オーダー家具製作例

キッチンリノベーションでチェリーのキッチンとカップボードを制作

母と娘

「チェリーとステンレスのオーダーキッチン」

茅ケ崎 K様

design:Kさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:iku nogami
painting:iku nogami

キッチンリノベーションでチェリーのキッチンとカップボードを制作
ダイニングから見たキッチン全体の様子。リノベーション前は突きあたりのこげ茶色の扉と周りの壁の境が分かりづらいくらい暗さだったのです。手前のペニンシュラタイプのカウンターがあるところにもともとキッチンと対面カウンターがあって、さらに吊戸棚があったので、キッチンが独立した部屋のようになっていたのですね。それでリビングからの光がほとんど入らない間取りになっていました。

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こちらは夕方にお邪魔させて頂いた時の様子。奥にもカップボードが見えますね。たしかナラ柾を使ってラッカーで赤茶色に仕上がっていたのでした。その色の印象がこの家にあっていてとても良いとおっしゃっていたKさんご家族の意見を踏まえて、全体の素材を選びました。ただ着色仕上げは私自身あまり望んでいないこともあって、次第にあの色に近づいていけるようにと、ブラックチェリーを使うことにしたいのです。色焼けが早い樹種なので、すぐに色は追いつくでしょう。

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こちらはキッチンの奥から見た様子。レイアウトとしては、今までダイニング側に向いていたキッチンを反対向きにしたことで作業空間を広げることができたいと思います。キッチンと作業台や冷蔵庫との間の通路が少し狭いのですが、それを改善しようとすると、壁を大きくいじらないといけなくなりそうでしたので、今ある壁構造の中で何か最適なのかをみんなで考えていったのでした。

「はじめまして。Kと申します。
両親と娘(私)夫婦+子供2人の6名家族です。
築30年になる一戸建て住宅、1階キッチンのリフォームを考えております。
私の実家でもあるキッチンがいろいろと不備が出てきたため、ぼんやりとキッチンリフォームを考えていた時に友人から、遊びに行ったお宅のキッチンが素敵だった、寒川の方にある会社らしいとの話を聞き、ウェブから検索させていただきました。
ホームページを拝見し、とても素敵な雰囲気だったのでいろいろと想像を巡らせておりましたが、ついに水栓の調子が悪くなり、本格的にリフォームを進めることにいたしました。
現在はⅡ型(セパレートタイプ)ですが、L型もしくはI型+アイランド(小さめの作業台)をイメージしています。
リフォーム会社も決めておらず詳細は未定なのですが、カタログをいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。」

Kさんからキッチンカタログを希望されるメールを頂きました。
ちょうどこの頃、湘南T-SITEさんからお誘いを頂いて、キッチンの展示を行なうお話が進んでいて、なかなか慌ただしい時期だったのを思い出します。
さっそくKさんにお送り致しました。
このカタログ、作り始めてからもう9年も経つのですね。自分でもびっくり。
現在はVol.1とVol.2という2冊を作っていて、それを皆さんにお送りしているのですが、内容がカタログというには何だか曖昧な中身だったVol.1をもう少し資料としてみんなに読んでもらえるようにと、昨年の5月に刷新して、その2冊を皆さんにお渡ししています。
最初の頃はほぼ手作りでして、原稿をWordで作って(今でもWordですが)それをコピー機に読み込ませて、両面印刷できるように編集して(コピー機素晴らしい)、少し厚めの紙を購入して、A3用紙で50部くらい印刷しては
それを折ってA4の冊子にして、ホッチキスで止めて、真ん中あたりの紙が出っ張っちゃうのをカッターで裁断して、とすべて手作業でしたね。
ありがたいことに応募してくださる方が増えて在庫がなくなってくると、ああ、刷らなくちゃと思いながらちまちま作っておりました。(結構指が痛くなるのです。)
ある時、印刷屋さんにお願いしたほうがいろいろとメリットがあることが分かり、(もっと早くに気が付ければよかった・・)今では原稿の作成だけを行なう形でやっておりますが、相変わらずちまちまと作り続けて9年が経ったのですね。時間が経つのは早い。
あれからいろいろなキッチンを作らせて頂いているので、また新しいものを作らないといけないなと思いながらも、なかなかはかどらない日々でございます。
基本的にウェブサイトの内容をコンパクトにまとめただけですので目新しいことは特にないのですが、(私とアキコの小話が載っていることくらいが新しい部分でしょうか。)私たちのキッチンが気軽に皆さんに見てもらえたらと思って、地域を問わず皆さんにお送りしているのですが、実際にキッチンを作らせて頂ける範囲としては、私たちが通える距離までのご対応とさせて頂いているので、と奥は北海道や沖縄県からもご応募があって実際に作らせて頂くことは難しいところが少し残念なところでもあります。でもそれを見てもらって良いキッチンになったらうれしいなあと思いましたら、今日もちまちまお送りしております。

