森のキッチン

2021.09.13

「チェリーとステンレスのオーダーキッチン」

大磯 I様

design:Iさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:hideaki kawakami
painting:iku nogami

「先日はカタログの発送ありがとうございました
Instagram、ウェブサイトも拝見し、理想のキッチンに出会えた気がします!
予算が可能であれば、ぜひ制作を依頼したいと考えております。
暮らしの理想としまして、近い将来子供が独立し、夫婦2人の生活になるかと思います。
暮らしを小さくしコンパクトな住まいを計画しております。
持ち物を見直し、ミニマムな生活をしたいと考えております。
なにか収納などのアドバイスをいただけると助かります。

イメージしているキッチンのサイズは、【幅】シンク側、コンロ側ともに1800ミリ、【奥行】シンク側900ミリ、コンロ側600~650ミリ
形はⅡ型キッチンで、素材はチェリー材とステンレストップのバイブレーション仕上げ
コンロは、ハーマン「プラスドゥ」とコンビネーションガスオーブン
食洗機は、ミーレの60センチのもの
リビング側には収納を設けたいです
シンク下はオープン
コンロ側には吊り棚をつけたいです
シンク側には包丁、カトラリー、ボール類をしまいたいです
リビング側背面は食器をしまいたいです
コンロ側には鍋、大皿、トースターをしまいたいです
吊り棚にはコップ、食器をおきたいです

以上になります。
お見積もりよろしくお願い致します。
楽しみにしております。」

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
森の入り口のように緑あふれるキッチン。まだお引渡から2ヵ月も経っていない頃ですが、チェリーの色がほんのり濃くなっているように見えますね。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
勝手口があって、回遊できるプランは良いです。Iさんのところにはお嬢さんがお一人いらっしゃるので、一緒にキッチンに立っても使いやすそうです。でも、Iさんが言うには、「娘はもうすぐ出て行っちゃうから、娘の部屋も特に決めていないんですよ。」そして、お嬢さんもそのようなお母さんの言葉にあっけらかんとした表情で、楽しそうなファミリーだ。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
ちなみにシンクとコンロの間のワークスペースは900ミリ。一人で使うには十分な広さで、反対にお料理の先生からはもっと狭くしてほしいと言われたこともありました。「一歩踏み出すことなく、いろいろなワークトップにアクセスできるほうが便利なのよ。」って。また反対にご家族みんなでキッチンに立つという場合は、もっと広くしてくださいって言われますね。皆さんいろいろな暮らしかたがあっておもしろいのです。

たしか、Iさんの最初の問い合わせは電話だったような気がしますね。
そもそも私は電話が苦手なのです。
電話だと気軽に相談できてその場で答えてもらえるので、質問してくださる皆さんにとっては分かりやすいのだと思うのですが、私としてはその場でおおよその内容を伝えたり、費用をお伝えしたりするので、その場でパッと浮かぶものでもないので、いつもひやひやしてしまうのです。
あまり当てずっぽうな答えを伝えてしまっては元も子もないわけですし、かえって難しい作り方を伝えてしまったり余裕のないコストを伝えてしまって自分の首を絞めてしまうことになってはいけませんので、やっぱり電話は苦手なのでした。
ただ、Iさんの電話はそういう感じではなくて、キッチンをオーダーで作るとどんなことができるか、どんなことに気を付けると良いのか、というような内容だったように思えます。
そういうことでしたら、比較的落ち着いてお伝えすることができますね。

こういう形にすることができます、
こうするとこの部分はこうなってきます、
こういう形にするとこういう良い部分がありますが、こういう良くない部分も出てきちゃいます、

そういうキッチンの形の考え方をいろいろとお話して、Iさんも「なるほど。」といろいろな形を考えていく手がかりをつかんでくださって、「では、大まかなご要望がまとまりましたらメールをくださいね。」とお伝えしたのでした。
でも、「メールくださいね。」とお伝えしているのですが、その通りにメールくださる方はなかなか少なかったりしまして・・。
やはり、いろいろとお伝えすると考えることがたくさんあることが分かってくるので、そうなると戸惑いや迷いが出てきて、決して安い買い物ではないわけですし、家作りってそれだけじゃなくていろんなことを考えなくっちゃいけないわけで、キッチンってそこを使う方々にとっては家全体を考えることと同じくらいいろんな思いがあるので、といろいろな思いが交錯して思いとどまってしまう皆さんもいらっしゃっるのです。
だから、メールが届いたらうれしいなあ、と言うくらいのささやかな気持ちでおりましたら、Iさん、メールをお送りくださいました。
うれしいなあ。
そうして送ってきてくださったのが、最初の文章のようなメールです。
そのメールと一緒に「ものの後ろにある目に見えない温度」「ただいまが届く家」の写真も送ってくださったので、おおよそイメージは理解できました。

