にぎやかになるので分けたのです

2020.05.09

「ナラ板目のリビング壁面収納のオーダー」

都筑 S様

design:Sさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:kouhei kobayashi
painting:kouhei kobayashi

大きな引き戸のあるリビングボード

玄関からリビングに入ってくるとこの印象。とても気持ちの良い空間なのですが、うまく区切っていかないとただの大広間に見えちゃう。そこで前回は食器棚を吹き抜けの少し手前の見切りになっている部分に合わせることで空間的に区切ったのでした。

Sさんのところに最初に作らせて頂いたのは、食器棚でしたね。
朗々と
あの時は、Sさんご夫婦といろいろ悩みながら食器棚の形を模索していましたね。
最終的にとてもシンプルな形でナラの表情がよく分かる美しい食器棚になったのですが、あのあとお話に出ていたのはアイランドキッチンの印象をあの食器棚に合わせられたら良いなということでした。
そして、食器棚の納品から1年後に再びメールを頂いたのでした。
「お世話になっております。昨年キッチンの背面収納を作成いただいたSです。
背面収納については引き続き快適に使えておりますが、この度リビングに収納をつけたいと思っております。」

大きな引き戸のあるリビングボード

奥様が気にしていたことのひとつに奥行がありました。奥行きが深ければ、いろいろなケースごとしまえるのですが、ソファを置いた時に反対側に余計に出っ張るようではいけない。ということで、A4サイズのものをケースにしまった状態で無理なく収納できる奥行に決めたのでした。

リビングでしたかー。
キッチンだと思ったのですが、たしかにあの時もリビングのお話もしていましたね。
食器棚の様子も見ておきたいところでしたので、さっそくお邪魔させて頂きました。
「こんにちは、Sさん。」
「こんにちは、イマイさん。今度はリビングの家具を考えて頂きたいと思いまして。実は子供が生まれて家族も増えたものですから。」
そういえば、食器棚を作らせて頂いていた時は奥様のおなかが大きかったですね。
そこで、これを機会に部屋を整え直そうというお話になったということでした。
で、ご主人の希望としては、壁一面にオープンの棚を作る感じ。
その中に部分的に扉をつけたところを設けて、そこを収納として、他の部分は物を飾れるようにしたいということだったのです。
こちらのYさんのような飾り棚の印象が近かったかな。
せんせいの部屋」南林間 Y様

大きな引き戸のあるリビングボード

使い勝手を考えて採用したのが、ソフトオープンとソフトクローズの機能。引き戸を開けて全開になる手前で戸がゆっくりと開き切り、閉める時も閉まる直前でゆっくりと閉まる。便利な金物があるのです。ひとつになるのが、その上吊レール。結構しっかりとアルミの印象が出てくるので、好みが分かれるところです。ただ上吊式でした車が不要なので、地板はフラットに仕上がりとてもすっきりした印象になります。

でも、この場所は気持ちの良い吹き抜けになっていて、天井まで作るとかなり大掛かりになるのと圧迫感が出てしまいそうなので、最初はオープンの棚を宙に浮かせて、高さも抑えた形で隣り合う食器棚の吊戸棚と高さを揃えると良い雰囲気でまとまりそうと考えておりました。
そのあとに奥様にお話を詳しく伺っていくと、奥様としては、どちらかというと飾るよりもこれから家族が増えて物も増えてくるだろうからやはり部屋をスッキリさせたくて、できればすべてしまって隠したい、というお話になったのです。堅実的です。

smy009

それからすっきり見せる要素の一つとなったのが、この天板。前回ご主人の意見で食器棚の天板を50ミリと厚く作ったのですが、これが今回リビングボードをうまく納めるのに大変役立ったのでした。今回のこの家具ですが、もちろんこの長さを1台で作って持ち運んでくることはできません。中央で2分割にして作っているのですが、そのつないだ部分は隠したい。そして、天板を1枚で作っても家具本体が2台に分かれていると、天板も2重に見える形になってしまう。そうすると、この空間ではちょっと野暮ったく見えちゃう。そこで、家具本体の天板にこの長い天板が覆いかぶさるようにしてつないだ部分を隠しているのです。そのためにもこの厚みがあって大正解でした。


