オーダー製作例

節有オークの食器棚

てづくり、うづくり

川崎 S様

design:Sさん
planning:daisuke imai
producer:gaku suzuki
painting:gaku suzuki

節有オークの食器棚
とても雰囲気のある表情に仕上がった食器棚。写真では、伝えづらいのですが、扉は、少し厚めに挽いた無垢材を積層にしたハイブリッドな作りです。こうすることで、シンプルだけれども反りの起きにくい無垢扉を作ることができます。それに、浮造り加工を施して、表面の導管の凹凸を際立たせて、そこにオイルのムラができるように仕上げているのです。一見、ラフに見えてしまうのですが、意外と、できあがるまでにはいろいろと考えながら手を掛けて作っております。

「この度、新築の分譲マンションを購入しまして、食器棚をお願いしたくご連絡させて頂きました。
食器棚の他にもご相談したい個所が幾つかありまして、いろいろ想像するとつい鼻息が荒くなってしまいますが(笑)
はやる気持ちを抑えながらそちらに向かいたいと思います。
お伺いする際に一つ、お願いがあるのですが、犬を一緒に連れて行っても大丈夫でしょうか?
小型犬(ミニチュアシュナウザー)♂、とても大人しい白髭の小さな恋人です。
no dog no life
仕事の時以外はほぼ一緒なのです^^
それから、私たちの購入した部屋は1階で庭付き70㎡程度の小じんまりした3LDKです。
マンションなので出来る事は限られてきますが、より居心地の良い“住処”となってもらうために試行錯誤を重ねてゆきたいと思っております。
面倒くさいおばさん(主人談)と思われるかもしれませんが末永くお付き合い頂けますと幸いです。
お会いできるのを楽しみにしております^^
宜しくお願い致します☆」という素敵ななメールのあとに、まるで、傍らで全てを見届けてくれているような物静かなミニチュアシュナウザーを連れて、Sさんがいらしてくださいました。
Sさんが作りたいと考えていたのが食器棚でした。そして、その食器棚は、システムキッチンによく使われる手入れが楽なメラミン化粧板ではなくて、木の質感や表情が分かるものが良いのです、と言うことでした。

さっそくいろいろとお話を重ねていくと、Sさんの好みがとても独特なことに木がついたのでした。(笑)
今までは、木の表面にはきれいにカンナが掛かっていて、手触りがツルッと気持ち良くて、と言うものが一般的にきれいに仕上がっている家具、でした。
でも、Sさんが望んだ形は、ボコボコといびつな印象で、色も少し褪せちゃっているような感じだけれど、どこか上品な印象、と言うものでした。
これは難題だ・・・
お話を進めていくと、ボコボコした印象と言うのは、決してラフな作りではなく、木肌の凹凸感がきちんと感じられる表情をしていて、その表情のポイントとして、節や割れが入っている遊びがあっても良いのです、と言うことでした。節や割れが表情になる時代が来たのだなあ・・。
割れは、そのまま使うと乾燥による進行が怖いのですが、節はうまく使うと良い表情になります。決してシャビーではない、上品さを持った表情ができるはずです。Sさんとお話しながらいろいろと考えておりました。
続いての課題は、色でした。
Sさんが言うところでは、「オークを使い込んで褪せてきたような白も好きなのですが、その白いオークが汚れたように濃くなっている色も好きなのです。先日、購入したテーブルなどの家具の色がそれに近い色で、もし、できればその色に合わせることができるとうれしいのです。」と、言うことでした。

そのようにいろいろな課題を抱えたまま、内覧会。
Sさんが嘆いています。
マンションの人工的できれいな内装、化粧板の質感も、キッチンの天然石の磨き仕上げのゴージャスな感じもきれいすぎて、好みに合わないのが残念だったのです。
もっと、自然な感じで、さらに外が感じられるような演出もほしいと、食器棚のほかに内覧会の時に検討していたことがありました。庇のような火棚のような格子に組んだものを廊下の天井からリビングに掛けて下げてみようとお話していたのでした。でも、図面でイメージしていたよりも部屋の広さも天井の高さも小さく見えてしまって、この庇は取り止めに。その代わりに、食器棚を新しくするのだから、その食器棚のオークの質感に合わせて、システムキッチンの面材(化粧板)を交換しよう、と言うお話になったのでした。
それに合わせて、システムキッチンの吊戸棚の下にパイプハンガーをつけたり、樹脂カバーがつまらなく見えてしまった吊戸棚の棚下蛍光灯を、LEDのダウンライトに交換したり、まずは奥さんの大好きなキッチンを好みの色に変えてしまおうと言うことになったのです。

