人となりがあらわれましたね

2019.05.06

「ナラの食器棚とカウンターのオーダー」

横浜 S様

design:Sさん
planning:daisuke imai
producer:hideaki kawakami
painting:hiroyuki kai

ナラ板目材を使った食器棚とワークカウンターとシェルフ

キッチン全体の印象。少し変な言い方かもしれませんが、Sさんご夫婦の物静かな雰囲気と、このナラの印象がよく合っているのです。

築16年のマンションを手に入れてリフォームされるというSさん。「きもちの距離」の志木のIさんの製作例をご覧になってご相談くださいました。
Iさんの作例は使い勝手も印象もとてもきれいにまとまっているからか、いつもとても好評で、こうして今まで作らせて頂いたみなさんの形が新しい輪を作っていってくれていることに大変感謝しております。

ナラ板目材を使った食器棚とワークカウンターとシェルフ

奥の食器棚の吊戸棚。


ナラ板目材を使った食器棚とワークカウンターとシェルフ

戸棚の下は定番のオープン棚。

Sさんの間取りでおもしろいなと思ったのは、一般的な間取りだと、リビングから見えるキッチンの端っこに冷蔵庫を置くスペースがあるところが、キッチンの横に並ぶように冷蔵庫が置かれて、キッチンと冷蔵庫の間に仕切りがあるので、リビングからの印象がとてもすっきり見えるという点です。
これだと、冷蔵庫から食材を出してすぐに作業ができるのでなかなか良い動線なのではないかなあと、あまり料理をしないながらもそう思えるのですが、皆様にはどう映るでしょうか。

ナラ板目材を使った食器棚とワークカウンターとシェルフ

食器棚のカウンターもナラの無垢材。ハンドルはステンレスのシンプルなSHIROKUMAのHL-12を使っています。

そういう間取りですので、今回Sさんからご相談頂いたのはキッチンの背面に食器棚とカウンターを作りたい、というご相談だったのです。
冷蔵庫スペースのように奥まったところにセパレートタイプの食器棚。キッチン入り口あたりには、ちょっとした配膳用のカウンターとその下にゴミ箱を置くスペース。奥行きは30センチもないのですが、ちょうど使い勝手がよく、なかなかマンションでは珍しい形にすることができたのでした。

ナラ板目材を使った食器棚とワークカウンターとシェルフ

引き出しの様子。今回は、ソフトクローズレールを使っています。引き出しの底面に付けるタイプなので、剛性がしっかりしていることと、レール自体が隠れてすっきり見えるのが特長。ハーフェレのものを使っております。


ナラ板目材を使った食器棚とワークカウンターとシェルフ

引き出しの様子。


ナラ板目材を使った食器棚とワークカウンターとシェルフ

引き出しの様子。


ナラ板目材を使った食器棚とワークカウンターとシェルフ

引き出しの様子。


ナラ板目材を使った食器棚とワークカウンターとシェルフ

引き出しの様子。

デザインとは何だろう・・。
何度かお話ししていることですが、私は自分で家具のかたちを作ることはあまりしていません。
皆さんからいただいたお話をもとに組み立てていくことが仕事だと考えております。
しかし、頂いた要望をそのまま組み立てていくだけではアンバランスな形になってしまうことが多かったりします。
特に今回のようにオープンな部分が多いと、扉や引き出しがつく閉じた部分と関わる部分の見え方が、1本のラインが入るか否かで家具の印象が全く変わってしまうことがあります。
緊張感とまでは言いませんが、すっきりとした印象を保ち続けるためには、何を見せて、何を隠すか。その中で使いやすい形やサイズはどのようになるのか。
家具をゼロから考えることはしませんが、いくつかの与えられた条件という味わいをを吟味し、咀嚼し、反芻し、その中でどの味わいをどの部分で生かすことができるかを考えることは一つのデザインだと思っています。

ナラ板目材を使った食器棚とワークカウンターとシェルフ

トースター収納部。例えば、トースターの上の板とカウンターになっている天板との関わり。壁際の側板と天板との関わり。どう見えると美しくてしっかりした形になるのかって、そういうことをあれこれ悩んだりするのです。


ナラ板目材を使った食器棚とワークカウンターとシェルフ

トースターを使う時は引き出して。


ナラ板目材を使った食器棚とワークカウンターとシェルフ

トースターの下は少し深めの引き出しで、その下は根菜用バスケット。

そして、その家具を使ってくださる方がその家具が暮らしの中に入ることで、その方はきっと家具をどう使いたいか考えることで、自分のリズムをあらためて見つめることで、自分自身の新たな一面を発見したり、暮らし方を見つめなおしたり・・。
家具が1台家に入ることで、暮らし方が整っていく。
その人の暮らしを整えることができる。
それが家具におけるデザインの本質なのかなって思っております。

本日も良いかたちができました。
Sさん、ありがとうございました。

ナラ板目材を使った食器棚とワークカウンターとシェルフ

こちらは料理補助カウンターの上の吊戸棚。このオープン部分と上の扉がついている部分をどのように見せたらよいかがとても迷いました。よく見ると一番上の扉と下段のオープン部分は奥行に差があります。でも、扉と右側のオープン部分は奥行きを揃えています。もちろん、何か正解なのかはありません。でも、そういうことをいろいろ悩むのです。


ナラ板目材を使った食器棚とワークカウンターとシェルフ

だから、こういうオープンの棚は難しい。どう見えるのかできあがってみないと分からないところがありますので。今回はSさんがとても上手に使っていてくださっているので、美しくリズムよく見えます。あと、もう一つ気を付けているのが、棚ダボ。使いやすさを考えると、細かく高さが変えられるステンレスの棚柱を入れるのでしょうけれど、見た目がギラっとしていて、あまり好きではなくて、反対に穴を開けるだけにしておいて、差し込むだけのダボだと、穴が崩れてしまう例も見たことがあるので、耐久性に不安があります。そこでいろいろ考えるのですが、やっぱりいつもの棚ダボになります。


ナラ板目材を使った食器棚とワークカウンターとシェルフ

このコンパクトな奥行に収まるゴミ箱があるのだなあ、と感心しきり。Sさんの丁寧さがよく分かる部分でもあります。

ナラのセパレートタイプの食器棚

価格:500,000円(制作費・塗装費)

ナラの吊戸棚とワークカウンター

価格:370,000円(制作費・塗装費)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は60,000円から)

越谷ぐるり

2019.05.04

先日、「組む」さんで開かれていた飯高さんの展示会に出かけようと思っていたのですが、なかなか都合がつかなくてお伺いできなくて。
いろいろな方の考え方を見聞きすることができるイベントって宝物のようなものですので、ぜひ皆さんにお会いしたかったのですが、残念・・。
ということで、お休みをいただいていた本日は越谷のkoushaさんを訪ねることに。
最近、鳥がとてもキュートって言っているハルとチィは、「近くに野鳥の森があるっ!」って心待ちにしていたので、朝早くから越谷をぐるぐると回ることに。
宮沢賢治が、「顔を見ただけでも、いやになってしまうという工合でした。」といっていたヨタカ(とてもチャーミングな表情でしたよ。)に会えたことが私はうれしかったなあ。

