オーダー製作例

お菓子工房のためのアルダーのキッチン

au soleil

軽井沢 F様

design: Fさん
planning: daisuke imai
producer: gaku suzuki
painting: gaku suzuki

最初はね、断ろうと思っていたんです。
だって、Fさんがご新居を立てる場所は軽井沢だったからです。ここから、軽井沢って遠いですからね。
それから、もう2ヵ月後くらいにはそのキッチンを現場に入れなければいけないこと。
この頃ちょっと仕事が立て込んでいて、間に合うかどうかも心配だったのです。

アルダーのL型キッチンと厨房用キッチン
自宅側キッチンのシンクまわりの様子。 シルバーハート、別名イタリアンウォールナットと呼ばれるとても淡い色をした材を使い、明るいキッチンになっています。
5月のはじめ頃にお電話があって、応対した父は、遠方の方に家具を作る場合の難しさを簡単に説明して、さらにお話を聞いた上での概算金額をお知らせしました。そうすると、Fさんはそれでもお願いしたいと言うことになったのだそうです。そして、父が電話を切ったあとに、「数日後に軽井沢まで言ってくるつもりだよ。」と言ったのです。

アルダーのL型キッチンと厨房用キッチン
食器洗浄機は、コンパクトタイプのものを取り入れて、その下も引き出しの収納になるようにしています。
 うーん、電話一本でキッチンを作るなんて大きな仕事が簡単に決まってしまってよいものだろうか、特に遠くにお住まいの方なのに・・・。
家具を作るのは簡単です。ご近所でも遠方でも作ることはできる。でも、大切なのはそのあとだって思っているから、私は簡単に引き受けることに躊躇したんです。
その後、再度お電話があって、現地に行くのではなく、Fさんがこちらまで来てここを見に来てくださることになりました。

アルダーのL型キッチンと厨房用キッチン
キッチンのバックパネルの前に寝転がる我が娘。

それならと、私はこう考えることにしました。
私たちに頼むメリットとデメリットを全て説明する、その上でFさんに決めて頂く、と。
まず、メリット。自分の使いやすいレイアウトで自分の好きな木で好きな形を作れるから、どんなことでも言ってくださいね。
そして、デメリット。家具って言うのは、どんな家具でもそうですが、最初の状態のままずっと使えるものではないです。ずっと使い続ければ傷もつくし、壊れるパーツも出てくると思います。そうなった時に対応できるくらいの距離がベストだと思っています。遠くても2県先ほど。それより遠くなるとレスポンスが遅くなってしまうし、移動するだけでも近県の方よりも余計な費用が掛かってしまいます。
特に長野県と言うと、木工が盛んな地域です。いろんな工房もあるはずだし、近い方が良いに決まっていると言う私の気持ちは変わりませんでした。

アルダーのL型キッチンと厨房用キッチン
リビングから見えるバックパネルは、アルダーの無垢材を薄くして使っています。こちらは表情を楽しみたいと言うことで、オイル塗装仕上げ。キッチン側はシルバーハートのウレタンクリア仕上げなので、こちらのパネルの方が早く日焼けしてくるでしょうね。

数日後、Fさんがいらっしゃって父がそういうことを全て話しました。
「いいんです。それでもお願いしたいのです。」と言うのがFさんの気持ちでした。
そこまでの気持ちでしたら、お引き受けします。ただ、納期が厳しいなあ・・・。なんて思いながら、細かい部分の打合せを始めたのでした・・。

