タルトタタン

2019.11.01

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学生の頃スパゲッティレストランでアルバイトをしていて、そこのイベント時のスペシャルメニューのデザートで初めて食べて知ったタルトタタン。りんごの味が濃くカラメルの苦みと時々ガリっとした飴が混じる感じが美味しくて感動したのを覚えています。余ったら食べられるから「注文はいるな。注文はいるな。」と念じながら働いていました。(笑)
また、それを当時30歳位の男性のマネージャーNさんが作っていると知って驚いたのです。車高を低くしてBBSのタイヤを付けている車に乗っていて、いつも2階の更衣室の横のたばこ臭い事務所で寝ているけどOPENの時間になってお客さんの前ではぱっきりしているという感じの人で、賄いのスパゲッティを手際よく作っている姿は目にしていましたが、ケーキも上手に作れるとは思っていませんでした。「そうか、お店が終わってからこういうこともしているんだ。」と大人への理解が深まるきっかけの味にもなりました。そのNさんが「タルトタタンは紅玉じゃないとダメなんだよね。味が出ない。」といったのを覚えていたので、紅玉が手に入った時に作ろうと心に決めています。
りんごを持って家に帰ると「私もやる~。」と例のごとく長女ハルの出番です。
「小麦粉とバター混ぜる作業が一番楽しいよね。」と言いながら手際よく進めていきます。暇さえあれば、お菓子作りの動画を見ている彼女。私はお菓子作りの時たまにしか作らないからかいつも加減がわからないなと悩むのですが、ハルは動画のお陰なのか「このくらいでいいはず。」と迷いがなく進めていけて上手。(なので「スマホばかり見て!」とは注意しづらい…。)私はアシスタントとして動くだけです。
りんごを茶色く煮ることを気にしすぎて並べられないくらいに煮過ぎてしまいましたが、生地はサクサクで、味は美味しくできました。
でもあのタルトタタンではないな。やっぱり毎回同じように焼き上げていたNさんはすごい人だったんだなと改めて思うのでした。お店はずいぶん前になくなってしまっていたので、どこかでお元気なのかしら。

【近日開催予定のイベントのおしらせ】

イマイダイスケ 自宅のオープンハウス
日時:11月24日(日)10:00~17:00
場所:神奈川県海老名市
詳細:https://www.freehandimai.com/?p=20061

クレミル2019
日時: 12月14日(土)、15日(日)10:00~17:00
場所:フリーハンドイマイ工房にて
詳細:https://www.freehandimai.com/?p=20028

ダイニングチェアのオーダー「チェリーのチェアの納品」

2019.11.01

2019110100120191101003風がうたう」のSさんからダイニングチェアの制作依頼を戴いていたのでした。
「子供や孫たちがね、ここで過ごす時間が増ええきちゃってね。」
とうれしそうなSさん。

昨年の暮れに納品させてもらったカウンターやテーブルや椅子たちはすっかり赤茶色が濃くなっておりました。
「新しい暮らしはどうですか。」と私。
「いいですよ、やっぱり。帰ってくるときの香りがふわっとして落ち着きます。」とSさん。
Sさんの新居の工事中から私の自宅のこともいろいろとお話していて、お互い加賀妻さんで建ててもらうということでいろいろなお話を当時からしていたのです。
やっぱり所作が美しいところは、何をしても美しいです。良い工務店さんにはよく職人さんが集まってきますよね。そんな話をしていました。
そう思います。気持ちより旗を振っているひとのまわりには気持ちの良い人たちが集まってくるんです。
私たちも日々勉強です。
また、何かあったらお邪魔しますね。
これからもよろしくお願い致します。

【近日開催予定のイベントのおしらせ】

イマイダイスケ 自宅のオープンハウス
日時:11月24日(日)10:00~17:00
場所:神奈川県海老名市
詳細:https://www.freehandimai.com/?p=20061

