インストルメントパネル

2017.04.13

「ナラ板目材とステンレスバイブレーションのオーダーキッチン」

二宮 M様

design:Houseゼロさん
planning:Houseゼロさん/daisuke imai
producer:hideaki kawakami
painting:yasukazu kanai

ステンレスうろこ仕上げを用いたアイランドキッチン

キッチンのイメージスケッチ、その1。


ステンレスうろこ仕上げを用いたアイランドキッチン

キッチンのイメージスケッチ、その2。

鵠沼のMさんのキッチンを作らせて頂いた時にお世話になった「Houseゼロ」さん。その大浦さんから、あらためてご連絡がありました。

「イマイさん、今度私の友人が二宮に新築するのだけれど、そこのキッチンをイマイさんにお願いしたいって思っているんですよ。一度お話を聞いて頂けますか。」とうれしいご相談。
大浦さんは、設計士さんというよりは、大工の親方のような温かな印象の人。そういう方からお声掛け頂けるのはとてもうれしいことです。
さっそく、海のそばの事務所にお伺いします。
見せて頂いた図面は、アイランドキッチンで長さ3600mmほどの大きさ。昨日的、というよりは印象を大事にしたイメージ。
「この形を元にイマイさん、細かい部分まで考えてくれますか。」

ステンレスうろこ仕上げを用いたアイランドキッチン

リビングから見た様子。前回のMさんのキッチンの時もそうですが、広々とした空間にキッチンが静かに座っているのが、大浦さんの間取りの特長に思えます。


ステンレスうろこ仕上げを用いたアイランドキッチン

キッチンのイメージスケッチ、その2。だから、階段を上がってすぐ視界に入ってくるこのキッチンがとても印象的に映るのです。

さっそくその図面を受け取って、プランを考えて費用を考えてみます。
おおよそ細かい部分までまとまったところで、大浦さんにお送りします。
「ほぼこの内容で良いと思いますので、お客様との打ち合わせに同席して頂けますか。その時に墨出しも行ないますので。」
おっと・・。ゆったりと考えていたのですが、もう現場は動いているようでした。
慌てて、いまみんなが作っている家具のスケジュールを照らし合わせて、予定を立てます。

ステンレスうろこ仕上げを用いたアイランドキッチン

キッチン側に立つとこのような印象。うろこ仕上げという独特の模様をこのカウンタートップに用いたかったのですが、サイズの関係で断念。代わりに鈍色に仕上がるバイブレーション仕上げにしています。

そして、現場にお邪魔させて頂きました。
二宮の駅からしばらく歩くと開けた場所に立つ大きめの現場がMさんのご新居でした。
「ああ、イマイさん、お世話になります。来てくれてありがとう。」
と、2階のリビングまで案内してくださって、しばらくするとMさんの奥様が現場に到着。奥様からおおよその細かなイメージを頂きまして、そしてしばらくするとご主人もいらっしゃいました。
大浦さんのご友人ということで、大浦さんと少し雑談をした後は、キッチンの打ち合わせにはあまり細かく口を差し挟まず、そのまま階下へと降りてゆかれました。
どんな方かな、気難しい方かな・・。
家具の形を考えていくにあたっては、その使う人といろいろなお話をしながら形を決めてゆく、という方法が一番と思っております。
あまり細かくお話ができないと、その人とイメージを合わせることができなくて残念なことになってしまったらいけないな、という思いを抱きながら、いつも家具を丁寧に考えているつもりです。
でも、今回のようにあっさりとお話が終わってしまうと、これで大丈夫かなって少し心配になるのです。

ステンレスうろこ仕上げを用いたアイランドキッチン

今回の表面の仕上げは、オーク板目の突板を木目を横に流してダークブラウン色にして仕上げています。

「それでは、これで打ち合わせが終わりましたので、先に失礼させて頂きますね。」と、奥様と大浦さんで打ち合わせしているところを先に階下へと下がらせて頂いたのでした。

そうして、さて、帰ろうかな、と思って居ましたら、この新築現場の隣にすっかりきれいにできあがっているガレージがありまして、そこにご主人がいらっしゃいました。
お話しづらいな‥、なんて思っていたのですが、帰りの挨拶をさせて頂こうと思いまして、「それでは、これで先に失礼させて頂きます。」とガレージに入らせて頂きましたら、ほのかにオイルとガソリンの入り混じった部屋のなかに緑のクラシックカーがとてもきれいに置かれていたのでした。
こちらのブログがその時の様子です。
この数日は

ステンレスうろこ仕上げを用いたアイランドキッチン

数少ない収納部のひとつである調味料用の引き出しは、ハーフェレ社の製品を採用しています。

「これはね、外装が木製なのですよ。」そう切り出してクラシックカーの良さをいろいろとお話してくださいました。今まで知らなかったことを教えてもらえるのはとても楽しいものです。そして、家具と同じようにきちんと手づくりされている車が美しいことにあらためて気づかされたのでした。
構造、機能、仕上がり、蝶番一つの動き方や、車のそのカーブの由縁、タイヤとスポークの関係など見ていると本当に美しい。

ステンレスうろこ仕上げを用いたアイランドキッチン

数少ない収納のもう一つの部分がこの引き出し。白いポリエステル化粧板で製作し、右隣の調味料用のユニットと同じくソフトクローズするタイプのレールを使っています。

昔から私は自転車が好きで、特にロードバイクと呼ばれる自転車が好きなのです。
子供の時分に載っていた通称「ママチャリ」とは違う、軽さ、姿勢、作り。ほんの少し違うだけで自分で漕ぐスピードがぐんぐん変わっていく。
その魅力に取りつかれた時は、毎月お小遣いを貯めては、小さなパーツを交換したものでした。
ここを変えるとどのくらい乗りやすくなるんだろう、この雑誌を見ればここの調整の仕方が分かる、なんて憑りつかれたように仕事が終わっては油だらけの手で自転車を触っておりました。
今の車は、本当によくできすぎていて、何でここでギアが変わるのかも自分で理解できないから、ただ乗っている、って感覚から抜け出せなくて、好きになりにくいのです。
でも、この車を見ていると、前に向かって早くしっかり走るためにすべてがきちんと成されている。
あの自転車を触っていた時のワクワクした気持ちが思い出されるのでした。
自分で自分のものを作りだすことができるあの感覚は、とても素晴らしいものなのでした。

デッキ付きシンク、洗剤ポケットアリ

シンクは、水栓器具がつく部分を1段下げるデッキ付きシンクにして、さらに洗剤ポケットを付けています。デッキを設けることで、水あかなどがつきやすい水栓まわりに水を掛けながら洗いやすくなりますし、デッキに濡れたものをおけるので、カウンターの使い方にメリハリをつけることができました。

「イマイさん、もしできたらこの車の印象をキッチンに取り入れることはできませんか。たとえばこのパネルとか。」

そういってMさんが指し示したのは、運転席の計器類が埋め込まれているインパネ部分でした。
そのマシンのパネルは、アルミの板でできていて、クルット丸く円を描くような模様が描かれているのです。魚のうろこのような。
アルミにうすく入ったうろこ模様が上品に見えて計器類が引き締まって見えます。
「この模様をキッチンのカウンターに入れられますか。」

