たずね歩く

2018.04.07

20180407002昨日の朝、女性からお電話を頂きました。「あの、以前にキッチンのカタログを送って頂いたものなのですが、今日そちらにお話を伺いに行ってもよろしいでしょうか。」と。
その日は、お昼過ぎから予定がありましたので、時間が取れても1時間ほど・・。それだと、きちんとしたお話はできないかなぁ、と思っておりまして、素直にそのようにお伝えしましたら、「そうですか・・、でも実は私愛媛からきているのです。」
「愛媛ですか!」
いろいろとお話を聞くと、もうしばらくしたらこちらに戻ってくる予定で、今は愛媛にお住まいとのこと。またこちらのほうに足を運べる機会もすぐにはないので、できれば今日イマイさんのところに行きたかったのです、ということで、そんなことを言われてしまったら短い時間でもお話したい気持ちになってしまうわけで。
ご主人が先に仕事でこの神奈川県に住まわれているということで、その仮住まいから急いでこちらにいらして頂けることに。
そうしてこちらに来られてから1時間ほどキッチンやそれ以外にもいろんなお話を聞かせて頂き、そこでタイムリミット。あとはアキコにお話を引き継いでもらって、本日ちょうど都内に打ち合わせに出掛ける予定がありましたので、その打合せの後にこちらに戻ってくる時の住まいを見せて頂くことになったのでした。
一方その頃、カナイ君とコバヤシ君とワタナベ君は調布のWさんのところまで。今回初めてお仕事をさせて頂くINUさんから頂いたお仕事です。
INUの木村さんのデザインで、ちょっと写真だと分かりにくいのですが、本体はシナ合板とバスウッドを使い、扉や引き出しの前板には、瀧澤ベニヤさんのペーパーウッドを使っています。シナの無垢材の間にメラミン樹脂のようなカラフルな樹脂板がサンドイッチされている魅力的な素材です。
「それがチラッと見える感じにしたいのです。」ということで、扉の手掛けの丸い穴からチラッと見える感じになっているのです。
取付は順調に終わったようで、17時過ぎにカナイ君からショートメールが入りました。初めて使う素材でしたがきれいに納まったようでひと安心です。
私のほうは、まずは品川のYさんのところにワードローブの打合せ。
以前に製作した「木立のなかで着替えましょう」の鎌倉のNさんのようなシンプルな形をお姉さんとご自身で使うものを作りたいということでご相談を頂いていたのでした。そしてそのYさんは以前にやっぱりクローゼットを作らせて頂いた「Wafer」のFさんのお友達。うれしいつながりです。そのFさんも打ち合わせにいらしてくださって、Yさん姉妹とFさんの女性3人に混ざって打ち合わせです。
「さあ、イマイさん、女子会、女子会ですよ。」とコーヒーとチョコレートを頂きながら、いろんなお話をしていきます。
「私はね、もうイメージが固まっているからもっとすんなり自分のなかで形が決まると思っていたの。」とYさん姉妹。
実はいろいろとお話をすることでいろんな形の可能性が見えて、悩み始めてしまったのです。
「家具の打ち合わせが1回でまとまることなんてないのよ。私の時もいろいろ悩みましたものね。特に格子のサイズなんか。」とFさんが懐かしそうにお話します。
そうですね、やっぱり何でもご要望にはお答えしたいと思いますので、その可能性を知ると皆さん悩みます。
ですので、まずはYさん姉妹の要望をまとめてまたメールしてくださいね。よい形になるようにがんばりますので、きちんと考えていきましょう。
そう言い残して、今度はもっと海のそばまで。
昨日いらしてくださったAさんのお住まいを見に行く約束でした。
リノベーションということになるので、内装工事をお任せできる良い人を思いめぐらせていたら、ナチュラルウッドの伊藤さんに思い当たり、伊藤さんにも現場にいらして頂くことになっていたのでした。
だんだんと日が陰って、思っていたよりも涼しい風が吹くなか現地に到着。
さわやかなAさんの笑顔が迎えてくださって、まだどんな形のリノベーションになるのか手探りな部分がありますが、いろいろな思いを聞かせて頂きました。
伊藤さんもそこらじゅうの寸法をきちんと測ってくださって、どんな形で動き出すのか楽しみです。
先日、INUの木村さんがいらしてくださった時に、男二人で愛についてお話しておりました。
Fさんを交えたYさんとのお話も、Aさんとのお話も伊藤さんとのつながりもすべて優しさに包まれた世界。
良いつながりでこうして巡り合えたことがほんとうにありがたいことです。