そのあと川沿いを歩いてkoushaさんへ。
私が飯高さんを慕うのは、陶芸作家さんとしての志だけではなくて、作品を作っていくことと仕事をすることの考え方が何というかとてもスマートで魅力的で、ただ好きなものだけを作っていくことも大切だけれど、与えられた状況や条件を最善の方法で応えてくれるその姿が好きで、それがあのような形になって表れている美しさに惹かれるのです。
そして、もう一つはこの越谷という町の印象を築き上げてきた方々のお一人ということで、町を魅力的にしていくその考え方に惹かれるのです。
以前にもお話ししましたが、「木々があいさつしてくる」小金井のMさんに言われた言葉はずっと胸に残っているのです。
「やはり、打ち合わせなどでその町を訪れたなら、1日かけてその町が楽しめるようになっていると良いですよね。」って。
自分でもそう思います。
近くはない距離まで出掛けるのなら、そこでの用事が終わったら、その町の美味しいご飯を食べて、子供が一緒なら一緒に遊べる場所があって、お土産買って帰れたらいいなって。(Mさんはさらに地場の農産物やお酒を買って、最後に温泉に入って帰るのだそうです。いいなあ。)
私たちのところにも大変ありがたいことに車や電車で2~3時間掛けて、この工房を訪ねてくださる方がいらっしゃいます。本当にありがたいことです。
それでしたら、打ち合わせの後はぜひ寒川を見ていってほしいなって思うのです。
寒川神社のあの物静かな様子。
メロンやスイートピーなどこの町でできる豊かな産物。
あとは工場も多いこの町ならではクラフトや物作りがよく分かるような工房がもっとあったらいいな。
そういう街の魅力をとてもうまく表現することに成功した飯高さんの話はいつも勉強になります。
そして今回は、ただいまある画家さんが建てるアトリエに私たちのキッチンと洗面台を導入させて頂くお話がありまして、その中で飯高さんに洗面ボウルを作って頂きたいなあと思っておりまして、その打ち合わせもしたかったのです。
お店に家族でお邪魔させて頂くのは3年ぶりですね。やはり素敵な場所です。
宮崎さん(相変わらずおきれいで!)の作るお料理もまたいつもようにとてもおいしくてね。今日は私は東坡肉を頂きました。
こうして離れた町でも素敵に活動されている方々を見て、また元気を頂いてきました。

「陶土を使ったモノづくりでしたら、どんなこともできますよ。」と飯高さん。
タイルも作っているそうで、もっと早くに知っていたらなあ、自宅に使ってみたかったなあとアキコと二人で飯高さんの前で駄々をこねる。
飯高さんの作り出す色ってとても美しくて、奥深い色でね、好きなんです。

帰り道には、教えて頂いたはかり屋に立ち寄らせて頂いて、ここでもいろいろな形で活動されている皆さんの試みを拝見させて頂き、頑張って街の魅力とご自身の作る者たちの魅力を伝えてくださる姿に元気を頂いて帰ってきました。

Hさんのナラ材のペニンシュラキッチンとバックカウンター:スタッフ ノガミ君の制作日記】

2019.05.02

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4月30日の記事でお伝えした、Hさんのキッチンの製作を担当したノガミ君のお話です。

今回のHさんのキッチンとバックカウンターの製作において難しいと感じたのは以下の加工でした。

ひとつが、「扉の木目合わせ」です。
扉の木目を通して接ぎ幅を揃えるのはそれほど難しくなかったのですが、扉1枚の幅が468mmと、材料取りの良いサイズの450mmを超えてしまうため、六尺もの(1800mmの長さのもの)だと1枚の材料から4枚分の扉の材料が一度に取れないので、どこかでもう一枚の材から取らないといけない。そうなると木目が完全にはつながらなくなるので、どこでつなげば一番自然に見えるのかが悩みました。
突板というのは、長さが1800mm、2100mm、2400mmが標準で作られていて、主に1800mmを使って作ることが多いのですが、その板の上と下を順序良く並べるだけでは木目がつながらないため、多少材が無駄になってしまうのですが最も自然につながっているように見える近い木目の位置を探してその部分でカットするのです。
時には、端から10センチほど切り落としてから、自然なつながりの木目になることもありますし、もっと切り落としてからではないと木目が不自然になることもあります。
使えなくなってしまう部分を出たりしてはもったいない。という気持ちもありますが、こうすることで木目が自然にきれいに見えるため、よい印象で揃えるように心がけています。

続いてが、「バックパネルとサイドパネルの留め加工」です。
バックパネルとサイドパネルの木目がつながって流れていくように見せるために留め加工を行なう納め方を今回は採っています。
留めとは、お互いの板の木口部分を45度に斜めにして、くっつけた時に90度でピタッとつなげる加工です。
斜めにする小口の長さが長いこともあり、また接ぎ板は少なからず加工中に反りが出ますし、またうちの機械はなかなか年季が入っていて微妙な刃の角度調整が難しかったりして機械のカットだけでピタッとさせることが難しいため、最後にはやはり鉋を使って、調整しながら平滑に仕上げていく部分がたいへん難しい部分でした。
でも、納まった後日の様子を見て木口に隙ができていないのを確認すると手間を惜しまずに作ることの良さを実感できます。

最後は、「巾木のフレキシブルボード加工」です。
もともと仕上げ材ではないフレキシブルボードですが、最近は「素材の表情が前面に出た仕上げ」がお客様に好まれることが多いそうで、今回のHさんも含めて今までで数回フレキシブルボードを仕上げに使う試みをしております。
この素材は、不燃材ということで石材のようなものですので、大変欠けやすく、また機械の刃もすぐに切れなくなってしまう素材で、特にカットする際は、材を切り抜く時に鋸刃の摩擦で角がはじけることが多かったりするのです。カットで欠けやすく、組み立ての際の衝撃でもボロッと崩れやすいので、慎重に気を使いながら作業を行ないました。

こういう大変な部分が多かった今回の家具ですが、Hさんご自身で塗装をされる際に直接ご説明をしながらキッチンの仕上がりの感想を聞くことができ、とても喜んでもらえてうれしい感想を頂けたので、私自身とてもうれしく思いました。

こつこつと :家具屋の家づくり

2019.05.01

昨日は、自宅へいくつかこちらで用意していたものを納品してきました。
現場の作業は工事も終盤に差し掛かっていることもあって、塗装屋さん、設備屋さん、そして棟梁までいろんな職方さんが作業してくださっていました。
大型連休のあいだなのに皆さんご尽力くださってありがとうございます。
棟梁には、毎日ずっとこうして(特にこんな終盤まで)現場に携わってくださって大変感謝しております。
家って本当に作っていくものだって、今まで皆さんの様々な工事する現場を見てきましたが、あらためてそう思います。
床板を1枚ずつ張っていく大変さ。
天井板を手際よく納めてしまう軽快さ。
塗って乾かしては磨いて塗って。
人はつくることができる。
みんなで協力してなにかを作ることができる。
これが当たり前になってしまって普段はそのすごさに気づきづらいかもしれませんが、工夫してなにかを生み出すことができるって本当に素晴らしいこと。
皆さんの動きがそう物語ってくださいました。
私たちもそういう存在でありたいです。

オーダーキッチン「ナラ板目とステンレスを使ったペニンシュラキッチンとバックカウンター」

2019.04.29

201904300022019043000320190430004ようやく、町田のHさんのところにお伺いすることができました。ご主人と奥様とでオイル塗装を行なうためにお引渡し前後にその方法をお伝えに伺わせて頂いてから、半年近く経ってしまいましたね。
すっかり気持ち良い風が吹きぬける季節になって、キッチンもこの白くて天井が高い家になじんでおりました。
Hさんの間取りはとても気持ちが良くて、玄関の引き戸を開けると、横に長い土間になっていてその土間の突き当りの掃き出し窓を開けると子供たちがグルグルグルグルと玄関と庭を回れるような作りなのです。
これはすてき。
そういう様子をキッチンに立ちながらお母さんが見ていられる、って気持が良いです。
「この土間を基準に室内の在り方を考えていったのです。」と嬉しそうにお話しするご主人。なるほど、その気持ちがよく分かります。
「引き出しの中の写真も撮らせてもらっても良いでしょうか。」
「もちろんですよ。」とにっこり奥様。
中からはクレミルの木工教室で作った包丁差し。
これはうれしい。