ステンレスうろこ仕上げを用いたアイランドキッチン

キッチンからつながるダイニング部分。ここにMさんがイメージしていた意匠が施されています。

うーん、どうでしょうか・・。でもご主人から直接頂いたご相談ですから、ぜひ叶えたいところです。
「ちょっと板金屋さんと相談してみますね。」
「ぜひ、よろしくお願いします。」

で、さっそく会社に戻ってキッチンおプランをまとめながら、いつもステンレスカウンターでお世話になっている高橋製作所さんに相談。
「ああ、それはうろこ仕上げっている仕上げだね、イマイさん。そういう仕上げが施された板はあるので、それを使って作ることはできるよ。でも溶接する部分は模様が消えちゃうけれどね。あとはどのくらいの長さまで対応できるかなんだけれど、3600mmかぁ。ちょっと調べてみる。」
「イマイさん、ゴメン。やっぱり長さが足りないや。できても2000mmが良いとこかな。だからつなぐことになっちゃう。」
そうですか・・。それを大浦さんに伝えてMさんにお話して頂くと、やっぱりつなぎ目が入っちゃうのは残念なのですが、どこかに使いたい、ということになり、みんなでいろいろいろいろ考えて、キッチンの一部にその模様を組み込むことにしたのです。

ステンレスうろこ仕上げを用いたアイランドキッチン

ダイニングカウンターを支える脚部にうろこ仕上げのパネルを導入したのです。

こうして、独創的な形がまた1台できあがりました。

「いやあ、この部屋の空間も良いけれどキッチンもすてきですね。」
Mさんがお招きしたご友人様とカウンター越しにお話する様子が耳に届きます。
「良いでしょ。ほらここもこういうデザインにしてもらったのですよ。」と、うれしそうにうろこ仕上げの説明をしていたり。

私もうれしいです。
ありがとうございました。

キッチン仕上
天板 ステンレスバイブレーション
扉・前板 ナラ板目突板練り付け
本体外側 ナラ板目突板練り付け
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 ワトコオイル「ダークウォールナット」

ナラ板目材とステンレスバイブレーションのオーダーキッチン

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

ネスト

2017.03.08

「チェリー板目材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン」

沼津 S様

design:平成建設さん/Sさん/daisuke imai
planning:平成建設さん/daisuke imai
producer:yasukazu kanai
painting:haraki tosou

アメリカンチェリーのL型キッチン

きちんとなかよく皆さん行儀よく並んでいますね、という言葉がぴったり。Sさんがいつもどれほど気持ち良く使っているかが分かります。


アメリカンチェリーのL型キッチン

さらに全景。自分が使いやすいように置かれている道具たち。いろいろあるけれど狭いのではなく、気持ちより距離にみんなが並んでいる。

相変わらず沼津のほうにはちょこちょことお出掛けする機会があるのです。
平成建設さんが、こまめに私たちにお声掛けくださるのです。ありがたいことです。
今回は、長泉町にご新居を建てられるSさんのキッチンを作らせて頂くのです。
まずは、Sさんも交えて打ち合わせをしましょうということで、平成建設さんの住空間までお邪魔してきました。
私たちの工房がある、寒川町はちょうど神奈川県の真ん中にあります。いつもは横浜や鎌倉、川崎などの県東部から、東京都の方々からお声掛け頂くことが多いのですが、平成建設さんとお付き合いさせて頂くようになりましてから西の方にも出かける機会が増えました。
ここが神奈川の真ん中だからか、距離は確かに違うのですが、時間を考えると混んでいる東に向かうのと、少し空いている西の方に出掛けることはそれほど変わらないのです。

アメリカンチェリーのL型キッチン

Sさんが選んだコンロは、リンナイのグリル無しの4口のコンロ。「それぞれのバーナーの位置が近いけれど、1度に4つ使うこともないし、この形が美しくどこか懐かしいので。」

平成建設さんの打ち合わせの良いところは、みんなが楽しそうなところ。
設計の奥村さんとSさんはもうどこかお友達のようにお話ししているのです。
その輪に私も混ぜてもらうと、Sさんのホワッとした空気に包まれるのです。

あれこれとキッチンを考えていくのですが、「あー、もうだんだん分からなくなってきました。」とSさん。
たしかに、考えるのは大変です。
目の前に形があるわけでもないのに、イメージしていく作業って難しいですから。
家作りは、作る人にとっても、そしてそこに住む人にとっても、それを考えるのはとても大変なこと。
ここはどうしたら素敵になるか、どうしたら使いやすくなるか、それをイメージしながら一つずつ決めていくのです。
それが、なかなか決まらない。「うーん、迷います。どうしましょう。」とSさん。
ニコニコ奥村さん。
そのようなゆっくりとした空気の中、奥村さんの原案をもとにSさんの好みを取り入れたキッチンのだいたいのイメージが段々まとまっていったのです。
きっと温かなキッチンになります。なるべくSさんの思い描いているものを形にできるように頑張ります。

アメリカンチェリーのL型キッチン

シンクは、水栓がつくところをカウンタートップよりも1段下げた通称「デッキ付きシンク」にしています。水栓を開け閉めする時の洗剤の泡などがこのデッキ部分に落ちたり、洗剤のポットのお尻でカウンターが汚れても、カウンター全体が汚れることなく、デッキ部分だけ水あか汚れを落とせばお掃除も楽ですので。

最初奥村さんから頂いていたイメージは、「レトロなキッチン」ということでした。
なるほど、お話を聞くたびにそのキッチンの印象が、というかSさんのふんわりとした印象がキッチンに反映されていくのが分かるのでした。

アメリカンチェリーのL型キッチン

壁にはチェリーの棚板を。このような棚を作る場合は、いつも材料だけ私たちが用意して、施工会社さんに取付は行なってもらいます。大工さんにつけてもらったほうが、コストも抑えられるし、作業工程もスムーズですので。今回も棚板ができあがったら、現場に送って平成さんに取り付けて頂きました。

「こんにちは。先日沼津の平成建設さんで打ち合わせをしていただいたSです。
ふわふわとした私の要望に根気よく付き合ってくださってありがとうございました。
ところで、あの日レンジフードを大きい台形?のいまどき主流ではないほうに即決したのですが、
最近の形と、私が選んだほうの形の性能の違いはなんですか?
その場で聞けばよかったのですが・・・。
おととしリフォームした実家のキッチンが最近の形だったので聞いてみたところ、油がたまるところがある、とか洗いやすいとか言われて心が揺れております・・・・。
それまで実家の換気扇は壁に直についていて、羽がくるくる回るやつでした・・。」

アメリカンチェリーのL型キッチン

引き出しの様子、その1。

結局「大きい台形のレンジフード」に決まったのですが、形はやはりモダンというよりは、どこか懐かしい感じのものになったのです。
私はてっきり白いレンジフードになるかと思っておりました。
たしかに、最近のモダンなレンジフードは継ぎ目無く成形されているもの、金網がついていなくて、簡単にファンを外して丸洗いできるものなどさまざまあります。
でも、最終的にSさんが選んだものは、やはりSさんらしい形でした。

