オーダー製作例

梁型に合わせて変形させた、チェリーのオーダー書棚

gridding

目黒 H様

design:Hさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:yuubokukousha
painting:masakane murakami

目黒のマンションに入居されると言うHさんからメールを頂いたのです。
「6月末に新築マンションに引っ越しの予定です。
7畳くらいの部屋を夫婦の書斎(仕事部屋)にしたいのですが、壁の一面を作り付けの本棚にしたいと思っています。
マンション業者さんに、造作家具の設計・見積もりをいただいたのですが、質感・予算が私たちの想定と合わなかったため、ご相談申し上げたく、ウェブサイトを見てご連絡させていただきました。
デスクは、将来的には、チーク材のアンティークのものなどを置きたいと思っているので、使い込むと味わいが出るような、落ち着いた本棚を希望しています。なお、マンション業者さんが作成された図面があるので、修正いただきたい部分はあるので、別途ご参考までにお送りしたいと思っています。
5月下旬にマンションの内覧会があり、6月末に引き渡し予定ですが、どのくらいの期間が必要かも教えていただけますと幸いです。」

梁型に合わせて変形させた、チェリーのオーダー書棚
本棚全体の印象。規則正しくマス目が並ぶ、と言う印象にしたかったので、あえて扉との割り付けを変えたのです。おかげでとても静かな印象になりました。また、壁についていたコンセントを本棚の巾木部分に増設。のちほどこのあたりに机を置くので、机の上で使うパソコンなどの電源をここから取るのです。

そこで、まずはお返事。
「はじめまして、お問い合わせありがとうございます。
フリーハンドイマイの今井大輔と申します。
書斎に作る本棚を変更されているとのことでありがとうございます。参考図面が届くのをお待ちしております。
また、図面のほかに希望される木の種類や色など細かいご要望がございましたら、書き加えてお送り頂けますと幸いです。
その内容をもとにこちらで図面を作成し直して御見積を出してみたいと思います。
また、もしこちらまで来られるような機会がございましたら、ぜひお立ち寄り頂ければうれしいです。
ショールーム(小さいですが・・)に無垢材を使ったキッチンやテーブル、椅子などを実際に触れるように展示しておりますので、実物を見ながら打合せすることができます。
また、その場合は、事前にご連絡頂けますとうれしいです。
(会社には誰かしら居りますが、私は打ち合わせや取付で、不在にすることもありますので。)
また、新築のマンションで家具を納品させて頂く場合ですが、まず、内覧会の頃までに作りたい家具のプランをおおよそ決めておきまして、内覧会に出席させて頂き、その時に設置場所の寸法を測らせて頂きます。
それから、その寸法に合わせて図面を修正して、製作に取り掛かります。
製作期間は家具のボリュームによりますが、1か月ほど掛かると考えております(繁忙期と重なってしまう場合はもう少しお時間を頂くことがあります。)ので、マンションのお引き渡し後すぐに設置工事にお伺いすることが難しい場合もありますのでご了承ください。
また、お引き渡し直後の工事は、入居される方の引っ越しと重なって、搬入が大混雑するため、通常の取付工事の時間よりも多く時間が掛かってしまうことがあり、 その分、取付施工費が割高になってしまうため、もし、入居される方々のお引越しの時期とずらすことができたり、廣田様がお引越しされてからの設置でも可能なようでしたら、そのほうが良いと考えておりますので、そのあたりについてもご検討頂ければと思います。
それでは、ご検討下さいますようよろしくお願い致します。」

梁型に合わせて変形させた、チェリーのオーダー書棚
実際に本が入っている様子。仕事に使う本ということで、いろんなサイズがあります。いろんな人の思いを正しく伝える、と言うお仕事をしているので、本の種類やサイズは多種多様です。本棚はマス目がきちんと並ぶ形にしておいて良かったです。

その返事を聞いて、さっそくHさんがこちらに来て下さることになりました。
マンションのコーディネーターさんがご用意くださった図面は、とても良くできていて、スライド書棚があったり、パソコンの周辺機器がうまく置けるスペースがあったり、使い勝手は良さそうでした。
ただ、Hさんのおっしゃるように機能的すぎて、このプランなら少し扉で隠したいような気がしまして、さらにはこのプランで化粧板で作ってしまうとより無機質な印象になってしまうイメージがしたのです。
そして、その図面をもとにHさんの好きな木やインテリアについてお聞きしていきます。
家具を作ることは誰にでもできます。と言うと大げさで偉そうに聞こえるかもしれませんが、家具作りは経験です。経験を積めば、誰でもきちんとした家具を作ることはできるのです。私も父からそう教わってきましたし、新たに私たちにのものに来るスタッフにもそう伝えています。
そこから先が見えることができるか、それが大切なんだと思います。
そこから先のことなんて、使う人が考えればよい、そういう意見もあるかもしれませんが、オーダー家具って、普通の家具よりも中身が見えにくいものです。だから、それをどう使うかは実際に家具ができてみないと使う人には分からない。私たちがこのタイミングでできることは、使う人にその家具がどんな形でこの部屋にはどういうふうに納まってどういう影響があって、どうその人の暮らしを支えていくのか、それを伝えることが大切なのだと思います。
だから、とても機能的で良いという方には、その本棚のプランは最適だと思いますが、Hさんのようにもう少しゆったりと家具と付き合いたい、とお考えの場合は、昨日的だとかえって窮屈に見えてしまうこともあるのです。