ニュー

2019.04.27

今日が鎌倉のTさんの引き渡しで、食洗機もガス機器もレンジフードもきちんと動き出しました。
清瀬のMさんの残工事もカナイ君が段取りよく進めてくれて、引き出しもきちんと動き出しました。
大きな仕事がひと段落しました。
午後から、Oさんのキッチンを作らせて頂くためにお話を伺ってきました。
いよいよ動き出します。

いろんなことが動き出しますね。
新しく始まるのですが、私たちはいつもと変わらず前を向いて歩いてゆきます。

食器棚のオーダー「タモ板目突板を使った食器棚と、既存パントリーの改装」

2019.04.26

本日は、カナイ君、カイ君、ハラダ君の3人が武蔵小杉のOさんのところに食器棚の納品に出かけました。
今回は、食器棚のほかに冷蔵庫の隣にある既存のパントリーも使いやすくしたいというご要望で、ちょっと手間をかけて使いやすくしました。
マンションで良くこのようなレイアウトを見かけるのですが、冷蔵庫の横にあえて壁を立てて奥行きの深い戸棚を組み込むのは、住む人にとって使いやすい形になっているのかどうかが、難しいところです。
今までご相談頂いたお客様のなかでは、こういう奥行きの深い戸棚でカナに棚板だけ入っていても奥が使いにくい、という意見が多いですね。
かえって、冷蔵庫を端に寄せて、食器棚スペースを広く取る、という方法も良いのではないかと思ったりします。
そして、Oさんにもやはり使い勝手が悪くなりそうなので、ということで、大きな1枚の扉がついていたところを外して、下は引き出しにしました。
また、パントリー内部にもコンセントを増やして、家電を置いて置けるような細工も施しました。
こうすることで機能的な収納になったのではないかと思います。
また、色の明るいタモでまとめたので、リビングからキッチンを眺める時に柔らかで温かな印象になったのではないかと思っております。
Oさん、ありがとうございました。

オーダーチェア「チェアの写真が届きました。」

2019.04.26

昨夕、加賀妻さんのところにKさんの椅子を納品させて頂きました。
そして、今日は設計を担当されたTさんが明日の見学会に備えて、椅子を運んでくださったのでした。
見学会終了後には、この住まいの印象を反映させたソファテーブルを納品させて頂く予定です。
Tさんのおっしゃるように調和の取れた形にできあがる予定です。
部屋とのバランスを早く見てみたいです。

ちょうど、28日(日)に完成見学会が開かれるのです。
加賀妻工務店 完成見学会 葉山堀内K様邸

居心地の良い場所

2019.04.25

今日の午前中に設計士さんとコーディネーターさんが、今リノベーションを計画されているクライアントさんを連れていらしてくださいました。
「私イマイさんのこの場所は好きですよ。だって、居心地よい場所がいろんなところにありますもの。」
「今度リノベーションするNさんのお宅も居心地の良い場所が家の中にいくつかあって、お子さんたちがいろんな場所で繕いでいて。そういう印象もあって、イマイさんにご相談させて頂けたらって思っているのです。」

居心地よい場所がそこかしこにある。
なるほど。
なんだか当たり前だけれどとても新鮮な言葉。うれしい気持ちが広がります。

ウェブサイト更新

2019.04.22

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチンタモの大きなの突板を使って大きな空間に負けないくらいの優しくダイナミックな表情に仕上がったIさんのキッチンのお話と、

クルミとセラミックストーンを使ったアイランドキッチンセラミックストーンという初めて扱う素材とクルミの表情がとても良い効果を生んだDさんのうつくしいアイランドキッチンのお話と、

厚み5mmのステンレスバイブレーションカウンターとオークランダム張り突板を使ったアイランドキッチンと、キッチンバックボードとリビングボードリズム感と上品さをうまく組み合わせた難しく大変な形だったUさんのキッチンのお話の3つのお話を掲載しました。

よろしければご覧になってくださいね。

北の魔女に会いに行く

2019.07.23

「チェリー板目材とステンレスバイブレーションのオーダーキッチン」

調布 A様

design:Aさん/daisuke imai
planning:Aさん/daisuke imai
producer:kouhei kobayashi
painting:haraki tosou

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

キッチン全体の様子。お気に入りのタイルが張られると、うーんもう魅力的な魔女の基地のようです。実は、このキッチンの工事が終わった後に、右端に移るキャビネットの改装もさせて頂いて、全体的にチェリーの空間に仕上がっているのです。

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

お風呂場の方から見た印象。良いです良いです。基地の印象たっぷり。

たしか、キッチンカタログをご覧頂いてまもなくお電話くださったのだったと思います。
そこで何を話したのかはメールのように記録が残っているわけではないのでもう覚えていないのですが、私たちがキッチンを作ることの意味のようなことをお話ししたのではないかと、後日頂いていたメールを読むと推測されるのです。
意味っていうとなんだか堅苦しく聞こえますが、メーカーさんのキッチンは、いろんな角度からの使い勝手の良さを感じられるように機能的に設計されていると思うのです。それでも私たちにキッチンの製作をお願いしたい、と考えてくださっているということは、もちろんサイズも好みに合わせたい、ということもあるのでしょうけれど、キッチンそのものが自分の片割れ(という言い方は正しいでしょうか。)のように居心地よく使えるかどうかが一番大切な部分なのだと思うのです。自分のためにしつらえたものって、本当に美しく気持ちのよいものになるのです。
それを体現できるのがキッチンであっても良いと思います。

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

吊戸棚の様子。扉は今回は吊戸棚本体より扉を下げる形にするのではなく、本体と扉下面を揃えて掘り込み手掛けを施して、そこに手を掛けて開けるようにしています。そうすることで、レンジフードと音下面をそろえようという意図でしたが、吊戸棚を窓枠の高さに合わせるひつようがあったため、そうするとレンジフードの高さが高すぎて集煙能力が落ちてしまうかもしれない、ということでレンジフードは下げて、手掛けはその時の名残で残っているのです。

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

吊戸棚の扉を最上段とその下の段とで扉を分けているのも今回の特長。もちろん、上下一体の扉にしても開け閉めの重さは特にありません。今回は窓の高さよりも上にだけ吊戸棚をつけてしまうと使いにくいかな、ということもあって、窓の上と下でラインが揃うように吊戸棚を分けたのです。

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

L字の角の部分はどうしても使いにくくなってしまうところ。今回はすぐにレンジフードに接するということもありまして、扉の動きを変則的にしてみました。

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

扉が折れ扉のようになっていて、開けるとレンジフードの沿うような形になるのです。そして、中の棚板はL型になっています。

そして、私たちのキッチンにはその魅力があるんですよ、ってAさんは教えてくれました。
そういうお話のなかでは私は常に皆さんからいろんなことを教わっている気がします。
こうしていろんなことを見聞きすることで、私にもお話ししてくださるクライアントさんにもお互いが気付かなかった良いアイデアが浮かぶことも多くあります。
Aさんとお話ししながら、そういう見えていなかった魅力が魔法のようにどんどん引き出されていくことが不思議で楽しく、まるで毎回の打ち合わせが魔法の授業のようだったのです。

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

シンク周りは、まずは水切りプレートをつけています。今回は、主に食器洗い用ではなく、食材を洗っておいて使うために使うプレートになります。

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

水栓は、もともと壁付けの水栓を使っていて、今回もその方が水のぬめりなどがつきにくいしスッキリする、ということで壁付けのものを選んでいます。また、以前からずっと使っている浄水器を使いたいということで、元のところでレバー付きの分岐栓をつけて、浄水器とつないでいます。