アメリカンチェリーのL型キッチン

引き出しの様子、その2。


アメリカンチェリーのL型キッチン

引き出しの様子、その3。


アメリカンチェリーのL型キッチン

引き出しの様子、その4。


アメリカンチェリーのL型キッチン

引き出しの様子、その5。


アメリカンチェリーのL型キッチン

コンロ下のスライドワイヤーシェルフの様子、その1。


アメリカンチェリーのL型キッチン

コンロ下のスライドワイヤーシェルフの様子、その2。


アメリカンチェリーのL型キッチン

調味料用引き出しスペースの下段は、ボトルがしまえる引き出し。いつもは一升瓶が入るサイズを基準に設計しています。

そのような感じでSさんが思い描いていたのは、少し懐かしい向こうの台所。
向こうの台所で、お母さんがコトコトとご飯の支度をしていて、自分たちはそれをちょっと手前から眺めている感じ。
その向こうの台所って、お母さんのちょっとしたあなぐらのようになっていて、お母さんじゃなくちゃ、何がしまってあるか分からない。
実際、Sさんのキッチンではそのようなことはありませんでしたが、そういうどこか懐かしい巣のような印象になったらいいなと思うのでした。

アメリカンチェリーのL型キッチン

グリル無しのコンロの場合は、発火用の電池ボックスがむき出しになってしまうので、それだと美しくないので、ボックスもチェリーで製作。

そうしてできあがったキッチンは、やはりSさんらしい温かなキッチンでした。
今回のSさんの間取りは、リビングダイニングキッチンが1つのスペースになっているものではなく、キッチンが独立した形になっています。
それでも、リビングに居るだけで優しい空気がキッチンから流れてくるのが分かります。
これから、どんな暮らしが始まるかが楽しみですね。

アメリカンチェリーのL型キッチン

リンナイの4口コンロ「RD640STS」。

「キッチンは、私はもちろん気に入っていますが、夫と義母もたいへん気に入っているようで洗い物のたびに飛び散った水滴をきっちり拭いています。
お手入れの方法など教えていただきたいので、もう少し新しい家でのペースが掴めるようになったら、ぜひ我が家にいらしてください。
また連絡いたします。」

チェリーを使ったペンダントライト

今回は2階に上がる吹き抜けたところに、照明も作らせて頂きました。

できあがったキッチンを使い始めてしばらくした頃にお伺いさせて頂き、写真を撮らせて頂きました。
キッチンに踏み入れると、温かな空気に包まれました。
チェリーは色みを濃くし始めていて、Sさんの使い勝手が良さそうな道具たちが、にぎやかに並びます。
そして、キッチンの隣はパントリーになっていて、こちらも使い心地が良さそうにいろんなものが並びます。
にわかに祖母の家を思い出したのは、Sさんのキッチンが思い描いたとおりの形になっている証拠でした。

キッチン仕上
天板 ステンレスヘアライン
扉・前板 アメリカンチェリー板目突板練り付け
本体外側 アメリカンチェリー板目突板練り付け
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 ウレタンクリア塗装ツヤ消し仕上げ

チェリー板目材とステンレスヘアラインのオーダーキッチン

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

えーと、壊れてしまいました。

2017.03.04

お客様に納品してしばらくしたら、「イマイさん、テーブルがグラグラするなって思ったら、一部外れている箇所があったのですよ。」と連絡を頂いたのでした。
写真を見せてもらうと、ほぞが外れていて・・。
とにかく天板が落ちたりして怪我がなくて良かったです・・。
急いで、その脚を引き取って、代わりに試作で使っていた脚をお持ちしてしばらく使って頂くことに。
そして、しばらくしましたら、「イマイさん、また外れてしまって。試作まで故障させてしまって申し訳ないです。」と。
いえ、私たちのほうが未熟な製品をお持ちしてしまって申し訳ありませんでした・・。
代わりに、鉄の脚をお持ちして、しばらくそちらを使って頂くことに。

そして、よく調べてみると「ここはストレスが掛からないから大丈夫。」と思い込んでいたところが外れていたのでした。
そうか・・ここが弱かったか。

初めて作る形ってやっぱり繰り返し使っていかないと見えない部分がたくさんあるのですが、それをお客様の通じて教わるなんて、私たちはまだまだ未熟です。
でもそれを良しと思ってくださる皆さんには本当に感謝の言葉しか浮かびません。
椅子に限らず、今では私たちの大きな仕事のひとつになっているキッチンも最初は手探りで、工務店さんにはご迷惑を掛けながら勉強させて頂いて、中にはお客様でシステムキッチンの設計などに携わる方がいらっしゃって、別の家具のご依頼を頂いたのにいろいろキッチンのことを教えてもらったり・・。
こうして今があるのも皆さんの協力があったからこそです。
本当にありがたいことです。

この脚も今回のことがありましたおかげ(と言ってよいのでしょうあk。)とても良い勉強になっております。
きっと素晴らしい形にして、納品しますので、今しばらくお待ちください。
私たちなりのスーパーレッジェーラを実現させて見せます。
まずはこのナラの試作で確認できたら、いよいよブナのほうに取り掛かります。

ひな祭り

2017.03.03

家具屋姫2人の我が家のひな祭りメニューは、ちらし寿し・チキンナゲット・ミモザサラダと蛤のお吸い物。今年も美味しくできました。
そして、無事このお祝いの日を迎えることができたことを感謝しなくては。
それにしても、600gで作ったナゲット完食。明日のお弁当分も、と考えていたのに。一番はおとうさんだけどね(笑)

すてきな巡り合わせ

2017.03.01

とてもとても懐かしいお客様、水彩画家のかとうくみさんがタイルアーティストの中村ジュンコさんと一緒に私たちの工房を訪れてくださいました。
ずっととても会いたいって思っていた二人です。
こうしてここを訪れてくれる機会ができたことに感謝します。
この夏、今年で2回目となるすてきなイベントが開かれるのだそうです。私たちも微力ながら、陰ながらお手伝いさせていただけることに。
「ただの端材かもしれないけれど、子供たちにとってはこれは何かの家具になった木の思い出。タイルだって触ったことがない子だっているんですもの。ものに触れて、何か気持ちの赴くままに作ることで、自由にものを作ることの楽しさを知ってもらいたいのです。」
とジュンコさん。
楽しく、うれしいお話でした。

お土産に、くみさんの新作のカードを頂いてしまいました。
いつもながら気持ちがキラキラする絵でした。

明日の朝のパン

2017.02.26

朝起きると声が出なくなり、「少し風邪っぽいから、のんびりさせてくれる?」
とお出かけせずに過ごした日曜日。
「明日の朝のパンがないから、焼いてみてもいい?」と長女。
お昼寝させてもらっていたら、
自分でレシピ調べてこの出来上がり、味もおいしい。
すごいな、長女。親バカ投稿もしたくなるわけです(笑)。

クルミの柄をランダムに見せたキッチン

2017.02.24

2017022400220170224003201702240042017022400520170224006進むけれど、戻ることももちろんある。でも戻ったら何か忘れていたちいさなきっかけをつかんでまだ前に進む。きっかけの芯をきちんと離さなければ、もう戻らずに前に進めるよ。
私たちは成長できているかなあ。
全然わからない。