きもちの循環

2018.04.05

こういうちょっと変わったものを作らせて頂く機会があります。
私たちのもの作りの考え方や取り組み方を評価してくださってわざわざいらしてくださる皆さんがいてくれます。

今日は中学校の入学式でした。

「今年はみんなに迷惑をかけるかも知れません。」
スタッフのみんなにそう話していたように、この4月から慌ただしくなりました。再び子供たちがいる場所に顔を出す役を務めることになりました。
今年は来賓として参加させて頂いたのですが、ついこの前卒業した子供たちが少し大きな制服を着てとても立派に背筋を伸ばしてここに座っている。
そういう子供たちの晴れ晴れした節目に立ち会えること、とてもありがたいことです。
式の後、上級生からの贈り物として歌が披露されるのですが、昨年は私たちが聞かせて頂く立場でしたが、今年はハルカたち上級生が新一年生たちに披露する番です。
早いなあ。
そして、子供の成長は素晴らしいなあ。透き通る歌声に久しぶりに胸が高鳴りました。
昨日まで近所の上級生を〇〇のお姉ちゃんと呼んでいたのが、その日を境に〇〇先輩になり、それがもう後輩ができる立場になって。
私は娘に何かしてあげられただろうか・・。
どんどんといろんなことを吸収して、自分のもとから離れてしまうようで立派な様がどこか淋しく感じながら歌を聞かせてもらいました。
ビバ、中学生。
君たちは、自分の信じた道を進んでいるけれど、私たちはここからそっと見ています。

自分が中学の時はまわりの大人がどんなことをしているのかなんて良く分からなかった。
でもね、やっぱり君たちは自分だけで育っているように思えても、みんながいて大きくなっていくし、君たちがいてまわりも輝いていく。
先日、校長先生が無事に退任されるということで、自治会長さんたちの集まりに私もお声掛け頂いて参加してきたのです。
まわりはもう私から見るとおじいさんばかりだけれど、みんな私などよりもっと元気で、もっとこの町や子供たちのことを一生懸命に考えていて、先生たちもそれがうれしそうで、いい町にいるなあって、飲んではつがれるお酒を頂き、フラフラになりながらしみじみ思ったのです。
そういう町に居るから、そういう人たちに応えられるようになりたいって思えるし、子供たちもいつの間にかそういう気持ちを心のどこかで感じてくれているといいなって思っている。
そして、それが社会に出てから、きっとみんなのために応えることで自分がもっと輝いていられるってことに気づいてほしいなと思っている。