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

そして、Aさんの面白い提案。水切り棚を置きたいけれど、リビングから丸見えになってしまうのはイヤだなあ、と。でも使いやすいようにオープンな状態にしたいの、ということでこのような少し変わった形ができました。

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

この中にはいろいろなものが機能的に納まっていて、水切り棚のほかにタオル掛けやおたま立てなど使いやすいようにコンパクトにしまわれていて、それが格子越しで照明がついていないとおぼろげにしか映らないのでした。

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

開けるとこのような感じ。

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

上の扉も格子扉にして、通気をよくしておいた方が良いものがしまわれています。

「こんにちは。」
そう尋ねると、今のほうから猛々しい吠え声が迎えてくれました。
「ああ、イマイさん。いらっしゃい。」とAさん。2階から顔をのぞかせて下さり、リビングへと案内してくれます。
犬に亀にメダカに、大きな金魚、そして軒先には巣箱まで。
「この子は保護犬でね、前の飼い主さんとは合わなかったようで、人間不信になっていたのだそうよ。それを子供が思い立って、この子は私達が引き取らないといけないって言いだして、それが縁でここに彼が居るのよ。私でもまだなつかない時があって大きな声で鳴くかもしれないけれど、びっくりしないでね。」
不思議な魅力をもったAさん。
うーん、なんだか魔法使いみたい。
「この場所はね、こうして私道のなかにあるでしょ。だから建て替えはできないのよ。それならこの場所で気持ちよく住めるように工夫したいって思って何度も手を加えたの。それで今回が5回目なのよ。」
と言って、玄関から、先日階層が終わった和室の様子を見せてくださって、そしてリビング、それからキッチンに。
少し変わった形に見えるのは部分的に改築したところがあるからで、不思議な空間が広がっています。
「この壁は取ってしまって、ここにL型のキッチンを置いて私の基地を作りたいの。でも、スペースが限られてしまうから、どうする形がベストなのか迷ってしまって・・。」
ということで、お話しをお伺いしていくのですが、Aさんの頭の中では不明瞭なのかもしれませんが、すでに形は生まれているようでして、私と話をすることでそれをより鮮明にできればあとはもう決まっていくだけなのでした。

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

今回数少ない引き出したち。

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

今回数少ない引き出したち。

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

今回数少ない引き出したち。

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

今回数少ない引き出したち。

Aさんとのお話はとても楽しく、距離があったので実際にお会いして打ち合わせできた回数は多くなかったのですが、電話やお会いしてのお話ぶりを聞いていると、ここに一緒に住んでいる彼らと同じようにAさんに魅了されますね。
「イマイさん、このあとご予定ある?もし、お時間あったらご飯食べに行きましょうよ。」
そう言って、近くの定食屋さんに連れて行ってもらったり。
「ここのオーナーさんね、元板前さんで若いのにとてもセンスがあっておいしいご飯を出してくださるの。」
昼時の混雑しているなか、Aさんが顔を出すとにっこり席が用意されました。周りは若い人ばかり・・。
私がそう思ったのが分かったのか、「若い人ばかりなのに、私ね、しょっちゅうここに来てはおいしいご飯を頂いているの。彼を応援してるの。それから、この町はとても魅力的なお店が多いのよ。もしよかったら帰りに駅のあたりを見ていってね。」
たしかに仙川の町って通り過ぎるだけで歩いたことがなかったのですが、古い街並みと若い人たちの息吹が入り混じっている印象を受けました。
Aさん、もうすぐおばあちゃんになるって言っていたけれど、うーん若々しいです。

L型キッチンの角の部分の収納の工夫

シンクの下はこのような感じ。オープンにしておいて、手前のゴミ箱とスチールシェルフをガラガラと引き出すと奥のものが取り出せるような感じにしています。

KUMA鍛鉄工房のロートアイアンハンドル

今回のハンドルは、KUMAさんの丸型槌目仕上げのハンドル。いつもの角型よりも作る手間が掛かるのです。とても良い表情。

ハーフェレのワイヤーシェルフ(固定式)

ガスコンロの下はこのようにワイヤーシェルフを設置してます。こちらのワイヤーシェルフは、本来は動かさないで使うタイプなのですが、木のレールを作ってそこをスライドするようにしています。ただ、もともと動かさない設計でできているシェルフなので、極端な負荷をかけて動かしていると、溶接が切れることもありますので、その点ご理解いただいて使ってくださっています。

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

調味料用の引き出しは、このまま引っ張り出して使うから木で作りたいです。ということでアガチスで作っています。

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

こちらもアガチスの引き出し。そして、炊飯器が尻漏れしても良いようにステンレスを張ったスライドテーブル。

こうして、豊かなAさんとの打ち合わせはひと段落して、いよいよその5回目のリノベーションの始まりです。

おおむね家具の製作期間は1か月間を頂くことが多いです。キッチンにしてもリビングの大きな壁面収納にしても。ただ、形が複雑になるともう少しお時間を頂いておりますが、Aさんのキッチンも約1か月去ればできるのではないかと考えておりました。
そこで、解体を終えてすぐに現地を確認しに伺いました。
大工さんの木工事がこの先1か月ほど続いたらすぐにキッチンの設置に入らないといけないので、このタイミングで現地を見ておかないと間に合わなくなっちゃう。
リノベーションは図面通りに進まないことも多くあります。現場は解体してからではないと見えてこない部分もあるし、Aさんのように改築を重ねていると当初の形から変わっている部分もあったりして、なおさら解体後の確認が必要です。
解体して初めて室内の寸法が確定できるのですが、もちろん私はその寸法を決定できないので監督さんに決めて頂きます。
監督さんも現場によっていろいろな方がいらっしゃいますが、できれば家具屋としてははっきりとした寸法を伝えてくださる方との仕事がやりやすいです。
時には、「その現状の寸法測って、そこから天井ボードと床捨て張り材と床仕上げ材の厚みを引いた寸法を見ておいて。」という形で伝えてくださる方もいらっしゃるのですが、それ以上の逃げが無い。
その寸法で作って納まるのだろうか・・、余計な厚みが出てきて入らなくなることなどないのかな・・、クロスのコーナー材だったり、左官の厚みだったり、タイルの凸凹具合だったり、監督さんは理解できていても、私には伝わっていないこともあったりします。
だから、私もできるだけ想定される逃げを見ておきたいと思っていろいろ相談するのですが、「それで大丈夫です。」って言われて、それで結局現場で調整しないと納まらなかったことも少なからずありました。

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

オーブンレンジのサイズに合わせて使ったスペースなので、ちょっと大きめのスライドテーブルになっています。炊飯器のほかにここにも調味料が置かれておりました。

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

今回数少ない引き出したち。

ステンレスバイブレーションカウンターとチェリー材を使ったL型キッチン

今回数少ない引き出したち。

なので、最初の打ち合わせの段階で、「この部分はここからこれらの厚みが来るので、この寸法で壁を、天井を作りますね。」そうはっきり言ってくださるととてもうれしい。
そういう監督さんは、そういう形で納まるように現場をすでに見ていて、そこに向かって大工さんやほかの職方さんを動かしていく。
そういう方とお話ししているととても気持ちがよく、今回の監督さんはめずらしく女性の設計士さん兼監督さんでしたが、大胆に要領よく作業の段取りを進めてくださるステキな方でした。女性から見る細かな視点で仕上げ材の取り合い、壁の倒れとその逃げ具合などを大工さんと相談しててきぱきと寸法を出してくださって、この寸法で大丈夫です、そういってくださる姿はとても頼もしいものでした。
特に今回は、2面壁に設置する形のキッチンです。
壁の矩(かね)が出ていないと、カウンターと壁に隙間ができてしまうので、こういうL型キッチンは難しいのです。
おかげさまで安心して製作することができまして、設置の時も、形が複雑なため時間は掛かりましたが、不安なく順調に進めることができたのでした。

