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2019.09.17
モールテックスの腰壁にはめ込むようにナラの無垢材を使って扉や引き出しを作らせて頂いたNさんのキッチンの記事と、
風が気持ちよく吹き抜けるダイナミックな間取りに作らせて頂いたHさんのペニンシュラキッチンとバックカウンターの記事と、
木の表情がふんだんに感じられる温かな空間に作らせて頂いたペニンシュラキッチンとバックカウンターの記事の3つのお話を掲載いたしました。
よろしければご覧になって頂けるとうれしいです。
2019.09.17
モールテックスの腰壁にはめ込むようにナラの無垢材を使って扉や引き出しを作らせて頂いたNさんのキッチンの記事と、
風が気持ちよく吹き抜けるダイナミックな間取りに作らせて頂いたHさんのペニンシュラキッチンとバックカウンターの記事と、
木の表情がふんだんに感じられる温かな空間に作らせて頂いたペニンシュラキッチンとバックカウンターの記事の3つのお話を掲載いたしました。
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2019.09.17
ちはら台 S様
design:Sさん/daisuke imai
planning:Sさん/daisuke imai
producer:kouhei kobayashi
painting:kouhei kobayashi
私はこの京成電鉄千原線が好きなのです。
千葉県の市原のほうにお住いの方々から時々家具のご依頼を頂くことがあります。
そういう時はもっぱら電車で打ち合わせに出かけるのですが、東京湾岸をぐるりと回る道のりはやはり車よりも電車のほうが風情があって好きです。
新宿から総武線に乗って、西に向かうにしたがって、町工場が立ち並ぶどこか懐かしい街並みを通り過ぎるのです。
場所は違うのですが、子供の頃、祖父母の家が文京区の小石川植物園のそばにありまして、すぐ2軒隣が家族で何やら作っている工場だったのです。
今でいう鉄工所だと思うのですが、夏に遊びに行くとお盆の季節ですから工場はしんと静まり返っていて、それなのに正面のシャッターはすこし開いていたりするのです。
祖父母の家での遊びが飽きると、玄関にある小さな草むらに置かれた赤さびだらけの動かなくなったトロッコに乗って遊んだりしていたものです。
すると、「これは乗っちゃだめよ。」と母に言われていたのに乗ったりしていると、どこからともなく「よっちゃんイカ」(酢漬けのイカのお菓子)の匂いがしてくるのです。
当時祖父が玄関先で駄菓子屋を営んでいた(とても素敵な環境でした。)こともあって、きっとそこから漂ってくる匂いだろうって思っていたのですが、よく嗅いでみるとちょっと違う。なんだろう、と弟と一緒に匂いのする方へ行くと、そのシャッターが少し開いたただ静かなくらい倉庫のあたりから漂ってきたのです。
今にもその暗闇から大きな目玉の人間が飛び出してくるのではないかとびくびくしたものです。
今でいうところの酢酸なのではないかなあと思うのですが、そのお宅は路地の突きあたりということもあって、私たち子どもにとっては用事のないので通ることもないし、いったい何が行なわれているのだろう、と子供の頃はその場所を見るたびに恐れを抱いていたものでした。
そういう煙突やら赤さびやら鉄骨で組まれたやぐらやら、屋上に干されている洗濯物などを見ると、どこからか「よっちゃんイカ」の香りがしてくるようでした。
西に向かうにつれて人もまばらになってきて(幕張あたりは大変な賑わいですが)、そこから南下していくともうどこか知らない町並みで乗り降りする人も少なくなって、本当に静かな気持ちになるのですね。
そういうプロローグが好きで、電車で出かける心地良さはよいものです。
ちはら台はその路線のターミナル駅で停車すると、その先にもう線路はありません。
皆静かに下車して、私もそれに続いて降りると、先ほどの人たちはどこへ行ったのかもう人影もなくなっていたのでした。
スマートフォン片手にそこから40分ほど歩きます。(バスはなかなか不安で乗らないことが多いのです。)
