懐かしい、その姿

「リビングボードのオーダー」

鎌倉 S様

design:Sさん
planning:daisuke imai
producer:number 8 furniture
painting:daisuke imai

タモの和風なリビングボードとデスク

Sさんの大きなリビングに差し込む陽射しはやわらか。落ち着いた色にまとまった家具がさらにここを優しい印象にしてくれます。

「長さ4mもあるリビングボードをタモで作りたいのです。」と言うメールとFAXをSさんから頂いて、私はさっそくプランを考えてみたのです。頂いた内容に若干の寸法の修正を加えれば、イメージどおりの形になりそうです。しかし4mは長いなあ。搬入は大丈夫だろうかと言うのが当面の心配なのでした。
だから、この時はまだ天板は2分割で作る形で考えていました。板をプレスして作るだけでも大変ですしね。
そして、さっそくお返事を頂きました。
「早々の見積りをありがとうございます。
図面になると、現実的でワクワクします。
近く是非ショールームに行きたいのですが、私の都合で申し訳ないのですが21日はいかがですか?時間は何時でも大丈夫です。
我が家にも素敵な家具が入ることを楽しみしています。
よろしくお願いいたします。」

タモの和風なリビングボードとデスク

ちょっと形を工夫したガラスを入れた框組の扉。

Sさんのお返事には、細かい部分についての変更依頼が。金属のハンドルは無くして、飾り棚部分の棚板はガラスの棚板で、さらに天板は1枚で作り・・・。
1枚かあ、店舗の家具を作っていた頃は、4m、5mなんてしょっちゅうだったのですが、最近はこのように個人のお宅に家具を作るようになってからはあまり大きなサイズって作らなかったのです。一つは搬入の問題もあるけれど、もう一つは強度の問題。うちのプレス機にきちんと入るサイズは最大で3400mmほど。それ以上は工夫をしてクランプで圧着させないといけない。しっかりとした強度を出すためにはきちんとやらなくては・・。そんな不安がちょっとあったのです。でも、まあ1枚でできれば格好良いよね。すっと伸びるタモの目が、はっきりとリビングを横切って。そんなことを考えながら、やってみようかなと。
そうして、余計な部分を省いたスマートな形にどんどん削り込まれていったのです。
その後、こちらまで来て頂いて、ガラス扉の形状など、さらに良い形になっていきます。
そうして、ほぼ形が確定したところで、Sさんのお宅にお邪魔させて頂きました。

タモの和風なリビングボードとデスク

パソコンができるようになっている大きなベンチ。


タモの和風なリビングボードとデスク

座面を外すと中は収納。


タモの和風なリビングボードとデスク

さらに天板の下には仕切り板付きの大きな引き出し。

元八幡さまのそばの住宅街は入り組んでいて、とても静かで、良いところ。Sさんのお宅もグルグルと巡って辿り着く不思議なところ。ここなら、長い天板も入りそう、と実感できるリビング。2匹の猫たちもグルグルと打ち合わせに参加して、涼しげなお茶とと菓子を頂いて。
そうだ、Sさんのお宅はどこか懐かしいと感じたのは、会社に戻ってからでした。
それから、設置場所に合わせて図面を修正し、家具は組みあがり、塗装をしていた時でした。
最近はオイル塗装での着色ってあまりしなかったのです。塗料の乾き具合に時間が掛かるので、光沢感や手触りを気に入ったところまで仕上げるのに時間が掛かるのと、色の乗り具合が少し難しくてどちらかと言うとアンティークな雰囲気になる傾向があるためです。それと、木は木が持つ本来の色のまま仕上げた方が経年変化の具合が自然なのではないかと思っていたからです。でもね、今回はとてもよい具合でした。この夏の風のおかげか、1日置いただけできちんと乾き、2度目の件までしっかりとした白い削り粉が出たので、これはもうきれいに仕上がるって確信できたのです。それから、2回、3回と重ねると思っていた通りのツヤとタモの木目がはっきりと浮かび上がってきたのです。ああ、これならSさんのリビングにしっくりと来る、どこか懐かしい感じになったって思えたのです。

プリンター収納部のスライドテーブル

机の左にはプリンタを載せたスライドテーブル。普段はここにしまっておけます。

設置してみると、思ったとおりの雰囲気。
良かった。どこかで見たことのあるような少し昔の日本の居間に在ったような飾り棚ができました。
「土曜日は、暑い中納入いただきありがとうございました。
朝も昼も夜も、何度見ても、本当に素敵です。木目にして良かったなぁと思っています。
惚れ惚れしています(笑)
ブログの更新も拝見しました。
現在は既に猫が占拠しており、ブログの状態はなく、窓辺の置物は「猫の寝姿」となっています。
またそれも、良い感じになっています。最初は変化に驚いていましたが、猫も気にいってくれたのでしょう。これから使っていくのが楽しみです。
お金が貯まったら、またお願いしますので、私の構想の実現(製作)をお願いします!

コンセント欠き込み

壁についているコンセントはそのまま使えるように家具の側板をくり貫いています。


ペットトイレをしまえる収納

そして、猫のトイレが置けるようになっています普段はトイレが見えないように、2/3だけ扉で隠れて、1/3の空いているスペースからネコさんが出入りします。この部分だけはオイルだとおしっこがはねた時にシミと臭いがついてしまうのでウレタン塗装仕上げにしています。

飾り棚とデスクのあるタモのリビングボード

価格:580,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は20,000円から、取付施工費は40,000円から)

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