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最初のスケッチ。キッチンとアイランドカウンター、そして、食器棚のイメージや配置が決まってきた頃です。

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はじめの頃はアイランドカウンターが付く壁の横にあるガス暖房やインターフォンをいろいろ動かそうかと考えていた時もありました。

そうして、カタログをお送りしてまもなくKさんからご連絡を頂きました。

「フリーハンドイマイ様
先日カタログをお願いした茅ヶ崎のKです。
早々に送っていただきありがとうございました。
ホームページでも何回も拝見していましたがカタログを見て、やはりイマイさんのキッチンにしたいと思っております。
家は積水ハウスで建てており、今までのメンテナンスも積水リフォームさんにお願いしておりました。
ですので、積水リフォームにも相談、見積をお願いする予定です。
ただ今回のリフォームは、家全体というよりキッチンのリフォームがメインですので、もし見積だけでも可能であればイマイさんが懇意にされている工務店さんなどご紹介いただけますでしょうか。
キッチンのイメージはわいているのですが、現在の壁をどのくらい変更(壁をなくす、動かすなど)していいものなのか、もっといいレイアウトがあるのではないかと素人にはわからないこともあり、まだ漠然としている状態です。今後どのように進めたらよいのかも含めご相談したいと思っております。
よろしくお願いいたします。」

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キッチン全体の様子。奥に勝手口があるのが幸いでした。このキッチンスペース自体がかなりコンパクトなので、勝手口を出た先もゴミの収納場所として充てたりと、室内だけでなく、この空間全体でうまく使えるようにあれこれ思案したのです。

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吊戸棚の様子。吊戸棚の戸は引き戸です。通路が狭いので、開き扉にすると、お母様とT子さんが一緒に建ったりすると開け閉めの際にかなり窮屈になりそうでしたので。特にお二人とも背が高いのでより圧迫感を感じることになりそうなので、そういう時は引き戸が使いやすいですよね。開けっ放しにして使うこともできますので。

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中はこのような感じ。引き戸は特に金物は使わずに戸の下に戸車を入れるだけのシンプルな構造。

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今回はレンジフードとガスコンロはまだ交換して間もないということでしたので、そのまま活用することに。伊藤さんがきれいに磨いてくれたおかげで見違えるほどきれいになりました。そのレンジフードの上には同じチェリー材でパネルを作っています。

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引き戸の下はオープン棚。

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そのオープン棚ですが、左側はちょうどシンクの真上に来ます。手元が暗くなったり、圧迫感が出るので、シンクの上にこのくらいの高さまで下げた棚を設けることは少なかったりします。

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しかし、棚面をパイプにすることで水切り棚のように使っているのです。これから洗ってすぐに塗れたものもここで乾かすことができますので。

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手元照明としては棚の中に埋め込む形ではなく、後付けタイプの素朴だけれど野暮ったくないデザインの照明。どこか懐かしい印象になりました。そしてその奥には調理道具を引っかけておけるようにステンレスのパイプをつけています。

うれしいご相談です。
私たちがこうであったら良いなというお仕事の形です。
私たちは家具やキッチンは作ることができても家作りまではもちろんできません。そうなるといつもいろいろな設計士さんや工務店さんにお世話になるのですが、ときにはいつも一緒に仕事をしている設計士さんや工務店さんとできたら、あうんの呼吸で楽しいだろうなと思っていたのです。
そこでまずはKさんのイメージを知りたいと思いました。どういう室内空間が好みなのか、どんなキッチンが好きなのか。形はいろいろありますが、まずはその人の持っている空気を知りたいのです。
そして、個人的には茅ケ崎という場所もありましたし、ちょうど渡した自宅を建てて間もなかったこともあって、自宅を設計してくれた茅ヶ崎在住のMA設計室の福原さんにお願いしたいなと思っていたのです。
さらにはKさんのメールの中に中村好文さんのお名前が挙がっていたこともあって、少しご縁のある福原さんならKさんのキッチンを快適な形にしてくれるのではないかと思ったのです。
そこで、まずは福原さんにも相談しましたら快く引き受けてくださって、一緒に打ち合わせにいらして頂けることになったのでした。