大きな引き戸のあるリビングボード

続いてスッキリ見せる要素、その2。中央部分の引き戸を開けると縦の板が2枚重なっているのが分かりますね。左側の板は戸を閉めても隠れない板なのですが、右側の板は戸を閉めると隠れるのです。こうすることで戸を閉めた時の印象がかなりすっきりします。

なるほど、意見が分かれましたが、ここはご主人一歩引いて考えてくださって、やはり奥様が家で過ごす時間が長いですから奥様が快適に過ごせるように、ということで、全てを隠す収納にするという話で進んでいったのでした。
では、すべて隠すとしたらどんな形にしましょうか、ということになりました。
できればすっきり見せたいけれど、しまうものの出し入れに不便があってはせっかく作っても良いないわけです。
もともと食器棚ができる前までは玄関からこのリビングに入ってくると、まずこの吹き抜けのあるリビング、そしてその奥にアイランドキッチンがあって、という広い一間だったものですので、部屋としての印象が曖昧で少しバラバラとした印象があったのでした。
そこにメリハリをつけたいと思って食器棚のレイアウトをあのように考えて、キッチンという空間がまとまってきました。

大きな引き戸のあるリビングボード

当初、このリビングのお話を頂いた時にテレビボードも一緒に作ってL型の家具にしましょう、ということになっていました。というのもリビングボードで隠れちゃう位置にマルチメディアコンセントがあったので、テレビの位置を動かさないならきれいにL型に作ったほうがまとまるかなっていう思いがありましたので。ただそうすると、もしかしてテレビの位置を変える必要が出てきた時に良くないかもしれないということになりまして(今テレビを置いている位置の後ろが廊下からリビングに入る引き戸の引き込み部分だったので)テレビボードまでは作らないことになりました。そこで配線だけをスッキリとこの今使っているテレビボードまで回せるように工夫したのがこの部分です。この一番端の板は取り外せるようになっていて、外すとコンセントなどの抜き差しができます。


大きな引き戸のあるリビングボード

コンセント類が収納ですべて隠れて、内部からしか使えなくなってしまうので、天板の上でも使えるようにコンセントを設けました。

ではまだ間延びして見えるリビングをどのようにするかとなった時に、Sさんとしては大きめのソファを置くことで、何となく部屋の境にしたい、と考えておりました。
テレビの位置もおそらく今の位置から変えないだろうからソファの位置も今使っているコンパクトなソファが置かれた位置のままサイズをボリュームアップする形にしたいという思いがあったのです。
そうなるとソファで収納の扉が開かなくなる、もしくは開けづらくなりそうです。
では、どうしようかな、と3人で悩みまして、出た結論が大きな引き戸にして、引き戸の木目の印象が良く映えて部屋を引き立たせてくれたらよいな、ということになったのです。
そこで長さ3600ミリある収納の扉は4枚の引き戸にして、1枚の幅が約900ミリある大きな戸の収納となったのです。
「引き出しのような細かいものをしまう場所は必要でしょうか。」とあれこれ考えましたが、「引き戸を開けた中にバスケットなどを用意して、それにしまうようにするので表のデザインはなるべくシンプルに見せたいです。」というお二人の意見がまとまって、この形が完成しました。

大きな引き戸のあるリビングボード

リビングボードの高さを食器棚と揃えたことで、つながりがありつつもキッチンとリビングがきれいに分かれたと思います。よい印象になりました。

こういうことを書いちゃうと失礼かもしれませんが、まだ食器棚を作る前の最初の打ち合わせでお邪魔させて頂いた時は、いろいろなものがキッチンからリビングに並べられていて、うまくまとまるかな、ってちょっと心配だったのでした。
これほどすっきりした空間になるなんて、私もとてもうれしいです。
次こそはアイランドキッチンの周りでしょうか。
楽しみにしております、Sさん。

引き違い戸のオークリビングボード

価格:630,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は20,000円から、取付施工費は35,000円から)

雪融け、うれしいところ

2020.05.09

「ナラ板目のリビング壁面収納のオーダー」

鎌倉 N様

design:Nさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:kouhei kobayashi/iku nogami
painting:kouhei kobayashi/iku nogami

