
三角標
Category : 日記「自由な手たち」2023年4月1日

川縁でカラスが一生懸命土を掘り起こしている。
桜の花びらと一緒に小さな羽虫たちもブンブン飛び回り始めた。
土手で見かけないネコを見るようになった。
メダカたちも朝から早々にお腹が減ったと水面に顔をのぞかせるようになった。
うちの庭にも茶トラが来ているってアキコとチィが言っていた。
空の色がほんのり濃くなってきた。
アイは変わらず、「ニャアオ(おはよう)」
春の風になってきました。

カバザクラの家具たち
Category : 日記「自由な手たち」2023年3月31日


実は今週は家具納品ウィークでして、月曜日と火曜日で平成建設さんのお仕事である静岡のTさんの3回目の取付工事にノガミ君とワタナベ君に向かってもらって、水曜日には「このあたりのランドマークになるような場所にしたいのです。」という相談を前回猫と暮らす大きな家具を作らせて頂いた猫と建築社の中村さんから相談を頂いていたそのカフェで使ってくださるラワン(めずらしい!)のベンチとテーブルを納品させて頂いて、昨日からはヒロセ君、ワタナベ君、タケイシさんの3人で、藤沢のecomoさんからご依頼頂いていた大磯のMさんのリノベーションでリビングやキッチンや玄関の家具を作らせて頂いたのでした。
新しい家具は2台のみで、残りの2台は今くっついている状態から着せ替えるという、この着せ替えるような仕事はいつもなかなか大変なのですが、今回も多少の歪みなどを調整しながら無事にきれいに設置が完了したのでした。

こちらが以前の写真。
カバザクラのとても清々しく明るい印象になってとても心地よい!

itotowaratoさん
Category : 日記「自由な手たち」今日は、ヒンメリ作家「itotowarato」さんでもあるMさんのところにアキコとお邪魔してきました。
Mさんは、「さらさら光る」のMさん。
相変わらず、すてきな使い方をしてくださっていて、双子のお嬢さんたちもお母さんに見習って3人ですてきにキッチンを使ってくださっている様子をいつものように目をキラキラさせてお話してくださいました。
ちょうど1年ほど前に「舟」という作品を自宅に置かせて頂いた時に、ぜひ工房にも作品を置かせて頂きたいと思っていて、Mさんに相談していたのでした。
テーマはね、その時にもお話に上がった「三角標」。
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」が好きなのですが、何よりも杉井ギサブローさんが監督した映画「銀河鉄道の夜」が大好きで、子供の頃に何度も見ていたのですね。その中でいよいよジョバンニとカムパネルラが天井に近づく時だったかな、窓の外を三角標が駆け抜けていく時の淋しさがずっと残っていて。
itotowaratoさんの作品の印象は優しいのですが、その淋しさというか真面目さというかを彼女に表現してもらいたいなあと勝手に思ってしまいまして、上のようなお話をさせて頂いて、「あとはお任せします!」と依頼させて頂いたのでした。
その作品の受け取り日。とてもすてきな作品を頂いてまいりました。
工房上の展示室で風にこれから真面目に吹かれるのです。

「私にとっては宝物なのです。」
Category : 日記「自由な手たち」2023年3月30日







お世話になっている工務店のSさんから「ある材料があってそれで座卓を作ってほしい。」と2月の初めにご連絡をいただいたのです。
なんの樹種かはわからないということで、材料を預かったダイスケさんも、制作を担当したヒロセ君も「一つの木目はケヤキかな。もう一つは松っぽいけどよくわからない。」
「製材中の匂いはヒノキっぽいけど、ちょっと違うような。イチョウの匂いほど癖もないし、なんでしょう。」
普段工房で扱う樹種とは異なる匂いに包まれながら、謎は解明されないまま製作は順調に進んでいたのでした。
完成し、今日Sさんが息子さんとともに家具を受け取りに来てくださいました。
「これはお世話になったお客さんからいただいた材料なのです。その方の家を作らせていただいて、お子さんの家も作らせていただけて、他にもいろいろご紹介くださって。その方がお肉屋さんをされていたので、多分まな板みたいに使っていた材料なのだと思うのだけど、衛生的に木のまな板を使わなくなったそうで、いただいたのですよ。私にとっては宝物なのです。」
とお話してくださいました。
その宝物が座卓になって、Sさんの暮らしの一部になるのですね。
すてきなお話ですね。最初にお預かりした板の状態からは想像できない経緯があったなんて、感動しました。
私たちに声をかけてくださりありがとうございました。

春の家族旅行
Category : 日記「自由な手たち」2023年3月27日







「ハルが卒業して、チィも修了式が終わったら少し時間ができるだろうから出掛けようか、この先どのくらい一緒に出かけられるか分からないし。」ということで、このタイミングでお休みを頂いておりました。
相変わらずアイはいつもおなかが減っているので、それほどの放っておけないので、一晩だけ心地良いところに行きたいねえ、温泉が良いかねえ、ということで湯河原まで。
今回の宿泊先はアキコが選んでくれた伊藤屋さん。
私は詳しく何も聞かないまま到着したわけですが、2.26事件の舞台ともなった場所で2日目に見学に訪れた光風荘でボランティアのおじいさまがお話してくれた壮絶な事件があったことを初めて知ったのでした。おじいさまのお話しぶりには牧野伯爵にも首謀者となった河野陸軍大尉にもどちらにもそれぞれの思いがあったという淡々とした話しぶりは何となく凄みを感じながら聞いていたのでした。
そして、島崎藤村もこの場所で静養されていたということで、昨年訪れた金谷ホテルやこの伊藤屋さんと言い、ハルが春から学ぶ先と偶然ご縁がある場所でうれしかったのです。
2日間とも雨降り模様でしたが、気持ちの良いおばさまの掛け声が聞こえる公園前の朝市を訪ねたり、滝のそばのしずくが滴る緑の壁沿いを散策したり、五所神社のクスノキが苔の間から泡を吹いている様子を見たり、昨日拝見した平松礼二さんの絵にあった城願寺の参道を囲うような濃い緑とその向こうで待つビャクシンの大木だったりと雨でしか見られない緑の深さの中を過ごしてきました。
良い時間でした。

クルミのカップボード
Category : 日記「自由な手たち」

土曜日は私自身は子供たちとの約束で、工房はみんなにお任せしてお休みを頂いておりました。
ワタナベ君とヒロセ君は工房で作業を進め、野上君とタケイシさんは年明けまもなくキッチンの設置にお伺いしたIさんから追加で頼まれていたカップボードの納品にお昼頃から出かけておりました。
あいにくの雨降り模様でしたが、無事に設置が終わって、Iさんご自身で塗装を行なうということでオイル塗装の方法も伝えさせて頂いて、無事に完了。
翌晩には、「冷蔵庫が入ってくるから、すぐに塗装を行ないます。」とおっしゃっていたというIさんからも無事に塗装が終わったというご連絡を頂きました。
とても良い表情にまとまりました。こうして、写真を見ると、あの時の搬入の苦労がスッとどこかに消えていくようです。(笑)
またここが使い込まれていくことでどんどん良い顔になって行くでしょうからその時が楽しみです。

