タモ柾目のコの字型キッチン

2024.07.25

もうやってみないと分からないね、と気持ちが降り切れてしまって当日を迎えたNさんのキッチン設置工事。

ステンレスのL型天板を1/50の平面図の上に1/50サイズに切った白いL型の紙を窓のところにクルクルとやると図面上では入るのです。

設計士のNさんもあとはもうやるしかないね、っていうのでやるしかないのでした。

施主のNさんもこのL型の天板をコロナ禍になる前から憧れていらっしゃったので、もうやるしかないのです。

というわけで、何かあってもサポートできるようにその日は5人で乗り込んだのでした。

現場は中山道から一本入った路地の奥に立つ一軒家。祖母の家を思い出します。ブロック塀が立っているので最初は足場を利用して入れようかと考えていたのですが、筋交いがあると天板が降り回せないことに気が付いて、足場がばらされたタイミングでの工事となりました。

2階の腰高の幅1件弱の窓から2200ミリ×2600ミリの天板を入れるには、水平にしないとくるくる回せないだろう、幸い3階があるので、下から持ち上げての水平は厳しいから3階からもロープで引き揚げて水平にしよう、なんて考えていたのですが、いざ3階に上がってみると電線が横切っていることに気が付いたのでした・・。現調の時は足場があって気が付かなかったなあ・・。

それでももうやるしかないわけで、下から持ち上げると私の身長でどうにか2階の手摺の上に届くかどうかという感じ。どうにかなるかな・・。

天板を入れるまで、キャビネットや道具やいろいろの搬入で、大汗かきながらみんなでやっておりましたら、ちょうど10時休憩中だった大工さんたちが見かねて「何か手伝えることがあれば言ってくださいね。」と。

ありがとうございます。お言葉に甘えます。

ということで、天板の搬入はノガミ君とヒロセ君が上から引き揚げるところに大工さんが2人入ってくださって、私とワタナベ君は下から持ち上げる感じで、タケイシさんはそのサポート。監督さんまでサポートしてくださって、心配をよそにエイヤッとあっという間に天板は引き上げられていったのでした。

よかったよかった。

そこからは、工房でくみ上げたとおりに現場で組んでいくのですが、やはりリノベーションとなると床や壁の歪みはすべて治るものではありませんので、その微調整などをノガミ君とヒロセ君の二人で2日間かけて作業をしてくれて無事に完了。

約5年前に設計士さんから最初の相談を頂いた時は、たしか家族4人で箱根彫刻の森美術館に遊びに来ていた時だったっけ。とても懐かしい。あれから、コロナで2年以上の時間が開いて、それでもこうして声を掛けて頂いて実現したこの形。無事に納まってひと安心なのでした。

草目地 種まきから3か月後

2024.07.24

道路から家の門扉まで、旗竿地の竿地を、コンクリートから草目地の古窯レンガ敷きに変える工事をしたのが4月中旬で約3か月経ちました。

梅雨明け前から暑い日が続き、朝晩2回の水やりになり、雑草が生えたら草むしりをして様子を見ていました。

サフランさんにおすすめされたグランドカバーの西洋芝の種とダイカンドラの混合撒きにしていただき、ダイカンドラの姿が見られるのを楽しみにしていたのですが、先日やっと見つけることができました!「ハート型の葉」ということで、この子なはずです…。

水撒きや草むしりが面倒くさく感じることがありますが、芽が出てきたり花が咲いたり、植物たちのこういう反応がうれしいから続けられますよね。

ダイスケさんに伝えると、「あ~、それなんだ。いつも煉瓦の間に自転車のタイヤ挟まってる時踏んじゃってるんじゃないかな…。」

うーん、なかなか、芽が出てこなかった原因のひとつはそれもあるのでしょうか。そう聞くとかわいそうなのですが、グランドカバーということで受け入れてもらって、頑張ってもらえたらと思います。

春には小さな花が咲くそうなので、来年咲いてくれたらうれしいです。

ホワイトオークの食器棚とキッチンバックパネル

2024.07.23

この7月後半は搬入が難しいと思われるお客様が2件ありまして、まずは梅雨が明けたことにひと安心。雨が一番の心配でしたので。

今日のTさんのところには食器棚とシステムキッチンの周りをパネルで囲うという作業がありました。

その中で食器棚の天板が2800ミリを超える長さでしたので、階段から入るかどうかがやってみないと分からないところで、屋外からとなる場合はバルコニーの壁が2メートル以上も立ち上がっているので、小さな窓からになるということで、今日までソワソワしていたのです。

そして、実際作業を始めてみると、どうにか階段から運び入れることができてひと安心。もう50ミリ延ばそうかというお話が当初出ておりましたが、そうしていたらきっと難しかったかなあ。

