緑かかる

2025.06.29

さいたまのFさんのところにご挨拶に伺ってきました。

設置工事後にFさんご自身でオイル塗装をされてその完成した様子の写真が届いた時にとてもきれいに仕上がっているのが分かりまして、その仕上がりの様子の確認とそのほかのお手入れ方法についてお知らせにアキコと出かけたのでした。

つい先週夏至を迎えたばかりで、日が燦燦と降り注ぐ土曜の昼でした。

打ち合わせの時に実っていた真っ黄色なレモンはどこかに行ってしまって、かわりに青々とした葡萄が軒先で迎えてくれました。

「こんにちは。」

さっそくキッチンに伺うと、外の熱気はどこかに消えていき、「北側なので、直接日が入りこんでくるわけでもないのです。」とおっしゃられたようにトーンの落ちた明るさが迎えてくれました。

暗くはないのに、どこか緑かかった明るさがキッチンのそこかしこを包んでいるのは、どうやらFさんがこまめに手を入れている庭木たちの色だったのでした。

ふーん、心地よい。

まだ納品間もないチェリーの色がここまで色深く見えたのはきっとまわりの緑がそうさせてくれるのでしょう。

それでも、元々あった吊戸棚とそこにあった下がり壁が取り払われたためにこのあたりが以前よりも明るく心地良い空気が流れ込んできていて、トーンの落とされた明るさがじんわりとそこにあるのでした。

「おかげさまで、毎日帰ってきてこうしてキッチンが目に映り込んでくることがとてもうれしくて。」とうれしそうにお話をしてくださいました。

パッと写真を見るだけでは、今まで作らせて頂いた皆さんのキッチンと大きな差はないように思えますが、こうしてこの形になるまでにFさんが悩んだ思いはそこかしこに在って、そのためにどこに触れても、どこを眺めても愛おしく感じるのでしょう。

ありがとうございました、Fさん。