楽しめること
Category : 日記「自由な手たち」2023年3月24日
ハルカがやっと18歳になりました。
早生まれなのに、私とアキコの子なので、クラスの中ではかなり体も心も大きいほうでして、こうして頼もしく育ってくれたことはとてもうれしいこと。
無事に高校を卒業してどうやら大学に国際文化を学びに行くらしい。
自分が子供の頃に比べると今の子たちはいろいろと向き合う事柄が多いように思えて、大変なところもあるのだろうけれど、しっかり自分を持ってやってくれているのはすばらしいね。
いつかの自分とは大違いです。
今はその準備期間ということで、時間にも余裕が生まれたからか「アルバイトを始める。」と言って駅前のケーキ屋さんで働き始めたのです。ハルらしいね。
そして先日の誕生日では、「他のすてきなケーキ屋さんがどのような感じが見てみたい。」ということで、いろいろなケーキ屋さんのウェブサイトを見ながら、「このケーキの断面の仕上がりが気になる。」ということで、夕方アキコと二人で厚木のGatohさんまで出かけていたのだそうで。
楽めることはとても良いこと。
楽しく実りある1年にしていってくださいね。

タモのL型キッチンと壁のようなテレビボード
Category : 日記「自由な手たち」2023年3月22日


2週間前に本棚とテレビボードの設置に入らせて頂いた静岡のTさんの2回目の工事です。
一昨日と昨日とで、ノガミ君、ワタナベ君、タケイシさんの3人で泊りがけで作業に出かけてもらっておりました。
平成さんのお仕事はかなりシビアにミリ単位で現場を調整してくださるので心強いのですが、今回のようなL型キッチンを設置する時はかなり頭を使います。今回はキッチンの両端に袖壁が立つのですが、その壁の手前に見切り枠がつくのですが、壁よりも枠のほうが出っ張るのです。
わたしたちがL型キッチンを作る時はステンレスカウンターは、現場でつなぐときれいに納まりづらいこともあるので、なるべく1枚もので作りたいと思っておりまして、そうなると、袖壁があるだけで見切り枠が出っ張っていても出っ張っていなくても物理的にステンレスのカウンターを差し込むことができない。枠が出っ張っているとなおさら困難なわけでして。それで片方の枠だけでもあとで付けてもらえるように監督のOさんと段取りをしまして、それでも入るかどうか不安なのでしたが、どうにかきれいに設置ができたのでした。
こういう細かな納まりを相談させてもらえるのはとてもありがたく、みんなできれいな家を建てているのだなあとあらためて実感するのでした。
前回仮設置していたテレビボードはこのキッチンに合わせて再度調整して固定しまして、これでリビングとキッチンを仕切る壁のようなテレビボードも据えられました。
次回は、下足入れや洗面台など小さな家具たちを持って、来週3回目の工事に入らせて頂く予定です。

Kさんのシーザーストーンとオークランダム張りのキッチン
Category : 日記「自由な手たち」2023年3月21日






道の途中で見かける桜の花がだいぶ開いてきました。
我が家もようやくモミジが赤い葉をつけ始める季節になってきました。
ついこの前まで防寒のために夜の間はうっすらとフタをしていたメダカの鉢もだいぶ暖かくなってきた陽気に合わせて取り払っておりましたら、朝早くからもう「ご飯をおくれ」と目を合わせるようになってきました。
春ですね。
昨年の3月の完成見学会からもうすぐで1年が経つこのタイミングでお声掛け頂きまして、メンテンナンスも兼ねてご挨拶にお伺いしてきました。
本日は春分の日ということでこのKさんの家を設計されたお兄さん家族とお母様もいらっしゃって華やかな休日の様子。ちょっとしたお祝いでしょうか。
食洗機の扉を調整する横ではガスオーブンがフル稼働して、一生懸命にケーキを焼いておりました。
実は、こうして声をかけて頂けるのを待っておりました。
このところ、茅ケ崎や藤沢や鎌倉と言った海の近くのこのあたりでキッチンや家具を作らせて頂く機会が多くなっていて、Kさんのおうちのそばをしょっちゅう、それはもうしょっちゅう通っていたのでした。そのたびに「9月頃って言っていたけれど、いつ頃お声が掛かるのかしら・・。」なんて思ったいたのですが、こうして春のおめでたい日にお声掛け頂き大変うれしく思っております。
Kさんのこのお仕事をきっかけに知り合った寒川で工務店を営む久保田さんとはこの先のお仕事でご一緒できることになりましたし、設計さんであるお兄さんともご挨拶ができましたし、そして何よりKさんご自身がインテリア雑誌の編集やライティングのお仕事をされていて、そのような方からこうしてご依頼を頂けたことがとてもうれしかったのでした。
良いご縁を頂きありがとうございました。
「朝の様子がとてもきれいなのですよ。」とKさんがおっしゃっていました。ちょうどキッチンについている窓から朝日が入り込んでくるのだそうです。
またいろいろな季節でお邪魔させて頂けたらうれしく思います。
今からその時が来るのを楽しみにしているのです。

オーディオボードの納品
Category : 日記「自由な手たち」2023年3月20日




土曜日はHさんのオーディオボードの納品がありました。
雨にはそれほど降られることはありませんでしたが、軽自動車がギリギリ通れるかというくらいのなかなかタイトな搬入口でそちらの方が心配でありました。
今回のお仕事をつないでくださった設計士のFさんが雨の中誘導してくださったおかげで、無事車を寄せることはできたのですが、
今回はお客様であるHさんご自身で塗装されるということでしたので、濡らすわけにはいかず、
また、音響機器が入るということで、板の中を空洞にしてしまうと、太鼓のように反響してしまうのベタ芯にしてあるため、かなりの重量で、置くだけのシンプルな納品なのですが、大人4人で納品に伺ったのでした。
おかげさまで無事に設置場所におろすことができまして、Hさんにも、つないでくださったFさんも、専属の電気屋さんもみんなに喜んでいただけて、よかったよかったとみんなでお昼ご飯を食べて帰ってきたのですが、写真を撮り忘れてしまったということで、昨年末頃の製作中の写真からの投稿となりました。
いったい何キロあったのだろう・・
Hさん自身でオイル塗装され、機器が置かれ、配線がつながり、音楽を奏でられる場所をまた改めて拝見させていただける時を楽しみにしております。

