パン教室にて

「ペーパーコード編みのスツールのオーダー」

Kona Salon 熊崎様

design:daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:daisuke imai
painting:daisuke imai

熊崎朋子さんがリビングダイニング、キッチンのリフォームを検討している時にメールくださったのが、もう2年半も前のことです。
あれから、パン教室をはじめ、天然酵母を使ったパン作りの本まで出されて、あっという間に人気者に。それでも、熊崎さんはずっと私たちの家具を好きでいてくれて、私がふと自宅の椅子を作ることを日記に書いたのを読んでくださって、「その椅子を私にも作ってください。」と連絡をくださったのです。
今まで本格的にお仕事として椅子の座を張ったことはありません。あくまでも趣味の範囲でと思っていました。だから今回も最初は、いつも通りにホームセンターで細めの紙ヒモを買ってきて張ろうかなって思っていたのですが、どこのお店を回っても使い慣れた、縁ってさらにそれを2重に編んだ紙ヒモが売られていなくて、ただ紙を縁ったものしかなくなっていました。手にとってクルクル軽く巻いてみると、縁ってある方向と反対に巻いた途端に縁りが解けてしまう。これじゃあ・・・。
そんな時にインターネットで調べてみたら、座の張り方がいろいろあることを知りました。基本的に木のレールにヒモを巻くだけのことなのですが、レールの左右と前後の高さが異なる場合に緩まない張り方、そしてそれに適した材料。
私が使っていたヒモは練習用には適していて・・、と書かれていました。なるほど・・・。
よし、勉強だと思い、何がどう違うか分かりませんが、さっそくデンマーク製のペーパーコードを取り寄せてみました。
届いたそれは、重く、そして硬く、縁った紙を3重に編んだものでした。なるほど・・・。
さっそく編み始めるも、今までのように手軽には張れない、手強い感じです。結局、熊崎さんの2脚とショールーム用の1脚を編み終えたところで、どうにも不細工な感じがして、行き詰まってしまいました。コードがクロスするラインが波打ってしまうのです。
そんなわけでさらにネットで調べます。近くに先生がいれば良いのですが、あまりされる人も居ないようですので・・。
ふむふむ。
調べると、ただただ馬鹿みたいに力を入れて張っていけばよいものでもないみたいです。強弱つけて張らないと必ず波打つようで・・。なるほど・・。
さらに現物を見たいと思って、一番近くで張り椅子が見れる横浜の「アクタス」に出掛けて、Yチェアを眺めます。きれいだなあ。でも、中にはお試し用だからか、何度もお客さんが座ったからか日もが緩んで不細工になってしまっているものもあります。
本当は、張り方が同じモーエンセンの椅子を見たかったのですが、残念ながらここには置いてなくて・・。
ただ、Yチェアでもああなってしまうのだなあ、なんていろいろと勉強しながら帰宅。
再挑戦です。
そんなわけで、張り終えた3脚をまた解いて、張り直しです。
うんうん、だんだんとコツが掴めてきましたが、数をこなせばすぐにうまくなるものでもありません。結局4脚張ってその中できれいにできた2脚を熊崎さんにお届けすることにしました。
久しぶりにお会いする熊崎さんは以前と変わらず軽やかな方で、熊崎さんのお宅も2年半前のままでしたが、午前のパン教室を終えたばかりだということだからか、どことなくスパイスの香りが漂って、どことなく先生と教室の雰囲気が。生地をこねるのにということで作った作業テーブルのコーリアンは、使い込まれてオイルが染み込んだからか、すっかりピカピカのツヤが出ています。
それが何だかうれしかったのです。でも、この椅子を見ていただくまではやはり不安なもので、熊崎さんの「素敵です。」と笑顔でおっしゃってくださったのを聞いて初めて安心したのです。
張り椅子は、手軽に何度も張り替えて使えるのがメリットです。いつか座が緩んでくる時がありますのでその時はまた連絡くださいね。

ペーパーコードで編んだスツール

座面の印象。

ペーパーコードで編んだスツール

全体の印象。

ペーパーコードで編んだスツール

練習を重ねればもっときれいに早く編めるようになるかな。

ペーパーコード編みのスツール

費用については、お問い合わせくださいませ。

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