こうして、キッチンは完成してAさんの魔法の基地ができあがりました。

「今晩は、お疲れさまです。
バタバタしておりまして昨夜はメール確認できずに大変失礼いたしました。
本日、キッチンが完成しました!
夕方電気工事が入り、電気を点けるとまるで命を吹き込まれたようにキッチンが浮き上がって見えました!
思いどうりの素晴らしいできに大感動です!
イマイさんはじめ工房の皆さまに大感謝です!
本当にありがとうございました。」

よかった、よかった。
ここで、定食屋のオーナーさんからこっそり教えて頂いたレシピをアレンジして美味しいご飯を作っているAさんの様子が目に浮かぶのです。

キッチン仕上
天板 ステンレスバイブレーション
扉・前板 アメリカンチェリー突板練り付け
本体外側 アメリカンチェリー突板練り付け
本体内側 ポリエステル化粧板「ホワイト」
塗装 ウレタンクリア塗装全つや消し仕上げ

チェリーのL型キッチン

価格:1,500,000円(制作費・塗装費、設備機器費用は別)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は120,000円から)

ああ、やさしい色あいよ

2019.04.22

「タモ板目材とステンレスバイブレーションのオーダーキッチン」

三島 I様

design:平成建設さん/Iさん/daisuke imai
planning:平成建設さん/Iさん/daisuke imai
producer:hiroyuki kai
painting:hiroyuki kai/haraki tosou

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

キッチン全体の印象。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

2階に上がってくるとこのキッチンの印象が目に入ってきます。

三島のIさんのご新居にセパレートタイプのキッチンを作らせて頂きました。
平成建設さんからのご依頼で作らせて頂いたキッチンです。
平成建設さんからということで、Iさんと直接お話しさせて頂いたのは1、2度ほどでしたが、奥様が私たちのウェブサイトをよくご覧になっていたそうで、また担当のKさんのお話が的確だったこともあって形の方向性は程よい時間で決まっていきました。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

水栓はタッチセンサー式のリクシルのナビッシュです。よく、「停電時はお水が出せなくなっちゃうのでしょうか。」と質問がありますが、センサーとは別に吐水レバーもあるので、そちらを操作することで、水を使うことはできるのだそうです。いろいろ考えられているのですね。

平成建設さんとは、最初に「ホワイト、ナチュラル」の三島のKさんのお仕事がきっかけでお付き合いさせて頂けることになったのでした。
今から8年前のお話ですね。
当時は、箱根よりも以東方面で家具を作らせて頂ける機会はほとんどなくって、とても新鮮な街並みでしたね。
その後、Kさんのキッチンを気に入ってくださった設計士さんが再び声を掛けてくださり、また平成さんの社風のおかげで私たちの工房に近い藤沢支店の方々からもお声掛け頂いて、スタッフさんの自宅のキッチンを作らせて頂いたり、ショールームのキッチンを作らせて頂いたりと、いろいろとうれしいお付き合いをさせて頂けるようになったのでした。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

シンクの洗剤ポケット。90mm×180mmのサイズで、上部に直径6mmのバーをつけています。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

パネルの角にヒモを回した部分。なかなか手の込んだ細工になるのです。

大きなハウスビルダーさんになると、私たちのような小さな工房が現場に参加することをよく思わないところも多くあったりします。
当然、その会社さんの規定から外れた形になるので、何かイレギュラーが起きてはいけないという気持ちの表れですので、そういう対応は当然のことと思うのですが、平成さんはスタッフの皆さんの年齢が若いこともあってか考え方がとても柔軟で、いろいろな形を取り入れようという気持ちが、私たちにもよく分かるくらい何事に対しても前向きな気持ちを持ってくれていて、そういう気持ちが毎回すてきな形に現れるのです。
そういう流れで、今回もキッチンご相談を頂いたのでした。
それぞれの設計士さんの色はかなり違っていまして、家具の印象や大まかなプロセスをまとめておいて、あとは専門である私たちに細かな部分を組み立ててもらいたいってお任せくださる方もいらっしゃれば、自分自身を磨くために、私たちに相談しながら、家具を設計してく設計士さんもいらっしゃいます。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

シンクの手前に付けるコンセントは食器洗浄機の操作パネルに合わせてプレートにステンレスを使っています。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

キッチン収納部全体の印象。

私はこう思っています。
家具を設計できる設計士さんは素晴らしいって。
住宅を設計することはもちろん素晴らしいことで、私にはとてもできない偉大なことだなあっていつも思っております。
家がしっかりした作りになっているか、風はきちんと通り抜けるのか、日が差し込んで温かな時間がいつなのか、そういう時間というか空気を見つめながら建物を形作ってゆけるってとても偉大なことです。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

食器洗浄機はミーレの25周年モデルの「G4920SCi」。機能や形状を少し減らしたり、変更することでコストを抑えたモデルです。「オートオープン機能」「洗浄プログラムを一つ削減」「内部のトレイがシンプルに」という部分が標準モデルとは異なるようです。

「時には席を離れてすこし遠くからカンバスを見つめることができるような感じ」それが建築だと思えていて、家具というのはもっとそこの住む人の仕草や気持ちが入り込んでいくものだと思っていて、まるで「カンバスに書かれたリンゴの熟した具合や、ガラス越しに移る山羊が草を食む姿を描き込んでいくこと」のように思えるのです。
だから、その両方ができる設計士さんは、きっと素晴らしい絵が描けるはず。
私たち家具工房が考える形とはまた違ったアプローチ見られる、そんな楽しさがあるはず。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

引き出しの様子。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

引き出しの様子。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

扉を開けた内部の様子。内部はいつもの白い化粧板ではなく、濃いグレーの化粧板を使い、小口にはタモの挽板を練り付けています。

今回設計担当のKさんは後者でした。
たびたび私に連絡が入って納まりについての質問が投げかけられて、それを踏まえた形で家具図が送られてくる。
自分で形や納まりを考えて、自分の家具を考えていく、そんな印象でした。
最初にKさんにお会いしたのは、現場でした。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

吊戸棚の様子。タイルがオープン棚の奥まで張り込んである部分が特長。この納まりがあったため、棚板の強度が保てなくて、この写真の後で、オープン棚の中央に仕切り板を入れさせてもらいました。

平成さんのおもしろい取り組みに、設計の仕事をする前段階で、現場を経験するのだそうです。
大きな戸建て住宅の家具の納品に行った時に、何人かいらっしゃったかわいらしい女性の一人がKさんです。
だから、「イマイさん、お久しぶりです。」と、アトリエから出てこられた時には、あの作業着とヘルメットの姿のイメージしかなかったので、ピシッとしたスーツで凛とした力強い姿を見て、ホホゥと思ってしまったのでした。
(Kさん、目力が強いのです。)

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

このところ引き戸のデザインが増えてきたのですが、最近は引き戸には戸車以外の金物を使わないで、本体のほうに溝を突く、従来の納め方にすることが多いです。その方が素朴なのですが、かえって表情がスッキリときれいに見えるのです。

現場や、家具屋や、そのほかいろいろな職方さんから頂く知識でKさんとても年下とは思えないくらい凛々しく見えたわけです。
そうしてKさんと再会し、何度かやり取りさせて頂いて、Iさんのキッチンは一つの形にまとまっていったのでした。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

