クルミの変形オーダーキッチン

2019.12.24

こういう変形家具を父はクセモノと呼んでいて、昔はそれこそこういう家具ばかり作っていましたね。
昔、まだ父が現役で頑張っている頃は美容院やカーディーラーのショールームの什器等の仕事が多く、こういった変形した家具の仕事がたくさんありました。
当時はパソコンもないし、小さな工房には大型の機械もないから、今回のKさんのような家具の場合はベニヤに原寸を描いてその寸法をいちいち確認しながら作業したものです。
今でこそ、CADで打ち出した図面は原寸と同じく使えるので、それを型板にすることができるようになりましたが、昔は曲面を出す場合なんて細長いベニヤで定規を作って、その先にハンドトリマーを取り付けて、そこから定規で半径をベニヤに墨出しして、支点となる位置にビスをねじ込んで、トリマーと一緒に自分もグルグル回って粉だらけになりながら1000Rやら2000Rの大きな円を切り出しておりました。
本当にもう手作りでしたね。
その曲面に切り出した板に細い柱となる芯材を立ててその上から曲げベニヤを貼って、そうして曲がった帆立や扉を作ったりしたものです。
おもしろくはありましたが、良い形を作っているのかどうかの自信は持ててませんでしたね。
住宅の仕事を主にするようになりましてからは、そういったクセモノに挑むよりは、しっかり素直な形で長く使える良いものを、と考えると、おのずと形はシンプルになっていったのですが、たまにはこういう変わった形をうまく納めるために頭を悩ませながら作るのも楽しいものです。
先日、制作を担当するカイ君と一緒に現場に行って現場でどう納まるのかをベニヤを持って型取りをしてきて、その方に合わせて木取りを確認しながら制作に取り掛かっています。
ここにステンレスのカウンターがつくのですが、うまく合うことを祈りつつ年を越すのです。