オーダー製作例

ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター

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「オーダーキッチン」

世田谷 M様

design:無添加計画さん/Mさん/daisuke imai
planning:Mさん/daisuke imai
producer:iku nogami
painting:iku nogami

ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
キッチン内部の様子。ここにMさんオリジナルのあれこれが詰まっているのです。

ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
キッチンはペニンシュラタイプのようになっていますが、回遊性を持たせて、ぐるりと回れるようなレイアウトになっています。

私がトミヤさんという人物と出会ったのは、そう今から10年前になるのですね。ふじみ野のKさんのキッチンを作らせて頂いた時でした。
そのあとに越谷のOさんの時にも。
とても魅力がある人で出会ったら忘れられない印象があって、なんというか変な言い方ですけれど、鏡に映った自分と話しているように錯覚することがあったのです。
「いやあ、僕はもともと話しするのが苦手でっ。」って言っていたような気がしましたが、全くそのような風貌に見えず、ひたすら大きな声で気持ちを届けることが上手な人だって印象を受けていたのですが、鏡に映った、と思ったのは、昨年今回のMさんのお仕事に携わらせて頂くことになったため、その打ち合わせにはるばる浦和からいらしてくださった時でした。
トミヤさんは家を考える人、私は家具を考える人。その対象は違っていてもふと見せてくれる気持ちがこれほど似ている部分があるのだなあ、と不思議に思ったのです。
もの作りの考え方は良い面もあれば悪い面もあって、それを知っているからきちんと前に進むことができるんだって、お話をしているとはっきりと覚えたのを思い出します。
だから、その打ち合わせの時だって10年間数えても5、6回しか会っていないしそれほど話こともないだろうに、17時にこちらに来てくださってから、22時ごろまで何も食べずに夢中で話ができたのは、こうして近い気持ちの人っているんだなあ、という興味深さとうれしさからだったのだと思います。
その日にトミヤさんが帰られた後は体がホカホカして、気分が高揚していたのを思い出します。

水切りスペースのあるシンク
まずはシンク。左が浅く段が落ちています。ここで、野菜を洗ったり魚のうろこを落としたりして、そのままシャワーホースで洗い流せるようにしているのです。さらに水栓器具がついているところは10mm段が落ちています。水栓から垂れた洗剤がカウンタートップに広がらないように段を落としているのですが、この左の水洗いスペースに洗剤がいかないようにと10ミリ差をつけているのです。
ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
続いて水洗いスペースの下の収納。まずは、お弁当準備用の引き出し。
根菜収納バスケット
その下は、根菜バスケットと、お盆などの長いものを入れる薄い収納スペース。そして、写真を撮り忘れましたが、シンクの下はゴミ箱が入る引き出し。
ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
ご主人が熱弁していたミーレの食洗機と食器棚の引き出しの関係。ご夫婦そろってお仕事されているので、食洗機を回すのは夜の間。朝起きたら、余熱でほとんど乾燥しているのでそのまま引き出しにしまえるのが大変気持ち良いとのこと。「ほらね、こうしてこうして。もう使いやすいのですよ。」とご主人の実践しながらの熱弁!
ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
調理道具を入れる引き出しも食洗機のカトラリー洗浄部分からそのまま隣にポンとしまうだけ。「もうこれがほんとに心地よいんですよ!」とご主人熱弁!

ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
ここは奥様のアイデアだったかな、ご主人のアイデアだったかな。引き出し専用のパイプをたくさん渡すことで大皿などの収納にしてしまうアイデア。写真だと全く分からないのですが、お皿を立てても支えがこの棒だけだと滑って倒れてしまう可能性があるので、この引き出しの底板は凸凹になるようにスリットをたくさん入れた加工をしています。自分では思いつかないアイデア。面白いなあ、勉強になります。

