お店で売られている家具とオーダー家具の違い。それぞれのいいところ、よくないところ

Category : エッセイ

2021年10月14日

お店で売られている量産家具と私たちが作るオーダー家具との違いというと、やはり大きな違いは金額になると思います。

例えば、椅子などで考えてると分かりやすいのですが、インテリアショップなどに行くと、使いやすくてデザインの良いダイニングチェアなどは数万円で販売されています。高くても十万円前後というくらいでしょうか。

一方私たちがダイニングチェアを1脚だけ作ると、倍以上の金額が掛かってしまうことが多かったりします。

実は、ダイニングテーブルなどの大きな脚物家具(椅子、テーブル、ベッドなどの脚のある家具。反対に食器棚や収納家具は箱物家具)に比べて小振りな椅子のほうが制作工程がずっとずっと多いのです。

特に椅子は座る人の背に合わせて、後ろ脚や背もたれがカーブしているものが多く、曲線が出てくると、その型取りと成形を行なって、さらに四角い形状ではなく、丸い形状のものになると小鉋で1本ずつ削り出したりし、さらには座面に布や皮などが使われる場合は木と違った素材になるので作業工程が全く別に発生するため、加工手間がテーブルよりも多くかかることが多いのです。

では、量産の椅子はどうしてコストを抑えられるかというと、やはりその字のとおりに同じ形やサイズのものを大量に生産することでコストを抑えています。

背もたれだけを何十枚も作り、脚のホゾ穴加工を何百本も作ることで、作業工程をまとめられて時間が短縮できるので、コスト削減を実現できているのです。

では、そこまでして高額になるオーダーにするメリットはというと、すごく曖昧な表現ですが、「その人に合わせた形を作ることができること」これに尽きると思います。

「その人にあう」とは、その人の体形に合わせた形だったり、その人の暮らし方に自然に溶け込む形だったり、その人の気持ちが華やいだり、安らいだりするデザインだったりと、その人のその思いに応えて作ることができるということがオーダーの一番のメリットだと思います。

もちろん、量産品は、量産されるまでに試作、試験、いろいろな意見をフィードバックしながらその形を作っていくので、私たちのような小さな工房では知りえない素材や、知識が盛り込まれてできた良い製品が生まれます。

また、量産品でも訴求点が異なるため、便利な機能に特化したもの、デザインに特化したもの、価格に特化したもの、などカテゴライズされたいろいろな表現方法の家具があります。

そのようにある程度分類分けされているので、選ぶ人はその時々にあった形を選びやすいですし、金額も分かりやすい。

オーダーはもっとそういう分類がごちゃ混ぜになっていて、「機能」という引き出しからその人に必要な物を取り出し、「デザイン」という引き出しからその人の好むものを取り出し、それで作り上げていきます。

なので、私個人としてはオーダーで作るということは、家具そのものを作るだけではなく、その使う人の暮らしの一助になるような気配りというか目に見えない部分も一緒に作っていると思っています。

ただ、家具はあくまでも暮らしの道具です。

使って使って使い込むことでくたびれる、そういう使い方が美しいと思っています。

その人がその時に、何を重視して使いたいかという気持ちと、その家具の形がうまく合っていれば、量産品でもオーダーでもその人にとって良いものになると思っております。

例えばね、お客様のお宅に伺って、家具のお話を聞いていた時に、ふと今打ち合わせているテーブルに目が留まる。

「ああ、このテーブルは、私が一人暮らし始めた時に使い始めて、結婚してもこうしてそのまま使い続けているのです。当時は余裕もなかったから、町の家具量販店で買ったのですが、いつの間にかこんなに長く使っていたなって気づいたのです。」

よく見ると傷だらけだし、お子さんがいたずら書きして消した後がうっすら白くなっていたり、角に何かぶつけたらしい凹みがあったりして。でも表面は塗膜こそ薄れて、食器のシミがところどころについているけれど手触りはツルっとしている。

こういう使い方をされている家具に出会うことがあります。

美しいなって思うのです。

こういう使いかたをされたら本望だろうなと。

ですので、自分が必要と感じた時にちょうど良い家具にお店で巡りあえたらそれが一番良いのでしょうけれど、もし巡りあわなければオーダーで考えてみる、という選択肢をもっと気軽にとりいれてもらえるともうれしいなあと思うのです。

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カップのこわい顔

Category : エッセイ

2021年10月15日

子供のころ、祖母の家に行くのが怖いことがあったのです。
祖母の家は両方とも都内にあったので、私にとっては野山を駆け巡るじいちゃんばあちゃんちというのがうらやましかったのですが、それでも時々しか訪れることができない祖母の家は子供心にワクワクするのでした。
父方の祖母の家にはだいぶ前から物置になってしまった部屋には縁側を通っていかないといけないし、そこに入ると古い匂いがして、日は入ってくるし、すぐにみんながいる隣の部屋に行けるのですが、なぜかみんなの声が少し遠く聞こえていて別の世界のようでした。
でも、この部屋にたどり着く前にお仏壇がある部屋(ここがいつも私たちが遊びに来ると寝泊まりする部屋なのです)を通るのですが、この部屋に子供心にとても怖いカップがあったのでした。
カップ?と、周りに話すとくすっと笑われてしまうのですが、小学校の自分にはとても恐ろしいカップでした。
普通のマグカップにまつげが長くて真ん丸な目が大きく描かれていて、その下には厚ぼったい唇が描かれているカップ。
この部屋に入ってそのカップが正面を向いていると、もう私は恐ろしくて恐ろしくて、おいおい母にすがって泣いていたものでした。
そんな私の様子を両親は時々いたずらするようにカップを動かしたりするのですが、それがも何だかよく分からないけれどけれど怖い。
弟は全くそんなことなくケロッとしているので、まったく情けない兄でしたが、あのカップはどこに行ったのだろうか。
きっとあの大きなギラギラした目が怖かったのだろうなあ。

私が子供の時分はこうして暗くてよく分からなかったり、自分では理解できないものに漠然と畏怖の感情を持ったりしていたのですが、今ではかなりいろいろなことが分かってしまう世の中になりました。
わが娘たちは、まだ暗い部屋をきちんと怖がってくれるので安心です。

「悪いことをすると、押し入れのお化けが連れに来るよ。」
そういう漠然とした怖さってとても大切な感覚ですので、それを忘れないようにしたいなあとカップを見つめながら思うのです。

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キッチンのレイアウトについて

Category : エッセイ

2021年10月14日

私は料理をするとしても週末くらいで、どちらかというと家よりも工房に居る時間が多いので、キッチンのコーディネートやデザインというと差し出がましく思えるのですが、今までいろいろな方々のキッチンを作ってきて感じてきたことがいろいろあります。

こういう直接いろいろな意見を聞かせて頂くことができるオーダーという形は、私たちにとっても大変魅力のある家具作りの在り方だと思っているのです。

その中にひとつに「キッチンのレイアウト」について皆さんからいろいろなお話を聞かせて頂けたことがありました。

レイアウトというと、大まかに分けて、「I型」「セパレートタイプ」「L字型」「コの字型」に分けられることが多いです。

皆さんの好みがあると思いますが、今までお話伺っていて感じたことは、【一人で使いたいか】【みんなで使いたいか】で大きく意見が分かれるのだな、ということでした。

「うちではお料理はもっぱら私が作るだけなので、キッチンも私一人で使いやすい形にしたいのです。」

そういうご家庭でご要望が多かったレイアウトは、一人でガシガシ使えるようなL型やコの字型のレイアウトでした。

なぜL型やコの字型か、というと共通点は囲まれていることでした。

作業動線を少なくしたうえで、シンク、コンロ、調理スペースといろいろな仕事ができる場所にアクセスしやすいように自分の周りをキッチンで囲みたい、というご意見が多かったのです。

そのキッチン内のワークスペースも通常は、900ミリくらい採って、人とのすれ違いがしやすいように考えることが一般的ですが、「一人で作業したい」とおっしゃる方は反対に「水仕事をしていて振り返れば一歩足を踏み出さなくても作業台の上のものが撮れるようにこのスペースを狭くコンパクトにしてほしいのです。」と、800ミリくらいにされる方もいらっしゃいました。

