オーダーチェア「アルダーの椅子の座面の見せ方を検討中」
2019.05.06
カフェに納品させて頂く予定の朴訥な表情の椅子ができあがりつつあります。
背もたれのカーブと後ろ脚の角度が重なる時に出てくる影が美しくて良いのです。
それ以外は極力シンプルに。
座る人がキラキラ見えたらそれでよいです。
2019.05.06
カフェに納品させて頂く予定の朴訥な表情の椅子ができあがりつつあります。
背もたれのカーブと後ろ脚の角度が重なる時に出てくる影が美しくて良いのです。
それ以外は極力シンプルに。
座る人がキラキラ見えたらそれでよいです。
2019.05.06
チェリーの壁面収納を作らせて頂きながら、この先どのような形で暮らしのお手伝いをさせて頂くことができるかをお話しているMさんの記事と、
リフォームしたマンションのキッチンに静かな佇まいの奥様らしさが現れた食器棚を作らせて頂いたSさんの記事と、
食器棚と一緒にキッチンの対面カウンターの下の収納も作ることで、とても魅力的な空間にすることができたNさんの記事の3つのお話を掲載しました。
皆さんのすてきな暮らしがつなぐすてきな暮らしのお話、よろしければご覧になってください。
2019.05.06
荒川 M様
design:Mさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:kouhei kobayashi
painting:kouhei kobayashi
「フリーハンドイマイ様
初めまして。Mと申します。
現在家を新築しており、リビングに壁面収納+デスクの作成をお願いしたいと思い連絡させていただきました。
まずは見積もりの作成をお願いいたします。
壁面収納部分には以下のものを収めたいです。
○掃除機、扇風機、暖房器具等の背丈のあるもの
○ストック用の日用品と本
○A4サイズ程の書類ファイル
○アルバム
○文具
○その他日常リビングに置いてある小物諸々
デスク部分にはPCを置き、プリンターや印刷紙、インクを収納出来る引き出しを付けて頂きたいです。
御社のウェブサイトを拝見させて頂いたところ、「せんせいの部屋」「やさしい場所」を足したようなものが良いかと考えています。
素人の考えなのでプロの目からもっと的確なアドバイスを頂けたら幸いです。
今回リビングボードをお願いしていますが、それにプラスでリビングや別室の壁面に棚板を付けて頂くことは可能でしょうか?
飾り棚兼収納を兼ねるような感じで考えています。
ご参考に家の間取り図を送ります。ご確認くださいませ。
それと一度そちらにお伺いさせて頂き、直接お話をさせて頂きたいなと考えています。
お忙しいところ申し訳ありませんが、ご検討の程よろしくお願いいたします。」
と、Mさんからご相談を頂きました。
収納を作る場合って、どのように組み立てていくと良いかがあれこれ方法が分かれるのですが、以前まではしっかりとしまいたいものを教えて頂いて、それらがきちんとしまえるような形を作ることが最良だと思っておりました。
でもね、暮らし方ってやっぱり変わるんですよね。
私も子供を持って分かりましたが、夫婦二人で過ごしていたスペースの使い方と、小さな子供たちがいる期間のスペースの使い方、子供たちが自分たちの部屋を使うようになるころのスペースの使い方。
それぞれの期間中に目を向けることが全く違うのだなあと経験してあらためて思うのです。
そうなるとしまうものに合わせて設計していても、使い方が変わる時期になったらかえって使いにくくなっちゃうこともあるのではないかって思うようになってきたのです。
じゃあ何か最良なのかなって思うと、極端なお話だと、ただ扉がついていて中に棚板が入っているだけの形で足りてしまうのではないかって思うこともあります。
だから最近は、皆さんからしまいたいものや家具をどう使いたいかをお聞きするのですが、あまり細かく寸法などを限定せずにある程度柔軟にいろんなものがしまうことができるような形を考えるように心がけることが多いです。
今回のMさんの場合は、Mさん曰く、「狭小住宅なのですよ。」とおっしゃるように、リビングダイニングがとてもコンパクトなので、あまり圧迫感のない収納にしたいと思っておりました。
