トランクルームを使う:家具屋の家づくり

2020.04.29

コロナウィルスの影響で、お家づくりが予定より遅れてしまっている方、止まってしまっている方々がいると耳にしました。
昨年自分たちが経験したことが少しでもどなたかのお役に立てばと思い書いておこうと思います。

町で目にするトランクルーム。(レンタルスペースともいいますね。)
自分は使うことはないだろうと思っていましたが、マンションを出て新居ができるまでの間の2か月半の区域外通学の間、大変お世話になり助かりました。
まずトランクルームと検索してみると思いのほか近所にたくさんあることに気づきました。
後は、必要な大きさ・金額と契約条件で調べ、空きがあるところを探しました。第一希望の場所で空きがあったので助かりました。探した時期は年末から1月にかけてなのでそれほど混み合ってはいない時期だったそうです。やはり春頃が一番混むそうです。
大きさはそのサイトさん毎に必要な目安を掲載してくださったのでそれを参考にして、我が家は8.4畳サイズを選びました。たぶん一番大きなサイズだったと思います。
トランクルームに入れたものは、子供たちの二段ベッド(もちろんバラしました。)、ダイニングテーブル(バラせないので組んだままです。)、椅子4脚、扇風機、洗濯機、エアコン+室外機4台、チェスト、子供たちの学習机、衣装ケースをたくさん(押し入れ用8個・クローゼット用20個はあったと思います。)、体にフィットするソファ大2個、お布団類、小物を入れた段ボール沢山、など、冷蔵庫とテレビは引っ越しと共に処分したのですが、家族4人分のものが十分入りました。きれいでしたが直に室内の物を置くのは気になりましたので、大きいきれいなブルーシートを敷いてから使いました。
心配だったのは湿気でした、洋服とお布団も保管していましたので。「通気口が小さい穴しかありませんので、定期的に換気していれば大丈夫だと思います。」と係の方に説明されました。心配だったので、湿気取り剤を試しに1つ置いてみましたが、全く水はたまりませんでした。時々物を出し入れしに行っていたので換気できていたのかもしれません。保管していた時期も3月~5月中旬だったので湿気があまりない時期だったと思います。
気を遣ったのは駐車スペースでした。
荷物を出し入れするためにトランクルームに行くので、自分たちのトランクルームの前に停めますが、他の方とタイミングがあってしまうとその都度車を動かしたりするので、その時は少し緊張しました。
見落としていたのは、最初にお金がいることでした。契約して場所を借りるわけですから、初期費用が必要でした。
1か月分の賃料は¥30,240で2.5か月分・保障預り金・事務手数料・鍵代で¥113,900を事前振り込みで必要でした。保障預り金(¥31,000でした。)は解約時に返金されましたが、お家づくりを始めた時には全く見ていなかった金額なので負担が大きく感じました。

実は最初は怖かったのです、トランクルーム。海外ドラマの「ウォーキングデッド」を観てからは、「ターミュナスだよ~。ウォーカー入っていたらどうする~?」と娘たちと冗談を言いながら横を通りすぎていたので。でもそんなことはありませんでした。(管理されている方、利用されている方、不愉快に思われたらすみません。)
私達が使った場所は建築関係の方が多かったのか、夕方くらいに大きいバンでやってきて、仕事道具を出し入れしている方々ばかりでした。これから仕事で家具やキッチンの置き場所に困ったときにまた利用してもいいなと思いました。
お世話になりました。

おうち時間:おとうさんの台所 キッチンの明かりについて

2020.04.27

外出自粛生活が始まり5回目の週末のメニューはカツレツでした。今回もダイスケさんお得意のメニューです。
温野菜もついてボリューム満点で美味しかったです。ごちそうさまでした。
今回はキッチンの明かりについて我が家の例をご紹介します。
Dsc_5705キッチンにはシンク側天井からのブラケットライトとレンジフードの明かりと天井に2つのダウンライトをつけました。全部付けた時の写真です。
Dsc_5681暮らし始めてみてレンジフードの明かりが結構必要だったのだなと改めて気づきました。レンジフードの明かりを消した場合の写真です。手元が暗いですね。ダウンライトからの明かりは背中からになってしまうのでどうしても手元が暗くなってしまいます。Dsc_5734Dsc_5733普段我が家ではキッチン側で盛り付けするのですが、今回は食器棚側でしてもらいました。ダウンライトをつけた場合とつけなかった場合の大差がないですね。背中側からの明かりになるので、手元はやはり暗めです。作業ができないほどではありませんが。カップボード側の吊戸棚の下に明かりをつける人がいる理由もわかります。Dsc_5735Dsc_5732人がいなければ遮られないのでダウンライトでも十分手元は明るいですDsc_5738
多少ずらしたりはできますが、着工時には決めてないといけない明かりの位置。図面からの想像では難しい場合が多いです。
写真だけですが、どなたかのご参考になればうれしいです。

ゴールデンウィーク期間中の営業について

2020.04.27

20200427002私たちの工房では、4月29日(水)~5月6日(水)まで工房を閉める予定ですが、ただいま家作りを計画されていて、この連休中に考えを深めたいと思われるお客様もいらっしゃると思います。
そのためにオーダーでできるキッチンや家具のことを詳しく見聞きしておきたいと思われる皆様には1日1組限定とはなってしまいますが、工房と展示室をご覧頂けるように準備いたしますので、気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

ひかり

2020.04.26

20200426001202004260022020042600320200426004陽射し、ひかり、ひかり。

作り出す人

2020.04.25

「ナラ板目材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン」

三鷹 N様
design:Nさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:yasukazu kakai
painting:yasukazu kanai

「僕はね、物を作ることが好きなんですよ。特に服ばかりが好き、ということでもないのです。」井の頭線の車内でNさんはそうおっしゃってくださいました。

ナラのペニンシュラタイプのキッチンと食器棚

庭木の緑がきちんと入り込んでくる印象。もともと正面の突きあたりの壁向きについていたキッチンはレイアウトを変えて、ペニンシュラに。おかげで吊戸棚がちょっと下からはみ出たレイアウト。