ここが越せればあとは順調に進みそうですので、設置作業のほうはワタナベ君、ヒロセ君、タケイシさんに任せて私は先に戻らせてもらうことに。

今回の取付は、こうして写真で見ると食器棚のほうが大きく見えてたいへんそうに思えるのですが、システムキッチンの周りを囲う作業のほうがパネルを1枚ずつ組み合わせて取り付けたネジなどが見えないように組んでいくので、仕上がりはシンプルに見えても複雑な作業になります。

17時過ぎに作業が終わってみんな無事に戻ってきました。

Tさんからも「日本家屋が好きなのものあり、キッチンパネルが屏風のように見えてとても美しく感じました。」と喜んで頂けてひと安心。また、しばらくしましたらご挨拶に伺わせて頂きます。

さあ、明後日は偶然にもTさんの住まいから車で10分ほどのところでリノベーションをされているNさんのキッチンの設置。

こちらの天板の荷揚げがもっと大変なので、ヒヤヒヤしております。

日向薬師へ

2024.07.21

日向薬師に出かけようという話を実行に移す日でした。

アキコが、最近スタイルを気にしてか時間を見つけてはウォーキングを始めているというチアキに声を掛けると「一緒に行くよ。」ということで、彼女の靴も用意して本日。(ハルは予定があって不参加だ。ほんとうは君も行くとよいぜ。)

七沢温泉近くのハイカー向けの駐車場から林道をゆるやかに登っていく。

そうだ、懐かしいな。30歳前半の頃は自転車で毎週のように車の通らない林道を見つけては走っていたっけ。

「チィの靴と一緒にね、鈴も用意したの。」という熊鈴が林間に跳ね返る音と沢の水音、そして老いた私たちの息づかいだけが聞こえる時間。

ははは、良いなあ。

さりげない日向山の山頂を超えて、下っていくと現れる日向薬師。彼女たちは以前にジイジとバアバと一緒にヒガンバナを見に来たことがあるそうだが、私は初めて。

茅葺屋根の大きな本堂に圧倒されて、また機運よく薬師如来様をはじめとした木像を拝観させて頂いてさらに圧倒される。

すごいところだなあと感慨に耽っていると、チアキが「足に何かいる。」とつぶやく。

極端に虫が苦手な彼女は自分で見ることができないので、アキコが見てみると、膨らんだヒルが2匹剥がれ落ちて、小さな血の点ができていた。チィは以前にもアキコと二人で七沢に来た時にヒルに入り込まれたことがあって、彼女は好かれるのかもね・・。

ヒルもトカゲも毛虫も尺取虫もカミキリムシもコクワガタも鳥たちもみんな元気でたくましい山だなあ。とりあえず水で洗って不調を感じないようなので、そこから下って亀石というとても美しい岩を眺めて帰り道。

周りには自分が両手を回しても届かないような木々も時々見えてくる。たくましいなあ、雄大だなあと思うのだけれど、私たちはそれを木目がきれいだとか、幅広い板が取れそうだ、などとすごく淋しい視点で見てしまっていることを、この木々の胴回りを見て、そこに群生するきれいな苔や虫たちの様子を見て、あらためて気が付き恐れおののく。ごめんなさい、もっと私たちはしっかり生きていかないといけない。そして、ありがとうございます。

普段なかなかこう言った時間が取れなくなりつつあるのだけれど、やはり時間は作らないといけないとあらためて感じたのでした。

パントリーを整える

2024.07.20

この家に暮らし始めて丸5年が経ちました。

引っ越してきた時に「この段にはこれを入れる。」と考えて収納していたスペースも、新しいものが増え、優先して使うものも変わり、子供たちも自分一人で調理をするようになりましたので、

ごちゃごちゃになっていたパントリー収納を整えることにしました。

ダイスケさんに時間を作ってもらい手伝ってもらいました。なぜ一人でやらなかったのかというと、

収納の物が多いこともありますが、扉を外してからでないと棚板を外せないからです。

棚板の位置変えるのに扉を外すのかと思うと、一気に面倒に感じませんか?(家具屋の妻なのにいけませんね。笑)アクションが少ない方がその行動を起こしやすいのは確かなことだなと感じました。

とりあえず中身を全部出すと、キッチンとダイニングテーブルの上ではスペースが足りないくらいの量でした。使っていた自分でもびっくりです。

「家族が使いたいときに手の届きやすい場所に。」を優先して収納を考えていきました。

地震がありますし、扉が付いていてもちょっと怖い思いがありましたので、ガラスの保存瓶たちは手の届く高さに置いていました。でも、ガラスの保存瓶は私しか使いませんし、レモンシロップなどの保存食を作るときにしか使いません。パントリーにしまうものの中で一番高さがあるものもガラスの保存瓶でしたので、その瓶たちを一番上にして、その棚板の高さが決まってから他の棚板の高さとその段にしまうものを決めていきました。