タモ柾とコーリアンのL型キッチン
Category : 日記「自由な手たち」2023年3月16日





「一級建築士事務所 すずき」の鈴木さんと山村さんからのご依頼で作らせて頂いたL型のキッチン。かなり築年数の立つお宅に設置するということで、けっこうね、ドキドキしていたのです。
壁の立ち具合や壁の矩は出ているのか、そのあたりを踏まえて採寸したわけですが、解体前の古いキッチンがついた状態での実測というのはいつもの通りでなかなか難しく、見えない寸法なども出てくるのです。
そのあたりを加味して、現場できれいに納まるような逃げを見ておいたのですが、それでも大変だったわけです。ノガミ君とヒロセ君が頭を悩ませながら、こうしてきれいに納めてくれました。内装はいつものようにkotiの伊藤さんにお願いしたので、阿吽の呼吸できれいに納まったのでした。
今日は、ご挨拶とひとつ相談されてしまった吊戸棚のコーナー部分の扉の蝶番を交換しにやってきました。
うっかり、普通の105度開きの蝶番でヒロセ君に指示してしまったのですが、実際に開いてみると角度が浅くて、中のものが取り出しにくいのでした。
そこで、150度開きの蝶番に交換させて頂き、これですべて完了となりました。
お施主様が老後の暮らしを楽しまれている様子がよく分かり、お二人でキッチンに立つのだということで、お二人ともとてもうれしそうにいろいろとお話をしてくださいました。
そして、「ヒロセさんにはとても使いやすくてありがとう。そして、キッチンで過ごす時間がとても楽しくなりました。」とお伝え頂けますか。と、言づてを頂きました。
春の日差しのようにうれしいのでした。

ナラ柾目の食器棚
Category : 日記「自由な手たち」2023年3月14日
5年前に食器棚とテレビボードを作らせて頂いたSさん。この先、暮らしかたが変わってくるかもしれないという考えで、今のお住まいからちょっと離れたところに住み替えるというお話を昨年に頂いていたのです。
また再び声をかけてくださることに大変感謝しております。
Sさんは、5年前にそのまた9年前から私たちのことを見ていてくださったそうで、(初めてお会いした5年前に教えてもらいました)そう思うと感慨深いものがありますね。
お姉さんとお二人で我が家のオープンハウスにもいらして下さって、あの時は家具を作って少し経った頃でしたので、なぜだろうなんて思っていたのですが、純粋に私たちのことを好きでいてくれるというのはとてもうれしくありがたいことです。
今回作らせて頂いた食器棚もとてもシンプルな形なのですが、Sさんの思いが詰まった形はこの形しかないわけです。
まだリフォームの真っ最中ということで、落ち着いたらあらためてご挨拶に伺わせて頂きますね。
ノガミ君とタケイシさんがきれいに取りつけてくれました。

経年変化
Category : 日記「自由な手たち」2023年3月12日
先月、久しぶりにMさんから本棚のご注文をいただきまして、ダイスケさんと一緒に納品に伺わせていただきました。
その時に、16年前に納めたダイニングテーブルとサイドボードと、9年前に納めたキッチンカウンターと再会することができたのですが、チェリー材の経年変化の美しさに驚かされました。
普段、「チェリー材は日焼けがしやすく、どんどん飴色に変化していくのを楽しめる樹種です。」と経年変化について、当たり前のことで、特別なことではないようにお客様にお話ししていた自分を恥ずかしく思いました。
白太を含む部分との色のコントラストがとてもダイナミックで、これほどの変化を想像できていませんでした。

「経年変化を楽しむ。」とはこういうことなのだなと、改めて学ばせていただきました。
Mさん、貴重な機会をありがとうございました。
再び声をかけていただかなければこの姿を知らずにいるままでした。
今まで、ローズウッドやゼブラウッドなど珍しい樹種の表情で家具を、というご相談をいただくのですが、私たちの工房ではあまりお取り扱いをしていないものなので、
ナラ材やチェリー材などのメジャーな樹種でも、白太を含む部分などの用い方で、その経年変化で独特の表情を楽しむ方法もあります、とお伝えできると思います。
ありがとうございました。
Mさんの家具を作らせていただいた時のお話です。興味のある方はお読みになってみてくださいね。
16年前にダイニングテーブルとサイドボードを作らせていただいた時のお話。

いよいよ
Category : 日記「自由な手たち」2023年3月8日
今日から静岡のTさんの取付工事が始まりました。平成建設さんの現場です。
まずは、先行してできあがっている本棚とテレビボードの納品です。
西に向かう道はゆったりしていますので、それほど慌てて出掛けなくてもほどよい時間に現地に辿り着けました。搬入のために部分的に足場を崩していると、
「あら、イマイさん。早いのね。」とTさんの奥様が顔を出してくださいまして、まもなくご主人もいらして下さって。
「あっ、よろしくお願いします。まずは今日一日作業をさせてもらいますね。」ということで、監督のOさんと打ち合わせた後にさっそく運び入れます。
搬入して段取りをノガミ君とワタナベ君と打ち合わせたあとは、一足先に工房に戻らせてもらおうと、挨拶をして外に出まして、さっそく駅までどうやって歩こうかと道調べをしていると、後ろからエンジン音が。
「おぉ、イマイさんじゃない。なに、帰るの。電車かい?じゃあ乗りなよ乗りなよ。ちょうど駅のほうまで行こうと思ってたんだよ、乗っけてってあげるよ。」とTさん。
「いやあ、そんな悪いですよ。」
「いいのいいの。ちょうど用事があるんだからさ。」
ということで軽トラの助手席に乗せて頂くことに。
「昨日耕運機が壊れちゃってさ、これから修理の依頼に行こうと思ってたのよ。」
とご主人。
このTさん、以前のブログにも書いたのですが、三谷さん、中村さん、望月さん、安藤さんなど生活工芸作家んさんと呼ばれる方々のお話が特に詳しくてずっと聞き入ってしまうくらい。
車中の会話でも「アートアンドサイエンスのさ・・、」なんてまた新しい作家さんのことを教えてもらって、駅までとても楽しい時間をくださいました。
ありがとうございました。
設置のほうはというと、大きな本棚はあやうく寸法見誤ったかと思うくらい天井ギリギリの寸法でどうにか据え付けることができたのでした。
テレビボードもひとまず組みあがって、次回据え付けられそうです。
その次回はいよいよメインのキッチンの設置です。
気が引き締まりますね。

ウェブサイト更新
Category : 日記「自由な手たち」
つくばで新しい暮らしを始めるOさんの新居に作らせて頂いたクルミのL型キッチンの記事を掲載しました。
もし、よかったらご覧になってくださいね。

しなやかに
Category : 日記「自由な手たち」2023年3月5日
久しぶりに打ち合わせなどの予定がない日曜日。
治ったのか治っていないかはっきりしないのですが、久しぶりに走って工房まで。
「膝を棒のようにして着地すれば負担が軽減されますよ。」と言われてそのように走ってみるけれどもどうにも馴染めなくてまるで小走りのようになってしまってこそばゆい。
でも自分の脚で前に進めるというのは本当に気持ちが良いことです。相変わらず、膝の鈍痛が感じられますが、徐々に良くなってきているかな。
工房に着くと、すでにノガミ君とヒロセ君が作業を始めておりました。
3月というのは何かとイベントが多い月でもありますので、二人も平日のイベントで休みを取る代わりにこの日曜日に来てくれております。
自分たちの暮らし方に合わせて柔軟にしなやかに仕事ができることはメリハリが少ないと言えばそうなのかもしれませんが、気持ちのゆとりを持って臨める分こういうやり方のほうが良いのだろうと思っております。
いよいよ今週の半ばには大きな仕事であるTさんの家具の納品が始まりますし、何かと慌ただしい日々が続きます。

