ふたたび、こんにちは。

「テーブルのオーダー」

横浜 T様

design:Tさん
planning:Tさん/daisuke imai
producer:hidenori terai
painting:hidenori terai

よく見返してみると、初めて高塚さんのおうちに家具を納品したのが2005年の5月頃です。
あれから1年とちょっとが経つのですね。長いような、短いような・・。
あの時は確か塗装の色を決めるのにいろいろ悩んだんです。それを良く覚えています。一回塗ってみたけれど似合うイメージの色にならなくて塗りなおしたのが大変だったのです。そのおかげで出来上がった色は大変気に入ってもらえました。今回は前回の手順を踏んでいるからうまくいくでしょう。
今回オーダー頂いたのは、ダイニングテーブル、そう、食卓です。でもただの食卓ではなくケーキ教室で教える生徒さんもケーキ作りに使う作業台も兼ねているのです。
と、この文章だけ読むと何のことはないようですが、けっこう大変なテーブルなのです。普通はご主人を使う食卓として使用するけれど、教室の時はここで生地をこねる、と言うことは・・・、使う高さが違うのです。食事を採るときは椅子に座って使います。作業をする時は立って使います。この二つの条件を満たすにはどうしたら良いか、と高塚さんが考えたのが高さが変わるテーブルなのです。実はこのテーブルのお話は前回の家具納品時に「そのうち、お願いすることになるかもしれないので何か良いプランを考えておいてくださいね。」と言われて、結局なかなかひらめかずそのままになっていたのです。そこへ突然高塚さんから「そろそろ、テーブルをお願いしようと思います。」とメールが・・。高塚さんもいろいろと考えていたようで、あるお店で高さが変わるものを見つけたのだそうです。ただサイズがちょっと小さめで断念。そこで私たちに依頼しに来たのですが・・。
その高さが変わるという構造、お話を聞くと何となく分かりました。天板がくるっと半回転すると高さが伸びるのだそうです。ネジのような螺旋の構造なのかな。できなくもないけれど、可動部分にかなり負荷がかかるんじゃないかと言うのが心配でした。また、この動きをテストする為にスタディモデルを作る必要がありそうだったのでテーブルとしてはかなりコストのかかるものになってしまうかも・・。と言うところでそのプランはなくなってしまいました。私たちも高塚さんからメールを頂いてからいろいろと考え始めました。(遅いスタートですね・・。)
中でもスズキ君のプランはなかなか具合良くいきそうなものでした。簡単に言うと、折りたたみ式のテーブルの脚のように普段は寝ている板を高くする時には起こして使うと言うものでした。強度もしっかりとしっかりとしたものにできそうだったのでこのプランで進めようと思ったのですが、もう少し具体的に考えていくと天板が大きいので私たち男ならできても、女性が一人で持ち上げるのは無理なのでは、となってしまいました。結局ボツ。
最終的には、元々高さの高いテーブルにするという一番シンプルな構造になりました。
一番壊れにくいしそれが良いです。
高さは780mmと言う微妙なサイズ。女性が立って作業するにはちょうど良く、ふだん食卓として使う時は少し座面の高い椅子を使うことでうまく使ってゆこうと言う考え方です。
天板は作業性を考えて人工大理石デュポン社のコーリアンの一枚板で作りました。その方が作業もしやすく掃除もしやすいからだそうです。

でもこの人工大理石の天板がかなり重いのです。私一人では持ち上げることはできても動かすことが難しいくらい。可動式のテーブルにしないで良かった・・。さらにこの重い天板の上で堅いバターを強く叩いて柔らかくしたりとかなり力強い作業もするのだそうです。だから脚をガッチリとホゾ組みしなければなりません。そこで、脚を少し太くして、脚と脚をつなぐ幕板のを両端で少し幅広くしました。そして広い範囲でホゾを差し込めるようにしました。おかげでシンプルでガッチリとした家具になりました。
搬入当日、普通のテーブルよりも一回り大きいので(本当に言葉そのまま一回り大きな感じです、まるで巨人が使うような。)、玄関からは入りません。道路に面した腰高窓から寺井君と二人でウントコヤットコしながらリビングへ運びました。リビングはフローリングだから脚下にフェルトを貼ってしまえば高塚さんでも一人で動かせます。工場では分からないくらいでしたが、実際にリビングに入って、今まで酢買っていた食卓と並ぶと「大きいテーブルだな。」って感じがします。これなら作業するのも不足なくできそうです。高塚さんにも大変気に入ってもらえてヨカッタ、ヨカッタ。
帰りに「これ、今焼いたので帰り道の途中で食べてください。」と言って美味しそうな焼き菓子を頂いてしまいました。太っちゃうかな。

その後高塚さんよりお便りを戴きました。
「お世話になっております。高塚です。
本日は暑い中納品いただき、ありがとうございました。
早速午後のレッスンで使わせていただきました。身長168cmの生徒さんでも楽に作業ができるようになりました。継ぎ目がないので手入れも楽です。脚の下にフエルトを付けていただいたので、移動も楽です。
悩みぬいたサイズだけに使い心地は抜群です。
本当にありがとうございました。」

お菓子教室で使う人工大理石の天板のワークテーブル

幕板の下の補強。

お菓子教室で使う人工大理石の天板のワークテーブル

全体の様子。

お菓子教室で使う人工大理石の天板のワークテーブル

天板はシンプルにホワイトの人工大理石。

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

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