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
Iさんのご要望をまとめてスケッチにしたもの。これを基にお話を進めていけそうかどうかを検討していきます。

それでは、まず原案を考えてみましょう、ということでスケッチを描いてお送りしました。
かならず皆さんにお送りできるわけではないのですが、文章だと分かりづらい部分があったり、お時間を頂ける場合などの描いたほうがよさそうな場合に描いてお送りしてるのです。
図面よりも分かりやすくて短時間出掛けるので良いプレゼンテーションになりますね。

そのスケッチや御見積の内容を見て頂いて、少し細かい部分を検討してくださることに。
もし、おおよそこの内容でご依頼を頂ける場合はお話を進めるために図面を描くのですが、そのあとしばらくご連絡が止まってしまったこともあって、どうなったのかな‥と思っていたのでした。

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
シンクには洗剤ポケットを備えています。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
今回のプランでは、いつものようにシンク下をオープンにするのではなく、2段の引き出しにしています。上段の引き出しは奥に排水口のトラップがあることと給排水管があるため、高さを低めにして奥行の小さい引き出しにしています。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
下段は深めの引き出しです。まだ暮らし始めてそれほど経っていないので、しまわれているものもまばらですが、容量が大きいので調理道具もかなりの量がしまえます。

お話が変わりますが、ちょうどその年の初春に大きなイベントに出させて頂くことになっていたのです。
湘南T-SITEさんからお声掛け頂いて、「料理道具市」というイベントを開くにあたって、地元でキッチンを制作しているメーカーを探していたということで、私たちに相談をしてくださったのでした。
このような機会はなかなかないと思いましたので、さっそくお返事を送らせて頂いて、せっかく出るのならキッチンをそのまま持ち込もうと意気込んでいたのでした。
そして、キッチンを持ち込むなら以前から温めてきたショールーム改装計画をこの機会に実行しよう、とだんだんと気持ちが大きくなってきて、キッチン自体を新しく作ってしまおう、と企んでいたのでした・・。
それでせっかく作るなら、皆さんにとって分かりやすいキッチンとなるようによく使う素材で・・、とはならずに、私自身が作ってみたかった天然石を使った昔懐かしいおばあちゃんの家の流し台を思い起こすようなキッチンを作ろう、ということになったのでした。(祖父母の家は決して石造りのキッチンではなかったのですが、裏庭に向かう途中にある手洗いの小さな流し石でできていて、子供の時分には外で遊んではそこで良く手を洗っていたのでそのイメージなのかな‥。)
そうして、新たなキッチンが会場に運び込まれていよいよイベント当日。

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
シンク右の引き出し、1段目。シンクのサイズと、食洗機のサイズを考えると、残ったスペースはそれほど大きくないのですが、コンパクトな4段の引き出しにして使い勝手を良くしています。細長くて奥行きが深いと引き出して使う収納以外だと、物の出し入れが不便になりますので。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
シンク右の引き出し、2段目。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
シンク右の引き出し、3段目。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
シンク右の引き出し、4段目。