アルダーのL型キッチンと厨房用キッチン
自宅側キッチンは、L型のレイアウトなので、この角の部分は、扉開けると広くゴミを仮置きできるようなスペースになっています。

「イマイさま・みなさま
本日はお忙しい中お時間をとって頂き本当にありがとうございました。
遠くなので躊躇していましたが、お伺いしてよかったです。思っていたよりはずっとスムーズにあっという間に着いてしまいました。
そして何より今井様一家の温かい雰囲気に触れて、お会いし、お願い出来てよかったと思いました。
納期も忙しく、すこしばかり遠いのでご迷惑もおかけしますがどうぞよろしくお願いいたします。
今日はいろいろとお話させていただきましたが、自分で何をどうお願いしたのか・・
一生懸命しゃべりすぎて・・でもお伝えきれなかったた部分もありそうです・・
まず壁排水の件ですが、建築士はメンテナンスの点から「床排水のほうがよいですよ」ということでした。
次にパナソニックの生ゴミ処理機ですが、型番がMS-N53[268/365/550](フタを開けた状態で770)でした。
また前方を含む2面を開放しておかなければいけないようなので、2層シンクの下に収めるとすると扉は付けられなそうですね・・
それにふたを開けるには引っ張り出さなければならなそうで、ちょっと使いづらいかもしれません。
いずれにせよ、収納できない(開放しなければならない)のであれば、ほかに置けそうな場所(勝手口の土間とか・・)がないか明日現場で見てきます。
そうであれば、やはりそこは棚を作って扉をつけるのがよいでしょうか。
それとも常温保存できるお野菜(じゃがいもとかサトイモとか)を入れることのできるような、引き出せるバスケットってありますか?
もしそのようなものがあれば上部にひとつつけることも可能でしょうか?
それにしても扉は欲しいです。
あ、あ、あと今使っているオーブンをどこかに置かなければなりませんでした!!
2層シンクの一方にフタをしてそこに置こうと思っていたのですが、蛇口が邪魔ですよね・・
オーブンは奥行き465横幅525高さ405です。取り付けは背面より15mm、天面200mm、両側面50mm以上開けなければなりません。600シンクのほうになんとかいけますかね?
あとは自宅キッチンのL字のコーナー部分ですが、そこもやはり下に車輪のついたBOXにして、オープンの部分に横に動かせるようにしたほうがゴミの出し入れがしやすいでしょうか(全部横に出てこなくでも)?
あとそのオープンの部分に入れようとしていたゴミ箱ですが、ふたをペダルで開けるタイプのものなのですが、開けた状態で780もあったので、下に入れてしまうのはちょっと使いづらそうです。それにやっぱりこの素敵なキッチンの中にこのゴミ箱を置きたくないような気がします。
なので、このゴミ箱はキッチン南面のカウンターの横あたりに置こうかなと思います。(ここならあまり目立たないので)。
そうするとコーナー部分と引出しの間をどうしましょうか・・
ここも扉だけ付けてゴミ袋でも入れるのがよいのかなぁ。でもそうだとすると、コーナー部分も引っ張り出すBOXを作らずにおいて、ゴミ袋ひっぱり出すので十分でしょうか?
ゴミ袋は日常必要な分として、燃えるもの・プラスチック・缶・ビン・リサイクル用のトレイや牛乳パック・それにリサイクル用の紙ごみと6袋も必要です。いくらスペースがあっても足りないみたいです。
全部は無理でもできるだけキッチンに置ければ、納戸に行く回数が減ります。
それと自宅キッチンのコンロの横のスライドバスケットですが、考えてみれば工房部分と両方に調味料を入れて置くことは多分ないので、自宅の方のこの部分を棚を一つつけて、料理本を入れるスペースにできないでしょうか?
ちょっと使いづらいですが、奥行きもあるので前後に入れれば結構入るような・・
ここもできれば扉が欲しいです。
なるべく早く食器洗い機、冷蔵庫など決めてまたメールします。
材料の木ですが、アルダーの方が良さそうです。
塗装についてはもう少し考えますが、おそらく無垢材の部分のみオイルで、あとはウレタンがよいかなぁと思っています。
いろいろお手数おかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
どんなキッチンになるかとても楽しみです。
PS・・ブログ拝見させていただきました。
ぜひ今度は皆さんでこちらにお越しください!!
最近はこちらも暑くなりましたが、そちらと比べるとやはり涼しいですよ。
頂いたお菓子とっても美味しかったです。ごちそうさまでした。
あのあとどこにも寄らずに帰ってきたので、唯一湘南に行ったお土産になりました!!
ありがとうございました。」