反対に、「週末は家族みんなでキッチンで料理することが多かったりします。」

という皆さんが選ばれるのは、I型やセパレートタイプのレイアウトになることが多いです。

我が家もペニンシュラキッチンと食器棚として使っているバックカウンターがあるレイアウトです。

実際に使っていると娘たちもキッチンで何やらごそごそと作るのが好きですので、多い時は4人でキッチンの周りをガチャガチャとやるわけです。

さてI型の場合は、【壁を向いて作業をする形】と【ペニンシュラタイプのようにリビングダイニングを向いて作業をする形】の2つがあります。

どちらの場合でも、キッチンだけだと足りない収納量を補うためにキッチンの背面にバックカウンターがあると収納量・作業スペースの確保ができるので、とても使いやすいです。

具体的には、壁に向いたキッチンならダイニングとキッチンを仕切るようにアイランドカウンターがある形、ペニンシュラタイプなら私の自宅のようなバックカウンターがある形です。

こういうふうなレイアウトにすると、I型+カウンターとセパレートタイプのキッチンとの違いが曖昧に思えてきます。

では、どう違いがあるかというと、セパレートタイプのキッチンは水仕事と加熱仕事のスペースを分けることをセパレートタイプのキッチンと呼んでいます。

作業スペースを水、加熱と各々で広く採れるので、L型やコの字型よりももう少し料理に複数人で時間をかけて使いたい、という場合はこの形にされることが多かったりします。

また、レイアウトを考える上で大切なことのひとつに、動線があります。

帰宅してから食材を置いて冷蔵庫にしまう、しまった食材の中から使うものを水のそばに置く、水仕事を終えたら加熱スペースへと向かう。といった一連の流れがお部屋の間取りによっては、その食材を置いたり、作業をしたりするスペースの取り方がI型よりもセパレートタイプのほうが効率良く動ける場合が多かったりします。

そして、一人で使う上ではそれほど大きく気にならないかもしれませんが、複数の人たちでキッチンを使う上でとても大切だと思っていることがあります。

これは個人的な思いも強いのですが、複数でキッチンを使う場合は、I型もセパレートタイプもできれば、ワークスペースが通路のようになっていると良いと思っているのです。

ちょっと分かりづらいのですが、【行き止まりになるよりは通り抜けられる形がとても使いやすい】と考えております。

たとえば、一般的に加熱機器が置かれるのは壁際になることが多いです。

その手前で水仕事をしている人が居る時に、加熱仕事が終わって、ダイニングに向かおうとするときに水仕事をしている人の後ろを通るよりも別の通路があれば、そちらを通ってゆくと動線が重ならないので使いやすいと思うのです。さらにはバックカウンターでレンジを使って解凍している人が居たり、配膳の準備をする人が居たりすると、なおのこと別の通路があると便利です。

となると、つまるところは、アイランドタイプが使いやすいのではないかと感じているのです。

ただ、完全なアイランドになると、コンロ際に油や匂いを防ぐ壁がほしかったり、大きな空間がないとかえってアイランドはダイニングやリビングのスペースを圧迫することもあるので、完全なアイランドキッチンでなくても、ペニンシュラキッチンの突きあたりが玄関になってたり、廊下になっていたりして、戸を開けるともう一つの動線がうまれて回遊できるようになっているととても良いと考えているのです。もちろんその戸は片手で開けたままにしておきやすい【引戸】だとなお良いと思うのです。

ですので、私が皆さんのお話を伺いながらレイアウト考える時は、キッチンを使う人数や玄関からキッチンへの動線、勝手口があるか、回遊できるかなどご新居の間取りと皆さんの家族構成などを伺いながら、どの形が良いのかを提案させて頂いております。

あと一つ忘れておりました。パントリーがとても重要だということ。

それはまた今度お話しますね。

そして、もうひとつ面白いこと。私でも読めないのは、「キッチンが新しくなったら、主人が料理を始めるようになっちゃって、私の場所が狭くなってしまいました。(笑)」とうれしそうにお話しされていた方もいらっしゃったので、気持ちの移り変わりまでは、なかなか読めないのです。

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ダイニングテーブルの形、丸と四角で迷ったら

Category : エッセイ

オーダーキッチンを検討されるお客様が合わせて一緒に考えていらっしゃる家具として、食器棚とダイニングテーブル、という名前が良くあがります。

今日はダイニングテーブルについて思うことをお伝えしたいと思います。

ダイニングテーブルでいつも思うのは、お部屋に置いても邪魔にならないのなら大きいに越したことはない、ということです。

実際、我が家の暮らしぶりですが、子供たち(娘が二人居ります)と一緒に居て感じていたのは、「子供たちはなかなか自分の部屋で勉強しない」ということでした。

長女が小学校4年生の時にそろそろ自分の部屋を用意しよう、ということで次女と一緒に使ってもらうためにひと部屋開けたのですが、ご飯を食べるのはもちろん、お絵かきするのもダイニングテーブル、勉強するのもダイニングテーブルと、テーブルが彼女たちの居場所だったのです。

「せっかく作ったのだから自分たちの部屋にはいかないのかい?」と彼女たちに聞くと、「やっぱりお母さんのそばが良いとのこと。」

欧米のように小さな時からきちんと自分の部屋で過ごす習慣があるわけでもなく、寝食は常に親と一緒で川の字で寝る、という暮らしぶりの我が家にとっては、小さな時分のころは静かな自分の部屋が不要だったのです。

だから私は勉強机も子供が小学生の間は不要と考えていて・・それはまた今度のお話で。

それと、そのテーブルの大きさは、お皿も大きく広げられてご飯をたくさん食べて、ノートや本も一杯広げていろんなものを見聞きして、と、ワークデスクのような印象をテーブルには持っていて、そうなるとやはり大きなテーブルが良い、と思っています。

できれば4人家族くらいでも、ダイニングのスペースに余裕があるようでしたら1800ミリくらいの長さだとそのようにいろいろな形で使いやすいと思っています。

そして、奥行はできれば850ミリ以上は欲しいと考えています。

我が家では以前には奥行800ミリのテーブルで食事を採っていたのですが、自分のスペースと共有して物が置かれるスペース(大皿やお鍋など)を考えると800ミリだとちょっと狭く感じたのです。

奥行き850ミリにできれば、一般的に大皿やお鍋の大きさは24センチ~30センチ大なので、それらの食器が真ん中に置かれると、一人ずつの食事のスペースはちょうどA4サイズを縦にしたくらいの300ミリ弱になると思います。このくらいのサイズがあれば心地よく食事ができて、奥行900ミリだと少しゆとりをもって食事ができる、という印象を持っております。

テーブルのサイズの印象はそのように考えておりまして、さらにそこに椅子を4脚置くと、だいたい約1800ミリ×約1800ミリの正方形に近いスペースがダイニングセットのスペースになるのではないかと思っております。

(500ミリ(椅子のスペース)+800ミリ~850ミリ(テーブルの奥行)+500ミリ(椅子のスペース))

図にするとこのような感じです。

このように考えると、四角いテーブルは用途がはっきりと分かりやすく、また、リビングダイニング(LD)とキッチン(K)がひとつの空間になることが多い最近の間取りですと、その空間が長方形になることが多いため、正方形のダイニングスペースだとそれぞれの部屋の用途を分けやすく、動線も考えやすいのではないかと思っております。

反対に丸テーブルはどうでしょうか。

丸テーブルの良いところはやはり親近感が得られるちょうど良い距離を持てることと、空間を緩やかにつなげて、お部屋の印象が柔らかく感じられることなのではないかと思っております。

先ほどLDKのひとつの空間が長方形になるというお話がありましたが、この空間が上から見た時に正方形に近い間取りになる時には、丸テーブルのほうが緩やかに回遊できるような動線になるのではないかと思えるのです。

