ゆるやかに、のびやかに

「ナラ板目無垢材とステンレスバイブレーションのオーダーキッチン」

世田谷 I様

design: daisuke imai
planning: daisuke imai
producer: koubou tan
painting: yasukazu kanai

ステンレスの目隠しが特徴的なペニンシュラキッチン

廊下側からキッチンを望む。


ステンレスの目隠しが特徴的なペニンシュラキッチン

リビング側からキッチンを望む

「初めまして。Iと申します。偶然HPを拝見し、素敵なキッチン達に一目ぼれしてメールさせていただきました。
現在新築2世帯を建設中で、8/29上棟予定、12/20完成予定です。(お願いしたいのは2階の子世帯のみです)
また予算は厳しいのですが、キッチン、バックカウンター、吊戸棚合わせて100万円程度です。下記内容にて取り急ぎお見積りを頂けますと幸いです。
以下現在の希望・詳細等です。
「キッチン」
・I型キッチンで左にシンク、右にガスコンロ
・ステンレスカウンター
・手元を隠したいので立ち上がりをつくる
・カウンターのダイニング側は収納をつくる
(収納は予算的にどうかな?と思うのでご相談させていただきたい所です)
・シンク下、コンロ下はオープンで調味料スペースを設けたい(コンロ下に)
・食洗機を入れる予定

「バックカウンター」
・バックカウンター上に家電を置く予定
・引出収納で、『海の見える丘の家』のガラスの引き戸、に憧れています・・。

以上、思いついたままに書いてしまいました。
キッチンについては最後までなかなかこれだと思える物にであえず、色々と見すぎてしまって予算はないのに夢だけがいっぱい広がっております(笑)
好みはナチュラルすぎるのは少し苦手で、わりと男前なキッチンが好みです。
キッチンのどこかに黒など色をいれてもいいなと思っています。
好き勝手に書いてしまいましたが、お返事お待ちしておりますのでどうぞよろしくお願いいたします。」

ステンレスの目隠しが特徴的なペニンシュラキッチン

シンクの印象。

と言うメールをIさんから頂きました。
さっそく図面を作成する前におおよその概算金額をお知らせします。ここをこういうふうに作ると何センチのスペースが採れて、この部分にはこういう素材を使って、と長々とメールに書いて、それで費用はこのくらいです。とお伝えしたのです。文書だとイメージしにくく、伝わりにくい部分もあると思いますが、その代わりにその長い文章で熱意が伝わるって皆さんによくほめられます。(笑)

ステンレスの目隠しが特徴的なペニンシュラキッチン

シンクの手前には、家電用のコンセントとタオル掛け。タオル掛けをもっと上にしたいです、ってお話を良く頂くのですが、オイル塗装の場合は、あまり湿ったものが触れないほうが良いので、なるべくタオルが直接触れにくいようにと、下寄りにタオル掛けをつけています。

メールを返信するにあたって、分かりにくい文章、難しい用語って自分だったらきっと嫌なので、自分だったらこういうふうに言ってもらえたらいいなっていうニュアンスを心掛けてメールを書いているとあっという間に字だらけの文章になってしまうのです。
でも、そのイメージが文面で分かって頂けたようで、さっそくIさんとご新居を設計する設計士さんと一緒にこちらまで来て頂けることになりました。
うれしいことです。

ステンレスの目隠しが特徴的なペニンシュラキッチン

シンク下の様子。Iさんの場合は、3台のゴミ箱を置いています。通常シンクの幅750mmくらいの大きさでしたら、その下に3台のゴミ箱は置けるスペースが採れます。細かく分別されたい方はこのレイアウトにされることが多いです。奥に見えるピンク色した筒が三菱レイヨンのクリンスイのカートリッジです。

そして、いらしゃいませ。
私よりも少し年上の物静かな設計士さん。中村さんです。どんな魅力的な家を建ててくれるのかな。
今回のキッチンは、中村さんのペースの設計にIさんの仰望を取り混ぜた形でできあがっています。
そのようなわけでちょっと形状が複雑なのです。
さて、お話はまとまりましたがどう実現するかな。

