Cafe

「チェリーの食器棚のオーダー」

港南台 I様

design:Iさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:tsuyoshi kawaguchi
painting:tsuyoshi kawaguchi

カフェのようなチェリーを使った食器棚

針葉樹のちょっと素朴な表情の棚越しに見えるこのチェリーの静かなカップボード。とても良い印象です。


カフェのようなチェリーを使った食器棚

キッチン奥から眺めるとこのような感じ。窓の前に横にわたる棚やその上のカップボードがとても見ていて気持ち良いのです。

とても久しぶりにIさんからメールを頂いたのです。とても久しぶりと言いましても、以前に家具を作らせて頂いたわけではなく、以前に一度お問い合わせを頂いたことがあったのです。その時の内容はもう忘れてしまったのですが、お名前を拝見して、何となく昔のことが思い出されたのでした。
「6年前にも設計見積もりを依頼した石原と申します。費用的な面であきらめ、かといって市販で望むものはなく、DIYで作ったカウンターでしのいでいましたが、そろそろ機能的&すっきりと生活したくなり、今一度フリーハンドイマイさんに連絡させて頂きました。
キッチンの背面収納をお願いしたいと考えています。要望は以下のとおりです。
・シンプルモダン(ウォールナット色)
・収納したいものは、食器、食品類、保存食、ビール(パントリー的機能)、根菜など
・一番左端にカバンやファイル、レシピ本などをサッとしまえる収納棚が欲しいです。
・北側斜線の影響で下がり天井になっています。高さが180センチですが、一部梁があり、172センチのところもあります。
・北側壁に窓が2つありますが、ふさいでしまってもかまいません。
・現在、収納が少ないためカウンター上に物があふれる状態です。基本的にはカウンターは必要ないと思っています。基本的に整理整頓が苦手です。。。機能的なキッチンの実現を夢見ています。今回はなんとしても実現したいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。」
メールと一緒に、昔に私が設計した食器棚の図面と今のIさんのキッチンの様子の写真が送られてきました。
天井が傾斜していると言うことや、窓を含めてプランを考えるとすると、メールだとどうも知りたい部分が見えなそうだったし、直接お話したほうが良い案が出そうだと思いましたので、ひとまずお伺いしてお話をすることにしました。港南台ならあまり遠い距離ではないですし。
さっそくお邪魔させて頂き、リビングやキッチンを拝見させて頂きました。鏝の跡を残した塗り壁、懐かしい装飾の飾り窓、カーテン・・、「サンタフェスタイル」と言うのでしょうか。そこに手作りのカップボードとバスケットを組み合わせたオリジナルの食器棚。キッチンカウンターは、ご主人と二人でオイルを塗って仕上げたと言う手の跡の残る雰囲気はどこか温かなカフェのような雰囲気です。
屋根勾配に合わせて食器棚を作るのは大変なので、高さを抑えて、かつ収納力があるようなプランをいろいろとお話させて頂きました。キッチンの窓も当初はなくしてしまおうかと考えていたそうですが、この明るさはもったいないし、明かりをとりながらも収納にする方法はあるはずだといろいろとお話しさせて頂き、会社に戻ったのでした。
「今日は雨の中ありがとうございました。
今井さんに来ていただき、本当に良かったです。
ブログやHPから雰囲気は感じていましたが、実際にお会いして心から安心してお願いできる!と実感しています。
今からとてもステキな家具ができるとワクワクしています。(気が早いですが。。。)
フリーハンドイマイに家具を頼むと、リピートしたくなる気持ちがわかります(笑)」
そうして、いくつかの検討を重ねて、最終的には、一部を天井まで伸ばす形にした、収納力のある食器棚にすることができたのでした。
当初は、天井まで伸ばすことを考えていなかったので、屋根勾配までは実測していませんでした。そこで、勾配を計れるように型板を持参して、再びお邪魔させて頂き、さらに細かい部分を直接お話させて頂き、そうしてようやく一つの形がまとまったのでした。
あて、あとは取付です。一番の心配は計った勾配通りに家具がピタッと納まるかが心配でした。
なぜかと言うと、勾配をきちんと計れても、家具は床や壁全体の傾きの影響を受けます。勾配は部分的にしか計れない、と言うこともあり、設置する部分の床が少し傾いているだけでも角度は大きく変わります。
しかも無垢のフローリングの場合はそれが顕著で、さらに済んでから数年たっているお宅の場合は、その床材が好くから図動いていますので、歪みが必ず出ています。無事に角度が合うと良いな・・。
と、言う懸念がありましたが、それよりも取り付けの数ヶ月前から始まってしまった、改修工事と重なってしまい(雨漏りが発生してしまったそうです。)、いろんな職人さんが出入りするなかバタバタとした作業になってしまいました。
でも、勾配はきちんと揃ったし、取付の作業も自分で考えていたよりもスムーズに終わってホッとひと安心。良かったと無縁を撫で下ろしたのでした。
「先日はありがとうございました。5年前から夢だった造作家具がとうとう完成しました!
こんなにもステキに造ってくださり、本当にありがとうございます。
取り付けも丁寧で愛情を感じました。大事に使わせていただきます。
また、ブログ拝見しました。収納した様子など、近々ご連絡いたします。日々眺めてはにやけています。
何をどこに入れようか思案中ですので、落ち着いたらまたご連絡いたします。」

カフェのようなチェリーを使った食器棚

今回は引き出しの手掛けは、全体のデザインを考えて上面にしました。と、使っていてしばらくしてから、Iさんから連絡が。下にもあったほうが使いやすいので下面にもつけてください、と。


カフェのようなチェリーを使った食器棚

ガラスの上開き扉。この一番小さなガラス扉は、今のようにガラス扉にしようか、それともその下の両開き扉を上まで延ばす形にしようかと、Iさんと迷ったのですが、結果、ガラス扉にしました。こうすることで左からのガラス扉がつながって見えてとてもスッキリとした印象に。


カフェのようなチェリーを使った食器棚

壁には換気口がある部分と食器棚の脚が重なってしまいそうでしたので、換気口を操作できるくらい脚を変形させて対応しています。


カフェのようなチェリーを使った食器棚

今回は根菜収納用にバスケットを用いたのですが、通常のホワイトバスケットではなく、ステンレスバスケットを用いています。


カフェのようなチェリーを使った食器棚

上に開く扉はこんな感じ。扉にはソフトダウンステーをつけているので、手を離すとゆっくりと閉まっていきます。この飾り棚の上にもちょっと緑が置けそうで、さらにこのガラスの中に何をしまうかを、Iさんは楽しみながら使ってくださっているそうです。


カフェのようなチェリーを使った食器棚

ガラス扉の下には、収納力をアップさせるために長い棚板を窓辺に架けたのですが、ここはここでまたすてきな飾り棚になったのでした。打合せの時にIさんの小物の置き方をいろいろと見させて頂いたので、この棚もきっと見ていて心地良いものになると確信しています。

チェリーを使ったカフェにあるようなキッチン収納

価格:630,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は18,000円から、取付施工費は35,000円から)

ちょっと関わりのありそうな家具たち