エアコンがつくスペースも重なる場所でして、どういう形が良いかを模索していきます。
まず、どうしてこの場所に収納を作ることにしたのかということ、写真には写っていないのですが、建物が建っている敷地の関係上、この収納の反対面の壁がアールになっているため、大きく収納を作れるスペースがこの場所しか取れませんでした。
本来でしたら、エアコンの送風口と干渉するので、あまりエアコンの下に収納は作りたくないところです。
ですので、この場所に収納を作ろうとなった時にMさんのほうでは、当初天井まできっちりと収納にしてしまってたくさん物がしまえるようにした方が使いやすく、またかえって中途半端な高さにならずにスッキリするのではないかと計画されていました。
でも、そうするとエアコンの風がリビング全体に行き渡りづらくなるし、エアコン少し手前に取り付ける方法もなくはないですが、余計な費用が掛かってしまいそうで・・。
それから、以前お客様から言われた感想がずっと私の家具作りの芯に残っていて、それは、「奥の壁が見えることでかえって家具がなかった時よりも部屋が広く感じます。」って言われたことがあったのです。
それまでは家具はすき間なく、床や天井をピッタリ覆ってしまったほうがスッキリ見えて圧迫感がないのではないかと考えていたのですが、そのお客様の時に吊戸棚の上は使いづらいからって開けたのですね。そうしてその吊戸棚の上の奥には白い壁が見えることになったのですが、それが面白いことに今まで白一面で距離感が曖昧に感じられた空間に、家具という色が部分的に入ることで、部屋の奥行をしっかり感じることができて、かえって部屋の広さを視認しやすくなったというお話が私の中でずっと生きているのです。
だから今回も天井まで作るのではなく、エアコンの送風を妨げない位置の高さまで家具を作ることにしましょう、ということになりました。
これがかえって良い効果となり、おかげでリビング全体が引き締まって見えるようになりました。
それで、収納の中身はというと、あまり作り細かいという前述のお話をさせて頂いた上で、Mさんがさらにはどのように使っていきたいかを考えて、いくつかの機能を盛り込んでシンプルな形ができあがりました。
また今回は、扉を閉めた時の表情が味わい深くなったら良いな、ということとクローゼットや押し入れのような感じで扉を開け閉めしたい、ということで、引き戸に、さらには框組で作ることにしまして、それが本当に良い表情になりました。
この家具が入ったおかげで本当に部屋の印象が一変したって、Mさんにはとても喜んでいただけて、私自身とても安心できたのでした。
価格:840,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は50,000円から)
2019.05.06
横浜 N様
design:Nさん
planning:daisuke imai
producer:iku nogami/hiroyuki kai
painting:iku nogami/hiroyuki kai
正直、お会いするまでどのようなお人柄かってことは、全く分かりません。
私の仕事の進め方は、ほとんどメールで進めることが多いのです。
電話はまず難しいことが多くて、FAXを持っているご家庭は少なくなっているし、やっぱり今のところはメールかなあ。
電話ってその場ですぐに返事が聞けるぶん、記録を残しにくかったり、内容を深く考えたうえでお返事することが難しい時もあります。
「すみません、初めてお電話するのですが、○○のような○○を○○のようなサイズで作ると、大体いくらくらいになりますか。」
このようにお電話でご相談頂くことは多いのですが、お電話でお話ししながら、この樹種だとこう使って、このサイズだとこういうふうに材料取りをしてって、その場で考えながらお話しするのはなかなか難しかったりしまして。
そこで、今まで作ってきた作例の中から、おおよその金額をお伝えすることにあるのですが、その時はそのように作ったということをお伝えできても、いまそのご相談くださった方が思う形がどのような形で実現できて、どのくらいのコストが掛かるのかを電話で伝えるのは、なかなか大変。
