オーダー製作例

宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン

木々があいさつしてくる

武蔵小金井 M様

design:Mさん
planning:Mさん/daisuke imai
producer:yasukazu kanai
painting:haraki tosou

宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
「じゃあ、せっかくなので、お二人がキッチンに立ち様子を写真に撮らせてください。」と言って、お茶を用意してくださっているところをパチリ。ご主人のシャツの片方がめくれあがっているのは、マトリョーシカがちょうど隠してくれました。

「実はあの時に、偶然お父様が工房に立ち寄らなかったら、今の話はなかったかもしれませんね。(笑)」とMさん。
「私たちは、いろんなところに出掛けるのが好きでね。」とキッチンに並ぶお猪口たちを見つめます。
「このお猪口たちもいろんなところに出掛けて作家さんにお話しして一つずつ気に入ったものを集めてきたのです。そう、それで、私たちは時々出掛ける北欧家具のお店があるのです。それが伊勢原にあるtaroさんという北欧のヴィンテージ家具を扱っているお店に出掛けていたのです。」
「あ、知っています。私も行ってみたいなって思っていました。うちからも近いですし。」
「そう、taroさんのところに行った後に、そういえば興味があるキッチンを作っている工房があるなって思ったのです。この武蔵野からだと、神奈川県の真ん中あたりに出掛けるのってちょっとした小旅行なのです。だから、いくつかいろんなところを回りたいなって気持ちがあって。でも、イマイさんのところは特にきちんと予定していなかったから、もしかしたらキッチンが見られるかも、っていうくらいの気持ちだったのです。」
「それで、ちょうど工房の前を通りかかって、工房をそれとなくのぞいていたんです。でも、お休みのようで誰もいらっしゃらなかった。」
「すみません、私は打ち合わせでその週末も出掛けてしまっていまして・・。」
「そうしたら、偶然イマイさんのお父様が通りかかったのです。「良かったら見ていってください。」そう言ってくださって、それでお邪魔させて頂いたのです。でも、お父様はもう現役ではなかったですものね。だから、キッチンんとお話をするよりはもっと別の話をしてとても惹かれたのです。それは、私が設計したレコーダーをお父様が持っていたのです。」
なるほど。面白いなあ。
父は昔からずっと家具だけではなく音楽に携わっていますので、いろんなところでつながりが生まれるのですね。
そのような感じで、Mさんとのお付き合いが始まりました。

宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
パントリーからキッチンの見た時の様子。
宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
アイランドキッチンは四方から物がしまえるようなデザインで、ぐるりと歩いていると楽しいキッチン、という印象になっていました。Mさんらしい。

宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
冬に伺った時の写真。玉川上水の樹々は葉を落として向こうの空が高く見えます。

そのようにしてMさんには、キッチン以外でとても勉強になるお話を戴きました。
「そうですね、いくつか予定を立ててぐるりと回りたいって気持ちわかります。」
「うん、私たちもtaroさんのほうに出掛ける時は、1日使って、taroさんに行ったあとに、伊勢原の農協に行って野菜を見せてもらって、そのあとに鶴巻のほうでお風呂に入って、のんびりしてから帰ってきたりすることもありました。やはりその土地に出掛けるからにはその土地を楽しみたいなって思っています。
イマイさんの工房の近くも田畑が多くて、なかなか魅力的です。周りにもっと立ち寄れるところがあると良いのですよね。」
「それは私も常々思っています。倉見と言う町は、特に大きく目立ったお店が少なくて、よく工房を見に食てくださったみなさんに、帰り際に「どこかで美味しく食事をとれるところがありますか。」って聞かれるのです。でも、なかなかこれっていう場所がなくて・・。最近はようやく新しい家々も建ち始めて、少しだけ魅力的なお店もでき始めているのですが、私たち自身がまだ横につながっていなくて・・。
例えば、最近はクラフト市っていろいろなところで開催されていますよね。それを父も企画するのですが、なかなか小さな町のお祭りの印象から抜け出せなくて・・。」
「なるほど、私が思うには、やっぱり1日かけて遊びたい、と言うか、その町でぐるりとしたいわけです。別に1か所にとどまらなくても良いのです。たとえば、○○で美味しいご飯が食べれてそこから、歩いて少し歩いて行くと○○のお店があって、さらには家具の相談だったら、そこから車でちょっとでイマイさんのところがある。ひと休みしたかったら、そこから車でちょっと走ると温泉があって、ごろりとひと眠りできる。」
「やっぱり温泉なのね。(笑)」と奥様。
「うん、やっぱり出かけたらお風呂に入ってさっぱりしたいじゃないですか。(笑)だから1日かけて街を周遊できるようになったらその街の魅力はぐんと上がるんじゃないでしょうか。」
おぉ、なるほど。楽しそう。
「今後の大きな課題ができました。頑張ります!」
そのような感じで、大変勉強になったMさんとの打ち合わせだったのです。

宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
いつか食器洗浄機を入れる場所は今はこのように使ってくださっています。

玉川上水沿いに新しく家を建てることになって、その家に私たちのキッチンを迎えたい、そういう夢をお二人はお話ししてくださったのです。
そして、どうやら今回のキッチンは奥様の思いももちろんですが、ご主人の熱情のほうが強いみたい。
頂いたスケッチ(ご主人作)を見るとその気持ちが良く良く伝わってくるのでした。

宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
ご主人が描いたスケッチ、その1。

宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
ご主人が描いたスケッチ、その2。

私と年齢も近いMさんご夫婦。いろいろとざっくばらんにお話が出てきます。
今住まわれているアパートメントにもお邪魔させて頂き、何を必要として、何を必要としないかといろいろと見せて頂いたり、お持ちのラフな印象の家具たちも見せて頂いて、どんな暮らしを思い描くのかをいろいろとお話ししてくださいました。
また、ご新居を設計する建築士さんもMさんのご友人ということで、その家作りはどこか童心を感じさせる温かな気持ちのまま進んでいくのでした。

ハイランドデザイン 一級建築士事務所
http://www.highland-design.com/

宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
ソフトクローズスライドレールを使った引き出し。引き出しの底につけるので、その分、引き出しの深さが取られてしまうのですが、開けた時の見た目はレールが見えなくてとてもすっきり。

建築士さんの高橋ご夫妻も交えて、キッチンの形も決まり、製作も順調に進みました。
確か最初に私たちのところにお立ち寄り頂いたのが1月、今はもう10月。秋ですね。
その秋が深まり始め、玉川上水や小金井公園の樹々も秋を迎え始めようとしている頃、いよいよ取付です。

宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
こちらはアイランドキッチンのバルコニーに面した側。フキン掛けとカトラリーケースが置かれているのです。

ようやくキッチンを据えられるということで、現場に赴きましたが、大工さん作業の真っ最中。
この現場の様子を見て、「まだ時期的に取付は早かったのではないだろうか。」と思っていたのです。特アイランドキッチンを据えてしまうと、スペースが狭くなってしまうわけですから、他の業者さんの邪魔になっちゃうかもしれまません。
でも、そんなことはありませんでした。
大工さんの気配りでスペースを開けてくださって、足場を一部解体していよいよ搬入です。足場があるうちのほうが搬入は楽でしたし、バルコニーの手摺がついちゃうと、搬入がとても大変になっちゃう。そのような搬入のたびにあばらに手摺が食い込んで何度傷めたことか・・。
そのようなわけで搬入はスムーズに終わり、スペースも開けて頂けたおかげで取付もスムーズに完了。

宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
こちらはアイランドキッチンのパントリー側。レシピ本が見やすく使いやすいようにこのように並んでいるのです。

途中に、Mさんやハイランドデザインの高橋さん夫妻も見に来て下さって、和気あいあいと作業は進むのでした。
こうして、ひとまずキャビネットを壁に設置する作業は完了して、ガスコンロなどの組み込む機器類も組み込んで、あとは壁が仕上がって機器のつなぎが終わったら仕上げに引き出しなども持ってきて完了。
なかなか大きなキッチンでしたが、皆さんのおかげでスムーズに設置ができてひと安心。

宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
こちらはアイランドキッチンのダイニング側。このオープンスペースがあると、キッチンがより家具らしい印象になってきますね。

そして、無事残りの工事も完了して、お引き渡しのあとにあらためてMさんを訪ねたのでした。

「イマイさん、このたびはお世話になりました。おかげでとても素敵なキッチンになりました。」
そうご挨拶頂いて、2階のリビングへとお邪魔させて頂きました。
わぁ、懐かしい。それが第一印象。
どこが懐かしいのか具体的には説明しづらいのですが、そう、玉川上水を挟んで向かいにある小金井公園の中の「江戸東京たてもの園」の中にある近代建築の中に足を踏み入れた時のような印象。

宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
こちらがご主人が熱望していたアガチス材で作ったお猪口を並べるケース。中にポンと置かれているので、引っ張り出して飾り棚のようにして使うこともできるのです。

細いサッシの向こうに見える色づいた樹々。手前でキラキラ黒光りするタイルと、質素(と言っていいのか、シンプルと言えばよいか)な木柄のキッチン。建具もどこか懐かしい表情。
どっか懐かしくて温かい広間だったのです。
「本当はイマイさんにはダイニングテーブルが届いてここが整ってからいらして頂きたかったのですが、まずはこの状態も見てもらいたかったし。来て頂いてありがとうございます。」
「こちらこそ、こんなにすてきに使ってくださってありがとうございます。そして、この抜けた印象、すごく気持ち良いですね。」
「うん、当初は窓をこれほど大きくするつもりもなかったのですが、高橋さんがこの印象は必ず実現させたいって言っていたので。どんなふうになるかなって楽しみだったのですが、緑がきちんときれいに入り込んでくる野はやはり窓を大きくして正解だったかな。」
「はい、まるで公園の木がMさんのところに挨拶してくれているみたいで、気持ちが良い景色です。」

宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
「一つずつ作家さんのお話を聞いて集めてきた器で、どれも気に入っています。」と言いながら、それぞれのエピソードをうれしそうにお話ししてくださいました。器がただの器ではなく、その人にとって大きな存在となるとはこういうことなのですね。

「そうですね、まだダイニングテーブルが届いた頃に遊びにいらして下さいね。」
そうにこやかにおっしゃってくださったMさんご夫婦の後ろの樹々はもうすぐ紅葉する頃でした。
四季が目の前きちんと移り変わる様子が分かるって良いなあ。

宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
タイルとキッチンのバランスがとても美しく、メリハリのある空間になっています。
宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
引き出しの様子。
宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
こちらのコンロ側の引き出しは、Mさんの希望で、この出っ張った手掛けにしています。シンク側は濡れた手で触っても良いようにステンレスのハンドルをつけていて、そのメリハリも面白い。
宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
調味料用の引き出しは今回は専用の金属製のものを採用。
宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
コンロの下には、いつものお馴染のスライドワイヤーシェルフ。引っ張り出せて、さらには汚れたら簡単に取り外して洗えるところが良いところ。
宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
こちらもMさんが強く希望していたいろいろなパンたちの収納。以前に「手ぶくろのような温かさ」の鵠沼のOさんのところで作ってから評判の良い収納方法なのです。

宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
そpして、もう一つ強く希望されていた大きなお皿を立ててしまうための引き出し。おぉ、贅沢な収納方法だ。でもこれがとても使いやすいのです。
宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
2階から見下ろすとこのような感じ。今回のステンレスは、表面に丸い弧を描くように模様をつけるバイブレーション仕上げ。ヘアラインよりもより光沢が抑えられて、しっとりした印象になっています。
 

宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
引いて撮る。
宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
シンク側の収納はシンプル。シンク下はオープンにしておいてゴミ箱を置くスペースに。その隣は食器洗浄機(予定)のスペースと4段の引き出しのみ。
宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
キッチンを考えるにあたって一番の参考になったという「木漏れ日の家」の稲城のUさんのキッチン。そのキッチンの印象が好きで、今回天板がキャビネットから浮いている印象にしましたし、この水栓も同じKAKUDAIのものを採用しているのです。そして、洗剤ポケットとバーがその奥に見えますね。
宙に浮いたようなステンレスカウンターのあるナラのキッチン
そして、水切りプレート。
キッチン仕上
天板 ステンレスバイブレーション
扉・前板 ナラ板目突板練り付け
本体外側 ナラ板目突板練り付け
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 ウレタンクリア塗装ツヤ消し仕上げ
シンク側アイランドキッチン
価格:940,000(製作費・塗装費のみ、設備機器は別途)
コンロ側壁付けキッチン
価格:770,000(製作費・塗装費のみ、設備機器は別途)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は50,000円から取付施工費は120,000円から
ちょっと関わりのありそうな家具たち

オーダー家具のある暮らし