アルダーのL型キッチンと厨房用キッチン
引き出しの中はこのような感じになっています。

「このたびはよろしくお願いします。
フリーハンドイマイの今井大輔です。
昨日は遠路はるばるお越しくださいましてありがとうございました。
こちらこそ楽しい打ち合わせができて何よりです。
先ほどさっそくメールを読ませていただきまして
さっそくプランを再検討しております。
また本日の日中に、ステンレスカウンターをお願いするために加工メーカーさんを見学してきました。
オーダーキッチンにとても理解のあるメーカーさんで、仕上がりのよいところを見つけました。
キッチンの出来上がりが楽しみです。
食器洗浄機もリンナイの「RKW-C401C」だと奥行600mmのキッチンでも据え付けることができて、さらに下部に引き出しをつけることができそうです。もし他に良いものがあればよいのですが、最近は奥行650mmのキッチンが多いため、奥行600mmで下部に収納ができるものがなかなか見当たらず悩んでおります。
下部収納がないタイプならいくつかあるようですが・・、
ご検討頂ければと思います。
プラン・見積の提出日ですが、明日は使用で休暇を頂いており、明後日は現場取り付けがあるため、早くても14日の木曜日の夜になってしまうと思います。
お待たせして申し訳ございませんが、どうかご了承ください。
*もし、現場の工程上、配管位置を決めたりするのにどうしても14日よりも前に図面が必要な場合は夜更かししてがんばってみますので必要でしたらおっしゃってください。
では、また14日(木)にご連絡致します。
よろしくお願い致します。」

アルダーのL型キッチンと厨房用キッチン
自宅のキッチンのL型の妻手のほうはコンロがあります。右はボトルなどを入れるスリムな収納で左は引き出し。

そのような感じでキッチンのお仕事が始まったのです。
何度かやり取りしてほぼプランが確定したあたりで、採寸に伺うことに。
もうね、旅行気分です。
相変わらず車は好きではないので、電車で行くことに。しかも、普段新幹線なんて乗りなれないから、鈍行で行くことに。(さすがに帰りは、終電がなくなりそうでしたので新幹線でした。)
夜明けと同じくらいに自宅の海老名から相模線、横浜線と中央本線で北に向かいます。高尾山に登る年配の方々を降ろした電車は、続いて慌しく通勤・通学する人たちが乗り込んでみんなを乗せて北に進みます。賑わいは甲府駅あたりまでで、また車内はガランとした雰囲気に。急に喧騒が止んだので目が覚め、ぼんやりと山並みを眺めるうちに小淵沢に。ここで1時間ほど待ちぼうけ。バスのような小海線は、別荘地を抜け、本当に何もない山の中の走る気持ちの良い電車です。まるで、両側の木立が電車のおなかや頭をそっと撫でているかのように、もうほんとうに林の中を抜けていくわけです。そうして小諸駅に到着。それから、しなの鉄道に乗り換えてようやく信濃追分駅に到着。うーん、5時間くらい掛かりました。
駅員さんも居ない駅前は、事前にFさんから「何もないところですから。」とメールを頂いていた通りに、何もないところでした。しばらくして到着したFさんの新居の建設地は、本当に気持ちの良い別荘地。
まもなくFさんや監督さんが到着して打ち合わせ。
思っていたよりも工事が進んでいるので、ちょっと焦ってしまいます。だって、これから作るのに間に合うかな・・。
と、心配していたのですが、ここからはかなり具合の良いスピードで進んだのです。

アルダーのL型キッチンと厨房用キッチン
こちらは工房側の流しとして使う2槽式シンク。2槽式のオーバーフローの方法などを工夫しています。

Fさんは、ご自宅の工房でケーキやパンを作ってテナントに委託販売してもらうと言うお仕事をしています。そこで、キッチンは保健衛生上、自宅用のキッチンと工房用のキッチンに分けなくてはいけないのでした。しかも工房用のキッチンは、調理用のキッチンと流しとして使う専門のキッチンの2台。合計3台のキッチンを作ることになっていたのです。当初は納期の関係で、検査の日までに設置しておかなければいけない工房側の2台を先行していましたが、並行して自宅のほうにも取り掛かることができて、結果としてどのキッチンも同時期に作ることができたのです。