オーク材を使ったプチリノベーション

Nさんが描いて送ってくださったスケッチ。分かりやすいです。この形を見てシンプルできれいな形になりそうだと思ったのですが、実際はなかなか大変でした。(笑)


プチリノベーション、オークのリビング壁面収納

ダイニングの元々の様子。シンプルな扉のつ下収納と一番左は食器棚を想定していると思われて、家電が置けるスライドテーブルになっていました。


プチリノベーション、オークのリビング壁面収納

こちらはリビングの元々の様子。天板と扉の間の部材がどう止まっているのか、天板がどのように固定されているのか、他の人が作った家具ってやはり分からないものですね。

Nさんは実は古くから私たちのことを知っていてくださったとお聞きしたのは、何度か打ち合わせが進んだ頃でした。
たしかにNさんご夫婦とお話をしていると昔感じたような空気に触れる時がありました。
Nさんのご自宅の様子もそう思わせるところがありました。
少し築年数の経った家を手に入れて住まわれていて、懐かしく感じられることと丁寧に暮らしているのだなあという様子が空気となって表れている家でした。
「実は、私イマイさんのことを以前から知っているんですよ。」
「あらっ、そうなのですか。」
「以前にイマイさんのところでキッチンを作ってもらったNさんが高校の同級生で。」
「えっ、そうなのですか。それはうれしいです。」
そのNさんとは同じく鎌倉にお住まいで「私のキッチン」のNさん。
なるほど、何となく雰囲気が近いような気がしておりました。
鎌倉のNさんのキッチンは今から10年前の2010年に作らせて頂いたのでした。長谷の大仏様から歩いて10分ほどのところに立つ可愛らしい家にキッチンを作らせて頂いたあの時の空気を思い出したのでした。
「それで、Nさんから話をずっと聞いていていつか依頼するチャンスが来たらいいなってずっと思っていて、ようやく今がその時です。」

プチリノベーション、オークのリビング壁面収納

【ダイニング】こちらが家具を入れ替えた後のダイニングの様子。明るくなりました。窓を生かす、食器棚というよりはきちんとした収納として使う、凹凸感をなるべくなくしてスッキリと。ということが今回のNさんの希望。とても良い印象にまとめられたと思っております。


プチリノベーション、オークのリビング壁面収納

【リビング】こちらはリビング。最初の印象では、背の低いテレビボードとオープンの飾り棚というイメージでしたが、しまいたいものが多くあるため、上も扉をつけることに。スケッチの形もきれいなのですが、個人的に両端にオープン棚があると、壁面収納のようにリビング全体が塊のように見えて重くなってしまうと思えて、可能ならば、吊戸棚とテレビボードだけのセパレートな形にしたいなと思っていたのですが、壁がスタイロパネルということで強度がないため、宙吊にすることができないので、飾り棚と補強を兼ねた板を組み込む形にしたのです。その板ははなるべく存在感なくしたくて、会えて、左右の壁にピタリと寄せずに離したのです。


プチリノベーション、オークのダイニング収納

【ダイニング】まずはダイニング。いつもなら上部の戸棚の奥行は引っ込めていたかもしれません。その方が圧迫感がなくなると思っておりましたので。でも今回はNさんの提案通りに収納全ての奥行を揃えたのです。これが正解でした。いろんなバランスがあるのだなあと家具を作るたびに考えさせられます。

それはとてもうれしいつながりです。
私たちが作る家具はどこかのお店に置かれているわけでもないので、こうして皆さんが伝えてくれる言葉を通じて知ってもらえることはとてもありがたいことです。
そのようなわけで、どこか懐かしい空気を感じながら話は進んでいくのでした。
お話としてはこのような感じでした。
もともとついている白い造作家具が傷んできたこと。また、扉だけの収納は使い勝手が悪いこと。お子さんも大きくなってきたので暮らし方が徐々に変わってきて家具の使い方も変わり始めていること。このあたりを改善するために思いきってダイニングとリビングの家具を新しくしようと思ったのだそうです。
おもしろそうなお話です。
今ある状況をいろいろな制約があるなかで使いやすい形にしていくという作業は、私は好きなのです。
仕事の上でもこういったクセがあるようで、これが良いのか悪いのか分からないのですが、しなければいけないことをいくつか並べておいて、あちらをメインにやりながら、合間をみてこちらを取り掛かって、みたいな進め方が好きだったりして、何だか住寸d根いるのかどうかよく分からないけれど、時間や段取りの制約があるなかであれこれ進めていて、終盤になってくると一気に今まで散らばっていたものが片付くっていう感じが何だか好きなのです。(効率は良くないかもしれませんが・・。)