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こちらはキッチンの様子。今回、キッチンは通路幅をきちんと確保しなければいけないかったので、奥行き60センチとコンパクトなキッチンにしています。食洗機も奥行60センチ対応のパナソニックのものにしまして、正面がグレーになってしまうので、ちょっと淋しいなと思いまして、DIY的なやり方で、チェリー材をつけたのです。

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シンク周りの印象。水栓はお母様の希望もあって、リクシルのナビッシュ。センサー付きなので使いやすいと好評でした。

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シンク前には長いステンレスのハンガーパイプをつけています。ごみを捨てる時にタオルが邪魔になったら、カーテンのようにすっと横にずらしましょう、という使い方。それからシンク前のチェリーの板に黒っぽいスジがついているのが見えますでしょうか。あれは洗剤が垂れてそのまま乾いてしまったため、チェリー材のタンニンと反応して黒くなってしまったものです。レモン汁を擦り込むと中和されて色が目立たなくなるのです。ちょうど反対面のカウンターでもそういった黒いシミができてしまったので、Kさんにメンテナンス方法をお伝えして、きれいにすることができました。そういうふうに使っていくとだんだんとその人なりの良い印象になっていくのです。

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引き出しの様子。

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引き出しの様子。

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引き出しの様子。

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今回キッチンカウンターの奥は30ミリほど立ち上げる形にしました。この形を通称バックガードと呼んでいます。バックガードを作る場合は、ステンレス板を折り曲げて上方に延ばすので、バックガードが無い場合はタイル目地やコーキングに水が掛かったまま放置していると劣化してしまう可能性がある部分でも、水が浸みこむことがないので安心な作りとなります。最初はキッチンの手前にも水が流れないような水返しをつけるかどうかも検討しましたが、手前にうっかり水が流れることは少ないだろうということで、返しはつけませんでした。

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今回、キッチンのサイズが2260ミリくらいとかなりコンパクトになったので、コンロ下の引き出しは右壁いっぱいに広くして使いたいということで、調味料用の引き出しはこの小さなものにしています。

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コンロ下の引き出しの様子。

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コンロ下の引き出しの様子。

お話が変わりますが、ちょうどその週末から湘南T-SITEで「湘南料理道具市」が始まりました。
このあたりに住む皆さんによく知って頂きたいという思いで参加させて頂けることになったこのイベントですが、いろいろと考えていくうちに10年前に今の形にできあがった工房2階の展示室をこれを機に新しくしようという話が出てきたのです。それならば、ステンレスを使ったキッチンも魅力的だけれど、思いきって自分が好きな形でキッチンを表現してみたいと思いまして、道具市で展示させて頂くキッチンは少し懐かしい(少し昔のツヤのない石の台所のような印象)感じに仕上げたのでした。
そのキッチンやイベントの様子をKさん突然お母様と一緒に見に来て下さって、いろいろと楽しそうに話をされていったのでした。
なるほど、いろいろとおもしろそうなキッチンになりそう。
そういう印象を持って福原さんと一緒にKさんのところまで後日打ち合わせに伺わせて頂きました。

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こちらがペニンシュラ型のカウンター。キッチン側とダイニング側の両側から収納できるようにしています。そして、一番重要だと考えていたのが、今までほこりをかぶって対面カウンターの隅に置かれていた通信機器をこの中にキチンtのしまえるようにしたい、ということでした。

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ダイニング側の引き出しの様子。文房具ケースになっていますね。

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ダイニング側の引き出しの様子。薬箱になっていますね。

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そして、ここに通信機器。もともとは別の壁についていたのですが、この位置にコンセントを移設して、ホコリが付きにくいように収納してしまいました。たしょうWifiの感度が悪くなりますので、1階専用のルーターが入っていて、2階にも中継器を置けるような電気・電話工事をしてもらいました。 リモートで自宅で仕事をされる機会も多いご主人からも強い要望があったので、中継器を入れることで途切れることなくスムーズに回線がつながるようになったということです。

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通信機器の上はノートパソコンや様子などPC関連のものが閉まるようにしています。

