オーダー製作例

ウォールナットとステンレスのL型キッチン

できあがるまで

川口 S様

design:Sさん
planning:daisuke imai
producer:masakane murakami
painting:Sさん

ウォールナットとステンレスのL型キッチン
ダイニングからキッチンを眺めます。リビング面を収納する時にいつも迷うのが、こちら側の表情。今回は、ダイニングテーブルがそばに置かれるということもあって、幅の狭い扉と左端に引き出し、と言うレイアウト。

「最初は、キッチンをオーダーするなんて考えていなかったのですよ。」とSさん。
「でもいろいろと探していても、自分の使い方や好みにあったキッチンってなかなか見つからなくて。システムキッチンも機能はたくさんついているけれど、自分の使いたい部分だけがあれば良いの。あとはできるだけすっきりしていたいのです。それで、オーダーキッチンと言うのも一つの方法なのかもと思ったのです。」
「でも、この家を建てるって決まった時に、工務店さんにオーダーキッチンにしたいのですって相談したのですが、やはり今までに実例がないからなかなか良い返事を頂けなくて。それからもういろいろと探しましたよ。(笑)でも、私自身、オーダーキッチンってうまくできるものなのかどうか不安だったのですが、イマイさんのキッチンを見て、ああいいなって思えて・・。」

ウォールナットとステンレスのL型キッチン
キッチン内部の様子。ステンレスカウンターはヘアライン仕上げなので、Lの角になる部分はラインが交わり合うように、斜めのラインが浮かび上がってきます。

「そうやってずっと黙って探していたから、きっと工務店さんはシステムキッチンに落ち着いたのだろう、って思っていたようで。(笑)私が時々、やっぱりオーダーがいいなって打ち合わせの時にお話してもあまり取り合ってもらえないようだったから、その時に言ったのです。もうオーダーキッチンを入れるって決めましたって。どこに頼むかも決めましたって。」
「そうしたら、工務店さんは、えっ本当ですかってちょっと驚いていましたけれど、こうしてきちんと施工してもらえたし、良かったです。何よりも工務店さんもオーダーキッチンを入れるなんて初めてだったから、スタッフの皆さんのほうが賑わっちゃって、完成見学会の時なんて、とても騒がしかったですよ。(笑)」
「みんなで、「このステンレスはいいねえ、やっぱりオーダーだよねえ。」なんて言っていました。(笑)」
そう嬉しそうにSさんはお話してくださったのでした。

ウォールナットとステンレスのL型キッチン
水栓はTOTOのタッチスイッチ水栓。手が汚れた状態でも、押すだけで吐水するので、水栓の首元に水が溜まりにくかったりします。

Sさんのキッチンの元になったのは、辻堂のSさんのキッチン。
「Sさんは、しばらくしたらここでお料理教室は始める予定でこのキッチンを考えていらっしゃって、生徒さんを含めて4人くらいでカウンターの上で作業ができるように、ということで、L型のキッチンで、さらにシンクの隣を広い作業台にしているのですよ。」
「なるほど、そうなのですね。私は特にお料理教室を開いたりするつもりはないのですが、あのL型の広々とした感じが良いなあって、思って・・。私には広すぎるかしら・・。」
と、どこか照れくさそうに笑います。
「妻は、この場所は私の好きなようにさせてね、ってずぅっと考えているんですよ。」とにこやかにご主人。
いいねえ、大好きな場所が家の中にあるって良いことです。

ウォールナットとステンレスのL型キッチン
シンク下はゴミ箱を置いておくスペース。

ただ、L型のキッチンってなかなかデメリットが多かったりするんです。
どうしても角にデッドスペースができてしまったりするのです。
特にシステムキッチンだと収納面と背面はしっかり使い勝手が分かれてしまっているので、角の部分は、クルクル回る棚や不思議な開き方をする引き出しだったりと、ちょっと機械仕掛けな構造が多くなって、どうにも家具らしさがなくなってしまうように見えるのです。

ウォールナットとステンレスのL型キッチン
食器洗浄機は、ミーレの60cmタイプ。

辻堂のSさんにしても、今回のSさんのキッチンにしても、L型がどういうふうにレイアウトされるかが最初から分かっていれば、角の部分も使いやすくできるのです。
通常はキッチン側から開け閉めするような収納にしておいて、角の部分はキッチン側からは開かないようにして、反対にリビング側から開くようにするのです。家具の背中の板に当たる部分はバッと開くんですね。しかもこの部分を引き出しにすることで、深い奥行でも使いやすい収納にすることができます。さらに、その引き出しにはある細工がしてあって、それはここではご説明できず、(もったいぶってすみません。)使っているご本人にしか分からないのですが、とても面白い仕掛けがしてあるのです。