今日はSさんの家を建てる設計事務所さんのアトリエで打ち合わせなのです。
古い農家に混ざって新しく土地もちらほら見えます。大きな公園(うるいど自然公園いうのですね。すてきな場所でした。)新しい家がたくさん建っています。
すてきな街並みです。
と思ったら、Sさんの建築場所は駅を挟んで真向いの方向で、またそちらも目の前に田畑が広く広がる魅力的な土地でした。
やはり、Sさんらしい土地ですね。
最初にご相談頂いた時Sさんが希望されていたキッチンは畳に座りながら食事ができるような、もしくは耳付きの大きなテーブルがあるダイニングがあるキッチンをイメージされていて、こういう和風の形を実現させるのは、暮らす人それぞれの好みで大きくイメージが分かれそうだから難しそうだなと当初は考えていたのでした。
しかし、手元に届いたキッチンのカタログをSさんご夫婦でご覧頂くうちに、いつもの私たちの形のほうがスッキリしてよいかもという思いに定まったようで、その思いを携えて、この寒川まで足を運んでくださったのでした。
そこで大まかなイメージは固まりまして、いよいよ建築も始まるというタイミングでちはら台にお伺いしたのです。
ところでSさん。ご主人はとても物静かな方。奥様も同じようにご主人と同じく丁寧にお話される感じ。そして、設計士さんのYさんもどちらかというと穏やかな方。ここまで歩いてきた風景という導入部の物静かさもあってか、Sさんのキッチンを思い描く時は、とても静かな初夏の午後を思い出すのです。
メールでほぼ内容をまとめてきたこともあって、打ち合わせ自体は1時間もかからずに終わることができて、設置工事の段取りもうまく進められそうです。
私たちのキッチンというと、施主支給という形で新居に導入させて頂くことが多いので、設計事務所さんや工務店さんは初めて顔を合わせる会社さんが多いのです。
それで、基本的にその会社さんのご協力がないときれいに納まらないので、このご挨拶のタイミングはいつも緊張するわけです。
でも幸い、私たちにキッチンを依頼してくださる皆さんが選ぶ工務店さんだからか、気持ちの良い設計士さんや監督さんと出会うことが多くで、今では緊張するとともに楽しみであったりするのです。
形もおおよそまとまっていたこともあって、打ち合わせはそよ吹く風のようにゆったりとし短い時間で終了し、重要なポイントになりそうな、柱とキッチンの接する部分だけはしっかり進み具合を見て判断しましょう、ということで、あとは工事が始まるのを待つばかりです。
それから、数か月後。
いよいよ大工工事も始まって壁から柱までの距離が計測できる時期になりましたので、あらためて電車に揺られて伺います。
ご新居の建設地は、今度は駅から北に向かって15分ほど歩いた田園地帯でお寺さんの隣というとても静かで魅力的な場所です。
その住まいはというと、キッチンは高さを引き締めてリビングに入ると天井の高さがグッと上がるという気持ちの良い空間になりそうな印象。(まだ骨組みですので。)キッチンからは庭が見渡せるレイアウトで、これならこの柱も全く気になりません。
この柱は構造上必要な柱なのですが、視線、動線上の繋がりが切れてしまうような印象がありまして、それなら自然に見えるように柱とキッチンのラインを揃えたい、ということで、壁から柱までの位置が計測できるこのタイミングで現地を確認する必要があったのです。
打ち合わせの時よりも短時間で確認は終了。
これで制作に取り掛かれます。
今回はこのタイミングまで制作に取り掛からずにおりましたので、ちょっと手際よく進めなければいけません。
あらかじめ無垢材の段取りだけは済ませておいたので、(反っちゃうといけないので)あとは工房の中で一番手際のよいコバヤシ君が製作を担当します。
みんなが言うには、コバヤシ君は迷いがない、とのこと。
私も工房で作業に専念していた時代は手が早いと言われていましたが、コバヤシ君の動きを見ているとなるほど、早いです。