今日のスケッチ

2017.02.24

「Nさんのお宅にお邪魔した時にキッチンを見せていただいて。それでイマイさんのことを知ったのです。」
私達のカタログを持ってご家族で打ち合わせに来てくださったK様。
そんなお言葉をいただくと、とても嬉しくて、ありがたいのです。
K様のキッチンのスケッチ、形になる時が楽しみです。

授業参観

2017.02.22

昨日は長女の小学生最後の授業参観で学年発表会。今日は次女の学年発表会でした。
長女は、ティンパニの演奏と指揮者。次女は、学年の3分の1の人数でスイミー役(笑)。
「いつの間にかしっかりしちゃって、あっという間に大きくなっちゃった。」が素直な感想です。
生まれた当時は「この先ずっとこども中心の生活か。」なんて思ってしまっていましたが。
成長と共にそれぞれの「場所」ができて、別々に行動する時間が増えてきて、
「そうか、親よりも、この先出逢うであろう人と人生を共にする時間の方が長いんだ。」としみじみ思ってしまいました。自分もそうだったんだと。
この時間を大切に、後悔のないようにしていこうと思います。

Route SHONANに掲載されています。

2017.02.20

湘南地域の店舗・保育園・病院などに設置されている「Route Magazine」VOL.10が届きました。
今回は私たちの工房の様子を取材していただきました。
是非ご覧ください!

バスウッドとクォーツストーンのキッチン

2017.02.16

2017021600220170216003
アフタヌーンソング」のNさんは時々ご自宅でお店を開いているそうです。そのMさんつながりで、以前にも「家を作り続ける」のOさんとも知り合いました。
そして、今回のHさんもMさんのキッチンを見て私たちにお声掛け下さったのです。
うれしいつながりです。
そのHさんのキッチンは、珍しいバスウッド、一般的には「シナの無垢材」と呼ぶ樹種でキッチンを作らせて頂きました。
ところどころ小さな節が入った全体的に白く優しい表情の木柄に淡い色のクォーツを載せた天板で仕上げています。
あとはHさんが、オイル塗装をして完成。
仕上がりが楽しみです。

クルミのリビングボード、玄関収納とナラ柾のキッチンとバックボード

2017.02.15

2017021500720170215006201702150052017021500920170215008201702150022017021500420170215003今日は、Mさんのところにお邪魔してきました。昨年の暮れに工事が完了して、お引越しも終わって、暮らしもひと段落された頃です。
ご主人のお仕事先が住友林業ホームテックさんというところで、住林さんのリフォームを担当しているのです。そのようなお仕事をされていらっしゃる方に声を掛けて頂けるのは大変ありがたいことでもあり、気も引き締まることなのでした。
そして、今日。
「イマイさん、ありがとうございます。何も不具合なく気持ちよく使わせて頂いております。」
とうれしい笑顔。

そのあと、写真を撮らせて頂きながらいろいろとお話を聞かせて頂きました。
今回Mさんのキッチンで初めての試みがあったのです。それはカウンタートップを、ヘアラインやバイブレーション仕上げではなく、磨き仕上げにしたことです。
Mさんが好きな作家さんのお話の中で、磨き仕上げについてのコメントがあったそうで、ぜひそれを実践してみようということになったのでした。
ヘアラインやバイブレーション仕上げというのは、ステンレス板に模様をつけて仕上げる方法になります。
ヘアラインというのは真っ直ぐにラインをつける仕上げで、ある程度の光沢感を保ったまま、傷が目立ちにくい仕上がりになります。
バイブレーションというのは、丸く円を描くようにラインをつけることで、よりマットな印象になりキズもさらに目立ちにくくなります。
どちらの仕上がりもきれいなのですが、そのライン模様をつけるために荒いヤスリで引っかくようにして仕上げるのです。
そのヤスリで描いたラインに水がついて乾くと水の跡がつきやすいのがライン模様の入った仕上げのデメリットなのですが、磨き仕上げだと、そのラインが入っていないので、水の跡がつきにくいのです。
もちろん表面がピカピカなので、傷がついたら目立っちゃうのですが、「キズは気にしないので。」と、奥様。
それで、本日その様子を拝見させて頂いたのですが、とても美しい印象でした。
もちろん傷はついているのですが、何というか「自然とそうなっていった」という佇まいがとても美しく、とても勉強になったのです。

そして、そのほかにあらためて美しいと感じたのが、土鍋を置く場所でした。今回、いつもよりもガスコンロを壁から離したのです。
いつもはコンロとシンクの間のワークスペースを広く撮るお客様が多いのですが、Mさんはそこを狭くしても、ガスコンロを壁から距離を取りたい、ということだったのですが、その理由が今日ようやくしっくりきました。
「ご飯を炊く土鍋をここに置いておきたかったのです。」
なるほど。

そして、もうひとつ。
いつも最上段の引き出しは浅いほうが使いやすい、というお話をみなさんにさせて頂くのですが、今回はガスコンロの高さに合わせて、それなりに深い引き出しにしているのです。
深いとお箸などをしまってもスペースに無駄ができちゃうんじゃないだろうか、と思っていたのですが、Mさんはケースをうまく重ねて、さらにスプーンなどはカップに立ててしまっていて、なるほど。

いろいろと勉強になりました。

そして、バックボード(食器棚)には電子レンジがあるのみで、よく見られる炊飯器は土鍋があるので置かれていなくて、トースターも網を使ってガスで直にトーストしてしまうということで、置かれていなかったのです。
「表面がカリッとして、中はフワッとしたままで焼きあがるので、美味しいのですよ。でも目を離すとすぐ焦げちゃうけれど。」なるほど。今度自宅でやってみよう。

そして、キッチンメーカーさんのキッチンから私たちに依頼してくださることになったお話など、いろいろと興味深いお話を聞かせてくださいました。

奥様はナラ柾のキッチン、ご主人はクルミのリビングボードと玄関収納と、さらには「かなぐや」さんのオリジナルのハンドルの三つの個性が良く混ざり合ってできた何というかとても心地よいところだったのです。

おはよう

2017.02.12

やま「おはよう、ごはんができました。」
ねこ「いただきます。」
たぴおか「いただきます。」
とんかつ「いただきます。」
おばけ「いただきます。」

ウォールナットの家具と3歳児の気持ち

2017.02.11

201702110022017021100320170211004今日も都内まで。カナイ君とノガミ君に練馬のJさんのところまでウォールナットの2台の家具の納品に出掛けてもらいました。
打合せ当初はご主人が外人さんということで話が通じるのか心配だったのですが、日本語がとても上手で,というかペラペラで、自分のほうが拙い日本語に聞こえてしまうのでした。
そんなご主人のアイデアがつまったテレビボードと奥様が使うデスク。
「あまり黒みが強くないウォールナット」ということで、少し明るめの材でできたので、お部屋の印象はこれで整いましたね。
ブラックウォールナットは数年で色が抜けていく傾向があるので、使っていくともう少し明るくなったり、赤みが強くなったりして、もっと良い雰囲気になっていくはず。
お楽しみに。