「ある程度の目安を教えて頂けると助かります。」と言われるのですが、その後、その方のご要望をお伺いすると、思っているよりも複雑だったりして結構伝えた金額から離れたものをお伝えすることも多かったりします。
だから、あまり参考にならないかもしれなくって。
ですので、メールで頂いた内容を一度きちんとまとめ直して、どのような形でどのくらいの金額になるかを文章で書き連ねることで、その方に分かって頂きたい、という思いがあります。
このような理由で、メールで進めることが多いのですが、メールをやり取りする中で(あぁ、この方はきっとこのような人であろう。)なんて、そのお人柄を一人思いを巡らせるのですが、お会いしてみるとイメージと異なることってなかなか多かったりします。
Nさんもその一人でして、最初のイメージではもっとおっとりした女性なのだろうとずっと思っておりました。
最初にメール頂いた時に送られてきた参考写真が、白い細かな横格子の窓から明るい日差しが入り込んで、薄緑のタイルが張られた壁面に取り付けられた細い格子が特長の白く塗られた吊戸棚のガラス扉越しには白いティーカップが並んで、そして、白い石でできたキッチンのワークトップの下には手前のリビングに向かって作られている赤茶色く塗装されたオークのちょっとクラシカルな印象のキャビネット。(海外の雑誌のインテリアの写真を引用くださったので、そのまま写真掲載するといけませんので、文章でお伝えしております。)
どちらかというと、すこし涼しい地方のヨーロッパの午後3時という印象です。
ですので、Nさんもきっと紅茶を飲みながら風にひらりとされているようなお人柄だと思いながらメールのやり取りをさせて頂いておりました。
予定されていたマンションの内覧会の日程にも間に合いそうでしたので、さっそく予定を組んでお伺いすることに。
どこかで聞いたことがある住所だなと思いましたら、なんと「つたえる楽しさむずかしさ」のTさんと同じマンション。世帯数の多いマンションだとこういう偶然は、施工のしやすさもあったりしてなぜかうれしいですね。
そして、実際にリビングに入らせて頂いて、持参した木のサンプルをお見せしながら、どういう形でまとめると良いかをお話ししていきます。
すると、赤茶色のオークでおとなしい印象で考えていた柄は節がある表情豊かな素材に変わり、食器棚とカウンター下収納が独立したそれぞれの家具と考えていたものが、リビングから見た時の印象を大切にして、さらにはこまごまとしたものをうまく隠せるようにしましょう、ということで、キッチンごと節ありオーク材で囲ってしまうことに。
「おとうさん」茅ケ崎のWさんのように。
そして家具の印象は、欧風なイメージというよりは、だんだんとNさんの好みが際立ってきてアメリカ東海岸あたりのクラフトマンシップあふれるイメージになっていったのでした。
家具のほうは、せっかくこれから新しく暮らす住まいですから、大掛かりな改装なせずに今ある状況を生かして、なるべくその手作りの表情が生きた家具にしましょうということになりまして、食器棚とカウンター下の収納は新しく作らせて頂きまして、対面カウンターはどうしましょうかと悩みましたが、このままの白いカウンターを生かして木口部分で印象を揃えることにしました。
こうして、ひと通りの家具を設置しまして、ハイこれで完了です。
だいぶ印象が変わりましたね。
上述のTさんとはまた違った印象にまとまりました。
そして、設置後に使っている様子を拝見させて頂きにお伺いしたですが、やはりそのテイストで整った空間で、そこかしこに手の跡が残る印象の空間になっておりましたが、Nさんのその仕草ひとつひとつがたおやかで、その空間が出す色とNさんの仕草が何というかブレのないロックな印象に移ったのです。
そうして、家具の使っている様子を見ながら、お茶を頂きながら、この家具がある暮らしのお話をお聞きする中で、お子さんの遊ぶスペースにあるとても印象深い小さな家具たちがあったのです。
「これですか。」とちょっと照れ笑いしながら、「実は私、こういうふうにコツコツ手を動かしながら作ることが好きなのです。」と教えてくださいました。
