色濃くなったチェリーのカップボード

2016.11.13

約2年前にチェリーでカップボードを作らせて頂いたIさん。納品後まもなく、Yさんと名前が変わり、家族も増えて、近々新しい住まいに変わるのだそうです。
うーん、家具屋ってその人の時間のいろいろな節目に立ち会わせてもらっているのだなあと、あらためて感慨深く思うのです。

まったく違うお話ですが、先日地下鉄に乗っていて、「この電車はワンマンです。」というアナウンスを聞いて、この運転手さんはとても大事な責任を負って仕事をしているんだよね。とあらためて思ったのです。
私たちは普通に目的地まで電車に乗って降りる。それだけのことかもしれませんが、その何十人、何百人がこの速いスピードで動く乗り物に乗っていて、それを1人で運転している。大きな責任を担ってその仕事を行なっている。すごいことです。

家具を作っているんだよっていうこと、作ることに慣れてしまうこともあります。
でも、ここで作っているものはただの家具ではなくて、うーん、何と言うか、その人の暮らしできちんと使われている家具なのです。
家具を作るだけではなく、作った家具でその人の暮らしを支えている、というその奥のことを考えると、私たちも大きな責任をもってこの仕事に取り組まなければいけない、とあらためて思ったのです。
その人がその家具を使っていて毎日が気持ちよく過ごせて、きちんとその日を暮らして、きちんと次の日を迎えることができるために私たちは家具を作るのです。

「このチェリー良い感じで焼けてきましたね。」
「はい、9月にもオイルを塗りましたので。」と言うご主人の顔がどこか誇らしげ。奥様は隣でにこやかに見守る。温かい土曜日でした。