ナラのペニンシュラタイプのキッチンと食器棚

右手前が玄関で、入ってくるとすぐにこの光景が広がるのです。

ナラのペニンシュラタイプのキッチンと食器棚

調味料と調理道具の多さがこのキッチンの豊かな表情のひとつになっています。

お仕事のつながりからとても面白いご縁を頂いたのです。
私はもっと若い頃はいろいろな洋服が好きでしたね。古着って言葉がよく聞かれるようになった頃でしょうか。(違うかな。)友人と下北沢のほうまで気に入る上着が見つかるまで一日町をぐるぐる歩いたりと、とても有意義(笑)に時間を使って過ごしていたこともありました。
昔母が来ていたコートを着ていたりしたこともありましたねえ。友人たちには大変ほめられましたが・・(笑)
でも、この仕事を始めると作業着を着る毎日で、だんだんと着るものへの興味が薄らいでしまって、結婚するとなおさらです。
アキコとは19歳の時からの付き合いでありますので、結婚する頃には何だかもう恋人というよりは家族のような感じでして、結婚してからは彼女の良いと思うものを着る、という感じになっておりました。
だって、隣でその服のバランスはどうかなあ。って言われちゃうと一緒に居づらいじゃないですか。
なので、時折、街に買い物に出かけて着るものを見つける時はいつもアキコが居る時でしたので、だんだんと無頓着になってしまうのですね。ははは。
父の跡を継いで、こうしていろいろな皆さんとお会いする機会が増えてきたことで、あらためてきれいな格好を気にするようになってきましたが、いけませんね、人ってその時に見たいものしか見ないわけで、あれこれ気持ちが移ろいでしまっては。
そういう気持ちでいる自分にとっては、Nさんの言葉はやはり強く響いたのでした。

ステンレスシンクの洗剤ポケット

無印良品のステンレスシンクラックが置けるようにした洗剤ポケット。

このリノベーションの施工を担当される設計士さん伝いに「有名なデザイナーさんなのですよ。」とお話を聞いていて、私たちの工房にいらして頂いた時も奥様とお話する時間が多かったもので、Nさんとはちょこっとしかお話ができていなかったもので、どんな人なのだろうってよく分からなかったのです。
奥様の思い描くキッチンは私のよく知る少し懐かしい印象でキッチンを思い浮かべやすかったのですが、どういうインテリアになってくるのかが、世界で活躍されている方のおうちとなると、はたしてこれで良いのだろうかって不安がずっとどこかにあったのでした。

ステンレスとナラのペニンシュラキッチン

食洗機は幅45センチのオートオープン機能付きのミーレG4820SCi。コンセントはJIMBOのNKシリーズの黒いものを使っています。

そうそう、このホームでばったり出会う1週間前にもうれしい時間を持てていました。
その時は、実際にキッチンにしまいたいものなどを見させて頂こうということでNさんのお宅にお邪魔させて頂いたのでした。
「仮住まいで物だらけですみません。」
と案内してくださったリビングは、たしかにいろいろなものがありましたが、Nさんご家族の雰囲気が良く伝わるものたちがそこかしこに在ったのです。
打ち合わせの途中に「ただいま!」と元気よくお兄ちゃんが帰ってきました。
そうか、お父さん、お母さんなんだった。
そこで、私が当時娘の中学校で役員をしているというお話になったのでしたが、「主人はそういうの苦手なんですよ。どちらかというと人見知りで。」と。
この町で暮らすならNさんみたいなクリエイティブな方ならきっとすてきなコミュニティを作れるのじゃないかなあなんて勝手に思い込んでいたので、そういう控えめな印象がかえって新鮮に思えたのでした。

ステンレスとナラのペニンシュラキッチン

引き出しの様子。

ステンレスとナラのペニンシュラキッチン

引き出しの様子。

ステンレスとナラのペニンシュラキッチン

引き出しの様子。

コンロの下のお鍋用の引き出し

コンロ下も引き出し。

調味料用の引き出し

調味料用の引き出し。

工房にいらしてくださった時も服装はご自身のブランドの物なので、主張がある印象に見えたのですが、意見を伝えてくださる回数がとても少なかったから、かえって何だか試されているようでちょっとおっかなびっくりに思っていたのです。でも、それは純粋にNさんが控えめだったからなんだって、あらためてこの打ち合わせで思えたのでした。
勝手に思い込んで、勝手に親近感を持ってしまって、人って自分が見たいように見てしまう、いけないなあ、あらためてそう思ったのでした。
そして、後日現場確認の後にこの井の頭線の中で、あらためてNさんの穏やかで強い思いを聞かせて頂くことができて、その時間が私の気持ちをほぐしてくれて、というかNさんの人柄がそうさせてくれるのでしょうね。
本当にうれしかったのです。

プラスドゥのガスコンロ

リビング側は食事が採れるようにとカウンターになっています。

張り出したキッチンカウンター

カウンターはステンレスのシンプルなブラケットで支えています。本当は側面のパネルをカウンターの前面まで延ばして強度を出したかったのですが、「横の抜け感はぜひ出したいなあ。」というNさんのご要望で今回はこの形に。木部とステンレスの接合はちょっと工夫をして、ブラケットだけで支えられるようにしたのです。

Nさん、洋服を作ることが好きで好きでそれを見せる場所を作りたいって思っていたらいつの間にか自分で店も作ってしまって、自分で切り盛りして次第にまわりの皆さんが評価してくれて立ち上げたブランドがヨーロッパでも評価されるほど大きくなっていって、と経歴を見ているとなんだかすごい人だと思うのですが、とても静かな物腰で、こうして井の頭線に一緒に乗っている。
「電車で移動されることがあるのですね。」
「いや、今日はたまたま現場から事務所に行こうと思っていたから車よりはこちらの方が楽ですし。」
なんて普通の人なのだろう。
でも、物を作ることが好きという気持ちがお話を聞くたびにとても一途に伝わってきて、穏やかな車内で私は圧倒されていたのでした。
たった5駅の15分くらいでしたが、私はNさんがあらためて好きになってしまったのでした。
あの時、井の頭公園で帰り道を少し迷わなかったら、この時間はなかったのだなあ。
「ありがとうございました。」と先に電車を降りた自分は何だか初恋の人が去っていってしまったような淋しさを感じながら、帰路に就いたのでした。

ナラ無垢材の食器棚

吊戸棚の扉もナラの無垢材で制作。

ナラ無垢材の食器棚

キッチン側は掃除がしやすいように化粧板で引き出しを作りましたが、こちらはリビングから見た時の印象が優しく見えるように内部はシナ合板無塗装仕上げ。

ナラ無垢材の食器棚

グラス類は倒れやすいので、引き出しに入れないで、棚に置いて。

リノベーションを行なうNさんのご新居となる場所は、庭木に囲まれて懐かしい香りがしそうな古い戸建てで、井の頭公園が写り込むような緑の多い場所なのでした。
元々あったキッチンの場所からレイアウトを変えることもあって、フードのダクトの取り回しや吊戸棚の納まりなどイレギュラーなところがあって、多少施工が難しい部分もありましたが、職人さん皆さんがとても良くしてくださって、特に大工さんが私たちのためにいろいろと手を尽くしてくださり(大工さんの段取りが良い現場はとても仕事がスムーズです)、こうして複雑な納まりでもきれいに納めることができたのでした。