プチリノベーション、オークのダイニング収納

【ダイニング】Nさんのスケッチにもあった棚板を支える角材。最初はこの棚板を左の壁まで延ばすのも良いかと思いましたが、炊飯器が置かれること、印象が重くなるかもしれないこと、そのあたりをNさんと話し合って、角材を生かすことにしました。


プチリノベーション、オークのダイニング収納

【ダイニング】でもなるべく存在感を無くしたいと思っていまして。そこで角材はシナ材で作り壁に近い色で塗りつぶしたのです。まっさらな表情にしたくてウレタン塗装で仕上げています。そして、正面から見た時に棚の印象がはっきり見えるように棚の見付を角材のほうまで被せました。


プチリノベーション、オークのダイニング収納

【ダイニング】角材の脚元は木ダボ(ドミノ)で固定。また窓枠と同じ位置に立ててあまり目立たないようにしています。


プチリノベーション、オークのダイニング収納

【ダイニング】そして天板も窓枠のラインと上面を合わせるように高さを揃えました。


プチリノベーション、オークのダイニング収納

【ダイニング】扉はすべて手を掛けて開けるようにしたのですが、この大きな扉だけ他の扉に合わせると手掛けのバランスが悪くなるので、扉の木端面に掘り込む形にしました。


プチリノベーション、オークのダイニング収納

【ダイニング】収納の様子。


プチリノベーション、オークのダイニング収納

【ダイニング】収納の様子。


プチリノベーション、オークのダイニング収納

【ダイニング】右上の戸棚の様子。よく見ると分かるのですが、壁際の側板には点検口があります。もともとここには通気口があって、それを塞いで良いということになったのですが、何かあった時に確認できないのは良くないので、ここから目視できるようにしているのです。


プチリノベーション、オークのダイニング収納

元々外から引き込まれていたガス管はそのまま使えるように。毎年ガス暖房を使っているということで扉を閉めた状態でもガス管をつないで置けるように収納の地板を一部欠き取り加工しています。

そこで、今回のNさんからの要望を聞かせて頂いて、現状の様子を探ってみました。
なるほど。
家自体の構造はとてもしっかりしているのですが、内壁の作りがちょっと変わっていてスタイロパネル張りというのでしょうか。コンクリート造の躯体に直接ベニヤが張られたスタイロフォームを貼っているので、壁に家具を固定する強度がなく、押すとふんわり壁が動く構造です。
しかも現在設置されている白い家具、どうやって固定されているのだろう・・。扉を開けてみる限りはよく分からず、背板を軽く叩くと堅い音がする。壁に貼っちゃってるのか‥。

私たちの工房は、私の父が創業して今年で34年目になります。私も19歳の時からこの仕事に関わっているので今年で27年目。時間が経つのは早い。
その間にお店の家具や集合住宅向けの量産家具などいろいろな仕事をしてきましたが、ずっと変わらず造り付け家具という形を主に作ってきました。今でこそオーダーキッチンを作ることができる状況になりましたが、今から15年前くらいまではもっぱら造り付け家具を作っておりました。
その昔から思っていたことは、「なるべく家具は取り外せるように作りたい。」ということでした。
もちろん、お店の家具ばかり作っていた入社当初の頃って、そのように作れることはほとんどなくって、現場に行って接着剤で現場でくっつけて、磨いてってやっていたわけですが、そうなると何か不具合あった時に対応しづらいことと、時々みなさんから言われることにお引越しする必要が出た時に家具を持っていきたいっていうお話があって、それに対応できるようにしたいっていう思うとやはり外せるように作ることが最善なのではないかと考えております。
もちろん、オーダーキッチン等の場合は現場の都合上、一部壁を解体しないと外せない作りだったりします。
ただそれでも、家具をガッチリ壁に接着しちゃったり、どこからネジ止めしているか分からないような作りにはしたくないなあ、と思っております。