「かき氷器、まだあったんだ!」ということで、高さがある段の一番手前に持ってきました。

大みそかに黒豆を煮る用のお鍋と、年に数回使うかのレモン絞り器も一番上です。お菓子作りをするハルに「どこにある?」とLINEが来たことがありましたので、一目瞭然場所にしました。

その次の段は、チイの好きな梅干しストックと、お菓子のラッピンググッズ類とお弁当作りグッズです。奥にもう使わないかもしれない、運動会で使ってきた大人数用のお弁当箱が入っています。

これを機に捨てようと思っていましたが、ダイスケさんに「え、捨てちゃうの?」と言われたのには驚きましたが。そうだね、思い出は奥にしまっておきましょう。

その下は薄い段が続きます。この8㎝くらいの薄い段があると意外と使いやすく感じているのです。

奥は見えませんが手が入りますし、ケーキクーラー、ケーキの回転台、巻きす、クッキングシートなどが置いてあります。

さらに薄い段には、せいろ用のシリコンシート、ケーキなどを入れる紙の箱のストックなどが入っています。奥のものを取るときは、棚板を少し持ち上げれば取れます。そのくらいの頻度でしか使いませんので。

その下の段は、鉄鍋の鉄製のふた、オーブンのトレー、奥にはホットサンドメーカーなどが入っています。

一番見えやすい使いやすい高さは製菓用の道具置き場になりました。ハルが今日何か作りたいなと思った時に取り組みやすいようにです。いちいちLINEで答えるのが面倒なので。(笑)

その下は大きめのタッパー類と、ストームトルーパーのマグカップは見えるとかわいいので飾りです。

下3段です。一番上は小さいタッパーとお弁当箱類。奥は小さい土鍋とその鍋敷き4つが入っています。

その次の段は、缶詰ストックとお菓子ストック、製菓材料ストックです。

一番下の段は、お料理のストック、乾物のストック、奥にお醤油や油が入っています。

見る人によっては、「これ使いやすいのか?」と思わるかもしれませんが、このぐらいラフな収納の方が自分には合っている気がします。またきっと5年くらいで変わるでしょうし。

そして、今回の目的はもう一つありました。「見たいものを見ながら暮らしたい。」ということ。

使うとか、使わないとかでなくて、好きだから目に入ってほしいというのでしょうか。

キッチンのリノベーションをされたIさんのガラス戸の食器棚の中に大きな漆器がありました。

その様子がとてもすてきで、うちはお椀以外の漆器が目に入らないな、日々見ることができたらすてきだなと思ったのです。

パントリーの奥に和紙の箱に入ってしまわれていた、結婚する時に両親がプレゼントしてくれたお重を引き戸収納の所に持ってきました。お正月の時のお節料理の時にしか使っていませんが、いいのです。

ふとした時に目に入ってほしいのです。きれいだなと思いたいのです。

今年で50歳になり、残りの人生の方が少ないのかと思うと、どう過ごしていけばよいのだろうと考えるのですが、日々の目の前のことをこなすのでいっぱいであっという間にすぎていってしまいます。

今回パントリーを整理したことで、一つ何かできたという思いから、そんな気持ちが少し落ち着きました。

余談ですが、普段調理時のオイルガードに使っているものを、ガスコンロの上に敷けば、物を置くスペースとして使えたので便利でした。油で汚れている面を下にしてコンロ側にすれば、もし重いものをのせて、傷ついたりへこんだりしても気にならないと思います。

本当は、オーダーキッチンを作っている人のお家として、もっとぴっしり揃った収納の方が参考になるのかもしれませんが、こういう性格なものですみません…。

こういう暮らし方をしている人もいるのだなというくらいに、何かご参考になる部分があればうれしいです。

成人式の前撮り

2024.07.15

海の日の祝日がある三連休でしたね。

我が家はハルが今年二十歳になるので成人式の前撮りの日がありました。

10時からスタジオで着付けとヘアセットです。(メイクはハルが自分でしていきました。

顔にラインストーンまで付けて、映画「300」のペルシャ軍みたいでしたが意外とすてきなのでした。)

このご時世、色々検索すれば情報が手に入るのでセルフプロデュース能力が問われている気がして大変ですよね。こういうメイク、こういう髪型と、ハルは楽しんで決めて、布を買いに行ったり事前準備をしていましたが、私なら当日お任せで何もしなかったかもしれません。

(着物は事前に19歳になるまでの間にスタジオでレンタルの予約をしておきました。)

 スタジオの美容師さんが素晴らしくて、当日ハルが見せた画像だけで同じようにアレンジができるのですから素晴らしいなと思いました。すてきに仕上げてくださりありがとうございました。