ひな祭り
Category : 日記「自由な手たち」2023年3月4日


家具屋姫二人の我が家ですので、ひな祭りの日はちゃんとお祝いをしました。
ちらし寿司にはサーモンとえびといくらをと思っていたら、当日の夕方の買い物ではサーモンが売り切れてしまっていたのでなしで。
ケーキは、ハルがバイト先に採用された記念に、その会社さんのものにしました。せっかくバイトするなら、ケーキ屋さんで働いて技術と知識を身に着けたいという興味の強さには感心してしまいます。
用意をするとき、妹チイがろうそくを刺したのですが、
「なんで前に壁作るみたいに刺してるの?お雛様見えなくなるじゃん。」と姉ハルに言われて、「別にいいじゃん。」という感じでちょっと困ってる様子が、ああ、これがハルチイの雰囲気だよなとしみじみ感じました。
食べるの・お料理大好きで、ちゃんとしているしできるけど、部屋の整理整頓はちょっと苦手で、どちらかというと私に似ているハル。
やらなきゃいけないことがあればすぐ終わらせるけど、他のことはマイペースで、人から指摘されても自分なりの考えがあるので動じない、どちらかというとダイスケさんに似ているチイ。
小さい時から変わらないこのバランス。面白いです。
この一年もこの子たちが健やかに過ごせますように。

お宿のように
Category : オーダー家具・オーダーキッチン制作事例, オーダーキッチン2023年3月8日
「ステンレスバイブレーションとクルミのL型キッチン」
つくば O様
design:Oさん
planning:Oさん/daisuke imai
producer:daisuke hirose
painting:daisuke hirose
「はじめまして!Oと申します。
このたび、つくばに家を建てることになり、これから間取りを決めて7月に着工して来年2月完成というスケジュールで予定しています。
いろいろキッチンメーカーを見て回ったのですが人工的な扉材があまりしっくりこず、木のキッチンを探しているうちにフリーハンドイマイさんに辿り着きました。
どれも素敵なキッチンばかり、またそれぞれの制作ストーリーもおもしろく、イマイさんにオーダーでお願いしてみたくなりドキドキしながらメールを打っております。
キッチン計画をPDFでまとめましたのでお時間のある時に見ていただけたら嬉しいです。
[家のイメージ]
・外壁は焼杉
・床は節ありヒノキ無垢
・内壁はベージュの塗り壁
[キッチンのイメージ]
・コンセプトは木と石の台所
・ガサツな使い方に耐えるワークトップ
・樹は少し明るい色(クリ、クルミあたり)
・いつかスパイスカレー教室を開きたい
どうぞよろしくお願いいたします。」
という印象深いスケッチが添付された元気のあふれるメールを頂きました。
「つくば」というと、少し前にも納品したTさんのお住まいもつくばでしたね。
研究学園駅の周りも勢いのある開発がなされているように見えましたし、Tさんのところにお伺いする道程でもよちよち歩きのお子さんを連れたお母さんが公園で遊ぶ姿がありましたものね。
ちょっと遠いかなあ、なんて思えるこのあたりでも都内に出るにはそれほどストレスなく交通の便もありますし、私たちの工房がある町に走る単線のほうがよほど不便に思えるくらいです。(笑)
でも、こういうふうに続けて同じ地域に住まう皆さんからご依頼を頂くというのは何かご縁ってあるのでしょうね。
過去の制作例か、もしくはブログでも触れたかもしれませんが、ある時期に集中して同じ地域にお住いの方々からご相談を頂くことって珍しくないのです。
それは私だけではなく、スタッフのみんなも感じていて、不思議なものだねえと話題になるくらい。
立て続けに鎌倉だったり、埼玉と東京の境あたりだったり、世田谷線の周りだったりと。
なぜなのかいまだに分からないのですが、きっと家具の神様がいていろんな地域に立ち寄っては、単線が走るこの町に向かって良い風を吹かせてくれているんじゃないかなあ、と思っています。
キッチンの計画は新居全体の計画のいつ頃から考え始めると良いのでしょうか、と皆さんに時々聞かれます。
私としてはいつが最適という決まりはないのですが、中には「キッチンは私が一番長く過ごす場所なので、まだ間取りも決まっていないけれど理想のキッチンの形は決まっているので真っ先にここを考えたいのです。それに合わせて間取りを決めていきます。」という強い意気込みを聞かせてくださるお客様もある程度いらっしゃいましたが、あえて言うとしましたら、キッチンという場所がその家の空間に馴染む場所で在ったらよいなと思いますので、間取りがおおよそ決まって、何となくその家での動線が見え始めたタイミングになると、キッチンではどういうふうに過ごしたいか、誰と過ごしたいか、という暮らしかたが見え始める時期なのではないかと思うのです。
ですので、そういうタイミングで考えていくと、漠然としていた思いも自然とひとつの方向にまとまっていくのかな、なんて思っております。
ちなみに結婚してからマンション住まいだった私が戸建て住宅に住むきっかけとなったのは、1冊の本で、そこに描かれていた庭で食事をする光景に気持ちを突き動かせて、あっという間に家作りを決意してしまいました。
それまではマンションに不便もなかったものですから、戸建に移り住むことなんて思いがけないことだったのですけれどね。
当時のアキコは、そんな急な衝動にちょっとあきれておりましたが。(笑)
なので、タイミングというのは、自分や家族の中で自然に思い起こされるようになるその時がちょうど良い時期なのでしょうね。

Oさんからのメールを今あらためて見返しますと、お引越しされる約1年半前にキッチンの相談を頂いておりましたね。
この最初のご相談のタイミングではまだOさんの暮らしかたやキッチンとどう付き合っていきたいかということは分かりませんので、まずは「頂いたスケッチのような形のキッチンを私たちが作らせて頂くとこのくらいになります。」という概算の費用を伝えさせて頂きました。
やはり家作りはお金が掛かるものですから、必ずしもキッチンにばかり予算を割り当てられるものではないでしょうから、まずは最初のステップとして、この費用を見て頂いて皆さんにご判断頂くことになるのです。
すると、さっそくOさんから、「こうして合計金額を出すとビックリする価格ですネ・・」というお返事を頂いたのですが、ご自身の決意は固いようで(ありがとうございます)どのような形で実現できるかを模索しながらもお話を進めさせて頂けることになりました。うれしいことです。