すてきなきもちの循環があるのですよ。
たくましくしなやかに大きくなれ。

明日もみんなには迷惑を掛けますが、よろしくお願いします。

SSSさん

2018.04.04

地下鉄の駅から穴倉のような道々をぽつぽつと上って外に出ると今度はこんもりとした山を一つ乗り越える。
山の上から見るまわりは初夏の陽気です。
すれ違う人はゆっくり通り過ぎるし、影がもう黒くて短い。強い風が心地良いのが幸いです。
ここは私道、大型通り抜けお断りの道を過ぎて、自分の背よりも低いガード下をくぐるとDAILY
SUPPLY SSS
さん。
「こんにちは。」
オープンしてから立ち寄ることができていなかったので、時々届く写真とお便りでその様子を見ているだけでした。
そしてそこはとても雰囲気のある場所に変わっておりました。
「こんにちは。」
中で迎えてくださったのは体の大きなひげ面の男性4人。女の人が「いらっしゃいませ。」って言ってくれたらもっと柔らかい印象かな(笑)
そこに私も入ったらひげ面5人。なかなか不思議な雰囲気です。
そして、いろいろと混ざった空間の片隅がシキナミさんのアトリエ。
「ああ、イマイさんが来るんだった。うっかりしていました。」
今度シキナミさんの設計する家にキッチンなどを作らせて頂く予定なのです。

打合せを終えて、隣に作る予定のアトリエのお話をオダギリさんに聞かせて頂いて。
いいな、楽しそう。
次のステージ楽しみにしております。

かぜがつよい日

2018.04.04

花びらはそこかしこに散りぢりになってすっかり緑色ですが、よいね。
みんなうれしそう。
風がとても強いけれど、みんなの気持ちのほうがもっと強いね。

タモ柾目の食器棚

2018.04.01

今から15年前ですね、Kさんの食器棚を作らせて頂いたことがありました。そのKさんのおかげで、そのあとに同じマンションの1階下に住んでいたFさんにも食器棚を作らせて頂いたり、その後そのマンションからお引っ越しされたFさんのご新居にも食器棚をあらためて作らせて頂いたり、といろいろとご縁があった海老名のマンションにお住いの皆様。そのKさんのお隣に住んでいたKさんは、「いつかイマイさんに食器棚をオーダーするって決めていたのです。やっとその時が来ました!」と、ご依頼頂くときにそうおっしゃってくださいました。
とてもとてもうれしいです。

最初のKさんはカバ、Fさんはチェリー、そしてクルミ、Kさんはタモ。皆さんそれぞれの色があるのです。
すてきな食器棚ができあがりました。
ありがとうございました。

他にはないかたち

2018.03.30

12月にお邪魔させて頂いたFさんのところに再び。
Fさんは少し目を悪くされていて、棚下の明かりがちょうどまぶしく映ってしまうということで、カバーを作ってつけてきたのです。
なかなかないかたちでとても良い印象です。
光源が絞られたおかげでかえって少し落ち着いて柔らかい明りになったように思えるのは気のせいでしょうか。
家作りの楽しさはこういうところでもあります。

休日

2018.03.30

昨日はお休みを頂いておりました。
中学生になると部活が始まって、家族の休みが取れるのは春くらいだよ、と言われていたのはやはりその通りなのでした。
春はハルカの誕生日ということもあって、彼女の念願だったディズニーランドへ出かけてきました。
私が子供のころに来ていた場所にこうして自分の子供を連れてきてもなお自分自身でここはすてきだなと思えるのは、ほかの遊園地にない何かがあるからなのです。
日中はたいへんな人の数で賑わうなかを隙間を縫うようにして歩きながらも、それは何かなって温かな気持ちでいられる元を探していたのですが、夜のパレードを見てそうだよねって思ったのです。
「世界中どこだって笑いあり涙あり みんなそれぞれ助け合う 小さな世界」
みんな自分の信じるものがあって、決してみんながみんなを分かり合うのは難しいかもしれないけれど、できる限り助け合ってみんなで楽しく進んでいこうよ。っていうこの歌を聴いて、ああそうか、ここに来るとどこか優しい気持ちになれるんだって思い出したのでした。
こういう気持ちになれる場所があるのは良いよね。

