シマシマとコウシ

「ナラの壁面収納と整理収納棚のオーダー」

大井 H様

design:daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:tsuyoshi kawaguchi
painting:tsuyoshi kawaguchi

スリットが入ったオークの扉のあるリビングボード

リビング収納の全体の様子。

2008年の3月の終わりに頂いたHさんからのメールを頂きました。
「ネット検索でたどり着きました。
3LDKのマンションに住んでいます。
このたび子供が一人増え3人(全て男の子)になること、長男が小学校に進学する、犬が1匹いる、などで収納にアタマを悩ませております。
希望としては、リビングに壁面収納を取り付けたい(テレビボードがあるのでそんなに大きなものでなくてOK)、リビング隣の和室(と言っても床はホモジニアスに張替え済み)を子供部屋(と犬のゲージ)として使用中であるが、ココに小学生となる息子のランドセルや小物類をしまえる収納が欲しい(学習机はまだ必要なしと判断してます)、および押入れ(天袋あり)を主人のクローゼットとしたい(スーツがやたら重い、大きいので小さいウォークインクローゼットは限界)という漠然とした思いがあります。
オーダーで作りたいとは思っているのですが、こんな漠然とした希望でお話を伺えますでしょうか。。」
と言うものでした。
これはメールでやり取りしていると難しそうだなあと思い、まずお話を伺ってみようと思ったのでした。
そして、さっそく4月の始めにお邪魔させてもらっていろいろとお話をお聞きしました。

リビングボード施工前
もともと、Hさんは都内のインテリアショップさんでキッチン周りのリフォームをすることになっていたので、一緒にリビングや子供部屋の家具もお願いするつもりで考えていたのだそうです。けれども予算が折り合わず、キッチンまわりだけそのお店に依頼して、その他の家具はどこか頼めるところを探していたのだそうです。
そうして、私たちを探してくださったのですが、Hさんとしてもこのリビングをどういうふうにしていきたいか、まだモヤモヤしていたのでこうしていろいろとお話できたおかげで一つの方向性がまとまりました。
今、Hさんが使っているモダンなテレビボード(左の写真の家具です。)をうまく活かしながら、囲うようにしてリビングボードを作りこんでいく。リビングボードとキッチンのリフォームされる家具(こちらはモダンと言うよりも少しレトロな印象となります。)が隣接するのでテレビボードからキッチンへとつなぐデザインとなるように。と言うのが大きなテーマです。そこにHさんが希望したルーバー扉を取り入れていく。そんなことを考えながら、ひとつのプランを作りました。

リビングボード参考図面
結構迫力のある家具ができそうです。Hさんに気に入ってくださってこのまま進むと思われたのですが、リフォームのほうの予算をいろいろと考えていたら、コストダウンしなくてはいけない部分が出てきて、急きょ縮小。オークのボーダー模様
結果として、リビングボードと言うか、ダイニングをメインに考えた収納となり、もう少しシンプルな形となりました。そして、もうひとつ大きな変更点はルーバーのデザインです。この頃、スリットを入れた家具を続けて作る機会があって、その加工のほうが溝を突くだけの単調作業だから加工手間が容易なのではと思ってしまったのです。ところが、これが実際は大変だったのでした。単調作業と言うのは、反対にシンプルな美しさを際立たせるので、スリットの隙間が少しでもずれると余計に目立つ。よって作業は慎重になり、いつものルーバーよりもかえって大変な作業になったのでした。そして、キッチンと隣接する右側の収納だけは、少しゴテッとした感じにしたくて、框扉にしたのです。
おかげで、モダンでもなく、レトロでもなく独特の雰囲気を持った家具ができあがりました。

子供用の本棚兼整理棚

お子さんが使う整理棚。きちんと愛着持って使ってくれるとうれしいなあ。

そして、もう1台の家具のご紹介。
お子さんのお部屋の家具の元のプランは下におもちゃ箱があって、それがガラガラと引き出せて、上は本棚になっていて、このようなイメージでHさんは考えていたのです。
そうして、できあがったのがこちらの家具。お子さんたちがこの和室ではなく、自分たちの部屋に持って行って使うことができるように、取付は簡単に。そうしておけば誰でも動かすことができますので。
そんなふうに家具を作っている頃、無事Hさんは3人目のお子さんを出産されて。
この家具を使うときは賑やかになりそうですね。

スリットが入ったオークの扉のあるリビングボード

上の扉4枚と中段の扉1枚の表面に3mm幅のスリットを入れています。自分で提案しておいていうのもあれですが、これは大変・・。もうしばらくこの形は控えましょう・・。


スリットが入ったオークの扉のあるリビングボード

下の扉や引き出しは、少し柔らかく見せたかったのもあり、出っ張った形の取っ手に。上から見ると富士山のように両端が斜めになっていますが、これは当初私が思い至らなかった部分なのです・・。


スリットが入ったオークの扉のあるリビングボード

それは何かというと、当初、両端を取っていない真っ直ぐした形で作って扉の開け閉めを試したら取っ手の角が隣の取っ手にぶつかって開け閉めできないと言うことに気づいたのです。そこで、急きょこの富士山型に。


スリットが入ったオークの扉のあるリビングボード

これがシマシマスリットのディテール。大変な感じが伝わりますでしょうか。


子供用の本棚兼整理棚

本棚の一番下は、文房具などを入れる浅い引き出し。


子供用の本棚兼整理棚

大きな格子模様に見える本棚はこう言う感じ。


子供用の本棚兼整理棚

一番下の引き出しは深めのおもちゃ整理箱。そのうち本箱になったり。


子供用の本棚兼整理棚

3人のお子さんと1匹のボストンテリア(取付をじーっと見守ってくれました。)が過ごす愉快な空間。

ナラのスリットが入った扉のリビング収納

価格:900,000円(制作費・塗装費)

ナラのおもちゃ箱兼整理棚

価格:370,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は60,000円から)

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