さて、お話は分かりまして、Mさんとはどのようにして出会ったのかと言いますと、最初クレミルにいらしてくれたんですよね、ご家族で。
物静かなご家族、という印象を最初は抱いておりまして、静かにいろいろと見ていてくださるけれど、なかなか帰らない。(笑)
私たちのことを気に入ってくださったのかなあ・・、どうなのだろう・・、となかなかつかみにくいMさんの印象を受けながら、気が付くと陽もすっかり落ちて展覧会も終わるころの時間でした。
その帰りの時間が近づいたころにようやく「実は今、新居の設計の最中でイマイさんのキッチンに興味があってこうしてお邪魔させて頂いたのです。」

「そうだったのですね。」
でも、もう打ち合わせするにはちょっと時間も遅くなってしまったし、どうしようかなと思っておりましたら、
「もうしばらくしましたら、キッチンの要望もある程度まとまってくると思います。あらためてその時に打ち合わせさせてください。」ということで、その日はクレミルだけを楽しんで帰られたのでした。
(うん、きっと本当に楽しんでいらっしゃったと思う。だって途中でご主人ソファでお昼寝していたくらいリラックスしていましたものね。)

ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
コンロ周りはいつもの姿。
ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
最近よく採用しているスライドワイヤーシェルフ。
ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
調味料用の引き出し。

ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
こちらはボトル収納。ちょっと工夫したいということで、手前は背の低いビン類をしまえるように可動棚をつけています。「今のところは外して使っちゃっていますが。」とのこと。

後日、キッチンの打ち合わせを行ないたい、ということであらためてMさんご家族とご一緒に暮らすお母様も一緒にいらしてくださいました。
あの時は物静かに思えたMさん実はいろいろと思いめぐらすところがありましたようで、いろんなアイデアが出てきます。どちらかというと奥様のほうが堅実なご意見。そして、お母様もMさんのお母さんということで、とてもお話がお好きな方。結局この日はお母様のお話がメインで全体としての打ち合わせがようやく一歩踏み出したところでした。
でも、まだお部屋の間取りも正確に決まっていないし、まだまだプランはまとまらないかもしれないなあと思ってふと平面図を見ると、施工会社さんは無添加計画さんの名前が。
おや、まあ。
その後、Mさんのお話を聞くとやっぱりトミヤさんのお名前が。どうやらMさんの思いだとキッチンがメーカーの規格だと当てはまらないようで、オーダーにするならイマイさんに、と声をかけてくださったのだそうです。
うれしいご縁を頂き、ありがとうございます。

ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
こちらはキッチンの反対側リビングダイニング側の収納部です。上部は引き戸の飾り棚にしています。
ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
A4のハンギングホルダーが使えるように工夫した引き出し。
ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
隣は、不要になった書類を処分するためのシュレッダーが入っています。

ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
そのほかは扉の収納。

それから、本格的な打ち合わせが始まります。間取りがほぼ決まってMさんの子世帯のキッチンは、ご主人の強い思いが詰まった形でおおよそまとまってきました。
まだフワッとしていたのは、1階に住むお父さんお母さんの動線やキッチンのプランのほうでした。
「イマイさん、私はね、こうして色々としゃべっちゃっているけれど、結局はね与えられた形に合わせて収納するから形はどんな形でも大丈夫よ。」と言ってくださるのですが、なかなか何をきっかけにしたらよいかが分からない。
Mさんの奥様に手伝ってもらって、おおよその形はまとまったのだけれど、はたしてこれで良いのだろうか・・。と不安を覚えるのでした。
なぜなら、ご実家に打ち合わせにお伺いした時のキッチンの雰囲気がそれはもう独特だったからです。
(言ってよいのかな、奥様から事前に聞いてはおりましたが、もの凄い物の量なのでした。そのものに囲まれてお父さんとお母さんがいて、お父さんは学者さんでして、ジブリ映画に出てくるようなとても特長ある方で、そのお二人がそのリビングキッチンに居るとまるで映画を見ているような。)

ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
こちらは食器棚の吊戸棚。ここも独特の形。
ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
キッチンペーパーを下に引いて取り出すことができるようにしています。引き出す部分の上の棚にはストックが置いておけるように。
ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
下から見るとこんな感じ。
ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
食器棚のほうは食器をしまう以外に独特のスペースがあります。まずは、精米機。
ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
それを、天板の上に出して精米するのです。
ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
その精米機が入っている引き出しの隣に大きな茶袋。

