ウェブサイト更新
2019.01.04
懐かしい団地を魅力的な空間に変身させたSさんのダイニングに納めた小さな食器棚とテーブルの記事と
Yさんのご家族皆さんと楽しみながら、学びながら、自分たちの求める形や空間が何だったのかを探しあてて作らせて頂いた食器棚とテーブルの記事と、
新しい素材のまとめ方を提案してくださったTさんに教わるようにしながらまとめることができた魅力的な食器棚の記事の3つの作例を掲載させて頂きました。
よろしければ、ご覧いただければうれしいです。
2019.01.04
懐かしい団地を魅力的な空間に変身させたSさんのダイニングに納めた小さな食器棚とテーブルの記事と
Yさんのご家族皆さんと楽しみながら、学びながら、自分たちの求める形や空間が何だったのかを探しあてて作らせて頂いた食器棚とテーブルの記事と、
新しい素材のまとめ方を提案してくださったTさんに教わるようにしながらまとめることができた魅力的な食器棚の記事の3つの作例を掲載させて頂きました。
よろしければ、ご覧いただければうれしいです。
2019.01.04
横浜 T様
design:Tさん
planning:daisuke imai
producer:hideaki kawakami
painting:iku nogami
化粧板と木をうまく組み合わせた食器棚を作りたいのです、と相談にいらしてくださったTさん。
今までにない素材の選び方に感心するばかりでした。
その化粧板も白ではなく少し曇ったようで明るいグレー。
そして、カウンターにはステンレスのバイブレーション仕上げを使いたいということでした。
なるほど、そういうきれいな形、ありますよね。
少し懐かしくもあって、どこかヨーロッパの空気を感じるような。
私では全く思いもつかなかった素材の使い方に、聞けば聞くほど勉強になります。
「でも、イマイさん。迷っているんですよ。どの部分にオーク材を使って、どの部分を単色で見せるかって。」
なるほどなるほど。
Tさんのイメージを聞きながらこちらで描いたスケッチはTさんの手によって茶色とグレーで色付けされていました。
これはなかなか難しい。
どうしたら木目が映えて見えるのかって。私も悩みながらもアドバイスをしてみますが、もうこのイメージはTさんが持っているものですので、Tさんも「イマイさん、」って聞いてはくれるのですが、話しかけながらもイメージは決まっていっている感じで、私を見ながらも私の後ろを見てお話ししてくださっているような・・。
Tさんにとっては頼りがいがなくて情けなく見えてしまったかもしれませんが、こういう経験が私にとってはたいへん糧になります。ありがとうございます、Tさん。
こうして、おおよそイメージがまとまって、いよいよ内覧会。
部屋を見ながら、一つずつイメージを確認して行きます。
最近のマンションの内装は流行があるからなのか、建具などが濃い色でさらに鏡面仕上げ、壁が少しくすんだ白になっている内装をよく見かけます。
キッチンのカウンターも御影石をきれいに磨き上げた仕上がりで、どこか華やかな内装にまとまっていることが多いのです。
Tさんのイメージはどちらかというと、淡い色とナチュラルな色を組み合わせた印象で、内装のイメージとは少し離れた感じになります。
その空間に合わせるにはどうしたらよいかな。
あれこれと内覧会の限られて時間の中でイメージを重ね合わせて、ようやく形がまとまりました。
と思ったら、さらに細かい部分についてのご相談が。
ひとつが解決すると、次の形が見えてきて・・。薄明りのなかを何となく進んでいたら不意に進む道がはっきりと見えてきて、次にどちらに進んだらよいかを考えているような、そういう手さぐりに近い驚きやうれしさを感じながら、家具を作るという作業は進んでいくのだと思います。
そういうことってきっと楽しいのだろうなあ。って思うのですが、自分はどこかそういうことが苦手なのです。
先日も44歳にしていよいよ近くのものが見えにくくなってきて、これが老眼なのかなあって思いで、アキコと一緒に眼鏡を見に行ったのですが、自分の思いを伝えるのがなかなか苦手でして、「一応視力を見てもらったら。」とアキコに言われて、言われるがままに娘と変わらないくらいのかわいらしい女性にいろいろと確認してもらったのです。
私が目の前の細かいものだけが見られれば良いということをもっときちんと伝えていればよかったのですが、その方は一生懸命私の普段の視力に合わせたサイズがどのくらいなのかを丁寧に提案してくださったりとても親身になって時間を使ってくださったのですが、結局最初に思っていた度の強いものにすることになりまして。
これが本当に皆さんのイメージに合わせた家具を作っている人物なのだろうかと、不甲斐ない思いだったのです。
でも、皆さんのお手伝いをする側になることにはもちろん自信がありますよ。安心してください。