ダイニングとリビングの空間が曖昧なひとつの空間になって、メリハリは出さない柔らかな空間が生まれると思えるのです。

また、座る位置が限定されないので視線がぶつかることなく、なんとなくゆったりした気持ちが生まれるように思えます。

また、みんなが中心に向かって座るので、四角いテーブルよりも少し小さなサイズでも多くの人で座りやすい印象があります。

たとえば直径1300ミリの丸テーブルだと6人で座ってもきちんと食事ができますが、1300ミリ角のテーブルだと4人で座って使う形になります。

機能面からも見た目の印象からも柔軟性があるのが丸テーブルだと思えます。

それでは、私はどちらのテーブルの使っているかというと、丸テーブルです。

我が家の間取りはリビングダイニングがほぼ正方形で、さらには2階の床を支える柱がダイニングにそびえたつ形になっているので、四角いテーブルだと置けるスペースが限られて、リビングで過ごすスペースが無くなってしまうくらいに狭くなりそうでしたので、リビングダイニングがもっと曖昧になるように丸テーブルを使っています。

ここでもやはり次女は時々勉強をしていますよ。(長女はもう高校生になりましたので、もっぱら自分の部屋に向かうようになりましたが。)

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ゆきどまりの庭

Category : エッセイ

2021年10月15日

ゆきどまりの庭は緑が鮮やかです。
淡い緑から少しずつ深みを増して、向こうのほうではこんもりと茂って遠くが見渡せないくらい。
ここには誰も居りません。
温かな春の午後のような陽射しがあたりにスゥッと広がっていて、目をとじるとふわりと毛布が私を包むようです。
チョウは飛んでおりました。テントウムシも後ろからやってきて向こうへフーッと行き過ぎていきます。
でも他には誰もいない。
ネコも居ないし、友人も来ていない。
そもそも入り口がありませんもの。
でもね、ここでキシキシ音がする少しささくれた椅子に座って黙って目をつむってあたたかな紅茶を飲んでいると、こそこそします。
風の音かしら。
こっそりと気配があります。
まるで、みんなが真夏の午後の気だるい空気から一歩退いて涼しい木陰で休んでおしゃべりしているように、姿はないし声もないのですがこそこそとそこかしこでみんなが生き生きとしている様子が分かります。
みんながみんな楽しそうに暖かそうにおしゃべりしている様子が目をつむると、浮かんできます。
おや、今あちらの片隅ですらっとした人が通り過ぎましたか。

誰も居ないのにみんなが居てくれて温かいから、淋しくないし、気分よく私もここでお茶を飲んでいます。

そういう夢でしょうか。

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適した家具とは

Category : エッセイ

2021年10月14日

どんな家具がどのような方にとって使いやすいかというのは、なかなか分からないものであります。

この建築・インテリアの世界においては、ある程度の物差しができています。

「この身長ならこの高さが使いやすい。」

「この色ならこういうテイストでまとめると心地よい空間になる」

「この家族構成ならこういう間取りが良いでしょう。」

なんていろいろな物差しがあったりしますが、私としては結局体感してみないと分からないし、ある程度身体的な誤差は慣れてしまうものだと思っているのです。

実際に、現在私が暮らしている住まいでは、キッチンの高さは90センチにしています。私が身長182センチ、妻が身長172センチ、娘たちもすくすく大きな大柄の家族の暮らしにとっては、この高さは使いやすい高さだなと感じておりますが、この住まいに移るまでは高さ85センチのキッチンで暮らしておりました。

それは多少洗い物をする時は、すこし腰が痛いなあなどと思っておりましたが、それ以外に具材を準備したり、火を使う作業においてはそれほど低いと感じておりませんでしたし、そこはそこで快適な空間と思っておりました。

ですので、家具を作る立場、使う立場の両方から考えてみても、その家具を使ってくださる方をよく知らずに一概に使いやすさを提案することは何となく不安がありまして。

それでは、どうすると良のだろうと思い悩みまして、結果としてやはりその人の声を聞いて提案することが、その人、その家族にとっての最善に至る一歩なのではないかと思っております。

例えば、使いやすさを考えていて過去にはこんなこともありました・・。

出っ張りの少ないキッチンを実現させるために引き出しにはハンドルをつけないで、引き出しの一端に手をかけて開けるようにしたいという要望を頂いたことありました。

もちろん、出っ張らないでスッキリとした印象にできることは大きなメリットですが、料理をしている時は手が汚れていることが多かったりします。その時に直接木に触れることがその人にとって良いかどうか、また手をかけて開けるには指を引っ掛けて開けることになるのですが、年を重ねていくと力が弱くなってきます。ましてやキッチンをよく使うのは女性が多かったりしますので、「開け閉めするのにより力が要るのね。」感じる時が来ると思われます。

さらには、最近の引き出しは、手を途中で放してもゆっくり自然と閉まるソフトクローズレールというのが主流です。しまっていく動作も美しいですし、閉め忘れもなく、中にしまわれているものも大きな振動することなくしまっていく使いやすい機能金物です。

ただ、閉まる時にゆっくり閉まるバネが入っているので開ける時には普通の引き出しよりも少しだけ力が要るのですね。

そうなると指で開けるのにより力が必要に感じる場合があります。

せっかく使いやすい金物を使って、出っ張りのない形を実現しても使っていると指が疲れる・・。

それを回避するように私たちもあれこれ工夫するのですが、それでもその手を掛ける形を長年使っていたらやっぱり疲れてしまって、突き詰めていくと握って開けやすいハンドルをつけましょう、となってしまう事もあります。

それならば最初からハンドルをつけておけば、ハンドルをつけることで実現する形の美しさも表表現できたかもしれませんが、手掛けのデザインを残したままハンドルをつけると、少しばかり中途半端に見えてしまう事もあります。

似たような事例でプッシュ式扉というものもありました。

名前の通りに押すと開く扉で、よく昔のテレビ台に使われていた構造です。

押せば開くので、ツマミをつけることもなく、とてもすっきりとしたデザインにできます。

小さなお子さんがいらっしゃるご家庭では、ハンドルやツマミだとちょうどお子さんの目の上の高さになって頭をぶつけやすいので、採用したいというお話も頂きます。

このプッシュ式扉ですが、昔から言われていたことが「プッシュしてもそれほど出てこないから開けづらい。」ということがありました。

「押してもちょっとしか開かないから結局もう一度扉を引っ張り出す動作があるから意外と二度手間に感じるのです。」そういう声を反映してできたのが、プッシュ扉専用の蝶番で、通常のスライド蝶番とは逆にばねが入っているので、プッシュすると45度近く軽く開いてくれるのです。これが大変軽く開くので、「これは使いやすい。」と当時は私も膝を打ったのですが、その後、とあるお客様からご意見を頂いたことがありました。

「イマイさん、あのプッシュ式扉はとても使いやすいのですが、開きすぎちゃうんです・・。」

なになによく聞きますと、そのお客様のご家族みなさんは、この扉が「プッシュ式」と理解して使っているから不便はないのですが、お客様を招いてみんなでお料理を作る時には、来られた皆さんはそのことに気づかないものですから、この扉に腰やひざが軽く触れただけでフワーっと扉が開いてしまって、それが開いていることに気がつかなくて扉にぶつかっちゃうんです。とのこと。

なるほど、そういうこともあるのだなあ、と大変勉強になりました。

このお客様の扉はそのあと普通の蝶番に変えさせて頂いて、それから不便なく使って頂けているそうですが、いずれの形も、「これが使いやすい、これは便利だ。」と、よい方向になると思って考えた形の結果がかえって不便を感じる原因になってしまったりして、一概にこれは良いと思えるものをいろいろな方に進めるのは難しいものなのだ、とあれから私はより強く考えるようになったのでした。

ですので、家具をオーダーして作ろうと考える時は、何もかもを実物で確認できることも少ないですから、その形にするときのメリット、デメリットをきちんと伝えてもらえることが一番大切なことなのだと考えております。

とりとめのない話になってしまいました。

「ここを見るとあなたに適した家具が分かります。」というようなお話にできなくて、すみません。

いろんなことを体感して、見聞きすることが、自身にとっての良い形を見つけるための一足だと思っておりますので、皆様の暮らしにとって良い形が見つかることを願っております。

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市原まで

Category : 日記「自由な手たち」

2021年10月11日

最近は千葉に出かけることが多いのです。

先日の柏のYさんや少し前にキッチンを作らせて頂いた我孫子のNさんのところにも来月お邪魔させて頂く予定があって、そして今日は市原のKさんの現場確認でした。

できれば現場確認の時は、設計士さんや現場監督さんとお客様と私とで設置場所やその納まりなどを確認したいと思っておりまして、Kさんのお仕事の時間を割いてまでこの日に調整してくださいました。ありがとうございます。