ちなみに写真は、最近スターウォーズがすっかりお気に入りになったわが家のジェダイのチアキです。

チェリー柾目の魅力

2018.03.27

先日取り付けた三鷹のOさんの食器棚。久しぶりにアメリカンチェリーの柾目の突板を使いました。
チェリーという木目の印象や色を好まれるかたには、なるべく一度お伝えしているのが「柾目を使うのも良いですよ。」というお話です。
無垢材だとこんなに贅沢な木取りはなかなかしないので、突板ならではの表情なのかもしれませんが、このスゥっとした心地良い緊張感は柾目だから出てくるのです。
チェリーの板目の優しいラインやところどころに現れるガムスポットの良いリズムはそれはそれでとても魅力なのですが、チェリーの柾目はまた独特の空気があります。
それを強く教えてくれたのは、「すきな柄」品川のKさんかも知れません。独特の見方を私に教えてくれた不思議な方でした。でもあのでき上って1年経過した時にお伺いして見せてもらった柾目の上品な感じは、とてもすてきでした。
その魅力を今回はOさんにも理解して頂いて、できあがったのがこの形です。
使う人と作る人の対話があってこういう形が生まれるのです。
私たちが皆さんに提供できるのはそのような素晴らしい対話の中から生まれた形です。

はざま

2018.03.25

20180325002昨日と今日はどうしても見ておきたかった行事がありまして、一日半のお休みを頂きました。この週末に何か家具のことをご検討くださっていた皆様すみません。
ハルカがこの1年間活動を続けた吹奏楽部の成果を見せる発表会があったのです。
これまでよく耳にした中学に入ると子供が頑張って大人に近づこうとする、というように、ハルカもだんだんと自分でいろんな方向へと進もうとしていく姿を嬉うれしいようなさみしいような気持ちで見ておりました。
そして、先生たちはこども達に自分を信じて前に進むことを気持ちよく伝えてくれて、それに応えるように子供たちも自分なりの大人像を見つけようと頑張る姿は、とても頼もしく映るのでした。
昨年から再び学校の役員として学校の様子を拝見させてもらっているのですが、小学校とは違ったこどもの頼もしさに自分たち大人などが口出ししなくてもきっとうまく学生生活は回っていくのだろうと思わせる頼もしさを感じておりました。
そして、昨日はその吹奏楽部の定期演奏会。3年生が卒業して、2年と1年が1年間の活動の成果を発表する日なのでした。
親として、役員として、そのできあがりを聞かせてもらい、1年間でこれほど人は成長するんだなって、あらためて自分たちには遠い昔になってしまった子供たちの吸収の素晴らしさに微笑ましく思ったのでした。
でも、頼もしさは何となくそこまで。演奏が終わって、みんなのあいさつも終わって、片付けが始まると・・、みんなうれしさが残ったままだからかなかなか片付けがはかどらない様子。
見かねて、親たちが手を出し始める。だって下校時刻が過ぎちゃうもの。
知り合いのお父さんやお母さんもみんなで手伝ってぱたぱたと椅子や道具を運んでいく。通り過ぎる部員の子たちが、「ありがとうございます。」と可愛らしく挨拶をしてくれます。
こういう作業って好きなんですよ。なんだか自分たちも学生に戻ったような気がして。そのうえ、こども達に喜んでもらえるならそれはそれはうれしいよね。
ふと、作業が終わってみると、こども達があらためてありがとうございます、と。
なあんだ、そうか。まだ子供たちはこども達なんだよね。みんなの笑顔や廊下の隅ではしゃぐ様子を見ていると、頑張ってみんな一人ずつでかんばっているように思えても、やっぱりまだ子供なんだ。そう思うとどこか安心できたというか、うれしかったのでした。

翌日郊外でて、今日は市内の中学校が集まって合同の発表会。
昨日の子供らしさはどこかに隠したみんなは舞台の真ん中で立派に素晴らしい演奏を聞かせてくれたのでした。
こどもっぽさの抜けたりりしい姿に再び少し寂しくうれしくなったのでした。

ちがう形

2018.03.23

いまさらながら、全部ちがう形だよねって。
同じ形なら作ることは簡単になってくるのかもしれないけれど、少しずつみんな違うことが当たり前なのでやっぱりそれを形にするのは大変なことです。
みんなが図面を見つめながら難しい顔をしている理由がよく分かります。
図面のその奥に見えているその線を探しているのですね。
その見える線と見えない線をつないで、ただ一つの形に結びつけているのです。