ヘアセット、着付けが終わったら撮影をして、その中から写真を選んでアルバムを注文して、その後17時までに戻ればよいということで、お出かけです。

七五三の時に成長を願ってお参りに行ったのですから、ちゃんと成人を迎えることができましたと報告に行かないと、ということで、寒川神社へご挨拶に行きました。

母にも声をかけて参加してもらいました。

蒸し暑い中の着物で過ごすのは大変だったと思いますが、成人式当日は式典があって、神社へ来る時間は取れないでしょうから、お参りして撮影することができてよい記念になりました。

神社の帰りには、今井の実家へ寄り、お父さんとも記念撮影をしました。

ハル3歳の時の写真。
ハル7歳チイ3歳の写真。チイの態度が悪くて笑ってしまいますね。

昔の七五三の写真を見直してみました。こんなに大きくなったのだなと、しみじみしてしまいます。

頼もしく成長してくれて君の姿を見ていると元気になります。ありがとう。

次の目標は社会人になるのでしょうか。

これからも元気に過ごしていきましょう。

Tさんのダイニングテーブルを制作して:スタッフヒロセ君の制作日記

2024.07.15

今回はダイニングテーブルを担当させていただきました。
図面は製作以前から拝見しておりまして、全ての作業において大変困難な仕事になるものだろうと思っておりました。
果たして攻略できるのか、という不安もありましたが前職では墨出しや勾配仕事は多くやってきた事もあり、挑戦してみたいという思いが強く今回担当させて頂く事になりました。

テーブル天板はサンゲツの12mmセラミックを使用し、3mmの目地を付け、メープルのパネルと接着した天板です。
サイズは39mm厚900mm×2400mm、重さは100kg程あろうかというかなり大きなダイニングテーブルになります。

その天板を支える脚部はメープル無垢材が少々複雑な関係性にある形状になっています。
その複雑になっている部分に関しては、墨出しや勾殳玄を使い、正確な寸法や角度を計算機で求める。という具合に進めていければと考えましたが、果たしてうまく書き切れるのか、現物合わせの仕事は避けたい、という不安な気持ちの中、一つずつ解読していきました。

わかっている条件はくの字型の脚の寸法です。その脚の芯のラインに妻手側の幕板が付き、その幕板の幅のセンターに長手の幕板が付く、と言った感じです。
今回の墨出しは平面、側面で寸法を出したり、立体的なものを平面的に書き出す様な作業になりました。材料の長さや伸びを調べ、平勾配や隅勾配を書き出しそこから材料を切る為の角度などを求める作業になります。

墨出し作業が終わると今度は実際に厚ベニヤなどでそれらの部材の試作をし、寸法や角度などに間違えがないか確認するのですが自分が書いた墨が合っているのか、とても緊張する作業になりました。
求めた寸法や角度等に間違えは無さそうでしたので、とりあえず一安心し、その後ようやくシーズニング期間を経たメープル材の製材に入ります。

四つ角のくの字型の脚は蟻加工で組んであります。荷重を真っ直ぐ地面に逃がせられる脚ではないので、接合部の強度が落ちない様、いつも以上に時間をかけ微調整を繰り返しました。
当たり前の事ですがキツいと入らず、ゆるいと寄らずガタガタしてしまいます。
ギリギリ入るところまで調整し、ボンドを塗り再び組もうとしますが、今度はボンドの水分で木が僅かに膨張し入らなくなってしまったりと
その微調整が中々難しい所でした。

接合部分はボンドを塗り、締め具で圧着させておくのですが、今回の様な形ですと通常通りの締め具の使い方ではしっかりと圧着させる事が困難な為、色々な治具を作る点も大変では有りましたが、良い勉強をさせて頂けたと思います。

脚部の接着作業が終わると残しておいた六角錐です。あらかじめ数パターンの作り方は考えていたのですが、選んだのはやはり1番確実な方法をとりました。六角柱を作り、下から300mm程まではバンドソーで粗取し、自動鉋盤で仕上げ、上の30mm程は横切りで平勾配と隅勾配の治具を使い切って行きました。

作業は順調に進んでいたのですが、あと2カットで完成、というところで気が緩んでいたのか、材料が鋸刃に触れてしまい深い傷を付けてしまいました。
失敗してしまった事を社長に報告をし、その日は夜も遅かったので翌日もう1度作らせてもらう事になりました。翌日は2度目という事もあり作業はもちろんスムーズに進んだのですが、またどこかでミスをしてしまうのではないかと不安に思いつつ無事完成させる事ができたのでした。
六角錐の束はこのダイニングテーブルの印象ですと最初に目に入ってくる事は中々ない部分で、目立ちにくい場所にありますが、他の部分に負けないくらいその存在感は大きく、このテーブルの中心的な存在にも感じられました。そして、おそらく多くの荷重を拾うであろう重要な役割もあります。