物を作ることが好きということもあって、キッチンと背面の食器棚の塗装はNさんご夫婦で行なうことに。
その説明にあらためて現場にお伺うした時にはすでにNさん手作りのレコードラックも入っていて、再びその思いを見せて頂くことができたのでした。
こうして無事に塗装が完了して、そのあとは無事にお引渡、お引越しも住んで、そうしてしばらくしてからご挨拶にお伺いしたのです。

ナラ無垢材の食器棚

今回のNさんのご要望として、この手掛けを気に入ってくださって、キッチン側も金属のハンドルは付けないで、この手掛けで統一しています。

ナラ無垢材の食器棚

レイアウトは、一番左に炊飯器がしまえるスライドテーブルがあって、あとは引き出しの収納です。

ナラ無垢材の食器棚

引き出しの様子。

ナラ無垢材の食器棚

引き出しの様子。

ナラ無垢材の食器棚

引き出しの様子。

ナラ無垢材の食器棚

引き出しの様子。

ナラ無垢材の食器棚

引き出しの様子。

ナラ無垢材の食器棚

引き出しの様子。

この時はNさんお仕事で忙しくされていてお会いすることができなかったのですが、奥様からキッチンの様子をいろいろと聞かせて頂いて、皆さんの暮らしの心地良い様子が分かってとても温かい気持ちで帰ってきたのでした。

キッチン仕上
天板 ステンレスヘアライン
扉・前板 ナラ板目無垢材
本体外側 ナラ板目突板
本体内側 ポリエステル化粧板/シナ合板
塗装 オイル塗装仕上げ

ナラ板目材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

森の中

2020.04.25

20200425004「ちょっと木屑出しに行ってきます。」

この4月からヒロセ君が新しく私たちの工房に入ってくれたのです。彼はノガミ君の前の前の職場(木工や大工作業が多いお仕事だったのです。)の先輩で、ノガミ君は木工のあいうえおを彼から教わっていて、いろいろな道をたどって今はノガミ君が私たちの家具作りをヒロセ君に教えている。
複雑だねえ。
ということで、作業はとてもしっくりくる感じで行なってもらっているのですが、私たちの習慣がいろいろあるものでそれを見てもらっています。
その一つがたまった木屑を預けに行くこと。
私がこの工房に勤め始めてしばらくして、各家庭でゴミを燃やすことが禁じられるようになって、野原や田畑の焚き火も見かけなくなりましたし、工房の脇にあった小さな焼却炉で木っ端を燃やすこともなくなりまして、その頃から茅ケ崎の養豚場さんに木屑を預かってもらっています。
豚舎が汚れたら、屑を撒いて糞尿を吸わせて掃除するのに適しているのだそうで、木屑がたまったらその都度運び込ませてもらっていたのです。
そして、今日はヒロセ君のその場所の案内。
しばらく前からみんなで交代交代で行ってもらっているから知らなかったのですが、豚が山羊になっちゃった。
あの豚さんたち、屑を持っていくとみんな見つめてくれて(おなか減っていたからでしょうか。)撫でるときちんと挨拶してくれるすてきな方々だったのです。
時々そのお肉も頂いたのですが、やはりとても美味しくて、ありがたいなあとご縁に感謝しておりました。
今日はね、大根を頂きました。
ありがとうございます。

リボスで仕上げたタモのテレビボード

2020.04.25

2020042500220200425003先日ご紹介した品の子供部屋の収納と一緒に制作のご依頼を頂いているタモのテレビボード。
Aさんのお部屋の印象がとても和風ということで、テレビボードもその印象で。
タモ材を使ってリボスの黒檀というカラーで塗装しています。
今回は天板と側板は突板で制作し、角の部分は強度を出すためにヒモを回し(タモで細い角材を作ってそれを角にあてがうのです。)、格子は無垢材で制作し、奥行きが出るように(隙間がきちんと影に見えるように)格子材の見込み寸法をすこし大きく取って作っています。
デザイン的にはシンプルなのですが、設置しちゃうと見えない部分がかなり複雑になっていて、それぞれの引き出しの奥行とその隙間を縫うようにして通される配線スペースの確保の方法などAさんのいつもながらの細やかなイメージを実現させるためにあれこれ工夫して作っているのです。

ナラのキッチン対面カウンター収納

2020.04.24

20200424002少し風が冷たくはありましたが、気持ちの良い日差しが出ている日でしたね。今がこうして大変な時期でなければ、もうすぐでやってくる心地よい温かな季節の到来に素直にうれしい気持ちでいられるのですが、今はこうして目に見えない不安を片隅に感じながら過ごしていかなければいけない時期ですね。
でも、こうして、今日Mさんが楽しみにしていた家具をお持ちすることができたのは私たちにとってもとてもうれしいこと。
いつもと変わらない喜びをお渡しすることができて、私たちもその気持ちを頂くことができて。
自粛する、行動を控えることは今はとても大切なこと。でもこうして、自分たちがあるのは皆さんとのつながりがあって今があるわけで、その気持ちのつながりは細くなっても丁寧に大切に持ち続けていきたいのです。その努力は惜しまず、しずかに前を向いて歩いてゆきます。
Mさん、今日はありがとうございました。
また、明日の塗装を頑張ってくださいね。すべてができあがって、使い心地が分かり始める頃、またお邪魔させて頂けたらと思っております。

かぜがふわりと

2020.04.23

「クルミのセパレートタイプの食器棚のオーダー」

所沢 F様

design:Sさん
planning:daisuke imai
producer:kouhei kobayashi
painting:kouhei kobayashi

クルミのセパレートタイプの食器棚

リビングから食器棚を見た時の様子。吊戸棚が明るいのです。


クルミのセパレートタイプの食器棚

吊戸棚が軽く見える印象は、背板のない明るさや格子扉の他に天井の抜け具合があると思うのです。Fさんのリビングは2階でさらに屋根裏を作らなかったので天井が高いのです。たあ、天井の形がそのまま表れていて変形して見えるのでした。最初は、その天井に合わせて上までピッタリに作る形でお話が進むこともあったのですが、その分に係るコストと、リビングから見た時の吊戸棚の印象が重くなってしまうことを考えて、壁が垂直に立っている部分までで高さを抑えることにしたのです。おかげさまでとても軽い印象にまとまったのです。