それから、今回は既存家具の解体から新しい家具の設置までを内装屋さん等に入ってもらうことなく私達だけで完了させる予定でした。そこで、内装工事が入らなくても大丈夫なように、壁や床に不用意に傷を増やすことないように進めていったのでした。
まずはダイニングのほうから始めることに。
1日間で両方の家具の交換設置は難しいので、ダイニングは1日間、リビングは可能なら1日間という工程で合計2日間で進める予定です。
その間にNさんもダイニング側に収納されていたものをリビング側に仮置きして、ダイニング設置後に今度はリビング側のものをダイニングに仮置きしてという感じで進めていく予定なのです。
で、その白い家具。
やっぱりどうやってついているのか分かりません。
施工の初日はどうにかお天気に恵まれましたが、気持ちがもやもや、ちょっとまごついてしまいます。
その時にコバヤシ君。お父さんがクロス屋さんで子供時分に手伝っていただけのことはあって、躊躇なく、手際よく、こう思うっていう方向に作業を進めていきます。
なるほど、頼もしい。
もうね、ビスはさびて途中で頭が折れたりもするし、どこから固定されているか皆目見当もつかない部分もあるので、バールとカッターで剥がしては刻んでいくのです。
すると、なるほど、ここでビス留めしたあとに化粧したのだな、と思えるところがいろいろ出てきたりして、どうにか壁と床に傷を作ることなく外せたのでした。
外せたは良いけれど、壁に下地がないので、必要な個所のスタイロフォームをはがして、下地を入れていきます。
天井も左右の端でだいぶ下がり方が違ってきているので(これはなぜなのか分かりませんでした。)水平だけはしっかり取ってようやく家具を取り付けるための下準備が整いました。
この下準備だけで半日近くが掛かりました。
あとは、工房で組んだとおりに組み上げていくだけですので、順調に進みそうです。
このダイニングの家具はノガミ君の制作なので、ノガミ君の声掛けのもとに作業が進んでいきます。
床と壁に悩まされながらもどうにかその日のうちにほぼ作業は完了。
残った部分は、次回リビングの作業の時に行なうことに。

その夜、Nさんからお便りが届きました。
「こんにちは!Nです。
昨日は素晴らしいリビングボードを設置していただき、ありがとうございました。
うちの床や壁が古いために思った以上に歪みがあったなか、ノガミさんはじめスタッフのみなさんが頭を悩ませながらも本当に丁寧に作業いただいて、申し訳ないやら有り難いやらで。
寒い中、早朝から夜遅くまで本当にありがとうございました。
昨夜から主人とあまりの美しさにうっとりしながら過ごしました。「もったいなくて食器を入れたくないね〜、、」とすぐには入れずに今朝からゆっくり入れはじめ、ようやく落ち着いたところです。
おかげさまで以前よりも多くの食器たちが、ゆったりとすっきりと収納されました。
正直、家具でここまで部屋の印象が変わるとは思っておらず、驚きました。
コーヒーを飲みながらゆっくり眺めていると、時間を忘れてしまいます。
流れるような木の表情もとても素敵です。
が、まだ半分。いまの我が家のリビングは東側と西側が同じ部屋とは思えない感じになっています(笑)。
来週のリビングボードも楽しみにしております。また大変な作業になってしまいそうですが、引き続きどうぞよろしくお願いします!」

そして、約1週間後にリビングの大きな家具設置の日。
その日はあいにく雨模様でとても寒い日でしたね。雪でも降りそうなくらい。
でも、鎌倉にしては北のほうにあたるこのあたり。Nさんのお宅は山の中腹に建つような立地なのですが、このあたりはめったに雪が降らないということで、路面の心配はしておりませんでしたが、屋外での切削加工も必要な部分があったので、雨模様はなかなか難儀でしたが、カーポートを使わせて頂いたりしてどうにかしのげそうです。
今回は前回の教訓もあり、コバヤシ君が解体に適した道具を用意していてくれて、ボリュームはこちらの方が大きかったのに解体はあっという間に完了。
こちらの家具はコバヤシ君が担当したので、彼の声掛けで作業が進みます。
ただ、こちらも壁と床の納まりに悩んだり、通気孔やガス栓など家具と干渉する部分をうまくよけながらの作業で、やはり1日間では終わりませんでしたが、翌日も作業に入らせて頂き無事に取付は完了。