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反対の左側は書類がしまわれています。

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引手は懐かしい印象を出せるようにと考えてみました。

積水さんで建てられたというそこかしこに懐かしい印象の戸建て住宅。
さっそくダイニングに案内させて頂きました。
かなり広い家なのですが、何というかダイニングがうーん、狭い。(ごめんなさい、Kさん)
今までもいろいろなリビングダイニングを拝見させて頂きましたが、やはりだんだんと年を重ねてくると、増えたものを片付けることが大変になってくるのですよね。私も両親を見ていて時々そう思う時もあったりします。片づけるという気持ちを持ち続けることもなかなか大変だと思います。
で、主役は娘さんのT子さん。娘さんと言ってもわたしたちに年代が近いのでとてもお話の間隔が近くて何となくご近所さんのところにお茶を飲みに来てしまった感じ。
それで、この徐々に積み重なっていくものたちを整理したいことと、くたびれてしまったキッチンがいよいよ水栓が壊れ始めてしまったということで私たちを呼んでくださったのでした。

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キッチン側面の様子です。

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引き出しの様子。

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引き出しの様子。

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一番下は扉です。
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引き出しの様子。

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引き出しの様子。

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引き出しの様子。

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お母様は必ずガスでご飯を炊きたい、ということで、ガス栓を設置。美味しいですものね。私が高校生でアルバイトをしていたお店でもご飯は必ずガス炊飯でした。

ただ一つ、お話を進めていくと難しい点がありました。
ツーバイフォーで建てられた空間だったのです。
以前にもそういう作りの空間をリノベーションできるかというお話が何度かありましたが、そのたびに設計士さんに相談すると「ツーバイフォーですか・・。」となぜか声が小さくなっていくのでした。
私自身、情けないことに建築にあまり詳しくない部分もあったりして、よく聞く「ツーバイフォー」がどうして困難なのかがはっきりとは分かっていない部分がありました。
それで、今回同席してくれた福原さんとその点を含めていろいろと相談することに。
いろいろ現地を見聞きしながら検討していくと、「ツーバイフォー」とは壁面全体で耐力を作る構造なので、リノベーションでの間取りの変更がかなり難しいのだそうです。
私としては、Kさんの今までのお話を聞くと、ぜひ福原さんの空間や空気感を感じてもらえたらうれしいなと思っていたのですが、空間構成を変えることが難しいとなると、できるのは内装で印象や生活スタイルを変えてゆくことでした。
そうなると設計士さんとして醍醐味を味わって頂くことも難しくなるのでした。
「イマイ君なら内装でKさんのイメージや暮らしかたの希望を実現させることはできると思うから大丈夫だよ。楽しみにしていますよ。」といつも兄のように(居ませんが)支えてくれる福原さんの言葉を聞いて、私自身気持ちに整理をつけて福原さんの代わりにキッチン全体の印象作りを担当させて頂くことになりました。
ただ、内装の作り方など建築的な納まりは私には分からないので、ここはいつも一緒に仕事をさせて頂いている設計士兼現場施工を請け負ってくださるkotiさんにお願いすることになりました。
kotiの伊藤さんは、以前にご自宅のキッチンを作らせて頂いたりしていて、あうんの呼吸というと大げさですが、とても親身に相談に載ってくださるので仕事がしやすいのでした。
そこでまずは間取りを変えることなく、ダイニングキッチンをどのようにしたらKさんご家族にとって使いやすいのかをKさんと、時々お母さんも一緒に打ち合わせていきました。

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こちらは食器棚の様子。食器棚とキッチンの吊戸は少し離れてはいますが、微妙な距離感を保っているので、印象をまとめたいと思いまして、チェリーの引き戸の高さをキッチンの吊戸棚と食器棚とで高さを揃えています。言われて初めて「なるほど。」と思えるくらいのことなのですが、このラインを通せたことで結構まとまりが出たのではないかと自画自賛しております。

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上部の引き戸の様子。この食器棚左側面に触れている針は当初からの梁で、これがキッチン入り口を支える大事な構造になっています。