クレミル2019
日時: 12月14日(土)、15日(日)10:00~17:00
場所:フリーハンドイマイ工房にて
詳細:https://www.freehandimai.com/?p=20028

よしおの匂い

2019.11.01

20191101005Tさんの作業机ができあがりました。
ダイニングテーブルではなく作業机なのです。
映像の編集などをお仕事とされているTさんが希望したのは大きくてどっしりとした天板のある作業机。ナラの柾目で作りました。
ふと、写真を撮るために倉庫に入ったら、どこか懐かしい香りがしていました。
あぁ、ホビーショップよしおと同じ匂いだ・・。

学校が終わって、お小遣いがある時によく通っていたのが「ホビーショップよしお」でした。
私たちは「ホビー」と呼んでいて、放課後に「ホビー行こうぜ。」と言っては、モッチやハナちゃんやニシちゃんやメップたちと、そこに出かけては30円のべビスタ―を買ってぽりぽりかじってほしいプラモを眺めたり、串に刺さったカステラを串にささりながら頬張ったり、やたら赤い汁が入ったすももを食べながら(私は苦手でした。)放課後の楽しい時間を過ごしたのでした。
何年生の時だったかなあ・・。
たしかマンガの影響で物を買う時には値札のままでは買わないもんだせ、みたいなことを読んだ私は、よし!と思い立ってホビーに向かったのでした。
ホビーの店内はいつものように夢の中のようにほしいものがたくさんあふれていて、手の届かないところにある大きなプラモはとても高くて買えなかったのですが、また、だれが作るのだろうと思ったお城や峠の茶屋のプラモがあったりしたその中にお目当てのガンプラがあったのでした。
たしかギャンだったかな。
やった、とうとうギャンを買う時が来た。
ドキドキする気持ちを抑えてギャンの箱を抱きかかえて、よしおさんのもとに。
よしおさん、私たちが子供だからだろうか、お会計する時くらいしか話したこと(お湯はそこだよ。とか)なかったから私にとってはずっと得体のしれないおじさんだったのです。
だから、こちらから話しかけたことなんてないわけで、ギャンを抱きかかえながら、どうしよう、よいのだろうか・・なんて迷いながらよしおさんにもとに向かったのです
「いらっしゃい。はい、これ○○円ね。」(いくらだったか忘れちゃった。)
いつもの駄菓子を買う時のようにすっとお金を出そうとしない私を親っと思ってよしおさんが見つめる。
私はよしおさんを見つめ返しながら、おもむろにつぶやく。
「あの・・、おじさん、これもう少し安くなるんですか・・。」

ハッとして、一瞬ちょっとうろたえたような表情のよしおさん。

そうだよね、いつも来ているこの子供が急にプラモを値切ってくるなんて思わないもんね。
「えっ、なんだよ。高いのかい。」
とおどけたようなしかめ面のよしおさん。
数秒の静かな時間のあと、「じゃあ、いいよ、○○円でいいよ。」と、ちょっと吐き捨てるような感じでそう言ってくれたのです。

「ありがとうございます!」
私はいくら安くなったかなんてもうほとんど覚えていなくて、品物をシールの値段よりも安く買えたことですっかり大人の仲間入りしたように思えたのです。子供に夢を与えてくれてありがとう。

あの時はすみませんでした。
お仕事にはそれぞれの価値があるってことを生意気な小学生にはそういうことが分かっていなくて、すっかり浮かれてしまっておりました。
そんな今ではもうなくなってしまった私たちのワンダーランドであるホビーのうす暗い店内でいつも漂っていたような木々のこもった香りが今日の倉庫には漂っていたのです。

【近日開催予定のイベントのおしらせ】

イマイダイスケ 自宅のオープンハウス
日時:11月24日(日)10:00~17:00
場所:神奈川県海老名市
詳細:https://www.freehandimai.com/?p=20061

クレミル2019
日時: 12月14日(土)、15日(日)10:00~17:00
場所:フリーハンドイマイ工房にて
詳細:https://www.freehandimai.com/?p=20028