今な独立して一人で頑張っている元スタッフのムラカミ君が当時言っていたのは「自分だったら、ちょっと立ち止まる部分もあいつは進めるんですよね。でも、それが間違っていないからすごいなあって僕も思っちゃう。」って。ミスを繰り返して人は成長するってよく言うものですので、じゃあ彼の場合はいきなり大きなミスしちゃうと怖いなあなんて話も時々出たのですが、それも事前に回避できる推察力というのかとても勘も良いのです。
そのような彼のおかげで作業は順調に進んで、設置工事に入りました。
どうにか心配していた雨も上がっていて、まだぬかるみは残っていましたが、当日現地は私たちのためにほかの職人さんが入らない日を設けてくださったこともあって順調に搬入は終了。
搬入っていっつも心配なのです。
結構ばたばたとした現場も過去にあったりしまして、通してもらうのもひと苦労、設置場所には大工さんや設備屋さんの材料だらけで作業場がないくらい足の踏み場がないキッチン。そういう現場もありました。
皆さん持ちつ持たれつで作業しているので、そういう状況ももちろんあるものですので仕方ないのですが、やはり監督さんがうまく段取りしてくださる現場はきれいで、業者さんも順番にきちんと作業ができて気持ちが良い。
搬入が問題なければ、あとは工房で仮組したように組み上げていくだけ。思っていたようにみんなの段取りの良さでスムーズに終わらせることができて、無事に取付は完了。
お疲れさまでした。
あとは工務店さんが水道やガスの配管工事をして頂ければすべて完了。
こうして冬を迎える前に無事に作業は完了して、続いてお邪魔させて頂いたのは寒さが厳しくなってくる1月の半ばでした。
室内はふっくらと温かく、家具としてはこの時期一番心配な感想による板の収縮等の動きですが、そういった挙動はまだ見られずきれいに使ってくださっていたのでした。
実際にキッチンをメインに使われている奥様とはお仕事の関係でお会いできなかったのは残念ですが、ご主人のいつものような穏やかなふくふくした様子をキッチンを拝見させて頂いて、私も同じくらい気持ちが温まりまして、道中寒さを感じることなく家の帰ることができたのでした。
天板 | ステンレスバイブレーション |
---|---|
扉・前板 | ナラ板目無垢材/ナラ板目突板 |
本体外側 | ナラ板目無垢材/ナラ板目突板 |
本体内側 | ポリエステル化粧板「ホワイト」 |
塗装 | オイル塗装仕上げ |
価格:1,300,000円(制作費・塗装費、設備機器費用は別)
価格:600,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は60,000円から、取付施工費は150,000円から)
2019.09.17
町田 H様
design:Hさん/daisuke imai
planning:Hさん/daisuke imai
producer:iku nogami
painting:iku nogami
「こんにちは、Hと申します。4月に、「おうちパンをつくろう」のワークショップに家族で参加させていただきました。
現在、新築住居の設計を地元の工務店さんと進めております。
キッチンは、念願だったフリーハンドイマイさんに!と、さっそくメールをさせていただく次第です。」
そうでしたか、念願だなんて今メール読みかえしてあらためて気が付きました。
うれしい言葉じゃありませんか。
そういえば、このご相談を頂く半年ほど前、私たちの工房では、時々作家さんを呼んでのワークショップを開催しているのですが、寒川のおうちパンの藤沢さんがパン教室をここで開いてくださった時にHさんいらしてくださっていたのをすっかり忘れておりました。
あれから半年経っていよいよ家作りが動き出したのですね。
どんな形に膨らんでいくのか楽しみです。
Hさんから頂いた内容にはこのように書かれておりました。
「私のイメージしている理想のキッチンですが、施工例にある「海が見える丘の家」のキッチンがとても好きです。
○ナラ材にステンレスの天板
○コンロしたの引き出せるワイヤーシェルフ
○スッキリした見た目
また、コンロの前をオープンにするのは油はねや換気の影響が気になりますが、その点はどうなのでしょう・・・?いずれ詳しく伺いたいです。設計の方にはコンロ前の壁をすすめられまして。」