まず、このダイニングに来て思ったのはキッチンがとても暗かったのです。
キッチンとは壁を挟んだ部屋のリビングは庭先からの日差しがたっぷり入るのでレースを掛けていてもとても明るく心地良いのですが、壁一枚があることで、光はもちろん回り込んでこないので、昼間でも蛍光灯をつけないと手元が暗いほどなのでした。
そこで、構造の強度を変えることなく壁を抜ける部分を伊藤さんと考えて、まずはダイニングに向いて付いていたキッチンを反対の壁に向けることにして、もともとついていたキッチン上の吊戸棚とその吊戸棚がついていた壁を取り払うことにしたのです。
壁を取る代わりに梁を補強しましたが、以前よりも明るい空間に変えることができました。
また、そのキッチンの手前についていたキッチン対面カウンターが大きすぎてダイニングを圧迫していました。それがダイニングが狭く感じる要因でしたので、キッチンを撤去する際にカウンターも撤去して、代わりに今までなかった作業スペースを確保するためにペニンシュラタイプの下が収納になっている作業台を設けたのです。
これで広く明るいキッチンにすることができました。

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食器棚下の様子。

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引き出しの様子。

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引き出しの様子。

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引き出しの様子。

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引き出しの様子。

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引き出しの様子。

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引き出しの様子。

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引き出しの様子。

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引き出しの様子。根菜たち。最初はキッチンのペニンシュラのカウンターの扉部分にしまおうかというお話が出ていたのですが、結果的にはここに居ります。

で、その時にお母さんとお話になったエピソードがあります。
まずリノベーションは解体することから始めます。
伊藤さんと大工さんのお二人で、キッチン周りを手早く解体されて、まもなく解体が終わるかなという頃に、キッチンがきれいに納まるかどうかを確認するために現場を訪れました。
「イマイさん、Kさんがちょっとご相談があるそうなのですよ。」と伊藤さん。
別室で過ごされていたKさんにお声掛けすると、「イマイさん、もう工事が始まっているのに、こんなタイミングでごめんなさいね。実は母からお願いがあるそうなのです。」と。
「いや、別に私はいいんだけれどもったいないじゃない。まだきれいな板だし、今までここで使ってきた思いもあるから、新しい間取りでもどこかで生かせないものかしらと思って。でもあなた(T子さんのこと)が要らないっていうのならいいのよ。」とお母様。
「ええ、さっき要るって言ったじゃないの。どっちなの。」とT子さん。
何だか楽しそうです。
そこに伊藤さんもやってきてくれて、「じゃあ、せっかくだから少し使えるように考えてみます。」とお伝えして、構造上動かしづらかった電話のモジュラージャックがそのまま残ることになったので、その場所に電話が置けるような小さなカウンターを作ることにしたのです。
「伊藤さん、すみませんがここに下地を入れておいていただけますか。インロウで固定する小さなカウンターにしようと思いまして。」ということで、そのキッチンカウンターを一度預からせて頂いて、小さく長さをカットして、カット面を正面の木口の面取りのデザインと揃えて塗装も揃えて、最初からこのサイズだったかのようにして壁の隅っこに取り付けさせて頂きました。
そのできあがりを見たお母様。
「あら、これがあのカウンターだったの。全然気が付かなかったわ。てっきり捨てちゃったのかと思っていたのよ、ほほほ。」と。
「もう、何言ってるの、お母さん。」とT子さん。
やっぱり楽しそうです。

そのようなわけで、お父様とお母様がこの長く過ごされたこの場所の空気感は残しつつ、私やT子さんの好きな好文さんの印象(私の思う印象は、素朴で、材やテイストにとらわれず、その使う人が気持ち良い形を提案してくださるという印象。そして少し懐かしい印象。)を大切にキッチンを作らせて頂きました。

キッチンリノベーションでチェリーのキッチンとカップボードを制作
「あら、これがあのカウンターなの、気が付かなかったわ。」とお母様が要っていたカウンターが写真の一番右端に電話が載っているところのものになります。良い位置に良い大きさで残すことができました。

キッチンの設置も終わり、あとは伊藤さんのほうの仕上げ工事が少しという頃にT子さんからもうれしいご連絡を頂きました。

「フリーハンドイマイ 今井様

いつもお世話になっております。
本日、ほぼ工事が終了しました。
やっぱりあっちの方がよかったかな、もっとこうすればよかったかな・・と、正直いろいろ考えてしまっていたのですが、先ほどシートなども外されて全体が見えたらそれが一気に吹き飛んだと言いますか、やっぱりこれでよかったと思うキッチンでした!
新しいキッチンの収納はよく考えてゆっくりやろうと話しているので、まだ次回お会いできる時も落ち着いてないかもしれません。笑
打ち合わせの内容がころころ変わったり、工事が始まったのにまだ迷ったりと、本当に本当にご迷惑をおかけしております。
伊藤様にも大変お世話になり(明日もいらっしゃいますが)いろいろと無理を聞いていただきました。
とても丁寧に仕事をしてくださり感謝です。
伊藤様をご紹介してくださりありがとうございました。
最後の仕上げ工事もよろしくお願いいたします。」

