オーダー製作例

節アリナラ材とステンレスヘアライントップのキッチン

自分たちの家になってきた

「オーダーキッチン」

小平 F様

design:Fさん
planning:daisuke imai
producer:iku nogami
painting:iku nogami

節アリナラ材とステンレスヘアライントップのキッチン
キッチン全体の様子。昔の間取りをそのまま生かして部分解体したということもあり、昔のキッチンサイズに比べて今回はもう少し奥行を取ったので、勝手口に少しキッチンが掛かっちゃうのもその人らしさ。
節アリナラ材とステンレスヘアライントップのキッチン
私は使い込まれている様子って好きです。ピカピカおろしたての家具はもちろんきれいなのですが、何というか匂いがないのがどこか白々しくて、だってそこではみんなが毎日暮らしていて、人それぞれの美しさや可笑しさや喜びが見え隠れしているはずなのに、それが映らないのはちょっと帰って淋しく映るわけです。

節アリオーク材の吊戸棚と背面収納
こちらは食器棚。最初は、この家具だけのご相談だったのですが、お話が広がったことで空間にも広がりができたように思えます。

「現在住んでいる家が、28年経ちキッチン&洗面所のリフォームの打ち合わせ中です。
食器棚も愛着の持てる、使い続けていきたいと思うようなものに変更しようと思い、ご連絡させていただきました。
ホームページで拝見した「眺めているだけで」川口 Y様のようなキッチンのバックカウンターと吊り戸棚のような形がまさに理想なんです。
手掛け扉で、とてもすっきりと見えるところが気に入っています。
【カウンター】
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引き出しが4つから5つぐらい、あとは観音開き。
収納が多いい方がいいので、高さは90センチぐらいでいいかな?と思っています。
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【吊り戸棚】
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使いやすいよう天井までつけないようにしたいのですが、今より物を少し減らさないと入らなさそうで、片付けをしているところです。
現在の吊り戸棚の高さが天井から90センチあり、高いところは届きにくいため、不便を感じています。
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木の種類は、ナラ材やタモ材が気になります。理想は無垢材なのですが、予算の都合上、難しいかもしれません。
木造2階建で、階段が狭いため、2階にシステムキッチン(これから変更予定)を入れる際には、庭側からロープで搬入する事もあるかもしれませんと、工務店さんには言われています。
工事が年明け、2月下旬から3月下旬を予定しています。
丁寧にお仕事をされているようで心苦しいのですが、納期についても可能かどうかお伺いできればと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。」

と、Fさんからご相談のメールを頂きました。
これから冬に差し掛かろうとする季節でした。
食器棚でしたら、リフォームが終わったあとの御日私後に設置工事に入る形になると思いますので、まだ2か月~3カ月ありますので十分間に合います。
さっそくそのようなことをお返事させて頂きました。

シンクの洗剤ポケット
シンクには丸いバー付の洗剤ポケット。「ブラシを立てたり、フックを掛けたりする方バーが上のほうが良い。」「洗剤のポンプが押しにくくなるので、バーは下の方が良い。」皆さんいろんな意見があります。

「早々にご返信ありがとうございます。
食器棚はシステムキッチンと一緒に、4つのショールームで見てきたのですが、どうも家電みたいな感じが好きになれませんでしたので、
フリーハンドイマイさんの図面とお見積りを楽しみにしております。」

はい、頑張って良いかたちを考えましょう、と思っていたところ、再びメールが届きました。

節アリナラ材とステンレスヘアライントップのキッチン
Fさんに教えて頂いたシンク下のスチールラック。ケユカさんで取り扱っているそうで、こういう使いやすい小物を利用することで、より使いやすい場所になっていきますね。

「食器棚の納期は間に合うということをお伺いしているのですが、キッチンのお見積りもお伺いしたく、ご連絡させていただきました。
リフォーム工事の時期についてですが、2月下旬から3月下旬に2階建(2世帯住宅)の、1階部分の耐震工事とそれに伴う1階のシステムキッチンの交換です。
築30年経っているので、2階のシステムキッチンも交換しようかという話になりいろいろショールームを見て回りました。
あまり気に入ったものはないけれど、どうしたものかと思っていたところ偶然こちらを見つけ、器棚の方のお見積りをお願いさせていただきました。
フリーハンドイマイさんにお願いすると、素敵なキッチンになりそうなのですが、納期的に予算的に厳しいのかなと思いつつも、まだ諦めきれず、、、
キッチンの方もお見積りをお願いできればと思い、再度メールさせていただきました。
イメージも添付いたします。」