吊戸棚とレンジフードのラインを揃えます。

今回採用した素材はタモ材。明るい印象に仕上がりました。
そして、木目の動きを大きく見せたいな、ということもあって、いつもの四枚接ぎではなく四尺(1200mm)用の突板を使って三枚接ぎで作ったことで、この大きな空間に川が流れるような緩やかで優しい動きが出ました。
そして、今回は突板を使って、且つアイランド側は再度とバック部分の木目をつなげたいということで、コーナーの部分にひと工夫。
突板は、表面の無垢材が薄く仕上がっている分、角の強度がそれほど強くない、という面があります。
もともと、無垢材の表情の美しいと言われる部分や希少な木材を使いやすい価格と薄い板を積層することで、板の動きを安定させて反りや伸縮の少ない材を作ろうということで、無垢材のデメリットを補う形でできた板ですが、合板という言葉が先行して、その良さが分かりづらい部分もあったりします。その代わりに、無垢材のその表情の良さ夜気が動くのだという認識が改めて認められることで、材としていろんな一様があるという点が理解されている今の世の中はいろんな家具作りの選択肢が生まれて、良い物つくりがしやすくなったのではないかとも思えます。
今回はその突板のデメリットを補う方法として、そのコーナー部分に通称ヒモと呼ぶ細い無垢材を練り付けています。
これは、昔から木工所で教わる仕上げ方で、私も二十歳くらいの頃に父から教わりました。
Kさんにこの話をすると、意匠的にも良いですね、ということでIさんとも相談されてこの形で納めさせて頂くことに。こうすることでコーナーがかなり強くなります。
そのほか、今まで学んだことをポイントポイントで使わせて頂いたことで、どこか欧風なたたずまいのスッキリとした形に整えることができました。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

食器棚のカウンターの下にはお盆やよく使う食器をすぐに取り出せるようにと、オープンスペースを設けました。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

今回は天板をうすく見せつつコストを抑える形で、ということで、1.2mmの厚みのステンレス板を曲げて11mmに見せる形で仕上げました。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

こちらの引き出しもキッチンの引き出しも内部素材に合わせてグレーの化粧板で製作。またソフトクローズ機能のある底付けタイプのレールを使っているので、レールが見えなくてとてもすっきりした印象。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

オープンスペースをスッキリ見せるポイントとして、仕切りの板を奥に引っ込める方法を採っています。また板厚も薄くすることで目立たないようにさせています。

1点失敗してしまったのが、引き戸の下のオープン棚。壁に棚板を固定できると思ったのですが、背面のタイルをオープン棚の背の部分まで張り込むということで、棚板をしっかり固定できなくて、板がたわんでしまったのでした。
そこで、急きょ真ん中あたりに仕切り板を立てさせてもらって、ぐらつきを取る加工を施して、ようやく完成。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

食器棚の引き出しの様子。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

食器棚の引き出しの様子。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

食器棚の引き出しの様子。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

食器棚の引き出しの様子。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

食器棚の引き出しの様子。

ステンレスとタモ材を使ったセパレートキッチン

ガスコンロはリンナイのデリシア。また、カウンターはバイブレーション仕上げなので、どちらも鈍い光沢がある印象にまとまりました。

クルミとセラミックストーンを使ったアイランドキッチン

ガスコンロの下はスライドワイヤーシェルフ。一番下の部分だけワイヤーシェルフではなく、デザイン的に板を通す形にしているのですが、汚れても掃除しやすいようにステンレスを張っています。

Iさんにも気に入って頂けて、本当によかったです。
なかなかお話しできないまま形ができあがることって少し不安な部分があったのですが、Kさんが私の気持ちを伝えてくれてIさんの気持ちをこちらの伝えてくれたおかげで、とても良いかたちにまとまったのでした。

キッチン仕上
天板 ステンレスバイブレーション
扉・前板 タモ板目三枚接ぎ突板練り付け
本体外側 タモ板目三枚接ぎ突板練り付け
本体内側 カラーフィットポリ化粧板「グレー」
塗装 ウレタンクリア塗装全つや消し仕上げ

タモ板目材とステンレスバイブレーションのオーダーキッチン

費用につきましては、お問い合わせくださいませ。

ストーリーテラー

2019.04.22

「クルミ板目材とセラミックストーンのオーダーキッチン」

町田 D様

design:Dさん/daisuke imai
planning:Dさん/daisuke imai
producer:iku nogami
painting:iku nogami

クルミとセラミックストーンを使ったアイランドキッチン

全体像。お引渡し前の最終調整の時にお邪魔させて頂きました。


クルミとセラミックストーンを使ったアイランドキッチン

2階に上がると、この広い空間にたどり着きます。この場所でまるでステージのようにキッチンが浮かび上がります。


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「お邪魔します。」ようやく3年を経て、使っているお湯酢を拝見させて頂くことができました。デクトンとクルミの組み合わせがどのように変化しているのか楽しみだったのです。

住宅のフリーペーパーに私たちのキッチンが掲載されていたそうです。
それを見たDさん、今度はPinterestに私たちのキッチンの画像が掲載されていたとのことで、それを見てメールをくださいました。
いろいろなところで、すこしずつ取り上げてくださいまして大変感謝しております。
神奈川のほぼ中央のある町なのに、市ではなく郡でいて単線が走るこののどかな町にある小さな木工所をこうして知ってくださることに大変感謝しております。

クルミとセラミックストーンを使ったアイランドキッチン

セラミックストーンのカウンターとステンレスヘアラインのシンク。そして、水栓は触れると吐水するデルタのトリンシックタッチを採用しています。

Dさんはキッチンに対していろいろな思いがあって、それをメールで書いてくださったのです。
「以前、カタログを送っていただきました、Dと申します。このたび工務店との打ち合わせでいよいよキッチンを決めなければいけない段階に入り、色々ショールームも見たのですがなかなか気に入ったものが見つからず・・。
ずっと気になっていたイマイ様にご連絡させていただきました。
ウッドワンのKUROMUKUという製品がとても気に入ったのですが、収納部分が全く隠れないのでKUROMUKUのような表情のキッチンで、かつ収納力もあるアイランドのキッチンにしたいなあと思っています。
制作例でいうと、「跡をのこす」や、「豊かな色」が好みに近いです。木の中に黒が効いているという感じです。リビングの顔、というイメージでは、「ステージ」も好きです。
リビングはオークの無垢板張りにする予定なので、キッチンも合わせてオークがいいと思っています。また、この予算で可能なのか心配ですが、キッチンの天板はセラミックタイルがいいなあと思っています。キッチンの仕組みはザっとですが、シンク下はタオルバーとごみ箱の空間を空け、右隣に海外製食洗器、コンロの下のスライドワイヤーシェルフ2段、コンロ脇は調味料入れ2段、包丁入れ…という感じです。キッチンリビング側正面は、「豊かな色」のような感じで、両脇収納真ん中がグレーの棚になっているのが素敵だなあと思っています。(わかりづらくて申し訳ありません。スケッチしたのですが、プリンターとパソコンの調子が悪く、読み取れませんでした。)」

クルミとセラミックストーンを使ったアイランドキッチン

セラミックストーンは浮いているように見せるために、カウンターの裏打ち材を少し奥に入れ込んだ形にしています。


クルミとセラミックストーンを使ったアイランドキッチン

今回のキッチンのプランは、シンク下の一部にオープン棚を設けて、その隣はゴミ箱を置くスペース。食洗機の隣は先ほど紹介した引き出しで、コンロの下にはスライドワイヤーシェルフ。一番右端がスパイス・ボトル用の引き出しとなっています。