というわけで、現場に9時に行かなければならず、場所を調べると、最寄りの電車の駅からは3キロちょっと。歩くのにはちょうど良い距離ですね。

ということで、4時半に起きて、まだ暗いうちに家を出て、市原の高校生たちが自転車で疾走する横を汗をかきながら歩いてやってきたのでした。

「イマイさん、歩いてきたの!この場所を歩いている人がいて珍しなって思っていたのですよ。」とKさん。

家で子供たちとも話すのですが、「バスって電車と違ってどこに行くか分からないんだよねー。」なんて思いがあるので、帰りの駅に向かう便ならともかく、他の場所に行く時に何だかためらってしまうのでして、こうしてのんびり不思議な小道やゆったりした川底を眺めながら歩くのです。

現場でタイルが張られる壁とキッチンの納まりを確認して、給排水の位置とレンジフードのダクトの位置を確認して、無事に進められそうです。

このところ、皆さんの新築の工事が少しずつ後ろにずれてきていて、年末が慌ただしくなりそうな感じですので、こうして早めに取り掛かっておかないと、昨年の12月のようにまたノガミ君に「正直しんどいです。」って言われちゃうので。

頑張りましょう。

ナラとステンレスバイブレーションのセパレートキッチン

Category : 日記「自由な手たち」

2021年10月10日

「引き出しがずれちゃったのです。」とNさんに言われて、お引渡し後にオイル塗装の指導でお伺いした時以来、まだ使っている様子を拝見できていなかったものですので、どんな様子かとても楽しみだったのでした。
「どうも、イマイさん、お久しぶりです。」とにこやかにNさんが迎えてくださって、まずは引き出しの調整を。
引き出しの後ろにクッションをつける場合とつけない場合があるのですが、(最近はソフトクローズレールを使うので、つけないことが多くなってきました。)そのクッションがつっかかっているとなぜか徐々にずれちゃうことがあって、終いにポロって取れちゃうことがあるのです。
それでやっぱりNさんの引き出しもクッションがついているところと取れちゃったところがあって、それを直して無事戻りました。
そのあとはNさんのちびっ子3人に時々囲まれながらお茶を頂いてきました。
(どうやらネイルアートが流行っているようで、お兄ちゃんまで爪がキラキラしておりました。)
楽しく使ってくださっているようで、その様子がNさんファミリー皆さんから伝わってきて、よい気持ちを頂いてきました。
ありがとうございました。

しずかに変わる日

Category : 日記「自由な手たち」

2021年10月9日

今朝は朝から茅ケ崎のKさんのところに納品に出かけました。

先日、キッチンを作らせて頂いたKさんですね。

あのキッチンとソファに合わせて、ダイニングテーブルとテレビボードとソファテーブルを追加で作らせて頂いたのでした。そして、本日はその納品で、納品後にご主人と奥様とでオイル塗装を行なうのでした。ということで、その写真はないのですが、お二人の意気込みを見ているととても良い仕上がりになりそうで、また月末その完成した様子を拝見しにお邪魔してきます。

午後からは、いろいろ相談を重ねてきたウェブサイトのリニューアルの最終打ち合わせです。

HANA Shonanの石川さんからとても丁寧に仕事をしてくださる上地さんを紹介して頂いて、細かい点を見やすくしたウェブサイトに変えるためにいろいろと手を尽くしてくださっていたのでした。その成果が間もなくみられるというので、最終打ち合わせです。

今度は今までよりもさらにオーダーキッチンやオーダー家具のことが分かりやすくなると良いなという思いを込めて静かにリニューアルいたします。

そうそう、昨晩からのリクエストでハルカがチョコレートケーキを作ってくれました。いよいよ47歳で、私も静かに変わったのでした。

ウェブサイト更新

Category : 日記「自由な手たち」

2021年10月8日

ステンレスバイブレーションとオーク板目のセパレートキッチン
内田雄介さん設計のリノベーションのお仕事で、少し古い集合住宅の最上階にステンレスをナラ材を使ったセパレートキッチンを作らせて頂きました。

もし、よろしければご覧になってくださいね。

ペニンシュラタイプのオーダーキッチンと背面収納

生まれるものたちであふれている

Category : オーダー家具・オーダーキッチン制作事例, オーダーキッチン

2022年2月11日

「ナラ板目とステンレスバイブレーションのオーダーキッチン」

横浜 K様

design:Kさん/daisuke imai
planning:Kさん/daisuke imai
producer:iku nobami
painting:iku nogami

ペニンシュラキッチンとパントリーのあるキッチン背面収納
リビングから見た様子。床もナラ材のヘリンボーン張りで、全体的にナラの温かみある空間になっています。
ペニンシュラキッチンとパントリーのあるキッチン背面収納
キッチンに入っていくとこのような感じ。キッチンの床はフロアタイルが張られていてどこか懐かしい印象にまとまって見えるのは私だけでしょうか。
ナラ板目材とステンレスバイブレーションのキッチンと背面収納
キッチンと背面収納の印象。

オープンハウスを行なったのでした。
日付を見返すと、2019年11月24日。
ちょうどその年の5月の連休明けに移り住み始めた私たちの新しい場所を皆さんにも見てもらえたらと思って開いたのでした。
懐かしいですね。
その時に、いろいろな方々にいらして頂いた中でも雰囲気のあるお二人がいらしてくださったのでした。
その印象を今でも覚えておりますよ。
画家さんか、デザイナーさんか・・、って思えるようなお二人の佇まいで、私はちょうどその時に別の方々と話をしていたので、Kさんご夫婦とはほとんどお話ができなかったのですが、アキコがいろいろとお話をしてくれていたっけ。
なので、私としてはKさんご夫婦の印象が少なくて(Kさん、すみません・・)どちらかというと私の自宅のような和風の印象が合うのかな(と言いうくらい雰囲気のあるお二人でしたので)と思っていて、キッチンのお話につながるとは思っていなかったのでした・・・。

オーダーキッチンスケッチ
Kさんから頂いたスケッチ。とてもよく分かります。
オーダーキッチンスケッチ
キッチン背面の様子も。この頃はまだコンロの前に壁が立っていましたね。
オーダーキッチンスケッチ
こちらは背面収納のレイアウト。ほぼこの形で実現しましたね。
オーダーキッチンスケッチ
アクソメ図風のスケッチで分かりやすく描いてくださいました。

ところが、後日、「先日はオープンハウスにいらしてくださいましてありがとうございました。」とお礼のメールをお送りしましたところ、さっそくお返事を下さったので、思いがけずうれしくなったのです。
それにどこにはきちんと計画されたスケッチまで添えられていて。
私たちでキッチンを作ることをしっかり考えていたくださったのだなあ、とあらためて反省。
さっそく頂いた内容で制作するとどのくらいの費用になるかをお伝えいたしまして、その後にいくつかやり取りをさせて頂いて、ご依頼頂けることになったのでした。
ありがとうございます。

ステンレスバイブレーションカウンターとシンク
キッチンの収納部分の印象。真鍮と黒の組み合わせをうまく配していますね。

そのあとは、まずは一度私たちのショールームで打ち合わせをしましょうということで、まだ自宅しか見て頂いたことがなかったので、今度は素材を見て頂いたり、工房の様子も居て頂くことに。
一度お会いしているのにメールでしかお話できていないこともあってか、いつもよりも緊張しますね。
特にお二人の佇まいが凛としていたからか、余計にね。
「いらっしゃいませ。」
そうしてKさんとの打ち合わせが始まりました。
どちらかというと使い勝手は奥様がいろいろとイメージされているところがあって、いろんな使い道のお話をしてくださって、ご主人はというと隣でじっと話を聞いているだけだと思っていたら、時々ズバリ的確な意見を述べられる。そして、そのキッチンの印象というかバランスを考えていくのはご主人のほうで、なるほどこれはきっとご主人は私たちに近いお仕事をされているだろう、と思っていたら、やはりデザインのお仕事をされている方だったのでした。
横浜のデザインに携わるお仕事で、私も何度か見ている形があったりして、そのようなお二人にご依頼頂けるというのはとてもうれしいことだったのです。
そうして、ご主人のお人柄も知ることができたことで緊張感のない素直な意見が行き交う打ち合わせが始まったのでした。
そうして、いくつかの変更を重ねながら最初に頂いていたイメージを大切にしながら形がまとまっていきました。