ありがとうございます。でもプランを考えて、その形で作るための費用を出すには、もう少し具体的な要望を聞かせて頂けたら‥、と思いまして、再度ご質問。
そして、お返事を頂きました。
「お世話になります。冬のような寒さですね。
遅くなりましたが、キッチン等の仕様希望について、お伝えします。
【キッチン】
シンク下はオープンにします。
コンロ下は洗えるワイヤーシェルフ。
食洗機は45cm、フロントオープンのものを検討しています。
シンク内に洗剤置きをつくってほしいです。
ゴミ箱はシンク下のスペースに生ゴミ用の小ぶりなものと、あとはパントリーに置くつもりです。
【背面収納】
まず用途ですが、食器収納として考えています。
引き出し収納ではなく、観音開き、または引き戸のものがいいです。
「海が見える丘の家」のカップボードのように、両方あわせもっているものが理想です。
そのため、奥行きのサイズは650mm以下で構いません。
天板上には、電子レンジと炊飯器は置くつもりでいます。
このあたりを含めてイマイさんのご提案を頂けますでしょうか。お手数ですがよろしくお願い致します。」
はい、これでおおよその意見がまとまりましたので、さっそくプランを一つ考えてみて、掛かる費用とともにお送りしました。
しばらくしましたら、Hさんからお返事が。
どうやら工務店さんから上がってきた見積金額はHさんの想定以上だったそうで、予算がオーバーしてしまうので、あらためて間取りの練り直しから再スタートすることになったのだそうです。
そのようななかでもキッチンだけは私たちにお願いしたい、といううれしいお言葉を頂いて、年をまたいでしばらく待っておりますと・・。
1月の終わりの雪がたいへん積もった日の翌日、お久しぶりに連絡を頂いたのでした。
「こんにちは。すっかりご無沙汰しております。
昨日は予想以上の大雪でしたね。お仕事に支障もあったかと思います、お疲れさまです。
最後のメールから2ヶ月が経ち、家の間取りがようやく決定しました。
以前お願いしたものから、キッチンの仕様・大きさ共に変更となってしまっています。
大変お手数をかけてしまいますが、今一度、イマイさんにご相談させていただきたく思います。
その際、イマイさんのショールームで直接お話をしながら検討させていただきたいので、お忙しいところ恐縮ですが、お時間を頂戴できますでしょうか?」
というご連絡。さっそく日取りを決めまして、あらためて打ち合わせをしていき、何度か打ち合わせを重ねてようやく形が決まりました。
キッチンや食器棚など家具のかたちを考えていく時って何が一番前にあるだろう。
自分が今の家を建てようって思った時はそれほどはっきりとしたイメージはなかったかな。
設計をする福原さんの形が好きだったから、あの人が作る空気の中で暮らしてゆくこと自体が楽しみだったかな。
あとは、娘が二人ともキッチンに立って手伝ってくれるので、みんなできちんと作業ができるような場所を作りたいって気持はあったかなあ。
食器を洗うことは暮らしの中で当たり前になっているから食器洗浄機は要らないかな、お湯が沸いたやかんはちょっと横にずらしておいておきたいからガスコンロのごとくは大きくしたいよね、そういう小さなできごとが今の自分たちの暮らしを形作っているって思うのです。
それから、もう一つ。
でも、自分たちだけで決めていたら、きっと食器棚の奥行は65センチにはしなかっただろう。
福原さんの意見で冷蔵庫となるべくラインを揃えることで、玄関から洗面室への心地良さがきっと違うよって言っていたのでそうしたわけですが、確かに奥行は深いけれど、使い勝手はよいし、重い印象はなく、背面収納の天板の広さが調理中とても頼もしかったりするわけです。
そういうワクワクする部分を思ったり、まだ見えていないけれどきっとワクワクするはずの部分を伝えながら、形って決まってゆくのだと思うのです。
Hさんのキッチンという空間は、その使っている様子を見させて頂いて、なるほど、と思わずにんまりしてしまう部分が多くて、打ち合わせの最中はきっと私に伝わっていないけれど、Hさんたちが心で温めているワクワクがあったのだなあと思うと、それはそれでうれしくなるのです。