はい、おかげさまで良いかたちがまとまりまして、無事にHさんのキッチンに魅力的な形にまとまった食器棚が無事に据えられたのでした。
不器用ながらも皆様のかたちをきれいに整えていけるようにこれからも頑張ります。
価格:600,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は15,000円から、取付施工費は30,000円から)
2019.01.04
大倉山 S様
design:Sさん
planning:Sさん/daisuke imai
producer:iku nogami
painting:iku nogami
「お母さん、僕、このまま友達のところに遊びに行ってもいい?」
「いいわよ、どのいくの?」
「・・・のところ!」
ああ、あったね、こういう感じ。
Sさんを待つ間に吹いていた風はむかしに嗅いだ匂いがして、ちびっ子のこういう話声を聞くと、昔懐かしく自分の子供の頃が思い出されます。
「イマイさん、お待たせしました。エレベーターが各階に止まらないから、お待たせしちゃってすみません。」
にぎやかに駆け降りるちびっ子のあとから、Sさんが階段から降りてきました。
ああ、さっき私を自転車で追い越したのはSさんだったのだ。
それにしても、懐かしいくらい古い集合住宅なのに、Sさんのように若い方が多く住んでるのですね。
「こんにちは、Sさん。納品の時にはお伺いできませんでしたので、今日は家具を見せて頂けるのが楽しみですよ。」
私が子供のころ住んでいた団地も、駆けって2分で友達の家だったから、みんなで住んでいるって感じがいつもしていて。
好きな子もいれば、楽しい子もいたり、もちろん嫌いな子もいたり、みんな一緒だったね。
自分は鍵っ子だったから家に戻ると、フタバさん(だったかな。)の食材が発泡スチロールの箱の中に届いていて、それを自分が家の中にしまうのが、帰宅後の最初の仕事だったかな。
そんな大事な仕事があるのに、時々鍵を忘れてしまって、3階だからベランダからすんなり入ることもできないわけで、そういう時には隣の階段のオリモさん(階段が違うから、こういう時しか会わない人なのですが)に「すみません・・、鍵を忘れてしまいまして・・。」とお願いして、「あら、いいのよ。どうぞ、どうぞ。」とおばさんにお願いして、ベランダに通してもらうのです。
ベランダには、隣の家につながる非常用のパネルがあって、その下が子供だったら通れるくらいの空間があるのです。そこを先にランドセルを放り投げて、はいずりながら自分のベランダへととおっていくわけです。
「おばさん、ありがとうございます。」
ベランダのカギはそういう時のためにいつも開いていて、そこから帰宅するのです。何食わぬ顔でね。
そういう風が吹いている集合住宅だったのです。
「お邪魔します。」
リノベーションした室内はそういった昔の面影はどこかに行ってしまって、名残といえば低い天井を取り払って出ている大きな梁くらいでした。
「この場所が気に入ってしまって。それに私の事務所の代表もここに住んでいるから仕事もしやすくて。」
Sさん、設計士さんなのです。代表も女性設計士さんで、お母さん目線で作る保育園や幼稚園を作るお仕事を主にされているのだそうです。
おもしろいなあ。
入ってすぐは、広い土間と前室のようなスペース。そこに少し小さめのテレビがぽつんと置かれています。
「今はこの場所は、子供たちが帰ってきたら友達と一緒にここで賑やかに遊べるようにしているんです。」
へぇ、たまり場だ、良いです。
「どうぞ!」と案内してくださったスペースはコンクリート造ならではの大きな空間。
「この大きな場所で過ごしたかったのです。」
入ってすぐのところがキッチン、というか台所。そこに私たちが作らせて頂いたダイニングテーブルと、小ぶりなカップボードが置かれていました。
「とても良い印象にまとまりましたよ。」とSさん。
そして、広いリビングからは向かいの棟が見えます。
フフン、この感じも懐かしいね。
「お写真撮り終わったら、良かったらどうぞ、お茶を入れますね。」と言って、さっき買い物をしてきたのは、このお茶菓子だったのですね。
近くにすてきなお店があって、玄関を出ると学校が見えて子供たちの声も届いてくる。下を見ると年配の方々がそこかしこでおしゃべりしていて、若い人たちの往来もそこそこあって。
色褪せそうに思えた記憶が鮮やかによみがえる、そんな町に住んでいるSさんはずっとニコニコしておりました。
価格:310,000円(制作費・塗装費)
価格:340,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は25,000円から)
2019.01.04
横浜 Y様
design:Yさん
planning:daisuke imai
producer:kouhei kobayashi
painting:iku nogami
食器棚のご相談にいらしてくださったYさん。