その頃、私は本牧のOさんのところまで打ち合わせに。
3歳のお兄ちゃんは、私のすることが興味深いようで、いろいろと聞いてきます。「おじさん、何歳?何しに来たの?僕もおじさんみたいに作ってあげようか?」と、なかなか打ち合わせは進まなかったりするのですが、やっぱりお話の輪に入りたいようで、「好き嫌いあるの?ジャガイモは嫌い?でもポテトチップは好き?」とかいろいろと聞いてみると、とても楽しそうに話をしてくれて、少し静かになってくれたりして。
それでは、と打ち合わせを進めると、「おじさん、もう外が暗くなってきたよ。帰らなくていいの?」と。
おかあさんが、「今日は私が頼んできてもらったからそういうこと言っちゃダメ。」って言っても、「帰らなくていいの?」と。
やっぱり男の子だとお母さんを取られたような気分なのかな。
ひと通りお話が終わって、さあ、帰ろうと思ったら、「おじさん、もう帰っちゃうの。また来る?」って。

いいねえ、そういう言葉好きですよ。
「きっとまた来るよ。」

チェリーとオフホワイトで塗装した2つの素材で仕上げた食器棚

2017.02.10

20170210002201702100042017021000320170210005今日は、カナイ君とナカガワ君にSさんの食器棚の取付に行ってもらいました。
本当は私も伺う予定でしたのに、今日中に図面を作っておかないとこの先滞っちゃう部分が出てきそうでしたので、急きょ会社に残ることに。
Sさん、すみません。
今日のSさんの食器棚。なかなか面白いかたちなのです。
最近のマンションは真っ白い壁紙を使わないところも多く、Sさんのところも少しくすみのある落ち着いた色のオフホワイトだったのです。そこで、その色に近い感じで扉などを作ることにしました。
化粧板で作ってもきれいにまとまるのですが、もっと柔らかい印象を出したかったので、ここはひと手間加えて、塗装して仕上げることに。これで角の丸いやわらかい仕上げになりました。
(開けた引き出しは、真っ白な化粧板で仕上げているので、色の違いが分かりますでしょうか。)
そして、天板とオープン棚だけはSさんの気に入って入るチェリー材を使うことにして、とても優しい印象の食器棚になったのです。
さらに、ちょっと面白い工夫がありまして、実はこの食器棚は設置スペースの幅が1メートルちょっとしかなかったのです。そこからは洗面室しぇとつながるドアがあって、食器棚はその小さなスペースに置くはずだったのです。
でも、洗面室への出入りは廊下から行なえればよい、ということになり、この入り口をキッチン側から塞いでしまうことに。その代わりに食器棚の幅を広くしたのです。
そして、洗面室からはそのちょっとしたスペースが物入れになるようにしているのです。
面白い。

ウェブサイト更新

2017.02.10

格子扉のあるチェリーの食器棚色濃くなったチェリーとMさんの手作りのお料理やお気に入りの器がとてもバランスよくこの場所にあるのだな、とあらためて思ったMさんのチェリーの食器棚の記事と、

タモのダイニング収納
ものを作ることが好きだというTさんの優しい表情と同じく優しくきりっとした表情に仕上がったTさんのリビングボードと、

チェリーのオーディオテレビボード
自分の好きな形を細かくスケッチしてくださって、それが実はなかなか製作可能な形にすることが大変だったけれど、こうしてできあがってみるととても美しく仕上がったKさんのテレビボードの3つの記事を掲載しました。

よろしければご覧になってくださいね。

かたちづくられる

2017.02.10

「チェリーのテレビボードのオーダー」

横浜 K様

design:Kさん
planning:Kさん/daisuke imai
producer:yasukazu kanai
painting:yasukazu kanai

「はじめまして。オリジナルのテレビボードを作りたいと考えています。
こちらで書いた簡単な図面を見ていただき、詳細な構造や寸法など、実現の可能性についてお話できればと考えておりますので、一度お伺いして、お打合せいただくことはできないでしょうか。」
Kさんからシンプルなメールを頂きました。

チェリーのオーディオテレビボード

配線の穴が開いている部材は実は取り外しできて、配線しやすいようなフタになっているのです。

さっそく日時をお約束して、私たちがここでどんな形の家具を作っているのかを見に来て下さることになりました。
いらしてくださったKさんご家族は、温和な表情のご主人と、小さなお子さんを抱えた奥様。まだまだ私よりもお若くて、これからまさに新しい暮らしが始まるのだな、と思わせてくれるご夫婦でした。

チェリーのオーディオテレビボード

両端のデザイン。そして、天板の奥にぼんやり見えるのは、隠れるようにひっそりしている引き出し。

「こういう形のテレビボードを考えているのです。」
そうして、見せてくださったのは手描きで細かく掛かれたスケッチでした。
「ちょっと分かりづらいかもしれませんが・・。」と少し照れた表情でご主人がはにかみます。
「いやいや、全然。よく分かりますよ。こういうふうに描いてくださると、家具の様子が良く見えて大変助かります。」

チェリーのオーディオテレビボード

ウーファが入る部分はサランネットを張ったのですが、おちびさんにイタズラされないように、格子扉にネットを張っています。この扉が意外に手間が掛かるのです。

私たちのところには、さまざまな形で皆さんが相談にいらして下さいます。
その中でどのように形を実現していくか、できあがった形よりもその過程が大事であることが多いのです。
頂いたイメージをそのまま忠実に再現することももちろんできます。
でも、ここにいらして下さる方々は、まだ何かを見つけていないことが多かったりします。

チェリーのオーディオテレビボード

左右対称のデザインにしているので、ウーファ部分の対になるサランネットの扉は開けるとこのような感じ。引き出しが上部についていて、下には本をしまえるようなサイズで設計。

例えば、
「わたし、全然イメージがまとまらなくて、こんな状態で今井さんのところに来ていいのかしら。」と言いながらいらして下さる方もいらっしゃれば、
「ここにはこういうものをしまって、こういうふうに取り出せるようにしたいのです。そして、その隣はこれをしまえると毎日動きやすくできそうです。」としまうものひとつずつをきちんと考えてくださる方もいらっしゃいます。
どちらかというと、すべてきちんと考えられていたほうが、家具の費用は出しやすいのです。
だって、使う材も拾いやすいし、掛かる加工費もおおよそ検討がつきます。
かえって、漠然とした状態のものを、「おおよそこのくらいの費用でできますよ。」とは伝えにくくて。だって、しっかり津s刳り方を考えてみたら、こういう形にするにはこれが必要だった‥ってなることもありますので。

チェリーのオーディオテレビボード

こちらは、市販のテレビボードでよく見かけるデザイン。引き出しを開けると上部のAV機器収納部の扉がくっついているというもの。今回は濃色のアクリルを採用。

しかし、きちんと決められているほうが費用は出しやすくても、必ずしも使いやすい家具になるかどうかは分からなかったりします。
実際、そこにそれをしまえるようにしても、はたしてずっと同じ使い方をするのか、家族構成は変わるのか、しまわれるものがマイナーチェンジしたらどうなるのか、そのモノをしまうための家具にするとかえって縛られた形になってしまったりして・・。
突きつめて言えば、扉がついていて中に棚板さえ入って入れたば、あとは使う人が自由に物をしまったり、かごをしまって引き出しの代わりにしたりできるからそれでいいのではないかって思う時もあります。
そういういろいろなはざまで、使う人の好みを聞いたり、暮らしかたを聞いたり、その人の人となりを眺めたりして、そして、その人も私を見て、私と話して、私たちの家具を見て、そういう過程を経て、固まり過ぎていたイメージが、漠然としていたイメージがどこか一つの形に向かっていくのです。
そこに導くことが私たちの仕事、そして、その形を実現させるのが私たちの仕事です。