Fさんのところにとても久しぶりに伺うことができてようやく食器棚を使っている様子の写真を撮ることができたのでした。
ということで、昔を思い返して、Fさんの食器棚を作った時の様子をお知らせしたいと思います。

確か最初の相談は、「ちょっと変わった設置場所なのです。」って、Fさんはそう言っていたと思うのです。
食器棚を作るにあたって、「吊戸棚をつけたいけれど、ちょうどその位置に窓があるんです。」って。

なので、最初は窓を避けて、コンパクトで高さの低い箱を付つけようかとか、外からあまり見えない位置の窓だから、思い切って窓を塞いで大きな戸棚にしたらどうか、などといろいろなお話になったのですが、コンパクトなサイズだとかえって使いにくくて、せっかく作るのに意味がなくなっちゃいそうだったし、窓を塞ぐというのは、湿気などのことを考えるとメンテナンスができないのはどうにもよろしくないですし、どうしようかなと悩んでいたのです。

クルミのセパレートタイプの食器棚

吊戸棚の格子は幅25ミリ、隙間は11ミリで作っています。中が見えすぎず、通期もできて気持ちの良いサイズ感にできました。

そんなあれこれ悩みながら、ふと思いついた形がありました。
背板のない戸棚でした。
うまくいくかどうか詳しいことは現地を確認してみないと分からないのですが、魅力的な形になりそうだし、どうにかなるかな、と。
すごく素敵な形になりそうで、Fさんも賛成してくださって、せっかく窓をのそのまま家具の中に生かせるなら、通気よく使いたいですね、というお話にしろがっていきまして、「では、風がふわりと流れるような形にしましょう。」ということになったのでした。

クルミの格子扉のある吊戸棚

吊戸棚を下からのぞくと、このような感じ。扉2枚分の幅が水切り棚のようになっています。直径13mmのステンレスパイプを並べてこの棚を実現しています。

問題は必要最小限に入れたい背板の代わりとなる補強をつける位置に壁の下地があるかどうか・・。
そして、背面の補強だけだと重たい吊戸棚が強度不足で傾いでしまう可能性もなくはないので、側面にもきちんとした壁があるかどうか。

クルミの格子扉のある吊戸棚

水切り棚のある右側ではなく、左側の扉を開けた様子。後ろから入ってくる陽射しがとても明るい。

大まかなイメージをまとめて、Fさんのお宅を訪ねます。
うん、どうにかなりそうです。
窓のサイズを考慮しても吊戸棚が必要以上に変わったサイズにすることなく、自然な感じのバランスで作ることができそうです。
また、通気を良くするために扉を全て格子にする、というのもとてもよくまとまりそうで、Fさんから提案があった水切り棚のように使えるスペース、というのもうまくいきそうです。
この水切り棚ですが、市販品を使うわけではなくて、ステンレスのパイプを1本ずつカットして、板に差し込んで作るのですが、こういうふうに吊戸棚の背板もほとんどなくて、地板も一部分断されてパイプになってしまう、となると、やはり一番剛性があるのは、正面のみ開いていて他は板で塞がっている形ですので、箱自体の強度がどんどん弱くなっていくのです。
うまく強度を保てる形にしないと、家具として納品できても、使っているとだんだんと歪みが出てきて扉が傾いたりする可能性も出てきます。

お話が変わってしまうのですが、むかしのお仕事で世帯数の多いマンションの作り付けの棚をたくさんつける、というお仕事をしていたことがありました。
また、皆さん一人一人から家具のオーダーをいただけるようになる前の時代のお話です。
板の状態ですでに各住戸に搬入されていて、大工さんが角スタッド(壁を支える柱です。)を立てているだけ状態でシステム収納を組み立てていくという仲間づてに頂いた仕事をずいぶん昔に手伝ったことがあります。
今もそうですが、その頃もマンションがどんどん建っていて、そこには安価で作りやすいシステム収納が導入されているマンションが多かったのです。
床がない状態で、収納の箱をどうやって固定するのかというと酢のスタッドという柱に宙吊りの状態で固定していくのです。
それほど大きな収納ではなかったので、1日でたくさん取り付けていく、というお仕事だったのですが、インターネット空家具の相談をいただくようになってしばらくした頃に、ダイニングの収納の相談をいただいたことがありました。
その方もお部屋に伺って、収納の話をまとめて帰ろうとした時に、相談されたことがありました。
「イマイさん、この物入れをちょっとみてもらいたいのですが。」と言って見せてくださったのが、廊下の壁に埋め込まれるようにして作られた物入れでした。サイズは結構大きくて、幅900ミリを超えていたでしょうか。高さは私の背よりも少し大きかったから2000ミリくらいでしたでしょうか。
ぱっと見ると扉は少し傾いていました。
そして、扉を開けるとたくさんの本がぎっしり。
たくさんの本をお持ちの方で、その物入れにはいろんな雑多のものを入れる、というよりは本棚として活用されていたのでした。そして、その本の重さで収納自体が傾いてしまって地板が床にめり込んでいるような状態だったのです。
そう、床がない状態で宙吊りで付けられたこの大きな収納は、本の重さに耐えられなくて、床よりも下がってしまっていたのでした。
システム収納は縦の板と横の板の接合が簡便になっているので、箱自体の強度があまり大きくないのです。そこに重いものを収納したから箱が徐々に歪んでいってしまったようです。
「これは、おそらく床の補強がないと思いますので、まずは管理人さんにご相談いただけると良いかと思います。」とお伝えして、どうにか良い方向に話が進んだのだそうですが、箱は板同士の接合がきちんとしていないとすぐに歪みます。
歪みを拾った扉は傾きます。

後々そういう歪みが出ないような形を考えないといけないので、板を少なくした形を考えようとする時に、ふとあの傾いた物入れが頭に浮かぶのでした。

クルミのセパレートタイプの食器棚

引き出しの様子。


クルミのセパレートタイプの食器棚

引き出しの様子。


クルミのセパレートタイプの食器棚

引き出しの様子。


クルミのセパレートタイプの食器棚

引き出しの様子。


クルミのセパレートタイプの食器棚

引き出しの様子。


クルミのセパレートタイプの食器棚

引き出しの様子。


クルミのセパレートタイプの食器棚

引き出しの様子。


根菜収納引き出し

そしてちょっと変わった引き出し。前板の一部を通気できるように格子にしているのです。


引き出しには仕切り板を入れて

それで、なぜ通気できるようにしたかというと、ここに根菜をしまいたかったのです。なので、引き出しの前後で分けて収納できるように、抜き差しできる仕切り板を入れて、というふうに考えていたのですが、5年経ってここは別の使い方がされていました。でも別の使い方ができる形で良かったのでした。

