机がやってきた!

「デスクのオーダー」

代々木 N様

design:Nさん
planning:daisuke imai
producer:tatsuya suzuki
painting:daisuke imai

壁一面に作り付けた本棚とデスク

正方形の感じ。この本棚は、天井のレールコンセントのほかに右掃き出し窓のカーテンレールも飲み込む形で設置されているのです。

4月にNさんからFAXを頂きました。お子さんが使うために机と本棚を作りたいと言う相談でした。
フムフム。幅が3mを超えるようです。
どうしようかな、と迷います。
でも、最初の原案だからと言うことで無難にプランに。幅3mの真ん中で天板を2つに分割して、上の本棚も2つに分割して、左右同じものが2つ並んだ形で提案してみます。これで、だいたいNさんの希望通りになったわけです。

壁一面に作り付けた本棚とデスク

机の下部にあるコンセントから延長して、スリムタイプの蛍光灯を用いた棚下灯。

さっそくメールをお送りすると、Nさんとしては、「図面を見ると左右分かれているようになっているので、机の天板は分かれているのですよね?
搬入の制限等もあるので無理かもしれないのですが、希望としては机の天板を1枚で作れないでしょうか?」と言うことでした。
ひとまず搬入できればこれは問題ないので、そのことを伝えて、その後一度こちらまで来ていただいて細かい部分を説明したあとに、問題の搬入をチェックしなければいけません。

壁一面に作り付けた本棚とデスク

一ヶ所だけ扉をつけています。押してあけるラッチが付いているので、見た目がスッキリ。

参宮橋駅を降りて、学生で賑わう駅前をフッと抜けると、もう静かな住宅街です。このあたりには、いろいろ思い出があります。
ここから、歩いて少し行ったところに住むたくさんの犬に囲まれて暮らすSさんのお宅に家具を納品したのは、2002年の夏でした。
突然、電話をもらって「家具屋さんがいなくて困っているんです。」と言われて、急きょ、代々木八幡に開院する病院の受付カウンターを作ったり、カワグチ君と徹夜で現場の腰壁を張る作業をしたのが、2007年の夏でした。
ちょっと懐かしくなったのでした。

壁一面に作り付けた本棚とデスク

後々、小さな本をしまえるようにと、棚ダボだけ開けてあります。

しばらく歩いて到着したマンションは、ちょっと懐かしい形。
Nさんは、建ってからだいぶ経つこのマンションを手に入れてからリフォームをして住んでいるのだそうです。そして、お話を聞くと、「いろいろな大きな搬入は、ここからするのですよ。」と案内してくれたのは、子供部屋の掃き出し窓から見えるごみ置き場の屋根。なるほど、Nさんは2階だからそれができるんですね。これから3mの天板を搬入することができそうです。
そんなわけで、天板は3mで作ることになりました。じゃあ、本棚部分はどうかと言うと、これは、真ん中で分割しています。これを1本で作ったらさすがに搬入できないし、相当な重量になるから、移動させるだけでも大変。
でも、なるべく1本に見えるような工夫をしています。そのまま1本に見せるなら、現地で接着剤を入れて組み立ててって順序で行えば良いのでしょうけれど、そうなると、もしこの本棚を突然の引越しなんかで外したいって言うときが来た場合に、接着をはがすのってとても大変なのです。だから、なるべく現地での組立ては、ネジ(ビス)による固定を心掛けているのです。でも、ビスだけの固定では1本に見せるのが難しい部分があります。今回の本棚について言えば、真ん中で左右に分割されている本棚を、現地でつなぐには縦の板がビス止めに必要になるのです。

壁一面に作り付けた本棚とデスク

そして、通常は、このくらいの大きさの本棚で何も指定がなければ板の厚みは21mm~24mmにするのですが、今回の厚みは30mmにしています。21mmくらいの厚みだと、左右を現地でつなぐ時に真ん中の縦の板は21mmの板が2枚重なるわけです。左の写真のような感じです。これは、2枚重なるのをきれいに見せるように、重なるところに目地を入れてそれをデザインとしています。Nさんの本棚の場合は、21mmだとこの重なる部分が真ん中に出る形になるのです。
それを、ショールームに来て頂いた時に説明しましたら、やはり天板と同じく1本に見せたいと言う希望がありまして、それで、板の厚みを30mmにしたのです。30mmにすると真ん中の板を薄くして15mmずつが2枚重なるようにすることができます。この15mmが最小の厚みです。これより薄いと家具の強度不足で壊れる可能性もあります。「21mmの半分の厚み10.5mmを2枚重ねて1本に見せる」ような加工はできないのです。ですので今回は全体を30mmにしたのです。さらに正面からはこの15mmが2枚重なっていることが見えないような作りをしています。それは、皆さんと直接お会いした時にお話できるかな。(笑)

壁一面に作り付けた本棚とデスク

真ん中のジョイント部分。目立たないでしょ。

この細工は、時々行うのですが、結構加工が大変なのであまりしないのですが、どうしてもと言う希望で今回こういう納め方にしました。
おかげでとてもすっきりとした印象の本棚になりました。
そして、このお部屋の壁は躯体壁だったので、背面に固定することができず、さらにリフォームの時につけたレールコンセントがあったので、取り付けも一苦労。

壁一面に作り付けた本棚とデスク

引き出しの様子。

さらに、このお部屋は特に湿気てしまうことが多いということで、家具の背面が壁に直接接しないように、しかもパッと見た時は、きちんと壁にくっついて見えるような工夫をしています。(簡単に言うと壁と背板の間に、少し空間を作っているのです。)
このような感じで、とてもすっきりとシンプルに見えるこの家具ですが、なかなかどうして、手の込んだ作りになっているのであります。

壁一面に作り付けた本棚とデスク

Nさんから頂いた写真。それぞれのスペースにぴったりの箱が入っている姿はとてもきれいです。

Nさんから写真付きのお便りを頂きました。
「今日は、暑い中ありがとうございました。
雨が降らずに予定通り進んで本当によかったです。
イメージ通りの出来ばえでびっくりしました。お父さんとプールに行っていた4才の息子がとっても喜んで、早速勉強を始めたので笑ってしまいました。(写真あり)
(先週から先生にうちに机がくるんだーっと照れながら話していましたが、先生もこんなにすごい机だとはきっと想像していないでしょうね。)
本を入れておもちゃを並べると、生活感が出てきてあっという間に我が家に馴染んできました。
しばらくは家族みんながハイテンションですね!(笑)
(この広さなので家族4人並んで勉強できます)
本当にありがとうございました。」

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

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