IKEAのナイフトレー
食洗機横の引き出しの様子。包丁はIKEAのナイフトレーをうまく活用して収納されています。
オーダーキッチンの引き出し
食洗機横の引き出しの様子。
オーダーキッチンの引き出し
食洗機横の引き出しの様子。
ガスコンロはプラスドゥ
ガスコンロはノーリツのプラスドゥ。ハーマンブランドのプラスドゥもまだ販売されていて、こちらの場合は少し機能が付加されて、レンジフード連動になっています。ただ、それなりに高くなってしまうので、一般的にはノーリツブランドのプラスドゥを導入される方が多いですね。
コンロの下のワイヤーシェルフ
ワイヤーシェルフ。現在このタイプは本国のハーフェレ社では制作しなくなってしまいました。こんなに使いやすいのにね。そこでハーフェレジャパンがオリジナルで後継品を作っていまして、若干動きの際はありますが、同じように使いやすい製品になっています。
コンロの下のワイヤーシェルフ
使いやすいものがなくなってしまうというのはなかなか淋しいですので。
コンロの下のワイヤーシェルフ
魚焼きグリル付きのコンロにされる方は、ワイヤーシェルフを3枚入れる方が多くなっています。床に直に物を置く方だと2枚にして、この一番下のシェルフは取り払ってしまう方も。

今回のキッチンのオーダーを頂いた中で、なかなか大変なことがいくつかありました。
まず一つは、「ガスコンロ前の壁を無くして、天板とレンジフードで ガラス窓を固定するようにしたいのです。」というご要望でした。
良くオーダーキッチンの制作例で見かけるのですが、私たちの制作においてはまだこの形は施工したことがありませんでした。
だって、「ガラスに油が跳ねたら掃除しづらいのではないか」とか、「跳ねたら拭けばよいのではないか」とか、据え置きタイプのオイルガードで十分じゃないか」という独りよがりな意見があったので、そういうふうな衝立を立てましょう、というふうにお話が進むことはなかったのです。
でも、今回Kさんの奥様はこの部分にとても強いイメージを持っていたので、むむっ、いよいよやらないといけないなあ、という感じになっていったのでした。
でも、なぜ自分が嫌がっていたのかを顧みても、特にこれといった理由はありませんでした。単に今まで行なったことがないから、ということだったのでしょう、きっと。
では、何となく気持ちが嫌がっている部分をクリアにして、それを解決できれば具合よく施工できるだろうと思い直しまして、Kさんのイメージを実現させるためにいろいろ考えます。
今回、ただガラス板を立てるだけでは印象がまとまらないので、Kさんとしては黒いフレームをつけたい、というのが理想でした。そうなると、KUMAさんに頼むかなあ、とぼんやり考えます。
でも、地震が来たらどうなるのかなあ、レンジフードを交換する時はどうするのだろう、とか見えない将来に悩んだりしましたが、まずはKUMAさんに相談です。
KUMAさんは、いつもロートアイアンのハンドルを作ってもらったり、特注の鉄工品を作ってもらっていて、いつも細かい相談に丁寧に載ってくださるのでとても心強いのでした。
今回も、まずは原案を作ってみますのでちょっと待っててくださいね、と快く相談に載ってくださいました。
相変わらずまわりの手助けがあって今があるのだなあと実感します。
そのような感じで、KUMAさんがデザインしてくださったオイルガードは順調に進めることができたのでした。

オーダーキッチンにおけるタイルの納まり
タイルの張り方とキッチンの納め方はいつも悩むところです。個人的にはタイルは床まで張って、さらにはキッチンの手前150ミリくらいは張っておきたいと思っています。結構ね、油が跳ねるのです。背面に向かっては市販の据え置き型のものでも良いのでオイルデバイダーを立てておけば、ある程度防げるのですが、横のほうはタイルが張られているから大丈夫と思っていると、下のほうや手前に油が飛散するのを防げなかったりして、我が家でも横にシナの引き戸があるのですが、ここに飛散した油はなかなか取れなかったりして。カウンターより上に張るだけなら印象はすっきりするのですが、使い勝手と見た時の印象とどちらを優先するかは悩ましいですね。
オーダーキッチンの調味料用の引き出し
調味料用の引き出し。高さ120ミリくらいのものまでが入る想定。
オーダーキッチンの調味料用の引き出し
調味料用の引き出し。こちらは高さ180ミリくらいのものまでが入る想定。
オーダーキッチンの調味料用の引き出し
こちらは高さ300ミリのものが入る想定。

続いて大変だったのが、搬入だったのです。
どこの現場でも大変だったのですが、今回のKさんのご新居はキッチンが2階にあるのですが、2階には小さな窓しかない・・。横浜の古い住宅密集地だったこともあって、2階だとお隣さんが近すぎて窓を設けても使わないということで、3階にバルコニーがあったのです。
さいわい2階に小さな物干し場を設けていたので、そこからかろうじて入れられるだろう、と工務店さんから頂いた最新のCADデータをにらみながら合点したのです。
それで、実際に形も決まって、初めて現場での打ち合わせがあった時には天板のサイズが分かるようにベニヤで作った型板も持参してチェック。
うんうん、どうにかなりそう。と胸を撫で下ろしたのでした。
あとは当日、道を塞ぐ形で搬入することになりそうだから、全員で手早く済ませないといけないな、とある程度の段取りを頭の中で整理して当日を迎えたのでした。
先ほど書いたように古い住宅が立ち並ぶ住宅街で、ところどころ代変わりで新しい住宅が建っているような場所でしたので、あまり車通りは多くないのですが、なぜかこのタイミングで隣の敷地も造成していて、大きなトラックの出入りが時たまあったりして、思うように捗りません・・。
とりあえず、階段から上げられるものを先に運び入れて、屋内からでは無理なものだけ路肩に寄せて車外に下してまずは車を逃がします。
この時期はちょうど8月の終わりで残暑が厳しい時期でもありました。
工務店さんの足場がまだかかった状態でしたので、足場を使って2階に手早く上げてしまおうということで、干渉する足場のパイプを解体して、天板をロープで結ってと、さっそく段取り通りに作業を進めます。地上では2名が待機して、2階あたりで2名が待 機する形ですんなりいくだろうと始めたのですが、なぜか物干し場からあれほど確認したのにあと数センチ高さが厳しくて入らない・・。
えっ・・と陽射しが出り付けるのとは違う汗がたらたら流れます。
こうなったら、3階にあげてそこから入れるしかない。
2階から3階へは吹き抜けがあったので、そこからなら階下へ落とせることも分かっていたのですが、その吹き抜けに辿り着くまでに壁があって、あの大きさの天板は振れなかったはず。とCADを見ながら思っていたのですが、もうそれしか方法がないですから試してみることに。
2階で天板を待機させて、1階の2名が3階に上がり、残りの1名は室内から補助して。
私の汗がワタナベ君にポタポタ。
みんな、すまないけれど頑張って。
どうにか3階まで上げることができてそこからがまた大変。3階のバルコニー付近に3名が残って、2名は2階の室内に向かって荷受けすることに。
いつもはもの静かに話すノガミ君がひときわ声が大きくなって、じわじわと天板が壁を回避しながら旋回していきます。
私とカイ君は2階で見守りながら、旋回しながら今度は2階にずり下がってくる天板を見つめます。「シャチョ―、下ろしていきますよー。」とノガミ君の掛け声にワタナベ君とヒロセ君がサポートして、私たちが2階でその天板の先端にどうにか触れることができた時に、ちょっとみんなの安心が伝わってきたように思えました。
そうして、無事に2階に下すことができたのでした。
フゥ、良かったよかった。

