にくぼみがあります。さらに扉を開けた時に取っ手が吊戸棚の側板に干渉しないように、端を斜めにカットしています。

ナラとグレーの化粧板とステンレスを使った食器棚

こちらはカウンターのすぐに他についている引き出しの取っ手の様子。ステンレスの天板とその下のグレーの目地、そして側板のグレーのポリとなら材の関わり方がよく分かります。

ナラとグレーの化粧板とステンレスを使った食器棚

同じく引き出しの取っ手。扉と違ってまっすぐに伸びています。それがほかの引き出しと揃うことで、とても良い印象にまとまるのです。

Tさんのイメージはどちらかというと、淡い色とナチュラルな色を組み合わせた印象で、内装のイメージとは少し離れた感じになります。
その空間に合わせるにはどうしたらよいかな。
あれこれと内覧会の限られて時間の中でイメージを重ね合わせて、ようやく形がまとまりました。

ナラとグレーの化粧板とステンレスを使った食器棚

吊戸棚の内部。グレイーの化粧板の地板とナラ材の地板が二重に見えるのは、照明を点検できるようにした工夫。どんなふうになっているか知りたい方はぜひ聞きにいらしてくださいね。

と思ったら、さらに細かい部分についてのご相談が。
ひとつが解決すると、次の形が見えてきて・・。薄明りのなかを何となく進んでいたら不意に進む道がはっきりと見えてきて、次にどちらに進んだらよいかを考えているような、そういう手さぐりに近い驚きやうれしさを感じながら、家具を作るという作業は進んでいくのだと思います。
そういうことってきっと楽しいのだろうなあ。って思うのですが、自分はどこかそういうことが苦手なのです。

ナラとグレーの化粧板とステンレスを使った食器棚

扉2枚分のオープンラック。この部分のナラとグレーポリの使い方をTさん一番悩んでおりました。結果、背板のみグレーにして、あとはナラで作る形に。

先日も44歳にしていよいよ近くのものが見えにくくなってきて、これが老眼なのかなあって思いで、アキコと一緒に眼鏡を見に行ったのですが、自分の思いを伝えるのがなかなか苦手でして、「一応視力を見てもらったら。」とアキコに言われて、言われるがままに娘と変わらないくらいのかわいらしい女性にいろいろと確認してもらったのです。
私が目の前の細かいものだけが見られれば良いということをもっときちんと伝えていればよかったのですが、その方は一生懸命私の普段の視力に合わせたサイズがどのくらいなのかを丁寧に提案してくださったりとても親身になって時間を使ってくださったのですが、結局最初に思っていた度の強いものにすることになりまして。
これが本当に皆さんのイメージに合わせた家具を作っている人物なのだろうかと、不甲斐ない思いだったのです。
でも、皆さんのお手伝いをする側になることにはもちろん自信がありますよ。安心してください。

ナラとグレーの化粧板とステンレスを使った食器棚

ゴミ箱はケユカのゴミ箱。いろいろなゴミ箱が発売されているので、皆さん迷うところ。

ナラとグレーの化粧板とステンレスを使った食器棚

ケユカの特徴は、ふたを開けるスペースが少なくて済むこと。

はい、おかげさまで良いかたちがまとまりまして、無事にHさんのキッチンに魅力的な形にまとまった食器棚が無事に据えられたのでした。
不器用ながらも皆様のかたちをきれいに整えていけるようにこれからも頑張ります。

ナラとグレーの化粧板とステンレスを使った食器棚

こちらは炊飯器を置くスライドテーブル。

ナラとグレーの化粧板とステンレスを使った食器棚

引き出しの様子。

ナラとグレーの化粧板とステンレスを使った食器棚

最上段の引き出しの下に作業用のスライドテーブル。奥様の身長に合わせてこの高さにしたのです。

ナラとグレーの化粧板とステンレスを使った食器棚

引き出しの様子。

ナラとグレーの化粧板とステンレスを使った食器棚

引き出しの様子。

ナラとグレーの化粧板とステンレスを使った食器棚

こちらはゴミ箱の上の引き出し。

ナラとグレーの化粧板とステンレスを使った食器棚

こちらは、炊飯器のスライドテーブルの下の引き出し。ご実家から送られてくる豆が便に小分けにされている姿がとても美しかったのです。

ナラとグレーのポリとステンレスの食器棚

価格:600,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は15,000円から、取付施工費は30,000円から)

