日記「自由な手たち」

20200929001

墨出し

午前中は大森のAさんの現場に段取りの確認と荷揚げに行っておりました。自分の中では想定内のサイズだったのが、わずかに大きく階段から搬入できなかったりして、3階までロープで荷揚げしたりとなかなか時間がかかってしまいましたが、どうにか昼過ぎにはみんなにあとを任せることができて、続いて町田のKさんのところまでやってきました。

下地の床が張り終わったので、キッチンの配管の墨出しをしてほしいと監督さんに頼まれていたのです。
監督さんが来られないということで、現場につくと上階で作業しているような音がしたので「こんにちは。」と大工さんに挨拶すると、うーん、何だかおっかなそうな大工さん。
「墨出ししに来たのかよ、ちゃんと納まり確認してから出してってくれないと困るよ。」と、いきなりつっけんどんな感じでまくしたてられて、何だか気分悪いなあ、と思うわけです。
「ちゃんと分かるように書いていきますよ。」と伝えて作業に取り掛かろうとすると、
「だから、ここはさあ、ボードとタイルでこれだけ柱から開くんだよ。分かってる?」とか
「ここはさあ、仮止めなんだからこういうのでさあ、ガって突っ張ってから寸法出さないとずれちゃうんだよ。」とか
まともに聞いていると何だか気分悪いと思うのですが、よくよく話を聞いてみると、口は悪いけれど何だかきちんといろいろと伝えたい感じの大工さんのようで、「全部きちんと書いていくから大丈夫です。」と伝えると、「おう、ちゃんとやってよ。」とぼやきながら上階へと戻っていくのでした。
自分の作業場に知らない人間がのこのこやってきて、勝手に作業していくって言うのは、やはり大工さんとしては気持ちの良いものではありませんから、そういう気分の表れだったのかもしれません。

で、私たちのキッチンって、システムキッチンと違って、ところどころ床が見える部分があるのが特長です。例えば、シンク下はゴミ箱を置くのでオープンなっていたり、コンロ下にワイヤーシェルフを置くからやはり床が見えるようになっていたり。
キッチンとリビングダイニングで床の仕上げを切り替えるところもあったりして、なかなか大工さんも苦労する部分だったりします。そういう部分を監督さんに取りまとめてもらえたらありがたかったのですが、今回は大工さんと私しかいないので、それならキッチンがどんな形で床に置かれるかもきちんと床に描いて、それから配管位置を出していこう、と思い、長々と作業をさせて頂きました。

話が長くなりますが、いま思えば、墨出しなんて今では普通にできるようになりましたが、キッチンを始めた当初は本当に右も左も分からない状態でした。
「配管の位置はどこになりますか。」ってよく工務店さんに聞かれたのですが、「よく分からなくて、家具屋としてできる範囲の作業しかできないもので・・。」なんて言いながらどこか甘えていたのですが、だんだんとそれじゃあ困るよって言うことが多くなってきて、知り合いの設計士さんに納まりを聞いたり、お客様でシステムキッチンの設計に携わっている方がいらっしゃってその方に教わったり、(大変感謝しております。)現場で設備屋さんに怒られながら教わったりと、いろいろな人たちの助けがあって今の私たちがあるわけで、もう本当に感謝しかないわけです。

で、キッチンが立つ位置と配管の位置とケーブルの長さなどをひと通り床に描きだした頃に大工さんが下りてきて、墨出しの図を見て、「おっこれはすごいね。」と言ってくれて、帰りには「はい、ごくろうさまでした。またよろしくお願いしますね。」なんて優しい言葉を掛けてくれたりして、なんだよ、ツンデレかよ(笑)と何だかほっこりして帰ってきたのでした。