なるほど、最近はすこし色褪せたような、どこか素材の印象がむき出しのような仕上げを好まれる方が増えてきました。
Dさんが挙げてくださった方々のキッチンは、どちらかというと今までは仕上げとしてはイレギュラーな形の納め方をしている方々ばかりです。
そういう形がより生き生きと見える、素材の表情がそのまま感じられる物の良さ、物を作ることで生まれる手の跡、足跡、のようなものが評価されるものの見方が浸透してきたのですね。
この流れとともに物を作り出すことの良さがより見直されて、生み出すことの素晴らしさをもっと実感できる社会になったらよいなと思うのですが、既に必要なものが出揃っているように感じられる今の暮らしでは、なかなか新たなものを作ることに夢を抱くことは少し難しいのかもしれない、とも思えて、淋しい側面も感じられるのです。
しかし、こういう考え方が広まっていくことはとてもうれしいことです。

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特長的なポイントとしてコンセントとスイッチがあります。もともとキッチンの横にダイニングテーブルをつけて使いたいというイメージがあったDさん。シンクの前には家電用のコンセント(JIMBOのNKシリーズの黒いもの)をつけていて、ダイニングテーブルでも家電(ホットプレートなど)を使いやすいようにコンセントと、さらにダイニングのペンダントライト用のスイッチをどちらが分から座っていても入り切りしやすいように真ん中につけています。


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先ほどご紹介したデルタの水栓の隣にあるボトルが洗剤用のボトル。トリンシックタッチを初めて触らせてもらったのですが、かなり感度が良いのですね。今日はメンテナンスをするのにリビング側からちょこちょこと水を使わせてもらっていたのですが、うっかり腕が水栓本体に触れただけでお水が出るというのはおもしろいなあなんて思いながら作業しておりました。


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シンク下はゴミ箱が2台置けるスペースを確保して、残りはステンレスを上面に張った棚板が入る収納を作りました。


クルミとセラミックストーンを使ったアイランドキッチン

食器洗浄機はASKOの「D5556」というかなり大型のタイプを採用。


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このタイプは操作部分が隠れる全面パネルタイプになっていて開けるとこのように操作部分が見えます。また実際稼働中はどのような状態なのかが分かるようにLEDのインジケーターがパネルの下部で光るようになっています。

そして、今回初めて使おうとしているセラミック。ちょうどこのところテレビのコマーシャルでも取りあげられていました。熱いものをそのまま直に置いたり、鋭いものが当たっても傷にならない素材。
ふーん、そのような素材があるんだなあ。とその時は何気なく思っていたのですが、これだったのですね。

クルミとセラミックストーンを使ったアイランドキッチン

引き出しのパーツはハーフェレのものを採用。今回初めて使ったこの引き出しは、中央のパネルにいろいろなボックスやフックを掛けられるようになっている多目的に使える引き出しになっています。


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引き出しの様子。今回ここの引き出しは化粧板ではなくハーフェレのノヴァプロクラシックというスチール製の引き出しを採用しています。


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実際に使っている様子。Dさんいわく、「ここは少し変わった調味料をしまう引き出しなのです。」とのこと。けっこういろいろとしまわれていて、重量もあると思うのですが、動きはスムーズです。

そういえば、「豊かな色」のGさんがキッチンのご要望を伝えてくださった時に「表面がまるで石そのままのようにボコボコしているカウンターが良いのです。」と言っていたのが、当時はセラミックだなんて気が付かなくて、「さっぱりさん」のMさんのお宅にお邪魔した時に見たボコボコしたカウンターを見て、これがセラミックなのかあって、初めて新しことを覚える小学生のような気分で天板を触らせてもらったことを思い出しました。

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どこかで書いたかもしれませんが、キッチン側の仕上げ材はクルミの突板を使っています。クルミの突板は無垢材と違って、色の差が激しくて毎回取り寄せるたびに変わった色のものが入ってくるのです。Dさんの場合はたしか、かなり白っぽい色(ホワイトバーチのような)色だった覚えがあります。リビング側の無垢の印象と大きく変わってしまうので、もともとウレタンクリアで仕上げる予定でしたが、少し着色して、茶色を加味しています。


クルミとセラミックストーンを使ったアイランドキッチン

こちらもハーフェレの高さが変えられるスパイス・ボトル収納用引き出し。今回は一番幅の狭い110ミリタイプ。細かいサイズ展開をしているので、このスペース以外でも使い勝手は広がります。


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そして、調味料、ボトル用の引き出し。これの特徴としては、バスケットが引っ掛けるタイプなので、高さの調整ができる点が良いところ。もしもっと小さなビンばかりをお持ちの場合は、バスケットを増やしても良いですし。

そのセラミックを使わせてもらえることにちょっとドキドキしながら、どんな形でキッチンをまとめていこうかと、楽しみに思ったのでした。
そこで調べてみると、セラミックにもいくつかのメーカーがあってあれこれと特長を比べてみると、本当に傷がつかないもの(磁器なのかな)や尖ったシャープペンシルで引っかくと白く筋がついてしまうもの(陶器なのかな)やいろいろあるようです。
その中でよさそうに思えるデクトンを使うことにしたのです。

クルミとセラミックストーンを使ったアイランドキッチン

コンロは、リンナイのデリシアグリレ。お話の中で、油が飛散しないようにディバイダ―を立てるかどうかというお話が出ました。調理中の油煙が室内に舞うことにどのくらいのデメリットがあるのだろうかと。この3年の間にエアコンの調子がちょっと悪くなったことがあったのだそうで、その際にもしかしたら油煙もその要因のひとつかもというお話が出まして、Dさんといろいろと話をさせて頂いたのでした。

ところで、Dさん。キッチンのスタイルからはちょっとかけ離れたイメージに見える可愛らしい方で、確か国語の先生をなさっています。
ちょうどこの時期に私自身が長女の通う中学校で役員を務めていたこともあって、キッチンや家具のお話以外でも何かとすてきなお話を聞かせて頂いて大変楽しい時間を過ごさせて頂いたのを覚えております。
ちょうど新一年生に向けてどんな話をしようかと思いめぐらせていた時に、私はミヒャエルエンデのお話がずっと好きだったのを思い出して、「モモ」の話のなかに出てくる時間泥棒の様子が虚ろで怖かったなあという気持を子供時分からいまだに漠然とした覚えていて。
それは時間泥棒自身が怖いのではなく、彼らが言う言葉が全く正当に思えてしまって、それに取り込まれてしまう人たちの様子が鵜すら怖かったのを覚えております。
そんなことをDさんにお伝えすると、「ミヒャエルエンデのモモ、良いですよね。「時間」をキーワードにした物語ではありますが、ミヒャエルエンデの物語はどの話も、「既成概念からの脱却」を主軸としているような気もします。その人にはその人の人生があって、周りの人には分からないかもしれないけれど、その人にはとても意味のある、価値のある時間の使い方で、その人の身になっているし、なっていく。自分と他人との違いを認めて、違いを大切にしろ・・・と言われているような、そんな感じがします。世間で言われているところの、大切さとか、重要さとかは置いておいて。」
おお、すばらしきストーリーテラー。
こういうすてきなご意見をくださったり。

クルミとセラミックストーンを使ったアイランドキッチン

リビング側は引き出しと扉というシンプルな構成ですが、その収納を、クルミの板が囲うようなデザインで、その外枠から少し目地を取って、その目地も少し幅広く取って目地の色を濃くすることで、引き出しや扉が浮き出るような印象になることを狙っています。

「違いを大切にしろ」って大事なことです。
そして、家具作りの中でこういうお話ができることってとてもすてきなこと。ありがたいことだと、日々うれしくなるのです。
こうして、有意義な打ち合わせが進んでひとつの形がまとまりました。
大きな四角のなかに構成された小さな四角たち。それがほんのり浮いて見えるような印象で、この形ができあがりました。

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そのリビング側の引き出し。今回リビング側は奥行きが狭いのですが、使い勝手を考えて引き出しを設けています。ただ奥行が狭いと使えるスライドレールが限られていて、今回はこちらはソフトクローズレールではなくベアリングレールを採用しています。


