静かなかたちたち

「ナラとアイアンの円卓のオーダー」

新宿 S様

design:daisuke imai
planning:Sさん/daisuke imai
producer:iku nogami/kouhei kobayashi/onuma kougei
painting:iku nogami

オーク柾目とアイアンの丸テーブルと、オーク柾目の洋服タンスとベッドサイドキャビネット

テーブルの印象。私たちのショールームにある標準の厚み(26mm)よりも厚くしています。プルーヴェの椅子とも印象はよく合います。

「Facebookでも拝見したのですが、「上品なアイアンの脚の丸テーブル」とても素敵です。
詳細が知りたくてHPを探しましたが見つけることが出来なくて、問い合わせをさせて頂きました。
大きさの詳細や価格などを教えて頂けますか?
また、どこかで現物を見ることは出来ますか?」
と、Sさんからお問い合わせを頂きました。
まだ、「あたらしいかたち」のMさんのことをウェブサイトに掲載する前にご連絡頂いたのです。
すぐにこういう反響を頂けるなんてとてもうれしいことです。
それで、毎年12月に開いている私たちの小さなイベント【クレミル】の時に合わせて、テーブルを見にいらして下さることになったのです。

オーク柾目とアイアンの丸テーブルと、オーク柾目の洋服タンスとベッドサイドキャビネット

このナラ柾の厚みも良いですね。脚は鉄と言うイメージよりは繊細な印象で仕上がっているので、この天板が載ることで、このスタンダードチェアの少し無骨な印象と調和しています。この厚い天板は元から想定していたものではなく、海外でダイニングテーブルを使っていると、高さの高いテーブルが標準なのに対して、日本サイズで考えていた脚のサイズなので、いろいろと考えてみて、脚の治具を新しくするよりも天板を厚くすることで高さを延ばせて、さらに印象を変えることを狙ったのでした。

そして、12月。
【クレミル】の木工のワークショップに参加してくださることに。
ワークショップでは、1年間仕事をしていて余ってしまった板材をみんなで好きな樹種のものを選んで、好きなものを作ろうというものです。
お皿を作ったり、カッティングボードを作ったり、鍋敷きを作ったり。
もの作りの楽しさをみんなにも実感してもらえたらと思って、この教室を開いているのです。
Sさんも、ご主人とお二人で、お皿に作りに参加してくださいました。
それで結局、私が当日バタバタと動き回っていたこととSさんが丁寧にお皿作りをしてくださったこともあって、朝から工房に来て頂いていたのに家具の打ち合わせができたのは日も暮れてからになってしまいました。
「すみません、こんなに遅くなってしまって。」
「ううん、いいんですよ。私たちも楽しかったですし。」
と、その見てみたかったというテーブルに実際に座って頂きながら、打ち合わせです。
そして、テーブルはもちろん作りたいのですが、それ以外にも考えているものがあるということで、そのイメージを教えてくださいました。
うん、おもしろそうなお仕事です。

オーク柾目とアイアンの丸テーブルと、オーク柾目の洋服タンスとベッドサイドキャビネット

こちらが寝室。対になった洋風くタンスとベッドサイドキャビネットの印象。

さっそく後日、Sさんのご自宅を拝見して、より細かい部分について打ち合わせさせて頂くことに。
西新宿の駅を降りて、高層ビル街のど真ん中を歩くと辿り着いたのが、Sさんの住むマンション。大きいね。
ホテルのような廊下を抜け、リビングにお邪魔させて頂くと見える新宿の町々と静かな印象のSさんの部屋を陣取る大きな家具たち。
「主人の仕事で海外での生活が長かったから、こうして日本に戻ってきたのは良いのですが、向こうで揃えた家具たちが大きくって。でもね、とても気に入っているものだから、手放すのも寂しいので。」
うんうん、家具たちがこの言葉を聞いているかどうかは静かなお部屋からは分かりませんでしたが、うれしいですよね。
物にも思いが伝わるはず、きっと。
「でも、テーブルだけはずっと探していて、それでイマイさんのウェブサイトに載っているテーブルを見て、はっと思ったのです。」
「そうでしたか。ありがとうございます。」
「丸テーブルでもあのような形って見たことなくて。あれからいろいろ考えて、天板の木の種類や脚の色とか・・。でもやっぱりオリジナルの表情が一番良いって思います。椅子もあのテーブルに合わせて、イマイさんがおっしゃっていたようにプルーヴェの椅子を使おうと思っているのです。」
それは楽しみです。
そして、寝室も拝見させて頂きます。
ご主人と奥様がそれぞれ使う洋服タンスとベッドサイドキャビネット。それをこの場所に置くのです。
いろいろとSさんのイメージを聞かせて頂いて、さらに寝室の印象も分かったので、これで大まかな形がまとまってきました。