パナソニックのK7深型面材取付
こちらが、パナソニックの一番新しいタイプの食器洗浄機K7。上部の黒い部分が操作盤になっていて、低温蒸気も直接正面に出にくくなっているとてもすっきりしたタイプ。

うれしいご連絡でした。では、頑張って考えますね。
ちょうど毎年の12月に開いているイベント「クレミル」の時期でしたので、本来なら工期も決まっているので急がなければならないのですが、少しお時間を頂きましてプランと御見積を作りお送り致しました。
その内容を見て頂いて、まずは私たちのショールームにキッチンなどを見に来て下さることになりました。
ちょうどクレミルは終わってしまったのですが、実際に使っているキッチンを見て頂ければどのような形のものになるかが分かりやすいです。

fja022
Fさんから届いたキッチンのスケッチ。その人が良く分かってうれしいのです。
カトラリー用引き出し
キッチンの引き出しの様子、その1。
節アリナラ材とステンレスヘアライントップのキッチン
キッチンの引き出しの様子、その2。
節アリナラ材とステンレスヘアライントップのキッチン
キッチンの引き出しの様子、その3。
節アリナラ材とステンレスヘアライントップのキッチン
キッチンの引き出しの様子、その4。
節アリナラ材とステンレスヘアライントップのキッチン
キッチンの引き出しの様子、その5。

節アリナラ材とステンレスヘアライントップのキッチン
キッチンの引き出しの様子、その6。

表面に木がそのまま使われているキッチンなんて、昔はね、きっと当たり前のことでしたのに、システムキッチンが普及するにしたがって、表面がお掃除しやすいようにコートされた素材が一般的になってくると、「木のままだとカビが生えちゃう」「まな板のように黒くなっちゃう」「お手入れが大変」というイメージがついてしまうようになったのですね。
良いことも悪いこともひとはそれぞれ工夫して今に辿り着いているわけです。
昔は木を切って、削って1枚の板を作って、それを大きな板にして、箱にして、家具にしてきたわけです。
その時に出てきたデメリットを改善できるようにと良い使いやすいものを工夫して生んできたのです。そうして生まれたものは良い面もあれば悪い面もあります。
そういう新素材が生まれたことで、元の素材が見直される。すべては人が作り出してきたもので、どれも良い面と悪い面があって、自分の中できちんと優劣を決めて選択するのはよいのですが、それを人に押し付けるように進めることは良くないわけで。
今の時代は、そういう意味でいろんなものを対等に見られる世の中になったと思います。良い、悪いを咀嚼して、その中で自分が必要なものを選ぶことをしやすい世の中になったと思います。
先日も友人の設計士さんとお話をしていて、少し昔にそのかたのご自宅に作らせて頂いたキッチンは天板がナラの無垢材でした。シンクはさすがにステンレスのオーバーシンクにしましたが、水が跳ねるあたりももちろんナラの木です。
そして、オイル仕上げです。
私でさえ、なかなか勧めることができない仕上げです。設計士さんと言うこともあって、いろいろ知って、いろいろと覚悟したうえで作った形です。
「表面はガサガサになってきましたが、黒ズミとかはまだまだつかないですよ。」とにこやかにおっしゃってくださいました。
それでもなかなか覚悟の入る仕上げですので、まだ私自身からは皆さんにお勧めするのは難しいのですが、そういう選択もできる世の中になったのだなあとあらためて思うのです。
だから、キッチンが家具ではなく、装置と言うか設備と言うか、そのように見えてしまうことが淋しく感じる方々は、「汚れたり、多少反りが出たりしても、やっぱり木の温かみがほしいです。」といってお声掛けしてくださる。
うれしいことです。