特に玄関ね、キッチンと玄関がこうして楽しくつながっているとは思っていませんでしたから。
だから、お引越し後に上がらせてもらって、その空気の心地良さを伝えてくださるHさんの表情がとてもうれしそうだったのはよく分かります。
そうして形は決まりましたので、いよいよ制作に取り掛かります。
今回家を建ててくださるのは、カキザワホームズさん。以前、「ストーリテラー」のDさんのところでお世話になった工務店さんです。おもしろいものですね。偶然ほぼ同じ時期に町田で家を建てているなんて。
そういうわけで、一度カキザワさんの現場に入らせて頂いておりますので、何となく気持ちが安心です。
今回は、無事に上棟が終わり、床が張り始められたころHさんとカキザワさんで打ち合わせがあるところにお邪魔させて頂いて、水道管やガス管の取り出し位置、レンジフードのダクト取り出し位置、電気配線の位置、そして、キッチンの設置時期の確認などをさせていただきます。
また、今回はキッチンのある場所は1階でしたので、家具を分割する必要も、搬入の複雑さもありませんでした。
ここで問題なさそうでしたら、いよいよ制作に入らせて頂き、大工さんの木工事が終わる頃に設置工事に入れるように進めていきます。
家つくりで一番大きいのはやはり監督さんや大工さんの段取りだと思うのです。
そこがきちんとしていて、現場に笑顔があると、現場はとてもきれいだったり、仕事がとても丁寧だったりするのです。
カキザワさんもそういう良さがありまして、キッチンを設置する時には私たちが作業しやすいように場所と時間を作ってくださったおかげでとても気持ちよく作業ができたのでした。
そして、そういう家はとても丁寧に作ってあります。
新居が完成して伺わせて頂いた時、前述したような気持ちよさとともに作りの丁寧さが心地よかったのでした。
今は無邪気に走り回る子供たちもまもなくこの気持ち良さが何なのかきっと気づくはず。
あっ、もう分かっているかもね。アハハって笑いながら通り抜ける風を思いきり吸い込んだから。
天板 | ステンレスヘアライン |
---|---|
側面・背面 | ナラ板目無垢材 |
扉・前板 | ナラ板目突板突板 |
本体外側 | ナラ板目突板 |
本体内側 | ポリエステル化粧板「ホワイト」 |
塗装 | オイル塗装仕上げ |
価格:900,000円(制作費のみ、塗装は施主様施工、設備機器費用は別)
価格:500,000円(制作費のみ、塗装は施主様施工)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は50,000円から、取付施工費は150,000円から)
2019.09.17
そうなるとやっぱり肉だね。
姉ちゃんのお祝いだけと、やっぱりチアキのリクエストで肉だね。
ハンバーグにソーセージに目玉焼き。
イカフライもついちゃうよ。
そして、大盛りごはんとコーラ。
我が家ではチアキが一番たくさんご飯を食べているかなあ。
2019.09.17
御殿場 N様
design:Nさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:yasukazu kanai
painting:yasukazu kanai
御殿場というと、箱根と富士山の間に囲まれた緑豊かな場所にあって、のどかな風景の中をゆっくりと進む単線があり、この電車に乗って打ち合わせに出かける時などはどこか子ども自分の遠足に向かう心持ちになったものでした。
車で向かえば何気ないうつろいのなかに小さな息づかいを感じることは難しくなるのですが、電車やはたまた歩いてどこかに向かう道すがらにすれ違う小さな命は本当に私の気持ちを落ち着かせてくれます。
ただ、Nさんとのやり取りの際はもっぱら車になってしまってそういったおかしみを味わう時間があまり取れなかったのかすこし心残りではありました。
しかし、Nさん自身とのやり取りは同年代(おそらく)で自営業をされているということで、子育ての話だったり、家に対する思いだったりがとても楽しく良い時間を持たせて頂くことができたのでした。
Mさんのキッチンは少し変わっていたのです。