ようやく

2018.03.23

雲がきれて春になりました。
いろいろキラキラしています。

アイアンとタモのテーブル

2018.03.19

昨年末、クレミルに来てくださってその時にこのテーブルの質感を見て頂いて、オーダーくださったIさん。先日そのテーブルをお送りしまして、ようやく椅子が揃ったということで写真をお送りくださいました。
Iさん、大阪からテーブルを見るためにクレミルの時期に合わせて、ここまで来てくださったのです。
本当にうれしいことです。
これで、大阪にお住まいの方にこのテーブルをお届けしたのは2作目です。遠くからでもこの形の魅力を感じてくださる皆さんがいることに感謝しております。
Iさん、ありがとうございました。

親子レッスン「離乳食教室」のお知らせ

2018.03.16

来月4月に離乳食インストラクターの Hug baby教室 はじめりさ @hugbaby0312 さんに工房2階のショールームで離乳食教室を開いていただきます!引き続き募集中ですよ!

日々子育て・家事をしながら離乳食を作るママには色々な感情がありますよね。離乳食の進み方や食べる量はお子様一人一人違います。Hug baby教室では赤ちゃんとママの気持ちに寄り添った方法をいっしょに考えます。
【教室のご案内】
2018年4月16日(月)10:30〜
和の離乳食パクパクセミナー 初期〜中期コース
2018年4月18日(水)10:30〜
和の離乳食パクパクセミナー 後期〜完了期コース
【参加費】
¥3,500
【持ち物】
笑顔・筆記用具・エプロン・いつものお出かけセット
*レッスン内容詳細はblogページまたはFacebookページよりご確認ください。

お子様とご一緒にご参加いただけます。プレママも大歓迎です!皆様とお会いできることを楽しみにしております♡♡ お問い合わせ
instagram:@hugbaby0312 のDMから、またはメール hugbaby0312@gmail.com よりお願い致します。

【教室チラシ設置場所情報】
*寒川町子育て支援センターコスモスの郷
*TRATTORIA MOKICHI(香川駅)
*パンドラのはこ(レンタルスペース)
に置かせていただいております。
気になる方は是非手に取ってみて下さい

ビスポーク

2018.03.14

201803140062018031400320180314005今日は沼津のMさんの細かい細工を施しに現場へ。監督の内藤さんも解錠しに来てくれて、Mさんもいらっしゃって最後の顔合わせ。
作業が終わった後、Mさんがおもむろに、「お二人に少しお話があるのです。」と。
そして、カバンから取り出したのは2足の革靴。
「ビスポーク(bespoke)って言葉をご存知ですか。」と私よりも歳がうんと若いMさんが切り出します。
もちろん聞いたことはないのでした。
「オーダーメイドに近い言葉なのですが、より深く依頼主の好みを反映させた注文、という感じになるのでしょうか。対話を繰り返すことで、作り手と使う人がより近い関係になる物作りというか。」
「この2足の靴は友人にオーダーされたものなのですが、自分で納得がいかなくて自分で履いているものなのですが、何というかこう言葉にしづらいのですが、思いが未達なところもあってそのまま渡すことができなかったのです。」
「そして、こうして新居ができあがってとてもうれしい反面、もっとこうしたら良かったかなって思いもまだたくさんあって、不満ではなくて、反省だったりして。だから、自分の今がこの靴と同じなような気がして。
それでもこうしてできあがった姿はとてもとても好きです。でも、何というかもっと対話をしたかったなあって。もっと作っていたかったなあという気持ちで、終わってしまうことが少し寂しく感じてしまったり。」

でも、これからが始まりですものね。使い続けていくうちに暮らしは変化し、家や家具もそれに応じて、姿は変わらなくても中身は変容していきます。そうなる節目節目で私たちとまた対話してもらえたらうれしいな、と思って現場を後にしました。
まずはお引っ越し後にまだお伺いします。

