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「鉄を使って上品で美しい丸テーブルを作りたかったのです。」

金属の無骨で重たい印象をぬぐいたくて、うすいプレートとパイプを繊細な形でつなぎ合わせて、木目が澄んだ柾目材を組み合わせることで、とても静かな印象のテーブルになりました。
ある冬の朝、お近くにおすまいの私と同年代のご家族がお見えになりにこやかにこうお話してくださいました。
「ダイニングテーブルを探しているのです。リビングの空間が円形ということもあって、丸いテーブルで、かつ1本脚のものをずっと探しておりまして。この工房のことを知って相談に伺ったのです。デザインはね、もうお任せいたしますよ。」
もともと、ゼロの状態から物を生み出す仕事をしておりますが、仕事の性質上クライアントと顔を合わせながらお互いの思いをつむぎあげて一つの形を作りだしていくというプロセスで進めることが多いのですが、こう全てをお任せにされてしまうと、ムムムと少し黙り込んでしまうのでした。
「ありがとうございます、良い形を作りだせるように頑張ります。」とは言ったものの、なかなかまとまらず・・。しかし、まずは思いきって自分の好きなものを詰め込んでみようと思い、あれこれ盛り込んだ形で模型を作ることにしたのです。
モチーフとして選んだものは、大好きな造形のJean Prouveのアントニーチェアやゲリドンテーブルのような「美しい直線と曲線を持った工業製品的な要素」、そして、無骨な印象にはしたくなかったので、「面と線でだけでできる繊細な構成」、そして、1本脚のテーブルの弱点である不安定なぐらつきをなくして「繊細でも剛健な作り」と3つの要素でした。
工業製品として量産できるように部材は簡素化して、繊細さを出すために12mm厚のブーメラン状の5枚のプレートを9φのパイプと組み合わせるために放射状に並べ、パイプとプレートが互いを支える構造とし、プレート同士は接することなく自立させています。
また、剛健な作りにするためには、私が趣味で愛用しているトラックバイクの技術で「競輪選手が剛性を出すためにスポーク同士を溶接することもある。」という話を聞き、パイプの交点も溶接することで十分な剛性を出しています。
また、放射状に並んだ足のおかげで、実際に使用してみると、足を無理なく伸ばして座ることができたのは大きな収穫でした。
こうして思い描いた形が生まれたのでした。

素材

  • ナラ
    ナラ
    濃い目の黄褐色で、虎斑(トラフ)と言うトラの毛並みのような縞々模様が柾目材によく表れます。とても重く堅い木で家具材に適しています。タモよりも木目が優しく、タモは和風、ナラの洋風、な表情と良く言われます。

サイズ

W1300mm/H720mm/D1300mm

No.ta-dt02[libra]

価格:457,600円(本体価格 416,000円)
送料:別途ご相談

※構造上、組み立て式ではありませんので、私たちが直接お運び致しますので、ご住所をお伺いしましてから送料をお知らせ致します。

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