製作過程の一部をお話しさせて頂きましたが、終始非常に緊張感のある製作物となりましたが、その緊張感を上回るほどの楽しさを感じられた仕事になりました。
T様から依頼されたダイニングテーブルで得た経験は、今後大きく役に立っていくと思います。ありがとうございました。

セラミックとハードメープルのダイニングテーブル

2024.07.13

Tさんからセラミックカウンターを支給してもらって作る、という少し変わったかたちで取り組んだダイニングテーブル。

模型を見てとても気に入ってくださってTさんのために、このとても複雑な傾斜が絡み合った形を実現させてくれたのはヒロセ君。

今日の納品の時にもこの形にするための一工夫やひと苦労とTさんにうれしそうに説明しておりました。Tさんも目をキラキラさせながら「素晴らしいです。」と、おっしゃってくださって。奥様もキッチンに立つときれいに目に入ってくるクリスタルのようなカットをした天板の荷重を受ける材の表情をとても気に入ってくださってうれしそうに眺めていらっしゃいました。

どこにも見たことない形を生み出すパワーって強烈です。そして強い思いがこうして形になるとそれは美しいのです。

エアコンのルーバー

2024.07.12

Sさんのところにエアコンのルーバーを取り付けてきました。

6月26日に紹介したルーバーですね。

エアコンのメーカーさんから出している正規品でもよいのではないかと思えるのですが、壁を塗るのに使ったペンキで仕上げてほしいというSさんのご相談でしたので、アルダー材とシナ合板を併用して作り、預かったペンキで仕上げてみました。

このあとに以前作ったL型キッチンに食洗機が入るので、その正面パネルを加工して再びお邪魔させて頂く予定。

セラミック天板のダイニングテーブル

2024.07.08

先日、T さんのテーブルが完成し、スタッフみんなで家具チェックをしました。

図面と照らし合わせながら、「よく形にすることができましたね。」とノガミ君がしみじみと話すほど様々な加工が必要な形でした。ヒロセ君、日々意欲的に制作に取り組んでくれてありがとうございました。


みんなでしきりにテーブルの下を覗き込む理由は12枚目の写真をご覧いただけると分かると思います。
中心の八角錐の支柱を見た時には、ターゲットを見つけた時のような高まる気持ちがしました。テーブル下にも特別な空間を感じる形です。
セラミック天板の水面のような艶やかな光沢とハードメープルの
光が当たると現れる艶の様子も美しいです。
納品されてTさんのお宅に佇む姿を拝見する時が楽しみです。

すり鉢を使った跡

2024.07.10

先日、築18年のマンションのキッチンをリノベーションさせていただいたYさんのお宅訪問へ伺わせていただいた時に、ステンレス天板のメンテナンス方法を伝えさせていただきました。

「はじめはきれいだったのに、あっという間に傷がついてしまって。」と皆様おっしゃいますが、

私はその様子を拝見できるのを楽しみにしているのです。

高橋製作所さんから納品されたステンレス天板の養生シールをべりべりはがして現れるバイブレーション仕上げやヘアライン仕上げの表情もとても美しくてすてきなのですが、ステンレス天板を選ばれる人は皆さま「キッチンはガシガシ使いたいので。」と言う方が多いので、傷がつくのを気にしていたら使いづらいですから仕方がないですよね。

写真は我が家のキッチンのステンレス天板なのですが、少し暗い三日月形の模様が付いているのがわかりますでしょうか。これは小さいすり鉢を片手で抑えながら使った時にできた傷なのです。

滑り止めにもなるし、傷防止にもなるので、すり鉢の下に何か布を敷いてからすればよかったのですが、ついついやってしまうのです…。

その跡が、Yさんのキッチンのステンレス天板にもありました。

Yさん「あ、ここになにかの跡がある。なんの跡だろう…。」

私「うちにも似た跡が付いているのですが、すり鉢使われたりしませんか?」

Yさん「そうです!使ってます。きっとそうだ。その場所で使ってますから。」

私「そうですか。ついやってしまいますよね。」と、ハハハハっと笑顔になった出来事でした。

(ちなみに、天板の角にある傷は、包丁をシャープナーで研いだ時に刃を当ててしまった傷です。笑)

私は、家具やキッチンが作れませんし、ダイスケさんが代表になってから経理・総務としてフリーハンドイマイで働いてはいますが、特別皆様に伝えられることがない、と思っていました。

キッチンや家具の知識は学べば手に入ります。家具やキッチンをお客様に勧めているのに「使ったことはないので実際はわからないのですが、こういう話を聞きますよ。」という風にしか伝えられないことがどこか無責任に感じて、違和感を感じていました。