そのような思いがよぎりましたので、今回は背面と右側面をうまく活用してしっかりと強度を出せそうでしたので、イメージ通りに背面と地板の一部を抜いて制作することにしたのでした。
でも、こうしてよかった。
明るくて気持ちの良い吊戸棚にすることができて、まるで風の流れが見えるような心地よい場所になりました。
食器棚の下部収納の形は、シンプルに引き出しをメインに形を考えていきました。
その中に一部ちょっと変わった引き出しを設けたり、炊飯器を置いておけるスライドテーブルを設けたりして。

炊飯器用スライドテーブル

炊飯器をしまうためのスライドテーブル。


食器棚の扉を開けると籐の籠

ここだけ、わざわざ引き出しにしまう必要のない大きなものや本などがしまえるようにと扉にしておいたのでした。

こうして思いが詰まった食器棚は、搬入にあれこれ頭を悩ませましたが、(2階のリビングで、階段が回り込んでいく形でさらに手摺が干渉しそうでなかなか大変だったのです。)無事に設置が完了しました。
「イマイさん、次はこのダイニングテーブルを作りたいって思っているんです。またタイミングが来たら相談させてくださいね。」
って、あの時聞いた言葉は、5年後の今再び耳にしていたのでした。
「イマイさん、今度こそはこのテーブルをあの食器棚に合わせた形で作りたいって思っているんです。ぜひ相談させてくださいね。」
5年経って作らせて頂いたのは、Fさんのお宅のダイニングテーブルではなく、Fさんのお母様のテーブルや椅子だったのです。(そのお話はまた今度。)
そして、またこの懐かしいセリフをお聞きしたのでした。
時間が経つのは早いですね。
機はそうして熟されていくのです。
Fさんの三度目のお声が掛かるのを気長にお待ちしております。

久しぶりにお会いできたFさんからお土産として頂いた北欧の歯ブラシ(歯科衛生士さんなのです。)で、普通に磨いているだけなのになぜものすごく口の中が泡立っちゃってオロオロしながらそんなことを考えておりました。

格子扉のあるクルミの食器棚

価格:670,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は35,000円から)

おうち時間:おとうさんの台所

2020.04.20

外出自粛生活が始まっておとうさんの台所シリーズも4回目になりました。今回のメニューはダイスケさんお得意のハンバーグです。
DSC_5621 ブログ
合い挽き肉につなぎは少なめのしっかり固めのハンバーグ。
DSC_5625 ブログ付け合わせのポテトは今回はマッシュポテトがいいということでハルが参戦。相変わらず中学のジャージ来ていますが(笑)。我が家の炊飯土鍋は佐久間陶子さんのもの。
DSC_5638
コンソメスープの具で余ったセロリの葉っぱも一緒に焼いて食べちゃいましょう。フライパンはCOOK&DINEさんで購入したLODGEのもの。
DSC_5642 ブログこだわりポイントはソースだそうです。醤油・ソース・赤ワイン・バターを混ぜて塩コショウで味を調えます。
DSC_5644 ブログハルチイも週末食べられるおとうさんのお料理が私が作るものとは違うので楽しみだそうです。大きいし味も濃いしね。お腹いっぱい。おいしかったです。ごちそうさまでした。
DSC_5648 ブログ「お片づけしているところも撮って。こういう風に使っているって伝わると思うから。」ということでパシャリ。助かりますね~。
高さ900㎜奥行900㎜幅2550㎜のサイズのキッチン、後ろのバックカウンターの高さも同じ高さ900㎜です。
183㎝のダイスケさんが使っている様子も、キッチンのサイズ感を検討中の方のご参考になればと思います。

暮らしのすがた

2020.04.19

2020041900320200419002キッチンのご相談にUさんがいらしてくださいました。
「まだどんなキッチンにしたらよいか迷っている部分があって、レイアウトからご相談に乗って頂けますでしょうか。
と、Uさんに言われて、いろいろとお話を聞かせて頂きました。
なかなかそういうアドバイスは苦手だったりして、自分の実体験をお話ししてもそれはあくまでのそれぞれの家庭に当てはまるかどうかもわからないわけですから、結局はそのご家族皆さんがどうしたら使いやすいのかというお話を聞きだす役しか務められなかったりするのです。
ただ、お話しすることで形が鮮明になっていくのが当然ですので、行きつ戻りつしながらもやっぱりひとつの場所に帰結していくのです。
ご主人も奥様も私も真剣ですから、そういうところにたどり着くとホゥッと息をつくわけです。
帰宅後自分の暮らしはどうなんだろうと思いながら、それぞれの動線を見つめ直してみました。
やっぱりどこか野暮ったいくらい暮らしの匂いが漂う姿が好きなのですよね。

おうち時間:ハルチイの台所

2020.04.17

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「お菓子作りしたい。」というハルチイ。
「じゃあ、仕事が終わる14時頃までに何作るか決めて材料とか教えてくれたら買い物して帰るから。」と伝えました。
作りたいものリクエストは「フォンダンショコラ」。
チイがちゃんと作業できるようになってきたので、ハルがアシストしていく感じ。成長したのね。

緊急事態宣言が出てから、日中中学のジャージで過ごすようになったハル。(チイも運動する時用のウェアを着ています。)
私「なんで?」
ハル「どうせ出かけられないんだしいいじゃん。なんか落ち着くんだもん。」
私「もう卒業したんだし、高校のジャージあるんだから着て慣らしておけばいいじゃん。」
ハル「高校のはちゃんと始まったら着たいの。」
そうか。
イマチュウブルーがよりまぶしく見えるよ。
美味しかったよ。ごちそうさまでした。
上手だから色々作ってほしいけど、食べてばかりじゃ太りそうだから、運動も意識してしていかなきゃいけないね。
日々色々考えていこう。

春紅葉

2020.04.17

昨年5月に引っ越して、松光園さんに植栽をしてもらったのが9月。
我が家に植えてもらった樹たちがちゃんと芽吹くのか気がかりだったのです。
うちに来たことで元気がなくなってしまうのは嫌だなと。
入口に植えてもらった紅葉が真っ赤。「あら?日当たりが悪いから最初から赤いわけじゃないよね。」と調べてみると、
真っ赤に芽吹いて夏に緑になり、秋にまた紅葉する出猩々という種類でした。多分そう説明されていたはずですよね、、すみません。
そして、よく見ると紅葉の花が咲いている。小さくてとてもかわいい。
紅葉に花があるなんて今まで知りませんでした。
うれしい発見なのでした。