チェリーのオーディオテレビボード

全体の印象。

今回のKさんの形は、きちんと考えられていました。
AV機器類は、時代に左右されず、きちんとした規格のものがあって、それをうまくしまいながら、使い方の動線もできていて、「すてきな形ですね。」ということで、細かい調整をさせて頂いて、さらに私たちのテイストも加味させて頂いて、ほぼそのまま実際の製作図面にすることができたのでした。

チェリーのオーディオテレビボード

将来分けて使うことができるように、3分割に製作しております。

どこにも売られていない形は、そこにしかない気持ちとそこに至るまでの時間がつまった大きなかたちなのです。

アメリカンチェリーのテレビボード

価格:700,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は15,000円から)

もの作りが好きということ

2017.02.10

「タモ柾目のリビング壁面収納のオーダー」

練馬 T様

design:Tさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:masakane murakami
painting:iku nogami

「はじめまして、Tと申します。ホームページから職人魂を感じられる素晴らしい家具を作られていると思い、ご連絡させていただきました。注文建築で建てたいと長らく土地を探していましたが、なかなか見つからないので、建売を購入しました。2月末の引き渡しです。一部でもこだわりたいと思い、キッチンの背面収納から壁面のデスクまでを作りたいと考えています。まだ自分でもイメージが固まっていませんが、タモ材を柿渋で仕上げたいな、などと考えています。是非ともイマイさんと良い物を作りたいと考えていますのでご連絡よろしくお願いします。」
Tさんからご相談を頂きました。

イマイさんと良いものを作りたいか、うれしいなあ。

タモのダイニング収納

「写真を撮るのも好きなもので、ちょっと撮ってみましたのお送りしますね。」とTさんが送って切れた写真。

ちょうど仕事が立て込んでいる時期でしたので、「すみませんが、図面と御見積を作るのにしばらくお時間を頂けますか」と、まずはお伝えしました。
すると、
「早速のお返事ありがとうございます。特段急ぎませんのでご安心ください。どんな図面が上がってくるか楽しみです。
(人間は案外何かを心待ちにしている時がワクワクして一番楽しい時間だったりするものです) 納期も特に急ぎません。
また、実際に暮らしてみて、例えば引き出しの深さだったり、配置だったり色々な事が見えてくると思いますので、ゆっくりとご相談させていただきたいと思います。」

良いですね、心待ちにしている時のワクワクって。

タモのダイニング収納

キッチンから眺めた時の様子。

それから、頂いていたイメージに基づいて、それを製作可能なかたちへと図面に書き起こしてどのくらいの費用が掛かるかを考えていきます。
シンプルできれいな形にまとまりそうです。
さっそく、Tさんにそのプランと金額をお伝えしました。

するとまもなく、Tさんがお電話をくださいまして、その内容でご依頼を頂けることに。
ありがとうございます。
それでは、ということでまずは家具の設置場所を拝見させて頂くことになりました。
杉並区や練馬区は、ここからはそれなりに遠い場所なのですが、よくご相談を頂くことが多い地域でもあります。
ちょうどこの時期もキッチンを作らせて頂く方、食器棚を作らせて頂く方がすぐそばにいらっしゃって、このあたりをよく往復している日々でした。

タモのダイニング収納

KUMAさんのハンドル。槌目が良い表情です。

それでも新しい町を歩くのはすてきです。
いつもは車で通り過ぎてしまう場所にお寺があったり、おいしそうなお店があったり。
暮らしも町もいろんな匂いがする場所ほど魅力的だったりします。
井荻の駅を降りてから20分ほど歩いて、Tさんのお宅に辿り着きました。
もともと建てられていた大きな建物が解体されて、分譲されたというこの場所は、すぐ隣に環状8号線なのに、どこかのんびり静かで、この街区だけ広々としていたのでした。
そののんびりとした空気の中、せわしくされていたのがTさんご夫婦。
本格的なお引越しの前に細かい作業をしていたのでした。

タモのダイニング収納

机の下の引き出しは出っ張らないように手掛けにしています。

「こんにちは。」
「あっ、イマイさんですか。いらっしゃいませ。まだ何もないのですが、どうぞ上がってください。」
私よりも少し年上の優しい眼差しの男性が案内してくださいました。
間もなく奥様もいらっしゃって、この家具についていろいろと打ち合わせます。
ほぼ図面の通りで決まっていた部分ですが、やはり顔を合わせながらお話していくと、いろいろなものが見えてきます。
リビングからドンと目に入る部屋のメインになる家具。どう見せたいか、食器棚としてどう使いたいか、ご主人と奥様の意見をお伺いして、ようやく一つの形にまとまりました。
「楽しみにしております。」
はい、頑張ります。

タモのダイニング収納

今回は30cmの長さのハンドルも作ってもらったのです。

今回特長的になるのが、KUMA鍛鉄工房さんのハンドル。何度も使わせて頂いておりますが、毎回その打ち味によって微妙に表情が変わって美しいハンドル。
そういう手の跡が残るものを使いたいって、Tさんが言ってくださったのがとてもうれしいのです。
今回は、いつもの長さのハンドルだけではなく、いつもよりも長いものを作ってもらって、良い雰囲気になりそうです。

今回は、奥様の希望で静かな印象のタモの柾目(木目がまっすぐなもの)材を使って作ることになったので、ハンドルの表情が良く引き立ったのでした。
またこの柾目が玄関を入ってからすぐに目に入ってくるので、その木目の流れが自然とリビングへと導いてくれるのでした。
家具はTさんのお引越しが終わってしばらくした頃に取付に伺わせて頂きました。
家具の設置後にお茶を頂ながらTさんのお話を伺います。

タモのダイニング収納

玄関からリビングに入ってすぐに目に入る印象。

ものを作ることが好きだというTさん。お茶を頂いている時に目に留まったのが、キッチンの体面に置かれているシェルフでした。
「もしかして、これもお作りになったのですか。」
そう聞いてみると、
「プロの方に見て頂くのはお恥ずかしいですが、自分でホームセンターで材を用意して作ったのです。」
そう照れ笑いしながら教えてくださいました。
手作りというよりももっとしっかりとした作りで、とても日曜大工でできた簡易的なものには見えませんでした。
「いろいろと自分で手を動かすのが好きなのです。最初はね、このリビングの家具も自分で‥、なんて思ったのですが、やっぱり大きくて家の顔になるわけですから、きちんと作ってもらいたいなって思って、家具屋さんを探し始めたのです。」
なるほど、でもすばらしです。

