家族との大切な場所

「ナラ柾目材と人工大理石コーリアンのオーダーキッチン」

鎌倉 K様

design:daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:masakane murakami
painting:masakane murakami

オーク柾目とコーリアンホワイトのセパレートキッチン

キッチン全体の印象。 リビングから見えるアイランドカウンターの背面は、以前に藤沢のNさんのキッチンで見られような柾目の印象のお話をすると、とても気に入ってくださって、そのまっすぐな線がゆらりと流れるような印象を大切に作りました。

「住まいを新築することになりました。
キッチンは工務店からの提案で、タカラというシステムキッチンメーカーのもので、「少しこちらの要望をきいてくれる」というスタイルでした。コストに限りもある中で検討していましたが、 もともとのコンセプトは、キッチンダイニングを家族の大切な場にしたかったはず!と思い直し、もう一度キッチンを考え直したいと思っています。
そちらのウェブに辿り着き、予算も限りがある中ですが、どこまで可能なのか、ぜひ相談に乗っていただきたいと思っています。
図面やアイデアを持ってそちらに伺いたいのですが、ご都合はいかがでしょうか。
明日土地の鍬入れ、8月~9月で基礎工事。
1月初旬に引き渡しのスケジュールで動いています。
もし今日、日曜日に時間があればこれから行こう!と、さきほどお電話しましたがお留守でしたので、メールさせて頂きました。
どうぞよろしくお願いします。」

オーク柾目とコーリアンホワイトのセパレートキッチン

アイランドカウンターの背面の一部は、引き出しになっています。押すと開く独特の引き出しなので、引き出し同士の隙間が細く入るだけで、木の柄の印象が引き立っています。

と、Kさんから初めてのご相談でした。何だかとても勢いを感じるメールでした。
どんな人だろうか・・。

オーク柾目とコーリアンホワイトのセパレートキッチン

壁付けのキッチンの様子。キッチンとか辞すペースとなる小さなカウンターが連続しているので、とてもすっきりと長いカウンターになっています。

さっそく、連絡を取らせて頂いて、その日曜日は日中に予定が入ってしまっておりましたので、夕方以降に来て頂くことに。
「イマイ様。
お返事ありがとうございます。
明日、伺います! ところが電車を検索したところ、18時22分倉見着しかありません・・・。ですので、スタジオ着は18時半になってしまいます。よいでしょうか。
ちょっと遅くなって申し訳ないのですが、実は、明日は夫と子どもがそろってそちらに行けるので、ぜひスタジオにある展示されているベースとなるキッチンをみんなで見てみよう、と思っておりますので3人で伺います。
ですので、遅い時間で本当にご迷惑おかけしますが、ぜひ、お願いします!
なぜ、家の中心がキッチンなのか、と、何度も考え直す作業をしています。
シンプルだけど(にしかならないけれど)、家族の思い出に残るものにしたい、と強く希望しています。
・・・・まだ、最終発注ではありません!!
でも、よいものを作りたい、という気持ちがあります。
どうぞ、プロの知恵を貸してください。
よろしくお願いします。」
とても楽しみなのでした。

オーク柾目とコーリアンホワイトのセパレートキッチン

シンクの下は、簡易的な収納にしたいと言うことで、棚板をつけました。 その棚板は、ガシガシ使えるようにしたい、と言うことで、傷だらけになっても良いようにステンレスを張りました。

そして、いらしてくださったKさんの印象は・・。
やはり力強い印象。はきはきとした滞りなくよどみない話し方で、一緒にお話ししていて、気分がしっかりとしてくる感じ。きっと先生だったのではないかしら。変わってご主人のほうが温和で優しそうな表情としゃべり口。お嬢さんもご主人に似て、優しい印象。
ハキハキとした奥様の印象はどこかで、誰かに似ているなあ・・。と、思ったら、頭に浮かんだのは、L型のキッチンを作らせて頂いた辻堂のSさんでした。なるほど、あの方もお料理を教える先生だったし、たしかKさんと同じように目がキラキラして力強かったっけ。
それ以来、Kさんと打合せするたびに私は、Kさんはきっと国語の先生だって思っていたのでした。(結局最後までお仕事は聞く機会がなかったのですが。)

オーク柾目とコーリアンホワイトのセパレートキッチン

キッチンの水洗器具は、クリンスイのF914ZC。


オーク柾目とコーリアンホワイトのセパレートキッチン

アイランドカウンターにも、「いずれ娘にも簡単な洗い物をここでしてもらいたいの。」ということで、パーティーシンクとシンプルなINAXの水栓器具。

そのようなわけで、K先生のはっきりとしたご要望を聞かせて頂いて、プランを作って御見積を出して、打ち合わせを重ねます。
「でもね、イマイさん。まだイマイさんにお願いできるっていう最終決定ではないですからね。(笑)」といつも笑顔でおっしゃっておりましたが、目がいつもキラキラしていたから、きっとお願いしてくれるのだろう、といつも思っておりました。(笑)