2018.03.14

20180314001みんなで丸くなって食事する形は良いよね。
微笑みながら、おいしそうに食べる姿が見られるのは良いよ、ほんとうに。
温かくなってきましたからね。
まるで日差しを浴びながらピクニックのようにみんなで食べられるのは良いよ、ほんとうに。
そんな暮らしに思いを巡らせつつ、この素地のような色で仕上げた脚はどのような天板が合うのか悩んでいるところです。

ブラックウォールナットと、鏡面ホワイトのオーダーキッチンたち

2018.03.13

2018031300220180313003201803130041階のお父さんお母さんが過ごすキッチンは白い鏡面仕上げのキッチン。
「あたしはね、どんな形のキッチンでも大丈夫よ。だから、お任せするわ。」と言っていたお母さんのキッチンは、お母さんの好みが分かってからは最初の形からぐんぐん変わって、ブラックウォールナットと白い色の対比が魅力的な形になりました。
キッチンの片隅に置かれた蔓のレリーフが掘り込まれた棚などはモダンなキッチンの中でとても良い印象になりました。
背面の大きな収納も床面積一畳分あって、表と裏に組み込まれた大きなアルミの引き戸を開け閉めして食器棚のようなパントリーのような使い方をする独特の形になりました。

2階のキッチンは子世帯のMさんご夫婦のキッチン。最初にふらりとクレミルに遊びにいらしてくださって、その日はそのまま丸一日ここで過ごしていってくださったMさんご家族。いろいろとお話を聞いてみると、無添加計画のトミヤさんから私たちのことを聞いて訪ねてくださり、奥様とご主人の濃い色がたくさん入ったキッチンと食器棚になりました。
独特のシンクの形状や食器棚の吊戸棚の面白い使いかたなど、またいつか詳しくご紹介致します。
まずは、無事に工事が完了してひと安心。

みんないろんな形があるのだな、あらためてそう思います。

カップのこわい顔

2018.03.13

子供のころ、祖母の家に行くのが怖いことがあったのです。

祖母の家は両方とも都内にあったので、私にとっては野山を駆け巡るじいちゃんばあちゃんちというのがうらやましかったのですが、それでも時々しか訪れることができない祖母の家は子供心にワクワクするのでした。
父方の祖母の家のだいぶ前から物置になってしまった部屋には縁側を通っていかないといけないのですが、そこに入ると古い匂いがして、日は入っては来ますし、すぐにみんながいる隣の部屋に行けるのですが、なぜかみんなの声が少し遠く聞こえていて別の世界のようでした。
でも、この部屋にたどり着くための縁側に出る前にお仏壇がある部屋(ここがいつも私たちが遊びに来ると寝泊まりする部屋なのです)を通るのですが、この部屋に子供心にとても怖いカップがあったのでした。
カップ?と、周りに話すとくすっと笑われてしまうのですが、小学校の自分にはとても恐ろしいカップでした。
普通のマグカップにまつげが長くて真ん丸な目が大きく描かれていて、その下には厚ぼったい唇が描かれているカップ。
この部屋に入ってそのカップが正面を向いていると、もう私は恐ろしくて恐ろしくて、おいおい母にすがって泣いていたものでした。
そんな私の様子を見て、両親は時々いたずらするようにカップを動かしたりするのですが、それがもう何だかよく分からないけれどこわいこわい。
弟は全くそんなことなくケロッとしているので、まったく情けない兄でしたが、あのカップはどこに行ったのだろうか。
きっとあの大きなギラギラした目が怖かったのだろうなあ。

私が子供の時分はこうして暗くてよく分からなかったり、自分では理解できないものに漠然と畏怖の感情を持ったりしていたのですが、今ではかなりいろいろなことが分かってしまう世の中になりました。
わが娘たちは、まだ暗い部屋をきちんと怖がってくれるので安心です。