アルダーのL型キッチンと厨房用キッチン
2層式シンクの下は、根菜がしまえるようなバスケットになっています。

最初の取付は検査の数日前でした。
先行して仕上げなければいけない工房側のキッチンだけを持って行ったのでした。
ちょうど梅雨の時期で雨は降ってはいませんでしたが、碓氷軽井沢ICから降りた先は霧で霞んで先が見えない状態。電車で来たときは思わなかったけれど、こんなな高い土地に着たんだなあと実感します。
キッチンの据え付け自体は、他の収納家具に比べて、コンセントをつけたり(電気屋さんがしてくれます)、組み立ててから天井の隙間を埋めたり(キッチン設置後壁を仕上げるのでクロス屋さんなどがそのあたりをしてくれることが多かったりします)と言った細かい細工が少ないことが多いので午前中にはその日の作業が終了。帰りに軽井沢によって、ソーセージをお土産に購入し夕方には帰社。小旅行のような気分の取付です。

アルダーのL型キッチンと厨房用キッチン
工房側のコンロ側キッチンはこのような印象。 作業スペースがメインになるので、収納はこのくらいのボリューム。

続いて、その約1ヵ月後に今度は自宅用のキッチンを持って行きます。こちらは工房のキッチンに比べて大きく、しかもL型のキッチンです。監督さんも大工さんもあらかじめ場所をきちんと用意しておいてくれたので、やっぱり午前中に作業は終了。この日はジャムを買って帰りました。
そうして、最後の取付。今まで扉や引き出しは、内装作業中は傷になりやすいから、工場に保管していたのですが、大方内装工事も終わってまもなくクリーニングに入る頃になったので、細かいパーツを持ってきたのです。そうして、完了。・・・と思っていたら、私の見落とし。うまく納まらない部分やちょっと違う材で作ったパーツが出てきてしまったので、一度パーツをいくつか引き上げることに・・、残念。
再加工後、今度はせっかくだからと言うことで、家族を連れて、本当に小旅行に。
Fさんにはうちの下の娘よりも少し大きい男の子が居ます。子供たちはみんなでおおはしゃぎ。私は残作業。1時間ほどして完了。・・・と思ったら、もう一つだけ見落としが・・・。何とも情けなくなります。

アルダーのL型キッチンと厨房用キッチン
リビングの前でポーズをとる我が娘。

そんなわけで日を改めて、再度家族と小旅行。今度の作業は30分ほど。これでようやく完了。
帰りにはFさんからたくさんの夏野菜を頂いて、さらにFさんが作ったケーキをお店まで食べに行ったりして、いろいろと楽しく過ごさせてもらいました。
こうして、初めて遠くの場所でのキッチンを作りました。とても良い勉強になることがたくさんありました。
Fさんからもお仕事が終わってから、なぜうちにキッチンを頼んだのかをきちんと聞くことができました。

「実は、通販のカタログにこのキッチンが載っていたのです。」といって見せてくれたのが、ちょっとめずらしく洒落たフリーペーパーでした。そこの表紙に出ていたのが、茅ヶ崎のKさんのキッチンでした。(いつもながら、すごい反響ですね。)
「で、調べてみたらイマイさんに辿り着いたのです。もともと軽井沢で育ったのですが、以前まで京都に居たので京都の家具屋さんにお願い仕様とも思ったのですが、このキッチンを作ったところに話したほうが早いと思って、思い切ってイマイさんを訪ねたんです。」とのこと。
なるほどそうだったのですか。
この出会いのおかげで、この場所にも遊びに来ることができました。
また家族で来ますね。楽しみにしています。

キッチン仕上
天板 ステンレスヘアライン
扉・前板 シルバーハート板目突板練り付け
本体外側 シルバーハート板目突板練り付け/アルダー無垢材
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 ワトコオイル塗装「ナチュラル」
キッチン
価格:1,980,000(製作費、塗装費、設備機器は別途)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は100,000円から取付施工費は120,000円から
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