見返すと、最初にここにいらしてくださったのは2017年の夏でしたね。あの時はリフォームを検討されていたのでしたが、お話が進むうちに建て替えになることが決まったということで、あらためてキッチンの相談をくださったのが始まりです。
どこが変わっているかというと、最近よく見られるようになったモールテックスというクラックがとても入りにくい左官材を使うことと、加熱調理機器がビルトインではないという点です。
モルタルを使ったワークトップやライニングのあるキッチンは今までにもよく見られてきました。
ただ、下地が木材だったり、少なからず吸湿する素材で作られることが多いため、使っているうちに表面にクラックが入ることが多かったのでした。
モールテックスという素材は、鉱物と樹脂が混合されてできた左官材で柔軟性があるので、クラックが入りにくいことが特長なのだそうです。
私たちのところにもモールテックス仕上げのキッチンを希望されるかたから相談を頂くことがあるのですが、残念ですが左官仕事はやはり左官屋さんの技術があって、一朝一夕で仕上げられるものではないものですので、モールテックス仕上げになる場合は工務店さんのほうで左官屋さんを手配してもらって、木部の工作を私たちのほうで受け持つ、というスタンスで仕事をしております。
今回もそのような形で、左官屋さんが入る前に私たちがキッチンを納品する、という形で工事は進みました。
そこで今回は、キッチンを囲む壁ができたらすぐに納品して左官屋さんの作業をスムーズに進めましょうということになりまして、そうなりますと設置場所の採寸をしてからの製作では間に合わなくなってしまうので、図面を見ながら設計士さんとNさんとで確認を取って製作寸法を確定してその寸法から少しだけ余裕を見た形で壁を作って頂くとして、壁の完成よりも先行して製作に着手したのでした。
こういう段取りの現場は今までも少なからずありました。
それで、図面通りに設置場所ができあがっているかというとその通りになっている現場はどちらかというと、ちょっと淋しいのですが半分以下だったりします。
数ミリの誤差で済めばよいのですが、時には10ミリ以上も予定と変わっていたりして。
たいてい予定よりも広くなっていて、キッチンは設置できるのですが、隙間ができちゃう。
それで隙間をシリコンで埋めるわけですが、やっぱりオーダーで作るのですから、そのあたりはなるべくピッタリに作りたいところです。
特に今回は監督さんとお会いすることができなかった。工事の段取りを取り決める人に会えないというのはなかなか厳しいことです。
そうなると、やはり設置場所はちょっと広くできあがったりしていましたが、多少調整することでどうにかきれいに納めることができました。
その後、大工さんが作った背面の棚に合わせて引き出しと扉を私たちのほうで作らせて頂いて完成。
これで、キッチンがひとまとまりになりました。
今回、このキッチンのお話の中で、工房まで打ち合わせにいらして頂く機会がありました。
その後にこのようなメールも頂いていたのです。
「今回は、キッチンではなくダイニングテーブルの事なのですが。
以前ショールームにお伺いした時に展示してあった、直径1300mmのナラのダイニングテーブルが忘れられず、オーダーしたいと思いメールしました。
お願いできますでしょうか。足はシンプルな4本足が希望です。」
キッチンのやり取りの中で、並行してテーブルのお話も進んでいて、キッチンだけではなく、テーブルもナラ材で作らせて頂くことになりまして、キッチンとダイニングの目線がとても落ち着いた形になったのでした。
天板 | ステンレスヘアライン |
---|---|
扉・前板 | ナラ板目無垢材 |
本体外側 | ナラ板目突板 |
本体内側 | ポリエステル化粧板「ホワイト」 |
塗装 | オイル塗装仕上げ |
価格:990,000円(制作費、塗装は施主様施工、設備機器費用は別)
価格:480,000円(制作費、塗装は施主様施工)
価格:330,000円(制作費、塗装は施主様施工)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は50,000円から、取付施工費は110,000円から)