さて、ここからOさんのプランが溢れ出るようにどんどん広がっていくのです。
予算的に難しいはずなのに、L型だったものが今度はコの字型に戸可愛らしいスケッチと共に形は頭を悩ませるほど複雑になって行ったりして。
私自身どのような形で落ち着くのかなあなんて思いながら、その都度どのくらいの費用感かをお伝えしながらOさんのお話がどのようになるのか楽しみに見守っていくのでした。
そういうふうに形がさまざまに変化していく中で、ただ一つ変わらないように思えたことがありました。
それはOさんが思い描く素材の選び方でした。
お二人ともお若いはずなのに選ぶイメージが純和風なイメージ。
キッチンの腰壁に石を貼るイメージが出てきたり、名栗仕上げの印象を表面に出したいというお話が出てきたり。
天板も石を用いるかもしれないと迷われたりと。

私たちのようなオーダーでキッチンを作るというスタイルですと、お店やショールームに実物があるのとは違って、その人が望んでいる形そのままが実際その時その場所にあるわけではないので、イメージだけで形を思い描いて頂くというのはなかなか難しいことだと思います。
また、その難しい中でどうやって形をまとめていったらよいのかと考える時に、ただ要望だけを詰め込めばすべて良い形になるのかというと、決してそうではないと思うのです。
また、イメージしている仕上がりが上品で落ち着いたまとまりに見えるかどうかということは、実際にはできあがってみないと分からず、予想以上に派手に見えてしまうこともあったり、思いがけず目立たない印象になってしまう可能性もあります。
私自身はいつになってもデザインのスペシャリストというような卓越した感覚を持っているわけではありませんから、必ずしも全問正解をお伝えできるわけではないのですが、今まで見てきたこと経験してきたことの中から思いをひねり出して、自分で正しいと思っていることやその形の持つ良さはどういったバランスで成り立つのかということをせいいっぱい伝えることで今までの形作りを成してきました。
ですが、バランスを考えていくのに私はいつもその家具の使い勝手ばかりを先に考えちゃうので、できあがる形は何となく地味な形になりがちだったりするので、皆さんから頂く自分では思い描けないイメージや意見はいつも私の糧となっているのです。
そうして、頂いたイメージや形を自分なりに咀嚼して、また新たなひねり出す思いの中にしまっておけるのです。
ありがたいことです。
さて、そうしておおよその形がまとまりましたところにOさんが遠路はるばるこちらまでいらして下さることになりまして、さらには私の自宅まで見ていってくださって、ショールームではお見せすることのできない、実際に私たちの作るキッチンや家具を使いこむことでどのような風合いになって行くのか、メールでは伝えきれない具体的な形の納まりや見せ方をお伝えすることができたのでした。
「お世話になっております。Oです。
本日は長々とお時間いただきありがとうございました!
オーダー家具屋さんは初めてで、さぞハードルが高いのだろうと、お伺いするまでドキドキでした。
イマイさんとても素敵な方で、私のまとまりのない話も聞いてくださりとても安心しました。
キッチン自体も想像以上に素晴らしくて、2人とも夢が膨らむばかりです。
そして、ご自宅のほうも実際に住まわれているお家を見る機会がなかなかなかったため、とても参考になりました。
本当に心地よい空間で、いいないいなと話しながら帰ってきました。
私も新しいお家に住むのが楽しみです!」
と、最初のご相談から2ヵ月ほどを経てこれで形がまとまりましたね。
なんて思っていたのでしたが、ここから半年間掛けて、Oさんはコの字型から、L型と小さなカウンターを合わせたコの字のような形、そしてまたL型へといろいろと模索していくのでした。
さらには壁付けの棚板をただ壁から棚板が飛び出ているのではなく、違い棚のようにして、棚同氏は小さな四角柱でつなげたい、なんてお話もありましたね。
最終的には、もう工務店さんとの契約も済んでいたこともあって、「今から窓の位置を変更することが難しいのです。」と設計士さんからの言葉で、
「悩んだ結果、いっそ壁付のL型に丸いテーブルを置くのが良いかなと思いました。
まわりまわって、一番最初にスケッチを書いていただいたような形です。」
という形にまとまったのでした。
うーん、おもしろい。
それから間もなく無事に上棟となりまして、そのあといよいよ現地確認にお伺いしました。
当日は設計担当のKさんと棟梁とOさんとで納まりを確認させて頂きます。
現場はまだ捨て貼りの床が貼られたくらいで壁は断熱材をこれから充填するというタイミングでしたので石膏ボードがまだ張られていない状態。
キッチンの端部が窓のサッシあたりに合わせるということで、サッシまでの寸法を見込んで採寸をしていきます。
できあがっている場所を測るのではなく、仕上がりを見込んで寸法を採るのはいつも緊張するのです。
私の測り方一つでも寸法は変わってくる可能性はありますし、実際に壁が張られていくと予定通りの寸法では収まらない現場もあったりしましたので。
もう少し後で採寸できれば確実なのでしょうけれど、それだと無垢材を加工していくには時間が足りなかったりします。そういう諸々を考えるといつも緊張するのです。
そうして、現場の寸法に合わせて図面を修正して、いよいよ制作に取り掛かります。
今回はヒロセ君が担当してくれることになりまして、制作前の打ち合わせを行なっていきます。
無垢材はどうしても動きますので、どの部分で動かないように矯正したら良いか、どこで逃げを見ておくかを考えていきます。さらには今回L型キッチン専用の特殊な金物を使うので、それがきちんと納まるかどうかもちょっと心配な部分があります。
そのあたりを相談して制作に取り掛かります。
キッチン自体はこの形にまとまるまでいろいろと寄り道しましたが、形はシンプルにまとまりましたので、制作も比較的順調に進んでいきます。
1点ちょっと危なかったのがL型専用の金物をつける時でした。
L型の形を作る時に以前に一度うっかりしていたことがあったのですが、L型の家具でハンドルをつける時って、ハンドルが出っ張る分をきちんと見込んでおかないと引き出しや扉がつっかえて開かなくなっちゃうことがあるのです。
以前にあったのは、ノーリツのプラスドゥのグリルを開ける取っ手が思った以上に出っ張っていて、その奥に直角に配置された引き出しを開ける時に引き出しがその取ってに当たってしまって全開しないことがありました。
その時は引き出しの前板を工夫することで回避できましたが、今回もちょっと出っ張りの大きなハンドルを扉につけていたので、扉が90度開くかどうか微妙なところでした。90度開かないとその専用金物が扉に擦っちゃう。
でもどうにか回避することができてひと安心。
そして、現場の進み具合を見て取付工事に入らせて頂きました。
【2022年6月2日のブログから】
到着したのはちょうど10時で、事前にOさんと連絡を取っておりまして、「伺えそうだったらお邪魔しますね。」とおっしゃっていたのですが、すでにいらしてくださっていて(遅くなっちゃってすみません。)
棟梁には前回の現場打合せでご挨拶だけさせて頂いておりましたが、今日はご年輩の監督さんもOさんからあらためてご紹介頂き、また作業されている電気屋さんもクロス屋さんもお人柄のよく分かる素敵な職人さんたちで。
「キッチン屋さんの都合のいいように付けてくれていいよ。あとはこっちでやるからさ。」
3業者さんに私たちで現場はちょっと手狭な状態ではありましたが、こういう温かなところなら作業しやすそうだな、という感じでした。
私はさっそく電気屋さんに呼ばれて、IHヒーターのコンセントの位置の打ち合わせをしている間に、制作を担当したヒロセ君と今回はサポートのノガミ君の二人で手際よく荷下ろしを始めました。
雨もポツポツしてきたからね。
するとおもむろにトラックの幌骨にいつも刺さっている芯材(木の角材)を引き出して、幌をその芯材に引っかけると、俄か屋根のできあがり。
へえ、おもしろい。
私の知らないところで、みんないろいろな工夫がされているのだなあ、なんて今さら関心。
(シャチョー、そんなことも知らないのですかーって言われないようにしないと・・。)
そんなことを考えながら電気屋さんの打ち合わせを終えて、荷下ろしを手伝っていると、打ち合わせで手が止まっちゃった電気屋さんがキリの良いところまで作業をしていると、おもむろに棟梁が顔を出して、「○○さん、お茶にすっぺぇよ。」って。
あぁ、久しぶりに「すっぺぇよ。」聞いたなぁ。うれしいなあ。
昔まだ父にくっついていろんな現場に出かけていた時にはやっぱりその現場のいろいろなルールみたいなものがあって、このお茶の時間が結構きっちり決まっていて、その間は作業は止めないといけなくて、お施主さんが大きな魔法瓶と一緒にたくあんがごっそり入ったガラス鉢を用意してくれたりすると、棟梁が各職方さんに「お茶にすっぺぇよ。」って声掛けて。それをつまみながら、年輩の職人さんたちはエコーだとか、わかばだとか、懐かしい煙草を引っ張り出しては一服していましたね。
私も当時は煙草が好きだったので一緒にさせてもらったのですが、父のように話が上手じゃないものですから、一服し終わってしまうと、時間を持て余してしまって、自分もいつか父のようにいろんな現場でうまくやれるのかなあ・・、なんて変な悩みを持っていたことを「すっぺぇよ。」という言葉で思い出したのでした。
そんな物思いに耽っているうちに荷下ろしは終わって、設置位置の確認も棟梁と済ませることができたので、ヒロセ君とノガミ君に作業は任せて、Oさんにもご挨拶させて頂いて昨日先に戻ってきたのでした。
そして、二日目の夕方無事に作業を完了させて二人が戻ってきました。
その後、Oさんからもうれしいお便りをいただきました。
「フリーハンドイマイ イマイ様
お世話になっております。ご連絡が遅くなりました。
昨日、一昨日と遠方までキッチン取り付けいただきありがとうございました!
棟梁も電気屋さんもこてこての茨城弁で、話伝わるかな・・?とちょっと心配に思っていましたが、問題なさそうでよかったです。
ノガミさんもヒロセさんも、画面越しで知るよりずっと素敵な方々で、職人というよりは聖人?のような雰囲気で、お二人が作業しているのを眺めているとなんだか気持ちが癒されました。
驚くようなスピードで作業いただいたおかげで、2日目の午後に顔を出した時にはもう帰られる寸前だったので、あやうくお礼をし損ねるところでした(笑)
なによりキッチンが素敵すぎて、眺めるたびにニヤニヤしています。
クルミも最初はなんとなく決めたのですが、優しくてとても良い雰囲気ですね。
クルミを見ると、小学校の図工室を思い出して懐かしい気がします。
とにかくありがとうございました!!」
こうして無事にキッチンの設置が完了して、無事にOさんに引き渡されて数か月後にご挨拶に伺わせて頂きました。
「2022年10月15日 Oさんのクルミのキッチンに会いに」
この時初めてOさんが思い描いていた家の空気がやっと分かりました。
本当はもっと早く汲み取っていないといけなかったのかもしれませんが・・、すみません・・。
「私たち旅行に出かけることが好きで、出掛けて止まる宿に入るたびにこういう宿のようなおうちにしたいなってずっと思い描いていたのです。」
なるほど。
階段、下駄箱、吊戸棚、洗面台といろいろな部分の造作は棟梁一人でやってしまったというとても心地よく木に囲まれた空間の中に置かれたクルミのキッチンがとても温かくくるまれたように見えるおうちでした。
「このあとは二人で庭作りも頑張っていこうと思って。」とうれしそうにお話しするお二人。
頑張ってくださいね、すてきな時間をありがとうございました。
天板 | ステンレスバイブレーション(トヨウラ) |
---|---|
キッチン扉・前板 | クルミ板目無垢材 |
側面 | クルミ板目無垢材 |
本体外側 | クルミ板目突板 |
本体内側 | ポリエステル化粧板 |
塗装 | オイル塗装仕上げ |
ステンレスバイブレーションとクルミのL型キッチン
価格:1,590,000円(制作費のみ、塗装費と設備機器費用は別)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は80,000円から、取付施工費は180,000円から)

