メリークリスマス

「ウォールナットの格子扉のテレビボードのオーダー」

世田谷 A様

design:Aさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:yasukazu kanai
painting:yasukazu kanai

ウォールナットの格子のテレビボード

今回は、手掛けではなく、押すと開くプッシュ式の扉です。何で最初から手掛けにしないで、わざわざ、ポンッと押すプッシュ式にしたのかと言いますと、扉を閉めた時に、太目のルーバーの幅と天板の厚みが揃うように見せたかったからなのです。だから、プッシュ式にして扉を閉めるとルーバーが連続しているような印象にしたのです。 また、今回はルーバー扉を贅沢な木取りにしています。木目がつながって見えるように木取りをしたのです。こう言うふうに木を取っていくと、使える材がいつもよりも少なくなってしまうのですが、余った材は他の部分に活用することにして、ルーバーの木目だけはその家具の顔になるから揃えましょう、と言うことになったのでした。

「フリーハンドイマイ様
初めてご連絡します。自宅のテレビ台を考えております。
昨年の12月に新築に入居しましたが、その前後からずっと探し続けているのですが、なかなか既製品では気に入った物が見つからず、この度オーダー家具を考え始め、貴社のHPにたどり着きました。
オーダーは初めてなので、この大きさでこの予算で条件に合うようにできるかどうかはわかりませんが、製作例を拝見してどれも長く使える素敵な物ばかり。とりあへず、ご連絡してみることにしました。
1.全面太めルーバー扉にしたいです。
2.床やオープンになっているキッチンの色が赤っぽいブラウンなので、それに合わせたいと思っています。チークや着色などかなと漠然と思っています。
3.無垢材が本命ですが、何ぶん幅が大きいので、予算の関係や使い勝手など、場合によっては突き板も考えています。
4.できれば床から少し浮いた感じにしたいのですが、収納量やテレビの高さなどを考えるとどうなのか、その辺りはご相談したいです。
5.納期は1ヶ月を選択していますが、2ヶ月ぐらいでも。
イメージのスケッチを、明日お送りします。
どうぞよろしくお願い致します。」
と、Aさんからご相談を受けたのです。まずは全面をルーバー扉のみのシンプルな構造にして考えてみました。

ウォールナットの格子のテレビボード

Aさんのイメージどおりに宙に浮いているように見せる構造にしています。実際は浮いていませんが・・。この大きさの家具を浮かせて壁に吊るような構造にしてしまうと、使っていてまもなく歪みが出てしまうので、あくまでも浮いて見えるような構造にしているのです。

ただ、太いルーバー扉にしたい、と言うのがなかなか私のイメージにありませんでしたので、はたしてどんな感じになるのか、図面にしたところで印象が浮かばない、ちょっと模索しながらのプランでした。
でも、Aさんも私のこの稚拙な図面からある程度のイメージは汲み取って頂けたようで、まずはお伺いしてお話しすることになりました。

ウォールナットの格子のテレビボード

そのプッシュ式の扉は、開いた時にゆっくり開くようなステーをつけているので、ポンッと開いても、バタンと不意に全開することはありません。ただ、ステーのバネの力が掛かってしまって、そのまま扉は自然と開いてはいきませんので、扉の上端には手が掛けられるような工夫がしてあります。

Aさんのお宅は、設計士さんがプランニングされたと言うことで、キッチンも食器棚もきちんと計画された空間になっていました。そのキッチンに使われていたのが、花梨のような色をした赤く着色した扉でした。(樹種は何だったかな・・。)そして、床も赤茶色。なるほど。この色に合わせるとまとまるのですね。
漠然としたイメージでしたが、やはりお話をすることで、ひとつの形にまとまっていき、ほぼ具体的な形が見つかりました。

ウォールナットの格子のテレビボード

中には、AV機器を収納するほかに、たまに使用するプリンタ、お子さんのおもちゃや本などリビングに今まで散らかりがちだったものがこの中に全て入ります。

あとは、せっかく家具を作るわけですので、一度私たちがどんな感じで家具を作っているか見にきて頂くことになりました。
やはり、見に来て頂いて良かったです。実際にいろいろな木があることが分かって頂くと、Aさんは本当に悩み始めてしまいました。私がある程度、この材が良いのではと案内することもできたのですが、やはりそこで暮らすかたが気に入った木を使うことが一番です。いろいろな木の色、強さ、価格、いろいろなことをお伝えして、検討していただくことになりました。

ウォールナットの格子のテレビボード

ルーバー扉の背面には、ホコリが入らないようにアクリルを入れて、ステーも丁番もブラックウォールナットに合わせてブラック食のものを使っています。

ナラやタモと言った良く用いる材からいろいろと巡って、最終的にはご主人が一番気に入ったと言う木目のウォールナットを使うことに決めたのでした。
さあ、これで形や材は全てまとまりました。
あとは、できるだけ年内に完成させることができるように頑張るのみです。
と、言うことで、カナイ君が頑張ってどうにかクリスマスに間に合わせることができたのでした。

ウォールナットの格子のテレビボード

天板は無垢材にするか突き板にするか迷ったのですが、今回はとても長い天板なので、扱いやすい突き板にすることにしました。隅っこには、スピーカーや照明用の配線穴を設けていますが、「今しばらくは使わない予定です。」ということでフタをつけています。

「先日は、お世話になりましてありがとうございました。
クリスマスの日にテレビ台をつけてくださってから、何だかすごいプレゼントをいただいたような気持ちになり、ずっとそわそわしております。
家具の造形の美しさでしょうか、木目の存在感でしょうか。視界に入ると目を奪われます。
昨日早速友人が見に来たのですが、階段を上ってきたら、第一声「すごい!」とのこと。
今迄我が家に来た人は、まず吹き抜けの借景とアイランドキッチンを見ていましたが、おそらくこれから、この長いテレビ台になります。一番の存在感を放っています。
実は一年前に家を建てる際、工務店さんにテレビ台の造作をお願いしていたんです。でも自分達に知識がないため、工務店さんにどう伝えてよいかわからず、材の選び方や仕上がりにも不安があって、やめることにしたのです。
扉の板目を揃えてくださったり(ご無理を言ってすみませんでした。これは、夫婦共に、予想以上の素晴らしさに大大大満足です♪担当してくださったお弟子さんにもよろしくお伝えください)金具の色、見えない裏側の仕上げも最後まできちんと、細部にわたり丁寧に仕上げる職人技があいまって、こんなに整然とした美しい家具になるのでしょうね。
想像以上の満足度です!長く使い続けたいと思います。
本当にありがとうございました。やはり、イマイさんの所にお願いしてよかったです。
では、お忙しい毎日だと思いますが、素敵な家具作り、これからも頑張ってください。」

ウォールナットの格子扉のテレビボード

価格:690,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は20,000円から、取付施工費は32,000円から)

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