ステンレスとブラックウォールナットのペニンシュラキッチンとバックカウンター
そこには玄米。玄米を毎週初めに1週間分精米して炊いてしまうのだそうです。で、炊いて余った分は新鮮なうちに冷凍して。

「私はね、いつもジイジ(お父様のこと)にはこれをこうして出しているからこの場所はここが使いやすいのよ。」
「で、ここの香辛料たちは中にしまっちゃうと、見えなくなっちゃうと使わなくなっちゃうじゃない。だからこうしてピンチで挟んでここにつるしておくのよ。」
なるほどー、でも、この量を新しいキッチンにまとめらるかな・・。とその時は不安になったのです。
でも、こうしてカウンターの上に出ているものはそれほど特別なものではなく、毎日よく使うものたちばかりでうまく見せられるようにすれば使いにくくならないのではないかな、あまり場所を限定しないで考えよう、そういう方向でお話を進めていくことにしました。
お母様も元々それほど具体的な収納についてのイメージをおっしゃっていなかったので、なんでもしまいやすく見えやすい形を念頭に置いて、キッチンから移動して別のお話をリビングで聞かせて頂いていた時でした。
ふと、お母様が好きなものの話になったのです。
その時に出たのが、少しクラシカルなデザインの書棚。ちょうどお話していた場所の背面にあった立派な作り付けの本棚です。これはこの実家を立てた時に作ってもらったものだそうで、こういう装飾のある形が好きなのだ、とここで初めて告白されたのでした。
そうでしたか・・。
と、私はうれしくなったのでした。
だって、それまでは使い勝手のお話ばかりしていてもなかなか「これこれっ!」っていうところに辿り着かなかったのですが、お母様の大好きなイメージを一つもらえたわけですから。
もともと真っ白にしようと考えていたキッチンにちょっとだけ遊び心を入れて、こうして1階のキッチンと食器収納ができあがったのでした。

鏡面ホワイト仕上げのキッチン
こちらがご両親のキッチン。
鏡面ホワイト仕上げのキッチン
「すぐ使う調味料を載せておきたいの。」という言葉がきっかけでしたね。
鏡面ホワイト仕上げのキッチン
お母様は、打ち合わせのその時「この本棚の濃い色が私は好きだったのよね。」と、その家を出るのを惜しむような表情になったのでした。それで、お母様の好みだった植物柄の印象を取り入れたちょっとした小物棚を作ったのです。

ポリカーボネイトとアルミを使った引き戸のある食器棚
食器棚にも濃い色を一部取り入れたいと思って、濃い色に囲われた白い食器棚、という印象で作らせて頂きました。扉はお母様の希望通りに白いアルミフレームにポリカーボネートを入れた引き戸にしています。引き戸を開ければ、しまうものが見渡せるようになっていて、さらには奥行きが900ミリもあるこの食器棚は正面と手前の両面から物の出し入れができるようにしています。

もの作りの考えかたには良い面も悪い面もあります。
それなりのものはいかようにでも作れてしまうけれど、何がその人にとって良いことなのかを知ることができてそれが作るものに込められたら、それは使う人に撮って宝物になるはず。
Mさんご家族のキッチンはご主人の臨場感あふれるコミュニケーションで使いやすい形はすでに見つかっておりました。
でも、お母様に辿り着くことが・・。
今回、お母様のその良いことをこうして知ることができたのが、私の今回の大きな仕事だったのかもしれません。

Mさんの良い形は、写真で追って詳しくご説明します。
いろんな魅力満載のキッチンができあがりました。

Mさん、トミヤさん、ありがとうございました。

キッチン仕上
天板 ステンレスヘアライン
扉・前板 ウォールナット板目突板練り付け
本体外側 ウォールナット板目突板練り付け/ウォールナット板目無垢材
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 オイル塗装仕上げ
費用につきましては、お問い合わせくださいませ。
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