あたたかひとつながり

「タモのキッチン背面収納(食器棚)のオーダー」

茅ヶ崎 H様

design:Hさん
planning:daisuke imai
producer:number 8 furniture
painting:tsuyoshi kawaguchi

「Hです。
さっそくご連絡いただきましてありがとうございました。明日の土曜日お伺いします。少し人数が多いですが、だいじょうぶでしょうか?主人、母、息子(0歳)、わたしの4人です。
ブログでの事例を拝見させていただきました。細やかなお仕事の数々でこの方なら話を聞いてくれそう、、と勝手に思ってしまいました。
背景から言うと、わたしがフルタイムで働いているため、おもにキッチンに立つのは母です。
家は先日引っ越したばかりの建売の新築ですが私としてはあまり気に入っていないので、せめて使い勝手がよく素敵な家具をつけ、なんとか好きになりたいと思っております。
また、母はとくに背が低いので、作りつけのシステムキッチンの収納が使いづらく、「吊戸棚に手が届かないなど」せっかくの収納がまったく生かされていない状況です。
今、ガラスのキャビネットをひとつ置いてあるのですが、0歳のよちよち歩きでいつガラスに顔をつっこまないかとヒヤヒヤしております。
キッチン部分が部屋の真ん中にあり、背中に冷蔵庫や食器棚を置くような作りの家なのですが、背中部分が横に長く、ここに食器、キッチン家電から、ゴミ箱、書類、ちょっとした文具や工具、レシピを閲覧するための本、電話、モデムや配線、できればプリンタや掃除機まで収納できるようにしたいのです。
とにかく、母がモノをためこむタイプで…母が来てから家のモノが3倍くらいに膨れ上がりました。
背の低い母が身体にムリないよう使いやすく、また子どもや主人が片づけやすくしたいと思っています。
また、外見で言うと私は古いものが好きで、家の中は拾ってきたりしたユーズドの家具ばかりです。
また、真っ白とかシンプルという質感が苦手で・・・家の中は色のついたものが多いです。
そういったアイテムとも調和をくずさないようにしたいのです。
使い勝手は母の良いように、見た目はわたしの好みに、というのが理想です(笑)。いきなり、難しいお願いばかりですが、何卒お願いいたします。
明日お話できるのを楽しみにしております。」
うーん、難しそうです・・・。

キッチンからダイニングにつながるタモの背面収納

そして、できあがりはこのような形。見た目の印象はとてもシンプルですが、なかなか使い勝手良くコンパクトにまとめられた気がします。最初は、好みの樹種のイメージ優先でチェリー材での製作を考えていましたが、採寸にお伺いしていろいろとお話を重ねるうちに、タモ材の雰囲気が好みにあっていると分かり、タモ材で製作したのでした。
うん、この場所にはチェリーよりもタモのほうがしっくりきています。

キッチンからダイニングにつながるタモの背面収納

なかなか複雑な形になってくると、メールでご要望を頂いて、私一人で悶々と考えているだけではなかなか良い案が出づらいのですね。メールのやり取りなどしないで直接お話しすることから始めたほうが良い形ができることが多いのです。 そのようなわけでこちらまで来て頂けるのはとてもありがたく、またどんなお話に広がるかが楽しみでした。 そうして、打ち合わせをしながら考えた最初の形がこのラフスケッチです。このスケッチを見ただけで何だか楽しい家具になりそうな雰囲気です。

キッチンからダイニングにつながるタモの背面収納

一番好きなアングル。とても無骨な印象なのですが、その人の使い方によってどんどん魅力が増すかたち。 家具が生活の道具だなって思わせる形です。何であのスペースが開いているのか、吊戸棚の下にはどんなカップが並ぶのか、これからが楽しみだなって思わせてくれます。

取付作業の合い間、用意してくださったお昼ご飯を頂きながら、お二人で拾ってきたと言う本棚を見せて頂きました。どのくらい時間が経つのか分からないくらい年経ていた木の棚。クサビは時々抜けてなくなっちゃったから、私たちのところから持ち帰った木っ端が斜めにクサビにされていたり。Hさんの暮らし方が伝わる本棚でした。「もうグラグラですけれどね。」と笑う奥さん。
その人となりがこの食器棚にも現れるのが楽しみです。

キッチンからダイニングにつながるタモの背面収納

この家具の左端の扉を開けるとこのようになっています。プリンタをしまって置けるスライドテーブルがあって、その下は壁にあるアウトレットから無線LANの親機やルーターやケーブルテレビのアダプタなど配線がゴチャゴチャする機器がしまいこまれ、天板上には電話が置かれます。

キッチンからダイニングにつながるタモの背面収納

機器類をこのあたりにまとめられたので、とてもすっきりとしました。

キッチンからダイニングにつながるタモの背面収納

家電収納あたりの印象。

キッチンからダイニングにつながるタモの背面収納

こちらは根菜をしまう引き出しとその上が炊飯器を置くスライドテーブル。

キッチンからダイニングにつながるタモの背面収納

吊戸棚の印象。

取付後に一度お伺いする機会がありました。
何だかほんわかとした空気が漂っていました。
あれ、それは何でだろう、って思っていました。Hさんの思いが詰まったものたちが置かれて、もうすっかりHさんの色になっているカップボードを見たからだろうか、いや、違いました。
ふと見ると、テキパキと働くお婆ちゃんと奥さん、そしてリビングには、ご主人とお子さんと、そして近所の子供たちがみんなでテーブルを囲んでご飯を食べていたのでした。
ああ、この優しいみんなの気持ちがリビングに満たされていたからだな、そして思わず微笑んでしまいました。

タモ板目のキッチン背面収納(食器棚)

価格:700,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は18,000円から、取付施工費は45,000円から)

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