ナラのセパレートキッチン
Category : 日記「自由な手たち」2023年3月3日


今日はご新居での暮らしが始まったばかりのHさんのところにお手入れの方法などをお伝えに伺ってきました。
「キッチンをオーダーするなんて言う考えは最初はまったくなかったのですよ。」とHさん。
「家の設計が始まった当初はキッチンハウスさんやウッドワンさんのキッチンを見に行ったりしたんです。でもちょっとどこかが違くて、こういう木の良さが表れた形ってやっぱりどこにもなくって、このセパレートのレイアウトも探してもなかったのです。」
とHさんが答えてくれました。
「そうしたら、Hさん(以前お世話になったハウスメーカーの担当者さんもHさん)がオーダーでキッチンを作るという方法もあるんですよ。良いメーカーさんを知っていますので。」と言って私たちのことを紹介してくださったのだそうです。
なるほど、それはうれしいことです。
そのHさんはいよいよハウスメーカーから独立してご自身で建築のお仕事を立ち上げたそうで、「ここからすぐ近所に事務所を構えたのですよ。町内のイベントのたびに顔を合わせちゃいそうなくらいの距離なのですよ。」とのこと。「きっと私たちの時のようにまたイマイさんにお声が掛かるんじゃないのでしょうかね。」
こういうご縁でつながっていくのはとてもありがたいことです。
心地よい風がずっと吹いているのです。