子供部屋の収納

2020.04.15

シナ合板で作るキャビネットができあがってきました。仕上げ材ではない素朴な表情ですが、使うオイルや寸法の取り方でぼやけずに美しい佇まいになります。
特にシナの無垢材は光沢があって滑らかで温かです。そういう手触りを感じながら勉強するって気持ち良いですよ。

ウェブサイト更新

2020.04.15

ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン今日は1件、ヒンメリ作家のMさんのキッチンの記事を書きました。
いつものように3件ずつまとめて掲載すると良いのでしょうけれど、私の頭もなかなか言葉がまとまらなかったりするので、少しずつみなさんにご紹介していきたいと思います。
よろしければご覧になってくださいね。

さらさら光る

2020.04.15

「ナラ板目材とステンレスバイブレーション5.0mmのオーダーキッチン」

横浜 M様
design:Mさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:masakane murakami
painting:kenta watanabe

ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

探し物でしょうか。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

見つかりましたか。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

そして、緑がきれいなキッチン。

「実はイマイさんを教えてくれたのは、Nさんなんですよ。」
少しずつキッチンの形が固まってきた時に、Mさんがそうお話してくださいました。
「えっ、そうなんですか。」
Nさんにはいろいろなお知り合いがいるのだなあ。
Nさんというのは、「アフタヌーンソング」のNさんです。
じつはNさん、ご自宅の広い土間を開けて小さな雑貨店をひっそり開いていたり、不定期で開く多彩なワークショップにはいろいろな皆さんが集うというなかなか素敵なかたなのでした。
そのNさんのつながりでキッチンを作らせて頂いた「家を作り続ける」のOさん、山の上の小屋を改装したとても魅力的な家で、半分くらいがセルフビルドでできた空間とそこから眺める相模湾が心地よかったことやちょっとオイルを厚塗りして完成した刷毛跡の味わい深いキッチンや、「姉妹で作る家」のKさん、白とこげ茶色をうまく組み合わせた懐かしい印象をシンプルな空間にうまく組み合わせて作った使い心地の良いKさんらしさがそこかしこに現れている台所のようなキッチン、どちらも魅力的なキッチンを作らせて頂いたことを思い出しました。
「はい。直接みなさんとはお付き合いがないのですが、お店を訪ねた時にNさんとはすっかりお友達になりまして。」
今思うと、NさんもOさんもKさんも、そしてMさんも「キッチン」というよりは「お台所」という響きが合うようなどこか懐かしい空気でした。
みなさん気持ちが似てくるのですね。

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最初の頃のスケッチ。最初は2層式のシンクをって考えていたのです。それから、この頃は配管問題は全く想定していなかったので、比較的シンプルな形です。


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こちらもシンプルな最初のスケッチ。吊戸棚をつける予定でしたね。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

そして、完成したキッチン全景。ちょっと写真だと分かりづらいのですが、この住宅は築年数が古いこともあって、配管用に床が持ち上がった施工方法ではなかったのです。コンクリートの床に埋没された配管になっていたので、このセパレートのキッチンのレイアウトにするにあたっては新たに配管し直す際に床の上に配管しなければいけなかったのでした。もちろん、フローリングの床全体を持ち上げて配管を床の下に隠す形にすることもできたのですが、そうすると天井高が極端低くなっちゃって、おそらく部屋全体がかなり窮屈になる感じでした。そこで、キッチンだけをステージのように100ミリ高さを上げて、さらにコンロ側の壁から出ている給排水をシンク下まで引き込むためにワークスペースの一部が階段のように1段上がっているのです。見た感じちょっと躓きそうに見えるレイアウトでした。

Mさんのキッチンもそういう空気感を大事にしながらお話が進んでいったのでした。
Mさんが新居にされるという場所は、築37年経つ少し懐かしい集合住宅。私が子供のころに住んでいた団地を思い出します。
エレベーターがなくて、階段の踊り場から外が見られて、各棟の間にはもりもりとした木々が囲っている感じ。手を離すとバタンと周りに大きな音を立ててしまっちゃうような古い鉄扉にステンレスの集合ポスト。

ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

シンクは、Mさんの思いがあってちょっと変わった形。シンクの右寄せに有元さんのラバーゼ、シンクインバスケットが置けるようにシンクの縁に段をつけておいて、水栓は水が垂れても周りに広がらないように、トップよりも1段落としたデッキ部分に取り付けて、そのデッキに掛けるように小さな水切り棚を設けています。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

こちらが小さな水切り棚。シンクのサイズに合わせて製作しています。洗剤ポケットには無印良品のステンレスシンクラックを置いています。また、一段下がったデッキについた水栓はクリンスイの「F904C1」で、シャワーと通常吐水の切り替えが手前のレバーで行なえるので、洗剤の泡が水栓の根元に垂れたりすることなく使用できます。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

シンク下のゴミ箱が置かれる隣には、市販のワイヤーラックを置いて、通気良く調理道具が置けるようにしています。ゴミ箱はケユカのアロッツ。


かなぐやさんのオリジナル六角真鍮棒タオル掛け

タオル掛けは、かなぐやさんの真鍮六角棒コの字を特注のサイズ300ミリで作ってもらっています。

Mさんが言っていたな。
工事が始まる前に現状を確認させて頂くためにお伺いしたのです。
きれいにリフォームされていて、キッチンもシステムキッチンがしっかり納まっていて、もちろんこれで十分綺麗に済める印象の室内でした。
「今はちょっと日が落ちちゃったから見えづらいのですが、、このキッチンの勝手口から見えるところに大きな木があってその緑が目に入るのです。そしてリビングからもまた別の緑が見えるのです。
それを生かしたキッチンにしたくて、今ここについているような壁付けのI型のキッチンではなくて、セパレートのオーダーキッチンにしたいのです。」
なるほど、こうしてできあがって室内をぐるりと見まわすと、Mさんの思いがこの空気になって表れています。

ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

シンク下に食洗機(パナソニックのミドルタイプ)をビルトインしています。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

