オーダー製作例

キッチン入り口

暮れなずむ町

「オーダーキッチン」

世田谷 N様

design:内田雄介設計室
planning:内田雄介設計室/Nさん/daisuke imai
producer:kouhei kobayashi
painting:kouhei kobayashi

内田雄介さんから「新しくキッチンを作りたいのです。」というご連絡を頂きました。たしか、内田さんとは1歳違い(私がおじさん)ですので、感覚がとても近いように感じていて、内田さんも素直にいろいろな意見をおっしゃってくださるので、いつもとても楽しく仕事をさせてもらっております。

ナラ板目のペニンシュラキッチン
ダイニングからキッチンを眺める。
ナラ板目のペニンシュラキッチン
内田さんの自宅のキッチンにも取り入れられている浮かせた印象のキッチン。バックパネルとサイドパネルの木目を流れるようにつなげて、天板とはがきの色を変えることで内田さんらしさが出ています。

ナラ板目のペニンシュラキッチン
世田谷の千歳船橋のあたりの少し中に入った住宅街は、街並みが古く、道も狭くて家々も低かったりします。そのようなちょっと小さな立地ですので、Nさんの新居は3階建て。でも、それを高低差をつけて豊かに見せるのはやはり設計士さんの魔法です。

今回のNさんは「世田谷のちょっとコンパクトなおうちなので。」ということで、どんなにしてゆけるのか楽しみなのでした。
内田さんのアトリエは、稲城の駅から坂をふんわり上ったところにあります。
まさに長く長く日暮れ夕暮れが楽しめる丘の町ですね。

インターフォンを押すと、いつもよりも髪が長くなった内田さんがにこやかに迎えてくださいました。
「こんにちは、いらっしゃい。」

ナラ板目とステンレスヘアラインのキッチン
バックパネルは内田さんのご自宅と同じく、ナラの板目の幅接ぎ板。ナラを使うのは内田さんの定石ですね。

このアトリエに来るのは初めてで、それまでは内田さんのご自宅で打ち合わせをしておりましたので、また新しい内田さんの色が見えてとても新鮮です。
あれこれ見渡していると、Nさんが到着。
「こんにちは、初めまして。」
と良く響く声のNさん。

洗剤ポケットと水切りプレート
天板が浮いたようにするために、天板の厚みをいつもよりも少し薄く仕上げて、その下に10mmほどの目地を取ります。

誰の声だっけ・・・、と考えていた頭に浮かんだのは武田鉄矢さん。
おぉ、これほど似ている声のかたがいらっしゃるとは。
あぁ、もう金八先生が目の前でしゃべっているようにしか聞こえない。
Nさんはとてもタイトなスーツをパリッと着こなされていて、見る限り私たちと同じくらいの世代の方に見えます。
でも、Nさんのお顔からちょっと視線を話して下を向いてメモを書き留めたりしていると、耳に入ってくる声は金八先生だ!(すみません、Nさん。)

ステンレス天板が浮いているように見せる
その目地は、濃いグレーで仕上げています。

でも、その身なりやお話しぶりように、Nさんの家に対するイメージや伝えてくださる意見はとても的確で、また内田さんのスムーズな対応もあって、キッチンのプランはあっという間にまとまりました。

ステンレスカウンターの洗剤ポケット
シンクには、洗剤ポケットと水切りプレートをつけました。

今回、Nさんのお住まいはNさんがお一人でお住まいになる家ということもあって、リズムよくお話がまとまり進んでいったのでした。

でも、おひとりのキッチンだからと言っても内田さんの色は良く出たかたちになりました。

ナラ板目のキッチン
シンクの手前には、白いJIMBOの家具コンセントとシロクマの長いステンレスハンドルを使ったタオルバー。

キッチンの工事が完了して、あらためてご挨拶に伺わせて頂いた時も、「何しろ男ひとり住まいだから、あまりきれいにしていなくてごめんなさい。」とNさんがそうおっしゃってましたが、いえいえ、全くきれいなキッチンで、それに揃えられている持ち物もとても魅力的なものばかりです。
Nさんらしさがよく表れています。

ステンレスヘアラインとナラ板目のキッチン
今回はシンクの下は、ゴミ箱を置くスペースとして50cmの幅を確保して、右端には扉をつけた収納を設けております。1点使いにくくなってしまったのはタオルバーの位置。でも扉にタオルバーをつけると、Nさんは身長も高い方でしたので、低くなりすぎてしまうこともあって、今回はゴミ箱の手前につける形で納めました。
ナラ板目の食器棚
先ほど書きましたように、周りに背の低い住宅が多く、車通りも比較的少ないからか、空が高く見える土地なのです。まるで武田鉄矢さんの歌詞にあるように暮れなずむ町です。
ナラ板目の食器棚とエアコン隠しの格子
キッチンからダイニングに向かってエアコンの風が吹くようになっています。内田さんの自宅も同じようなレイアウトでしたね。エアコンを家具と並列させて共材で覆ってしまうことで、とてもすっきりとした印象にまとまります。(エアコンだけを木で囲おうとするとかえって目立ってしまいますので。)
ナラ板目の食器棚
また、エアコンの風は基本的に斜め下に向かって吹かせることが多いので、エアコンの下は空間を取っておいて、風の妨げにならないようにしています。
炊飯器を置くスライドテーブル
炊飯器を置くスライドテーブル。

ナラ板目の食器棚
コンパクトなキッチンと食器棚なのですが、お持ちの持ち物たちがとても印象よく使いやすいものをお持ちで、「普段は仕事もあるのであまり料理する時間がないのです。」とおっしゃっているようには思えないくらいよく使いこまれた印象がありました。うれしいことです。

そして、魅力的な内田さんの設計。玄関がとてもコンパクトにまとめられているのですが、ふと左を向くと冒頭の写真のように細い洞窟のようにして階段があるのです。視線は自然と上に向かっていき、半2階に上がるにつれてゆっくりと視界が開けていき、コンパクトなダイニングとキッチンが現れるのです。でも、それがとても広く豊かに見えるのは玄関からの導入部のおかげでしょうか。そしてキッチンからダイニングを見ると、さらに半壊上ったところにあるリビングの足元が見えるのです。風が抜けるような感じで自然が導かれて広がりが生まれている。これがおもしろいように気持ちよい。空間の見せかたって不思議です。
良く図面で見ると広く見えたのに実際に見ると狭く感じたり、また、土地で見るとなんだか狭く感じるのに、建物と成った時にはかえって広く感じる。感覚的にきちんと分かるものもあれば、何かを頼りにして初めて測ることができるものもある。人の尺度って不思議です。
そういう空間を見ていて気持ちよくなりました。
キッチンもそう、1年たった今でもきれいにお使いくださっていることに大変うれしくなったのでした。
いつまでも豊かな気持ちでいられるようにNさんと暮らしを支えてください。

キッチン仕上
天板 ステンレスヘアライン
扉・前板 ナラ板目突板練り付け
本体外側 ナラ板目突板練り付け/ナラ板目無垢材
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 オイル塗装仕上げ
費用につきましては、お問い合わせくださいませ。
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