いろんな人が見に来てくれると良いなとアキコと二人で会場に居りましたら、しばらくしてスラっとした女性がキッチンを見ていってくださって。 何となくキッチンが気になってくれたのかな、なんて思っておりましたら、けっこうじっくり見ていってくださってますね。
私はこう見えても体が大きいだけで人見知りですので、本当はこういう場は苦手だったりするもので、アキコが代わりに「こんにちは、私たちフリーハンドイマイと申します。このキッチンを作っているメーカーなのです。」って挨拶に行ってくれて。
頼りなくてすまないねえ・・。
しばらくするとアキコが戻ってきました。「ダイちゃん、今ね、私たちのところキッチンを検討しているIさんだって。」
あらまあ、Iさん。
そんな突然初日にいらしてくださるなんて思っていなかったものですから、うれしいやら照れくさいやら。
さっそくその場でいろいろとお話をさせて頂きます。
あの時のスケッチはもちろん工房に置きっぱなしですから、おぼろげな部分はありますが、いろいろと覚えている内容でお話していき、今度は具体的な打ち合わせも兼ねて工房にあるキッチンも見に来て下さることになりました。
そうして、より具体的な打ち合わせをさせて頂いて、ご依頼頂けることに決まりました。

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
シンク側のアイランドカウンターをダイニングから見た様子。上部をオープンの棚にしています。棚の高さはダイニングテーブルの高さに近い高さにしています。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
カウンターの下がオープンになる場合、天板のすぐ下の板の納まりをどうしようか迷うのです。今回は、扉の厚み分下の板を引っ込める形にして印象鵜薄くすることにしました。よく天板を浮かせて見せる仕上げの場合は、下の板は扉面と揃えるようにするのですが、そういう納まりってなかなか難しくていつも悩むのです。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
下は奥行内寸で、約19センチの戸棚になっています。扉は上面に掘り込みを入れてそこに手を掛けて開けるような形にしました。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
こちら側に書類をしまいたい、というお話もよく聞きます。書類となるとA4サイズが一般的ですので、それがしまえるようにするとなると、カウンター自体の奥行が97センチくらい必要になります。今回Iさんの場合は写真のようにかごをうまく活用することで、食器以外に細かいものをしまう戸棚にしています。

そこで、さっそく図面を作成して具体的な内容の検討に入ります。
何をしまいたいか、しまうために必要なサイズはどのくらいか、キッチンは何人でどんな感じで使っていきたいか、そのために必要なスペースはどのくらいか、さらには組み込む機器をどれにするか、どこで購入するかなどなど具体的なお話を進めていきます。

そうそう、キッチンに組み込む機器ですが、私たちが用意することもできますが、機種によってはかなり割高になってしまうものもあるのです。
特に国産メーカーの機器はインターネット通販で購入する形が一番安く手に入ります。
なので、私たちとしては、そのルートによって機種の性能が変わるわけではありませんのでどのようなルートで用意して頂いても良いと考えております。
ただ、工務店さんとしてはそれがNGとおっしゃるところもあったりします。
やはり機器の故障などがあったりしたときにまず連絡をするのが工務店さんだったりするので、そういう諸々の管理を引き受ける代わりに機器自体も工務店さんが用意する、というところも多かったりします。
今回の工務店さんではどのような形でも大丈夫とおっしゃってくださったので、機器はIさんが直接手配することになりました。 直接って何をどう購入すればよいのか分からないという方も多いと思いますが、そのあたりのサポートは私たちが行ないますのでご安心くださいね。 ただ、品物によっては私達でもわからないものがあったりしますので、そういう時は購入前に打ち合わせしながら進めております。(特に輸入家電になると、アダプターが必要だったり、電気の容量が違ったりするものも多いので。)

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
コンロ側の様子。何というか木立のよう。細かい部分についてのお話ですが、一番左のサイドパネルはカウンターよりも高さを上げています。なぜそうしたかというと、冷蔵庫が置かれるので、何か物を落としてしまうと取り出しにくいので、転落防止で立ち上げているのです。

そのようにしてひと通り決まりましたら制作に取り掛かるのですが、キッチンは他の建築工事部分との関わりもあったりするので、現地で一度状況を確認して、現場監督さんに挨拶させて頂いてから制作に取り掛かっています。
その現場の確認は、あまり早い時期にお邪魔しても設置場所の状況が見えないので、いつもは新居が上棟してそれから大工さんが断熱材を入れて床を張っている頃にお邪魔させて頂くことが多いです。本当はもっと後の壁や天井のボードが張られている頃のほうがきちんと採寸もできて良いのですが、そのタイミングで確認に来て、それから制作となると間に合わないことが多いので、いつもは床を張っている最中のタイミングで伺っております。
そのタイミングがやってきましたので、さっそく伺わせて頂きました。
小田原厚木道路を西へ向かって大磯で降りて間もなくの場所がIさんのご新居の立つ場所。
大磯というと海のイメージが強いですが、このあたりは山の風が心地よくとてものんびりした空気が流れる気持ちのよい場所でした。
そのような立地に平屋を建てるなんてうらやましい。