食洗機の下に深さ40ミリの小さな引き出しを設けました。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

ここは予定外のちょっとした収納。この左側(写真だととても見づらいのですが)が階段のように1段上がっていて、その中を給排水管が通っています。その階段の周りにフタをしたのですが、取り外せるフタにしてあって、Mさんここにちょうど納まるケースを用意して収納として使っていたのでした。おもしろい。それから、この階段危なくないのか?ってMさんと作る前からさんざん検討してきました。いずれにしてもここを配管が通るしか道がないので、階段になってしまうのは仕方ないとして、それなら普段通り抜けないように、このキッチンをセパレート(二列型)ではなく、コの字型にして、この階段側を通路のようには使えなくするほうが良いのではないか、というお話になり、それなら取り外しできるカウンターを置いて、コの字とセパレートで使い分けられるようにしましょう、というお話になったのですが、実際に使ってみると、人の歩幅にあった位置に階段が置かれるようになったので、意識しなくても足をぶつけたりすることはなく使えたのだそうです。人の動線って面白いです。そういうわけで、ここに就けようと考えていた置くだけのカウンターは不要になり、すっきりしたデザインのままキッチンを使ってもらえることになりました。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

食洗機の隣の引き出しの様子。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

食洗機の隣の引き出しの様子。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

食洗機の隣の引き出しの様子。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

食洗機の隣の引き出しの様子。

「今日はイマイさんが来るって、娘に伝えたら一生懸命クッキーを焼いてたんです。良かったら召し上がっていってください。」

ちょうど私の次女のチアキと同じ年だったかな。双子のかわいらしいお嬢さんたちが香ばしく焼いてくれました。
今日は登校していてお礼が言えなくて残念でしたが、とてもとても美味しかったのです。

「ここにたどり着くまでにいろいろありましたね。」とMさんと私でお茶を頂きながらしんみりしてしまったのでした・・・。

ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

コンロ側キッチンの様子。炊飯器が収納されているスペースの格子が良い印象です。


炊飯器用のスライドテーブル

その炊飯器部分を開けるとこのようになっています。ここは引き出し式になっているのですが、他の引き出しのように手を掛けて開けるために格子の下面に手を掛けるようにするとバランスが取れないことと、この場所を開け閉めするのにいちいち下に手を掛けるとかなり屈んで開け閉めすることになって使いにくい、ということで、上に手を掛けられるようにしました。ただ、上に隙間をつけると格好良くない。ということでこの部分だけ出っ張った手掛けにしています。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

その下は浅い引き出し。引き出しの深さがほかの引き出しとは異なってラインがずれるので、あえてこの引き出しの前板も格子の意匠にしてデザインを揃えています。

そう、冒頭で書いたようにMさんはNさんを通じてご相談をくださって、私の描いたスケッチを見て頂いて、そのイメージとMさんの気持ちを大切にしながらプラン作りは進んでいくはずでした。
Mさんのリノベーションを行なうにあたって、室内空間の設計をわけあってお知り合いの方に依頼されたのだそうですが、その方の事務所が何と和歌山県という遠方だったそうで、そのためメールでやり取りを進めていたのだそうですが、如何せん距離が遠いわけです。
たしかきちんとお会いして打ち合わせできたのは、2、3回くらいだったそうで。
Mさんの空気感はやはり伝わることなく、また、古い集合住宅ということで、配管を床下に転がすことが難しかったり、コンクリートの壁や床の歪みが大きかったりと現場を見て施主さんと話をしながら進めるべき部分もメールだけだと解決できなかったりで、途中から設計士さん抜きでお話が進むようになったのでした。

ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

その格子の引き出しの下の引き出し。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

その炊飯器スペースの左隣の引き出し。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

その炊飯器スペースの左隣の引き出し。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

その炊飯器スペースの左隣の引き出し。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

その炊飯器スペースの左隣の引き出し。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

上部は吊戸棚ではなく、壁から突き出た棚板にしています。今回この棚はMさんご自身でネット通販でご用意されています。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

ガスコンロはプラスドゥ。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

ガスコンロとガスオーブンの左隣は、調味料用の引き出し。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

ガスコンロとガスオーブンの左隣は、調味料用の引き出し。

そこで、設計士さんがご紹介してくれた工務店さんと直接打合せしながら進めていったのですが、その方もMさんにとってはなかなか一緒に仕事がしづらい方だったようで、いろいろと相談しても議事録を取ってくれなくて(うーん)、仕上がりの段階でイメージが異なっていたり(うーん)と、なかなか工事は難航したのでした。
私もキッチン以外でも分かる範囲で内装のアドバイスさせてもらいながら納め方を提案したりして、何とかキッチンを中心にMさんの色が表現できるような空間を目指していったのでした。
設計士さんや施工会社さんと「あうん」の呼吸が取れなくなると、やっぱりなかなか大変だなあということをあらためて知ることができた工事でした。
さいわい途中から工務店の担当者さんが変わって、その方がスムーズに段取りしてくださったおかげで工事は無事にきれいに終了しましたが、その担当者さんもMさんの現場を機に工務店を離れてしまい、工務店さんとは少し距離を置く感じになってしまったそうで、何かあれば私たちのほうに声を掛けて頂く、ということで安心して頂きましたが、物作りには物を作る以外にお互いの信頼がとても大切だと思うのです。
注文住宅やリノベーションやオーダーキッチンやオーダー家具って見えない部分が大きくて、そうなると作り手への信頼に大きく依ってきます。
その人が何を思ってその形を思い描いているのか、お話ししながら意図が汲み取りながら形に反映させることが設計するということで、その人の暮らしにちょうど良く合わせることがデザインすることだと思うのです。
その使う人と作る人をつなげる言葉を話すことができるのが設計士さんだと思うのですが、その方が不在だとやっぱり実現が難しい部分が出てきたりして。
こう思い返してみると、なかなか難しいことがあったなあと、Mさんと思い出すように笑ったのでした。

ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

5ミリの厚みのステンレス無垢材を使ったワークトップ。仕上げはバイブレーション仕上げです。


オリジナルのヒンメリ

リビングからキッチンに向かう途中に掛けられたヒンメリ。とても良く光を表しているように感じたのです。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

小さな水槽。水槽越しにきらりと陽射しが入りました。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

バルコニーから入る午前の陽射し。キッチンキャビネットが床から上がっていますね。給排水管の干渉をさせるためにキッチンだけ高さを上げています。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

深い色どりの漬物が入ったキャニスターたち。大きな引き戸には戸車をつけているので、開け閉めはとても軽く行なえます。戸車をつけていますが、キャビネットの地板にアルミや真鍮のレールをはめてしまうと少し異質な感じがしますので、ナラ材を掘って敷居にしています。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