そして、翌日再びNさん(今度はご主人)からお便りを戴きました。
「おはようございます。Nです。
昨日はありがとうございました。
ダイニングに続いてリビングボードも入り、我が家が見違えるほど素敵な空間になりました!
お陰様で、心が本当に明るくなる、空間となりました。
昨日はテレビなどの配線を行いましたが、おかげさまでとてもスムーズに設置できました。
妻も息子純之介も嬉しそうで、一層にぎやかなリビングダイニングになりました。
息子のおもちゃも下の引き戸にたくさん収納でき、自分で開け閉めして楽しんでお片付けしています。
あらためて、デザイン、機能が充実した家具のパワーと影響力は偉大だなと、つくづく感じています。
またお会いできるのを楽しみにしています。」

こういう言葉、気持ちが雪融けのように軽やかになっていきます。
特にね、今回のように家具を作らせて頂く前の状況と、設置した後の様子でこれほど印象が変わると、私も本当にうれしくワクワクするのです。
それから、何度かNさんのお宅にお邪魔させて頂きましたが、伺うたびに私の気持ちが落ち着くうれしい場所になっていました。

プチリノベーション、オークのリビング壁面収納

【リビング】こちらがリビング。最初にお知らせしたように軽快に見せるために少し不思議な形をしておりますね。


プチリノベーション、オークのリビング壁面収納

【リビング】この壁についている衝立のようなパネル。もともとはつけるつもりはなかったのですが、打ち合わせの時に元々ついていた家具を見たら、その家具がクロスを張られる前に取り付けられていることが分かり、その家具を取り外すと、石膏ボードが丸見えになってしまう、ということでクロスを張り替えないでも良い方法と言ことでこのような形にしています。


プチリノベーション、オークのリビング壁面収納

【リビング】でも、ただパネルをつけるだけでは印象がちぐはぐになってしまう。ちょうど寸法を考えていくと、補強となるオープン棚の高さの割付がNさんの想定している高さとよく合いそうなので、棚の高さとパネルの高さを揃えることにしたのです。


プチリノベーション、オークのリビング壁面収納

【リビング】そして、ちょうどパネルがつくこのあたりの壁にコンセントがついています。コンセントの位置も元々あった収納の天板の上にくるような位置についていたので、今回のテレビボードに変えたことでかなり高い位置にあることになってしまいました。そこでパネルで隠すことでコンセントからテレビへつなぐ配線がスッキリ隠せるようになったのです。ただ、コンセントが普段見えなくなってしまうのは、「ちょっと怖いので万が一の漏電、焼けが起こる場合に「煙等」がわかるように、スリットを入れてもらえますでしょうか。」ということでパネルの上部にスリットが入っております。おもしろい形です。


プチリノベーション、オークのリビング壁面収納

【リビング】そして、いろいろなところにすっきりと配線ができるようになっています。


プチリノベーション、オークのリビング壁面収納

【リビング】上の扉は上開きの扉です。ここはフリーストップステーを使っています。


プチリノベーション、オークのリビング壁面収納

【リビング】下の収納部は開けても邪魔にならないような引戸。戸の下に車を仕込んで、敷居はナラの無垢材をそのまま掘り込んでいます。


プチリノベーション、オークのリビング壁面収納

【リビング】中央部で仕切るいつものデザイン。引き違い戸2枚で1つのキャビネットになっていて、このマン華夏でジョイントしているのですが、天板も2分割にすると野暮ったいので、天板は1枚で作ってキャビネットの上からかぶせて1台の家具のように見せています。