ようやく、作るべき家具の形もすべてまとまり、あとは色です。
内覧会のあとにもう一度打ち合わせにお邪魔させてもらって、そのテーブルを見せてもらいました。オイル塗装仕上げと言うそのテーブルは、なかなか微妙な色合いです。黒に近いこげ茶色なのですが、導管だけ白く色が入っているのです。どういう塗布の仕方でこの仕上げにしたら良いだろうか・・。
会社に戻ってまず、ワトコオイルの「ダークウォールナット」色を塗ったサンプルの上から、「ホワイト」をすり込みますが、思った色にはなりません。どちらかと言うと、こげ茶色に霞が掛かったようなきれいな印象。難しいな・・。
そうして、何度か繰り返し、Sさんとやり取りするうちに辿り着いた色が、今の色です。結局は、「ダークウォールナット」と言う色よりも濃い「エボニー」を塗ってすぐに拭き取ると言う仕上げかた。オイルが深くまで染み込まないうちに拭き取ると言う方法でした。こうすると何となく不自然じゃない色ムラがつく。これがSさんに気に入ってもらえたのでした。
ようやくすべてが整って、完成。
作りがシンプルな食器棚でしたので、取り付けも順調に終了。キッチンの扉や引き出しの前板を交換するのは、しなれない作業でしたので、少し戸惑いましたが、きれいに完了。
こうしてSさんの思い描くキッチンが完成したのでした。

節有オークの食器棚
最初のシステムキッチンの様子。肌色に近いオークのメラミン化粧板はそれはそれできれいに仕上がっているのです。

節有オークの食器棚
食器洗い乾燥機のパネルまできちんと揃えて取り付けた時の様子。

節有オークの食器棚
こちらはキッチンの吊戸棚。扉を交換して、棚下照明も変えて、戸棚の下にパイプハンガーをつけています。

節有オークの食器棚
食器棚に合わせて、システムキッチンのほうも変えてこのような感じになりました。

節有オークの食器棚
食器棚のカウンターは、ガシガシ使えるようにステンレスヘアラインで仕上げました。

節有オークの食器棚
引き出しにはシナ材を使い、ソフトクローズタイプのスライドレールを使用しているので、レールが見えずすっきりと仕上がりました。

節有オークの食器棚
今回は、内部の素材もちょっと高くなってしまいますが、外側の素材と同じナラ材で統一しました。

「イマイ様。
こんにちは。お世話になります。
先日はどうもありがとうございました!!
もうホント、何と言ったら良いか…
もの静かだけど芯の強い人みたいな感じの雰囲気というか・・。
あの後、せっせと全面にオリーブオイルを塗り、さらにしっくり手に馴染む感じになってます。
我流のオリーブオイル塗装?が正解か否かは?ですが、感触が好きなので(笑)
食器・鍋・小物類を一通り納め、扉を開けたり閉めたり引出しをあちこち引いてみたり…
一ヶ所一ヶ所、細部にわたりとても丁寧な作り。量産品では絶対に味わえない人の手仕事の温もりが身体に伝わってくる。心の奥にジーンて染みる。
なんだか私、泣き出してしまいそう!
奮発する価値は充分にありました!
このたびは本当にありがとうございました。」

これだけ気に入ってもらえるなんて、私たちのほうが感謝しなければいけません。
このあとの、洗面室の改装もよろしくお願いしますね。

節有オークの食器棚
価格:650,000(製作費,塗装費)
キッチンの面材交換
価格:250,000(製作費,塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は15,000円から取付施工費は35,000円から
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