オーダー製作例

シナとカバの壁面収納

浮遊する

厚木 O様

design:Oさん
planning:daisuke imai/Oさん
producer:shouko tsuchie
painting:shouko tsuchie

「現在、自宅を新築中です。」とお便りを戴き、自分のイメージしている家具が工事を担当しているハウスメーカーさんでは予算が合わなくて、近所の家具屋さんを探している時にインターネットでうちを見つけてくださったOさん。あの時はまだ残暑が厳しい2002年の8月の終わりでした。普段お忙しいOさんとはメールでのやり取りを重ね、ほぼ形が見えてきた頃に私たちを訪れてくださいました。

シナとカバの壁面収納

「妻がキッチンで作業をするかたわらで料理の本をしまう場所やちょっとした書き物をしたり作業をしたりするスペースとしての家具を希望しています。」ということでこの家具ができあがりました。
キッチンから裏に抜ける勝手口へと続くちょっとした通路に面した場所に設置しています。この家具の向かいにはコンパクトな食器棚がすでに組み込まれてしまっているので私には少々せまく感じるような場所でしたが、小柄な奥さんにとっては小さく温かく守られた私的なスペースになるのではないでしょうか。

シナとカバの壁面収納

形状はOさんのイメージを基に、机・作業台となる家具にはあまり大きくない引き出しを1杯設け、キッチン入り口へと抜ける通路側に面する机の角を大きく丸くアールをつけて角がぶつからないようにしています。机の脚も同様に出っ張りすぎてぶつからないように足元あたりを引っ込める形にしています。
机の奥行は当初400m/mで考えていましたが、実際に現地にて打ち合わせを行った時に検討していたらやはり通路がせまくなってしまうので350m/mに縮めようということになりました。Oさんは、400m/mくらい合ったほうが良いと考えていたのですが、奥さんの「35cmもあれば私には十分よ。」という一言でコンパクトな可愛らしい机になりました。
上部の吊戸棚は主に雑誌をしまうために使うのでA4サイズの本が入るサイズを確保する為に内のりの高さを320m/mずつ採っています。中の仕切りはOさんの要望どおりに「田の字型」に中帆立を中間に1枚、固定棚を中間に1枚入れて4つのスペースになるようにしています。これだけ細かく仕切っておけば雑誌をたくさんしまっても強度には問題はないので安心です。また、打ち合わせ段階で壁面の下地に石膏ボードではなく12m/mのベニヤを貼ってもらうようにOさんが大工さんに頼んでくださったのでさらに安心です。
吊戸棚のデザインは最初はハンドルをつけて扉を開け閉めするように考えていましたが、いろいろと話を進めていくうちにハンドルが出っ張ってしまうのではなく扉の下に手掛けになるようなしゃくり込みをつけてその部分に手を入れて開け閉めしてもらう方がすっきりしてよいのではないかということになりました。また、そうする場合は手を入れるために扉と扉の間に隙間を作らなくてはならないのですが、奥さんの手が小さいのと隙間を大きく開けると形がすっきりとしなくなるということから隙間を15m/mと少し小さめに採ることにしました。そして話を進めていくうちに、この隙間を横だけに入れるのではなくて意匠上縦にも入れると面白いのではないかという話になり、「面白そうな形になるからやってみましょう!」と決まって、出来上がったのが表紙に写っている形です。
材用は全てシナを使用しています。塗装にはワトコオイルの「ナチュラル」というオイル本来の色で仕上がっていますので、優しく黄色みを帯びた感じに仕上がっています。

シナとカバの壁面収納

リビングボードのプランについてですが、当初から下部収納の下に間接照明を組み込みたいとのOさんの考えでしたので「ならばいっそ左側の背の高いユニットも持ち上げてしまおう。」と提案したら、その考えを大変気に入ってもらえて現在の形となっています。その照明は交換しやすいようにどこでも手に入る蛍光灯を使いました。また照明のスイッチは事前にOさんが工務店さんに頼んで配線してもらっていました。
収納の内部は基本的には可動棚が入っていて一部引き出しを設けたシンプルな作りです。左の背の高いユニットには掃除機がしまえるように大きくスペースをとった場所があり、そこに掃除機がすぐ使えるようにコンセントを引き込んでいます。

シナとカバの壁面収納

扉にはハンドルはつけないようにして掘り込みをつけて手掛けにしています。
また、このカウンターの上でインターネットができるように壁面に配線されたコンセントや電話線などのアウトレットがうまく使えるように家具の背板をくりぬき、その部分の可動棚の後ろ側を欠き込んで、天板上に配線用のキャップを取り付けて配線がスムーズに行えるようにしています。
材料は見え掛かり(外側)はカバの柾目、内部はシナを使用しています。塗装はワトコオイルのナチュラルを使っています。ちなみにOさんのお宅は床、建具は全てパイン材で床がご主人自ら時間を掛けてオスモオイルを塗ったのだそうです。靴下を履いているのがもったいない場所でした。

シナとカバの壁面収納

素材を決めるにあたりまして、このリビングの家具も最初は家事室のデスクと収納と同じようにシナ合板で作る予定だったのですが、仕上がりの色をOさんは「少し茶色っぽい感じ」をイメージしていたので、シナでは着色がむかないと思い(オイルだと色ムラがとても目立ってしまうのです。)、一度打ち合わせに当社に来られた時に別の材料を勧めようかなと思っていたのですが、その矢先にちょうど納品を控えていた淡い色をした「カバ」の柾目で仕上げた整理ダンスを見て、「この木にしてください!」とOさんはその木目に一目惚れしたのでした。
「よし、使う木も決まったし早速はじめましょうか。」と製作を頼むスタッフの土江さんと段取りを進めていたときに材料屋さんから「最近はそんな良い木目を持ったカバが入ってこないのですよ。」と言われて「えっ、どうしよう。」となってしまいました。そういえばカバはよく木目にバラつきがあっていつも淡いオレンジっぽいものが入ってくるわけではなく中にはとても赤いものが入ってくることだってあります。「困ったなぁ。」と思っていたのですが、材料屋さんもいろいろとあたってみてくれてどうにかその整理ダンスに使われていたものに近い木目のカバ柾の突き板を手に入れることができました。
プランは、細かい寸法は収納するものに合わせて変更しましたがほぼ最初に打ち合わせた形状に近い形で仕上がりました。
取付が終わって完成を確認してもらった時にまず出た言葉がOさんの「かっこいいー。」という言葉でした。

シナの吊戸棚とデスク
価格:208,000(製作費,塗装費)
カバのリビングボード
価格:400,000(製作費,塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は12,000円から取付施工費は30,000円から
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