こうして、2つの大きな問題をクリアできて、Kさんのキッチンは無事に設置工事が完了したのでした。

ペニンシュラキッチンのダイニング側収納
リビング側の印象はこのような感じ。横一列に細かいものがしまえるような引き出しを設けて、下は開き扉の収納。この部分の奥行に関してもいつも皆さん迷うところです。ちょっとしたものがしまえればよいということでしたら、全体の奥行きは900ミリもあればよいと思うのですが、A4サイズのものを、しかもファイルにきちんと整理してしまいたいとなると、全体の奥行が950ミリほどは必要になってきます。そうなるとリビングが狭く感じることもあるかもしれませんね。悩ましい部分です。
アイアンオイルガード
KUMAさんに作ってもらったオリジナルのオイルガード。5ミリの強化ガラスをアイアンでフレームを組んだところにはめ込んでいます。フレームの細かなデザインはKさんから頂いたアイデアをもとにKUMAさんが設計してくださっています。施工の細かい部分まで設計してくれたので、今回初めての試みでしたので、大変助かりました。
アイアンオイルガード
素材がアイアンですので、磁石がくっつくのは便利。

そうそう、この大きなイベントのほかにももう2つ大きなイベントがありました。
それは、当時定期的に開いていた木工教室で、Kさんご夫婦でキッチンのパーツを作りたい、と言って参加してくださったことでした。
で、どの部分がお二人の作品になっているのかというと、背面収納の左のパントリー代わりになっている部分の一番上の格子扉です。
格子扉を私たちがお仕事として作るとそれなりに費用が高くなってしまうので、それを家作りの記念にもなるようにと二人で作りに来たのでした。
ただ、すべてお二人で、というのはなかなか大変なことでしたので、私と3人で見事にこの扉を作ったのです。

「日曜日はどうもありがとうございました。
ほぼ今井さんに作って頂く形になってしまい、お手数をおかけいたしました・・・。
なかなか夫婦で一緒に家具を作るという機会は無いので、楽しい良い思い出になりました。」

よい記念になりましたね。

パントリーの格子扉
こちらは大きな壁一面の背面収納。この左上の格子扉の中には、分電盤と通信機器がまとめられています。熱が出ることもあって格子状の扉にしています。
パントリー内部の様子
その下はパントリーとし使うために、シンプルに可動棚が入っている構成です。ただ、Kさんのアイデアとして、奥行きが深い戸棚なので、棚板を前後で使い分けられるようにしているところが面白いアイデア。高さの低いものと高いものを組み合わせて収納できるようにしているのです。
パントリーに紙ごみ収納
一番下は床が続いている形でそのままキャスターなどでゴロゴロと引き出せるようにしています。
パントリーの格子扉
そして、この格子扉がKさんご夫婦で完成させたもの。じっと見ると細かな荒はあるのですが、それは前々期にならないくらい作り上げた楽しさが伝わってくるような扉。お二人で1本ずつ丁寧に格子を組んでいく様子は微笑ましかったのでした。
ガラス扉のあるカップボード
カップボードのようになっているガラス扉の食器収納は奥行を浅くして手前でもは以前がしやすいようにしています。
ガラス扉のあるカップボード
こちらは上手工作所さんの真鍮のつまみを採用。ちなみに引き出しにはゴーリキーアイランドさんの真鍮ハンドルを採用しています。そして、ガラス扉は押縁を見せるデザイン。どこか懐かしい印象になりました。
オーダーキッチンの窓上の飾り棚
窓の上に飾り棚。こういう棚板って、使っていると垂れてくる可能性があるので、後ろに補強を入れています。
オーダーキッチンの窓下の飾り棚
窓下にも同じようにな多板をつけています。こちらの棚板は取り外せるように可動式にしています。

それから、もう一つがオイル塗装です。
塗装費の削減ということと、オイル塗装はこの先もお手入れをしながら使っていることを考えて、最初から自分たちで経験しておこうということで、ご自身でオイル塗装されるお客様も増えていて、Kさんもぜひそうしたい、ということでオイル塗装をご自身で行なって頂くことに。
なかなか大変な作業だったと思いますがきれいに仕上げてくださいました。
これで完成。
自分たちで作ることが楽しいっていうお二人は、やはり奥様も職人さんでした。

「お世話になっております。
先日はオイル塗装ご指導、ありがとうございました。
あの後、少し塗装作業をしながら、あらためてゆっくりキッチンを見ていましたが、すごく美しい仕事と丁寧に作られたキッチンだと、とても感動しました。
素敵なキッチンをありがとうございました。」

オーダーキッチンの背面収納全体
下の収納部は引き出しをメインに家電もしまえるような構成にしています。
オーダーキッチンのカトラリー用引き出し
まずは左端の引き出しから。
オーダーキッチンの引き出し
その隣の引き出し。
オーダーキッチンの引き出しの中身 
その下の引き出し。
オーダーキッチンの引き出しの中身 
3段目の引き出し。一番下は未撮影でした・・。
オーダーキッチンの引き出しの中身 
その右隣の列の引き出しの最上段。
オーダーキッチンの引き出しの中身 
その下の引き出し。
オーダーキッチンの引き出しの中身 
最下段の深い引き出し。
オーダーキッチンのレンジとトースターの置き方
カゴとその上に可動棚。
オーダー食器棚の炊飯器収納
その隣は炊飯器収納。
オーダーキッチンの炊飯器収納
スライドテーブルを引き出すとこのような感じ。
オーダーキッチンの引き出しのホームベーカリーを収納
かごの下の深い引き出しにはホームベーカリー。
オーダーキッチンの引き出しに米びつを収納
炊飯器の下は米びつ。すべての引き出しは底につけるタイプのソフトクローズレールを使っていますので、レールが見えない分、引き出しがスッキリ見えますね。

そのしばらくしたのちにKさんからすてきな贈り物が届いたのです。
それは奥様が務めるパン屋さんからのパンの詰め合わせ。
そう、ご主人は絵筆で物を作る職人さん、奥様はパンを作る職人さんだったのです。
物作りが好きなお二人の暮らしは、そこかしこが生まれることの楽しさにあふれているように見えました。

天板 ステンレスバイブレーション
扉・前板 ナラ板目突板
本体外側 ナラ板目突板
本体内側 ポリエステル化粧板
塗装 オイル塗装仕上げ
キッチン仕上げ

ナラ板目とステンレスのペニンシュラキッチン

価格:1,050,000円(制作費・塗装別、設備機器費用は別)

ナラ板目の背面収納

価格:1,150,000円(制作費・塗装費)

*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は60,000円から、取付施工費は150,000円から)

安静にしている日

Category : 日記「自由な手たち」

2021年10月6日

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お昼から2回目のワクチンの接種がありましたので、半休頂いておりました。
アイさん、どこに出かけたら分からないけれどさようなら。
明日元気だったら会いましょう。

接種後、体調が崩れるのかドキドキしながら過ごしていると、メダカの居る鉢に緑色の虫が。
なんだ・・。
時間を追うごとにどんどん体が延びて、ハエか・・、カゲロウか・・、と思っている間にトンボになりました。羽化する時に立ち会えたなんてすてきな時間だ。
庭はモジャモジャ。
ご相談頂いていた家具の絵を描いたりして、具合が悪くならないようにぐびぐび水を飲むのです。
「アニキ、水をたくさん飲むといいよ。オレなんて外での仕事だからさ(塗装屋なのです。)、毎日2リットルは飲んじゃうからねえ。」というアドバイスをもらって、先日2回目受けたアキコはそれで無事に不調になることなく過ごしていましたので、私もそれに倣って頑張るのです。

Yさんのナラ柾目の食器棚

Category : 日記「自由な手たち」

2021年10月2日

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「イマイさんにとってはそれほどめずらしい形ではないかもしれないけれど、設えてもらうというのは本当に心地良いです。」
相変わらずさばさばしたYさんの笑顔。
まるで親戚の姉さんのうちに遊びに来たような感じですが、ここは柏です。

Yさんには、ナラの柾目材とステンレスを使った食器棚と下駄箱を作らせて頂きました。
たしかに珍しい素材の使い方ではなく、作り方も複雑というわけではありません。
でも、いつかどこかで見ていたような形で、家具の形もYさんご夫婦の佇まいもとても身近に感じさせてくださる何かがあるのでしょうね。
そういうふうに気の合う家具にすることができたというのは本当にうれしいことです。

あとでYさんが、こういう言葉をプレゼントしてくださいました。
柳宗悦さんの言葉です。

「工藝は伴侶であり、兄弟や姉妹である。共に一家で朝な夕なを送るのである。そうして吾々の労を助け、用を悦び、生活を温めてくれる。それらの者に取り囲まれて、この世の1日が暮れる。」