5年前に自宅を建てて、自分たちで作ったキッチンを使ってみて実際どうなのか、こういう場合どうするのか、を日々感じて暮らしています。

お客様のお宅訪問に同行させてもらえる時は、工房で出来上がり過程を見ていたので、そのキッチンが活躍している姿を見られる喜びもあるのですが、「オーダーキッチンを日々使っている人」という共通点がある立場でお話しできることがうれしいです。

これからも日々気づいたところをお伝えしていけたらいいなと思っております。

S字フックあれこれ

2024.07.02

我が家の玄関に置いてあるコート掛けの白いフレーム。

コロナ禍に部屋までリュックや上着を持ち帰れないからと購入したもので、その後もそのままここで使っているのですが、リュック、カバン、ダイスケさんの自転車用のヘルメットをぶら下げるためにS字フックを使っています。

ここに置くなら、と白いフレームにしましたが、ステンレスと真鍮のS字フックを使っていると、フレームの天面が黒くなってくるのです。拭いても落ちないので汚れというより傷なのでしょう、磨いて塗り直せばきれいになるかもしれません。

先日、日用美さんへ行った時に、編まれたS字フックに出会いました。

なんてかわいい。「ホウキモロコシのフック 大」という名前で販売されていて、真鍮にホウキモロコシが編まれているものでした。

最初から全部これを使っていたら白いままだったかもと思えましたが、当時出会えなかったのですから仕方がないですよね。わざわざ竹でS字フックを編んだ人も同じ経験をして、必要があった編んだのでしょうか。

それぞれの素材は好きなので、その違いを楽しみながら使っていきたいと思います。

チェリーのペニンシュラキッチンと食器棚

2024.06.29

ちょうど1年前にこのキッチンを設置して、お引渡から11か月が経ったこの時期までなかなかタイミングが合わなかったのですが、ようやくTさんにお会いすることができました。ブラックチェリーは日差しを受けてすでに深みのある色に変化していて、食器棚と共にとても良い表情になっておりました。

葉山の設計事務所テントラインさんの水口さんからお声掛け頂いて実現したこの形。この町に住もうと決めるまでにいろいろとマンションのショールームを回られたのだそうですが、自分好みのキッチンに出会うことができなかったのだそうです。ゆったりした時間の流れるこの土地に巡り合った時に近くでよい形を作っているところ、クライアントの気持ちをうまく汲み取ってくれるところ、ということで私たちにたどり着いてくださったとのことで、おお、それはとてもうれしいことです。ありがとうございます。

帰りに小道を抜けて、町役場の駐車場に戻った後にちょっと海を見てみようと、再び小道を抜けていくと西湘バイパスの向こうになだらかな水平線が眺められました。

Tさんがおっしゃっていました。「町のそこかしこで自分のペースで仕事をされている人たちが多くて、気持ちがゆったりした心地良い町です。」と。

うん、そういう空気が流れていました。

古窯レンガ草目地のアプローチ

2024.06.28

玄関の門扉から道路までの2×20mの竿地をコンクリート地面から草目地の古窯レンガ敷きに変える工事を「景色工房サフラン」さんにしていただいてから約2か月が経ちました。

雨の日以外毎日水やりをして、芝生は写真のように生えてきています。所々密集して生えている姿がすみっコぐらしのざっそうちゃんを思い出してかわいいですね。

朝水やりをすると、ダンゴムシ・ミミズ・ナメクジ・カナヘビなどの小さい生き物たちが「キャー。」と逃げるように出てくるのですが、「あ、ごめんね。」と言いながらしている時間が楽しいです。

一緒に種まきしたダイカンドラちゃんは相変わらず姿を見せてくれていません。うちの場所には合っていなかったのですかね。

古窯レンガ敷きのアプローチは、この見た目が好きで決めました。ですので、歩きやすいかどうかで言うと歩きづらいと思います。ボコボコ段差もありますし、隙間もありますので。ダイスケさんの細いタイヤの自転車だとスピードによってははまる時があるそうで、浅いので動かなくなるほどではないそうですが、「おっと。」とはなるそうです。

昔のTV番組の「風雲たけし城」の竜神池を思い出します。草目地がまだ安定していないので、踏んだレンガによっては動くのでぐらつきます、「おっ。」となって。

雨が降って表面が濡れていると、つるっとした表面の煉瓦も所々にあるので、滑ります。「あっ。」となって。どの煉瓦がどうだったか覚えられないので毎回ちょっとドキドキします。(笑)面白いですよ。