オーク柾目とコーリアンホワイトのセパレートキッチン

キッチン側の引き出しの様子、その1。


オーク柾目とコーリアンホワイトのセパレートキッチン

キッチン側の引き出しの様子、その2。 キッチン側の引き出しは濡れた手で触っても木が汚れにくいようにステンレスのハンドルをつけました。

それで、「いろいろ考えて、イマイさんにお願いします。」と言って頂けて、まもなく工事も始まるころでしたので、上棟が済んだ頃に現場に向かいます。玉縄の小高い丘を登ったところが、そのK先生の現場。とても長めの良いところです。「キッチンで作業をしながらリビング越しに外を眺めるの。」っておっしゃっていたK先生の言葉の意味がようやく分かったのでした。
ここで工務店さんと初顔合わせ。
よく見ると鎌倉の「イソダ」さんでした。以前に、湘南台の三好歯科クリニックさんの家具を作らせて頂いたのですが、その時の施工会社さんだったのでした。
うれしい顔合わせでした。

オーク柾目とコーリアンホワイトのセパレートキッチン

こちらは、アイランドカウンターの背面のプッシュ式の引き出しの様子。 カトラリー類や食器類が入っています。


オーク柾目とコーリアンホワイトのセパレートキッチン

アイランドカウンター背面の引き出し、その2。


オーク柾目とコーリアンホワイトのセパレートキッチン

アイランドカウンターの背面の引き出し、その3。 お嬢さんに自分のお弁当の支度をしてもらえるようにお弁当セットが入っています。

なじみのある施工会社さんとのお仕事ということで、段取りもスムーズに行うことができました。
まず大工さんが床を張り終わったところで、私が再び現場にお邪魔して配管の墨出し。これは、現場サイドで行ってくれるところもあれば、今回のように私たちが行う現場もあり、今回は私たちが行うことに。
ただ、今回初めてだったのは同時給排のレンジフードの施工。
気密性の高い住宅を作る場合、レンジフードの吸引力はかなり強く感じます。
窓を閉め切った状態で、換気扇を回していると玄関ドアを開けるのにとても重く感じてしまいますね。あれは、通常遠くから来た空気がにおいや煙をのせてレンジフードの向かっていくのですが、ここでは玄関ドアを開けた時に入ってくる外気がその空気なのですが、ドアを引っぱって開けようとした時に、中に入りたいって思っている外気の力が、レンジフードに引っ張られてとても強く感じるからドアを引き開けることが重く感じるのです。
そこで、そういうことが無いように、レンジフード付近で吸気と排気を対流させて、他のところから来る空気の力を弱めようというのが、同時給排です。匂いや煙はその対流に乗って外に出ていくのです。
で、同時給排ということは、給気用ダクトと排気用ダクトがかなり隣り合う位置に来ます。その施工を行ったことがなかったのでちょっと不安だったのでした。

オーク柾目とコーリアンホワイトのセパレートキッチン

キッチンを使っている様子。

と、思っていましたが、イソダさんのサポートもあってキッチン本体も各設備機器の取付も無事終了。
クリーニングの工程に合わせて、扉や引き出しもセットして、これで完了。
取付のたびにK先生の手作りサンドイッチの差し入れがあったり、楽しいお話があったりして、とても和気あいあいとした現場でした。

オーク柾目とコーリアンホワイトのセパレートキッチン

シンク下の棚箱のように使ってくださっています。 もし、水道配管のメンテナンスがある場合は、この棚板などがすべて取り外せるようになっています。

オーク柾目とコーリアンホワイトのセパレートキッチン

こちらのレンジフードの素材はスチール製のシルバー塗装仕上げ。 ステンレスではないのですが、その代わりに磁石が使えて良いって、Kさん。

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アイランドカウンターの様子。 パーティーシンクの下にはゴミ箱がしまえるようになっています。

オーク柾目とコーリアンホワイトのセパレートキッチン

ハーマンのフロントオープンタイプの食器洗浄機を挟んで左側には、家電を置くスペースです。

そうして、春から始まった現場ももうすぐクリスマスも過ぎてもうすぐお正月になるかな、と言う頃に竣工です。
「現場では、あとひと仕事ですね。
最後までどうぞよろしくお願いします。
玉縄の家の中で、唯一私の希望がかなっているキッチンです。
29日をとても楽しみにしています。
よろしくお願いいします。」
そうして、K先生のキッチンの完成を迎えてめでたく年を越したのでした。

キッチン仕上
天板 人工大理石 デュポンコーリアン「ボーン」
扉・前板 ナラ柾目突板練り付け
本体外側 ナラ柾目突板練り付け/ナラ柾目無垢材
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 ワトコオイル塗装「ナチュラル」

ナラ柾目材と人工大理石コーリアンのオーダーキッチン

価格:1,380,000円(制作費・塗装費、設備機器は別途)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は150,000円から)

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