梁型に合わせて変形させた、チェリーのオーダー書棚
本棚は、3列で一つの大きなユニットにしています。ちょっと搬入が心配だったのですが、どうにか無事お部屋まで運び入れることができました。それぞれのユニットがつながる部分はこのように板が2枚重なって見えます。ただ板を重ねるだけでも良いのですが、ちょっと印象よく飾りをつけているのです。近くで見ると分かるのですが・・。

そこで、いろいろとお話しを重ねていきます。
スライド書棚が本当に必要かどうか、プリンタ用のスライドテーブルをここに設けることは適当かどうか・・。スライド書棚は、手前と奥とで2列、3列にとに本をしまえるなどでとても使い勝手は良いのですが、Hさんとお話しをしていると、そこまで機械的な要素を盛り込むことはそれほど大切ではないように思えてきたのです。また、プリンタは最近はほとんどの機種が複合機になっていて、それなりの大きさがあります。それをここにしまうには、本棚の奥行を増やさなければいけない、全体を増やすと部屋が狭くなるから、この部分だけでも奥行を増やして、使う時だけは引っ張り出せるような機能にしないといけない。Hさんにとって果たしてそこまで必要などうか・・。
プリンタも最近は無線式のものが増えてきたので、この場所じゃなければ置けない、と言うことはなくなってきました。もちろん仕事部屋として使うから、プリンタの位置は使いやすい位置に決まっていたほうが良いのでしょうけれど、この本棚の中にしまうことが適当かどうか、Hさんも私もだんだんと曖昧になってきました。

梁型に合わせて変形させた、チェリーのオーダー書棚
高さも5cm間隔で変えられるのですが、今のところは、収納量重視というよりも本棚としてきれいに見えるように棚の位置を揃えて使っていらっしゃいました。

さらには本棚のレイアウトもいろいろと考えました。
この仕事部屋には、大きな梁が通っているのです。微妙に中心からずれた位置に。
「大きな梁があるからこの本棚はちょっと見た目がアンバランスになってしまいそう・・。梁をうまく取り込んだ上で本棚をきれいに見せたいなあ。」
いろいろ考えましたがいまいちパッと閃かないのでしたが、なんとなく見えてきたのが、Hさんがちょっと前にこう言っていたのを思い出したからでした。
「目線よりも上の収納スペースは、地震などで物が落ちてくると危ないから扉をつけたいな。」
なるほど、扉か・・。扉があったほうが安全だものね・・。
扉、トビラ・・、それなら梁の高さあたりで、扉がある部分と扉のない部分をうまく分けてみよう、と思ったのです。
さいわい、梁の左側と右側で扉の幅を割り付けてみたら、左右でそれほど違和感が出ないで、7等分のように見えることが分かったのです。
よしよし。
それで、梁より下をどうしようか・・。
当初は、梁より下のオープンの本棚部分は、扉と割り付けを合わせて、縦のラインが揃うようにしよう、と思っていたのですが、そうすると梁の直下の部分がどうして見た目がよろしくない・・。
それなら思い切って、ということで、扉の割り付けは無視して、オープンの本棚部分は、端から端まで測って、それを9等分にしたのです。
それで最終的には、部屋の中央にとおっている梁ではなく、お部屋左端のカーテンボックスの高さに合わせて扉の高さを決めて、その下をオープンにすることでとてもすっきりとした印象に。
うん、これでとてもきれいにまとまりました。
このあと、ちょうど梁の下あたりにHさんが気に入って購入された机がやってきます。そのアンティークの机の印象に合わせて、今回この本棚の素材をチェリーにしたのです。どんなふうに整うかが楽しみです。

「イマイさん、先日は取付ご苦労様でした。
あの時は取付に立ち会えませんでしたが、あのあと、私も夫も本棚を見た瞬間、これは大成功!と思い、すでに梱包を解いて本をいっぱいにして(前後に二重に入れているところもあります・・・)満喫させていただいています。
机との相性もよく、家具を納品した家具屋さんが早速Facebookにアップしてくださっています。美しい棚を丁寧に作っていただき、とても感謝しております。
本当にありがとうございました。」

チェリーの本棚
価格:660,000(製作費,塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は12,000円から取付施工費は27,000円から
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