卒業
Category : 日記「自由な手たち」2023年3月2日
3月の始まりは、ハルの高校の卒業式でした。
振り返ると、入学式もなく、6月にやっと分散登校から始まった高校生活。
修学旅行も台湾→沖縄→九州に変更になり、2年生の6月頃行く予定が、3年生の春にやっと実現、
保護者1人がようやく参加できた学園祭も3年生の時。体育祭は1度も見に行けませんでした。
ダンス部の発表は、顧問の先生が配慮してくださり、大会前に学校で披露してくれたので、
オンライン開催でしたが、見ることはできたのでした。
校歌を1度も歌ったことがない学年ということで、校歌斉唱の時には、音源に合わせて口ずさむ形になったのには改めて驚きましたが。
「~のはずだった。」とできなかったことばかり見てしまうので、
先生方からは、「そんな中みんなはよく頑張ったよね。」と労うお言葉ばかりだったのですが、
式を終えた後、有志の生徒さんたちが企画してくれた、生徒全員でのRADWINPSの「正解」の合唱と、1年生からの様子をまとめた動画を見せてくれたのですが、その出来上がりが素晴らしく、「色々制限がある中でも、できることの中でみんな楽しかったんだ。」という様子がわかり、とても感動しました。
仕事のお休みをいただき、初めて学校に足を運んだダイスケさんとも、「ちゃんとみんなで楽しく高校生活が送れていたのだね。よかったね。」と話しながら帰りました。
卒業おめでとう、ハル。よい仲間に出会えてよかったね。すてきな姿を見せてくれてありがとう。

タモ柾目とコーリアンのL型キッチン
Category : 日記「自由な手たち」2023年2月27日



私は早朝から三郷のKさんの現場で定例があるというので、そのタイミングに合わせて現場を確認するために出かけておりました。
シキナミさんから頂いたお話です。シキナミさんにはいつも個性的なお客様を引き合わせて頂くことが多く、今回は美術館の館長さんのご自宅ということで、なかなか変わったキッチンと家具になりそうです。楽しみでもありますが、納まりがシビアなので今から緊張しております。
その頃、Yさんの現場の最終日ということで、ヒロセ君とタケイシさんが作業を進めておりました。
お昼過ぎに無事に完了したということで、ほっと一安心。
今回初めてご依頼くださったのは、一級建築士事務所すずきの鈴木さんと山村さん。以前にはT-SITEの展示に足を運んでくださったりとうれしいつながりがありまして、今回初めてご依頼を頂くことになったのでした。
で、初めてにしてはかなり難易度の高いリノベーションでした。(笑)
たくさんの年数へ経てきた家は細かな歪みなどが出ているのですが、そこを最小限の調整で済むような作りになったり、曲面の仕上げ(これがこのキッチンを特徴づけていてとても美しい)があったりと、制作を担当したヒロセ君は頭を悩ませながらもとてもきれいに仕上げて設置してくれました。
タモの柾目という表面材とコーリアンのウィッチヘーゼルという組み合わせもとても静かな美しい印象になったのです。
まずはホッとしております。
またご挨拶に伺わせて頂きますね。

ステンレスバイブレーションとクルミのキッチン
Category : 日記「自由な手たち」2023年2月26日



Uさんにはキッチンの塗装をご自身で行なって頂く時にご説明した時以来タイミングが合わなくて、こうしてお会いできるまでもう2年以上が経っていたのでした。
大変久しぶりにスツールの相談を頂いたのです。今はいろいろと慌ただしくて椅子作りの時間が取れない状況でしたので、今ショールームに置かれているものでよければ、ということで、お手入れの方法や写真を撮らせて頂く良い機会だと思いまして、3脚のスツールを持ってアキコとお邪魔してきました。
キッチンは小さなやんちゃな男の子が二人いてもとてもきれいに使われていて、そして、2年経ったクルミはほどよく色焼けしていてとても良い表情になっておりました。
小柄なUさんの使いやすい高さを確認して、あらためて高さを調整したらお届けしますね。
今日はお邪魔致しました。

サクラのカップボード
Category : 日記「自由な手たち」2023年2月25日
タケイシさんが担当したサクラを使ったカップボード。
本日Mさんのところにノガミ君と二人で設置に伺ってきました。
サクラの長い材がなかなか手に入りにくい中、きれいな表情の良い材を使うことができてきれいに仕上がりました。
あとはこの環境で板が落ち着いてくれるかどうか。今はきれいに納まっておりますが、無垢材はどうしても動きますから、具合を見ながら使ってゆけるように私たちも見守りたいと思います。
あと、サクラの色が焼けてくる様子は本当にきれいですから、まだ時期を見てお邪魔させて頂こうと思っております。こちらに越してこられるのは、初夏に差し掛かる頃と言ってたかしら。
山梨のこちらは道のそこかしこには残雪が見られたようですが、桜咲く春はもうすぐのようですね。
私は、慣れないシェアオフィスという場所に出かけて、久しぶりにお会いしたNさんと設計事務所さんとで、キッチンの打ち合わせをしておりました。
街の中はなんとなく春めいておりました。

培う
Category : オーダー家具・オーダーキッチン制作事例, オーダーキッチン2023年2月24日
「ステンレスヘアラインとクリのペニンシュラキッチンと背面収納」
つくば T様
design:Tさん
planning:Tさん/daisuke imai
producer:kenta watanabe
painting:kenta watanabe

つくばに住まわれるTさんのご新居にキッチンを作らせて頂きました。
ふだんは都内の設計事務所に勤務されているTさんですが、自宅は自分で考えた家にしたいということで、ご実家に近いつくばに家を建てられることにしたのだそうです。
つくばと聞くとここからちょっと距離がありますので、最初はお請けできるかどうかためらったのでした。
オーダー家具やオーダーキッチンというのは、いつもきまった形のものを作り続けているわけではないので、その都度違った素材の扱い方や納め方を考えながら作っていくものです。ですので、使い始めてみると予想していないことが起きたり、また使い続けていくと消耗していく部材も出てくるので、「長くずっと使えるものを作っている」と言っていても、長くずっと使えるような状態を保てる環境が大事だと思っております。
そう考えると、つくばの町までは気軽に出かけられる距離ではないので、そう安易にお引き受けするのは怖い気持ちもあります。
そう言いながらも、以前には、水戸や静岡や伊豆や軽井沢など、ここからそれなりに遠いところにも納品させてもらっておりますので、よく考えたら遠距離でも作っているじゃないか、なんて何だか気持ちが揺らいじゃっているなあと思うところもありますが、今のところ幸いにも皆様からその後不具合のご連絡を頂いていないので、そう考えると大丈夫なのかなあ、という思いもあったりして、いまだにそのあたりは悩みながら、状況を見ながらお話をお請けしているところです。
(どちらかというと納品直後のほうが板が動いたり、お手入れの方法をあらためてお知らせしたりすることが多く、時間が経つと皆さん使い慣れてくださるのでしょうかね。)

