オーダー家具製作例

ステンレスヘアラインとナラ板目材とモールテックスのキッチン

オーダーキッチン「すきないろへと」

御殿場 N様

design:Nさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:yasukazu kanai
painting:yasukazu kanai

ステンレスヘアラインとナラ板目材とモールテックスのキッチン
モールテックスの腰壁に囲われたキッチン。漆喰壁のようなつるっとした仕上がりになっているので、表情こそ無骨に見えますが、手触りは平滑で滑らかなので、上品な印象にまとまっています。

御殿場というと、箱根と富士山の間に囲まれた緑豊かな場所にあって、のどかな風景の中をゆっくりと進む単線があり、この電車に乗って打ち合わせに出かける時などはどこか子ども自分の遠足に向かう心持ちになったものでした。
車で向かえば何気ないうつろいのなかに小さな息づかいを感じることは難しくなるのですが、電車やはたまた歩いてどこかに向かう道すがらにすれ違う小さな命は本当に私の気持ちを落ち着かせてくれます。

ステンレスヘアラインとナラ板目材とモールテックスのキッチン
水栓は、デルタのトリンシックタッチ。器具の先端部以外でしたら触るだけで、吐水をコントロールできる水栓。シンク右奥には洗剤ポケットを設けました。

ただ、Nさんとのやり取りの際はもっぱら車になってしまってそういったおかしみを味わう時間があまり取れなかったのかすこし心残りではありました。
しかし、Nさん自身とのやり取りは同年代(おそらく)で自営業をされているということで、子育ての話だったり、家に対する思いだったりがとても楽しく良い時間を持たせて頂くことができたのでした。

ステンレスヘアラインとナラ板目材とモールテックスのキッチン
食器洗浄機はBOSCH。ゼオライトという吸湿することで発熱する鉱物を使って洗浄時は温めて洗い、乾燥時は乾くのを促進させるという循環を取り入れた食器洗浄機。

Mさんのキッチンは少し変わっていたのです。
見返すと、最初にここにいらしてくださったのは2017年の夏でしたね。あの時はリフォームを検討されていたのでしたが、お話が進むうちに建て替えになることが決まったということで、あらためてキッチンの相談をくださったのが始まりです。
どこが変わっているかというと、最近よく見られるようになったモールテックスというクラックがとても入りにくい左官材を使うことと、加熱調理機器がビルトインではないという点です。

ステンレスヘアラインとナラ板目材とモールテックスのキッチン
引き出しの様子。
ステンレスヘアラインとナラ板目材とモールテックスのキッチン
引き出しの様子。
ステンレスヘアラインとナラ板目材とモールテックスのキッチン
引き出しの様子。

ステンレスヘアラインとナラ板目材とモールテックスのキッチン
引き出しの様子。

モルタルを使ったワークトップやライニングのあるキッチンは今までにもよく見られてきました。
ただ、下地が木材だったり、少なからず吸湿する素材で作られることが多いため、使っているうちに表面にクラックが入ることが多かったのでした。
モールテックスという素材は、鉱物と樹脂が混合されてできた左官材で柔軟性があるので、クラックが入りにくいことが特長なのだそうです。

ステンレスヘアラインとナラ板目材とモールテックスのキッチン
今回ちょっと変わっている点のひとつがこのIHヒーター。とても使いやすいのだそうで、あえてビルトインにしないで、この卓上型を3台並べて使うというおもしろい試み。そして、枠トップ上に設置してあるコンセントとそこに差し込まれているコンセントケーブルが汚れないように、専用の台をステンレスで作り、その台にすっぽりとヒーターが入り込むような設計にしています。もちろん台も取り外し可能です。
ステンレスヘアラインとナラ板目材とモールテックスのキッチン
卓上型IHヒーターなので、天板のすぐ下にこのように引き出しを設けられます。

ステンレスヘアラインとナラ板目材とモールテックスのキッチン
さらには3枚のワイヤーシェルフも。

私たちのところにもモールテックス仕上げのキッチンを希望されるかたから相談を頂くことがあるのですが、残念ですが左官仕事はやはり左官屋さんの技術があって、一朝一夕で仕上げられるものではないものですので、モールテックス仕上げになる場合は工務店さんのほうで左官屋さんを手配してもらって、木部の工作を私たちのほうで受け持つ、というスタンスで仕事をしております。
今回もそのような形で、左官屋さんが入る前に私たちがキッチンを納品する、という形で工事は進みました。