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
メーカーさんはお勧めしていないのですが、こういうふうにフードの上に軽いものを置くことも。あまり重いものは危ないですから軽いものですよ。

さて、現場に着きましたが、今回は他の工事との関わりも少なく大工さんの壁絡みの部分もほとんどなかったので、現地で挨拶をさせて頂いてキッチンの設置時期の打ち合わせをしただけで大丈夫で、これで制作に取り掛かれますね。室内は平屋ということで少し天井の高い明るく気持ちのよい空間になっていて、仕上がりが今から楽しみな室内の印象でしたね。
平日でしたので、Iさんは同席頂けなかったのは残念ですが、現場監督さんと一緒に設計担当の方もいらしてくださったので、特に問題なく進められそうなことを確認して、いよいよ作り始めます。

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
おもしろいなあ、と思ったのが、調味料をしまう田王と思っていた引き出しは調味料が入れられていなくて、この上にいろいろとスパイス類が並んでいたこと。「その方がすぐに使いやすいですから。」とIさん。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
その代わりに引き出しにはいろいろなものがきちんとしまわれていました。だからいつもよりも幅の広い引き出しにしていたのですね。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
ここやスキレットやフライパン類がしまわれています。今回ガスオーブンを組込んでいるので、調理道具をしまうスペースが少なかったので、ここがうまく使われています。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
一般的なベアリングタイプのスライドレールでも動きは十分滑らかなのですが、中にしまっているものが重いものだと地震の時に不意に開いちゃうこともあります。ソフトクローズレールの場合は閉まる側にバネが入っているのでそういう時も開きにくくなっています。また、その代わりに引き出すときに重くなってhしまうのかと品パイになる方もいらっしゃいますが、そのあたりも初動作が軽いレールを選定していますので、ストレスなく使うことができます。

今回はチェリー材を使います。
チェリーは色の変化が激しい材なので、家具として使い始めるとその変化が楽しめる樹種でもありますが、作っている時も気を付けないといけません。
板同士をちょっとずらして数日放置しておいただけでもくっきりと日焼けの境目が出てしまうくらい焼けるのが早い樹種ですので。
そのような色の淡いチェリー材を表面に使って製作していきます。
内部はいつものように掃除がしやすいポリエステル化粧板を使って作ります。 本当は内部もチェリー材を使って作れると一番良いのですが、板を作っていくコストとまた内部をこれから塗装していくと匂いがなかなか取れないことがあって、オイルの甘い香りが夏場だと結構強く出てきてしまうこともあるので、最近はもっぱら化粧板を使って作ることが多いです。

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
ガスコンロはノーリツのプラスドゥ「N3WF2KJTKST」。オーブンは、同じくノーリツのコンビネーションレンジ「NDR420EK」。私たちがキッチンを作る場合は、いろいろなメーカーの機器を組込むことができるのですが、よく分かりづらいのがコンロ周り。コンロとオーブンは同一メーカーのものじゃないと排熱口が合致しないので、組込むことができませんのでご注意くださいね。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
ガスオーブン下部の納まり。家具の台輪部分とオーブンの台輪部分は特に高さを揃えないことが多いです。もちろん揃えることもできますが、オーブンのほうが高さ10センチほどになるので、それなら引き出しの容量が大きいほうが良い、とお考えの方が今のところは多いですね。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
今回は、この台輪部分が引き出し収納になっているタイプ。