ぼくもあの子もくらす町

2019.01.04

「ナラ節アリ材の食器棚とナラのダイニングテーブルのオーダー」

大倉山 S様

design:Sさん
planning:Sさん/daisuke imai
producer:iku nogami
painting:iku nogami

ナラ節アリ材のダイニングテーブル

陽だまりって言葉がよく似合う住まいでした。

「お母さん、僕、このまま友達のところに遊びに行ってもいい?」
「いいわよ、どのいくの?」
「・・・のところ!」

ああ、あったね、こういう感じ。
Sさんを待つ間に吹いていた風はむかしに嗅いだ匂いがして、ちびっ子のこういう話声を聞くと、昔懐かしく自分の子供の頃が思い出されます。

ナラ節アリ材のダイニングテーブルとカップボード

懐かしさが残る、と思っているのは私だけかな。Sさんはまだお若いし、かえって新鮮な印象なのかもしれませんね。


ナラ節アリ材のダイニングテーブルとカップボード

最初はキッチンも作りたいというご要望を頂いていたのですが、予算オーバーになってしまって断念。シンプルな白いキッチンはこの場所にはよく似合っていて、かえってナラ材の印象よりも優しさが出てよかったように感じられました。


ナラ節アリ材のダイニングテーブルとカップボード

このダイニングとリングを仕切る大きな梁は、182センチの私にはちょっと厳しいけれど、懐かしい。(笑)テーブルのサイズは、この空間に合わせて2メートルで作っております。ただいまナラ材がかなり高価な材になっていて、このくらいの大きさのテーブルと作ことは少し難しくなってきています。大切に資源を活用していかなければいけません。

「イマイさん、お待たせしました。エレベーターが各階に止まらないから、お待たせしちゃってすみません。」
にぎやかに駆け降りるちびっ子のあとから、Sさんが階段から降りてきました。
ああ、さっき私を自転車で追い越したのはSさんだったのだ。
それにしても、懐かしいくらい古い集合住宅なのに、Sさんのように若い方が多く住んでるのですね。
「こんにちは、Sさん。納品の時にはお伺いできませんでしたので、今日は家具を見せて頂けるのが楽しみですよ。」

ナラ節アリ材のダイニングテーブル

天板と脚の印象は、少し丸みを持たせました。

私が子供のころ住んでいた団地も、駆けって2分で友達の家だったから、みんなで住んでいるって感じがいつもしていて。
好きな子もいれば、楽しい子もいたり、もちろん嫌いな子もいたり、みんな一緒だったね。
自分は鍵っ子だったから家に戻ると、フタバさん(だったかな。)の食材が発泡スチロールの箱の中に届いていて、それを自分が家の中にしまうのが、帰宅後の最初の仕事だったかな。
そんな大事な仕事があるのに、時々鍵を忘れてしまって、3階だからベランダからすんなり入ることもできないわけで、そういう時には隣の階段のオリモさん(階段が違うから、こういう時しか会わない人なのですが)に「すみません・・、鍵を忘れてしまいまして・・。」とお願いして、「あら、いいのよ。どうぞ、どうぞ。」とおばさんにお願いして、ベランダに通してもらうのです。
ベランダには、隣の家につながる非常用のパネルがあって、その下が子供だったら通れるくらいの空間があるのです。そこを先にランドセルを放り投げて、はいずりながら自分のベランダへととおっていくわけです。
「おばさん、ありがとうございます。」
ベランダのカギはそういう時のためにいつも開いていて、そこから帰宅するのです。何食わぬ顔でね。
そういう風が吹いている集合住宅だったのです。

ナラ節アリ材のカップボード

こちらはカップボード。表情豊かな節アリ材を使っています。

「お邪魔します。」
リノベーションした室内はそういった昔の面影はどこかに行ってしまって、名残といえば低い天井を取り払って出ている大きな梁くらいでした。
「この場所が気に入ってしまって。それに私の事務所の代表もここに住んでいるから仕事もしやすくて。」
Sさん、設計士さんなのです。代表も女性設計士さんで、お母さん目線で作る保育園や幼稚園を作るお仕事を主にされているのだそうです。
おもしろいなあ。

ナラ節アリ材のカップボード

カップボードは壁に固定しないで、ここに置いてあるだけ。「いつかこの場所以外でも使いたいなって思いもありますので。」とSさん。


ナラ節アリ材のカップボード

引き戸は、下に車をはかせていて、ナラ材の敷居を作って、そこを戸が滑っていきます。金物を使うとどうしてもキラッとしてしまうし、車をつけないと、戸が重くなるし、でこの納まり。

入ってすぐは、広い土間と前室のようなスペース。そこに少し小さめのテレビがぽつんと置かれています。
「今はこの場所は、子供たちが帰ってきたら友達と一緒にここで賑やかに遊べるようにしているんです。」
へぇ、たまり場だ、良いです。