うれしいですね。
「工藝」とまで言われるととても恐縮してしまいますが、日用使いの家具を常日頃から作りたいと考えているものですから、とてもうれしい言葉です。
良い形は使いやすい形です。
使いやすい形は、いかにその人の暮らしに馴染んでいるかです。
いかにその人の暮らしに馴染んでいるかを知ろうとするには、その人とよくお話をして、その人のことを知ることです。
言葉にすると簡単なことですけれど、なかなか難しかったりします。

こうして、家具を使っている様子を拝見させて頂くこともその人を知るとても大切なこと。
そして、こういう気持ちも頂けてうれしいのです。

Yさんありがとうございました。

円卓と椅子

Category : 日記「自由な手たち」

2021年10月1日

Nさんの椅子が組み終わりました。
今回はヒロセ君と、ここから独立して一人で頑張っているコバヤシ君が来てくれて、二人で作業を進めてくれました。
コバヤシ君を始め、ムラカミ君やイトウ君やタツヤ君や、時にはずっと西に居るテライ君やカワグチ君やら、ついこの間出て行ったカナイ君やカイ君まで。
みんな出て行っちゃうけれど、以外と近い関係でいられるのは良いよね。

この後、オリジナルの5本脚の円卓とこちらもやはりオリジナルというかNさんと一緒に考えたハイスツールの制作に取り掛かります。
オヌマさんがなかなか忙しそうで、今回アイアンの5本脚とスツールのリングを制作して頂くのですが、少し時間が掛かりそうで、Nさんは「急いでいないからいいのですよ。」とおっしゃってくれて。
前回納品したキッチンたちと印象を合わせて作る今回の家具。
また良い形になりそうで楽しみです。

くらいあさだね

Category : 日記「自由な手たち」

天気予報で、「明日は雨が強いよ。」って言われる日は、雨戸を閉めるんです。
雨音がバチバチうるさいのだそうで、アキコにとっては。
私のいびきのほうがよほど大変だと思うのですが。
この雨戸が私は嫌いでして、パッと目が覚めても目を閉じているくらい真っ暗ですから、起きた気持ちがしないのですね。
はっ、朝かな。って目を開いて、おやっ目を開けたのかなって寝ぼけた気持ちで考えて、まだかなって再び目を閉じても、おやっ目を閉じたのかなって、何だか一人で楽しくなってパチパチやるのですが、そういうわけでもなかなか嫌なのです。
もっとぼんやり朝日が差し込んできて、ああ、朝だなって思えると気持ちがパリッとくるじゃないですか。
雨も好きなのですけれどね、雨戸は苦手です。

コンフィな結婚記念日

Category : 日記「自由な手たち」

2021年9月30日

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昨日は結婚20年目の日でした。いつの間という感じですね、こども達の年齢を考えると「そうか~。」と思います。
記念日として特別にお祝いをされる方もいらっしゃると思いますが、平日でしたし、お仕事でしたし、私達は普通に過ごしました。お互い物欲もないのでプレゼントもなしです(笑)。
ただ、何もないのは自分がつまらなかったので、小さい鰯が安く売られているのを帰りのスーパーで見つけて、前から気になっていた「鰯のコンフィ」を作ってみました。(この他のメニューは、チイのリクエストのオムライス+野菜スープ+サラダでしたが)ガスで低温をキープし続けるのは難しく、レシピの写真のように皮がきれいなままにはなりませんでしたが、味はおいしく家族にも好評でした。今日のお昼は残りを使ってパスタにしました。いつもお魚は焼くか煮るかという感じでしたので、新しいレパートリーが増えてうれしいです。
「コンフィ」の意味を調べてみると、フランス語で保存するという意味だそうで、美味しい状態で上手に保存して無駄なく食材を使うための方法ということで、これからの理想の生活を象徴しているかのようだなと感じました。これからも変わらず健康に気をつけて一緒に過ごしていけたらと思っております。

働き方 椅子の制作

Category : 日記「自由な手たち」

2021年9月29日

最初の写真で左側に立って磨きの作業をしながら見守ってくれているのがコバヤシ君。手しか映っていませんが。

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私達の会社に就職目的で見学に来る人たちにはいつも伝えていることがあります。「私達の会社は一人一台の家具担当制で製作していくので、将来独立したいと考えている人には向いていると思います。」と。
そう説明して来てくれる人たちなので、5~6年すると辞めて独立していく人たちがほとんどです。では熟練の職人さんはいない工房なのね、と思われてしまうかもしれません。それが家具工房にとってどう思われるのかもわかりませんが、同じ形をずっと作り続けるなら生かせるのかもしれませんが、毎回新しい図面で仕様の異なるものを作り続ける私達の工房だと、柔軟に対応し続けられる力が必要なのかなと思っております。やり方は技術は3年ほどで確立されていくような気がしています。
さて、なぜこの話になったのかというと、数年前に独立したコバヤシ君がうちの工房で作業しているからです。
スタッフが3人だと製作のペースが厳しい場合が多く、助っ人としてお手伝いに来てもらっています。
ちょうど今は椅子の制作をしていまして、初めて担当するヒロセ君にアドバイスしながら進めていかなくてはいけないのですが、主任のノガミ君が大事な用事があってお休みしなくてはいけないこともあって、ノガミ君と同級生だったコバヤシ君がサポートについてくれたおかげでスムーズに製作が進んでいるのです。今までなかったことなので、ありがたく、ちょっと不思議な状況だなと思ってみているのです。
世間でいう、働き方改革とは異なると思いますが、お互いの利害が一致して納得しているのであれば、これからも色々な働き方に対応していくべきなのかなとも思っています。

無垢材の作業台 ダイニングテーブル 餃子ナイト

Category : 日記「自由な手たち」

2021年9月28日

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写真を撮ってからいつも気づくタンクトップ姿のダイスケさん。日常ということで…。
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コンコンっと音をさせながら「皮作るように短いめん棒ないのかなぁ。」とダイスケさん。調べたらちゃんと売っているのですね。さあ、買うのでしょうか、作るのでしょうか。
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ダイスケさんばかりに作業させてという意見もあるかもしれないので、私は具を包みましたよ。重ねた皮の部分が厚くなりがちなので気をつけました。
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作業用のシリコンマットを外してもこんなに散らかってますね。栗のテーブルの木目は大きいので、粉が入り込んで残らないようにすすいだ布巾で2~3回拭き取りました。
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鉄鍋で焼きます。焼き肉屋さんでアルバイト経験のあるダイスケさんなので、鉄鍋の焦げの扱いなどが上手なのです。
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週末はやっと予約を取ることができた娘二人のワクチン接種でした。それぞれご褒美に食べたいものリクエストしていいよと伝えるとハルはプラッタータチーズ、チイは焼き餃子(なんてリーズナブルなリクエスト!現実がよく見えていますね。笑)ということで作ることにしました。
我が家にキッチンは高さが90cmあるので、立ち作業でこねたりするのは肘の高さが上がり疲れてしまいます。また、時間がかかる作業の時はダイニングテーブルに座ってしています。(普段している作業と言えば、もやしのひげを取ることくらいでしょうか。)無垢材オイル塗装の天板だと、粉だらけになったり、具がこぼれて油の染みになったり、アルコールスプレーで塗装が取れてしまうと気にされる方もいらっしゃると思いますが、使い込んで馴染んでいく革製品と同じように風合いが増した表情も好きなのでガシガシ使っています。
ただ、我が家は家族全員でテーブルを囲むよりも二人ずつで使っている機会の方が多く、そうすると、キッチン側の半分のテーブル天板の方がよく使うので汚れている気がします。まだ2年目なのでそれほど目立ちませんが、1年毎とかに向きを変えてまんべんなく色味が統一できるようにしていこうかなと考えています。年末の大掃除の時にダイニングテーブルのメンテナンスはしていますよ。
36個出来上がった餃子はあっという間にみんなの胃袋に収まりました。やっぱり手づくりの皮はおいしい。毎回皮から作れたらよいのですが、我が家では難しいので特別なごちそうさまなのです。