節アリナラ材
節アリ材の表情。こちらはまだおとなしい。

そして、さっそくFさんご家族がいらしてくださいました。
私たちが普段どういうふうに家具を作っているか、どの場所にどんな素材を使うか、どんな仕上げ方があるかなど私たちができることをいろいろお話させて頂きました。
そのいろいろなことを知って頂いたうえでどのような形にされたいのか、あらためてお話を伺うのです。
今までと変わらない形のままのかたもいらっしゃれば、全然違う方向に話が進んでいくかたもいらっしゃいます。
楽しいですね。
「引き出し」とか「扉」とか「お鍋をしまう」とかいろいろと描かれた積み木を一度バァッとバラまいて、好きなものを積み上げていく感覚です。
その積み上げ方がいびつだと倒れちゃうので、そこを倒れないようにうまく整えていくのが私の仕事です。
できあがった積み木はカラフルで、独創的な形。
一見、同じように見えても他にはない独創的な発想が見え隠れしています。
そういうふうにしながら、「イマイさん、どうしたら良いでしょう。」「ここはこうすると良いかもしれませんね。」とキャッチボールを繰り返して、積み木はきちんと積まれていきました。
Fさんがご夫婦でウェブデザインのお仕事をされているからでしょうか。
積み木の積み立てかたは、丁寧で順序良くスムーズに決まっていったのでした。

節アリナラ材とステンレスヘアライントップのキッチン
吊戸棚の中の様子。

でもね、Fさんが最初にこちらにいらして下さった時に思ったのが、ご主人の目力が強い。そして物静か。
奥様が、順序良くお話を組み立てて、私がその間に選択肢を示したり、形をまとめたりして、その途中でほんの少しだけご主人がアドバイスをしてくださりながらお話は進んでいったのですが、Fさんにはまだ赤ちゃんがいらっしゃるということで、長く続いた打ち合わせの途中で授乳の時間になってしまいました。
(結構お母さんたちはたくましくて、もちろんショールームの隣の部屋に移って、布を掛けて授乳されるのですが、時には目の前でパサッと掛けてそのまま授乳しながら打ち合わせを進めるかたもいらっしゃって、私のほうがドキドキしてしまう。)
そのようなわけで、奥様が隣の部屋に移られている間、今までメインで主に奥様とお話して頂け、と言うこともあって、ご主人とどうお話していこうかといろいろ思い巡らすのですが、何しろ目力が強い。かえってご主人の視線のほうがドキドキしてしまうくらい。
物静かな方ですので、どんなお仕事をされているのかこの時はまだ分からず、何となくキッチンの工事の流れなど実務的な部分をお話しているところで奥様が戻ってこられました。
すみませんが、ホッとしてしまいました。

節アリナラ材とステンレスヘアライントップのキッチン
食器棚の引き出しの様子、その1。
節アリナラ材とステンレスヘアライントップのキッチン
食器棚の引き出しの様子、その2。
節アリナラ材とステンレスヘアライントップのキッチン
食器棚の引き出しの様子、その3。
節アリナラ材とステンレスヘアライントップのキッチン
食器棚の引き出しの様子、その4。

節アリナラ材とステンレスヘアライントップのキッチン
食器棚の引き出しの様子、その5。

そうして、ひとつの形にほぼまとまった頃、一度Fさんのご自宅を拝見させて頂くことにしました。
さっそくお邪魔させて頂くと、リビングには作業着のスタッフさんが3名すでにいらしゃっていました。
住友林業ホームテックさんです。
最近は住友林業さんの現場でお仕事させて頂き機会がたまたま重なっておりまして、大手のハウスメーカーさんでも私たちのような小さな家具屋の参加を認めてくださるところがうれしかったりするのです。
大きな組織になると、やはり規約外のメーカーが入ったりすることがなかなか難しかったりすることが多いですので。
「こんにちは、お世話になります。」
それぞれみなさんにご挨拶させて頂くと、今ちょうど横浜で住友林業ホームテックさんで設計をされているMさんのご自宅のリフォーム工事をおこなっているのですが、そのMさんをご存知のかたもいらっしゃって、仕事がしやすい環境になりまして、これは大変助かります。
だいぶ使い込まれたキッチンを囲んで、どの部分を解体してどの部分を新しくしていくか、その新しくするにあたって、古い部分との整合性をどう保つか。リフォームは何となくパズルのような意識を持って臨んでいくのだなあ、と思うのです。
おおかた打ち合わせも終わって、「それでは、今日の内容をもう一度まとめて図面に反映させますね。」と言うところで、再び素材についていろいろ考えることに。
当初はナラの板目材を使う形で考えておりました。
でも、Fさんのお宅にお邪魔させて頂いて、ダイニングテーブルをふと見ると、節がドンとは言っている荒々しい表情の仕上がりだったのです。
「テーブルは節がある仕上げなのですね。」
と、たずねてみると、やはりFさんのいろんな思いがあって、特にこの節がある表情はご主人が強く望んだものだったそうです。
それでは、キッチンと食器棚もそうしましょうか、と言うことになり、すべて節のある表情でまとめることになったのです。
ここに来てようやくご主人の好みが分かったこと、それがこの日一番の収穫でした。
そのようなわけでFさんの思いと、住林さんのそれをかなえるための努力の中に私もねじ込んでもらって、キッチンはスムーズに納めることができそうな具合に進んでいくのでした。