余談ですが、我が家はキッチンの外側をシナ材で作りまして、引き出しも合わせてシナ材で作っています。(ただ、調味料を置く部分だけはどうしても汚れるので化粧板を使っています。)
その下の引き出しを時々掃除するのですが、やはり無塗装ですので、細かいゴミやホコリが引っかかったり、濡れ布巾が滑りにくいので、多少掃除のしづらさは感じました。
ただ、液体をしまったり、鉄sのお鍋などを直接しまうのでなければ、無塗装の木の引き出しもそれほど汚れは付きにくいかな、というのが印象です。
この先はそういう化粧板以外の内部素材も仕上げのひとつとしてお話してみようかな。
形に関しては、コンパクトなセパレートキッチンでしたので、比較的順調に進みました。
少し手間がかかったのは、ダイニング側がオープンになっている部分。
扉や引き出しがついている場合と違って、内部はすっきり見えるので、できれば、見える板が少なくシンプルに見えるほうが美しいです。
ただ、このシンク側のアイランドキッチンをひとかたまりで作ってしまっては搬入が難しいので、シンク側、ダイニング側と分けて制作して、現地でつなぐような作りで考えるのですが、オープン部分に見える板を少なくするということは、つなぎ方を工夫しないとつなぎ目が変に見えてしまうのです。
そこでつなぐと隠れてしまう金物を仕込んだり、ひとかたまりにできそうな部分も板材のままばらしておいたりとひと手間かけてようやく完成。 あとは現場の準備が整ったという連絡を待つばかり。

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
コンロ横の引き出し、1段目左側。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
コンロ横の引き出し、1段目右側。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
コンロ横の引き出し、2段目。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
コンロ側キッチン、3段目。
ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
コンロ側キッチン、4段目。

しばらくして、大工さんの木工事が終わり間際になる頃に連絡を頂いていよいよ取付ですね。
今回は、コロナの影響でコンロ側の壁に張るタイルが引渡しまでに届かないようして、どんなタイルになるか分からなかったのですが、そのタイルの厚み分キッチンを壁から離して設置します。
レンジフードやオープンの吊り棚も同じような納まりで設置します。
シンク側はあらかじめ打ち合わせしていた位置に配管や電気配線も届いていたので、どうにかその日1日で機器類の据付まで完了。

次に現場に来るのは、Iさんが塗装をする時です。
そう、今回はコストダウンのため、そして将来的にオイル塗装のメンテナンスをしていくのに最初から自分たちで行なっておいた方がやりやすいから、ということでIさんご家族で塗装をするのです。
無事にご新居のお引渡が終わって、それからお引越しまでの数日間を利用して塗装します。
(塗装する時は扉や引き出しを外して、並べて塗装するので、リビングなどの広いスペースが必要になるので、工事期間中だとなかなか難しいのです。)
この時に初めてお会いするご主人にも一緒に塗装方法を説明させて頂いて、「このような感じで塗っていきます。」と実際に最初の1枚だけを塗ってみて、あとは慣れないと手間取る引き出しや扉の外し方がスムーズに行なえるように何度か試して頂いて、お二人でもスムーズにできそうな感じになってきましたので、はい、あとはIさん頑張ってくださいね!

それから、数日後。
「イマイ様、お世話になっております。
先日はありがとうございました。おかげさまで、無事塗装が終わりました。
我が家の顔となるキッチンが、素敵に完成しました。
今からお料理をするのがとても楽しみです!
本当にありがとうございました。」

そうして、お引越しも無事に終わって、2ヵ月ほどたった頃にあらためてキッチンの様子を拝見させて頂くためにお伺いしてきました。
本当はもう少し早く伺えればよかったのですが、コロナの影響でコンロの奥のタイルの入荷が遅れているということで、せっかく見に来て頂くのならタイルの施工も全て終わってから来てくださいね、と言われておりまして、このタイミングで伺わせて頂きました。
お邪魔します。
うん、とても良い感じです。
キッチンのそこかしこに緑があふれています。
そして、Iさんのところには2匹だったかな、猫が居りましてこの広々したLDKでゆったりと過ごしているようで、吊棚から冷蔵庫の上へと楽しそうに行き渡ってゆくのだそうです。
その様子が何とも森のなかを歩いているように思えまして。
窓の外もぐるっと緑に囲まれて心地良い空気で、部屋の中までその空気が漂っている気持ちのよい場所だったのです。

天板ステンレスバイブレーション
扉・前板チェリー板目突板
本体外側チェリー板目突板
本体内側ポリエステル化粧板
塗装オイル塗装仕上げ
キッチン仕上げ

チェリーとステンレスバイブレーションのセパレートキッチンと吊棚

価格:1,300,000円(制作費・塗装は施主様施工、設備機器費用は別)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は120,000円から)