ウォールナットとステンレスのL型キッチン
IHヒーターの下は、スライドワイヤーシェルフを2段つけています。 一番下は根菜を入れたカゴごと収納。

これはL型のキッチンや家具を作ろうと思っている皆さんにお伝えしているアイデアです。もし、興味がありましたら、ご相談くださいね。
そして、その深い引き出しと並んでリビング側にもカップボードのような奥行の浅い収納を持ってくることで、キッチンの天板に広い作業面ができるのです。
たとえお料理教室を開くことはなくても、自然とここにお子さんやご主人が寄り添うように集まってくる。そういう良い空気の場所になるのです。
こうして、いろいろなことを考えながらできあがったキッチン。Sさんの今まで温めてきた思いが詰まって形になりました。

ウォールナットとステンレスのL型キッチン
引き出しの様子、その1。

そして、その仕上げは塗装です。
もともと、塗装を自分たちで行う、と言うのはコストダウンを考えて始める方が多いのです。
でも、オイル塗装の家具って、木の表情や質感を楽しんで使っていくことができる塗装ですが、定期的に塗ってあげないと、その良さが続いて行かない塗装でもあります。何でもそうですが、手間を掛ければかけるほど、その人やそのものたちは輝くのです。一生使い続けることができるものでも、使い続けるお世話や努力をしなければ、どんなものでもずっと使い続けることはできないのです。
「これは良い素材だから、ずっと使えるよ。」「これは高等な技術だから、ずっとこの状態で使えるよ。」そういうふうにできあがっているものでも、使い続けるのだという気持ちがあってはじめて、その相手に愛情が生まれてずっと寄り添っていくことができるのです。

ウォールナットとステンレスのL型キッチン
引き出しの様子、その2。
ガサガサしてきたら、肌にローションを塗るように、木にもオイルを擦り込んであげる、動きが悪くなってきたら、油を差してあげたり、木の様子を私たちに見てもらったりする。そうすることで、その家具やキッチン、そのほかいろいろなものはずっと使い続けることができるのです。
決してコストダウンだけではなく、そのような気持ちを持って臨んで頂くと、皆さんとても楽しそうに塗装をしてくださいます。
そして、思っているよりも大変じゃないねってみんな言うのです。
今の時代は、物事が始まりから終わりまでをきちんと理解できることが少なくなっていて、終わりにできあがったものをとても便利だからということでそのまま使っていることが多いのです。キッチンだって本当はこうすれば、こういう形になるし、こうすればあんな形もできる、塗装も本当はこんなに単純な作業なんだって、それが分かると、今まで遠目から見ていた世界に自分から歩いていきたくなる。
家具との付き合いはそうであってほしいなって思うのです。
Sさんからお便りを頂いた時に、あらためてそう思えたのでした。

ウォールナットとステンレスのL型キッチン
引き出しの様子、その3。

「使い始めて1週間ですが、キッチンの使い心地は良好です。そして今までにないくらい、居心地がいいキッチンです。従来のシステムキッチンにはない木の素材と頑丈なステンレスに囲まれてることだけでなく、つくりりあげる過程に関わることができたおかげで、設置したときの達成感と使ってみての満足感は、オーダーしなければ味わうことなかったはず。思いきってイマイさんにお願いしてよかったです。」

ウォールナットとステンレスのL型キッチン
こちらのダイニング側の収納は、食器棚の代わりに。
ウォールナットとステンレスのL型キッチン
扉は押すと、ゆっくりと手前に手前に開いてくるプッシュオープンタイプの扉です。 今回は、それが扉に見えないでパネルに見えるように、扉と扉の間の隙間を均等に取っています。 そしてその隙間越しに中が見えないように、扉の先端に段をつけているのです。(分かりづらい説明ですみません。)
ウォールナットとステンレスのL型キッチン
だから、閉めるとこのような感じ。 パネルが連続しているように見えるのです。
キッチン仕上
天板 ステンレスヘアライン
扉・前板 ブラックウォールナット板目突板練り付け
本体外側 ブラックウォールナット板目突板練り付け
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 ワトコオイル塗装「ナチュラル」(Sさんが施工)
キッチン
価格:980,000(製作費、塗装はお客様施工、設備機器は別途)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から取付施工費は90,000円から
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