偶然かなあ

「タモ柾目の食器棚とテレビボードのオーダー」

大和 O様

design:Oさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:masakane murakami
painting:hiroyuki kai

Oさんから食器棚のご相談を頂いたのでした。
食器棚というと、いろいろとなイメージを持っているのは奥様だったりすることが多いのですが、今回は確かご主人と主に打ち合わせを進めていたような覚えがあります。
何度かメールでやり取りをした後に、お会いしてお話をすることになりましてこちらまでいらして頂けることになりました。

タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

食器棚全景、その1。


タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

食器棚全景、その2。ダイニングから見たところ。キッチンに絵があるっていうのはとても良いです。


ガラス引き戸のあるタモ材のテレビボード

食器棚全景、その3。キッチン入り口側から見たところ。引き出しの上半分には真鍮のハンドルをつけて、下半分は、手掛けにしているという少し変わったデザインは、Oさんのご提案。とても良いバランスになりました。

いらしてくださってお話した印象は、どちらかというと物静かなお二人で、奥様はご主人の後ろに控えて見守るような印象で、ご主人が物腰柔らかにお話してくださるのですが、時折見せる間がどことなく特徴的なお二人なのでした。
もしかしたら、私たちに近いお仕事をされているのかなあ、そんなフワッとした香りがするような・・。

タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

吊戸棚をつけるかどうかあれこれ検討して、最終的には、ちょっと物が置けるくらいのサイズでオープンの棚をつけることに。これがダイニングから見るととても良い印象。

その時とその後のメールのやり取りを含めて、食器棚をご依頼頂けることとなりました。
ありがとうございます。
さっそくOさんのご自宅に採寸にお伺いすることに。
ご自宅はへーベルさんで建てた家ということで、ヘーベルさんの場合は独特の決まりのようなものがあって、家具の設置が難しい場合もあるので、Oさんにもお手伝い頂いていろいろ調べまして、問題なく設置できることに。

タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

吊り棚はタモ柾目の無垢材で吊り棚は作っております。

また、使いにくい位置にあった天井付近のコンセントも問題なく食器棚部分に移設できるかどうかもこの時一緒に調べることにしたのでした。
場所からすると、冷蔵庫を置く場所でもないけれど上についてしまっているので、家電とつなぐとケーブルが丸見えになってしまうのです。
これはぜひ移動したいとOさんも私も思っていて、「移動できるか調べてみますね。」とコンセントプレートを外したら、プレートにクロスのノリがついていたようで、クロスがビリっと。
(あっ、いけない。)と思ったら、慌ててしまってさらにビリビリっと・・。
「Oさん、申し訳ございません・・。」とお伝えしたら、静かに控えていた奥様が「大丈夫ですよ。次回家具の設置に来て頂いた時に張り付けて頂ければ目立たなくなりますものね。」ととても包容力のあるお言葉。ご主人もにこりとうなずいてくださって。
すみません、ありがとうございます。
結局、コンセントは無事に移せそうなことが分かり、お二人のお仕事のお話になりました。

タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

カウンターのトップはステンレスヘアライン仕上げ1.0mmの厚みの板を張っています。


タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

ハンドルは、堀商店さんの真鍮磨き仕上げのハンドル。使い込むと良い鈍色になってくるのです。

すると、デザイン関係のお仕事をお二人でされているのだそうで、このキッチンがある2階は住空間で、1階がオフィスになっていたのでした。
「幼稚園バスや観光バスなどのサインを作ったり看板をデザインする仕事なのです。イマイさんがお住まいの海老名でもお仕事させて頂いておりますよ。」
と、お話を聞くと良く見るバスのサインをOさんが作っていたりと、とても気持ちが近いお二人なのでした。
「ありがとうございます、壁に修理も含めてきちんときれいに作らせて頂きます。」

タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

引き出しの様子、その1。引き出しには、専用のカトラリー収納を作らせて頂きました。


タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

引き出しの様子、その2。


タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

引き出しの様子、その3。


タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

引き出しの様子、その4。


タモとステンレスを使ったキッチンバックカウンター

左下の扉を開けた内部の様子。

そうしてプランもまとまり製作に取り掛かっているなかでお話が変わるのですが、友人である建築士の福原正芳さんの奥様が勤めているマキさんのスタジオで、展示会があるということで、アキコがぜひとも作品を見に行きたいということで、私もあの竹林SHOPがとても好きだったものですので、家族みんなで出掛けたのです。
場所はね、ここからちょっと遠い武蔵五日市。

ガラス引き戸のあるタモ材のテレビボード

こちらはリビングに設置させて頂いたテレビボード。

いつも人気でお目当ての作品が無くなるといけないと、みんな早くから来られて朝からとても賑わっているSHOPなのですが、そこに「んっ?」見覚えのあるお顔がお会計を待つ列に・・。
おぉ、Oさん(ご主人)です。
「Oさん、Oさん!ご無沙汰しております。」と声を掛けると、「あっ、イマイさん。このような場所でお会いするとはすてきな偶然ですね。」

ガラス引き戸のあるタモ材のテレビボード

デザインのベースは、「風をはこんだ」の水戸のNさんの形をもとにアレンジしていきました。

Oさんのお住まいは大和。私は海老名。ここは武蔵五日市。
それぞれ住んでいる地から遠く離れて、この同じ時間でこのすてきな場所で出会える偶然。なんてすばらしいのでしょう。
「実は、妻が今日は来られなくて彼女から頼まれて、お目当ての作品が無くなっちゃいけないと思いまして、こうして来ているのです。」とちょっとうれしそうに、恥ずかしそうにそうおっしゃってくださいました。

ガラス引き戸のあるタモ材のテレビボード

将来的に左の壁までボードを延ばせるようにできたら良いな、というOさんのご要望に応えられるようにつないでも違和感ないようなシンプルな仕上がり。

「そうなのですね、すごい偶然でとてもうれしいです。家具の製作は順調に進んでおりますので、予定通りにお伺いできますからもう少しお待ちください。それではまたお会いしましょう。」と。
お客様と「また、お会いしましょう。」って言えるのってすごくすてきなことです。
うれしいなあ。

ガラス引き戸のあるタモ材のテレビボード

収納の上にオープンのスペースという印象は、天板の上に置くものとこのオープンスペースに置くもので明るさが変わるからか、とてもメリハリあるものの置かれ方になります。

そして、順調に製作は進んで、ちょっと濃くしたいのです、と言われていたたもののオイル塗装も順調に終わって、さて納品。
場合によっては階段を上がらないかと思って少し心配しておりましたが、無事に搬入も済んで、家具の設置も、心配していたコンセント近くのクロスの修理もきちんと終えることができてホッとひと安心。
うれしいことにそのあとに、テレビボードのご相談をも頂いて、後日納品させて頂いたのでした。

ガラス引き戸のあるタモ材のテレビボード

引戸はガラスの引き戸。1枚だけ作り、常に片側はオープンになっているという印象。


ガラス引き戸のあるタモ材のテレビボード

下の扉には可動棚が1枚入っています。可動棚を外せばA4サイズの本などがしまえる高さ。


ガラス引き戸のあるタモ材のテレビボード

格子扉を開けると、AV機器などがしまえるスペース。奥には、壁についているコンセントがそのまま見えるような感じになっています。

「イマイさん、次は本棚を考えているのですがまたちょっと仕事が忙しくなってしまったので、落ち着いたら連絡しますね。」
うれしい言葉です。

タモとステンレスと真鍮を使った食器棚

価格:600,000円(制作費・塗装費)

タモのテレビボード

価格:400,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は15,000円から、取付施工費は30,000円から)

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