「中村康造建築設計室」
東京都目黒区大岡山1-36-31-211
TEL/FAX: 03-5701-8405
WebSite: http://www7a.biglobe.ne.jp/~zoo/

ステンレスの目隠しが特徴的なペニンシュラキッチン

ガスコンロの納まりの様子。今回はコンロのトップが60cmタイプのものを導入。

ステンレストップが側面にまで回り込んでいたり、キッチンカウンターの奥までステンレスが張り込む必要があったり。
キッチンの上の目隠しになる部分とキッチン自体の奥行を変えていたり。
さらにキッチンが2階になるので、搬入がうまくいくように分割して作らないといけないわけで。
いつもの自分の設計と違うと緊張感があります。
いろんな角度から見つめ直して、大工さんの木工事も大方終わりそうなところを見計らって現場を確認して、製作開始です。

ステンレスの目隠しが特徴的なペニンシュラキッチン

コンロの下は、スライドワイヤーシェルフ。汚れたら取り外して洗うことができるので便利です。

今回難しいのは、先ほどもお伝えしたようにステンレストップのさらに上のカウンターになる天板に貼られている1枚のステンレス板が側面まで折れてつながって見えている部分です。これを張ってしまうと搬入が少し大変になりそうなので、どうしようか悩みどころでしたが、うまく見えない部分でパーツを分けることでどうにか無事に納めることができました。

ステンレスの目隠しが特徴的なペニンシュラキッチン

コンロと壁の間には、いつものように細長い引き出し。上段は調味料を入れる小さな引き出しで、下段は瓶やボトルを入れる深型の引き出し。この部分の引き出しは掃除がしやすいように白い化粧板で作ります。

木工事の半ばではまだ全容が見えていなかったキッチンの天井もきれいに仕上がっていて、バルコニーから入ってくる風がキッチンにゆるやかに延びてくる様子がよく分かります。
とても気持ちの良いスペースになりましたね。

ステンレスの目隠しが特徴的なペニンシュラキッチン

キッチンの一番上のカウンターもキッチンカウンタートップと同じくステンレス。

「こんにちは!
先日やっとキッチンとご対面できました。
想像以上の仕上がりにただただ喜んでおります(笑)
今回新居を建てるにあたって、キッチンは本当にいろいろと探したのです。
オーダーで作れるところってどんなところがあるんだろうって。でも、イマイさんのところに一目ぼれして正解でした!
素敵なキッチンを作って頂いてありがとうございます!」

Iさん、ありがとうございます。

オークのキッチン背面収納

こちらはバックカウンター。家電を置くスライドテーブルの下は、多目的なスペース。キャスター付きの台車を置いて、そこに根菜などがしまえるようにと思っておりますが、今のところは直置きです。


オークのキッチン背面収納

バックカウンターの天板は、ナラの無垢を使った接ぎ板です。


オークのキッチン背面収納

トースターとレンジはカウンターの上に置いて使います。


オークのキッチン背面収納

引き出しの様子、その1。


オークのキッチン背面収納

引き出しの様子、その2。


オークのキッチン背面収納

吊戸棚の下はオープン棚。


ペニンシュラキッチンの飾り棚部分

キッチンのリビング側の印象。


ナラのリビング側収納部の手掛けの様子

扉の手掛けの様子。

キッチン仕上
天板 ステンレスバイブレーション/ナラ板目無垢材
扉・前板 ナラ板目突板練り付け
本体外側 ナラ板目突板練り付け
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」/シナ合板
塗装 ワトコオイル塗装「ナチュラル」
食器棚仕上
天板 ナラ板目無垢材
扉・前板 ナラ板目突板練り付け
本体外側 ナラ板目突板練り付け
本体内側 シナ合板
塗装 ワトコオイル塗装「ナチュラル」

ステンレスのナラのペニンシュラキッチン

価格:920,000円(制作費・塗装費、設備機器は別途)

ナラの吊戸棚とバックカウンター

価格:660,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は40,000円から、取付施工費は150,000円から)

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