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下の扉を開けた様子。撮影中も一緒に参加してくれていろいろお手伝いしてくれたお嬢さん。何かを一生懸命伝えてくれるのですが、分からず・・。

「お世話になっております。
イマイさん、本当にすてきなキッチンをありがとうございました。キッチンの取り付けが楽しみで楽しみで、毎日のように現場に行っては想像を膨らませていたので、想像以上のものが置かれていて大興奮でした。何度も打ち合わせに伺わせていただき、その度にプランを変更し、たくさんご迷惑をおかしてしまいました。お付き合いくださり、本当にありがとうございました。」

いえ、こちらこそ、この家具ができあがるまでのとても有意義な時間は私を豊かにしてくれました。
ありがとうございました。

キッチン仕上
天板 セラミックストーン「デクトン」
扉・前板 クルミ板目無垢材/クルミ板目突板
本体外側 クルミ板目突板
本体内側 カラーフィットポリ化粧板「グレー」
塗装 オイル塗装仕上げ

セラミックストーンとクルミのキッチン

価格:1,600,000円(制作費・塗装費、設備機器は別途)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は30,000円から、取付施工費は120,000円から)

オーダーキッチン「階段上がって見えてくる印象」

2019.04.21

20190421002階段を上がるとこの印象が目に入ってくるって気持ちいいよね。
今日はTさんのところに引渡し前の確認ということで、お邪魔してきました。
「今までは壁に向かってお料理作っていたのですが、今度は少し斜めになっちゃうけれど、向こうから空が見えます。それだけでもずいぶん気分が変わりますよ。」

そうですね。お兄ちゃんはまだ、シンクの中に座り込んじゃうくらいやんちゃで小さいのですが、しばらくしてお母さんと一緒に過ごす時間の大切さがわかってきたら、ここで一緒に料理を作ってくれるんじゃないかな。」

おそらく

2019.04.20

カフェの椅子の背の考察。
後ろ足と背のつながりを考えていくと構造が華奢になる。
ノガミ君と「椅子を引く時はこう」「開店前に掃除するときは椅子をどう持つかな」そんな話の中で、この構造ならいけるかなというところに行きつく。
おそらく大丈夫なはず。

よほど作り慣れた形でない限りは、答えはすべておそらくになっちゃう。毎回初めての形ばかりだからね。
楽しさと不安が入り混じる感覚はなつかしい子供の時分の空気を感じながら前に進むんだよね。

バスウッドのキッチンと背面収納

2019.04.18

昨日と今日とで自宅のキッチン周りの家具を設置してきました。
アメリカ産のシナと言われるバスウッドですが、今回のバスウッドはなかなか赤みが強くてシナ材と併用している部分の色味の違いがおもしろく出ました。時間が経って、お互いの色がまじりあっていくとおもしろいだろうなあと期待しつつ使いたいな。
金物は今回はかなぐやさんに相談させて頂いて、いくつかの種類といくつかオリジナルの小物を作ってもらっています。
「家の様子を見てからイメージを膨らませたいのです。」とそういってくださった太田さんの表現のしかた、今から楽しみです。
家っていろんな人がいてできあがっていくのだなあと、あらためて実感している日々です。

オーダーキッチン「タモランダム張り突板を使ったセパレートキッチンの設置工事」

2019.04.18

20190418002サイドパネルを横目で木取りしたパネルを取付けてこれですべて完了です。
きれいに作ってくれたカイ君に手間を取らせてしまいましたね、すみませんでした。
思いを一致させるのはやっぱり難しい。
けれども、それをきちんと実現させることが大きな喜びなのですから、きちんと思いを共有できるように頑張ります。
明日にはクリーニングが行なわれて、週末にはお引渡しになるとのこと。
私もその当日は都合がつかなくて伺えないのですが、1日ずらしてTさんにお会いできる予定です。

同居

2019.04.14

今日の晩御飯はミートボール。成形するチイと私の母。
新居の引き渡しの日のお知らせがきて、実家での居候生活の終わりが見えてきました。
結婚以来、20数年ぶりに毎日一緒に暮らしてみてわかった両親の今の暮らし。年を重ねているはずなのに、相変わらず毎日忙しく外に出かけている2人の姿には頭が下がります。その姿を、私も始め、ハルとチイが知る機会となったこの生活がなかったらわからなかったことかと思うと、とてもありがたく感じるのです。

いつもと違う道を通るような

2019.04.12

ご縁があって「池上プロジェクト」の中でほんの少しお手伝いをさせて頂くことになりました。そこで使われるかつての駅舎で使われていた古材。どのように使われるのから来月のオープンを待ちましょうね。

キッチンカウンターのオーダー「タモ板目のアイランドキッチンカウンター」

2019.04.11

2019041100220190411001「もうこの年ですからね、住みやすい大きさの家に建て替えてコンパクトに暮らそうかなと思いまして。」というTさんのご新居がようやく完成しまして、キッチンにアイランドカウンターを設置しにお伺いしてきました。
初めて使う折りたためるテーブルの金物は、形は武骨ですがかなり使いやすくできていて、今まで少し頼りなかった金物しか選択肢がなかったので、このような構造はなるべく提案できなかったのですが、これなら良いかも。
この折り畳みテーブルで食事をして、この場所でみんなを読んで料理を作って、お一人で使うのにぐるりと使いやすい動線になるように考えた形は、玄関からどっしりと見えてとても頼もしいのでした。
明るい印象に仕上がって、心地よい風が入ってくるこのダイニングにはよく似合っています。

【ゴールデンウィーク期間の営業時間のお知らせ】

2019.04.10

冷たい雨の降る日ですね。先日のお花見日和が嘘みたいです。
10連休と言われている今年のゴールデンウィークがあと2週間後にやってきます。大型連休とあって今までよりもゆったりといろいろな計画をされていたり、楽しみにされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そういうお休みの楽しみの中で、もしこのお休みの機会にオーダーキッチンや家具についてのお話を聞いてみたい、木のキッチンを見てみたいという方がいらっしゃいましたら、ショールームのご予約を受け付けておりますので、ご希望されますようでしたらご連絡頂ければ幸いです。
設計を担当しているのが代表のイマイダイスケとなります。お問い合わせをいただいた順の受付となりますのでご了承ください。
また、ゴールデンウィーク期間は、ご予約の時間帯以外はショールームを閉めてしまいますのでご注意くださいませ。
それでは、どうぞよろしくお願い致します。

食器棚のオーダー「クルミのキッチンバックカウンター」

2019.04.10

本日は、真冬のように寒く冷たい雨が降るお天気になってしまいましたが、相模原のSさんのお宅にバックカウンターの納品をさせて頂いたのでした。
もともと、今から5年前にキッチンのリフォームを検討されていたのですが、その時は予算の関係などもありましてお話が一度途切れてしまったのですが、こうしてあらためてバックカウンターを作らせて頂くことができて大変うれしく思っているのです。
Sさんのところに打ち合わせにお邪魔させて頂いた時、そのリフォームをされた時にSさんご自身が作られたというシンプルな家具たちがところどころに顔をのぞかせていて、どこか懐かしくとても居心地のよい空間だったのです。
何というかよい意味に聞こえると良いのですが、温かな小屋に居るような雰囲気。
その場所にこの家具を置いてもらえるというのは幸せなことです。
これから、ご主人が塗装をしてくださって完成。
どんな仕上がりになるのかは次回お会いする機会ができた時の楽しみです。
そう、小屋という言葉も当てはまるのですが、もう一つは祖母の家の小さな台所を思い出したのでした。
玄関を上がって奥のリビングがそっと見えた様子で思い出したのでした。

質素に

2019.04.09

20190409002いよいよ自宅の家具工事が始まりました。飾らない普段着のような形にまとまるといいなあ。