キャニスターの上はガラスの容器たち。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

反対の引き戸を開けると。それから、引き戸は上から下まで掘り込んで手を掛けて開けられるようにしています。掘り込んだ部分は無垢材を練り付けることで、とても良い印象になっているのです。これは写真だと分からないのですが、細いラインがきちんと浮き出るように練り付けているので、この引き戸の印象が引き締まって見えます。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

Mさん手作りのプリンとお嬢さん手作りのクッキーを頂きました。

ところで、こうしてMさんのお宅にあらためてお伺いして思うのがその心地良さでした。
古い集合住宅ということで、コンクリートの構造壁が部屋を横切っていたりして、とても広い空間というわけではないのですが、風がそこかしこに通り、日差しが足元にあちこちに差し込んでいて、ああ、温かいなあと思える家です。
Mさんは緑の取り込みかたもすてきですが、光の取り込みかたがとても美しい、それがこの心地良さを生み出しているのだな。
Mさんは2人のお嬢さんのお母さんというだけではなく、ヒンメリを作る作家さんでもあるのです。
風や光の感じかたをそっと知っている、そういう人が暮らしている場所ということが玄関を入ってすぐに感じられる、とてもすてきに心地良い空間なのでした。

ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

Mさん。


ステンレスバイブレーションとナラのセパレートキッチン

リビングに置かれた作品はとてもお淑やか。

キッチン仕上
天板 ステンレスバイブレーション厚み5.0mm
扉・前板 ナラ板目突板
本体外側 ナラ板目突板
本体内側 シナ合板
塗装 オイル塗装仕上げ

ナラ板目材とステンレスバイブレーション5.0mmのセパレートキッチン

価格:1,450,000円(制作費、塗装費は施主様施工、設備機器費用は別)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は40,000円から、取付施工費は150,000円から)

おどる

2020.04.14

20200414002そんなことを言っても、草花たちはしっかり花を咲かせるし葉を茂らせる。
内田雄介さんのアトリエでキッチンバックカウンターと洗面台のご相談。
いつもの控え目だけれど芯の強い内田さんの提案と、お施主様のIさんご夫婦の要望を実現できるように頑張ります。
内田さんとのお付き合いも数えると7年目。
時間が経つのは早いです。
ちょうど連休前後にも内田さんの設計した空間になかなか魅力的なキッチンが入る予定。
いろいろな形でお手伝いさせて頂けることに感謝しております。
いつでも踊りだせるように気持ちはしっかりしておかないと。

晴れたね

2020.04.14

空気は冷たいけれど晴れたね。
最近白黒のブチがナーナー鳴きながら庭を横断していくのですが、さすがに昨日の寒さには現れなかったね。
今日は来るかな。
ここは元空き地だったこともあってネコたちの往来が多くあるようで、毛がふさふさしたやつとかチャトラなやつとか、我が物顔で通っていく。
時折ガラス越しに目が合うと、「お前たちここに住んでるの?」って顔して何食わぬ素振りで家の裏に消えていく。
そうか、君たちの居場所を取っちゃったんだなあ。
すまないねえ。

冷たい雨

2020.04.13

20200413001毎年四月に入ってすぐに必ずやってくる寒い日はつい先日終わったと思ってところに再び冬のような一日。
さすがのアイも強くて冷たい雨風には尻込みしちゃってずっとふて寝さ。
ここ最近はみんなにも早めに仕事を上がってもらっていて、静かな工房には背中を丸めた私と、すねたアイだけ。
いつもよりもゆっくりとしたペースにはなっていますが、よい形が少しずつできあがってきています。

おうち時間:おとうさんの台所

2020.04.13

DSC_5495 ブログDSC_5521 ブログ
今週末のおとうさんの台所のテーマは「おいしい回鍋肉を作ってみたい。」でした。
以前も作ってみたことのあるダイスケさん。「焦げなのかな?コクなのかな?足りなくて。キャベツをもっとしゃっきりさせたい。」という課題を改善できるようにとスマホで検索したレシピを見ながら調理が進みました。
「いただきま~す!」と家族みんなで食べ始めたら、「4人分には量が足りなかったのかな?」というくらいの勢いでなくなりました。
おいしかったよ。ごちそうさまでした。次回は何が食べられるのかな。

洗濯機置き場の収納を考える 

2020.04.12

新居の洗濯機置き場の収納の形はすぐに決まりました。 マンション住まいの時の収納をそのまま使いたかったからです。
設計士の福原さんも「雰囲気も合うし、いいんじゃないかな。」と許可してくれました。 結婚して2年目にマンションに引っ越した時にダイスケさんがタモ材で作ってくれたもの。もう18年になります。
制作した当時の記事はこちらをご参照ください。懐かしいです。
こういう毎日使うものが使い慣れているものだと新しい家の暮らしはじめでもストレスがなく心地がよかったです。
当時は本当に高い買い物をしたと思いましたが、こうして使い続けてみると、家事のパートナーのようにも思えてきてまさに「家具」なのだなと日々実感しています。
我が家の洗濯機は2010年度製の縦型のものです。
お家づくりの時に福原さんに「洗濯機買い替えたりする?ドラム式にする予定ある?」と確認されたのですが、今までのマンション住まいでも「洗濯機から天日干しor浴室乾燥機」の暮らしで、新しいお家にも浴室乾燥機は付けるし、当時はそれを変える気は全くなかったのでした。
最近、洗濯機がガタガタ言い出したので、買い替えるのならドラム式もいいなと考え出したのです。
そこで初めて、ドラム式にする予定ある?と福原さんから確認された意味が分かりました。
縦型とドラム式では必要な奥行と高さが全然違うということを!
奥行、水栓の高さから置ける機種はかなり限定され、置ける機種でも欲しい機能がなかったり、、、。
そういうことだったのですね。
ではどうすればよかったのだろうと振り返ってみたのです。
自分がしたい洗濯機上の収納の仕方から逆算しても、そもそも建物の天井の高さから考えなくてはだめなことだったので、仕方なかったなぁ、ということになりました。我が家の洗面所の高さは2300mmです。
ところが、先日お客様のOさんと洗濯機のお話になった時、「うちはドラム式から縦型に買い替えようと思っていて。」とお話しされていて、「乾燥機まで回すのは量も種類も限られていて、うちは毎日の洗濯量が2回回さなくてはいけなくて、それだと時間がかかりすぎて。1度にたくさん回せた方が、うちの生活スタイルには合っていた。」ということでした。
なるほど。うちの次号の洗濯機選びには時間がかかりそうです(汗)。それまで今の縦型が無事に使えることを願うばかりなのです。