そのあと、Tさんからお便りが届きました。
「昨日は家具の設置ありがとうございました。
おかげさまで最初に思い描いていた以上の家具と暮らしていけることになり、家族全員幸せな気持でいます。
イマイさんと出会う前、この家を購入してすぐこのような家具を作りたいと思い、業者さん探しと出来上がりのイメージ作りを始めました。
タモかナラにしたいと最後まで悩みましたが、我が家のシンプルなデザインの横長の家具にはナラのように虎斑が入らないタモの柾目がデザインと材木がお互いに引き立てあっている様な気がします。
もちろん、それにはイマイさんの技術とテイストと職人魂がこの家具に注がれているからこそですが。
家具職人さんには職人の一面と作家(芸術家)の一面が必要な気がするのですが、そのバランスが取れている時がユーザーからすると一番の家具屋さんだと思うのですが、どちらかの面に偏るとユーザーからは自分よがりな家具屋さんになってしまう気がするのです。
イマイさんは絶妙にバランスが取れている家具屋さんに思えるます。
これからも長くお付き合いさせていただきたいと思っています。
イマイさんの家具を見たいけど寒川までは行きにくい様なお客様が居たらご案内していただいても構いませんよ。イマイさんの家具に惚れた方なら歓迎します。
長文になりましたが、まずは感謝の思い伝えたくメールしています。
これからも素敵な家具屋さん職人さん作家さんでいてください。
ありがとうございました。」

うれしい言葉です。ありがとうございます。

とここで、家具納品までにお話は終わるのですが、後日、和たちが参加したクラフトマーケットにジャケットとハットを被った物静かな男性が一人いらっしゃった時は、Tさんとは気づかず失礼しました。
「こんにちは、良かったら手に取ってご覧になってくださいね。」と声を掛けたところで、ハットを取って「イマイさん。」と柔和な表情を見せてくれた時のことを今でもにこやかに思い出してしまいます。

タモ柾目のカップボードとリビングボード

価格:750,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は25,000円から、取付施工費は40,000円から)

すきになる

2017.02.10

「チェリーとアイアンの食器棚のオーダー」

世田谷 M様

design:Mさん/daisuke imai
planning:daisuke imai
producer:masakane murakami
painting:iku nogami

格子扉のあるチェリーの食器棚

リビングから見た食器棚の全景。

格子扉のあるチェリーの食器棚

勝手口側から見た食器棚の全景。

「こんにちは。初めてメールいたします。
ずっと前から、楽しくホームページを見ていました。
丁寧な仕事ぶりが感じられるあたたかみのある素敵な家具がたくさんあって、こちらで相談してみたいなと思いました。
食器棚の見積もりをお願いいたします。
イラストを描いてみましたので、FAXいたします。
家具蔵でチェリーのダイニングテーブルとチェアを注文したので、食器棚もチェリーがいいかなと思っておりますが、相談するうちにかわるかもしれません。
扉や引き出し、カウンターなど見えるところは無垢材を使って木のあたたかみを感じられる食器棚にしたいです。
内部は費用面、掃除のしやすさ、などを考え、ポリエステル化粧板にしてもいいなと思います。
カウンター下のスライドテーブルだけはステンレスにしたいです。
カウンターを広めにとるため炊飯器を上に、電子レンジを下に収納します。炊飯器は幅25センチのものです。
ガスレンジの下にコンベックを設置するので、電子レンジは小さめのものを購入する予定です。サイズもかいておきました。
幅があまりないところにたくさんの食器が収納できるよう考えました。家電は普段は見えないようにしたいです。
全面収納も考えたのですが、無垢の木のカウンターとその上にカフェのようにお気に入りのカップを並べるというプランが今のところ心ときめくので、これで見積もりをおねがいします。
またいい案がありましたら、教えていただいて決めていけたらなと思っております。
取っ手は、木にしようかステンレスにしようか決めかねているところです。ステンレスのほうが実用的かもと思ってみたり。
塗装もオイルか薄いウレタンか迷っています。
ダイニングテーブルとチェアはオイルにしたのですが、食器棚には大丈夫かしらと。
納品先は、世田谷区桜上水です。入居できるようになるのが少し先になります。
キッチンとパントリーの扉の色はかなり濃い茶色です。
お忙しい中お手数をおかけいたします。
楽しみにしております。
よろしくお願いいたします。」

格子扉のあるチェリーの食器棚

KUMAさんのハンドル。

楽しそうなメールを頂いたのです。
それでちょっとお時間を頂いて、今取り掛かっている皆さんの家具の形を考え終えましたら、さっそくMさんのスケッチを見ながら形を考えてみましてお送りしたのです。

格子扉のあるチェリーの食器棚

ステンレスを張ったスライドワークテーブル。

スケッチの通りにほぼできそうでしたので、Mさんの希望通りになったのですが、ちょっと金額が高くなってしまって。
そこで、どうしたらコストダウンできるかをMさんとメールのやり取りをしながらいろいろと悩むのでした。
そして、悩みながらも結末がメールでは出ないまま、こちらまで一度いらして頂けることになったのです。
百聞は一見に如かずですね。

格子扉のあるチェリーの食器棚

格子扉にしたのには理由があります。

格子扉のあるチェリーの食器棚

このように開けて収納できる扉になっているのですが、中には、炊飯器が入っていて、熱がこもらないように、ということと家具のデザインtのして格子を取り入れたかったのでこのようにしたのでした。

それで実際に見て頂くと、「やっぱり実際に木に触って、直接お話すると分かりやすくて良いね。」ということになって、コストダウンにむずびつかないこともあるのです。
メールでは、少し単価の安い材に変えるかどうか、内部の作りを簡素化するかどうかなど細かく検討していたのですが、お会いしてお話すると、「やっぱり良いものにしたいから、頑張ります。」と。「はい、私たちも頑張ります。」
そして、ショールームに何げなく置かれているKUMAさんの鉄のハンドルに一目ぼれしてしまって、うーん、コストダウンには全然ならなかったのですが、とても素敵な形になりそうなのでした。

格子扉のあるチェリーの食器棚

吊戸棚の下は、奥行きのあるオープンスペース。

最初にお問い合わせいただいてから、約1年後にご新居の内覧会があり、そして、納品はその半年後。その間に、打ち合わせに一度いらして頂いて、さらには年末のイベント「クレミル」にもお越しくださって、家具を作る過程を本当に楽しんでくださったMさん。
1年半かけて考えた形は、結局最初と変わらず、すてきな形のまま実現したのです。

格子扉のあるチェリーの食器棚

オープンスペースの下には、照明をつけましたので、ここにトグルスイッチ。

格子扉のあるチェリーの食器棚

アイアンの黒に合わせて、LEDダウンの縁も黒いものを選んでいます。実は炊飯器スペースの奥に着けたコンセントも黒いものにしています。(普段はほとんど見えないのですが、せっかくですので。)