オーク柾目とアイアンの丸テーブルと、オーク柾目の洋服タンスとベッドサイドキャビネット

この2台が1セットとして置かれる前提で印象を整えております。

さっそく、会社に戻ってプランをまとめます。
意外に後からご依頼頂いたベッドサイドキャビネットが、かなり複雑な構造になりそうで、きれいにうまくまとめなくては。
そうして、テーブルと寝室の家具たちの詳細が決まっていよいよ製作です。

オーク柾目とアイアンの丸テーブルと、オーク柾目の洋服タンスとベッドサイドキャビネット

ベッドサイドキャビネットの上段の引き出しは浅いのですが、洋服タンスとの印象を合わせるために、内引き出しにして、見た目を揃えています。

テーブルを製作していて、鉄工のタカハシさんがこう言っていました。
「イマイさん、今回で3台目ですね。最初はうちの塗装屋さんの親方も、「これ何になるの?」「テーブルの脚です。」「フーン、脚ねぇ。」なんて言っていたのですが、あのできあがった脚を見ると、「こういうのは良いねぇ。」って言ってくれるようになって。いつもはもっと目立たない部分の仕事が多かったりするから、こういうふうに家具作りに携われると、私も他の職方さんも違った新鮮な気持ちになりますよね。だから、大変だけれど楽しいですよ。」
そう言ってもらえるのはうれしいことです。
こういうパーツって気心が知れていないと、そのイメージやニュアンスを伝えることが難しいですから。こうしてパパ友達が鉄工をやっていてくれて助かります。
天板はSさんの希望で、虎斑の少ないもの(これが反対に探すのが難しいのです。)を選んで作ります。
寝室の収納たちも同じく斑の少ないものを選んでとても静かな印象の家具になりました。

オーク柾目とアイアンの丸テーブルと、オーク柾目の洋服タンスとベッドサイドキャビネット

ここにも仕掛けがあるのです。パッと見よく分からない天板。


オーク柾目とアイアンの丸テーブルと、オーク柾目の洋服タンスとベッドサイドキャビネット

一部が取れるのです。


オーク柾目とアイアンの丸テーブルと、オーク柾目の洋服タンスとベッドサイドキャビネット

中には、照明などの電源が取れて、しかも外からスイッチのオンオフができるような仕掛けと、ボックスティッシュをそのまましまえて横から引き出せるような仕掛けがあるのです。

「イマイ様
本日はムシムシと暑い中、お届け頂きありがとうございました。
楽しみに待っていた家具たちが我が家にやって来て、何度も何度も眺めては、にっこりしております。
あれから荷物も無事に収めることができました。早く見たい!と、夫もめずらしく早く帰ってきました。
お陰様で古いチェストを粗大ごみ置き場に運び出すことも出来きスッキリしました。
チェストは任せた!と言っていた夫も、「いいねー!」「いいねー!」と言って大変気に入ったようです。
テーブルは・・・それはもうご機嫌で夕食の時も「やっぱり木の感触が違うわー!」とずっとご機嫌でした。
プルーヴェのスタンダードチェアもテーブルとの相性もよくホッとしました。
丁寧に、綺麗に、作って頂き本当にありがとうございました。
今はまだ届いた家具たちに気を遣いながらの日々ですが、これでとても生活しやすくなりました。
これからゆっくりと我が家に馴染んでいくんだなーとその時間を楽しみながら大切に使っていきたいと思います。
素敵な家具たちをありがとうございました。作っていただきましたスタッフの皆様にもどうぞよろしくお伝えください。」

Sさん、ありがとうございました。

ナラとアイアンのラウンドテーブル

価格:407,000円(制作費・塗装費)

ナラのチェスト2台

価格:460,000円(制作費・塗装費)

ナラのベッドサイドキャビネット2台

価格:350,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は25,000円から)

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