それと今回はキッチンの工事と一緒に一緒に2階のお子さんたちの部屋をきれいにして、お姉ちゃんとお兄ちゃんが個室を持てるようにそれぞれの個室を作ったりと、キッチンから始まって、いろんなところまで手を加えさせて頂いて、心地の良い新たな風が通る空間ができあがったのでした。

「フリーハンドイマイ 今井様

お世話になっております。
本日もありがとうございました。
あれからレモンをかけてみましたら、作業台のシミも洗剤のシミもビックリするほどきれいに落ちました。
お手入れ方法も教えていただきましたのでメンテナンスしながら丁寧に、かつ、気持ちよく使い込んでいきたいと思います。
さっそくホームページの写真を拝見しました。
なんだか素敵に撮っていただき恐縮です。
母に、素敵に写っていると教えると、実際に素敵じゃない!と申しておりました。

それから、最後にお願いしたまな板は、ある時から母は使わなくなってしまって後悔していたようなので生まれ変わり喜んでいました。
また困ったことなどありましたらご連絡させていただきます。
それでは今後ともよろしくお願い致します。」

キッチンリノベーションでチェリーのキッチンとカップボードを制作
こちらは、削り直しをお願いされたまな板。削っていたら、目印が取れちゃったので、何となく思えている感じで、かぶとお魚を焼きペンで描いてみました。せっかくなので、お魚はひれにスジを書き加えてあります。また、持ち手も粉をふいていたので、一度外したらコンパウンドで研磨したら結構きれいになったのでした。

そういえば、まな板をお届けした時にお茶を頂きながら、T子さん、このようなお話をしてくださいました。
2020年11月11日の日記より「Kさんのチェリーのキッチンふたたびみたび
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・・・なぜKさんが私たちにキッチンのオーダーをくださることになったのかお話してくださいました。

「幼稚園のママ友だちで集まった時にリフォームのお話になったのです。もともとこの家を建てた工務店さんに依頼する方法もあったのだと思うのですが、その友だちの話を聞いていると、遊びに行く家々のキッチンが寒川の家具屋さんがどうやら作ったらしいよ‥、という話になって。興味もあったし、何度もその家具屋さんが登場するなんてミステリアスでして。
ちょうどその頃から母がここをきちんとリフォームしたい、っていう話は出ていたのです。
それで私もその家具屋さんを調べてみたら、あぁいいなあと思えたのです。
父はやはり建てたところに依頼することが安心、っていう気持ちはあったようですが、私自身、以前に少しキッチンの仕事に携わっていたこともあって工務店さんと相性にどこか疑問を感じていたところもあったので、良いところがあったらと思っていた時にイマイさんを知ってその魅力を感じたのです。」

とてもうれしいお言葉。
たしかに茅ヶ崎では以前に何件も魅力的なみなさんのキッチンを作らせて頂きました。
みんなどこかでつながっているのだなあ。
そういうふうにいろいろなところでのご縁があって今があるのです。
大変ありがたいことです。
Kさん、また何かありましたらいつでもお声掛けください。
これからもよろしくお願い致します。
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ミステリアスな家具屋はすてきだねえ。

キッチン仕上
天板 ステンレスヘアライン
扉・前板 チェリー板目突板
本体外側 チェリー板目突板
本体内側 ポリエステル化粧板
塗装 オイル塗装仕上げ

 

チェリーとステンレスヘアラインのI型キッチンと吊戸棚
価格:1,100,000(製作費・塗装費、設備機器費用は別)
チェリーの作業台
価格:510,000(製作費,塗装費)
チェリーの作業台
価格:520,000(製作費,塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は40,000円から取付施工費は180,000円から
ちょっと関わりのありそうな家具たち

必要としてくださる人の声を直接聞かせて頂きながら、信頼できるスタッフと共にその人の為にオーダーキッチンやオーダーメイドの家具を設計し作り続けています。家具を作ることは暮らしを整える楽しみでもあります。海老名と寒川で家具たちをご覧いただけます。