ハルは「お家に向かう時、一番右の列の手前から4つ目くらいの黒っぽい石がぐらついてるよ。」と言っていました。覚えているところが素晴らしい。

こういう感触もまた月日と共に変わっていくものなのでしょうか。

興味のある人は、お家の見学に来た時に合わせて見て感じていただけたらと思います。

エアコンを隠すのです

2024.06.26

チェリーのL型キッチンから始まり、サクラのベッドフレーム、そして前回のクルミの階段下収納と定期的にいろいろな形を作らせて頂いているSさん。

前回の階段下収納をお持ちした時にお話を頂いていたエアコンを隠すための部材ができあがりました。

家を新築した時に使ったペンキで塗ってもらえますか、ということでオフホワイト(なのかな)のペンキで仕上げています。

ペンキってなかなか難しくて、乾燥が早いから刷毛のスジが残るのです。そういう細かい作業を指導してくれたのは弟のユウです。彼が自分で外壁塗装の仕事を始めてもう何十年も経つので、過去にも何度かペンキで仕上げる時には、「うん、こうするといいよ。」と刷毛とローラーの使い分け方やローラーの毛の長さなど教わってきたのです。でも、格子のような細かい部分の塗装はなかなか大変で、変に毛先がほかにいたずらしてしまったりして、玄翁で毛先をつぶして平たくしたりと工夫しながら仕上げてみました。

ペンキで仕上げた時の木の肌がほんのり残る様子が私は好きで、均質に仕上がった吹き付け塗装はモダンできれいですが、こういう味わいのある仕上がりが住宅の表情のひとつになるのだなあ、とあらためて思うのです。

脚部

2024.06.26

実際の形にしていくのはたいへんなのです。

ヒロセ君が頭をひねりながら組み上げていっているTさんのテーブルの脚は仮組みまで進みました。組むための治具を作るところから、それぞれが傾斜しているところにさらに傾斜した材を当てていくので、作りながら実測して幕板の寸法を決めていくための馬鹿棒のような部材を用意したりと段取りがとても重要になってきます。

でも、ここまでくると先が見えてきたようで、ヒロセ君の表情も和らぎました。

ノガミ君が次に取り掛かるNさんのL型キッチンが始まるので、ここでひと呼吸おいてそちらのサポートに動こうかどうしようかと、今朝みんなが相談しておりました。なかなか慌ただしいのです。

L型キッチンが続きます

2024.06.25

昨日、Kさんからうれしいメールを頂いたのです。

「ずっと想像していた憧れのキッチンとカップボードに、冗談みたいですが、、夢が叶った!と本当に思いました。作成していただき、本当にありがとうございます。

今回のリノベーション工事をするにあたり、いろいろなメーカーやオーダーキッチン屋さんに足を運びましたが、なんだかしっくりこないなぁと思っていた所、イマイさんと出会い、こんなにも理想を超えるキッチンとカップボードをいちから作成してくださったことが、今とてもうれしい気持ちでいっぱいです!

そしてイマイさんとイマイさんの工場の方達がお忙しい中、納期も間に合わせて作っていただいた事にも感謝します。

(実は明日、私たちの結婚記念日でして、イマイさんにお祝いをしていただいた気分です!)」

おぉ、それは素晴らしいことです。そして、明日がお引渡でお引っ越しということで、私自身、まだこの写真の状態までしか見られていないので、どんなふうに空間が仕上がったのか拝見できるのが楽しみなのです。

Kさんの依頼で特徴的だったのはキッチンの形もそうですが、背面の収納の存在感でした。

食器棚となる部分と合わせて、冷蔵庫も隠してしまう、という提案で、さらにはデッドスペースになりがちなコーナーを家具のようなパントリーにしましょう、ということで、コンロスペースの右奥が小さな部屋になっているのが特長。Kさんとお話しながらおもしろいなあ、と感心するばかりで、このようなアイデアはお話のなかで魅力的に生まれてくるのです。

それにしても、最近はL型やコの字型のキッチンの依頼が多いのです。なぜだろう。昨日と今日で設置してきたグレーのHさんのキッチンもL型でしたし、今ワタナベ君が一生懸命取り組んでくれている稲村ケ崎のキッチンはL型プラスカップボードのような形。明日からノガミ君が取り掛かる天板がうまく搬入できるのかどうかハラハラしているNさんのキッチンもL型。そして来月からワタナベ君が取り掛かる予定の天然石の天板がコの字型につながってその形状はとてもとても複雑な形のFさんのキッチンもある意味L型の延長。

L型というと、個人的にデッドスペースができちゃうからどうなのかな、と思うところがあるのですが、これほど皆さんが望むのならきっと選ばれる理由があるのでしょうから、今度お邪魔して聞いてみよう。