「どうぞ!」と案内してくださったスペースはコンクリート造ならではの大きな空間。
「この大きな場所で過ごしたかったのです。」
入ってすぐのところがキッチン、というか台所。そこに私たちが作らせて頂いたダイニングテーブルと、小ぶりなカップボードが置かれていました。
「とても良い印象にまとまりましたよ。」とSさん。

ナラ節アリ材のカップボード

取っ手をちょっと印象付けて。ここはただのオイル仕上げではなく、鉄染めして仕上げています。


ナラ節アリ材のカップボード

独特の色合い。

そして、広いリビングからは向かいの棟が見えます。
フフン、この感じも懐かしいね。

「お写真撮り終わったら、良かったらどうぞ、お茶を入れますね。」と言って、さっき買い物をしてきたのは、このお茶菓子だったのですね。
近くにすてきなお店があって、玄関を出ると学校が見えて子供たちの声も届いてくる。下を見ると年配の方々がそこかしこでおしゃべりしていて、若い人たちの往来もそこそこあって。
色褪せそうに思えた記憶が鮮やかによみがえる、そんな町に住んでいるSさんはずっとニコニコしておりました。

ナラ節アリ材のカップボード

こちらの天板もダイニングテーブルと印象をそろえております。


ナラ節アリ材のカップボード

引き出しの様子。


ナラ節アリ材のカップボード

引き出しの様子。

ナラ節アリ材の食器棚

価格:310,000円(制作費・塗装費)

ナラ板目材のダイニングテーブル

価格:340,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は25,000円から)

いっしょに学ぶ

2019.01.04

「クルミのセパレートタイプの食器棚とテーブルのオーダー」

横浜 Y様

design:Yさん
planning:daisuke imai
producer:kouhei kobayashi
painting:iku nogami

クルミとコーリアンの食器棚とダイニングテーブル

キッチンとダイニングの様子。食器棚だけを作らせて頂くお話だったのですが、お話を進めるうちにダイニングテーブルも合わせて作ることで、部屋の印象を整えましょう、ということに。

食器棚のご相談にいらしてくださったYさん。
Yさんはこれから新しいマンションに入居する予定なのですが、内覧会まで部屋には入れないし、自分のイメージするインテリアの明確な印象が自分の中でもまとまらずモヤっとしてしていたのだそうです。

クルミとコーリアンの食器棚

食器棚全体の印象。

私はこの仕事をしていて、家具を作ることって、家具だけを作ることだとばかり思いながら昔はやってきたのです。
でもね、家具を作ることってその人の住み方を考えることでもあるんだなって、そういう気持ちが最近はより強く感じるようになってきました。
私たちが作る家具は、奇抜な形でもオリジナリティあふれるような突出した形でもなくて、だれでもどこかで見たことのあるような形です。
その形の中にある小さなことがとても大事で、それは目に見えたり、見えなかったりするけれど、その使う人には良く見えていることで、それをきちんと表現できることが大切なんだって思えるようになったのです。
もちろん、住む人はその人だから、私たちの意見が押し通ってしまってはいけません。
こういう形もありますし、こういう表現もありますが、どういう表現にたどり着きたいですか。というワインディングロードを一緒に歩いていくのが私たちの仕事なのかもしれないって、最近強く思うのです。

クルミのランダム接ぎ

「豊かな色」のGさんに言われたことは、木目をランダムに並べてほしいということ。つながりのない自然な色のばらつきを見たかったというGさんの思いにYさんにも気に入ってもらって、この食器棚もあえてランダムにしたのです。

「初めまして。」とYさんにお会いしてお話を始めたのです。
ご主人がどちらかというとお子さんの子守できたんです、という印象で、ちびっ子のおもちゃがある部屋でお子さん二人と一緒に遊んでくれていて、奥様が打ち合わせに専念できるように、という感じでした。
当の奥様は、何となく自分が好きなインテリアがあるけれど、それを新居で実現するにはどうしたらよいかがなかなかつかめなくて‥、という感じです。

クルミとコーリアンの食器棚

吊戸棚内部の印象。

というのも、ご新居のマンションの内装が、このところよく目にするちょっとゴージャスな印象。
なんというのかな、濃い色の建具と床でキッチンのカウンターは御影石。
でも、奥様が思い描くのは北欧のイメージ。もっと明るい木の色に囲まれた空間だったのだと思います。(思いますというのは、これからまたいろいろと変わっていったからですね。)