今回は、Tさんが設計士さんということもあり、そのあたりの対応はご自身で手配して頂けるということもあって、お話を請けさせて頂くことにしました。
なんて言うと偉そうですが、わざわざ遠方になるのにお声掛けくださることにとても感謝しております。
さて、設計士さんだとなかなか難しい形を考えてこられるのかと最初はドキドキしておりましたが、物静かなTさんが持ってきてくださったプランはどちらかというとシンプルな形のキッチンでした。
「いやあ、今の住まいと打って変わってまわりに何もないところでして、そういう自然に囲まれた場所できちんと暮らせるような家にしたいと思っておりまして。」
そういう言葉を頂いていて、平屋を建てるということでどのような印象の家になるのか楽しみだったのです。
打ち合わせの最中には、私の自宅も見に来て頂いて、実際にキッチンを使っている様子を見てもらって、メリットデメリットを直にご説明させて頂いたりしましたね。

そうして、最初の打ち合わせから1年くらいが経つ頃にいよいよ工事が始まりました。
そして、そろそろキッチンの制作に取り掛かる時期かというタイミングで一度現地を確認しに伺わせて頂きました。
どんな建物なのかな。
外から見ると大きな屋根が特長の家が遠くからでもよく分かりました。
そして、室内に入らせてもらうと、おや、まだ根太が見えたままで床も張られていないのでした。壁も柱が表れていて今しばらくはボードが張られる様子もなさそうです。
「Tさん・・。」
「いやあイマイさん、実はコロナのこともあって、物流が滞りがちなことと大工さんと納まりの相談を細かくやっているとなかなか進んでおりませんで、まだこの状態なのです。でも、墨出しはできますので、制作寸法はこの状態でも決められますから大丈夫です。」
ということで、その場で納まりを確認して制作寸法を決めていき、ひとまず制作に取り掛かれるように段取ることができました。


現場からの帰り際に、「何もないところでしょう。実際隣家も結構離れていますので。でもこの前の土地を使って畑をやろうと思っていまして。」と、Tさん。
思いがけない言葉が聞けて興味深くなりました。
設計士さんとしてなら都心から離れた場所でも仕事ができるでしょうから、てっきりこの場所で設計に専念されるものだと思っておりましたので。
「義父がすぐそばで畑をやっていることもあって、この場所で自分も自分の食べるものを作っていきたいと思うのです。それに、この家もこの土地の気候を生かして、心地よい風が通るような家にしたいのですよね。」とすてきな将来のお話を聞かせて頂いたのでした。
私のこの時期のちょうど1年ほど前に自宅を建てたばかりで、自分たちですてきに暮らしていくことの憧れや模索することがあって、こうしていろいろなお話を聞く機会がとてもうれしい時間だったのです。
「Tさん、今日はありがとうございました。それではさっそく制作に取り掛からせて頂きますね。」とご挨拶をしてその日はうれしく帰ってきました。

そうして、2ヶ月弱ほどの時間を掛けて、ワタナベ君がペニンシュラキッチンと大きな背面収納は完成させました。
それではそろそろ取付のタイミングではなかろうかとTさんに打診してみますと、「いやあイマイさん、実は・・。」とお返事。
とても丁寧に作っていることもあって、まだボードが張られていない状態なのだそうでして。
なるほど・・。
ちょうど繁忙期に掛かりそうなタイミングでしたので、今しばらくは保管できそうでしたがそのあとは難しそうだなあ‥、と思っていたところ、Tさんのご実家に仮置きさせて頂けるということで、ひとまずそちらに納品させて頂いて、然るべき時が来たら工事に入らせて頂くことになったのでした。
そうして、実際に設置工事に入ったのは、現地を確認してから約半年後でした。
制作を担当したワタナベ君とサポートでノガミ君とヒロセ君の3人で泊りがけで設置工事を行なって無事に完了。
なかなか長いお仕事でした。
それからさらに数か月かけて、Tさんの新居はようやく完成。
その数か月後にお邪魔させて頂きました。
「周りに民家が無いものですから、夜になると真っ暗になっちゃうんですよ。でもこの外との空間がひとつながりになった様子はとても心地よくて。」とお話しするTさんは、実はこのタイミングで独立することになったそうで、ここで設計と畑仕事の二足の草鞋です、何ておっしゃっていました。
今回あらためて完成した室内をいろいろと拝見させて頂くと、屋根と地面に広く通気口があって、壁内に配されたファンで壁内も空気を循環させることができるようになっていたり、工夫された間取りを案内して頂いたり、私が知らなかった金物などを教えて頂いたりといろいろな形があるのだなあと大変勉強になる時間だったのです。
今回のこのクリ材を使ったキッチンと背面収納は塗装をTさんと奥様のお二人で仕上げるということでして、多少のザラツキはあってもきちんと塗り上がっていて、すでにクリの濃さが出てきていて良い印象になっています。
ただ、今回はワトコオイルを使ったので、扉内を塗った時の匂いがなかなか取れなくてその点はちょっと気がかりでしたが、使い続けていくうちに風で馴染んでくると思いますので、通気良くお使い頂けるようにお知らせさせて頂きました。
Tさんがそのように家のことをひとつずつ話してくれる様子はやはり親の心境でしょうか。とても感慨深く、また楽しそうに説明してくださいます。
ダイナミックな天井の造作や細かい枠の納まりはこの場所に来て初めて分かる心地良さで、窓を開け放つと見える畑もすでにご両親と一緒に開墾されていて、元気の良い作物が実っている様子がここからでも目に入ります。
設計と農作業とでは大変ではないのかな、と思うのですが、Tさんの目を見ているとキラキラしていて大変なことも心地よいこともすべてを楽しんでいる様子が伝わってくるのでした。
それから、帰り際にその当時我が家でもいろいろと考えていた外構のことでTさんがすてきなお話をしてくださいました。
家の前の広い土地は畑になるのですが、その手前の玄関のそばには木を何本か植えるのだそうです。
その木々は、枝葉が高いところに付くような少し背の高い木々なのだそうです。
「ここの辺りを雑木林にしたいのです。」
「えっ、そうなのですか。」
実は私たちもちょうどこの時期に外構の相談に伺っていた厚木にある景色工房サフランさんから、そのような話を聞いていたのでした。
日本のこの地域の風土のあった枝葉の低くない木々を植えることできちんと風が通るようになるというお話を聞いていただのです。
まさか、この離れた土地で、このタイミングで同じお話が聞けるとは思わず、うれしくなったのでした。
次はTさんの野菜が獲れた頃に挨拶にこようかしら。
お邪魔しました。
とても心地よい時間でした。
天板 | ステンレスヘアライン |
---|---|
キッチン側扉・前板 | クリ板目突板 |
側面・リビング側扉 | クリ板目突板 |
本体外側 | クリ板目突板 |
本体内側 | ポリエステル化粧板 |
塗装 | オイル塗装仕上げ |
ステンレスヘアラインとクリのペニンシュラキッチン
価格:1,290,000円(制作費のみ、塗装費と設備機器費用は別)
クリの背面収納
価格:980,000円(制作費のみ、塗装費は別)
*運送搬入費・取付工事費が別に掛かります。
(目安として、運送搬入費は120,000円から、取付施工費は200,000円から)