節アリナラ材とステンレスヘアライントップのキッチン
食器棚下の扉の中の様子。こういう置き方があるのだなあと、とても勉強になりました。

さっそく工房に戻り、まずは癖のある節アリ材の段取りです。
あえて使っている節アリ材ですが決して良材とは言えない部分も多く、挽いてみて初めて良い表情や悪い性質などが分かってくることも多いのです。
キッチンとなると、ほかの業者さんとの関わりも出てくるので、材の良し悪しで納期がずれたりしてはいけないので、早めに材の段取りをしておきます。
そして、節のある突板(どうやって作るのだろう)を使えることも分かってきたので、そちらも遠方の突板屋さんから取り寄せておりますので早めに段取りをしておきます。
準備が整えば、Fさんの思いがたくさん詰まってはおりますが形は比較的シンプルでしたので、製作は順調に進みます。
ご実家のリフォームも順調に進んで予定通りに2階のキッチンまわりの壁の木工事が終わる頃に設置工事に入らせて頂きました。
ホームテックさんがきちんと段取りしてくださっていて、その日の作業は私たちだけ。
キッチンのキャビネットや天板は階段から上がらず、バルコニーを使って屋外から搬入する形になり、さらには雨にも降られそうでしたので、2階に家具のパーツたちをバラバラと並べさせて頂いて、とても作業しやすく対応してくださったのでした。ありがとうございました。
リフォームと言うこともあって、床や壁の調整が難しい部分がありましたが、どうにか無事に設置完了。
今回初めて導入した操作盤の見えないパナソニックの食器洗浄機もきれいに納まり、無事お引き渡しとなりました。

後日、Fさんからお便りを頂きました。

「昨日はわざわざ遠くまでお越しいただき、本当にありがとうございました。
細かい扉の調整をしていただき、また炊飯器の蒸気の対策が聞けて安心しました。
炊飯器の蒸気も、一ヶ月に一度くらいの頻度でオイルでお手入れしていけば、木がコーティングされるんですね。
本来予定していたバックの食器棚に戻して使ってみます。
子供も居てバタバタしていたので、使ってみた感想やお伝えきれなかったことを・・・と思い、メールしました。
イマイさんのキッチンにして本当に良かった、と日々実感しながら使っています。
リフォームの際に、キッチンの一般的なショールームを5箇所まわっても、夫婦でこれが良いねというものに巡り合えずにいました。
「オーダーキッチン」で検索して、ホームページをみる毎日。
たくさんのキッチン屋さんがあるのも初めて知りました。
リフォームでタイトなスケジュールの中で焦り始めた頃、たまたまイマイさんを見つけることができました。
作例がたくさん載っていて、人それぞれに寄り添って作ってくれそう、また、希望の形に近い作例があり、キッチンと食器棚の費用ものっていたところに惹かれました。
そうでないと、旦那さんを説得できないので・・・(笑)
お忙しい中、希望のスケジュールに合わせて製作していただき、感謝の気持ちでいっぱいです。

オーク無垢の木の表情、木の手触り(引き出しを開けるたびに嬉しくなります)、人の手で作られたと感じながら使えるところ、引き出しのサイズ感(コンロ脇の2段の引き出し、調味料入れも使いやすいです)、など、どこをとっても素敵なキッチンにしていただき、本当にありがとうございました。
この度、新しくキッチンを作っていただき、自分たち夫婦の家になってきたと嬉しく思っています。
本当にありがとうございました。」

うれしい言葉がたくさん詰まっておりました。
ありがとうございました。

キッチン仕上
天板 ステンレスヘアライン
扉・前板 節アリナラ無垢材
本体外側 節アリナラ突板練り付け
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 オイル塗装仕上げ
ナラ節アリ材とステンレスのキッチン
価格:770,000(製作費・塗装費、設備機器費用は別)
ナラ節アリ材の食器棚
価格:600,000(製作費,塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は50,000円から取付施工費は120,000円から
ちょっと関わりのありそうな家具たち