「先日は食器棚を取り付けていただき、ありがとうございました。
早速ブログにも載せていただきありがとうございます。
本当に、素晴らしく美しい食器棚です。
もうずっと楽しみで心に出来上がりを思い描いておりましたが、想像以上の仕上がりでした。
あれからずっと感動しながら見つめて、なでて、開けて…と離れがたく結局夕方までそばにいて、家に帰りました。
そうすると次は食器を早くいれたくなり、次の日にもっていける食器をできるだけたくさん段ボールに詰め、持っていきました。
主人も一緒に行き、食器棚と初対面です。これはいいね~と主人も喜んでおりました。
アイアンの取っ手もやっぱりすごくかっこいいね~と二人ともお気に入りです。
食器もたくさん入ります。まだ買っても入りそう、とこれまた私はにっこり。
本当に細部まで丁寧な作りで、取り付けも細かいところまで綺麗にしてくださって素晴らしいお仕事ぶりに感謝いたします。
高い買い物ですし、主婦には贅沢すぎるかしらとも思ったりもしましたが、お願いして本当によかったです。お部屋がグレードアップしました。
毎日あの場所で過ごせるのがとても幸せです。大切に使います。おいしいものたくさんつくろうってやる気がわいてきます。
お名前を聞き忘れてしまいましたが、作ってくださった方にも、幸せをありがとうございましたとお伝えください。
3月末に引っ越し予定なので、5月ごろには落ち着くと思います。
またお会いできるのを楽しみにしております。
ありがとうございました。」

といううれしいお便りをいただきました。

格子扉のあるチェリーの食器棚

レンジの下のスペース。お盆やマット、天板を置くのにちょうど良いって、Mさんがうれしそうに言っていました。

そして、納品を無事に終えたあと、納品からさらに1年が経ってあらためて家具の様子を拝見させて頂きにお邪魔したのでした。

格子扉のあるチェリーの食器棚

格子扉の上は、奥行があるので、大きな食器がきちんとしまえます。

「イマイさん、やっぱりこの食器棚はとても使いやすくてすてきよ。」
「一番気に入って使いやすいのは、やっぱりこのテーブルです。ステンレスを張ってくれたから、なにも気にせず調理に使えるし、カウンターがそれほど広く採れなかったから、料理の時に大活躍しています。」
「レンジの下の棚もお盆や天板なんかの大きなうすいものが入るから、とても便利だし。」
そう、Mさんの食器棚はちょっと変わっていて、いつもなら食器棚は壁の出っ張りに合わせて奥行を考えることが多いのですが、このキッチンの間取りだと、奥行き450mmを越えると壁から出っ張っちゃう。
普通の食器棚なら奥行き450mmで良いかと思うのですが、Mさんももっと深い食器棚がほしかったのです。そこで壁から出っ張っても良いので、ということで奥行き550mmにして、レンジもきちんとしまえるし、お盆などもきちんとしまえる深さを確保したのです。
「前にイマイさんにお話したテーブルウェアフェスティバルに先日行ってきたのです。」
「あっ、あの調理器具などがずらりと並ぶという市ですね。(うろ覚えになっていて・・)」
「うん、調理道具だけじゃなくて、器もたくさん出されるんです。いろんな作家さんもいらっしゃって。」
「なるほど。それはすてきなクラフト市ですね。」
「そうなんです。私は今年だけで3回も通ってしまいました。」
「それはすごい。」
「いろんな作家さんとお話しできて、その人のものを使うことができるってとても楽しくてうれしいのです。」
そう言って、いろいろな器を見せてくださいました。
伝統的な柄のもの、古い産地でモダンな形に取り組んでいる作家さんのものなど・・。
その人を好きになったその人の作るものが好きになって。もしくはそのものが好きになったら、その人も好きになっていった。
好きになることって、もの作りをするうえでとても大切なこと。
どんなに大変なことでも好きだから続けていけるわけだし。そのことを分かってくれる人が使ってくださるってことがまた作り手には糧になる。
うれしい循環です。

格子扉のあるチェリーの食器棚

引き出しの様子、その1。何といっていたかメモを取り忘れてしまったのですが、サイズやジョイントの仕方、スライドする機能などとても良く考えられているケースにきちんとカトラリーがしまわれています。

格子扉のあるチェリーの食器棚

引き出しの様子、その2。

格子扉のあるチェリーの食器棚

引き出しの様子、その3。

格子扉のあるチェリーの食器棚

引き出しの様子、その4。

格子扉のあるチェリーの食器棚

引き出しの様子、その5。

そのようなお話をして、Mさん、ありがとうございました。
また機会がありましたらお邪魔させて頂きます。

これからも、楽しく食器棚を使っていってくださいね。

格子扉のあるチェリーの食器棚

価格:590,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は20,000円から、取付施工費は40,000円から)

チェリーの食器棚

2017.02.08

2017020900420170209001201702090021年ぶりですね。Mさんにご挨拶にお伺いしてきました。
家具納品後からなかなかお会いできなかったのですが、チェリーもだいぶ色濃くなった今日、やっと会えたのでした。
「イマイさん、このワークテーブルは大活躍です。」
最近、こういったテーブルをつけることが少なくなってきたのですが、Mさんのお話を聞くとなるほどってあらためて思えてきました。
「家電を置いたりするとやっぱり作業できなくなっちゃうから、この場所があって本当に良かった。引き出しを減らしてでも作った甲斐があります。ステンレスだからキズとか気にしないで使えるし。」
と、Mさんが焼いてくださったケーキをほおばりながら、フムフムとうなずきます。
お料理好きな人がこういうのだから、やっぱりこのテーブルはアリなのだなあ、とあらためて思います。
KUMAさんのハンドルもチェリーと一緒に深みを増してよい感じになっていました。
一緒に年を取っている家具でした。

職業体験学習

2017.01.31

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町の中学2年生の男の子2人が職業体験学習に来てくれました。
まじめに作業に取り組んでくれて、楽しめたようでよかったです。
「お父さん、お母さんのお仕事のお話を詳しく聞いたことある?」
「あまりないです。」 おやおや。
一番身近にいる大人なのだから、ぜひ聞いてみてほしいです。
より理解が深まって学びになるはず。ご家族もお仕事に興味を持ってもらえたらうれしいはずだから。

ブラックウォールナットの経年変化

2017.01.30

ちょっと変わったご相談だったのです。
「テレビボードと壁の空いている隙間に棚をつけたいのです。」と。
なるほど。
そして、シンプルな形で、壁を見せたままで、というお話でしたので、背面が石張りということもあったので、背板をナシにしたシンプルなロの字型の棚をご提案させて頂きました。
「お願いします。」というご連絡を頂きまして、さっそく設置場所を拝見させていただく為にいざ七里ガ浜へ。
浜から山へと上がる道の中ほどに立つOさんのお宅について、さっそく提案させて頂いた形についてのご意見を伺います。
最初はご自宅を立てた時の家具屋さんにご相談しようとも思ったそうなのですが、もう高齢の方でお店を閉じてしまわれたそうで、それで私たちを探して下さったのでした。
では、形についていろいろと考えていきましょう。
すると、壁から棚が飛び出ている印象で、よりシンプルな形で、と形はそぎ落とされて簡素になっていくのですが、後付けの家具ではなかなかシビアな構造になっていってしまいそうでしたので、私たちができること、Oさんが希望する形を探りながら、この一つの形に辿り着きました。
棚が接しているのは右のオフホワイトの壁面のみで、背面はゴツゴツした石なので、もちろん石に棚は触れないで、あとは補強の脚で自立しているという構造。
棚の止め方も極力後からから取り付けたような印象をなくすためにシンプルな細工で。
良いお天気も相まって汗だくで作業するくらい繊細な取付ではありましたが、良い印象になりました。

ちなみに隣のテレビボードもブラックウォールナットで、私たちが作った棚もブラックウォールナット。数年でこのくらい色が抜けていくのです。