学んでいく

2017.11.18

その頃私は工房でお客様をお待ちしておりました。
午前中にいらして下さった、とても背の高いOさんが奥様とお子さんと一緒に食器棚のご相談にいらして下さいました。
メールでは、大まかなお話しかしておりませんでしたので、ここでいろいろ見て頂いて何ができるか、Oさんが何を求めているかを紐解いてゆこうという考えでした。
こんな形もできます、こういった方法もあります、そういうお話をしていくことで良い家具を作ることの理解を深めて頂きたいところですが、マンションに入居されるというOさん。マンション特有のできあがってみないと部屋の様子が分からない、と言う形なので見えない部分も多いのです。
そうなると家具を作ることも使うこともどこかぼんやりすることがあります。家に入る前に必要なものなのか、そうではないのか、私はそれをいま必要としているのか、否か・・。だんだんと頭がグルグルとさえしてきそうな問いかけ。
見えないならいっそ見えてから作るほうが良いわけでして、お引越しされてからきちんと自分の暮らしかたの一挙手一投足に気を配るように自分たちの動きをみつめてから家具を作りましょう、と言うことに。
慌ててお話を進めなければ新しい家で暮らすことができないものでは決してないですものね。
まずは、今日のお話で生まれた原案を作ってみますので、今しばらくお待ちくださいませ。

夕方からは、先週もいらして下さったTさんに再び足を運んでくださって、駆け足でキッチンの内容を確認していくことに。
Tさんのご新居、いろいろありましてお会いしてまだ1週間も経たないのに、かなり密な打ち合わせをする必要が出てきて、今日もご主人と奥様と顔をつきあわせて4時間いろいろとお話をしたのでした。
スタイリストさんとデザイナーさんと言うご夫婦で独特の感覚をお持ちですから、そのイメージをくみ取って、お互い思い描いている形を合わせていくのには、とても当たり前で可愛らしい方法。
写真のように、ここにある端材たち、サンプルたちを集めては積み木のように並べて、板の厚みの感じ、目地の感じなどをあれこれ考えていくのです。
こういう作業は物作りの原点かもね。
駆け足で決めなくてはいけないことばかりになりましたが、良い形になりそうで、とても楽しみなのです。
ちなみに、Tさんの室内のイメージは、「着物を着てどこか苦虫を噛み潰したような表情のおじいさまが奥から出てきそうな、昔懐かしい場所。」を実現したいのだそうです。
むずかしいね!