「悪いことをすると、押し入れのお化けが連れに来るよ。」
そういう漠然とした怖さってとても大切な感覚ですので、それを忘れないようにしたいなあとカップを見つめながら思うのです。

ナラ節アリ材を使ったキッチンダイニング背面収納

2018.03.10

20180310003海を渡って舘山まで。製作を担当したコバヤシ君とカナイ君とノガミ君の3名でSさんの取付に行ってもらいました。
10月からお話を進めて約半年でようやく家具をお持ちすることができました。
実は写真では見えていないリビングの空間、ダイニングテーブルとの印象がとても良い感じなのです。
次回ご挨拶に伺わせて頂いた時には、その空気感を伝えたいなあ。

アイアンとナラ

2018.03.06

ツヤを落として黒塗りで凛々しく仕上がった脚部と、節がちりばめられたナラの接ぎ板。
上品な印象にまとめることができました。
Oさん、明後日納品ですね。

引き戸の魅力

2018.03.06

2018030600120180306003「やっぱり開き扉よりも引き戸にして良かったです。」Fさんのお宅を訪ねた時にそう言われました。
Fさんのキッチンは独立したキッチン。子供の時分に昔懐かしかった母親がこもるようにして料理の支度をしたキッチンにあこがれていたのだそうです。
ちょっと狭いけれど使い勝手が良くて、あれこれ使うものが自分の手の届くところにあるキッチン。そういう形を描いたときに食器棚の戸棚は自然と引き戸になったのです。
調理中は、戸棚の扉を開けておいて使いたい。そのほうが物がひとめで見渡せて、出し入れもしやすいし、終わったらシュッと閉めちゃえばよいし。
そうか、引き戸の魅力はそういうところにあったのですね。開き扉も観音開きなら同じくらい開け放しておけるのにその違いって何だろう、っていまいち気づいていないところがありました。「開け放しにしておけること」が魅力だったのですね。いまさらながら、皆さんからいただくお話はとても勉強になります。
だから、戸棚の中も開け放しにしておいても気持ちの良い仕上がりや手触りがよいなあ。Fさんとそんなお話になりました。
その影響でしょうか、ここ最近そういう見せ方にされたい、という皆さんも増えてきています。
外側と同じ素材にしたり、あえて色を変えて中の棚を作ったり。注文家具だからこそできる表現の方法ってまだまだたくさんあるなあと気づかされる毎日です。

Oさんのタモ柾の家具たち

2018.03.05

2018030500220180305003今日はね、Oさんの取付でした。
Oさんには、以前に食器棚やテレビボードを作らせて頂き、とても良くして頂いているのです。

「いつもお世話になっております。
今回も素敵な家具をありがとうございました。(いつも細かいことを言ってすみません)
うちのリビングがイマイさんの家具だらけになってきました。
イマイさんに家具をお願いすることを仕事のモチベーションにしているので、今後ともよろしくお願い致します。」

あら、うれしい言葉です。
私たちもその言葉こそ励みです。

所沢まで

2018.03.04

20180304002いよいよ元気に花粉が飛び交っているであろうなか、所沢のIさんのソファとデスクを届けてまいりました。
お子さんの進学に合わせてこのタイミングに千葉から埼玉に。
今から14年前に作らせて頂いた修正材のデスクは千葉のお家で、次の方が使ってくださるということで。
いろいろな小さなつながりが私たちに元気をくださるのですね。
そう言えば先日、家具の製作ではないのですが、この寒川町のお仕事のお手伝いをさせて頂きました。
高座のこころ
ここに少し私が登場させてもらうご縁を頂いたのです。
それを見て、高校卒業以来会っていなかった友人が訪ねてくれて、実は同じく寒川でお店を開いるのを知ることができたりと、つながりは少しずつそのうち大きな円になっていくのを実感しております。
ありがたいお話です。