Yさんはこれから新しいマンションに入居する予定なのですが、内覧会まで部屋には入れないし、自分のイメージするインテリアの明確な印象が自分の中でもまとまらずモヤっとしてしていたのだそうです。
私はこの仕事をしていて、家具を作ることって、家具だけを作ることだとばかり思いながら昔はやってきたのです。
でもね、家具を作ることってその人の住み方を考えることでもあるんだなって、そういう気持ちが最近はより強く感じるようになってきました。
私たちが作る家具は、奇抜な形でもオリジナリティあふれるような突出した形でもなくて、だれでもどこかで見たことのあるような形です。
その形の中にある小さなことがとても大事で、それは目に見えたり、見えなかったりするけれど、その使う人には良く見えていることで、それをきちんと表現できることが大切なんだって思えるようになったのです。
もちろん、住む人はその人だから、私たちの意見が押し通ってしまってはいけません。
こういう形もありますし、こういう表現もありますが、どういう表現にたどり着きたいですか。というワインディングロードを一緒に歩いていくのが私たちの仕事なのかもしれないって、最近強く思うのです。
「初めまして。」とYさんにお会いしてお話を始めたのです。
ご主人がどちらかというとお子さんの子守できたんです、という印象で、ちびっ子のおもちゃがある部屋でお子さん二人と一緒に遊んでくれていて、奥様が打ち合わせに専念できるように、という感じでした。
当の奥様は、何となく自分が好きなインテリアがあるけれど、それを新居で実現するにはどうしたらよいかがなかなかつかめなくて‥、という感じです。
というのも、ご新居のマンションの内装が、このところよく目にするちょっとゴージャスな印象。
なんというのかな、濃い色の建具と床でキッチンのカウンターは御影石。
でも、奥様が思い描くのは北欧のイメージ。もっと明るい木の色に囲まれた空間だったのだと思います。(思いますというのは、これからまたいろいろと変わっていったからですね。)
私は家具を作ることや考えることはできても部屋全体の整えるのは、私にはきっと難しいことだって思っておりました。
そういう仕事はコーディネーターさんがやってくださることで、私たちはその一部を作り上げていくのが本分だと思っていたのです。
でもYさんとお話しするうちに、どんなことに悩んでいて、どんなふうにイメージを実現していったらよいか、一緒に考えることで部屋ができあがっていくということがとても自然なことで、家具を考えていると、いつのまにかその部屋ができあがっていくことがいまさらながらとても当たり前のことに思えたのです。
まず、Yさんが北欧風ということで見せてくださったのが、とある家具屋さんのダイニングのイメージ。ブナやカバを連想させる明るい木に角に丸みを帯びたディテール。床は黒い石で少し色があせたような印象に見えて。
よくよく考えると、北欧というと樹種も淡かったり黄褐色だったりして優しい木の色に鮮やかな色のファブリックやパステル調の色彩が並ぶようなイメージが一般的だったのかもしれませんが、そのダイニングのイメージから、すこし色あせた空間に木の生き生きとした表情が映える感じをイメージしたのでした。
ところどころにアンティークな要素を入れたりして。そうなると北欧、というイメージとは違うのでしょうけれど、Yさんも「あぁ、その感じ好きです。」なんて言いながら、イメージはいろんな方向へ飛んでいくのでした。
そうしていろいろな話を重ねるうちに、木の表情もはっきりと生き生きとした表情のナラやタモといった材よりも、少し陰りがあるけれど粗野だったり、優しかったりする表情のクルミに目が留まりました。
「豊かな色」の印象です。こちらはドイツ人のご主人なので、北欧ではないのですが・・。
新居の床の濃さも使い込んで褪せてくると、このクルミの色とより合ってくるのではないか、でもすべて重い色ではなく、明るい色を取り入れながら・・。
そんなお話を奥様と繰り返すうちにイメージしていくことの楽しさがご主人にも伝わって、いつの間にかご主人のほうが前のめりにお話を聞いてくださっていたりして。
話は家具だけでは収まらず、どういった布が窓に掛かってくるか、床にはラグが敷かれるのか、新居の濃い床が使い込まれていくとどのような感じになっていくのか、Yさんの気持ちや色の印象をいろいろ思い巡らせながら、だんだんと形がひとつの方向にまとまっていくのでした。
その後、内覧会にも参加させて頂いて、実際の部屋の印象とイメージしている家具を照らし合わせて、ようやく形がまとまりました。
長かったですね。
でも私自身とても勉強になる時間でした。
ありがとうございました、Yさん。
価格:610,000円(制作費・塗装費)
価格:280,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は15,000円から、取付施工費は30,000円から)