ステンレスヘアラインとナラ板目材とモールテックスのキッチン
最近よく見るネオジム磁石のフックをNさんも使っていました。

そこで今回は、キッチンを囲む壁ができたらすぐに納品して左官屋さんの作業をスムーズに進めましょうということになりまして、そうなりますと設置場所の採寸をしてからの製作では間に合わなくなってしまうので、図面を見ながら設計士さんとNさんとで確認を取って製作寸法を確定してその寸法から少しだけ余裕を見た形で壁を作って頂くとして、壁の完成よりも先行して製作に着手したのでした。

ステンレスヘアラインとナラ板目材とモールテックスのキッチン
調味料用の引き出し、浅型。
ステンレスヘアラインとナラ板目材とモールテックスのキッチン
調味料用の引き出し、ちょっと深型。

ステンレスヘアラインとナラ板目材とモールテックスのキッチン
ボトル用の引き出し。いつもは2段にすることが多い子の調味料の引き出しですが、今回Nさんの場合はあまり背の高い瓶や缶がなかったので、小さな調味料がたくさん入るように3段の引き出しにしています。

こういう段取りの現場は今までも少なからずありました。
それで、図面通りに設置場所ができあがっているかというとその通りになっている現場はどちらかというと、ちょっと淋しいのですが半分以下だったりします。
数ミリの誤差で済めばよいのですが、時には10ミリ以上も予定と変わっていたりして。
たいてい予定よりも広くなっていて、キッチンは設置できるのですが、隙間ができちゃう。
それで隙間をシリコンで埋めるわけですが、やっぱりオーダーで作るのですから、そのあたりはなるべくピッタリに作りたいところです。

かなぐやさんの真鍮六角棒コの字ハンドル
ハンドルはかなぐやさんの真鍮六角棒コの字ハンドルを使わせて頂きました。いつもながら凛として美しいハンドルです。

特に今回は監督さんとお会いすることができなかった。工事の段取りを取り決める人に会えないというのはなかなか厳しいことです。
そうなると、やはり設置場所はちょっと広くできあがったりしていましたが、多少調整することでどうにかきれいに納めることができました。

ステンレスヘアラインとナラ板目材とモールテックスのキッチン
こちらが背面の吊戸棚用の扉。

ステンレスヘアラインとナラ板目材とモールテックスのキッチン
引き出しもこのように作らせて頂きました。天板は集成材で大工さんが作ってくれています。そこに塗装屋さんがナラに合わせて、色を付けています。

その後、大工さんが作った背面の棚に合わせて引き出しと扉を私たちのほうで作らせて頂いて完成。
これで、キッチンがひとまとまりになりました。

ステンレスヘアラインとナラ板目材とモールテックスのキッチン
「あれっ、飯高さんの器だ!」「とても好きな形で、ここで暮らし始めたら使おうと思って、ずっと前に購入していたものなのです。イマイさんご存知の方なのですか?」「もちろんです。」

今回、このキッチンのお話の中で、工房まで打ち合わせにいらして頂く機会がありました。
その後にこのようなメールも頂いていたのです。
「今回は、キッチンではなくダイニングテーブルの事なのですが。
以前ショールームにお伺いした時に展示してあった、直径1300mmのナラのダイニングテーブルが忘れられず、オーダーしたいと思いメールしました。
お願いできますでしょうか。足はシンプルな4本足が希望です。」

ナラ板目材の円卓
ダイニングテーブルは5脚の椅子が定位置にきちんとしまえるように、ということで5本脚のテーブルなのです。

キッチンのやり取りの中で、並行してテーブルのお話も進んでいて、キッチンだけではなく、テーブルもナラ材で作らせて頂くことになりまして、キッチンとダイニングの目線がとても落ち着いた形になったのでした。

キッチン仕上
天板 ステンレスヘアライン
扉・前板 ナラ板目無垢材
本体外側 ナラ板目突板
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 オイル塗装仕上げ
ナラ板目のI型キッチン
価格:990,000(製作費のみ、塗装費・設備機器費用は別)
ナラ板目の扉と引き出し
価格:480,000(製作費のみ、塗装費は別)
ナラ板目の円卓
価格:330,000(製作費のみ、塗装費は別)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は50,000円から取付施工費は110,000円から
ちょっと関わりのありそうな家具たち

オーダー家具のある暮らし