ポッサム作戦

2024.06.25

休日にお仕事がある日の夕ご飯は、前日に仕込んで置けるメニューにしています。

夕食時間ギリギリの帰宅になっても、後は切ってよそうだけで楽ですので。

牛丼、カレー、ミートソーススパゲティ、ポッサム、のメニューのどれかになることが多い我が家ですが、今回はポッサムになりました。

韓国料理のポッサム。娘が好きな韓国アイドルの子たちがおいしそうに食べているのを見て知ったお料理で、今ではすっかりレパートリーのひとつになりました。

焼肉をするよりヘルシーでよい気がしますが、豚肉を煮たスープで〆にらーめんを作ってしまうので、ヘルシーがどうかはもうわからないですね。(笑)

一緒に煮たトロトロ玉ねぎも食べちゃいます。

おいしいご飯を作れて食べられる毎日が幸せです。

梅雨や夏の暑さに負けないようにしっかり食べて元気に過ごせるようにしていきたいと思います。

コットのような

2024.06.22

タケイシさんにはコットと言うか寝椅子というような形を作ってもらっています。

座面はペーパーコードで、編み方はYチェアのような封筒編みで仕上げる予定です。

「ぜひ、やってみたいです!」と元気よく答えてくれましたが、大変なのだよね、座張りは。しかも長さが1600ミリはあるので取り回すだけでもなかなか体力が居る作業になります。

どのような仕上がりになるか楽しみです。

先日、ヒロセが織りものをやっているという友人のことを話してくれた。その話を聞いて、すてきな話が思い浮かんだのだ。物作りって大変だけれど、でき上った時の喜びはやはり大きい。山登りのような感じかな。そういう体験ができるような機会をやはりこの先も作っていきたいと思うのです。

簡単に手に入るように思えるものでも、そこには思いがけない時間がや思いが込められているのですから。

変わったかたち

2024.06.22

ヒロセ君が作るのは、メープルの「くの字」の脚の大きなダイニングテーブル。長さ2400ミリあるセラミックの天板の少し変わったかたちになります。今はここを出て自分なりの家具の道を進んでいるカナイ君が過去に作ってくれた木製くの字をベースにしなやかな形を目指しています。

ワタナベ君は今回葉山さんからお声掛け頂いて、稲村ケ崎の住宅に何台か家具やキッチンを作らせて頂けるのですが、その中で一番納まりが複雑なコの字のキッチンを手掛けています。設計士さんの図面を私なりに解釈し直して、制作できる形にまとめたのですが、それでも作りながらではないと見えない部分があって、なかなか大変なところです。モールテックスとウレタン塗りつぶしと漆喰が混ざり合った形になるのですが、もう少しでそのイメージが見えてくるかなあ。

見学

2024.06.20

最近は少し変わった形ばかり作らせて頂く機会が増えています。

先日、原木さんの塗装から上がってきたこのL型キッチンもその一つ。ノガミ君の作業着が青っぽく見えるので、キッチンもブルーグレイに映りますが、実際は黒に近いグレーで仕上がっています。

今回、うさぎパンさんからのご縁で、お料理教室の開かれているHさんのキッチンをこうして作らせて頂けることになりました。

このキッチンが加賀妻さんの柔らかい空間の中に置かれるのです。

プロの目から見てどう映るのかドキドキしておりましたが、本日組み上げた様子を見ていってくださってとても喜んで頂けてひと安心。塗装の色も事前に決めていたのだけれど、こうして大きくなると印象は変わって映るものですから。あとは入荷待ちになっているシーザーストーンの天板が入ってくれば完成。その天板の到着を待たずにいよいよ来週設置工事に入ります。

夏支度

2024.06.20

先日お休みの日に夏支度をしました。

ラグの下に敷いていたホットカーペットをしまって、扇風機を出して、

ソファの背もたれのクッションを外して、寝具を冬モードから夏モードへ交換しました。

エアコンのお掃除はゴールデンウィークにしておいたので大丈夫です。

これだけのことなのにすっきりした気がします。

この時期、室内の写真を撮っていると家の中の色味が緑がかっていて、植栽の色が入り込んでいるからなのかと気づきます。普段肉眼では感じませんが、内と外で分かれた場所には居ますがつながりが感じられてうれしいですね。

カビのお話

2024.06.18

ドキッとする題名ですよね。でも木のキッチンや家具を作り、使う人たちにとって大切なお話だと思います。

同じ樹種で、同じオイル塗装仕上げで、ほぼ同じ形でも、それを取り付けるお家の環境は異なります。

「扉が反ってしまいました。」「タオルをかけていた扉が少し黒ずんで見えるのです。」

家具やキッチンに現れる症状も、使う人やお家それぞれです。

「濡れたままにせず、風通しを良くして乾いた状態を保つように心がける。」

ダイスケさんがエッセイを更新してくれました。

梅雨入りのこの時期、特に気をつけるポイントを実際にいただいた事例と合わせて書いてあります。

ぜひ読んでみてください。