キディスペース

「ナラ板目のリビング壁面収納デスクのオーダー」

横浜 T様

design:Tさん
planning:daisuke imai
producer:gaku suzuki
painting:gaku suzuki

ナラで作る格子扉と黒板のある子供用デスク

こちらが実際に使って頂いている様子。

「先日お電話しました、Tと申します。
簡単な図面(画像)をメールしますので、見積もり等、ご検討よろしくお願いいたします。天井高2400mmで、幅は2300mm未満の壁面収納(吊り戸棚+テーブル)を考えてます。

◆ 下段のテーブル部分
・テーブルは二人同時に使えるように、椅子が二つ並べられる幅を確保したいです。
・テーブルの両脇は、できればアール状のコーナー棚にしたいと思ってます。
・テーブルの上には、パソコン(モニターとキーボード)を置きます。
・左コーナーの奥(テーブル下、内側)には、モデム等の通信機器を収納できるスペースを設けたいです。
・右側には、プリンタとスキャナを収納できる棚もしくはキャスターを設けたいです。
普段はプリンタとスキャナは、見えないよう収納できるようにしたいと思ってます。
・パソコン周辺機器等の配線のごちゃごちゃが見えない作りが出来たらいいなと思ってます。

◆ 上段の吊戸棚部分
・座った状態で手の届く高さに、オープンの棚がほしいです。
・オープン棚の上は、観音開きの扉付きの収納を考えてます。本や書類を収納します。扉のデザインは、イマイさんの製作例の「プロトタイプ」のものが素敵だなと思ってます。
・吊戸棚を設置する壁には梁が通っており、天井いっぱいまで同じ 奥行きが確保できません。

◆ その他
・吊戸棚とテーブルの間の壁が、コルクボードかホワイトボードか 黒板相当のものを設置できるといいなと思ってます。
・作っていただきたい家具の並び(横)には、既製品のテレビボードとチェストを設置します。そのテレビボードのデザイン、木の質感が気に入っていますので、それに近いイメージのものが、できると最高だなと思ってます。
・設置場所は、横浜市の新築マンションです。
・日程についてですが、私たちの引っ越しは、10月下旬の予定です。 内覧会のタイミングで、現場を見ていただいて10月中旬頃に設置できたらいいなと考えてます。

以上、現実的に出来ることも分からないまま、こちらの希望というか検討していることを書きつらねましたが、別途相談させて頂き理想的な家具が出来るといいなと考えてます。
よろしくお願い致します。」

と、先日突然お電話頂いたTさんから詳しいメールと画像やご新居となるマンションの平面図が届きました。
けっこう大きな家具になりそうですので、まずはメールを読み返して、添付されていたスケッチと見比べて、それから設計図を書き始めました。

ナラで作る格子扉と黒板のある子供用デスク

ショールームまでいらして頂いた時にTさんとお話ししながら描いたイメージスケッチ。

私は、皆さんによく「なるべく細かくご要望をお知らせ下さいね。」とお伝えしています。もちろん、あまり細かいところは自分でもイメージできていないので・・、という方もいらっしゃいます。それから、自由気ままに希望を描いてしまっては実現が難しかったり、もしくは費用がうんと高くなってしまうのではないか・・、って思われる方もいらっしゃいます。
それでも、私は細かいところまで思っていることをすべて教えてほしいな、と思っています。
反対にイマイさんのテイストにお任せしたいですって言われると、なかなか困ってしまうのです。

ナラで作る格子扉と黒板のある子供用デスク

本棚の天地板と側板は、四隅を留で仕上げています。さらに、プロトタイプの時もそうでしたが、外から内側に向かって若干傾斜させているところがなかなか難しい細工。

そのプロの人が考えてくれるプランは一体どんな形で表現されるのかって、お任せするのはとても楽しそうです。実際に私も依頼する立場だったら希望のうちの半分くらいはお任せしてその人がどんなふうに仕上げてくれるかを楽しんでみたい、って思う方ですので。
でも自分が考える立場だと、それがなかなか苦手で、もし依頼される方の希望にかなわなかったらどうしようか、って思いが大きくて、できれば頂いた要望をうまくくみ取りながら自分でアレンジしてまとめていきたいって思っているのです。
だから、まずは思っているいろんなことを教えてもらうのです。
それから、その形を考えてみて、そしてその形を実際に製作した場合にどのくらいの日数でどのくらいの材料を使って家具になるのかを計算して見積としてお知らせするのです。
そこまでしないと私たち自身もこのイメージを形にするといくらになるかなんてなかなか分かりにくいのです。

ナラで作る格子扉と黒板のある子供用デスク

そして格子の扉。今回は桟と隙間のサイズを同じくらいにしてほしいということで、かなり細かい格子になりました。押すと扉が開くプッシュ式の扉にしています。

時々お電話で「サイズが○○cmくらいの食器棚っていうと、いままでの経験からおよそいくらくらいになりますか。およそで良いですので。」とお問い合わせいただくことがあります。
そういうお返事ってなかなかお答えにくいのです。家具の表面の素材を何にするか、内部の素材を何にするか、天板を何にするか、塗装をどうするか、収納の方法は引き出しをたくさん作るか、扉だけにするか、引き出しもどんなタイプの引き出しにするか、それぞれを決めたあとに、ではそれを作るのに何日掛かるか、そうして初めて費用が分かるので、およそで答えても、実際に細かい部分までお話を進めていくと費用が変わっていっちゃうことがあるのです。

