クルミとステンレスのL型キッチン

クルミのL型キッチン

2022.04.21

L型キッチンのコーナー収納部分

二日間かけてのつくばのOさんのキッチン設置工事が終わりました。

工房で一度仮り組みしているので、今回は比較的順調に作業が進みそうと判断して、早朝から出ることなく、いつもの出社よりもちょっと早く出発して、都内を抜けていくほうがいくらか早く着くようなのでしたが、朝の殺伐とした都内の道路はなかなか苦手だったもので、のんびりと圏央道を通ってつくばを目指したのでした。

到着したのはちょうど10時で、事前にOさんと連絡を取っておりまして、「伺えそうだったらお邪魔しますね。」とおっしゃっていたのですが、すでにいらしてくださっていて(遅くなっちゃってすみません。)

棟梁には前回の現場打合せでご挨拶だけさせて頂いておりましたが、今日は監督さんもOさんからご紹介頂いて、作業されている電気屋さんもクロス屋さんもお人柄のよく分かる素敵な職人さんたちで。

「キッチン屋さんの都合のいいように付けてくれていいよ。あとはこっちでやるからさ。」

3業者さんに私たちで現場はちょっと手狭な状態ではありましたが、こういう温かなところなら作業しやすそうだな、という感じでした。

私はさっそく電気屋さんに呼ばれて、IHヒーターのコンセントの位置の打ち合わせをしている間に、制作を担当したヒロセ君と今回はサポートのノガミ君の二人で手際よく荷下ろしを始めました。

雨もポツポツしてきたからね。

するとおもむろにトラックの幌骨にいつも刺さっている芯材(木の角材)を引き出して、幌をその芯材に引っかけると、俄か屋根のできあがり。

へえ、おもしろい。

私の知らないところで、みんないろいろな工夫がされているのだなあ、なんて今さら関心。

(シャチョー、そんなことも知らないのですかーって言われないようにしないと・・。)

そんなことを考えながら電気屋さんの打ち合わせを終えて、荷下ろしを手伝っていると、打ち合わせで手が止まっちゃった電気屋さんがキリの良いところまで作業をしていると、おもむろに棟梁が顔を出して、「○○さん、お茶にすっぺぇよ。」って。

あぁ、久しぶりに「すっぺぇよ。」聞いたなぁ。うれしいなあ。

昔まだ父にくっついていろんな現場に出かけていた時にはやっぱりその現場のいろいろなルールみたいなものがあって、このお茶の時間が結構きっちり決まっていて、その間は作業は止めないといけなくて、お施主さんが大きな魔法瓶と一緒にたくあんがごっそり入ったガラス鉢を用意してくれたりすると、棟梁が各職方さんに「お茶にすっぺぇよ。」って声掛けて。それをつまみながら、年輩の職人さんたちはエコーだとか、わかばだとか、懐かしい煙草を引っ張り出しては一服していましたね。

私も当時は煙草が好きだったので一緒にさせてもらったのですが、父のように話が上手じゃないものですから、一服し終わってしまうと、時間を持て余してしまって、自分もいつか父のようにいろんな現場でうまくやれるのかなあ・・、なんて変な悩みを持っていたことを「すっぺぇよ。」という言葉で思い出したのでした。

そんな物思いに耽っているうちに荷下ろしは終わって、設置位置の確認も棟梁と済ませることができたので、ヒロセ君とノガミ君に作業は任せて、Oさんにもご挨拶させて頂いて昨日先に戻ってきたのでした。

そして、今日の夕方無事に作業を完了させて二人が戻ってきました。

今回のキッチンはコーナー部分の金物に特殊なものを使ったり、ハンドルと扉の開く角がシビアだったりと難しい部分もあったのですが、ここに来てまだ3年目とは思えないヒロセ君が頼もしく仕上げてくれました。

次は来月の下旬頃でしょうか、Oさんがオイル塗装をされるので、その時にあらためてまた現場にお邪魔させて頂きます。

オイルが入るとまたクルミの表情が大きく変わりますからね、楽しみですね。