プチリノベーション、オークのリビング壁面収納

【リビング】AV機器収納部の様子。

そして、その年の秋。
「ご無沙汰しています。元気ですか。
我が家も皆、元気です。
クスッと笑顔になる面白いことがあったので、メールしました。
年中組の息子と今年の夏は、「アゲハチョウ」を何匹も育てました。(卵→幼虫(イモムシ)→サナギ→チョウ)
庭の鉢でタネから育てている「レモン」に蝶々がちいちゃな卵を産んでいるのを知って、「育ててみようか」ということで始めたのです。
一見グロテスクなのですが、卵からイモムシになり大好物のレモンの葉をムシャムシャ食べる姿は知れば知るほど可愛いものです。
そして、ある時期が来ると大人しいイモムシ達がかなりの速度で這い回り、サナギになる場所を探し、その本人(イモムシ)達が気に入った場所で時間をかけサナギになります。
人工的な場所でもサナギになるのですが、見ていると「致し方なくその場所を選んだ」雰囲気が伝わってきます。
やはり、自然な枝、葉など、自然の恵みの場所の方が落ち着いてサナギになれるようなのです。
9月に入り、秋に息子ともう一回アゲハチョウを育ててみようかと、何匹もの卵からかえりたての小さなイモムシを探し、部屋で飼い始めました。
小さいイモムシは体調2、3ミリなので、うちの中で行方不明にもなりました。
そして今朝、9月からの第1匹目がチョウになりました。「ありがと、頑張って卵産んでね、サヨナラ!」と息子も満足げ。
そしてふと、お気に入りのイマイさんのダイニング棚の扉の下を見ると…
なんと行方不明になっていたイモムシと思われるサナギが付いているのです。
開閉される扉に丁度挟まれない「法面(のり面)」に「うまーく自らを固定して」チョウになる準備をしているのです。
そしてここは行方不明になった場所から2メートルも離れたところ。しかも、人間の眼につかなくて天敵も来そうにない物理的にも潰されない場所。
イモムシの能力と自然の力に息子とびっくりしました。
そして何より、自然のイモムシが安全安心と判断したフリーハンドイマイの家具。(笑)
我が家の人間以外に、自然に生きるチョウにも安心を与えているのですよね。
我が家の棚でチョウになる準備をしているサナギ、多分あと数日でチョウになると思います。
それまでこの家具のそばで安心して準備してくれたらな、と息子と見守っています。」

プチリノベーション、オークのリビング壁面収納

Nさんに教えてもらったタグチさんの「LITTLE BEL」。無指向性スピーカーということで自然な音の広がりに魅了されて、私も自宅で使わせて頂いております。

いろんな形で皆さんの暮らしを支えることができていることをとてもうれしく思っております。
Nさんありがとうございました。
いろいろなご縁がつながって、またここからNさんのユニークな表現力が私たちをつないでくれるのを楽しみにしております。

プチリノベーション、オークのリビング壁面収納

光が差し込んだ。春がやってきましたか。

オークダイニングサイドボード

価格:570,000円(制作費・塗装費)

オークリビングテレビボード

価格:750,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は40,000円から、取付施工費は80,000円から)

柱の松脂をきれいにしました

2020.05.09

この家に暮らし始めてもうすぐ1年になります。
我が家のダイニングには構造上必要な米松の丸柱があります。無塗装のものです。
そこから松脂が染み出ていて見た目もよろしくないので掃除をすることにしました。
松脂を落とす方法を検索すると、字の通り脂なので、アルコールを使うときれいになるという事でしたが、今のご時世、残り少ない消毒用アルコールを掃除に使うなんてことはできないので、台所用洗剤で洗うことにしました。DSC_5879
泡を乗せて手で洗うとすぐに取れていきました。
後は泡が出てこなくなるまで何回も雑巾をゆすいで拭き取るだけきれいになりました。
シミは残ってしまいましたが。自分もシミだらけなんで気にしません。(笑)
DSC_5890
きれいになったら「きれい~!」「ブツブツべたべたしてな~い。」とハルチイがべたべた触ってくれるので、その手垢でいいつやが出てきますかね。また汚れたら洗ってしまうのですが。
家の経年変化と付き合っていく方法がわかると何だか安心ですよね。これからも色々勉強していきたいと思います。