ナラで作る格子扉と黒板のある子供用デスク

本棚の下のディスプレイスペース。側板に対して、この中央の仕切り板を少し奥に入れているところがポイント。

だから、まずはいろんな希望をお知らせ頂く方がお話しが進めやすいのです。
そして、その形で作ることが実現可能か考えながらプランを考えて、どのくらいの費用になるか見積ってみて、それからその内容をみなさんにお伝えするのです。そして、そこからその人が希望する形や予算に近づけるにはどこを減らしたり、増やしたりしたら良いか、使い勝手を良くするにはここを変更しよう、とメールでやり取りしたり、お会いしてお話ししながらその人の形を探していくのです。

ナラで作る格子扉と黒板のある子供用デスク

今回初めての試みは黒板とコルク。コルクは傷んでボロボロになっても簡単に取り外せるように工夫して、さらに上の本棚の荷重を支えるような構造にもしています。黒板の下はデスク天板よりも少し高さを上げて、この部分だけチョークの粉が落ちても掃除しやすいようにウレタン塗装にして、さらにチョークが置けるようなスペースも作っています。

そして、今回のTさんの形は細かい調整が必要でしたが、ほぼ希望通りの形を実現することができそうでした。ただ、形が複雑なのでデスクという家具にしてはかなり費用が高くなってしまいますが、そのあたりはTさんもあらかじめ想定されていたようで、そのままお会いして打ち合わせを進めることになりました。

ナラで作る格子扉と黒板のある子供用デスク

この一段上がった部分にはコンセントや配線穴も設けています。コンセントは黒板に合わせてブラック。

まずはマンションの内覧会までお部屋には入れないので、私たちのショールームまでいらして頂いて打ち合わせすることに。
明るくハキハキとした奥様はデスクのイメージをかなりはっきり持っていらっしゃって、隣に座るご主人は時々アドバイスを下さる時以外はお子さんと一緒ににこやかに奥様の様子を見守っております。
今回の家具は、「まだ小学校のお子さんたちがお母さんと一緒の部屋で勉強ができるデスク」で、「お子さんが大きくなって自分たちの部屋に移るようになったら、ご主人と奥様が使えるように」というのがテーマです。

ナラで作る格子扉と黒板のある子供用デスク

パソコン周りの様子。

そのようなわけで、このデスクの設置場所は将来お子さんが過ごす部屋ではなく、本来ダイニングのように使うスペースにどんと置かれるのです。だから、デスクとしての形だけではなく、みんなでいろいろと使えるような工夫がされているのです。

ナラで作る格子扉と黒板のある子供用デスク

天板の木口は、少しラウンドさせた形状に。

その思いをいろいろとお聞かせ頂いて形がほぼまとまり、内覧会にもお邪魔させて頂きました。
設置でポイントとなるのは、壁に出ている梁型にきちんと合わせて設置すること、右側にある物入れの扉に干渉しない位置し設置して、さらにコンセントがモデムを置くスペースにうまく合うようにすること。
いろんな条件がありますが、とくに問題なく設置できそうです。
搬入に関してもマンションの2階なので、エレベーターからの移動も問題なく、何かあれば階段も使えるし。

ナラで作る格子扉と黒板のある子供用デスク

リビング側のコーナーは、お子さんのおもちゃを飾れるようにしています。こちらの木口もラウンドさせて。

そしていよいよ製作開始です。内覧会からお引越しまで少し時間がありましたので、どうにかお引越し前までにお持ちすることができそうです。
今回は、当初のプランから少しずつご要望を追加していったら、けっこう複雑な形になったので、作るのもなかなか大変で、1か月弱くらいの時間を頂きました。

ナラで作る格子扉と黒板のある子供用デスク

引き出しの様子。

どのあたりが大変なのかというと、デスクの下の部分は割と華奢な形になっているのですが、本棚となる上のほうがかなりのボリュームなので後ろの壁にはもちろん固定するのですが、それだけだと不安なので、下に荷重を逃がすような作りにしているのです。
さらに本棚の格子扉と、本棚の側板、天地板の木口の形がけっこう複雑なのです。

ナラで作る格子扉と黒板のある子供用デスク

デスク右下の引き出しはちょっと変わっていて、上段がプリンタがしまわれていて、下段は写真のようにファイルハンガーになっています。その引き出しの余ったところは縦置きでクリアファイルが置けるようにしています。

そうして、1か月ほど時間を頂いていよいよ取付。
とても大きなマンションなのですが、敷地がうまく整理されていることもあって、工事車両も問題なく置かせて頂けまして搬入も無事に済み、取付も梁型の加工とコンセントの増設はそれなりに時間がかかりましたが無事に設置完了。
工事途中で引越しの荷物をまとめに一度ご自宅に戻られたTさんもできあがった様子にとても喜んで頂けました。

ナラで作る格子扉と黒板のある子供用デスク

お部屋のとても目立つところにあるコンセントをうまく隠したいということで、通信機器をデスクの下に配置できるようにしています。

そして、後日うれしいお便りも頂きました。
「Tです。ご連絡が遅くなり申し訳ありません!
引き出しや棚の使い勝手がいいです♪
木の質感も気に入っています♪
その後新居はだいぶ片付いてきたのですが、まだほかの家具が揃わなかったりと、まだまだ完全には落ち着いていない状況です。
さてさて年内に一度立ち寄って頂きたかったのですが、デスクや本棚はまだいろいろと使いこなせていないんですよ。
なので、年が明けて、月末位にいかがでしょうか?
年末は自宅でゆっくり過ごせるので、その時にプリンターを設置したり、棚の中やディスプレイをきれいにしたいと思っています!
それでは、ぜひ新年にいらしてください!
平日はほとんど自宅におりますので。それでは、良いお年を。」

そうして、使っている様子をあらためて拝見させて頂いて、Tさやお子さんたちが楽しんで使ってくださっている様子がとても良く分かったのでした。

格子と黒板のある本棚兼デスク

価格:760,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は15,000円から、取付施工費は50,000円から)

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