日刊Sumaiに記事が掲載されています。

Category : 日記「自由な手たち」

2021年9月23日

イマイダイスケのライター活動15回目の記事は学習机についてです。記事にも書いてありますが、お子さんが進級するタイミングで学習机の相談にいらしたお客様とお話ししてみて、「まだうちには学習机はいらないね。」と帰られた方もいらっしゃいます。(笑)家具屋の営業としてはダメなのでしょうけど、その方にとって本当に必要な形を一緒に見つけてお作りするのがオーダーだと思っているのでよいのでしょうか。
私たちの記事は「こういう場合にはこういう形がお勧めですよ。」というものではなく、お客様を通してだったり、自分たちの生活で経験した体験談が多いので、「そういうこともあるのだね。」という感じで読んでいただいて、より自分たちにあった形を見つけるきっかけにしていただければうれしいです。よろしくお願い致します。

日刊Sumai → インテリア・雑貨 → 「学習机、子どもが長く使えるものを選ぶには?家具の専門家が娘の成長で感じたこと」

写真は、引き出しの前板の塗装をしているハルチイ。懐かしいです。ローラーをへんな持ち方しているところがかわいいですね。

お月見日記

Category : 日記「自由な手たち」

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玄関
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我が家のお月見記録です。娘二人ともお団子があまり好きではないので、毎年必ず作っていたわけではないのですが、おうち時間の時間が長いせいか、今年はちゃんと用意しようという気持ちになりました。
お団子は好きじゃないけど作業は好きということで、ハルが手際よく作ってくれました。お皿によそうとプルプル過ぎて段に重ねっれないということで、竹串で数個ずつ刺してみましたが、それでもずれてしまいましたね。
なぜ飾りが二ヵ所なのかというと、リビングに飾ってしばらくするとハルにくしゃみや鼻水のアレルギー症状が出てきてしまったのです。イネ科のススキ、以前の検査ではイネは大丈夫なはずなのですが、気をつけなくてはいけませんね。
ですので玄関に移動したのでした。ススキを飾るのは難しいでね。来年はもっと背が高いまま床に置いて飾る感じにしたいなと思います。
お団子は翌日に磯辺焼き・あんこ・きな粉にして楽しみました。固くなってしまっていましたが、グリルで数分焼けば中までふっくら柔らかくなりました。白玉粉と絹豆腐同量を混ぜるレシピは胃もたれせず(笑)おいしかったです。

さて、お団子を載せている台ですが、これは【木のご飯台 Cone 】という名前で販売していますよ。
ペット用のご飯台として作りましたが、我が家では「木製の和風なコンポート皿」として使っています。お正月の鏡餅の台としても使えます。洋風過ぎずにいつもと違う雰囲気を演出できるので気に入っています。鉄染をしたコーン型の脚と天板の縁の加工がアクセントなのです。

Website →木工小物と雑貨→ tableware →【cone 】

手作り通販サイト【Creema 】でも販売させていただいてます。興味のある方は見てみてくださいね。

木のキッチン シンク下のゴミ箱置き場の掃除

Category : 日記「自由な手たち」

2021年9月20日

Dsc_9628壁にピタリとつけてフットペダルを踏んで開閉する勢いで傷付けてしまっていたようです。気になる方は少し離して使うようにした方がよいかもしれませんね。
Dsc_9624
Dsc_9629サイドパネルの外側までカビが染み出てはいませんね。
Dsc_9639ご自身でオイル塗装をされたお客様にはその時に「紙やすりと蜜蝋とウエス(綿の着古したTシャツなどの布で大丈夫です。)が常備しておくよいですよ。」お伝えしているのですが、こういう時にあらためて手元にあると良いなと思ったのでした。気付いた時にすぐケアできますからね。

先日のオープンハウスでキッチンのお話をしている時に、「あ、ここ掃除し忘れてた。」と気づいたところがありました。
シンク下のゴミ箱置きスペースです。
うちは家の中で日陰の場所にあるキッチンで洗面所・お風呂と続いているので湿気がたまるかなとは思っていたのです。
梅雨時期に生ごみの臭いが気になりゴミ箱を出して拭き掃除をした時には気付かなかったので、その時まではなかったと思うのですが、キッチンの内側の部分の生ごみを入れるゴミ箱の側にカビのような点状の汚れとゴミ箱の蓋が動いて当たるところにこすれた傷がついていました。
汚れを見つけたらすぐ落とそう!ということで、4倍に薄めた酢水で拭き取り→乾いたら320番と400番の紙やすりがけ→蜜蝋ワックスを塗り込む、という作業をしてみました。触ったら凸凹はわからないくらいに汚れは落とせたのですが、シミのような跡は残ってしまいました。
なぜこうなったのかと考えてみました。洗いかごをキッチンの端に置いていて洗い物が山積みになるくらい多い時にはサイドパネルに水がしたたり落ちて濡れてしまう時があるのです。その都度乾いたタオルで拭いていたのですが、湿気は残っていたのでしょう。そして、生ごみの湿気があるのでカビやすくなってしまったのだと思います・・。
同じような状況で使用している方は、もしかしたらこうなるかもしれませんので、ちょっと確認してみてくださいね。

今年も栗のテーブルで栗仕事

Category : 日記「自由な手たち」

海老名産の大きな栗をいただいたので、連休中に大好きな渋皮煮を作ることにしました。
毎年参考にさせていただいているのは大原千鶴さんの今日のお料理のレシピです。参考写真のような美しい渋皮煮をいつか一粒でも作れたらいいなと憧れているのですが、私にはなかなか難しいことなのです。
昨年は大きな栗は中心が生のように固く残ったものがあったので、今年はしっかりゆでようと思ったら今度は崩れたものが多くなってしまい残念でした。本当はもっと煮汁が澄んだ状態になるのだと思いますが、そうすると全部に崩れてしまいそうでしたのでやめました。火加減なのですね。プロの方は本当に素晴らしいです。
でも、テーブルで鬼皮むきをしていたらハルが何も言わずに手伝い始めてくれて一緒に作業ができたのはうれしかったです。
毎年「たくさん作ってお正月まで取っておけばお節料理に使える。」と考えるのですが、間違いなくそれまでになくなってしまうのでした。今年はどうしようかな、もう一度作るかな、と7割答えが出ていますが、残りの3割で、これから買い物に行くたびにきっと出会う栗の姿を見て悩もうと思います。

チェリーの引き戸のある食器棚

Category : 日記「自由な手たち」

2021年9月19日

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昨日の雨は大変心配でしたね。
私たちのところでは大きな被害を受けることなく朝を迎えることができました。
おかげさまで、本日Hさんのところに無事家具を届けることができました。
そういえば、先日ようやく1度目のワクチンを受けることができました。
体には大きな異変が起きることはなかったですが、翌日中は熱はなくてもひどい倦怠感があって、不思議な感覚でした。
体に取り込まれた小さな力や自分ではどうにもできない大きな力がそこかしこにあふれていて、自分たちはその中で節度を持って暮らしていかなければいけないのだなとあらためて感じたのです。
今日もこうしてきちんと過ごせることに感謝します。

本日は大変良いお天気に恵まれてHさんのところにお伺いすることができました。
コーポラティブハウスということでエントランスからHさんの住戸までは少し変わった導入部になっていたので、長いテレビの上の棚はきっと通らないだろうなと思っていたのですが、実際に運んでみると難なく通過。
予定ではエントランスとは反対のバルコニーから、その階下にお住いのご家族にご了承頂いていたので、荷揚げをするつもりだったのですが、大掛かりにならずに済んでよかった。

もともと、Hさんには、食器棚の相談を頂いていたのです。
そのお話の中できれいな形のテレビボードに目が留まり、その上も飾り棚を作りましょう、というお話になったのはうれしくもありましたが、搬入の心配もあったところでした。
しかしこうして、先ほどのように良いことがいろいろと起こりまして、無事に2台の家具が設置できたのでした。
食器棚は奥様の家具、飾り棚はご主人の家具、ということでとても気に入って頂けまして、またあらためて使っている様子を見させて頂きにお邪魔させてください。
ありがとうございました、Hさん。

ウェブサイト更新

Category : 日記「自由な手たち」

2021年9月13日

ステンレスバイブレーションとアメリカンチェリ―のセパレートキッチン
山の中の住宅街に建つ緑あふれるキッチンとなったIさんのお話を掲載させて頂きました。

お時間ございましたら是非ご覧になってくださいね。