キッチンを木で囲うことで広がる印象の豊かさ

2020.06.16

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Mさんは新居の工事に合わせて、私たちにキッチン対面のカウンターと収納の制作をご依頼くださいました。
キッチンにはシステムキッチンを導入してもその周りを家具で囲うことで、部屋の印象が大きく変わります。
今回のMさんの場合は、コンロとリビングを仕切る壁からつながってキッチンの背中に建つ腰壁は工務店さんが作ってくださいました。
Mさんに随時現場のスケジュールをお知らせ頂いて、腰壁が立った段階で、工務店さんからの了承を頂いて現場に採寸に入らせて頂きました。
今回施工された工務店さんは古河林業さんで、監督さんも当日立ち会ってくださいました。Mさんだけだと分からない部分もあったりしましたので、こういう関係になると心強いですね。
引き渡し時の巾木の納まり、電気配線の取り出し位置等を確認させて頂いて、製作に入らせて頂きました。
工務店さんとしては、この部分は工事が完了しないまま引き渡しとなるのは不本意な部分があるかもしれませんが、了承いただけるというのはうれしいことです。
後日この取り付けられた状態を担当の方が見てくださったとのことで、Mさんとても好評をいただいたそうです。
良かった、よかった。
今日は、コーキングしようかどうするか迷っていた部分をやはり充填したいということで、その施工と、あとは今回Mさんご自身が塗装をされたので、その確認へとお伺いしてきました。
とてもきれいにオイルを塗られていましたのでそのままでも十分きれいだったのですが、あと少し手を加えるとより良い印象になるヒントをお伝えしてきました。
コストダウンの一環として始めたご自身でのオイル塗装ですが、こうして住む人が家具作りに携われるようになってさらに家具がただのものではなく、一緒に時間を心地良く過ごしていくための道具と思えるようになる、というのはとても気持ちの良いこと。
さらにはうれしいことにMさんのご新居は工房からも比較的近く何かあれば間を置かずにお伺いできるというのはより気持ちが近くなって良いことです。
私が子供時代を過ごした川のそばにMさんの家が建てられているという意味でもなんだかとても心が近いのでした。
Mさん、ありがとうございました。

そう、川はね、30年も前に比べるとてもきれいに見違えるようになっていて、川遊びができるくらいになっていて。
それはうれしいよね。

Oさんの節ありナラ材のダイニングボード:スタッフ カイ君の制作日記

2020.06.16

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このダイニングボードには節の入ったナラ材を使用しています。
最近よく見られる素材の使われ方です。
一般的に私たちの木工の世界では節や割れというのは材が飛びやすかったり刃物が欠けやすかったり、また逆目が起きてしまったりと、きれいに仕上げることが難しい材です。
また、節はもともと枝の名残ですので、板になった時にその部分だけ動きは異なってきますし、割れがあるということは、そこにストレスが掛かっていたが割れたのですから、この先も板が動く可能性が大きかったり、割れが進行する可能性もあり、そういう部分はできれば避けて仕上げたいところではあります。
しかし、最近のクラフトイコール手作りイコールハンドメイドというような印象があるためか、節や割れがあったり、ムラができたり、少しいびつさが残っていたりすることが手の跡が感じられる、もしくはその素材の表情が感じられる、というメリットと捉えて頂けることが多くなってきたためか、このような素材の使われ方をすることが多くなってきましたね。
でもそれがかえって今まで以上に製作に気を使う点でもあったりします。
節を敢えて取り入れるというのがポイントで、隅々まで入ってしまうというのとは違い、節の位置や、節が入ることで落ちる強度への影響を考慮しなければならない分、材料を切り分けるときは節を必要以上に入れない時以上に苦心するのです。
ただ、やはりその仕上がりは独特の表情があり、美しく感じられます。
また、節の入ったナラ材はアイアンとの相性も良く、この家具も脚部は鉄製となっています。
木材同士のパーツを合わせる場合であれば、お互いを削り合わせただけでできますが、アイアンのパーツは木材に合わせて変形なんてしてくれないので、木材の方を慎重に加工し、ぴったり組み合わさるようにしていきました。
今回のデザインは、左側のキャビネットにつく脚は脚単体が独立しているので、脚にから伸びているフラットバーがきちんとはめ込まれるようにキャビネットの上端、下端を削り取ってピタッと合わせています。
右側の本棚はアイアン部分は脚だけでなく、箱状に組まれた形をしているので、棚板の中の2枚だけはアイアンに被さるような加工を施しています。
こうすることで、2台が並んだ時に家具の下面が揃って見えるデザインになっているのです。
できあがってしまうとシンプルな形なので、見過ごしてしまうかもしれませんが(笑)なかなか複雑な加工を施していたりします。
そういう加工において、加工したパーツがそれぞれぴたりと組み合わさった時の喜びは、家具作りをしていて最も楽しくうれしいひと時なのです。

あとは制作の過程においてではないのですが、搬入はなかなか苦労しました。
今回のO様のお宅は旧いとても雰囲気のある集合住宅でしたが、メゾネットの2階がリビングということで、バルコニーを使って荷揚げしたのですが、棚板1枚でも無垢材と突板の場合の重量は大違いです。
特にナラ材は硬い分重さもかなりありますので、小さな荷揚げも大変苦労したのでした。
しかし、それ以上にお客様に喜んで頂けたのでやはりそういうのはとてもうれしかったです。

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