いやあ、気持ちのブレない人だなあ。
「そうなのですね、それならもしよかったら木工教室に参加してみませんか。」
「えっ、イマイさんのところでそういう教室も開いていらっしゃるのですか!ぜひ参加したいです。」
ということで、Nさん。その木工教室に2回もご参加くださって、すてきな作品を作ってくださいました。
2018年8月26日 「夏のクレミル 木工教室1日目が無事に終了しました。」
2018年12月2日 「クレミル2日目 「工房開放」1回目」
とてもたおやかに、しなやかな人でしたね。
価格:640,000円(制作費・塗装費)
価格:370,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は80,000円から)
2019.05.06
横浜 S様
design:Sさん
planning:daisuke imai
producer:hideaki kawakami
painting:hiroyuki kai
築16年のマンションを手に入れてリフォームされるというSさん。「きもちの距離」の志木のIさんの製作例をご覧になってご相談くださいました。
Iさんの作例は使い勝手も印象もとてもきれいにまとまっているからか、いつもとても好評で、こうして今まで作らせて頂いたみなさんの形が新しい輪を作っていってくれていることに大変感謝しております。
Sさんの間取りでおもしろいなと思ったのは、一般的な間取りだと、リビングから見えるキッチンの端っこに冷蔵庫を置くスペースがあるところが、キッチンの横に並ぶように冷蔵庫が置かれて、キッチンと冷蔵庫の間に仕切りがあるので、リビングからの印象がとてもすっきり見えるという点です。
これだと、冷蔵庫から食材を出してすぐに作業ができるのでなかなか良い動線なのではないかなあと、あまり料理をしないながらもそう思えるのですが、皆様にはどう映るでしょうか。
そういう間取りですので、今回Sさんからご相談頂いたのはキッチンの背面に食器棚とカウンターを作りたい、というご相談だったのです。
冷蔵庫スペースのように奥まったところにセパレートタイプの食器棚。キッチン入り口あたりには、ちょっとした配膳用のカウンターとその下にゴミ箱を置くスペース。奥行きは30センチもないのですが、ちょうど使い勝手がよく、なかなかマンションでは珍しい形にすることができたのでした。
デザインとは何だろう・・。
何度かお話ししていることですが、私は自分で家具のかたちを作ることはあまりしていません。
皆さんからいただいたお話をもとに組み立てていくことが仕事だと考えております。
しかし、頂いた要望をそのまま組み立てていくだけではアンバランスな形になってしまうことが多かったりします。
特に今回のようにオープンな部分が多いと、扉や引き出しがつく閉じた部分と関わる部分の見え方が、1本のラインが入るか否かで家具の印象が全く変わってしまうことがあります。
緊張感とまでは言いませんが、すっきりとした印象を保ち続けるためには、何を見せて、何を隠すか。その中で使いやすい形やサイズはどのようになるのか。
家具をゼロから考えることはしませんが、いくつかの与えられた条件という味わいをを吟味し、咀嚼し、反芻し、その中でどの味わいをどの部分で生かすことができるかを考えることは一つのデザインだと思っています。
そして、その家具を使ってくださる方がその家具が暮らしの中に入ることで、その方はきっと家具をどう使いたいか考えることで、自分のリズムをあらためて見つめることで、自分自身の新たな一面を発見したり、暮らし方を見つめなおしたり・・。
家具が1台家に入ることで、暮らし方が整っていく。
その人の暮らしを整えることができる。
それが家具におけるデザインの本質なのかなって思っております。
本日も良いかたちができました。
Sさん、ありがとうございました。
価格:500,000円(制作費・塗装費)
価格:370,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は60,000円から)