クルミとコーリアンの食器棚

家電の熱の影響を受けない半分にはオープンラックをつけています。

私は家具を作ることや考えることはできても部屋全体の整えるのは、私にはきっと難しいことだって思っておりました。
そういう仕事はコーディネーターさんがやってくださることで、私たちはその一部を作り上げていくのが本分だと思っていたのです。

クルミとコーリアンの食器棚

カウンターにはコーリアンのクラムシェルというシートを採用しています。この部分はYさんがずっと悩んでいたところ。最初はもう少し茶色が濃いシートを選んでいたのですが、実際に使おうとしたら廃番になっていて、あれこれ悩んでこの明るいシートにしたのです。

でもYさんとお話しするうちに、どんなことに悩んでいて、どんなふうにイメージを実現していったらよいか、一緒に考えることで部屋ができあがっていくということがとても自然なことで、家具を考えていると、いつのまにかその部屋ができあがっていくことがいまさらながらとても当たり前のことに思えたのです。

クルミとコーリアンの食器棚

ハンドルはゴーリキアイランドさんの真鍮磨き仕上げのハンドルです。

まず、Yさんが北欧風ということで見せてくださったのが、とある家具屋さんのダイニングのイメージ。ブナやカバを連想させる明るい木に角に丸みを帯びたディテール。床は黒い石で少し色があせたような印象に見えて。

クルミとコーリアンの食器棚

食器棚のプランはシンプルで、炊飯器を置くスライドテーブルとごみ箱を置くスペースとトレイなどが置けるちょっとしたスペースのほかは引き出し式の収納です。

よくよく考えると、北欧というと樹種も淡かったり黄褐色だったりして優しい木の色に鮮やかな色のファブリックやパステル調の色彩が並ぶようなイメージが一般的だったのかもしれませんが、そのダイニングのイメージから、すこし色あせた空間に木の生き生きとした表情が映える感じをイメージしたのでした。
ところどころにアンティークな要素を入れたりして。そうなると北欧、というイメージとは違うのでしょうけれど、Yさんも「あぁ、その感じ好きです。」なんて言いながら、イメージはいろんな方向へ飛んでいくのでした。

クルミとコーリアンの食器棚

引き出しの様子。


クルミとコーリアンの食器棚

引き出しの様子。


クルミとコーリアンの食器棚

引き出しの様子。食器洗浄機で洗いあがった食器をそのまま引き出しに移せるようにという要望で、この食器棚の設置スペースが限られてしまっていることもあったのですが、ある程度使いやすいレイアウトにできたのは幸いでした。


クルミとコーリアンの食器棚

引き出しの様子。


クルミとコーリアンの食器棚

引き出しの様子。

そうしていろいろな話を重ねるうちに、木の表情もはっきりと生き生きとした表情のナラやタモといった材よりも、少し陰りがあるけれど粗野だったり、優しかったりする表情のクルミに目が留まりました。
豊かな色」の印象です。こちらはドイツ人のご主人なので、北欧ではないのですが・・。
新居の床の濃さも使い込んで褪せてくると、このクルミの色とより合ってくるのではないか、でもすべて重い色ではなく、明るい色を取り入れながら・・。

クルミとコーリアンのダイニングテーブル

食器棚と一緒に作らせて頂いたダイニングテーブル。

そんなお話を奥様と繰り返すうちにイメージしていくことの楽しさがご主人にも伝わって、いつの間にかご主人のほうが前のめりにお話を聞いてくださっていたりして。
話は家具だけでは収まらず、どういった布が窓に掛かってくるか、床にはラグが敷かれるのか、新居の濃い床が使い込まれていくとどのような感じになっていくのか、Yさんの気持ちや色の印象をいろいろ思い巡らせながら、だんだんと形がひとつの方向にまとまっていくのでした。

クルミとコーリアンのダイニングテーブル

天板小口の様子。

その後、内覧会にも参加させて頂いて、実際の部屋の印象とイメージしている家具を照らし合わせて、ようやく形がまとまりました。
長かったですね。
でも私自身とても勉強になる時間でした。
ありがとうございました、Yさん。

クルミとコーリアンのダイニングテーブル

脚部も丸みを持たせて、全体的に優しい表情で仕上げることができました。

クルミの食器棚

価格:610,000円(制作費・塗装費)

クルミのダイニングテーブル

価格:280,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は15,000円から、取付施工費は30,000円から)

新年のご挨拶

2019.01.01

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お節を食べて、地元の神社に初詣にいき、冬休みの宿題の書初めをしました。
家族でゆっくり過ごせるこの時間をありがとうございます。
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。